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肩が痛い!医師が詳しく解説

公開日: 2025.02.11
更新日: 2025.03.01

肩の痛み、我慢していませんか?

朝、髪を梳かす、洋服を着替えるといった何気ない動作でさえ、激痛が走る。夜も痛みのあまり眠れない…。

日本では、四十肩・五十肩を含む肩関節周囲炎だけで推定700万人が悩まされているというデータも。

さらに、腱板損傷や神経の圧迫など、肩の痛みの原因は多岐に渡ります。

この記事では、肩の痛みの代表的な4つの原因と、それぞれの症状、さらに保存療法・手術療法・在宅ケアといった様々な治療法のメリット・デメリットを詳しく解説します。

肩の痛みを根本から理解し、適切な対処法を見つけるための、決定版と言えるでしょう。

肩の痛みの原因4選とそれぞれの症状

肩の痛み。それは、日常生活の些細な動作さえも困難にする、悩ましい症状です。

朝、髪を梳かす時、洋服を着替える時、高い所の物を取ろうとする時など、痛みが走るたびに憂鬱な気分になりますよね。

肩の痛みは、その原因によって症状や痛みの種類も様々です。

今回は、肩の痛みの代表的な原因を4つご紹介し、それぞれの症状について、より詳しく、そして具体的に解説していきます。

五十肩/四十肩(肩関節周囲炎)

五十肩/四十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節を包む組織に炎症が起こることで、痛みや動かしにくさが現れる病気です。

40~60歳代に多く発症し、特に女性に多い傾向があります。

まるで肩関節が錆びついたように、スムーズに動かなくなるのが特徴です。

原因ははっきりとは解明されていませんが、加齢による肩関節の老化現象や、糖尿病などの基礎疾患が影響していると考えられています。

五十肩/四十肩は、炎症期、拘縮期、回復期の3つの時期に分けられます。

最初の炎症期には、肩に鋭い痛みが走り、夜も眠れないほどの激痛に襲われることがあります。

まるで肩の中に棘が刺さっているような感覚で、少し動かしただけでもズキズキと痛みます。安静時にも痛みがあり、特に夜間は痛みが強くなる傾向があります。

次の拘縮期には、痛みはやや落ち着いてきますが、肩関節が硬くなり、腕を上げにくくなります。

例えば、洗濯物を干す、背中に手を回すといった動作が困難になります。

最後の回復期には、徐々に痛みと動かしにくさが改善していきます。日

常生活動作も少しずつ楽になり、再び活動的に過ごせるようになります。

多くの場合、1年から4年程度で自然に治癒していきますが、中には回復に時間がかかるケースもあります。

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腱板損傷

腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋肉の腱の集合体です。

この腱板が切れたり、傷ついたりした状態が腱板損傷です。スポーツや転倒など、急激な外力で起こります。

加齢変化の場合は、日常生活動作で徐々に損傷が進行していくこともあります。

腱板損傷の症状は、肩の痛み、腕を上げにくい、力が入らないなど、五十肩/四十肩と似ています。

そのため、鑑別が難しいケースもあります。大きな違いは、腱板が損傷しているため、損傷した腱に対応する筋肉の筋力低下が起こることです。

例えば棘上筋が損傷すると、腕を外側に持ち上げる力が弱くなります

また、寝ていて痛みが出ることもあります。痛みは、断裂した腱の種類や損傷の程度によって異なり、全く症状がない場合もあります。

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアは、首の骨と骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで、肩や腕に痛みやしびれが生じる病気です。

単に肩の痛みだけでなく、首の痛み、腕のしびれ、手の動かしにくさなど、様々な症状が現れることがあります。肩が痛い!医師が詳しく解説

首の神経は、肩や腕、手につながっているため、神経が圧迫されると、その支配領域に沿って症状が現れます。

これは、まるで電気が流れるように、首から肩、腕、手へと痛みが広がっていくような感覚です。

加齢や姿勢の悪さ、外傷などが原因で発症し、肩の痛みのみを訴える場合もあり、見過ごされることもあります。他の肩関節疾患との鑑別が重要となります。

医学論文においても、頚椎根症は頸椎から出ている神経根の炎症や圧迫によって引き起こされ、患部の神経根が支配する領域に運動障害や感覚障害を伴う痛みを生じることが報告されています(Corey DL and Comeau D. Cervical radiculopathy. 2014)。

胸郭出口症候群

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胸郭出口症候群は、首から腕、手へと伸びる神経や血管が、胸郭出口と呼ばれる狭い部分で圧迫されることで、肩や腕、手に痛みやしびれ、冷感などが現れる病気です

なで肩の女性に多くみられます

鎖骨や肋骨の異常、筋肉の緊張、姿勢の悪さなど、様々な原因が考えられます。

症状は多様で、他の病気と間違えやすいのが特徴です。

肩や腕の痛み、しびれ、だるさ、冷感など、様々な症状が現れ、重症になると手の握力が弱まったり、細かい作業がしにくくなったりすることもあります。

神経や血管の圧迫される部位や程度によって症状が変化するため、診断が難しい場合もあります。

肩の痛みの治療法3選とそれぞれのメリット・デメリット

肩の痛み。それは、日常生活の些細な動作さえも困難にする、悩ましい症状です。

朝、髪を梳かす時、洋服を着替える時、高い所の物を取ろうとする時など、痛みが走るたびに憂鬱な気分になりますよね。

痛みの原因、症状の重さ、そして患者さん自身のライフスタイルや価値観に合わせた最適な治療法を選択することが重要です。

ここでは、肩の痛みに対す

る主な治療法を3つご紹介します。これらの情報を参考に、ご自身の状況に合った治療法を見つけるための一助としてください。

保存療法(薬物療法、リハビリテーションなど)

身体への負担が少ないため、多くの場合、最初の治療として選択されます。

保存療法には、薬物療法とリハビリテーションがあります。

薬物療法 例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症や痛みを引き起こす物質の生成を抑えることで効果を発揮します。

SAIDsは、内服薬だけでなく、湿布薬や塗り薬などの外用薬もあります。

痛みが強い場合には、ステロイド注射を行うこともあります。

ステロイドは強力な抗炎症作用を持つ薬であり、炎症を起こしている関節に直接注射することで、速やかに痛みを軽減できます。

リハビリテーション 具体的には、ストレッチ、筋力トレーニング、温熱療法などがあります。

保存療法のメリットは、侵襲的な治療ではないため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。

しかし、効果が現れるまでに時間がかかる場合や、重度の症状に対しては効果が不十分な場合もあります。

特に、腱板断裂などの構造的な異常がある場合には、保存療法だけでは十分な効果が得られない可能性があります。

ただ、経験上、肩腱板損傷の手術の成績はあまりよくありません。

日常生活ができるなら、整形外科医として、手術はあまりお勧めしていません、

しかし、昨今、再生医療という新しい治療法が出てきました。幹細胞による肩腱板損傷の再生です。

ただ注意点として、元気な幹細胞でないと、うまく治療はできません。医療機関によって幹細胞の培養方法は全く違うのです。

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手術療法(関節鏡手術など)

近年では、関節鏡手術という低侵襲な手術が広く行われています。

関節鏡手術は、小さな切開部からカメラと特殊な器具を挿入し、関節内部の状態を直接確認しながら行う手術です。

従来の手術に比べて傷口が小さくても可能です。

手術療法のメリットは、保存療法では改善が見られない症状に対しても効果が期待できることです。

特に、腱板断裂のように構造的な異常が原因となっている場合には、手術によって根本的な原因を取り除くことができます。

しかし、手術にはどうしても身体への負担や費用、感染症などの合併症のリスクが伴います。

よく見られる合併症は、拘縮です。あとは痛みが改善しないこともあります。

手術療法を選択する際には、医師とよく相談し、メリットとデメリットを十分に理解した上で判断することが重要です。

文献においても、肩の痛みの治療は多くの場合、疼痛コントロールと運動療法に基づいており、手術は限定的に行われるとされています。

在宅ケア(ストレッチ、温罨法など)

在宅ケアとは、痛みが軽度の場合や、手術後のリハビリテーションとして行われます。

代表的な方法として、ストレッチや温罨法などがあります。

ストレッチは、肩関節の柔軟性を高め、筋肉の緊張を和らげる効果があります。

温罨法は、患部を温めることで血行を促進し、痛みを和らげる効果があります

。温罨法には、蒸しタオルや温湿布、入浴などが有効です。

在宅ケアのメリットは、手軽に行えることと、費用がかからないことです。

自宅でできるため、通院の負担もありません。しかし、効果は限定的であり、症状によっては悪化させる可能性もあります。

肩の痛みを予防するための生活習慣改善3選

適度な運動

運動不足は、肩周りの筋肉を弱らせ、関節の柔軟性を低下させ、症状を強くします。

例えば、デスクワーク中心の生活を送っていると、肩甲骨周囲の筋肉が硬くなり、血行不良に陥りやすくなります。

このような状態が続くと、肩関節の動きが悪くなり、痛みが発生しやすくなるのです。

適度な運動は、肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、肩への負担を軽減し、痛みを予防する効果が期待できます。

具体的には、ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガ、ピラティスなどの運動が効果的です。

正しい姿勢

猫背や前かがみの姿勢は、肩甲骨の位置を変化させ、肩関節への負担を増大させます。

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、無意識のうちに猫背になりやすく負担がかかります。

正しい姿勢を保つことは、肩への負担を軽減し、痛みを予防する上で非常に重要です。

具体的には、立っているときは背筋を伸ばし、あごを引いて、お腹に力を入れるように意識しましょう。

座っているときは、深く椅子に座り、背もたれに寄りかかるようにしましょう。

また、パソコン作業時には、画面を目の高さに合わせ、キーボードとマウスは体に近い位置に置くように心がけてください。

バランスの取れた食事

栄養バランスの取れた食事は、健康な体を維持するために不可欠です。

肩の痛みにおいても、栄養状態は重要な役割を果たします。

例えば、タンパク質は筋肉の構成成分であり、肩周りの筋肉を強化するために必要不可欠な栄養素です。

カルシウムは骨を強くし、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。

これらの栄養素が不足すると、骨や筋肉が弱くなり、肩の痛みを引き起こしやすくなります。

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手術しない新しい治療 肩関節の再生医療

参考文献

  1. Corey DL, Comeau D. “Cervical radiculopathy.” The Medical clinics of North America 98, no. 4 (2014): 791-9, xii.
  2. Greenberg DL. “Evaluation and treatment of shoulder pain.” The Medical clinics of North America 98, no. 3 (2014): 487-504.
  3. Crookes T, Wall C, Byrnes J, Johnson T, Gill D. “Chronic shoulder pain.” Australian journal of general practice 52, no. 11 (2023): 753-758.
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