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貧血の点滴治療はどんな場合に受ける?期待できる効果や時間、費用について解説

貧血の点滴治療とは|期待できる効果や副作用は?料金や向いている人について解説
公開日: 2026.09.30

貧血の治療として点滴を検討していても、必ず点滴治療を受けられるわけではありません。

貧血の多くを占める鉄欠乏性貧血では、一般的に飲み薬(経口鉄剤)で鉄を補う治療が基本です。

鉄剤の点滴(静脈から鉄を補う治療)は、飲み薬での治療が難しい場合や適さない場合に限って使用するものとされています。

「鉄剤を飲むと胃がむかむかして、続けるのがつらい」「点滴なら飲み薬より早く良くなるのか知りたい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

点滴は鉄を効率よく補える治療ですが、副作用が起こる可能性もあり、貧血を引き起こしている原因そのものを解消する治療ではありません。

鉄剤を飲んでもなかなか改善しない背景には、胃潰瘍や痔などによる気づかない出血が隠れている場合もあるため、原因を確認したうえで治療を選ぶことが大切です。※
※出典:日本医師会「健康ぷらざ」

本記事では、貧血で点滴治療が検討されるケース・主な鉄剤の種類・期待できる効果と副作用・費用の目安について解説します。

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貧血の点滴治療は内服が難しい・十分な効果が得られない場合に検討する

貧血の点滴治療(静注注射用の鉄剤)は、鉄剤を飲むことが難しい場合や、飲み薬では鉄の補充が間に合わない場合などに検討される治療です。

鉄欠乏性貧血の治療は、飲み薬の鉄剤から始めるのが基本とされています。

点滴は血液に直接鉄を入れるため鉄のとりすぎにつながりやすく、肝臓や心臓などに鉄が沈着して臓器の働きに影響を及ぼすおそれがあるとされています。※
※出典:PMDA「フェインジェクト静注500mg 添付文書」、PMDA「モノヴァー静注500mg/モノヴァー静注1000mg 添付文書」

そのため、点滴は飲み薬より「強い治療」や「上位の治療」というわけではありません。

また、貧血には鉄が不足していないタイプもあるため、点滴を検討する前に、まずは血液検査で鉄欠乏性貧血かどうかを確認することが大切です。

点滴治療が検討される具体的なケースは、点滴治療が向いている人の特徴で解説しているので、あわせて参考にしてください。

貧血の点滴治療で使われる主な鉄剤2種類

現在、日本国内で貧血(鉄欠乏性貧血)の治療に使われる代表的な点滴製剤として、以下の2つがあります。

項目 フェインジェクト モノヴァー
成分名 カルボキシマルトース第二鉄 デルイソマルトース第二鉄
1回あたりの投与量 鉄として500mg 点滴は最大1,000mg(体重50kg未満は体重1kgあたり20mgまで)、静脈注射は最大500mg
投与の間隔 週1回 点滴は週1回、静脈注射は週2回まで
総投与量の上限 1,500mg(体重やヘモグロビン値により500〜1,500mg) 2,000mg(体重50kg未満は1,000mg)
投与時間 点滴は6分以上、静脈注射は5分以上 点滴は15分以上、静脈注射は2分以上
添付文書に記載の重大な副作用 重篤な過敏症(ショック・アナフィラキシーなど)、低リン血症・骨軟化症 重篤な過敏症(ショック・アナフィラキシーなど)

※出典:KEGG MEDICUS「フェインジェクト(添付文書情報)」、KEGG MEDICUS「モノヴァー(添付文書情報)」

※投与時間は薬剤自体の投与目安であり、実際には前後の問診や経過観察の時間が必要です。

どの鉄剤を使用するかや投与量は、ヘモグロビン値・体重・必要な鉄量・既往歴などを踏まえて医師が判断します。

フェインジェクト

フェインジェクトは、1回あたり鉄として500mgを週1回投与する鉄剤です。

ヘモグロビン値と体重に応じて総投与量(500〜1,500mg)が決まります。投与時間は点滴で6分以上と短時間で終わります。※
※出典:KEGG MEDICUS「フェインジェクト(添付文書情報)」

なお、投与によって血液中のリンが低下する「低リン血症」が現れる場合があるため、血液検査でリンの値を確認しながら治療が進められます。

使用できるかどうかは、医師が診察・検査結果をもとに判断します。

モノヴァー

モノヴァーは、1回の点滴で最大1,000mgの鉄を投与でき、少ない回数で必要な鉄を補充しやすい鉄剤です。

日本では2022年に承認された比較的新しい薬剤で、体重やヘモグロビン値によっては1回の点滴で治療が終わる場合もあります。点滴の場合は15分以上かけて投与します。※
※出典:KEGG MEDICUS「モノヴァー(添付文書情報)」

通院回数を抑えやすいため、何度も医療機関へ足を運ぶのが難しい方や、鉄の不足が大きい方の選択肢の一つです。

貧血の点滴治療で期待できる効果・副作用

貧血の点滴治療には、内服薬と比べて素早く鉄を補給できるという大きなメリットがあります。

一方で、点滴という投与方法ならではの副作用リスクも理解しておくことが大切です。

効果と副作用の両方を正しく知ることで、ご自身に合った治療の選択につながります。

短期間で必要な鉄を補充しやすい

点滴による鉄剤治療は、消化管からの吸収を介さず、短期間で必要量の鉄を補充しやすいのが特徴です。

特に以下のような状況では、点滴治療が有効とされています。

  • 内服薬を続けても症状が改善しない方
  • 胃や腸の手術後で内服薬の吸収が低下している方
  • 鉄の欠乏が大きく、早急な補充が必要な方
  • 胃腸への副作用(吐き気・便秘など)で内服薬を続けられない方

ただし、点滴治療はあくまで鉄を補充するものです。

貧血の根本的な原因(出血や栄養不足など)がある場合は、その原因への対処も同時に行うことが重要です。

頭痛や発熱などの副作用に注意する

点滴による鉄剤投与は効果が期待できる一方で、副作用が現れる場合があることも知っておく必要があります。

比較的多く報告される副作用として、以下のものが挙げられます。

  • 頭痛・頭重感
  • 発熱・体のほてり
  • 吐き気・嘔吐
  • 注射部位(点滴を入れた箇所)の痛みや赤み
  • 顔が赤くなる・かゆみ
  • 血圧の変動(低下することがある)

※副作用の種類や頻度は使用する製剤によって異なります

投与後に強い不快感・息苦しさ・じんましんなどの症状が現れた場合は、すぐに医師や看護師に伝えましょう。

貧血の点滴治療にかかる料金・保険適用

貧血の点滴治療の費用は、保険適用か自由診療(自費)かによって大きく異なります。

鉄欠乏性貧血に対する点滴治療は、条件を満たせば健康保険が適用されます。

医師が飲み薬での治療が困難、または不適当と判断した場合に保険適用となります。

保険適用の場合の費用の目安は以下のとおりです。

項目 費用の目安(3割負担の場合)
初診料・再診料 数百円〜数千円程度
血液検査 数百円〜2,000円程度
鉄剤点滴(1回) 1,000円〜5,000円程度

※あくまで目安であり、医療機関や投与量によって金額は異なります。

治療を受ける前に、保険適用の可否・投与回数の目安・総費用の見込みについて、必ず医療機関に確認しましょう。

貧血の点滴治療が向いている人・向いていない人の特徴

点滴治療は条件に当てはまる方にとって有用な治療ですが、すべての方に適しているわけではなく、適応があるかどうかを医師が判断する必要があります。

ご自身が点滴治療に向いているかどうかを事前に把握できるよう、以下の2つの観点から整理しました。

ただし、最終的な判断は必ず医師の診察・検査をもとに行われる点は理解しておきましょう。

点滴治療が向いている人の特徴

点滴による鉄剤治療は、内服薬で効果が得られない方や、早急に鉄を補う必要がある方に適しているとされています。

  • 内服の鉄剤を服用しても十分な効果が得られなかった方
  • 胃腸の手術を受けたことがあり、内服薬の吸収が低下している方
  • 炎症性腸疾患(腸の炎症が続く病気)などで内服薬が使いにくい方
  • 鉄の欠乏が重度で、早急な補充が必要と診断された方
  • 内服薬による吐き気・胃痛・便秘などの副作用がつらく、飲み続けられない方
  • 妊娠中で内服薬の効果が不十分な方(医師の指示のもと)

これらに当てはまる場合でも、最終的には血液検査の数値や全身の状態をもとに、医師が適応を判断します。

点滴治療が向いていない・注意が必要な人の特徴

以下の条件に該当する場合は、点滴治療を受けられない、または慎重な対応が必要になる場合があります。

  • 鉄剤に対してアレルギー反応を起こしたことがある方
  • 鉄過剰症(体内の鉄分が過剰な状態)と診断されている方
  • 感染症(細菌感染など)にかかっている方(鉄分が細菌の増殖を助ける可能性があるため)
  • 肝臓の機能が著しく低下している方
  • 妊娠初期(3カ月以内)の方(安全性の確認が必要)
  • 鉄欠乏性貧血以外の貧血(溶血性貧血や再生不良性貧血など)と診断されている方

点滴治療を始める前に、まずは医療機関で正確な診断を受けることが大切です。

点滴を受ける前に貧血の原因を確認することが重要

貧血の点滴治療は不足した鉄を補う治療であり、原因そのものを解消するわけではありません。

そのため、点滴を受ける前に原因を確認することが重要です。

鉄が失われ続ける原因が残ったままでは、点滴で一時的に数値が改善しても、再び鉄が不足して貧血をくり返すおそれがあります。

鉄欠乏性貧血の主な原因として、以下のようなものが挙げられます。

原因の分類 主な例
月経や婦人科の病気による出血 月経過多、子宮筋腫など
胃や腸からの出血 胃・十二指腸潰瘍、ポリープ、痔など
鉄の吸収の低下 胃の切除後、胃腸の病気など
鉄の必要量の増加 妊娠、授乳など
食事からの摂取不足 偏食、過度な食事制限など

※出典:日本医師会「健康ぷらざ」、愛知県薬剤師会「貧血(鉄欠乏性貧血)」

胃や腸からの出血は少量ずつ続くことも多く、本人が気づきにくい場合があります。

また、高齢の方では、ほかの病気が原因で起こる貧血が多く、貧血をきっかけに悪性腫瘍などの病気が見つかる場合もあるとされています。※
※出典:愛知県薬剤師会「貧血(鉄欠乏性貧血)」

点滴を受けて治療完了と考えるのではなく、原因に応じて婦人科や消化器内科などで検査・治療を受けることが、貧血をくり返さないためのポイントです。

点滴を希望する場合も、まずは医療機関で原因を含めて相談しましょう。

なお、貧血の原因が肝臓疾患の場合は、自己細胞を用いた「再生医療」を検討してみましょう。

再生医療は、患者さまの脂肪から採取した幹細胞や血液から抽出した血小板を用いて、損傷した組織の修復を促し、早期改善を目指す治療法です。

【こんな方は再生医療をご検討ください】

  • 肝臓の病気を指摘されていて、貧血との関係が気になる
  • 肝硬変などで治療中で、貧血も指摘されている
  • 肝臓の病気の治療を続けているが、数値の改善を感じにくい
  • 原因となる肝臓の病気に対して、ほかの治療の選択肢も知りたい

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貧血の点滴治療についてよくある質問

貧血の点滴治療についてよくある質問を2つご紹介します。

ご自身の状況に当てはまる疑問があれば、ぜひ参考にしてください。

貧血の点滴治療は何時間かかる?日帰りできる?

薬剤の投与時間は、使用する製剤の種類や投与量によって異なります。

点滴の場合、フェインジェクトは6分以上、モノヴァーは15分以上かけて投与します。

ただし、これは薬剤そのものを投与する時間です。

実際の受診では、診察・問診・血液検査・点滴の準備や投与後の経過確認などが必要になる場合があるため、医療機関に滞在する時間はこれより長くなることがあります。

多くの場合は外来で実施できますが、治療内容や患者さまの状態によって異なるため、事前に医療機関へ確認してください。

貧血治療における点滴と注射の違いは?

点滴と注射は、どちらも薬剤を直接体内に投与する方法ですが、投与の仕方と速さが異なります。

項目 点滴 静脈注射
投与方法 時間をかけてゆっくり投与する 短時間で投与する
時間 6分〜数時間(製剤により異なる) 数分程度
特徴 副作用が出にくいよう調整しやすい 短時間で完了できる

どちらの方法を用いるかは、製剤の種類や患者さまの状態をもとに医師が判断します。

貧血の点滴治療が必要かどうかは医師と相談して判断しよう

貧血の点滴治療は、内服薬では改善が難しい方や鉄の吸収に問題がある方にとって、短期間で必要な鉄を補充できる治療の選択肢です。

代表的な製剤はフェインジェクトとモノヴァーの2種類で、保険適用となる場合は1回数千円程度の負担で受けられます。(初診料や検査料などは別途かかります)

頭痛や発熱などの副作用が現れることもあるため、治療前に担当医に確認しておきましょう。

まずは医療機関を受診し、ご自身の貧血の原因を正確に診断してもらうことが大切です。

「内服薬でなかなか改善しない」とお悩みの方は、点滴治療という選択肢を医療機関で相談してみてください。

なお、貧血の背景に肝臓の疾患がある場合は、貧血だけではなく原因となっている疾患への対応についても検討しましょう。

\肝臓の病気に対する再生医療とは/

再生医療とは、患者さまの脂肪から採取した幹細胞や血液から抽出した血小板を用いて、損傷した組織の修復を促し、早期改善を目指す治療法です。

貧血そのものを治療するものではありませんが、貧血の背景に肝臓の病気がある方にとっては、原因となる病気に対する治療の選択肢の一つになります。

【こんな方は再生医療をご検討ください】

  • 脂肪肝・肝炎・肝硬変などの肝臓の病気を指摘されている
  • 肝臓の病気の治療を続けているが、数値や症状の改善を感じにくい
  • 肝臓の病気に加えて、貧血も指摘されている
  • 今の治療以外の選択肢も知っておきたい

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監修者

渡久地 政尚

Masanao Toguchi

医師

略歴

1991年3月琉球大学 医学部 卒業

1991年4月医師免許取得

1992年沖縄協同病院 研修医

2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務

2008年沖縄協同病院 内科 勤務

2012年老健施設 かりゆしの里 勤務

2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長

2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長

2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長