腱鞘炎による痛みの原因から治療法まで徹底解説!手術以外の選択肢も紹介
公開日: 2019.12.22更新日: 2025.06.02
「物をつかむと痛い」「スマホを長時間使ったあとに指がしびれる」といった、手や指の違和感や痛みを感じながらも放置していませんか?
腱鞘炎は手や指の使い過ぎによって起こる炎症で初期のうちに対処すれば回復が見込めますが、放置すると痛みが慢性化し、家事や仕事に支障をきたすケースも少なくありません。
しかし痛みの原因が分からない・治療法について知りたいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、腱鞘炎による痛みの原因から治療法まで詳しく解説します。
手術以外の治療法についてもご紹介しますので、つらい痛みに悩まされる前にぜひ最後までご覧ください
目次
腱鞘炎の痛みの特徴とは?
腱鞘炎は発症する場所によって症状や特徴が異なります。痛みの特徴について、以下2つのタイプ別に紹介します。
発症部位や痛みについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ドケルバン病(親指の腱鞘炎)
ドケルバン病とは、手首の親指側にある腱(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)の腱鞘が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる病気です。
特徴としては、以下の通りです。
発症部位 | 親指の付け根から手首にかけて |
痛みの特徴 | 親指を広げたり、手首をひねったりすると強い痛みが生じる |
日常生活への影響 | ペットボトルの蓋を開ける、タオルを絞るなどの動作が困難になる |
腫れ | 手首の親指側が腫れて熱を持つことがある |
ドケルバン病は手や指をよく使う人に発症しやすく、放置すると慢性化することもあります。
ばね指(弾発指)
ばね指とは指の腱が腱鞘の中で引っかかり、指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなる病気です。
特徴は、以下の通りです。
発症部位 | 指の付け根の手のひら側 |
痛みの特徴 | 指を曲げ伸ばしするときにカクッとした引っかかりと痛みがある |
特徴的な症状 | 指がバネのように急に動く「弾発現象」が起こる |
朝の症状 | 起床時に症状が強く現れることが多い |
進行すると | 指が曲がったまま伸ばせなくなることもある |
どちらのタイプも早期に適切な対処をすることで症状の改善が期待できます。
痛みや動かしにくさを感じたら、まずは安静にして負担を減らすことが大切です。
腱鞘炎の痛みの原因|手首・指の使い過ぎに注意
腱鞘炎の痛みの原因は、主に以下の3つです。
腱鞘炎が起こる原因を理解して、予防や早期対応につなげましょう。
手や指のオーバーユース(使いすぎ)
腱鞘炎の最も多い原因は、手や指の使い過ぎです。
腱は筋肉と骨をつなぐ丈夫な線維ですが、過度な負荷が続くと炎症を起こしてしまいます。
以下のような活動をされる方は、注意が必要です。
手指を使う長時間の作業 | パソコンやスマートフォンの操作など |
楽器の演奏 | ピアノ、ギター、バイオリンなど |
手作業が多い職業 | 美容師、料理人、工場作業員など |
スポーツ活動 | テニス、ゴルフ、野球など |
現代社会ではデジタル機器を使用する機会が多く、知らず知らずのうちに手や指に負担をかけている場合があります。
同じ動作の繰り返しによる負荷
単純に使い過ぎるだけでなく、同じ動作を繰り返すことで特定の腱に負荷が集中することも腱鞘炎の原因です。
日常生活でよく見られる繰り返し動作には以下があります。
- キーボードやマウスの操作:何度も繰り返す同じ指の動き
- 育児動作:赤ちゃんの抱っこや授乳時の手首の動き
- 家事動作:掃除機をかける、洗濯物を干す動作など
- 趣味活動:編み物、書道、絵画など
これらの動作は一見軽い負荷に感じられますが、長期間続けることで腱に疲労が蓄積し、炎症を引き起こす可能性があります。
女性ホルモンや加齢
腱鞘炎は女性に多く見られる疾患で、これには女性ホルモンの変化が関係しています。
とくに以下の時期に発症しやすいとされており、注意が必要です。
- 妊娠・出産期:ホルモンバランスの変化により腱や靭帯が緩みやすくなる
- 更年期:エストロゲンの減少により腱の柔軟性が低下する
- 月経周期:ホルモンの変動により症状が悪化することがある
また、加齢により腱の柔軟性が低下し、小さな損傷が蓄積されるのも炎症の原因です。
年齢を重ねると、若い頃と同じ動作でも腱鞘炎を発症するリスクが高くなるため、無理せず適度に休憩を取りましょう。
腱鞘炎の治療方法|痛みを抑えるには早期の対応が大切
腱鞘炎の治療方法には、主に以下の4つがあります。
ご自身の症状や生活スタイルに合った治療方法を見つけましょう。
腱鞘炎が慢性化している場合の治療方法については、以下でも解説していますので、ぜひご覧ください。
保存的治療(安静・固定・薬物療法)
腱鞘炎では、まず手術を行わない保存的治療から開始します。
保存的治療の主な内容は以下のとおりです。
安静・活動制限 | 痛みを起こす動作を控え、手や指の負担を軽減する |
固定具の使用 | サポーターやテーピングで患部を固定し、動きを制限する |
温冷療法 | 急性期は冷却、慢性期は温熱で血流を改善する |
外用薬 | 消炎作用のある塗り薬やシップを使用する |
内服薬 | 痛みや炎症を抑える非ステロイド系抗炎症薬を7〜10日間服用する |
保存的治療は副作用が少なく安全性が高い治療法です。
初期の腱鞘炎では高い効果が期待できるため、症状を感じたらまずはこれらの方法を試してみましょう。
注射治療
保存的治療で十分な効果が得られない場合には、ステロイド注射という選択肢があります。
- 治療内容:炎症を強力に抑えるステロイド薬と麻酔薬を腱鞘に直接注射する
- 効果:多くの場合、注射後数日から数週間で痛みが軽減される
- 注意点:注射後数時間は一時的に痛みが強くなることがあるが、24時間以内に改善する
- 頻度:効果が不十分な場合は数回繰り返すことも可能
効果には個人差がありますが、注射治療は即効性があり効果的な治療法です。
ただし、副作用のリスクがある方や、何度注射しても効果が持続しない場合は、他の治療法を検討します。
手術治療
保存的治療や注射治療でも症状が改善しない場合、または再発を繰り返す慢性的な腱鞘炎に対しては手術治療という選択肢があります。
- 手術内容:厚くなった腱鞘の一部を切り開き、腱の動きをスムーズにする
- 手術時間:約15分程度の短時間で終了
- 傷の大きさ:皮膚を1〜2cm切開する小さな手術
- 回復期間:翌日から手を動かすことができ、日常生活への復帰が早い
- 効果:根本的な治療により再発のリスクを大幅に減らせる
手術と聞くと不安に感じる方も多いかもしれませんが、腱鞘炎の手術は安全性が高く、確実な効果が期待できる治療法です。
再生医療という選択肢
入院を伴うような大きな手術を必要としない治療法として、再生医療があります。
再生医療では、患者さま自身の幹細胞や血液を用いるのが特徴的な治療法です。
- 治療の特徴:患者さま自身の細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低い
- 入院の必要性:外来での治療が可能で、入院は不要
- 対象:手術を避けたい方や、他の治療で効果が不十分だった方
再生医療は新しい治療選択肢として、スポーツ医療の分野でも活用されています。
ただし、すべての医療機関で受けられるわけではないため、当院「リペアセルクリニック」のような再生医療を扱っている医療機関へご相談ください。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
【まとめ】腱鞘炎の痛みには放置せずに早期の対処をしましょう
腱鞘炎による痛みは適切な治療を受けることで、症状の改善や再発予防が期待できます。
腱鞘炎への対処で意識したいポイントは、以下のとおりです。
- 安静にする
- 治療選択肢は豊富にあり、ご自身に合った方法を選べる
- 手術以外の治療法として再生医療も選択肢となる
手や指の痛みで家事や仕事に支障を感じている方は、我慢せず医療機関に相談することが大切です。
また近年では、手術以外の選択肢として再生医療も注目されており、負担の少ない治療法として検討も可能です。
治療法については、当院(リペアセル)の公式LINEからでも確認できますので、ご興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設