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片麻痺による亜脱臼の禁忌事項とは|改善のためのリハビリメニューについて解説

片麻痺による亜脱臼の禁忌事項とは|改善のためのリハビリメニューについて解説
公開日: 2026.04.30

脳卒中などの後遺症で片麻痺となり、肩の亜脱臼に悩まされている方やご家族の方も多いのではないでしょうか。

麻痺側の腕の扱い方を間違えると、亜脱臼の悪化や強い痛みを引き起こす可能性があります。

一方で、禁忌事項を理解したうえで正しいリハビリに取り組めば、症状の改善が期待できます。

本記事では、片麻痺による亜脱臼で避けるべき禁忌事項と、改善を目指すリハビリメニューについて解説します。

禁忌事項を理解したうえで、ご自身やご家族の状態に合った改善方法を見つけていきましょう。

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片麻痺による亜脱臼の禁忌事項

片麻痺による亜脱臼で避けるべき禁忌事項は、麻痺側の肩関節に過剰な負荷や不自然な力をかける動作です。

本章では、亜脱臼の悪化につながる3つの禁忌動作について、本人・介助者の双方が押さえておきたいポイントを解説します。

以下でそれぞれの禁忌事項について詳しく見ていきましょう。

腕を肩より高く挙げる

麻痺側の腕を無理に肩より高く挙げるのは避けましょう。特に、介助で受動的に90度を超えて動かすことは注意が必要です。

麻痺によって肩周りの筋肉が緩んでいると、関節が不安定な状態のため、無理に腕を挙げると亜脱臼や脱臼を引き起こす可能性が高まります。

介助者が着替えや洗体を手伝う際も、本人が違和感を覚えない範囲に動作を留めることが重要です。

腕を引っ張ったり捻ったりする

麻痺側の腕を引っ張ったり捻ったりする動作も、亜脱臼を悪化させる代表的な禁忌行為です。

起き上がりや車椅子・ベッドへの移乗の際に腕を無理に引っ張ると、肩関節周囲の筋肉や靭帯が過度に伸ばされ、亜脱臼の症状が進行する恐れがあります。

また、ボールを投げるような動作や、麻痺側の手を後ろに回す動きも肩関節に大きな負荷がかかるため、避けるべき禁忌動作に含まれます。

介助の際は、腕を引っ張らず、肩と腕全体を支えながら動かすようにしましょう。

腕をぶら下げたままにする

麻痺側の腕を支えずにぶら下げたままにすることも、亜脱臼を悪化させる禁忌事項の一つです。

弛緩性麻痺(筋肉の緊張が低下した状態)では、麻痺側の筋肉が腕の重さを支えきれません。

立位や座位で常に腕が下方向へ引っ張られ続けると、肩関節のずれが大きくなり、肩周りの筋肉や靭帯が伸びきって症状の悪化を招く可能性があります。

車椅子での移動中やベッドで横になっているときも、腕がだらりと垂れ下がらないよう、常に腕を安定した位置に保つ工夫が必要です。

片麻痺による亜脱臼の改善を目指すリハビリメニュー

片麻痺による亜脱臼の改善には、肩関節への負荷を減らしながら、関節を支える筋肉を働かせるリハビリの継続が重要です。

亜脱臼の改善を目指すリハビリメニューについて、それぞれの目的とポイントを解説します。

以下でそれぞれのリハビリメニューについて詳しく見ていきましょう。

ポジショニング

ポジショニングは、麻痺側の腕を常に正しい位置に保ち、肩関節への持続的な負荷を減らすための基本的なケアです。

場面 ポジショニングのポイント
座位 ・机やテーブルの上に肘ごと腕を乗せる
・クッションやアームスリングで肩を支える
仰向け ・麻痺側の肩甲骨の下にタオルを敷く
・腕の下にクッションを置き、肘と手を少し高めに保つ
横向き ・麻痺側を上にする場合は抱き枕で腕を支える
・麻痺側を下にする場合は肩を前に出して下敷きを避ける

正しいポジショニングは日常生活のあらゆる場面で意識する必要があるため、ご家族や介助者と一緒に方法を確認しておきましょう。

肩甲骨・肩周辺の軽い運動

肩甲骨・肩周辺の軽い運動は、関節を支える筋肉を鍛え、肩関節の安定性を高めるためのリハビリです。

肩関節を支えるインナーマッスルである「回旋筋腱板(ローテーターカフ)」を鍛えることで、上腕骨を肩甲骨に引き付ける働きが強化され、亜脱臼の進行を抑える効果が期待できます。

具体的には、自分の力で動かす自動運動と、セラピストや介助者が動かす他動運動を組み合わせて、筋力低下や関節の拘縮を防ぎます。

ただし、無理な可動域での運動は逆効果となるため、必ず専門家の指導のもとで実施することが重要です。

軽い荷重運動

軽い荷重運動は、麻痺側に体重を乗せた際の正しい姿勢を身につけ、亜脱臼の悪化を防ぐためのリハビリです。

麻痺側へ重心を乗せたときに肩が下がってしまうと、関節への負担が大きくなります。姿勢が左右非対称になると筋力の発揮が制限され、亜脱臼しやすい状態が続いてしまいます。

テーブルに麻痺側の手をつき、軽く体重をかける動作などを通じて、関節周囲の筋肉に適度な刺激を与えていきます。

日常生活においても、立位や座位での姿勢を意識することが、リハビリの効果を高めるうえで欠かせない要素です。

電気刺激療法

電気刺激療法は、麻痺で動きにくくなっている肩周りの筋肉に電気的な刺激を与え、筋収縮を促すリハビリ手法です。

麻痺で意識的に動かしにくい筋肉に電気刺激を送ることで、上腕骨を本来の位置へ引き上げる助けとなります。

脳卒中治療ガイドラインにおいても、肩関節亜脱臼に対する神経筋電気刺激は妥当な治療法の一つとされており、痛みの軽減効果も期待されています。
※出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕」

電気刺激療法は医療機関やリハビリ施設で行うのが基本となるため、導入を希望する場合は主治医に相談してみましょう。

片麻痺による亜脱臼に関してよくある質問

最後に、片麻痺による亜脱臼について、患者さまやご家族からよく寄せられる質問をまとめました。

疑問点を解消したうえで、日々のケアやリハビリに活かしていきましょう。

麻痺すると亜脱臼になりやすいのはなぜ?

麻痺によって亜脱臼が起こりやすくなるのは、肩関節を支える筋肉が脱力し、腕の重さを支えきれなくなるためです。

脳卒中後の弛緩性麻痺では、肩周辺の筋肉が緩み、重力に抗して腕を保持することが難しくなります。

その結果、上腕骨が本来の位置から下方へずれてしまい、亜脱臼が生じやすくなります。

さらに、感覚障害や半側空間無視(麻痺側の空間や身体への注意が向きにくくなる症状)を伴う場合、肩が体の下敷きになっていたり、無理な負荷がかかっていたりしても本人が気づかず、損傷が進みやすい点にも注意が必要です。

片麻痺による亜脱臼を改善するにはどうすればいい?

片麻痺による亜脱臼の改善には、専門家の指導のもとで適切なリハビリを継続することが不可欠です。

具体的には、電気刺激療法・運動療法・ポジショニングを組み合わせ、肩関節への負担を減らしながら関節周囲の筋肉を働かせるアプローチが基本となります。

焦らず、主治医や理学療法士と相談しながら、ご自身の状態に合ったリハビリメニューに取り組むことが大切です。

片麻痺による亜脱臼の禁忌事項を守ってリハビリを継続しよう

片麻痺による亜脱臼の改善には、悪化につながる禁忌事項を避けながら、適切なリハビリを継続することが重要です。

「腕を肩より高く挙げる」「腕を引っ張ったり捻ったりする」「腕をぶら下げたままにする」といった動作は、亜脱臼の悪化を招くため、本人・ご家族・介助者がそろって意識する必要があります。

一方で、ポジショニング・肩甲骨や肩周辺の軽い運動・軽い荷重運動・電気刺激療法といったリハビリメニューを組み合わせることで、症状の改善が期待できます。

痛みや違和感が続く場合は早めに医療機関に相談し、ご自身の状態に合った治療やリハビリ方針を確認してみてください。

また、近年の治療では、脳卒中の後遺症による片麻痺の改善に「再生医療」が注目されています。

再生医療とは、患者さまの細胞や血液を用いて損傷した組織の再生・修復を促し、脳卒中の後遺症改善が期待できる治療法です。

以下の動画では、実際に再生医療の治療を受け、脳卒中の後遺症が改善した症例を紹介しておりますので、併せて参考にしてください。

当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞に対する再生医療について無料カウンセリングを実施しております。ぜひご相談ください。

監修者

圓尾 知之

Tomoyuki Maruo

医師

資格・所属学会

日本脳神経外科学会 所属

脳神経外科の最先端治療と研究成果を活かし、脳卒中から1日でも早い回復と後遺症の軽減を目指し、患者様の日常生活の質を高められるよう全力を尽くしてまいります。

関連論文: The association between diffusion-weighted imaging-Alberta Stroke Program Early Computed Tomography Score and the outcome following mechanical thrombectomy of anterior circulation occlusion