肩腱板断裂の痛みを和らげる方法は?ストレッチ方法や治療法について詳しく解説
公開日: 2019.10.02更新日: 2025.04.30
肩腱板断裂により、腕を上げるときや寝るときの痛みを和らげる方法を知りたいという方もいるかと思います。
ストレッチ方法や断裂の度合いに応じた治療法など、痛みを和らげる方法はいくつかありますが、間違った方法では症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
この記事では、肩腱板断裂の原因や症状、日常生活において痛みを和らげる方法を紹介していきます。
目次
肩腱板断裂とは?主な原因
肩腱板断裂は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱板が損傷または断裂することです。
肩腱板断裂の原因は、主に以下の2つに分類されます。
- 急性断裂:転倒時の手つきや肩の強打などの外傷により発生
- 変性断裂:加齢による腱の変性や、繰り返しの使用による腱の摩耗が原因
また、主な症状として、以下が挙げられます。
- 肩の挙上時の痛み
- 夜間痛
- 腕の挙上制限
- 筋力低下
症状に対しては、安静やリハビリなどの保存療法を行いますが、改善が見られない場合は手術となる場合があります。
急性断裂
急性断裂とは、転倒や肩への強打のほか、重い荷物を持ち上げるなど、瞬間的に肩への負荷がかかったときに起こる腱板断裂です。
野球やテニスなどスポーツ、肩の脱臼などの外傷により併発して腱板が断裂することもあります。
安静にしていると痛みが和らぎますが、完全に断裂してしまった場合は手術が必要になる場合があります。
変性断裂
変性断裂は、老化によって腱板の血流が減少して起こる栄養障害や、腱板のすり減りなどにより、腱板が断裂することです。
洗濯物や布団の上げ下ろしなど、日常生活の動作においても変性断裂の原因となる可能性があります。
また老化により肩峰の棘が大きくなることで腕を上げた際に骨棘と腱板が衝突することで腱板が断裂することもあります。
肩腱板断裂の痛みを和らげる方法5選
肩腱板断裂の痛みを和らげるために自宅でも出来る対処法は以下の5つです。
これらの方法を試すことで、肩腱板断裂による痛みを和らげることが出来ますが、痛みが強くなったり長引く場合は医療機関を受診してください。
肩周辺のストレッチ
肩周辺のストレッチは、痛くない程度に行うことで痛みの軽減が期待できます。
壁に手をついて体を少しずつ前に傾けるストレッチや、四つん這いになり両手をまっすぐ伸ばして胸を出来るだけ床に近づけるストレッチが効果的です。
ただし、間違ったストレッチを行った場合、状態を悪化させる可能性もあるため、医師や専門家の指導のもとで行う必要があります。
鎮痛剤の服用や塗布
肩腱板断裂の痛みを和らげるには鎮痛剤の服用や塗布も効果的です。
ロキソニンなど、非ステロイド性消炎鎮痛剤は発症直後や眠れないほどの痛みを伴う場合に内服します。
湿布は温湿布と冷湿布があり、それぞれ用途に応じて使い分ける必要があります。
アイシングやウォーミング
アイシングやウォーミングは発症時期や痛みの度合い、症状によって変えることで痛みの軽減が期待できます。
発症直後は炎症を抑えるため、氷のうやアイスパックなどでアイシングを行いますが、冷やしすぎると凍傷につながる可能性があるため注意が必要です。
炎症が落ち着いた後はホットパックや入浴などで患部を温め、血行を促進することで痛みの緩和が期待できます。
寝る姿勢を改善する
寝る姿勢を工夫して改善することにより、腱板のある肩関節への負担を軽減することで痛みを和らげることが可能です。
具体的には肩と肘の高さが同じになるように肩甲骨と腰にタオルやクッションを置くことや、クッションを腕で抱えるように持つことで、安定性を保つことができます。
日常生活での肩の負担を減らす
日常生活では、重いものを持ち上げる、下げる動作や、正しい姿勢での生活を意識することで肩への負担が軽減できます。
また、デスクワークなど長時間同じ姿勢でいることも、肩周りの筋肉が硬くなり、肩への負担が大きくなる可能性があります。
こまめな休憩と、適度な運動を行うことで、肩への負担を減らすことができます。
肩腱板断裂はどのくらいで治る?
肩腱板断裂は軽度の場合、断裂の程度や年齢、症状など個人差がありますが、数ヶ月〜半年程度です。
重度の肩腱板断裂や、保存療法による治療で症状の改善が見られない場合、手術を行う可能性もあり、半年〜1年程度かかります。
手術をした場合は、安静を保つ必要があるため、回復するまでさらに期間を要する場合があります。
肩腱板断裂を治療する方法
肩腱板断裂を治療する方法として、湿布や鎮痛剤などによる保存療法、重度の症状や痛みが改善しない場合に行う手術療法、幹細胞やPRP療法による再生医療があります。
それぞれの治療法について見ていきましょう。
保存療法
肩腱板の保存療法では、ヒアルロン酸やステロイドなどの注射療法や投薬、リハビリテーションなどの運動療法を行うことで、痛みを和らげる効果が期待できます。
肩腱板への負担を減らすことや、腱板の動きを改善させることが目的とされています。
保存療法を行うことで痛みが軽減され、日常生活に支障が出なくなる期間は患者さまによって異なりますが、数か月から半年程度の期間が必要です。
手術療法
保存療法で痛みや肩腱板の働きに改善が見られない場合、手術療法を行います。
手術療法には、関節鏡視下腱板修復術、直視下腱板修復術、そして修復できないほどの断裂に対して行われる人工肩関節置換術があります。
それぞれ以下の特徴があります。
- 小さな切開で体への負担が少ない
- アンカーという系のついたネジを挿入し腱板を修復
- 術後の痛みが少なく、回復が早い
- 患部を直接切開して行う従来の手術法
- 断裂が大きく関節鏡では困難な場合に選択される場合がある
- より広い視野で肩腱板の修復が可能
- 修復できない状態の場合に人工肩関節置換術が適用される
- 肩腱板断裂に対してはリバース型と呼ばれる特殊な人工肩関節を使用
いずれの手術でも、術後3~6ヶ月程度の計画的なリハビリテーションが必要です。
人工肩関節置換術では、修復が難しい場合や、断裂が繰り返される場合に行われます。
再生医療
再生医療には代表的な治療法として、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)治療があります。
幹細胞治療では脂肪から採取・培養した幹細胞を、PRP治療は血液から血小板を濃縮して精製した液体をそれぞれ損傷部位に注入します。
いずれの治療も、体への負担が少ない治療法です。
当院「リペアセルクリニック」では、腱や靭帯に対する治療法として、再生医療を提供しています。
興味がある方は、無料のメール相談やオンラインカウンセリングを承っておりますので、お気軽にご相談ください。
肩の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
【まとめ】肩腱板断裂の痛みを和らげるには再生医療による治療をご検討ください
肩腱板断裂の痛みを和らげる方法として、適切な肩周辺のストレッチやアイシング、日常生活での肩への負担軽減などが挙げられます。
適切な治療を行うことで痛みを緩和できる一方、保存療法では完全に回復するのは難しく、再発する恐れも考えられます。
近年では、手術を行わない治療法として再生医療という選択肢も挙げられます。
再生医療について詳しい情報をご希望の方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設