椎間板ヘルニアでつらい保育士さんへ|原因と対処法を徹底解説
公開日: 2019.11.25更新日: 2025.06.30
椎間板ヘルニアは、保育士さんが発症しやすい疾患のひとつです。
椎間板ヘルニアが悪化すると、仕事中だけでなく日常生活にも影響を与えます。
本記事では、保育士が椎間板ヘルニアを発症しやすい原因について解説します。
おすすめの予防法や、椎間板ヘルニアに有効な治療法についてもお伝えします。
目次
保育士の椎間板ヘルニアはなぜ多い?職業の特性と腰痛の原因
保育士が椎間板ヘルニアを発症する確率が高い理由は、主に2つあります。
保育士の椎間板ヘルニアの原因について、詳しく解説します。
抱っこ・おんぶ・中腰など腰に負担がかかる
保育士は、子どもを抱っこ・おんぶする、子どもの目線に合わせて中腰になるなど、腰に負荷をかける姿勢をとる機会が多いです。とくに、中腰は腰への負担が大きい姿勢です。
ほかにも、乳幼児のおむつ替えで中腰になる保育士も多いでしょう。
腰に負担がかかる動作を頻繁に行う保育士は、椎間板ヘルニアを発症するリスクが高まります。
抱っこやおんぶの機会を減らすことは難しいですが、正しい姿勢と動作で腰への負担は軽減可能です。
ストレスや疲労の蓄積も腰痛の一因に
腰への負担だけでなく、ストレスや疲労の蓄積も腰痛の原因になります。
保育士は少人数で数十人の子どもの世話をするため、身体的・精神的疲労が蓄積しやすい職業です。
疲労が蓄積しないよう、適度な休養を心掛けましょう。
ストレスの蓄積で身体に影響がある場合は、抗うつ剤や精神安定剤を処方されるケースがあります。
保育士におすすめの椎間板ヘルニアの予防法
保育士におすすめの椎間板ヘルニアの予防法を紹介します。
椎間板ヘルニアの予防法について、詳しく解説していきます。
姿勢を改善する
パソコンでの作業をする機会も多い保育士ですが、その際に猫背にならないよう注意してください。
首が前に出る姿勢(クレーンネック)は椎間板ヘルニアや頚椎症の原因になります。また、姿勢が悪いとストレートネックになる可能性も高くなります。
首の曲がる角度に比例して頸椎にかかる負荷が増えていくので、背筋を伸ばして作業しましょう。
- ディスプレイと目の距離は40cm以上離す
- ディスプレイの位置は目線が水平よりやや下
- ディスプレイに表示する文字のサイズは3mm以上が望ましい
- 足の裏全体が床につくようにする
- 肘の角度が90度以上になる場所にキーボードを置く
- 椅子に深く座って背もたれに背中をしっかり当てる
ディスプレイの位置が目線よりかなり下になってしまうケースがありますが、高さは水平より少し低い位置が望ましいです。
パソコンの長時間の利用は避けてください。パソコンを長時間使う場合は、ときどき肩や首のストレッチを行うと固まった筋肉がほぐれます。
反り腰や仙骨座りも腰に大きな負担がかかります。椅子に深く座り、背もたれにしっかり背中をつけて座りましょう。
子どもを抱き上げる・重い物を持つときの体の使い方を見直す
子どもを抱き上げる・重い物を持ち上げる際の体の使い方を見直し、椎間板ヘルニアを予防しましょう。
1.まっすぐに立ち、準備姿勢を作る
2.体のバランスを保ち重心を移動させる
3.下半身・お腹の力で持ち上げる
重い物を持ち上げるときは、はじめに両足を腰幅に開いてお腹に力を入れて構えます。背筋を伸ばしてゆっくりと重心を下げてください。
バランスをとりながらしゃがみ、荷物はできるだけ体の近くで持つことが大切です。荷物が体に近いと姿勢が安定しやすく、腰への負担も軽減されます。
荷物を持ち上げるときは、両足でしっかり立ち、下半身とお腹の力を使って立ち上がりましょう。
腰だけで持ち上げようとせず、お腹や下半身にしっかり力を入れて背筋を伸ばしたまま重心を持ち上げます。
急いで持ち上げると腰骨が反れたり、バランスを崩す原因となるので、ゆっくり立ち上がってください。
筋肉を鍛える
運動不足になると、腰の筋肉が衰えて椎間板への負担が大きくなります。
筋力トレーニングは、腰痛改善だけでなく予防にも効果的です。腰に負担がかからないトレーニングを紹介するので、ぜひ実践してください。
ドローイン |
|
プランク |
|
バードドッグ |
|
体幹を安定させる筋力トレーニングは、腰への負担が少ないため、椎間板ヘルニアのリハビリとしても行えます。
最初はあまり負担をかけないように短時間で行い、体調に応じて段階的に運動時間を延長していきましょう。
ヒップリフト |
|
レッグプレス |
|
ウォールシット |
|
腰への負担が小さい下半身の鍛えられるトレーニングです。
フォームが崩れると腰に負担がかかる可能性があるため、正しいフォームを意識してトレーニングしましょう。
ただし、これらのトレーニングで腰の痛みが増す場合は、すぐに中止して医師に相談してください。負荷をかけすぎると逆効果になるため、無理のない範囲で行うことが大切です。
椎間板ヘルニアに悩む保育士に有効な治療法
椎間板ヘルニアの治療法は、主に3つあります。
- 保存療法
- 手術療法
- 再生医療
保存療法では、ストレッチや筋力トレーニングなどの理学療法、鎮痛剤や筋弛緩剤などを利用した薬物療法などがあります。
また、姿勢や動作の改善、体重管理を行い、椎間板ヘルニアの再発を予防します。
保存療法で症状の改善が見られない場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、手術療法が検討されます。
椎間板ヘルニアの手術は、背中を切開してヘルニアを摘出する方法や、薬剤を椎間板内に注入する方法などがあります。
手術を避けたい方は、再生医療という治療法もご検討ください。再生医療は患者さまご自身の幹細胞や血液を使うため、拒否反応のリスクが低い治療法です。
入院が不要なため、仕事への早期復帰が望めます。
腰の痛みは手術しなくても治療できる時代です。
【まとめ】保育士の椎間板ヘルニアは適切な治療と予防で退職を回避しよう
中腰やしゃがむ動作の多い保育士は、椎間板ヘルニアを発症しやすい職業のひとつです。
椎間板ヘルニアが悪化すると保育士の仕事に大きな影響を与えます。
日頃から腰の負担を減らす方法や筋力トレーニングを取り入れ、予防に努めることが重要です。
子どもを抱っこする際や重い物を持ち上げるときの体の使い方や、パソコン作業時の姿勢を改善しましょう。
もし椎間板ヘルニアと診断された場合でも、適切な治療を受けることで保育士を続けられる可能性は十分にあります。
保存療法の効果が感じられない方や手術に抵抗がある方には、再生医療という選択肢もあります。
再生医療について詳細は、当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設