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肩関節亜脱臼の治し方とは|自分で治す方法はある?放置するリスクについて解説

「肩関節の亜脱臼の治し方は?」
「自分で治す方法はある?」
上記のようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
肩関節亜脱臼の治療では、亜脱臼直後の初期治療と固定期間終了後のリハビリテーションを段階的に行うことで改善を目指せます。
一方で、自分で治そうとしたり放置したりすると、再発の繰り返しや慢性的な痛み、神経症状や関節変形といった深刻なリスクが生じる可能性があります。
本記事では、肩関節亜脱臼の治し方について、初期治療と固定期間終了後の段階別に解説します。
肩の不安定感や繰り返す亜脱臼にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧いただき、適切な対処につなげましょう。
以下の動画でも、肩関節亜脱臼について詳しく解説しているため、併せて参考にしてください。
また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、損傷した靭帯などの組織の改善が期待できる「再生医療」に関する情報を配信しております。
組織の再生・修復を目指せる治療法として近年注目されているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
肩関節亜脱臼の治し方|初期治療(受傷直後〜数日)
肩関節亜脱臼の初期治療では、患者さまの状態に応じて、安静・固定・冷却・整復を組み合わせて行います。
受傷直後から数日以内に行われる初期治療の3つのポイントについて解説します。
肩関節亜脱臼の受傷直後に取るべき行動の基準と医療機関での処置について見ていきましょう。
安静・固定
肩関節亜脱臼の初期対応として重要なのは、三角巾や専用の装具で肩関節を固定し、安静を保つことです。
亜脱臼した関節は周囲の靭帯や筋肉がダメージを受けており、不安定な状態に陥っています。
この状態で、痛みを我慢して肩や腕を動かし続けると、完全に脱臼したり、周囲の神経を傷つけたりする危険性が高まります。
近年では、従来の三角巾による「内旋位固定」よりも、再発率を下げる効果が期待できる「外旋位固定」を推奨するケースも増えてきています。
アイシング
受傷直後は、患部をアイシング(氷などで冷却)することで腫れや炎症の悪化を抑えることが大切です。
日本臨床整形外科学会では、スポーツ外傷において受傷後48時間以内は、痛みや腫れの状態を見ながら定期的にアイシングを行うことが推奨※されています。
※出典:日本臨床整形外科学会「アイシング」
亜脱臼直後は関節周囲の組織が損傷を受けて炎症反応が起こり、腫れや内出血、強い痛みが生じやすい状態のため、アイシングによって痛みの緩和が期待できます。
皮膚に直接氷を当てると凍傷のリスクがあるため、氷嚢や保冷剤をタオルで包み、1回15〜20分程度を目安に冷却しましょう。
徒手整復
外れかかった関節が自然に戻らない場合は、医師が手技で正しい位置へ戻す徒手整復を実施します。
亜脱臼は一時的に骨がズレても自然に戻るケースもありますが、関節が不完全な位置で引っかかることもあります。
そのような状態を放置すると激しい痛みが継続し、周囲の軟骨や靭帯へ深刻なダメージを蓄積させてしまいます。
自己判断で関節を戻そうとする行為は、神経や血管の損傷リスクがあり大変危険ですので、必ず整形外科で処置を受けましょう。
肩関節亜脱臼の治し方|固定期間終了後の治療
固定期間が終了した後は、関節の可動域回復と再脱臼予防のためのリハビリテーションと動作改善が治療の中心となります。
本章では、固定期間終了後に行う2つの治療アプローチについて解説します。
脱臼の再発を予防するためにも、それぞれの役割や内容を理解して治療に取り組みましょう。
リハビリテーション
固定期間終了後は、硬くなった関節の可動域を広げる訓練と、肩の安定性を高めるためのリハビリテーションを段階的に進めていきます。
長期間の固定によって関節周囲の筋肉や軟部組織は硬くなりやすく、可動域が制限された状態にあります。
そのため、まずは理学療法士の指導のもとで、無理のない範囲からストレッチを行い、肩関節の可動域を広げていきます。
痛みが引いてきたら、ゴムチューブなどを使ってインナーマッスルを鍛え、肩の安定性を高めるトレーニングへ移行します。
自己判断で急に動かすと再脱臼の危険があるため、必ず専門家と相談しながら段階的に進めていくことが重要です。
動作・姿勢改善
肩の再脱臼を予防するためには、肩関節に負担がかかる動作を避け、正しい姿勢を意識する習慣を身につけることが重要です。
猫背や巻き肩といった不良姿勢が常態化していると、肩甲骨の動きが悪くなり、関節へ過剰なストレスがかかりやすくなります。
また、スポーツにおける投球フォームや、重い物の持ち上げ方など、無意識の癖が再脱臼の引き金となるケースも少なくありません。
肩甲骨を正しい位置に保つための姿勢指導を受け、肩関節への負担を集中させない身体の動かし方を身につけましょう。
反復性肩関節脱臼には手術が検討されるケースもある
亜脱臼を繰り返すことで、完全に関節が外れる脱臼が癖になる「反復性肩関節脱臼」へ移行するケースもあります。
保存療法やリハビリを継続しても脱臼を繰り返す場合や、日常生活・スポーツ活動に支障をきたす場合には、手術療法が検討されることがあります。
近年では、「反復性肩関節脱臼」に対する手術法として、関節鏡を用いた「鏡視下バンカート法」が主流となっています。
脱臼時に剥がれた関節唇をアンカー(スクリュー)を用いて再固定し、肩の安定性を取り戻す術式です。
皮膚を大きく切開せず小さな穴から専用器具を挿入して行うため、従来の切開手術よりも身体への負担が少ないのが特徴です。
手術の判断は、年齢・活動量・損傷の程度を踏まえて、医師とよく相談しましょう。
肩関節亜脱臼を自分で治す方法はある?
結論として、肩関節亜脱臼を自分で治そうとする行為は危険であり、絶対に避けましょう。
外れた関節を無理に戻そうとすると、肩周囲に走っている重要な神経(腋窩神経など)や血管を損傷したり、腱板を新たに傷つけたりする危険があります。
亜脱臼は関節が不完全に外れた状態のため、無理に動かさず安静にしておくことで自然に元の位置に戻るケースもゼロではありません。
しかし、見た目や症状だけで判断するのは難しいため、強い痛みや動かしにくさがある場合は、医療機関を受診しましょう。
病院に行くべきケース
肩関節亜脱臼において、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 安静にしていても肩に激しい痛みがある
- 見た目で肩関節の変形がわかる
- 腕に力が入らない
- 腕や手にしびれ、感覚の鈍さがある
とくにしびれや麻痺の症状がある場合は神経を損傷している可能性があるため、できるだけ早く専門医の診察を受けることが重要です。
肩関節亜脱臼を放置するリスク
肩関節亜脱臼を放置すると、再発の繰り返しや慢性的な痛み、神経症状や関節変形といった深刻なリスクが生じる可能性があります。
本章では、放置することで生じる3つの代表的なリスクを解説します。
以下でそれぞれのリスクについて詳しく確認していきましょう。
反復性肩関節脱臼に移行する(癖になる)
肩関節亜脱臼を放置する大きなリスクとして、少し腕を動かしただけで脱臼を繰り返す「反復性肩関節脱臼」への移行リスクが挙げられます。
これは、関節を支える靭帯や軟骨が緩んだまま固まり、肩を元の位置に保つ本来の安定性を失ってしまうためです。
洗濯物を干す、上着を脱ぐといった日常的な動作でも亜脱臼が起こるようになり、生活の質が大きく低下する可能性があります。
最終的には手術が必要な状態まで悪化する可能性もあるため、初期段階での適切な治療を受けることが重要です。
慢性的な痛みや不快感が続く
適切な処置を受けずに放置すると、脱臼によって傷ついた組織が正常に修復されず、慢性的な痛みや不安定感が残ってしまうことがあります。
肩を動かすたびに関節が引っかかるような不快感が続き、日常動作やスポーツのパフォーマンスも著しく低下します。
また、痛みをかばう不自然な動作が習慣化すると、首や背中など別の部位に新たな不調を引き起こす原因にもなります。
長期的な不調を防ぐためにも、早期の段階で適切な治療を受けることが重要です。
神経症状や関節変形につながる可能性がある
不安定な関節を長期間使い続けると、周囲の神経を圧迫したり骨が変形したりする事態を招く可能性があります。
肩関節周囲には腋窩神経をはじめとする重要な神経があり、繰り返す亜脱臼によって損傷を受けると、腕や手のしびれ・筋力低下・感覚麻痺などの症状が現れることがあります。
さらに、50歳以上の方が肩関節を亜脱臼した場合は、腱板損傷・断裂を伴うリスクが高くなるといわれています。
神経症状や関節変形に至ると、元の健康な肩を取り戻すことが難しくなるため、初期段階で適切な治療を受けましょう。
肩関節亜脱臼の再発を防ぐためにも適切な治療を行おう
肩関節亜脱臼は、受傷直後の初期治療と、固定期間終了後のリハビリテーションを段階的に行うことが基本です。
初期治療では安静・固定・アイシング・徒手整復で再脱臼を予防し、その後はリハビリテーションと動作・姿勢改善で関節の安定性を取り戻していきましょう。
また、自分で関節の位置を直そうとしたり、放置したりすると神経や血管の損傷リスクがあるため、必ず整形外科を受診しましょう。
なお、亜脱臼によって靭帯や神経を痛めた場合、自己細胞を用いた「再生医療」をご検討ください。
再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて、損傷した組織の再生・修復を促す治療法です。
「自分の症状が対象になるか不安」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。
監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設
























