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「脳梗塞を発症後、寝てばかりになってしまった」 「脳梗塞の後遺症で眠くなる原因は?」 「脳梗塞後に寝てばかりになる症状は改善できる?」 上記のように脳梗塞の後遺症でお悩みの方もいるでしょう。 本記事では、脳梗塞の後遺症で眠くなる理由や睡眠の重要性について解説します。 【この記事を読むとわかること】 脳梗塞の後遺症で眠くなる理由 脳梗塞と睡眠の関係性 脳梗塞の後遺症回復におすすめな治療法 脳梗塞の後遺症の治療として注目されている再生医療についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞の後遺症で眠くなるのはなぜ? 脳梗塞の後遺症で眠くなる理由を下記にまとめました。 【脳梗塞の後遺症で眠くなる原因】 脳内の酸素が不足している 夜間の睡眠が不十分 脳梗塞の治療に使用される薬の副作用 脳梗塞は脳の血管が詰まったり細くなったりして血流が途絶えた結果、酸素やエネルギーの不足した細胞が壊死する病気です。 脳梗塞を発症した脳は酸欠状態に陥りがちです。脳の酸素量と眠気は密接な関係があり、酸素が不足すると眠気を感じる場合があります。 また、処方されている薬が原因で眠気を感じている可能性があります。副作用に眠気がある薬を服用している場合は医師に相談してみましょう。 脳梗塞と睡眠の関係性 脳梗塞と睡眠の関係は、主に以下の2つが挙げられます。 【脳梗塞と睡眠の関係】 睡眠障害・不眠症が脳梗塞の発症リスクになる 脳梗塞の回復には睡眠が重要 一つずつみていきましょう。 睡眠障害・不眠症が脳梗塞の発症リスクになる 睡眠障害や不眠症は、脳梗塞を発症する原因の一つです。 充分に睡眠がとれていないと、体の中の炎症反応が起きやすくなったり、自律神経のバランスが乱れたりすると考えられているためです。 たとえば、睡眠時無呼吸症候群の方は健康な方に比べて脳梗塞になる確率が4倍です。 ※引用:循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン また、夜間の睡眠が5時間以下の方は7~8時間睡眠の方よりも脳梗塞のリスクが上昇します。 脳梗塞になりやすい睡眠障害を下記にまとめました。 【脳梗塞になりやすい睡眠障害】 5時間以下の睡眠 9時間以上の睡眠 睡眠時無呼吸症候群 入眠困難 いびき 睡眠の質の改善は、脳梗塞の予防につながります。 脳梗塞の回復には睡眠が重要 脳梗塞の回復には、良質な睡眠が不可欠です。 脳梗塞後の機能回復が見込める回復期に「良質な睡眠」をとることで神経の可塑性(新しい神経回路が作られる)に良い影響を与える可能性があるためです。 回復期とは、脳梗塞発症後の3カ月~6カ月ごろを指し、リハビリでは主に食事や車いすへの移動などの日常生活の動作を練習します。 睡眠時は浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を繰り返していています。睡眠不足や途中で目が覚めてしまったりすると新たな神経回路をつくる妨げとなる場合があります。 睡眠に不安を抱えている方は医師に相談してみましょう。 不眠・睡眠不足が脳に与える影響とは 不眠や睡眠不足は脳にダメージを与え、以下のような影響を及ぼす可能性があります。 【不眠・睡眠不足が脳に与える影響】 前頭葉の活動が低下する 脳の修復・再生機能が低下する 一つずつ紹介します。 前頭葉の活動が低下する 不眠や睡眠不足は「思考力」「判断力」「集中力」を司る前頭葉の活動の低下を引き起こす場合があります。 前頭葉の活動が低下した場合に考えられることを下記にまとめました。 【前頭葉の活動が低下した場合に考えられること】 頭がぼんやりして考えられない 集中力が持続しない 新しいことを覚えられない 同じ事ばかり話す 抑うつやイライラ 不眠や睡眠不足は、人格や社会性に深く影響します。 脳の修復・再生機能が低下する 不眠や睡眠不足が脳の修復・再生機能を妨げる点も注目したいポイントです。 脳の修復・再生機能が低下することで、脳の重要な部位である前頭葉や海馬などが委縮する可能性があります。 起きているときの脳はエネルギーを消費する一方で、神経細胞から老廃物が排出されます。睡眠中の脳は浅い眠りの間に老廃物を取り除き、深い眠りの際に大脳を休めています。 ※引用:レム睡眠中におこる大脳毛細血管の血流の上昇と、A2a受容体の関与 脳の機能が低下すると集中力や免疫力が低下したり、アルツハイマー病などの認知症のリスクを高めたりします。 睡眠の質を向上させる方法 脳梗塞後の眠気の解消や効率よくリハビリを受けるためには、良質な睡眠が重要です。睡眠の質を向上する方法を3つご紹介します。 【睡眠の質を向上する方法】 生活サイクルを整える 就寝3時間前までに夕食をとる 自分に合った寝具を選ぶ 順番にみていきましょう。 生活サイクルを整える 良質な睡眠のために、生活サイクルを整えましょう。生活サイクルを整えるには運動や入浴などの習慣や、体内時計の調節が有効です。 具体的な生活サイクルの整え方を以下にまとめました。 【生活サイクルの整え方】 朝に太陽の光を浴びる 寝る前にパソコンやスマートフォンを長時間見ない ウォーキングやジョギングなどの適度な運動を行う 寝る2~3時間前に入浴する 人間の体内時計は24時間よりも長いので、調節しないと睡眠のタイミングがずれ込んでしまいます。光は体内時計を整える効果があるので朝は太陽の光を浴び、夜間は照明やスマートフォンの使用を控えるのがおすすめです。 就寝3時間前までに夕食をとる 睡眠の質を向上するには、就寝3時間前までに夕食をとりましょう。食事から就寝までの時間が短いと胃が消化活動のため働き続け、脳が興奮してしまいます。 そのため、就寝の際に以下のような影響を及ぼします。 【食事から就寝までの時間が短い場合に起こりうること】 寝つきが悪くなる 睡眠が浅くなる 食べたものが消化しきれず胃もたれをおこす 良い睡眠のためには、寝る2~3時間前に済ませましょう。また、ラーメンや揚げ物などの消化に時間がかかる脂っこい食事は避け、魚や豆腐、たまごなどの良質なたんぱく質を選ぶのもおすすめです。 自分に合った寝具を選ぶ 睡眠の質を向上するには、寝具を見直すのも一つの手です。 起床時に枕から落ちていたり、肩や首がこってたりする方は、枕が合っていない可能性があります。自分の肩幅ほどの幅で、適切な高さの枕を探してみましょう。横向きに寝る方は、高めの枕を選ぶと良いでしょう。 また、マットレスを選ぶ際は実際に横になって力を入れずに寝返りができるか、仰向けで呼吸がしやすいかチェックしてみましょう。 好みの寝具が自分に合っていると限らない点は注意が必要です。体格やマヒの具合にもよるので医師やリハビリ担当スタッフに相談してみましょう。 脳梗塞の後遺症の回復には再生医療による治療がおすすめ 脳梗塞後の後遺症による眠気にお悩みの方は、再生医療による治療も視野に入れてみましょう。 再生医療の治療では一例として、自身の下腹部から採取した細胞から幹細胞を培養して数を増やしてから患部へ点滴を行います。幹細胞は、血管や脳の神経細胞を再生させる効果が期待できます。 当院では再生医療を取り扱っていて脳梗塞の後遺症を改善、予防する治療が可能です。 効果には個人差がありますが脳梗塞の後遺症を根本的に治療したい方は、ぜひ当院にご相談ください。 脳梗塞の後遺症に関するよくある質問 脳梗塞の後遺症にお悩みの方へ、眠気やあくびの原因や疲れやすさについて解説します。 【脳梗塞の後遺症に関するよくある質問】 脳梗塞後の眠気やあくびの原因は? 脳梗塞後に疲れやすいのはなぜ? 脳梗塞後の眠気やあくびの原因は? 脳梗塞後の眠気やあくびの原因として、脳内の酸素不足や血流の低下が考えられます。 脳梗塞後は、健康時よりも脳内の血流が少なくなり脳に届く酸素が不足しやすくなるので、酸素を多く取り込もうとあくびが増えることがあります。 また、脳梗塞の後遺症として、夜間に眠れなくなってしまう「不眠症」や睡眠のリズムが乱れて眠りが浅くなる「覚醒障害」の可能性も。 脳梗塞後の眠気やあくびに悩んでいる方は、医療機関に相談しましょう。 脳梗塞後に疲れやすいのはなぜ? 脳梗塞後に疲れやすい原因は、以下の通りです。 【脳梗塞後に疲れやすい原因】 入院生活による体力低下 眠りが浅い 脳梗塞によって損傷した部位から発せられる炎症ホルモン 後遺症による不安やストレス 疲れやすさを改善するには睡眠や生活習慣を整え、リハビリを受けるのが有効です。 【まとめ】脳梗塞の後遺症を回復するために睡眠の質が重要 脳梗塞の後遺症と睡眠は密接な関係にあり、回復には睡眠の質の向上が重要です。 不眠や睡眠不足だと脳の機能が低下し、修復や再生が難しくなってしまいます。生活サイクルや食事、寝具を見直し睡眠の質を高めましょう。 また、脳梗塞後の後遺症にお悩みの方は、再生医療による治療も有効です。後遺症の治療や予防をしたい方はお気軽にご相談ください。
2025.01.09 -
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「脳梗塞退院後の生活が不安」 「退院後に注意すべきことは?」 「退院後の支援制度やお金のことを知りたい」 脳梗塞を発症するとさまざまな後遺症がみられる場合があるので、退院後の生活について上記のような不安を抱えている患者さまやご家族は多いのではないでしょうか。 この記事では、脳梗塞退院後の注意点やリハビリの内容、支援制度について解説します。 注意すべきことや必要な手続きを把握して、安心して退院後の生活をはじめられるようにしましょう。 脳梗塞退院後の生活で注意すべきこと 脳梗塞退院後の生活で注意すべきことを、以下4つで解説します。 脳梗塞は再発しやすい病気で、発症10年後の再発率は49.7%※とされており、つまり脳梗塞発症後10年の間に半数の方が脳梗塞を再発しています。 ※引用:日本人における脳卒中の10年間の累積再発率 特に食事やお酒・たばこについて心当たりがある方は、生活習慣の見直しが重要です。 一つずつみていきましょう。 食事内容の見直し 脳梗塞退院後の生活では、食事内容の見直しが重要です。 脳梗塞の主な原因は動脈硬化です。動脈硬化は血管の内部にコレステロールなどがたまって血流が悪くなる症状を指し、高血圧や糖尿病などにより引き起こされます。 そのため、高血圧や糖尿病を避ける食事を摂ることは、脳梗塞の再発リスクの低減と同様の効果があります。 脳梗塞の再発を防ぐ具体的な食事内容の例を下記にまとめました。 基礎疾患や症状によって異なるので、適切な摂取量は医師に相談してみましょう。 お酒とたばこは控える 脳梗塞退院後は、お酒とたばこを控えましょう。 お酒とたばこによる脳梗塞のリスクを下記にまとめました。 お酒は利尿作用があり、脱水状態を引き起こすと血液も濃縮されるので、脳梗塞再発のリスクが高まります。 しかし、脳の血液が安定する2~3カ月以降は少量なら可能と考えられている※ため、お酒を飲みたいと思う方は、適切な飲酒量を医師に相談してみてください。 ※出典:シミズ病院・大宮KENKOU情報局「脳梗塞後のお酒の飲み方は」 たばこに含まれるニコチンは血圧を上げたり血液を収縮させたりする働きがあるため、血栓ができやすくなります。 血栓が脳の血管で詰まってしまうと、脳梗塞が再発する可能性が高まるのでたばこを吸うのは避けましょう。 適度な運動を取り入れる 脳梗塞後の生活では、適度な運動を取り入れてみましょう。 運動は、血管を健康な状態にしたり、筋力を維持したりする効果が期待できます。 適度な運動は脳梗塞の発症予防や再発防止にも効果的で、例えば毎日30分以上の有酸素運動※は動脈硬化の予防に有用です。 ※引用:日本動脈硬化学会 過度な運動は心肺機能に負担をかけるため、軽めのウォーキングや水泳などを1日30分程度、できる範囲から始めてみましょう。 定期検診の重要性 脳梗塞の退院後は定期健診に通い、数値の悪化や再発の早期発見がないかチェックしましょう。 定期健診の主な内容を下記にまとめました。 血圧計を使用して自宅で血圧をチェックするのも健康を意識できるきっかけになるので、試してみてください。 脳梗塞退院後で後遺症がある場合におけるリハビリテーション 脳梗塞の退院後、後遺症がみられる場合は自宅や施設でリハビリを受ける必要があります。 リハビリの種類や目的を紹介します。 順番にみていきましょう。 リハビリの種類と目的 脳梗塞退院後のリハビリは、主に理学療法、作業療法、言語聴覚療法に分けられています。 主なリハビリの種類と内容を下記にまとめました。 リハビリの種類 内容 目的 理学療法 杖や歩行器を使用して歩く 起き上がる、立つ、座るなどの日常動作 運動機能の維持や改善 日常生活の自立や社会復帰を目指す 作業療法 ブロックの移動、ペグさし 応用として手芸やちぎり絵、木工細工など トイレや入浴の動作 食事や更衣の動作 麻痺した手を使う練習 関節の可動域を改善 日常生活動作の改善 高次脳機能の改善 言語聴覚療法 舌や唇の筋力強化 発語器官や呼吸筋の訓練 ことばを思い出す訓練 食べ物や飲み物の飲み込み改善 コミュニケーション障害の改善 その他に、脳の働きを活性化させる目的で、微弱な電流や電磁石を使用して脳を刺激するリハビリもあります。 自宅でできるリハビリ 病院や施設での専門スタッフとのリハビリ時間が限られているため、自宅や日常生活の中で自主的にリハビリに取り組むことが重要です。 自宅でできるリハビリを下記にまとめましたので、参考にしてみてください。 脳梗塞後は疲れやすかったり集中力が切れやすかったりするので、無理のない範囲で行いましょう。 ただし自己流のリハビリは、場合によっては症状を悪化させることもあるため、言語聴覚士・理学療法士・作業療法士などの専門家に相談しつつトレーニングメニューを決めてください。 専門施設でのリハビリ 脳梗塞後の退院後は、施設に入所したり外来を利用してリハビリを継続しましょう。 退院後に何もしないでいると、入院中のリハビリで回復した機能が低下してしまう可能性があります。 主な施設を下記にまとめました。 一般的な病院や介護施設は現状を維持するリハビリが目的になりがちですが、リハビリ専門の施設だと機能の改善に積極的なプランを作成してくれます。 個々の能力に寄り添ったリハビリを受けたいとお考えの方は検討してみてください。 脳梗塞患者の家族や介護者ができるサポート 脳梗塞の退院後の生活でご家族や介護者ができるサポートを紹介します。 詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。 日常生活のサポート 脳梗塞の退院後の生活では、家族や介護者による日常生活のサポートが重要です。 患者の機能状態によりますが、自宅の環境の整備や食事の補助、介護保険の申請が必要な場合があるためです。 具体的には手すりやスロープの改修をしたり、握りやすいスプーンを用意したりして患者本人ができるかぎり自分の力で日常生活が送れるようにしましょう。 精神的サポートも大切 多くの脳梗塞の患者は、機能の回復具合や脳梗塞の再発について悩みや不安を抱えているため、精神的なサポートも大切になります。 また、退院してしまうと周りに相談できる相手や一緒にリハビリに励む仲間がいなくなるので、リハビリに対する意欲を維持し続けるのが難しくなりがちです。 患者の家族や介護者は、リハビリを継続するためにも声かけや傾聴による精神的なサポートが求められます。 介護者の負担を軽減する方法も重要 患者の家族や介護者も患者の回復の状態を心配したり、動作が心許ないために目を離せなかったりとさまざまな不安をお持ちでしょう。 患者の家族や介護者の不安を解決する方法の一例をご紹介します。 当院でも扱っている再生医療とは、わかりやすく言うと自然治癒能力(再生する力)を活かした最先端の医療です。 当院では脳梗塞を含む脳卒中の患者さまに対しては、自己脂肪由来の幹細胞治療を提供しており、脳梗塞による後遺症の根本的な治療や再発の予防が期待できます。 再生医療(幹細胞)治療については早ければ早いだけ良い結果が出る傾向にあるため、脳梗塞後の早期回復に興味がある方は、ぜひ当院へご相談ください。 脳梗塞患者が退院後に利用できる支援制度やサービス 脳梗塞患者が退院後に利用できる支援制度やサービスを紹介します。 実際の症状や支援制度・サービスの条件を照らしあわせて、利用できるかどうかをチェックしてみましょう。 高額療養費制度 高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの間に自己限度額を超えて保険適用の治療を受けた際、超過した金額が払い戻される制度です。 脳梗塞による保険適用の範囲は診察料、検査料、投薬料、入院料などです。先進医療費や差額のベッド代、食事代は対象外なので注意しましょう。 自己限度額は年齢や所得によって異なり、70歳以上で住民税非課税世帯の方が入院や外来を利用した際は1カ月あたり15,000円~24,600円です。 申請書の提出先は加入している医療保険によって異なりますが、国民健康保険の場合は各市町村の窓口です。 介護保険 食事や排せつ、入浴に介護が必要な場合は介護保険制度を利用しましょう。 介護保険制度とは介護が必要な度合いに応じて介護サービスを受けられる仕組み※を指し、利用には介護度の認定を受ける必要があります。 ※引用:厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」 介護サービスは施設に入所する居住系サービスと自宅にいながら支援を受ける在宅系サービスに分けられます。 主なサービスを下記にまとめました。 施設への入所から在宅での家事のサポートや福祉用具の貸与まで、幅広いサービスがあります。 介護保険の対象者 介護保険制度を利用できる対象者をみていきましょう。 結論から述べると、脳梗塞によって介護や支援が必要な方は40歳以上から介護保険制度を受けられます。 介護保険の被保険者は2種類あり、第1号被保険者と第2号被保険者に分けられます。 具体的な内容を下記にまとめました。 脳梗塞は特定疾病に含まれるので、40歳以上の方であれば介護保険制度を利用できると言えます。 要介護・要支援認定の申請 要介護、要支援認定の申請方法を紹介します。 介護保険制度の対象者であっても申請して介護認定を受けないと、全額が自費負担となってしまいます。 申請方法を下記にまとめました。 認定には時間がかかる場合があるので、退院後の生活をスムーズにするためにも早めの申請を心がけましょう。 傷病手当金 傷病手当金は、病気やケガで会社を休んだときに受けられる制度で、月給の2/3程度の金額が支給されます。 支給には条件が4つあり、すべて満たしている必要があります。 具体的な内容を下記にまとめました。 ※引用:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 入院が必要なほどの脳梗塞がおこると、長期の治療やリハビリが必要です。給料の全額支給は難しいですが、利用できる制度は活用しましょう。 障害年金 障害年金とは脳梗塞を含む病気やケガなどで障害の状態になった際に生活を支える目的で支払われます。 公的年金に加入し保険料を支払っていて、障害の状態が一定の状態にある方が対象です。 支給の申請をする際は、年金事務所や年金相談センターに問い合わせてみましょう。 脳梗塞の後遺症でお困りの方は再生医療の選択肢もあります 28 ALL Youtube TrueviewSkippable Instream 15s BaseCreative 脳梗塞の後遺症でお困りの方や、早期回復を目指す方には再生医療も一つの手です。 再生医療とは、脳卒中(脳梗塞・脳出血)後に失われた脳の神経細胞を修復したり、血管を再生させる効果が期待できる治療法です。 当院では、患者さま自身の細胞から幹細胞を採取し、培養させたうえで体内に投与します。 幹細胞とは、神経や血管などに変化する能力があり、損傷箇所に到達して修復を促進します。 脳梗塞の再生医療による治療は結果に個人差がありますが、早ければ早いほど良い結果が出ているので、治療を迷われている方はお気軽にご相談ください。 脳梗塞退院後の生活でよくある質問 脳梗塞退院後の生活でよくある質問をまとめました。 不明な点を少しでも解消して退院後の生活をイメージしてみましょう。 脳梗塞で後遺症が無い確率は? 厚生労働省※1の調査によると、18-65歳の脳梗塞患者の約21.7%※2が、発症から3ヶ月後に完全回復することが調査で判明しています。 ※1出典:厚生労働省「脳卒中患者(18-65歳)の予後」 ※2計算式:スコア0(まったく症状がない)患者数344人÷総患者数1,584人 厚生労働省の調査に基づく、18-65歳の脳梗塞患者の発症3ヶ月後の状態と割合については以下の通りです。 症状の程度(mRSスコア) 割合 まったく症状がない(mRS 0) 21.7% 症状はあるが日常生活に支障なし(mRS 1) 29.7% 軽度の障害があるが自立(mRS 2) 17.8% 中等度の障害、歩行に介助必要(mRS 3) 6.2% 日常生活に介助が必要(mRS 4) 11.5% 重度の障害、常時介護が必要(mRS 5) 5.7% 死亡(mRS 6) 7.4% 後遺症の程度は早期の治療開始とリハビリテーションの取り組みによって大きく変わるため、発症後の迅速な対応が極めて重要と言えます。 また、退院時には大きな後遺症がなくとも、身体に違和感を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。 左右どちらかのしびれや脱力感などがみられたら、軽度の脳梗塞を起こしている可能性があります。 脳梗塞が再発しやすいのはどんな人? 脳梗塞が再発しやすい方を下記にまとめました。 生活習慣を見直し、定期的に検査を受けて再発を防ぎましょう。 脳梗塞の再発防止のために避けるべき食品は? 脳梗塞の再発リスクが高まる食品は以下の通りです。 食物繊維や不飽和脂肪酸が摂れる野菜、魚類、海藻を積極的に食事に摂り入れてみましょう。 脳梗塞退院後の生活についてのまとめ 脳梗塞の退院後の生活では、生活習慣を見直したり定期的な検査を受けることで再発を防止しましょう。 また、後遺症によってはリハビリを継続し、必要なサービスを活用して機能が低下しないようにするのも重要です。 脳梗塞の後遺症にお悩みの方は、再生医療による治療もおすすめです。 当院では、再生医療による脳梗塞の治療も取り扱っているので、後遺症についてご不安やお悩みがある場合はお気軽にお問い合わせください。
2025.01.08 -
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脳梗塞を経験した方やそのご家族にとって、記憶障害は日常生活に大きな影響を及ぼす深刻な問題です。 突然、大切な過去を思い出せなくなったり、日々の出来事を忘れてしまったりする状況に直面すると、困惑や不安を抱える方が多いでしょう。 「記憶障害はどうして起こるのか」「改善する方法はあるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳梗塞により引き起こされる記憶障害の種類や症状、原因について詳しく解説します。 また、効果的なリハビリテーションの方法や社会的支援の活用方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞による記憶障害の種類と症状 脳梗塞によって脳への血流が遮断されると、記憶障害を引き起こします。その症状は、影響を受けた脳の部位や損傷の程度によってさまざまです。 ここでは5種類の記憶障害と症状について紹介します。 記憶障害の症状は、患者の日常生活や対人関係に影響を及ぼすため、それぞれの特徴を理解しておくのが大切です。 短期記憶障害 短期記憶障害とは、新しい情報を短期間だけ保持する能力が低下して、数秒から数分間の記憶を保持するのが難しい状態です。 短期記憶障害は、日常生活で必要な動作や作業に大きな影響を及ぼし、さまざまな支障を引き起こす原因となります。 長期記憶障害 長期記憶障害は、数日~数週間、数十年で覚えた情報や出来事を思い出すことが難しくなる状態です。 長期記憶障害は、過去の経験や知識を思い出すことが難しくなるため、日常生活や人間関係に影響を及ぼすことがあります。 エピソード記憶障害 エピソード記憶障害は、過去に体験したエピソードを思い出すのが難しくなる状態です。 自身が体験した内容に関しての記憶が一部、あるいはエピソードが全体的に思い出せなくなってしまいます。出来事がいつ、どこで、何が起こったのか、文脈的な情報を含む記憶が失われるのが特徴です。 手続き記憶障害 手続き記憶障害は、体で覚えた動作や技能を忘れてしまう状態です。 主に頭でハッキリ考えずともできていた、習慣的な行動に支障をきたします。今まで意識せずに行っていた動作ができなくなり、日常生活で大きなストレスや不便さを感じる原因になります。 見当識障害 見当識障害は、時間や場所、自分自身に関する基本的な認識が混乱する状態です。 見当識障害は、記憶だけでなく、日常生活全般に深刻な影響を及ぼします。 とくに、自分がどこにいるかを認識できないため、道に迷ったり、家に帰れなくなるといった危険な状況が生じることもあります。 見当識障害は脳梗塞だけでなく、認知症の初期症状としても見られる症状です。 脳梗塞により記憶障害になる原因 脳梗塞は、脳への血流がなんらかの理由で遮断されることによって発生し、脳細胞が酸素や栄養を十分に受け取れなくなることでダメージを受けます。 記憶に関連する脳の部位にダメージが及ぶと引き起こされるのが記憶障害です。 とくに、重要な影響を受ける脳の部位と、それによって生じる記憶障害については以下の表にまとめました。 影響を受ける部位 主な機能 障害が起きた際の症状 海馬 短期記憶から長期記憶への変換、空間記憶の形成 新しい記憶の形成が困難、最近の出来事を覚えられない 側頭葉 長期記憶の保存、視覚や聴覚の記憶処理 過去の記憶の想起が困難、物や人の認識に支障 前頭葉 作業記憶、記憶の整理と実行機能 複数の作業の同時進行が困難、計画立案の障害 とくに、海馬や側頭葉、前頭葉といった記憶の形成や保持に深く関わる領域が影響を受けると、短期記憶や長期記憶、さらにはエピソード記憶といった多様な記憶機能に障害が現れることがあります。 また、脳梗塞の影響で脳のネットワークが遮断されると、情報を効率的に処理したり記憶を引き出したりする能力も低下します。 これにより、日常生活における出来事や新しく学んだ知識を覚えることが難しくなるのです。さ らに、記憶だけでなく、認識力や判断力などの認知機能全般に影響を及ぼす場合もあります。 脳梗塞による記憶障害は、発生した部位や範囲、血流が遮断されていた時間の長さによって症状の程度が異なるため、早期の診断と治療が不可欠です。 また、リハビリテーションによって残存する脳の機能を活用し、記憶障害の改善を目指すことができます。 他にも、もともと我々の身体にある幹細胞を活用した再生医療による治療という選択肢もあります。 脳卒中(脳梗塞、脳出血)再生医療の治療結果は、病状や体の具合によって個人差はあるものの、一度機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症を改善させる効果が期待できます。 再生医療による脳の再生を目指したい方やご興味がある方は、ぜひ当院へご相談ください。 脳梗塞による記憶障害のリハビリテーションの種類 リハビリテーションでは、患者の記憶機能を補助したり代替したりするさまざまな方法が用いられます。 ここでは、脳梗塞による記憶障害に対して行われるリハビリテーションの種類を紹介します。 また、ご家族のサポートとリハビリ効果を高める再生医療についても解説しているので、ぜひご覧ください。 内的記憶戦略法 内的記憶戦略法※は、脳梗塞による記憶障害のリハビリにおいて、患者自身が意識的に記憶力を高めるための方法です。 ※参照: 国立障害者リハビリテーションセンター「医学的リハビリテーションプログラム」 この方法では、記憶を活性化し情報を効果的に覚えるための具体的な工夫を取り入れます。 代表的な方法として、語呂合わせや情報をカテゴリーごとに整理する手法、視覚イメージ法などがあります。 内的記憶戦略法の主な手法とその実践例を以下の表にまとめました。 手法 概要 具体的な実践例 特徴・効果 カテゴリー分類法 情報を共通の特徴で分類して記憶する 野菜(にんじん、キャベツ)、果物(りんご、みかん)のように分類 情報の整理が容易 関連性のある情報をまとめて記憶しやすい 視覚イメージ法 記憶したい情報を具体的な映像として思い描く 買い物リストに「牛乳とパン」がある場合、「巨大なパンで牛乳パックをサンドイッチ」とイメージ 印象的な記憶として定着しやすい 視覚的記憶の活用 これらの内的記憶戦略法の利点は、患者自身が能動的に取り組むことで、記憶の回復を目指せる点です。 この方法は、日常生活に取り入れやすく、繰り返しの練習により効果が高まるとされています。 外的補助手段 外的補助手段※は、外部ツールを利用して記憶力の低下を補助する方法です。 ※参照: 国立障害者リハビリテーションセンター「医学的リハビリテーションプログラム」 患者が記憶を頼りにせずとも日常生活を円滑に送るための方法で、実用性が高いのが特徴です。 外的補助手段の具体的な方法と実践のポイントを以下の表にまとめました。 記憶障害があるとスマートフォンなど外部ツールの使用を忘れてしまいますが、繰り返しにより習慣になる場合もあります。 外的戦略は習慣化するまでは患者本人だけで継続するのは難しく、ご家族や支援者が協力して環境を整えることで、より効果を発揮します。 課題指向型アプローチ 課題指向型アプローチは、患者が日常の生活で直面する具体的な問題に焦点を当て、その解決を目指す実践的なリハビリテーション方法です。 たとえば、以下のような具体的な課題設定と実践方法が挙げられます。 生活場面 具体的な課題例 実践方法 期待される効果 買い物 商品リストの記憶と購入 リストの作成と確認 必要に応じてメモの活用 購入手順の計画 記憶力の向上 買い物の自立性確保 家事 段取りを考えた家事の実行 作業手順の確認 チェックリストの活用 時間配分の管理 実行機能の改善 家事の効率化 これらのリハビリにより、実際の生活で記憶を活用する能力を高められますが、課題の設定は患者ごとに異なり、その人の能力や生活環境に合わせて設定する必要があります。 必要に応じて外的補助手段も活用し、記憶力の向上を図りながらも、実際の生活場面での失敗を最小限に抑えるアプローチも可能です。 また、成功体験を重ねることで自信を回復させる効果も期待できます。 家族による環境のサポートも重要 脳梗塞による記憶障害に対しては、家族のサポートが患者の回復を支える重要な要素です。 家族は患者の生活環境を整えるだけでなく、心理的な支えにも大きな役割を果たします。 効果的な家族サポートの具体例として、以下のような環境づくりが挙げられます。 サポートの種類 具体的な方法 期待される効果 実践する上での注意点 物理的環境整備 必要なものを見える位置に配置 日常生活の自立支援 配置場所の一貫性を保つ 習慣形成支援 スマートフォンのアラーム設定を一緒に練習 自己管理能力の向上 段階的に習慣づける 心理的サポート 適切な距離感を保ちながらの見守り 自尊心の維持 過度な干渉を避ける しかし、リハビリテーションによる回復には個人差があり、時には望むような改善が見られないこともあります。 家族とはいえ、すべてのサポートをするのは容易ではなく、負担が大きくなることで、ご家族の方が心身に疲れを感じることもあるでしょう。 また、記憶障害のある患者本人にとっても家族への依存を余儀なくされる状況は大きな精神的負担となるため、早期の機能回復により患者と家族双方の負担軽減が望まれます。 そこで、患者さまの回復をより早めつつご家族の負担を軽減する手段として、ぜひ再生医療もご検討ください。 脳梗塞による記憶障害でお困りの方、あるいは家族のサポートに課題を感じている方は、ぜひ当院へご相談ください。 脳梗塞による記憶障害への社会的支援 脳梗塞による記憶障害を抱える方が利用できる社会的支援について紹介します。 障害者手帳や各種支援制度、家族の相談窓口など、さまざまなサポートを受けることで、患者本人だけでなくご家族の負担も軽減できます。 障害者手帳 障害者手帳は、身体や精神に障害がある方が受けられる社会的支援の基盤となる制度です。 要件を満たせば手帳の交付を受けられる可能性があり、障害者手帳を取得すると、以下のような支援を受けられます。 障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3つの種類があります。 記憶障害を含む高次脳機能障害が原因で日常生活や社会活動に支障が生じている場合、器質性精神障害として精神障害者保健福祉手帳の申請対象※となる可能性があります。 ※参照:国立障害者リハビリテーションセンター「高次脳機能障害支援に関する制度」 自立支援給付や地域生活支援事業 自立支援給付や地域生活支援事業は、障害を抱える方が地域社会で自立して生活するための支援を提供する制度です。 これらの支援は、記憶障害による日常生活の困難を補うために利用できます。 お住まいの市町村の福祉担当窓口で詳細の確認および申請が可能です。 ご家族が相談できるサービス 脳梗塞による記憶障害は、患者だけでなくそのご家族にも大きな負担がかかります。こうした状況に対応するため、各自治体では以下のような支援が受けられます。 窓口 受けられるサービス 地域包括支援センター 必要な制度やサービスの紹介 後見人制度活用のサポート など 居宅介護支援事業所 介護保険サービスの利用計画(ケアプラン)の作成 必要な訪問介護やデイサービスなどの調整 記憶障害を含む患者の状況に応じた適切な介護サービスの提案 市区町村の福祉課や障害者支援担当窓口 障害者手帳の申請手続き 自立支援給付や地域生活支援事業の利用方法の案内 公的な支援に関する相談対応 相談窓口は無料で利用できる場合が多く、まずは最寄りの自治体の福祉課や障害者支援担当窓口に問い合わせてみることをおすすめします。 脳梗塞による記憶障害についてのまとめ 脳梗塞による記憶障害は、短期記憶や長期記憶、エピソード記憶などさまざまな記憶機能に影響を及ぼします。 記憶障害への対応には、原因を理解し、適切なリハビリテーションを行うことが重要です。 記憶障害について正しく理解し、適切な対策を講じることで、患者とご家族が安心して生活を送る環境を整えられます。 金銭的な負担やご家族の負担を軽減できる社会支援サービスもありますので、これらを活用しながら、無理のない形で後遺症と向き合っていくことが大切です。 脳梗塞による後遺症のリハビリ効果を高める、あるいはご家族の負担を減らすための選択肢の1つとして、ぜひ再生医療もご検討ください。 当院(リペアセルクリニック)で提供している再生医療は厚生労働省に受理された治療方法で、脳梗塞においては再生医療で脳卒中の再発予防にも役立ちます。 再生医療について気になる点は、お気軽に当院へお問い合わせください。
2025.01.08 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
高齢者が脳梗塞を発症した場合、回復見込みはあるのか不安を抱える方も多いでしょう。 また、家族としてどのように支えれば良いかわからず、戸惑うこともあるかもしれません。 脳梗塞は発症後の対応が重要であり、適切な治療やリハビリ次第で生活の質を大きく改善できる可能性があります。 この記事では、高齢者が脳梗塞を発症した際の回復の見込みや後遺症への対応方法について詳しく解説します。 リハビリや再生医療といった治療法、さらに家族ができる具体的なサポート方法も紹介します。 脳梗塞についての疑問や悩みを解消し、回復への道を支えるための情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。 高齢者に多い脳梗塞とは?基礎知識と回復の可能性 高齢者に多く見られる脳梗塞は、脳への血流が途絶えることで発症する疾患です。 主な原因として動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病が挙げられ、加齢によってそのリスクはさらに高まります。 脳梗塞にはいくつかの種類があり、発症した際の症状や回復の見込みはケースによって異なります。 とくに高齢者の場合、発症後の回復には年齢やリハビリの質が大きく影響し、後遺症が出ることも少なくありません。 ここからは、脳梗塞の種類や症状、回復の見込みについてさらに詳しく解説していきます。 気になることについては、ここで確認してください。 脳梗塞の種類と症状 脳梗塞は主に以下の3種類に分類されます。 高齢者が脳梗塞を発症しやすい理由は、加齢による動脈硬化の進行や、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の影響が大きい点です。 詳細について知りたい方は、以下の記事で詳しく紹介していますのでご参照ください。 高齢者が脳梗塞になった場合の回復見込み 一般的に年齢が高くなるほど、若年層と比較して高齢者の脳梗塞の回復には時間がかかる傾向があります。 しかし、高齢者であっても適切な治療を受け、計画的にリハビリを進めることで、日常生活動作(ADL)の向上が十分に期待できます。 高齢者が脳梗塞を発症した場合の回復の見込みはさまざまな要因に左右されますが、回復見込みに影響を与える主な要因には以下があります。 とくに重要なのが「発症から治療までの時間」で、発症後4.5時間以内は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、迅速な対応が回復に影響します。 この早期治療とリハビリテーションの組み合わせにより、機能改善が期待できます。 脳には「神経可塑性」という特性があり、適切なリハビリを継続することで、損傷した機能の一部を他の部位が補うことが可能です。 ただし、回復の程度や速度には個人差が大きく、同じような症状であっても、改善の度合いは患者によって異なることに留意が必要です。 回復のステージと必要な対応について、以下の表にまとめました。 回復段階 重要なポイント 期待される効果 具体的なリハビリ例 発症直後 t-PA治療の実施(4.5時間以内) 脳細胞の損傷を最小限に抑制 早期離床訓練 急性期 早期リハビリの開始 二次障害の予防、基本機能の維持 関節可動域訓練、嚥下訓練 回復期 計画的なリハビリの継続 日常生活動作(ADL)の改善 麻痺した手足の運動訓練、言語訓練、生活動作訓練 維持期 生活習慣の改善と基礎疾患の管理 機能維持と再発予防 自主トレーニング リハビリの成果は継続性や頻度に依存するため、専門家の指導のもとで計画的かつ段階的なアプローチを行うことが重要です。 たとえば、麻痺が残った手足の運動訓練では関節の動きを維持することから始めたり、失語症に対する言語訓練などによってコミュニケーション能力の回復を目指します。 日常生活動作(ADL)の改善については個人差があるものの、高齢者の場合でも比較的軽い脳梗塞であれば、早期治療とリハビリの組み合わせにより機能改善が期待できます。 ただし重度の場合は介助を必要とする場面が残る可能性もあり、さらに脳梗塞は再発リスクが高い疾患であり、とくに高齢者ではその傾向が顕著です。 そのため回復期以降も、以下の点で注意が必要となります。 早期かつ適切な治療とリハビリを行うことで、高齢者であっても脳梗塞後の生活の質を向上させることが可能です。 焦らず、専門家のサポートを受けながら、段階的に回復を目指すことが大切と言えるでしょう。 高齢者で脳梗塞の後遺症が残った場合の回復見込み 高齢者が脳梗塞を発症した後、後遺症が出る可能性は若年層より高く、回復にも時間がかかる傾向があります。 とくに80歳以上や90歳以上では、その傾向が顕著です。高齢者が脳梗塞を発症した際に現れやすい後遺症は、以下の通りです。 運動麻痺:手足が動きにくくなる、片側が麻痺する 言語障害:言葉が出にくい、会話が難しくなる(失語症) 嚥下障害:食べ物や飲み物が飲み込みにくくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まる 認知機能の低下:記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたす 後遺症が残った場合でも、回復見込みはありますので、以下のポイントを意識して症状の緩和や生活の質の向上を目指しましょう。 身体機能や言語機能の回復には、毎日の継続が大切です。理学療法や作業療法を通じて、日常生活動作をサポートします。 また、脳梗塞後の高齢者が後遺症と向き合うためには、家族や介護者のサポートが欠かせません。 自宅に手すりの設置などの環境整備、食事のサポートなどの助けがあると、身体的・精神的な負担が軽減されます。 脳梗塞は一度発症すると再発しやすい病気であり、とくに高齢者の場合は再発による後遺症の悪化リスクが高まります。 生活習慣の改善を図ることで、脳梗塞の再発リスクを抑えることが重要です。 脳梗塞の後の高齢者の回復を助けるリハビリについて 脳梗塞後の後遺症からの回復を助けるリハビリとして、段階に応じたリハビリテーションを行います。 リハビリは大きく急性期、回復期、維持期の3つの期間に分けられ、それぞれ異なる目的とリハビリ内容を設定します。 リハビリの期間 発症からの期間 目的 主なリハビリ内容 急性期 発症から1~2カ月以内 合併症の予防と身体機能の維持 関節が固まるのを防ぐ関節可動域訓練 座る、立ち上がるなどの離床訓練 回復期 発症から6カ月以内 身体機能・日常生活動作(ADL)の回復 歩行や体幹の筋力強化 食事や着替えなど生活動作の練習 言語訓練 維持期(生活期) 発症から6カ月以降 機能の維持と生活の質向上 ストレッチやウォーキング 日常の動作や趣味 急性期には合併症の予防、回復期には機能の回復、維持期にはその維持と生活の質の向上を目指します。 脳梗塞後の高齢者の回復には、継続的なリハビリが欠かせません。医療スタッフや家族と協力しながら、その人の状態に合ったリハビリを進めていきましょう。 再生医療で実際に高齢者が苦しむ脳梗塞の後遺症が改善した事例 再生医療の一環として行われる幹細胞治療は、脳梗塞後の高齢者の後遺症改善に効果が期待できます。 今回は当院(リペアセルクリニック)における実際の症例と治療後の経過について簡単に紹介します。 年齢 症例 治療方法 治療後の経過 60代男性 急性期脳梗塞の後遺症 自己脂肪由来幹細胞を用いた 点滴治療を1回実施(3回予定) 左手のしびれが完全に消失し、不整脈も改善。呂律も回復してスムーズに発語できるようになった。 60代男性 脳梗塞後の右上肢の機能低下 自己脂肪由来幹細胞を用いた 点滴治療を3回実施 右肩の可動域と筋力が改善し、ボールを投げる動作が可能になった。脳の血管造影検査で再生した血管の確認も得られる。 70代男性 急性期脳梗塞の後遺症 自己脂肪由来幹細胞を用いた 点滴治療を3回実施 初回投与後1週間で左口周りと左手のしびれが軽減し、夜間頻尿が消失。4か月後にはふらつき、めまいがなくなり、小走りも可能になった。 それぞれの詳しい紹介は以下にて紹介していますので、詳細が気になる方はぜひご確認ください。 ・急性期脳梗塞 幹細胞治療 70代男性 ・急性期脳梗塞の後遺症がほぼ改善! 60代男性 ・脳梗塞後の造影検査で血管が再生されたのを確認!60代男性 ご家族ができるサポート 脳梗塞後の高齢者を支えるには、家族の協力が欠かせません。心理的な支援や日常生活のサポートによって、本人の回復を助けられます。 以下でポイントをまとめました。 心理的サポート ・不安を軽減するために、本人の気持ちに寄り添った声かけを行う ・小さな進歩を褒めるなど、意欲を高める環境を作る 日常生活の支援 ・安全な住環境の整備:手すりの設置や段差の解消、滑りにくい床材の導入を行い、転倒リスクを軽減する ・食事の工夫:栄養バランスを意識しつつ、飲み込みやすい形態(刻み食やゼリー状の食品)の食事を取り入れる ・外部サービスの活用:訪問リハビリやデイサービスの利用を検討し、必要に応じて保険外サービスも活用する サポートは重要ですが、家族だけですべてを抱え込むのは困難な場合も多いため、外部の介護サービスなどの活用も検討しましょう。 また、幹細胞治療のような再生医療であれば、本人の回復を促し、家族の負担を軽減できる可能性もあります。 再生医療についてご興味がある方やご検討している際は、お気軽に当院へご相談ください。 高齢者の脳梗塞と回復についてよくある質問 高齢者の脳梗塞と回復についてよくある質問は以下の通りです。 脳梗塞になると長生きできない? 高齢者で脳梗塞になる・繰り返すと治療できない場合もある? 以下では上記の質問に回答しながら、高齢者でも可能な回復の道筋や治療の選択肢について解説します。 脳梗塞になると長生きできない? 脳梗塞を発症すると命に関わる場合があるのは事実ですが、それが必ずしも長寿を妨げる要因ではありません。 適切な治療やリハビリ、再発予防の取り組みによって、発症後も生活の質を維持しながら長生きできる可能性があります。 まずは高血圧や糖尿病などの基礎疾患の管理が重要です。塩分を控えた食事や適度な運動を日常生活に取り入れることで、再発リスクを低減できます。 定期的な健康診断を受け、高血圧などの脳梗塞の要因を早期に発見することも大切です。 また、リハビリを通じて身体機能や日常生活動作の改善が可能です。歩行訓練や失語症の改善に向けた言語訓練などが効果を発揮します。 家族や介護者による心理的な支えが本人の意欲を高める鍵となるので、長い目で見ると結果的に負担が軽くなることも期待できるでしょう。 リハビリには家族のサポートは大切ですが、負担が大きくならないように支援サービスの活用も検討してみてください。 訪問リハビリやデイサービスといった外部の支援を取り入れることで、家庭での介護負担を軽減しながら、適切なケアを継続できます。 高齢者で脳梗塞になる・繰り返すと治療できない場合もある? 高齢者が脳梗塞を発症した場合、治療が難しいケースは確かに存在します。これにはいくつかの要因が関係しています。 高齢になるほど身体の回復力が低下し、外科的処置や薬物治療が適さない場合があります。 また、発症からの時間が遅れたためにt-PA治療(血栓を溶かす治療)などの早期治療が適用できないケースも少なくありません。 さらに、麻痺や言語障害が深刻でリハビリを行うことが難しい状況や、基礎疾患(心臓病や糖尿病など)が治療の妨げとなることもあります。 このような場合、従来の治療法が行えないため、代替策として以下の対応が考えられます。 治療が行えない場合でも、症状の進行を防いで生活の質を保つための工夫や支援を行うことが重要です。 家族や介護者が連携し、患者ができる限り快適な生活を送るためのサポートが大切です。 まとめ:脳梗塞後の高齢者でも回復見込みはある 脳梗塞は高齢者にとって深刻な疾患ですが、適切な治療とリハビリを行うことで、回復への道が開ける場合があります。 ただし、若い世代と比較すると、加齢による回復力の低下や後遺症が出る可能性が高く、完全な回復は難しいケースもあります。 これらの要因を踏まえつつ、再発を防ぎながら生活の質を向上させることが重要です。 近年、幹細胞治療をはじめとする再生医療は、高齢者の脳梗塞後の後遺症改善において注目されています。 再生医療は、損傷した脳細胞を再生させ、従来の治療で難しかった回復を目指せる方法です。 もし、脳梗塞後の後遺症や回復についてお悩みの場合は、ぜひ当院へお問い合わせください。
2025.01.08 -
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脳梗塞は、突然の発症だけでなく再発するリスクが高い病気です。 一度発症すると、「また起こったらどうしよう」「再発を防ぐには何をすればいいのか」といった不安や疑問を抱える方も多いでしょう。 再発すると後遺症が悪化し、生活の質に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。 本記事では、脳梗塞の再発リスクや具体的な予防策について詳しく解説します。 危険因子の管理や生活習慣の改善、再発を早期に察知する方法から、注目されている再生医療の可能性まで幅広く取り上げています。 再発を防ぎ、安心して生活を送るための知識をぜひお役立てください。 脳梗塞の再発リスクとは 脳梗塞は一度発症すると再発しやすい病気であり、予防に十分な注意が必要です。 再発すると後遺症が悪化したり、生活の質が大きく低下する可能性があります。 ここからは、脳梗塞の再発率や再発リスクを高める危険因子、さらに脳梗塞の再発サインについて詳しく解説します。 脳梗塞は再発しやすい 脳梗塞は一度発症すると再発する確率が高く、再発した場合の後遺症はさらに重くなる可能性があります。 具体的には、発症から1年以内の再発率は12.8%、10年以内の再発率は51.3%とのデータ※があります。 ※ とされています。 ※出典:PubMed このように脳梗塞は再発しやすいため、日常生活における予防が重要です。 再発リスクを高める危険因子 再発率の数字からも分かるように、脳梗塞は長期的に再発リスクが続く病気です。 特に以下のような項目は危険因子と呼ばれ、再発を高める要因とされています。 再発リスクを高める危険因子 内容 高血圧 血管にかかる負担が増大し、動脈硬化が進行する 糖尿病 血糖値のコントロール不良が血管のダメージを悪化させる 脂質異常症 血中の脂質バランスが崩れ、血管の詰まりが起こりやすくなる 喫煙 血管の収縮や血液の粘度が高まり、血流障害を引き起こす 心房細動 不規則な心拍により血液の流れが乱れ、血栓が形成されやすくなる これらの危険因子に注意して日常生活を送ることが、再発予防のカギとなります 脳梗塞の再発サイン 脳梗塞再発の早期発見には、FAST(Face, Arm, Speech, Time)というサインを覚えておくと役立ちます。 FAST 症状 Face(顔のゆがみ) 顔の片側だけが下がる、笑ったときに片方の口角が上がらない Arm(腕の麻痺) 腕が上がらない、力が入らない Speech(言葉の不明瞭さ) 言葉がうまく出てこない、話している内容が不明瞭になる Time(時間) 迅速に医療機関へ連絡し、治療を開始する時間を確保するのが重要 上記の症状がみられた際には、迅速に医療機関にかかりましょう。脳梗塞の発症後4.5時間以内は血栓を溶かす「血栓溶解療法(t-PA静脈注射)」※の対象です。 ※参照:国立循環器病研究センター「4.5時間を過ぎても、専門的な脳梗塞救急治療が重要です」 以下の動画では、脳梗塞の前兆である危険サインについて解説しているので、合わせて参考にしてください。 脳梗塞を再発すると後遺症が重くなるリスクがある 脳梗塞を再発、あるいは2回以上繰り返すと、後遺症がさらに重くなるリスクがあります。 このように、脳梗塞の再発は患者の生活の質を大きく損ない、治療やリハビリの負担も増加させます。 後遺症を悪化させないためには、再発の予防と早期対応が何より重要です。 脳梗塞の再発リスクを高めないための対策 脳梗塞は、生活習慣や健康状態の見直しといった適切な予防策を講じることで、リスクを低下させることができます。 とくに生活習慣や健康状態の見直しが予防のカギです 以下では、脳梗塞予防のための具体的な方法を詳しく解説します。 血栓を予防する 脳梗塞を予防するためには、血栓の形成を防ぐ抗血栓療法が有効です。 抗血栓療法は脳梗塞に効果的な方法の一つとして広く用いられています。 血液をサラサラにする抗血栓薬の服用により、血液中の血小板の働きを抑えて血管内で血栓ができにくい状態を維持します。 さらに、血栓がすでに形成されている場合や高度な動脈硬化がある場合には、外科的治療も選択肢の一つです。 例えば、動脈の詰まりを取り除く手術や、血流を確保する治療などがあります。 食生活を改善する 脳梗塞の再発リスクを高めないためには、食生活の改善が重要です。 食生活の改善をするうえでポイントとなるのが塩分と脂質で、塩分は1日6g未満に抑え、高脂質の食事は控えましょう。 大量のアルコール摂取は脳梗塞の再発リスクが高まるため、お酒の飲みすぎには十分注意してください。 また、体内の水分が不足すると血栓ができやすくなるため、こまめな水分補給も心がけることが大切です。 以下の動画では、脳梗塞を含む脳卒中のリスクを下げる食生活について解説しているので、ぜひ参考にしてください。 適度に運動をする 日常的に体を動かし、血流を促進することが脳梗塞の再発リスクを抑える対策の一つです。 ウォーキングや軽いジョギングなど有酸素運動や、水中歩行など軽いリハビリを日常生活に取り入れることで、血流の改善や心肺機能の向上が期待されます。 また、日常生活では階段を使用することや、徒歩で移動するなど、自然な形での運動量を確保することで、生活習慣を改善することができます。 日常的に体を動かして、血流を促進することで再発リスクを予防できるため、適度な運動により血管や心臓の健康を保ち、脳梗塞や高血圧のリスクを減らしましょう。 睡眠の質を高める 睡眠の質を高めることも脳梗塞の再発リスクを高めない重要な対策の一つです。 良質な睡眠は血圧を安定させるため、脳への負担を減らすことができます。 睡眠の質を高めるためには、就寝前のスマホ操作を控えることや、簡単なストレッチを行うことも重要です。 定期健診を受ける 定期健診は脳梗塞の危険因子を早期に発見し、適切な対応を取るために欠かせない予防策です。 とくに、脳梗塞の主なリスクである高血圧・糖尿病・脂質異常症は、自覚症状がないまま進行することが多いため、定期的な検査によるチェックが必要です。 健診では、血圧や血糖値、コレステロール値の測定に加えて、心電図や頸動脈エコー検査などにより隠れたリスクを見つけられます。 定期健診を通じて危険因子を早期に発見し、脳梗塞の発症や再発を未然に防ぎましょう。 脳梗塞の再発予防には再生医療という選択肢 再生医療による幹細胞治療は、脳梗塞の再発予防と後遺症の改善に期待ができる治療法です。 幹細胞治療は、患者さま自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻すことで損傷した組織の修復や再生を促進する治療法です。 さらに幹細胞には抗炎症作用があり、脳内の炎症を抑制して再発リスクの低減が期待できます。 当院の再生医療による脳卒中への治療効果についても、多くの症例がございます。 当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞を含む脳卒中に対する再生医療の症例が多くございます。 例えば、50代の女性が脳梗塞と脳出血を経験し、右半身麻痺や言語障害などの後遺症に悩まされていましたが、幹細胞治療を3回受けた結果、症状改善がみられたケースがあります。 症例の紹介ページはこちら 再生医療は脳梗塞の再発予防だけでなく、後遺症の改善にも効果が期待できます。 再生医療による治療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。 脳梗塞の再発リスクを抑えるには生活習慣の改善が重要 脳梗塞の再発予防には、危険因子を管理して生活習慣を見直すことが重要です。 高血圧や糖尿病、脂質異常症といった危険因子をコントロールし、適度な運動や減塩を意識した食生活を取り入れて再発リスクを減らしましょう。また、喫煙や多量飲酒を控えるのも効果的です。 さらに、再発のサインであるFAST(顔のゆがみ、腕の麻痺、言葉の不明瞭さ、時間の重要性)を理解し、早期に対応するのが後遺症を抑えるカギとなります。 定期健診を受け、自分の健康状態を常に把握しておくことも忘れてはなりません。 これらの取り組みに加え、再生医療は脳梗塞の再発予防や後遺症の改善に新たな選択肢を提供します。 幹細胞治療は、損傷した神経の修復や再生を促し、脳細胞の損傷が改善されることで再発リスクを軽減する効果が期待されています。 予防と治療の両面で効果を得られることが期待できる再生医療をぜひご検討ください。
2025.01.08 -
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- 再生治療
- 幹細胞治療
脳出血は、突然の発症だけでなく、後遺症として麻痺や言語障害が残ることが多いため患者や家族にとって大きな悩みとなります。 治療後の回復に不安を感じる方や、「最新の治療方法で改善できるのか」「費用や期間はどれくらいかかるのか」といった疑問を抱える方も多いでしょう。 本記事では、脳出血後の後遺症改善に向けた最新治療や、それぞれの治療法の特徴や効果、費用面についても解説します。 脳出血の後遺症に対する最新治療 脳出血は後遺症として麻痺や言語障害などが残ることが多く、治療後の生活の質を大きく左右します。 近年、医療技術の進歩により、従来の治療法に加え、新たなリハビリテーションや治療法が注目されています。 たとえば、IVES療法やHANDS療法といった電気刺激を用いる治療法や、ロボット技術を活用したリハビリ、さらにはボツリヌス療法や再生医療などがあります。 これらの治療法は、それぞれ異なるアプローチで後遺症の改善を目指しており、患者の状態や目標に合わせた治療法の選択が重要です。 以下では、これら最新の治療法について詳しく解説します。 IVES療法・HANDS療法 脳出血の後遺症に対する最新治療として、IVES療法やHANDS療法があります。 この治療では、後遺症によって思うようにできない動きを補助し、その動きを自力でできるようにするものです。 IVES療法 特殊な低周波の電気刺激装置による治療で、麻痺した場所を動かそうとしたとき、活動しようとしている筋肉に電気刺激を与えることで、筋肉の動きを補助し動かしやすくします。 HANDS療法 IVES療法をする際に、手関節装具を併用しておこなう治療方法です。 手関節装具を装着すると、物をつまんだり離したりする動作がしやすくなります。 ロボットによるリハビリ 脳出血の後遺症の最新治療として、ロボットを活用したリハビリがあります。 たとえば、人が体を動かそうとするときに、その意思が脳から筋肉へと伝達されます。そのときに生じる生体電気信号を検知して動作支援をする歩行支援ロボットなどです。 ロボットによるリハビリは、高いリハビリ効果を期待できるだけでなく、リハビリをする患者と療法士の負担を軽減できるというメリットもあります。 ボツリヌス療法 脳出血の後遺症のひとつに、手足がつっぱって動かしにくい、勝手に動いてしまう痙縮(けいしゅく)という症状があります。 この痙縮の最新治療として、ボツリヌス療法があります。 ボツリヌス療法とは、筋肉の緊張を緩める作用があるボツリヌストキシンという成分を筋肉に注射する治療方法です。 ボツリヌストキシンはボツリヌス菌からつくり出されるたんぱく質ですが、ボツリヌス菌自体を注射するわけではないので菌に感染する心配はありません。 ボツリヌス療法は2~3日くらいで効果が現れてきて、その効果は4カ月くらい持続します。 その間にリハビリをおこなうことで、リハビリによる改善効果を高めることもできます。 再生医療 再生医療は、体内に存在する幹細胞の能力を活用し、損傷を受けた組織や臓器を修復する治療法です。 幹細胞には、自己複製能力とさまざまな細胞に分化する能力があります。幹細胞の利用により、従来の治療では難しかった機能の回復が期待できます。 脳出血の場合、幹細胞を用いた治療が損傷した神経組織の再生を促進し、後遺症の軽減や再発予防効果が見込めます。 再生医療(幹細胞治療)で期待できる治療効果 再生医療は、幹細胞を活用して損傷した組織や神経を修復する先進的な治療法です。 脳出血の治療では、幹細胞を利用して後遺症の軽減や再発防止を目指します。 ここでは厚生労働省届出済医療機関である当院(リペアセルクリニック)が提供している、再生医療(幹細胞治療)を基に具体的な治療効果について詳しく説明します。 最先端の医療技術に興味がある方はぜひ参考にしてください。 身体機能(後遺症)の回復 幹細胞治療は、脳出血後に起こる麻痺や言語障害などの後遺症の改善効果が期待できます。 幹細胞が損傷した神経を修復し、新しい神経のつながりを作ることで、体の機能を回復させます。 また、幹細胞が脳の炎症を抑え、回復しやすい状態にします。 効果には個人差があるものの、呂律困難や痺れの軽減が期待される治療法です。 リハビリテーションの効果を増幅 幹細胞治療をリハビリテーションと組み合わせることで、後遺症からの回復がさらに高まります。 発症直後の方だけでなく、発症から数年が経過している方も再生医療の対象です。 幹細胞治療により神経の修復が進むことで、リハビリ中のトレーニングに対する体の反応が良くなります。 その結果、運動能力や感覚の早い改善が期待されます。 リハビリテーションの成果を高めたい方は、再生医療の利用をご検討ください。 脳卒中の再発予防 幹細胞治療には、脳卒中の再発を防ぐ効果も期待されています。 脳卒中は1年以内の再発が12.8%、10年以内の再発は51.3%※と、再発する可能性が高い疾患です。 ※出典:PubMed「Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study」 幹細胞治療を利用すると、損傷した血管が修復されて血流が安定します。 また、幹細胞が血管を健康に保つ働きをするため、再発のリスクを下げられます。 脳出血の最新治療に関してよくある質問Q&A 再生医療は、脳出血後の新しい治療方法として注目されていますが、治療を受けるにあたって、効果が出るまでの期間や費用についてあまり知られていません。 ここでは、脳出血の最新治療に関してよくある質問として、下記の2つの疑問にお答えします。 再生医療に興味がある方はぜひ参考にしてください。 脳出血の後遺症に再生医療の治療効果が現れるまでどのくらい? 再生医療による治療効果が現れるまでの期間は、患者さまの状態や体質により個人差があります。 幹細胞を投与した後、神経細胞の修復や再生には時間がかかるため、数週間から数カ月間、あるいは1年以上は経過を観察する必要があります。 また、治療後のリハビリテーションも重要です。リハビリと再生医療の併用により、回復が促進される効果が期待できます。 再生医療にかかる費用はなぜ高額? 再生医療が高額である理由は、主に3つ挙げられます。 まず、幹細胞を治療に使用する際には、特別な環境下で細胞を培養・増殖する必要があります。 このプロセスには高度な技術や専門的な設備が必要となるため、非常に高いコストがかかります。 また、再生医療の効果を最大限に引き出すためには治療後のリハビリテーションが重要であり、その費用も治療プランに含まれることが一般的です。 さらに、最新の治療法である再生医療は多くの場合、健康保険が適用されない自由診療に分類されているため、治療費を全額自己負担しなければなりません。 これらの治療は保険適応外であることが多いため、費用は基本的に全額自己負担となります。 ただし、医療費控除が適用される場合があり、これにより税負担を軽減できる可能性があります。 【まとめ】脳出血による後遺症は再生医療で回復が期待できる 脳出血後の後遺症に対する治療は、従来のリハビリテーションだけでなく、さまざまな最新技術を取り入れることで改善の可能性が広がります。 IVES療法やHANDS療法、ロボットによるリハビリ、ボツリヌス療法など、それぞれが異なるアプローチで機能回復をサポートします。 患者さまの状態や目標に応じて最適な治療法を選択すると、より良い結果につながるでしょう。 中でも、再生医療は幹細胞を用いて損傷した神経や組織を修復し、後遺症の軽減や回復を目指す新しい治療法として注目されています。 再生医療による治療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。
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脳梗塞を経験された方やそのご家族にとって、言葉がうまく話せない、思ったことを伝えられないといった言語障害は大きな悩みの一つです。 失語症や構音障害など、脳梗塞による言語障害にはさまざまな種類があり、症状や回復のスピードは人それぞれ異なります。 本記事では、脳梗塞後に起こる言語障害から回復する割合や期間、回復率を高める方法について詳しく説明します。 脳梗塞後の言語障害に悩む方は、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞による言語障害の治りには個人差がある 現在、脳血管疾患の通院患者は約118万人で、14%が働き盛りの世代です。医療技術の進歩により死亡率は減少しており、若い患者の約7割※が発症直後からリハビリを受けることで回復し職場復帰が可能です。 ※出典:厚生労働省「脳卒中に関する留意事項」 復職率は発症から3〜6か月後、または1年〜1年半後に上昇し、最終的には50〜60%に達します。 経過は急性期、回復期、生活期に分かれ、患者は治療状況や職場への配慮を医療機関と相談する必要があります。 脳梗塞の後遺症による言語障害の種類 脳梗塞後の言語障害の回復見込みは、障害の種類によって異なります。 脳梗塞による言語障害の種類は「失語症」と「構音障害」です。 失語症 失語症は、脳梗塞などにより脳の言語機能が損なわれ、読む・書く・話す・聞く能力に影響を及ぼす症状です。回復には年齢や損傷部位、健康状態などが関わりますが、40歳代までに発症した場合、言語訓練を3年以上続けることで大幅な改善が期待できます。 リハビリの内容としては、口や舌の運動、ジェスチャーを交えた会話、書字の訓練などがあります。リハビリ内容は症状や進行具合に応じて調整され、患者にあったプランを作成します。 構音障害 構音障害は、口腔や舌、声帯の運動機能が低下し、発音が困難となる状態です。治療法としては、外科的介入・発音補助装置の利用・構音訓練の3つがあり、患者の症状に応じて選択されます。 構音障害は回復の可能性があり、決して治らない障害ではありません。 外科手術では発音機能を改善し、補助装置を使用して発声を補助します。また、言語聴覚士がリハビリテーションを通じて舌や口の運動機能を高め、呼吸・発声・音読の向上を目指します。 早期のリハビリテーションが回復において重要な役割を果たすため、少しでも違和感を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。 脳梗塞による言語障害の回復率を高める方法 脳梗塞によって生じる言語障害の回復には、適切な治療とリハビリテーションが必要不可欠です。回復率を高めるためにも、早期にリハビリを開始し、専門的なサポートを受けましょう。 言語機能に影響する脳の部位や損傷の程度によって、回復にかかる時間や結果は異なりますが、効果的なリハビリ方法や先進的な治療法を組み合わせることで、言語障害の改善が期待できます。 ここからは、脳梗塞による言語障害の回復率を高める方法について紹介します。 再生医療で治療する 脳梗塞による言語障害(失語症)の再生医療は、骨髄由来の間葉系幹細胞を脳に移植し、損傷した神経細胞の再生を促す治療法です。 この幹細胞治療により、期待できる効果がいくつかあります。 また、幹細胞点滴による再生医療は、脳梗塞の再発予防にも効果が期待されています。損傷を受けた脳の血管を修復・保護することで、再発リスクを抑えるとともに、新たな血管網が構築され血流が改善されることで、後遺症の緩和にもつながります。 実際、脳卒中(脳梗塞)は再発率が高く、初回発症後1年以内で約10%、10年間の累積で約55%が再発※するというデータがあります。 ※出典:National Library of Medicine「日本のコミュニティで初めての脳卒中から10年後の再発:久山町の研究」 再発による後遺症の悪化リスクも含めて、再生医療はその抑制に有効な治療法です。 再生医療による幹細胞治療は開始時期が早いほど良い結果をもたらします。本治療に興味のある方は当院へお気軽にご相談ください。 言語聴覚士のリハビリサポートを受ける 言語聴覚士は、リハビリを通じて言語機能の改善を目指す言語障害に特化した専門家です。障害の程度を診断し、患者一人ひとりに合わせたリハビリ計画を作成します。 リハビリでは言葉だけでなく、ジェスチャーや絵といった手段を活用しコミュニケーションを図ります。 言語聴覚士のサポートを受けることで、言語面の改善はもちろん、心理面にもポジティブな変化をもたらします。 言語回復に大きな効果をもたらすため、積極的に受けておきたいサポートです。 脳梗塞発症後の言語障害に対するリハビリの流れ 脳梗塞発症後の言語障害のリハビリについては、意識状態など症状が安定し始めた頃から適切な対処が必要となります。言語能力が維持・向上し続けるためには、主に発症からおよそ1~2カ月以内の急性期、約3〜6ヶ月の回復期、自宅へ戻ってからの生活期と、それぞれのリハビリを行うことが重要です。 また、急性期・回復期においては、医療保険が適用される病院でのリハビリが行われますが、適用期間については基本的に脳梗塞は150日、高次機能障害を伴う重篤の場合は180日と定められていて、その後介護保険が適用される生活期へと移行していきます。この3段階のリハビリをどのように行っていくのかをそれぞれ詳しく紹介していきます。 急性期のリハビリ 急性期のリハビリでは、言語聴覚士が中心となり、口の動きの練習など患者の発話に合わせた言語機能回復訓練を行うことにより、発話意欲を高めていくことが重要となります。 また、挨拶など実用的なコミュニケーションが最も重要で、毎回顔を合わせるたびに挨拶を行い、時間帯で違う挨拶が返ってきても決して否定しないことが大切です。 患者だけでなく、ご家族の方もコミュニケーション方法をしっかり習得して、患者の言語機能の変化を追跡していくと同時に、患者が安心してリハビリに取り組んでいける環境づくりも、急性期では重要となります。 回復期から生活期のリハビリ 回復期のリハビリは失語症と構音障害により違いがありますが、基本的にはどちらも発話や読み書き、言葉の理解などを中心とした訓練を行うことが重要です。 リハビリでは、言語聴覚士が回復に向けたプランを作成しますが、患者本人の意欲を高めるためには、家族のサポートが何より重要です。そのサポートがリハビリの効果をさらに向上させます。 脳梗塞のリハビリ期間は病院などにより違いはありますが、原則発症から6ヵ月が経過した段階で生活期へと移行します。基本的には回復期で行ってきたリハビリは継続しながら、社会活動への参加なども行います。 脳梗塞後の言語障害リハビリ|家族ができるサポート 脳梗塞を発症してから、急性期や回復期では言語聴覚士がサポートしていきますが、特に生活期に入ってからは家族ができるサポートが重要となります。たとえば、「おはよう」や「いただきます」といったあいさつを積極的に行い、日常的に会話の機会を増やしていくことが大切です。 難しい質問などは控えて、患者が「はい」「いいえ」で答えられる質問も良いとされています。また、名前や生年月日の文字をなぞることや、音読すること、一日を振り返って日記をつけることなども効果的です。 言語障害においては読み書きや、理解しているかどうかなど、家族には気がかりなことも多くあります。しかし、無理に発話を促すのではなく、近くの公園や買い物など、外出をすることも家族ができるサポートです。 【まとめ】脳梗塞後の言語障害はリハビリで回復を目指せる 脳梗塞による言語障害は、症状や程度に個人差があり、完全な回復が難しい場合もあります。しかし、失語症や構音障害などの後遺症に対して適切なリハビリを行うことで、日常生活への影響を軽減し、言語機能を改善させる可能性があります。 リハビリに加えて、さらなる回復を目指す方法として注目されているのが再生医療です。再生医療では、幹細胞を用いた治療が進んでおり、損傷した脳組織の修復や神経細胞の再生を促します。再生医療は言語障害の改善だけでなく、脳梗塞の再発予防や後遺症の軽減にも役立つとされています。 脳梗塞による言語障害は、リハビリや再生医療を組み合わせることで回復を目指すことが可能です。再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。
2025.01.08 -
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脳梗塞を発症してから後遺症に悩まされ、なかなか回復の見通しが立たず困っている方は多いです。 運動麻痺を含む後遺症は早期の社会復帰が難しく、回復の可能性に疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。 脳梗塞の後遺症は発症後のリハビリ次第で、徐々に回復する可能性があることが判明しています。 個人差はありますが適切な方法を意識してリハビリを行えば、慢性期でも改善する可能性はあるでしょう。 本記事では具体的な回復のメカニズムからリハビリ方法について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞とは? 脳梗塞とは脳卒中の一種で、脳の血管が詰まることで発症します。主な種類と原因は以下の通りです。 脳梗塞の種類・原因によって症状や進行する度合いは異なります。 ラクナ梗塞 ラクナ梗塞は、脳の深部にある微細な血管が詰まることや血管に強い圧力がかかることで発症する脳梗塞の1種です。 日本人が発症する脳梗塞としては1番多く、脳梗塞の中で全体の25~40%の割合※を占めています。 ※出典:日立造船健康保険組合 因島総合病院「疾病案内 Vol. 07 脳梗塞について」 ラクナ梗塞を発症する主な原因は高血圧のほか、糖尿病や高脂質症、喫煙も危険因子の1つ。 症状としては運動麻痺や感覚障害、呂律が周らないなどが挙げられますが、意識障害を起こす人は少ないです。 そのため他の脳梗塞と比較すると、個人差はありますが早期からリハビリに取り組める傾向にあります。 治療は発症後4~5時間以内の場合はt-PAという血栓を溶かす薬を投与しますが、既定の時間を過ぎた・効果が無い場合は外科的治療を行います。 アテローム血栓性脳梗塞 アテローム血栓性脳梗塞は、脳や首太い血管が動脈硬化によって詰まる・狭くなることで発症する病です。 脳梗塞の前触れとして一過性脳虚血発作(TIA)を起こす人が多く、全体の20~30%が発症しています。 一過性脳虚血発作とは一時的に脳の血管が詰まり、めまいやふらつきなどの症状が起こる発作です。 アテローム血栓性脳梗塞を発症する原因は、主に以下が挙げられます。 特に加齢が進むと動脈硬化が起こりやすくなり、上記の原因と併せて発症する可能性が高くなるので注意してください。 ラクナ梗塞と比較すると症状が重いことが多く、半身麻痺・意識障害・視力低下を引き起こす可能性が高いです。 治療には血栓を溶かす薬の投与、血栓を外科的手術で取り除く方法があり、発症後4.5時間以内を目安に早期に血栓を溶かす薬を投与できれば、予後の回復が期待できます。 心原性脳梗塞 心原性脳梗塞は、心臓内の血栓が血流に乗って脳の血管を詰まらせることで発症します。 心臓で発生した血栓のサイズは大きい傾向にあり、脳の血管に詰まると重篤な症状を引き起こしやすいです。 心原性脳塞の原因は不整脈によるもので、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞と異なり、予防が難しい病気と言われています。 症状としては半身麻痺や意識障害、言語障害や感覚障害が挙げられ、他の脳梗塞より症状が重いです。 上記の症状により生活に大きな支障をきたすことから、「ノックアウト型脳梗塞」という別名もあります。 治療には血栓を溶かす薬が使用(t-PA療法)されますが、血栓が溶けきらない場合は太ももからカテーテルを挿入し脳の血栓を回収する手術が行われます。 脳梗塞の後遺症は本当に治る?回復のメカニズムについて 脳梗塞による後遺症の回復は、適切なリハビリや治療を受ければ改善する見込みがあります。 脳梗塞の後遺症に悩んでいる方やご家族の後遺症が回復する可能性が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 回復過程と時期ごとの特徴 脳梗塞の回復過程と時期ごとの特徴は、以下の通りです。 時期 期間 特徴 急性期 発症直後〜数週間 ・早期離床と関節可動域を増やすためのリハビリを行う ・少しずつ手足を動かしたり、ベッドの上でできるリハビリから始めることが多い 回復期 3〜6か月 ・神経可塑性を最大限活かした集中的なリハビリを行う ・身体を動かすリハビリ、集中力や思考力に関するリハビリを主に行う ・自宅での生活を想定し、日常生活に必要な作業に関するリハビリを行う 生活期(慢性期) 6か月以降 機能維持と再発予防に向けた取り組みを行う 急性期は発症してからそこまで時間が経っていないため、この時期のリハビリが早期の回復に繋がります。 急性期から回復期に入ると症状が落ち着き、歩行訓練や食事や着替えなどの日常動作に関するリハビリを行います。 生活期(慢性期)になると退院しているケースが多いので、自宅やリハビリテーションでの訓練になります。 ウォーキングなどの軽い運動や生活習慣・生活リズムを整え、再発予防をしながら社会復帰を目指します。 脳梗塞後の神経可塑性による回復の見込みについて 人間の脳は、生き残った神経細胞が機能を補う「神経可塑性(しんけいかそせい)」により回復の可能性があります。 神経可塑性とは、外部からの刺激によって、失われた機能を他の機能が代替えする現象です。 脳梗塞によって失われた脳細胞もリハビリによって脳が刺激され、他の細胞が失われた脳細胞を支える役割を果たします。 脳の神経可塑性を促進するためには、早期から適切なリハビリを反復して行うことが大切です。 同じリハビリを反復して行うことで脳細胞の刺激や繋がりが強化され、回復に1歩近付くことができるでしょう。 回復に個人差が生じる要因 回復に個人差が生じる要因として、主に年齢・発症部位・リハビリ開始時期が挙げられます。 若者の場合は高齢者と比較して基礎体力があり、リハビリに取り組みやすいことから回復が早いです。 また脳の発症部位によって症状の重さが変化する点も、回復に個人差のある理由の1つです。 さらにリハビリの開始時期によっても回復の度合いは左右され、基本的に適切なリハビリや治療を行う時期が早いほど効果が期待できます。 複数の要因が回復状況を左右するため、リハビリや治療は個人に合わせたアプローチが必要です。 脳梗塞の後遺症の種類と各症状について 脳梗塞の後遺症は、発症した部位によって症状が異なります。 症状によってリハビリ方法も異なるので、最適なリハビリ方法も含めてぜひ参考にしてください。 運動麻痺(片麻痺) 運動麻痺(片麻痺)は脳の運動機能に関わる領域※の損傷によって引き起こされ、多くの場合は損傷した部位の反対側に麻痺が現れます。 ※脳皮質運動野・大脳基底核・小脳・脳幹など リハビリは筋出力トレーニングやバランス訓練、歩行訓練といった、歩くことに特化した内容が多いです。 いずれもバランスを改善するエクササイズや、麻痺している側の筋力を強化する方法になります。 その他にも神経筋電気刺激(NMES)といった、筋肉を電気刺激することで回復を図る方法も。 これらのリハビリを適切な頻度で繰り返し行い、少しでも歩ける状態を目指していきます。 感覚障害やしびれ 感覚障害やしびれは頭頂葉の損傷によって発症し、触覚や温度感覚が鈍くなる症状を引き起こします。 加えて「じんじん」「ぴりぴり」とした体のしびれが起こり、日々の生活に支障をきたす場合も多いです。 また、頭頂葉は身体の様々な感覚情報を処理する「体性感覚野」と呼ばれる領域があり、この部位が損傷されると、感覚の鈍麻以外にも、手足の使いづらさや異常感覚が生じることもあります。 さらに、頭頂葉の特定の部位が損傷されると、ゲルストマン症候群(失算、失書、手指失認、左右失認)などの症状が現れることがあります。 感覚障害に対しては、理学療法士によるマッサージなどしびれを和らげるリハビリが行われます。 他にも重さや硬さ・材質が異なる物を手に取って、物を掴む力・物を手にした時の感覚を取り戻していくリハビリも。 またTMSという機械で脳に直接磁気刺激を与え、感覚障害やしびれの改善を目指す方法もあります。 視野障害と失語症 視覚中枢と言語中枢の損傷により、片目の視力が失われたり、言葉が出にくくなる失語症や感覚性失語症を発症します。 また両目は見えていても視野が狭くなったり、一部分だけが見えないケースも。 視野障害のリハビリは、視力の残っている方の視野に見たい対象を写す、眼球運動で改善を目指します。 一方で失語症には、言語聴覚士による絵が描かれたカードの名前を読み上げる訓練などが行われます。 加えて周りとのコミュニケーションで徐々に失語症が回復していくこともあるので、意識的にコミュニケーションを図ると良いでしょう。 高次脳機能障害 高次脳機能障害は記憶障害・注意力低下など、日常生活に大きな影響を与える症状を引き起こします。 記憶障害の場合、日付を忘れたり新しい情報が覚えられなくなったりと社会生活に支障が出てしまうケースも。 また注意力低下によりミスが増えたり、作業を長く続けられないなどの症状も現れます。 記憶障害のリハビリには記憶したことを復習する反復訓練や、物や人を見た目のイメージに基づいて記憶する視覚イメージ方があります。 一方注意力低下に対してのリハビリには、パズルや間違い探し、電卓計算やデータ入力作業が効果的です。 上記のリハビリを反復して行い、日々の生活でもメモを取る・集中できる環境を整えるなどのアプローチを行いましょう。 精神的後遺症 脳梗塞によってうつ症状や感情コントロール障害といった精神的後遺症が起こるケースも、少なくありません。 脳の感情を司る部位に損傷が起こることで不安感や意欲の低下起き、うつの症状が起こります。 また日々の生活で必要な動作(歩行や食事など)ができなくなることも、活力の低下の原因に。 そして感情コントロール障害により、急に怒り出す・泣き出すといった感情失禁を引き起こすこともあります。 上記の症状に対しては、精神科の医師や心理士によるカウンセリングが必要です。 カウンセリングと併せて、自分の行動を見直し認知の歪みを治す認知療法も行うと改善が期待できます。 後遺症改善に向けたリハビリ方法 脳梗塞の後遺症のリハビリは、時期に応じて適切に行うことが大切です。 急性期・回復期・生活期に分けて紹介するので、後遺症改善の参考にしてください。 急性期のリハビリ 急性期のリハビリは、主に離床と関節可動域を維持する内容になります。 リハビリ 内容 早期離床 ・車いすに移る ・ベッドから起き上がる 関節可動域訓練や廃用症候群の予防 ・手足を動かすストレッチ ・関節を動かすストレッチ ・食事や入浴などの日常の動作を行う 急性期は身体の機能が低下しないよう、日常での動作や廃用症候群を予防するリハビリが中心です。 廃用症候群とは長期間寝たきりになることで関節が固まってしまい、身体機能に不調をきたしている状態のこと。 そのため関節が固まらないように手足・関節のストレッチ、日常動作の動きから始めていきます。 回復期のリハビリ 回復期のリハビリは、運動療法と言語訓練・嚥下訓練を主として行います。 また、これらの基本的な機能回復に加えて、作業療法による、より実生活に即した訓練も取り入れられます。 リハビリ 内容 運動療法 ・歩行訓練を行う ・自重を使った筋力トレーニングを行う 言語訓練・嚥下訓練 ・物やカードを使って名前を言う ・PCでデータ入力を行う ・舌や頬の筋力を取り戻す訓練を行う 作業療法 ・調理、掃除、洗濯などの家事動作を含む、応用的な日常生活動作の練習 ・手指の巧緻性訓練や高次脳機能訓練などを行う 回復期は急性期と比較して容体が安定しているため、日常生活への復帰を目指すリハビリが中心です。 運動療法では歩行訓練のほか、スクワットなど自重を活かしたトレーニングを行い、身体機能の回復を図ります。 また喋る・飲み込むことに支障がある場合は、言語聴覚士による舌や頬の筋力を鍛える訓練も合わせて実施します。 生活期のリハビリ 生活期のリハビリは自主的なリハビリ、訪問・通所リハビリによって社会復帰を目指します。 リハビリ 内容 自主的なリハビリ ・バランス訓練を行う ・手足を中心としたストレッチを行う 訪問・通所リハビリ ・理学療法士や言語聴覚士による機能訓練を行う 生活期に入ると退院しているケースがほとんどなので、自宅できるリハビリや訪問・通所でリハビリを行います。 自主リハビリは手足を動かすストレッチ、歩行の際に転倒しないようバランス訓練が中心です。 訪問・通所リハビリでは歩行や寝返りなどの機能訓練のほか、福祉用具の取り扱いについてもアドバイスが貰えます。 脳梗塞の後遺症の回復なら再生医療もご検討ください これまでのリハビリに限界を感じている方は、当院(リペアセルクリニック)で提供している再生医療も選択肢の1つです。 当院では「脳細胞は再生しない」という常識を覆し、再生医療での新たな治療方法を確立しました。 新たな治療方法では、幹細胞の投与によって脳細胞の修復・血管の再生を目指し、一般的な治療と比較して効果が高い2億個の幹細胞を投与する治療を行っています。 脳梗塞でよくある以下のような症状についても、回復を見込めるのも特徴です。 再生医療の効果については個人差があるものの、実際に当院で治療を受けた人からも、後遺症が改善されたとの事例が多くあります。 脳出血後の後遺症として左半身麻痺を認め、車椅子の移乗にも3人の介助が必要となりましたが、幹細胞治療後には、車椅子への移乗が独りでできるようになりました。歩行においても左下肢と体幹の力がつくことで、安定して歩けるようになりました。もう一つ安定した歩行で大事なことは足の指の力であり、この力がつくことにより足の踏ん張りがつきます。 引用:リペアセルクリニック「脳出血後の後遺症で左半身麻痺 50代男性」 「今のリハビリに限界を感じている」「再発を予防したい」方や、リハビリで進捗を実感できない方・ご家族の回復を願う方にとって、回復・再発予防の期待できる治療法と言えるでしょう。 再生医療については早期に始めるほど良い効果が期待できます。 再生医療の内容や費用について知りたい、どの程度の回復見込みがあるかについて気になる方はお早めにご相談ください。 来院やメールによる相談のほか、オンラインカウンセリングも受け付けています。 脳梗塞の後遺症と回復に関するよくある質問 脳梗塞の後遺症と回復に関するよくある質問は、以下の通りです。 脳出血や脳梗塞の違い、脳梗塞の再発予防について回答しているのでぜひ参考にしてください。 脳出血・脳梗塞・くも膜下出血は何が違う? いずれも脳卒中の中に包括され、具体的には以下のように分類されます。 脳出血の種類 症状 分類 脳出血 脳の細い血管が破裂し出血した血液が神経を圧迫する ₋ くも膜下出血 脳動脈瘤が破裂し硬膜やくも膜下腔に血液が溜まる ₋ 脳梗塞 脳の細い血管もしくは太い血管に血栓が詰まり脳細胞に損傷が起こる ・ラクナ梗塞 ・アテローム血栓性脳梗塞 ・心原性脳塞 脳出血は脳の微細な血管が破裂・出血することで、神経を圧迫して運動麻痺や感覚障害などの症状を引き起こします。 一方脳梗塞は血管が詰まることで血流が途絶え、脳細胞に損傷をきたす症状で脳出血とは要因が異なります。 くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂で硬膜に血液が溜まり、激しい頭痛や意識障害、嘔吐やけいれんを伴う症状です。 いずれも早期発見・治療が回復の鍵になる症状なので、脳に違和感を覚えたらすぐにかかりつけ医に相談しましょう。 脳梗塞の再発を防ぐ方法は? 脳梗塞の再発を防ぐ方法としては、生活習慣の改善や血圧・糖尿病管理、適度な運動が挙げられます。 予防法 具体的な対策 生活習慣の改善 ・野菜や魚を取り入れたバランスの良い食事を意識する ・禁酒・禁煙する ・6~8時間の睡眠をとる ・ストレス解消方法を見つける 血圧管理 ・塩分の多い食事を控える ・毎日血圧を測る 糖尿病管理 ・血糖値、血圧を測る ・薬を忘れずに飲む ・食事計画に従う 適度な運動 ・20分~30分程度の運動を週3回程度行う ・ウォーキングやストレッチなどの軽い運動から始める 脳梗塞は高血圧や糖尿病、喫煙による動脈硬化によって引き起こされるため、これらの症状を予防する必要があります。 特に高血圧は脳梗塞の1番の要因となっているので、塩分の多い食事が多い日本人には血圧管理や糖尿病管理が必須です。 まずは無理なく日常的に取り入れられる対策から始め、習慣化していきましょう。 まとめ:脳梗塞の後遺症も回復見込みはある 脳梗塞の後遺症は適切なリハビリと治療を継続していくことで、改善や回復が期待できます。 後遺症の内容に応じて、自宅での自主リハビリやリハビリテーション施設の通所を継続していきましょう。 時には理学療法士・言語聴覚士・作業療法士によるフィードバックを受け、回復に向けた取り組みを見直すことも大事です。 また脳梗塞の後遺症の改善方法として、リハビリのほかに再生医療という選択肢もあります。 当院では幹細胞を活用した治療で、損傷した脳細胞や血管の回復・再生を目指しています。 幹細胞治療は後遺症の改善のほかに、再発予防にも繋がるため、再発予防に取り組みたい方にも最適です。 早期の治療が回復の鍵になるので、気になる方はお早めにご相談ください。
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健康の不安を抱えていて、自身が脳梗塞を発症するリスクについて知りたい方は多いのではないでしょうか。 脳梗塞は、年齢が上がるほど発症リスクが高まる傾向にありますが、50歳以下の若い世代でも脳梗塞になる可能性があるため、注意が必要です。 本記事では、脳梗塞における年齢別の発症率や、高齢女性に多い理由などを解説します。 脳梗塞を発症しやすい年齢や要因を把握して、予防に役立てましょう。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳梗塞の治療として注目されている再生医療に関する内容や症例を公開中です。 後遺症の改善も期待できる治療法なので、将来的な不安がある方は、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞における年齢別の発症率 脳梗塞における年齢別の発症率は、以下の通りです。 年代 人数 割合 総数 119,100人 100% 0~14歳 100人 約0.08% 15~34歳 400人 約 0.34% 35~64歳 12,100人 約 10.16% 65~69歳 7,400人 約 6.21% 70~74歳 14,900人 約 12.51% 75歳以上 84,200人 約 70.68% 厚生労働省のデータによると、2023年に脳梗塞を発症した約12万人の内、およそ9割が65歳以上※でした。 ※厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」 脳梗塞は、どの年齢でも起こりうる可能性がありますが、とくに高齢の方に発症しやすいといえます。 高齢の方が脳梗塞になりやすい主な原因は、以下の通りです。 高血圧 不整脈 加齢による血管の柔軟性の低下 心臓の機能低下 そのため、早い段階から生活習慣の見直しや定期的な検査を受けるなどして予防を心がけましょう。 以下の記事では、脳梗塞と同様に脳血管の疾患である脳出血の再発や予防についてまとめていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。 脳梗塞の年齢別発症率を男女別で比較 男女別の脳梗塞を発症した人数と、年齢の中央値※は、以下の通りです。 ※出典:日本脳卒中データバンク「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」 性別 脳梗塞を発症した人数 脳梗塞を発症した中央値 男性 8,401人 75歳 女性 6,116人 82歳 上記のデータからわかるポイントは、下記の通りです。 男女とも、年代と共に脳梗塞を発症するリスクが高まる 男性は脳梗塞を発症した人数が多い 女性は高い年齢で脳梗塞を発症する傾向にある 年代や性別によって脳梗塞のリスクが異なることを把握し、予防につなげましょう。 脳梗塞を高齢女性が発症しやすい要因 脳梗塞を高齢女性が発症しやすい要因は、以下の通りです。 ホルモンバランスの変化 不整脈を発症しやすい 妊娠高血圧症候群 女性特有の閉経や出産などが原因であることがわかっています。以下で詳しく解説しますのでご覧ください。 ホルモンバランスの変化 閉経に伴うホルモンバランスの変化は、脳梗塞を高齢女性が発症しやすい要因の一つです。 閉経を迎えると、女性ホルモンの1種であるエストロゲンの分泌が減少します。 エストロゲンは女性らしい体を作るだけでなく、血管を保護する役割も担っているため、血管のダメージが蓄積しやすくなり脳梗塞を発症する可能性が高まります。 脳梗塞が心配な方は、エストロゲンと似た作用がある大豆イソフラボンを含む大豆製品を食事に取り入れるのも一つの手です。 閉経後の日本人女性が大豆製品を週5日以上食べると、週に0~2日しか食べない人と比べて脳梗塞になるリスクが約36%低い※という報告があります。 ※出典:がん対策研究所予防関連プロジェクト「イソフラボンと脳梗塞・心筋梗塞発症との関連について」 不整脈を発症しやすい 中年期から高齢の女性は、男性と比較して不整脈を発症しやすい傾向にあります。 不整脈は、脈の速さが不規則になる状態を指し、ストレスや更年期による自律神経の乱れなどが主な原因です。 とくに、不整脈の一種であり心臓の上部の部屋が細かく震える心房細動は脳梗塞と密接な関係があります。 心房細動がある人は、ない人と比べて脳梗塞のリスクが約5倍高い※というデータもあります。 ※出典:PubMed 心房細動は心臓の動きが不規則になるため、心房内の血液がよどんで血の塊ができやすくなります。 血の塊が脳に流れて血管に詰まると、脳梗塞を引き起こす可能性が高まります。 そのため、動機や脈の乱れを感じたら、脳梗塞を防ぐためにも早めに医療機関を受診しましょう。 妊娠高血圧症候群 妊娠高血圧症候群は妊娠中に血圧が高くなる疾患で、重症化すると合併症で脳梗塞を発症するケースがあります。 妊娠高血圧症候群になった場合、産後10年から15年で脳梗塞を含む脳卒中を発症するリスクが約2倍※に上がるので注意が必要です。 ※出典:PubMed 一般的に、妊娠高血圧症候群は分娩後に少しずつ改善されますが、血管へのダメージは残っています。 そのため、産後も生活習慣の見直しや血圧の記録などで体調を管理すると、脳梗塞の予防につながります。 脳梗塞の初期症状が出た場合は早期に医療機関を受診しよう 脳梗塞の症状が出た場合、早急に救急病院や脳神経外科などの医療機関を受診しましょう。 代表的な脳梗塞の初期症状は、以下の6つです。 初期症状 主な例 顔のしびれや顔のゆがみ コップで水を飲もうとしたらこぼしてしまう ろれつが回らない 「ぱ」「た」「か」などが発音し辛い 感覚が鈍感になる 熱い・冷たいがわからない、お風呂の温度をあまり感じない 手足の力が入りにくい 箸が持ちにくい、両手を前に出すと片方の手が落ちてしまう めまいや吐き気 小脳に脳梗塞が起きている可能性がある 目のかすみやぼやけ 両目の視野が欠けたりぼやけたりする 脳梗塞を早期に治療できれば、大きな後遺症が現れるリスクが低下します。 たとえば、発症してから4時間以内であれば、血栓を溶かす薬を点滴で投与する血栓溶解療法と呼ばれる治療を受けられます。 とくに、3時間以内に血栓溶解療法を受けると約33%の確率で良好な結果を得られる※というデータがあります。 ※出典:国立循環器病研究センター「治療開始時間、年齢、脳梗塞重症度が血栓溶解療法(rt-PA静注療法)に及ぼす影響を、国際試験の統合解析から解明」 そのため、脳梗塞が疑われる症状がある際は、医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。 脳梗塞の年代別発症率に関するよくある質問 脳梗塞の年代別発症率について、よくある質問は以下の通りです。 脳梗塞はどの年齢層に多い? 若い世代でも発症する? 50代で脳梗塞になる割合は? 脳梗塞を予防するためにできることは? 脳梗塞の発症リスクや予防法について知りたい方は、参考にしてください。 脳梗塞はどの年齢層に多い? 厚生労働省の調査によると、2023年に脳梗塞を発症した方の9割が65歳以上※でした。 ※厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」 上記のことから脳梗塞は、年齢に伴って発症リスクが高まるといえます。 また、発症しやすい年齢は男女に差があることがわかっています。 脳梗塞を発症した年齢の中央値は男性が75歳で女性が82歳※と、女性の方が高い年齢で発症する傾向がみられました。 ※出典:日本脳卒中データバンク「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」 家族や自身の健康を守るためにも、年代ごとの発症リスクを把握しましょう。 若い世代でも発症する? 若い世代でも脳梗塞を発症する可能性があり、50歳以下で発症する脳梗塞を若年性脳梗塞と呼びます。 若年性脳梗塞の主な原因は、以下の通りです。 主な原因 特徴など 抗リン脂質抗体症候群 血液が固まり詰まってしまう血栓症や、不育症の原因にもなる自己免疫疾患の一種で、女性に多い 奇異性脳塞栓症 先天的に心臓の奇形や穴が開いていることが原因で、静脈でできた血栓が動脈に流れ込み脳血管に詰まる もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症) 脳内の太い血管が細くなることで不足した脳の血液を補うために、もやもやとした細い血管が作られる 若年性脳梗塞は遺伝的な要因や先天的な特徴など、高齢者が発症する脳梗塞とは異なる原因で起こる場合があります。 脳梗塞はどの年代でも発症リスクがある病気なので、頭痛・しびれ・めまい・ろれつが回らないなどの症状があれば早期に医療機関を受診しましょう。 50代で脳梗塞になる割合は? 50代で脳梗塞になる割合は明らかにされていませんが、全年齢における脳卒中の発症率は、人口10万人あたり約100人(=約0.1%)※とされています。 ※出典:島根県健康福祉部健康推進課「島根県保健医療計画 第5章 医療提供体制の現状、課題及び施策の方向」 脳卒中とは、脳梗塞や脳出血など脳の血管に関わる疾患の全般を指します。 また、同調査によると脳卒中を発症した患者のうち、50代の男性は6.0%、女性は3.7%を占めていて、40代に比べて50代から患者の割合が増加していることがわかりました。 50代から健康への意識を高めて、将来のリスクに備えましょう。 脳梗塞を予防するためにできることは? 脳梗塞を予防するためにできることは、適度な運動や、食習慣の見直し、良質な睡眠、禁煙などです。 年代によってリスクや対策が異なるため、以下の点に注意して脳梗塞を予防しましょう。 年代 予防ポイント 39歳まで 生活習慣病を防ぐため、食事や運動などの生活習慣を見直す 40歳から64歳まで 定期健診で血圧や血糖値の状態を把握する 適切な体重を維持して内臓脂肪を減らす 65歳以上 生活習慣病を予防したり治療を受ける 心配な方は、脳ドッグで詳しく検査する 水をこまめに飲み血液の循環をよくする 部屋を暖かくして血圧の上昇を防ぐ 脳梗塞は予防ができる病気です。年代に応じた対策を取り入れてリスクを軽減させましょう。 脳梗塞を発症しやすい年齢別の対策が必要 脳梗塞はどの年齢でも発症する可能性のある病気ですが、とくに高齢の方に発症しやすい※傾向があります。 ※厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」 さらに、発症の傾向は男女差があり、女性の方が男性よりも高い年齢で発症する※というデータがありました。 ※出典:日本脳卒中データバンク「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」 脳梗塞の予防には、食生活の見直しや運動の習慣化、禁煙などで、脳梗塞の症状が現れたらすぐに医療機関を受診するのも重要です。 また、新たな脳梗塞の予防法として、再生医療が注目されています。 以下では、当院「リペアセルクリニック」の脳梗塞の再生医療について詳しく解説していますので、ご覧ください。
2024.12.17 -
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脳卒中とは、脳の血管障害が原因で発症する疾患群の総称で、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気です。 脳卒中には3種類あり、それぞれの病型で特徴や原因が異なります。 本記事では、脳卒中の種類や特徴についてわかりやすく解説します。 また、脳卒中を予防するために日常生活でできることも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 一度損傷した脳細胞は回復しないといわれていますが、近年では脳卒中の治療に先端医療である再生医療が注目されています。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳梗塞をはじめとする脳卒中に対する再生医療に関する情報を配信中です。 脳卒中の症状や後遺症リスクを下げるためにも、発症後すぐの対応がとても重要です。 将来的な不安がある方は、今のうちに再生医療ではどのような治療を行うのか知っておきましょう。 脳卒中の種類は大きく3つに分類される 脳卒中には、主に3つの種類があります。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 3種類の疾患について、それぞれ詳しく解説します。 脳梗塞 脳梗塞は脳卒中のひとつで、脳梗塞の中でも以下の3種類の病型に分類されます。 ラクナ梗塞 高血圧が原因で穿通動脈と呼ばれる細い血管が詰まり発症する脳梗塞 脳梗塞の範囲が直径15㎜以下と小さく、症状に気づきにくい アテローム血栓性脳梗塞 動脈硬化により脳内の血管が狭くなり、血栓ができることで起こる 悪玉コレステロール(LDL)などで作られたプラーク(粥種)が原因の動脈硬化 硬化が原因でもろくなった血管は、血栓ができやすく、脳梗塞になりやすい 心原性脳塞栓症 心臓にできた大きな血栓が脳に運ばれ、脳血管を詰まらせて発症する脳梗塞 心臓の機能が低下すると、血流が滞り血栓ができやすくなる 太い脳血管に血栓が詰まるため、症状が重く、後遺症も出やすい ラクナ梗塞で症状が出現しない場合は、「無症候性脳梗塞」と呼ばれ、検査などで偶然発見されるケースがあります。 アテローム血栓性脳梗塞のプラークは、悪玉コレステロール以外に脂質が原因になる可能性もあります。 脳出血 脳出血は、脳内にある細い血管が破れて出血する疾患です。 脳出血の原因の多くは高血圧であると言われており、脳出血患者の46%は高血圧症の治療中※であったとの研究結果もあります。 ※参考:日本神経治療学会「Ⅲ.脳出血」 以下の記事では、脳幹で生じた脳出血の回復見込みや、早期にリハビリテーションを行う重要性について解説しているので、ぜひ参考にしてください。 くも膜下出血 くも膜下出血とは、くも膜下腔(脳の表面とくも膜の間)に出血が生じる疾患です。 こぶのように膨らんだ脳動脈瘤と呼ばれる血管が破裂して、くも膜下腔に流れ出すケースが約8割※を占めています。 ※出典:健康長寿ネット 重症の場合には、呼吸が止まってしまったり不整脈を伴う場合もあります。 以下の記事では、くも膜下出血を発症した患者さまにご家族ができることや、回復過程について解説しているので、合わせてご覧ください。 【種類別】脳卒中の主な原因 脳卒中の原因は、以下のように種類によって異なります。 脳卒中の種類 原因 要因 脳梗塞 脳の血管が詰まり、血流が遮断される ・高血圧 ・血栓 ・動脈硬化 など 脳出血 脳血管が破れて出血する ・高血圧 ・動脈硬化 など くも膜下出血 くも膜と脳の間の血管が破裂する ・脳動脈瘤の破裂 ・動静脈奇形 ・頭部外傷 など 脳梗塞の原因は「血管が詰まる」ことですが、脳出血とくも膜下出血の原因は「血管の破裂」によるものです。 どの疾患でも高血圧など脳血管への継続的な負担によって発症する可能性があります。 脳卒中を予防するためにできること 脳卒中を予防するために、3つの点に注意しましょう。 血圧管理を徹底する 食生活を改善する 適度な運動習慣をつける 以下では、注意すべき点について、それぞれ詳しく解説します。 血圧管理を徹底する 脳卒中を予防するには、原因となる高血圧を防ぐために血圧管理を徹底することが重要です。 高血圧は脳卒中のリスク因子です。高血圧を放置すると動脈硬化が進み、血管の詰まり・破裂のリスクが上がります。 高血圧は自覚症状がない場合があるため、日々の血圧管理が大切です。 血圧管理には、食事療法、運動療法、禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス管理などの、生活習慣の改善が効果的です。 食生活を改善する 脳卒中を予防するには、高血圧や脂質異常症、糖尿病を防ぐために栄養バランスの良い食生活に改善しましょう。 とくに、塩分の過剰摂取は生活習慣病や高血圧につながります。 20歳以上の食塩摂取目標値は男女ともに7.0g未満です。高血圧の予防のためには1日あたり6g未満※に抑えるのが望ましいとされています。 ※参考:厚生労働省「健康日本21(第三次)の推進のための説明資料」 また、多量の飲酒も高血圧の要因になるため、適量に抑えましょう。適度なアルコール摂取量は、1日約20g※です。 ※厚生労働省「アルコール」 適度な運動習慣をつける 適度な運動習慣をつけることで血圧を下げる効果が期待でき、脳卒中の予防につながります。 1日に30分の有酸素運動を続けると、高血圧患者の血圧は約3mmHg※低下することが期待されています。 ※厚生労働省「高血圧の人を対象にした運動プログラム」 高血圧の方でなくても、適度な運動習慣は生活習慣病や高血圧、糖尿病の予防にも効果的です。 脳卒中の種類に関するよくある質問 脳卒中の種類に関するよくある質問にお答えします。 脳卒中の種類の割合は? 脳卒中と脳梗塞の違いは? 脳卒中の前兆は? 脳卒中に後遺症はある? 各質問について、それぞれ詳しく回答します。 脳卒中の種類の割合は? それぞれの発症の割合は、脳梗塞が約70%、脳出血が約11%、くも膜下出血約4%、その他脳血管疾患が約16%※で、脳梗塞が半数以上を占めています。 ※参考:日本生活習慣病予防協会「脳梗塞の調査・統計」 脳梗塞の中にも3種類の病型がありますが、それぞれ30%ずつの割合です。心原性脳塞栓は加齢とともに増加傾向にあります。 それぞれの病型で重症度や予防法が異なるので、できるだけ早く病型を特定するためにも早期に医療機関を受診しましょう。 脳卒中と脳梗塞の違いは? 脳卒中と脳梗塞は、意味と対象となる疾患の範囲が異なります。 脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の脳血管障害を総称した呼び方です。 脳梗塞はその中でも、脳の血管が詰まって血流が遮断される疾患のことを呼びます。脳梗塞の主な原因は動脈硬化や血栓です。 脳梗塞は、脳卒中の中でも発症の割合が高い疾患です。 脳卒中の前兆は? 脳梗塞が起こる前触れを、一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)といいます。 突然症状が現れ、24時間以内に消失してしまうケースが多いです。 一過性脳虚血発作の症状が現れたら、症状が治まっても、すぐに病院に行きましょう。 脳卒中に後遺症はある? 脳卒中の主な後遺症は以下の5つです。 身体が動かしづらい しびれなどの感覚障害 視野の障害 記憶障害や注意力の低下(高次脳機能障害) うつ症状 脳の損傷範囲によっては、身体を動かしづらいなどの運動障害が現れる可能性があります。 運動障害は、筋力トレーニングや歩行訓練を行うことで、改善が期待できる後遺症です。 高次脳機能障害は、記憶障害や注意力の低下を引き起こし、日常生活に大きな影響を与える場合があります。反復練習を通じて回復を図ることが可能です。 また、脳の感情を司る部位が損傷を受けると、うつ症状や意欲の低下を引き起こすケースもあります。 うつ症状はカウンセリングや認知療法により、改善が見込まれます。 脳卒中の種類を理解して予防に努めよう 脳卒中の種類には、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3種類があり、それぞれ原因や要因が異なります。 いずれの種類でも脳血管に負担がかかる高血圧が大きな原因となるため、生活習慣の見直しや適度な運動が大切です。 バランスの良い食事や定期的な運動によって血圧を低下させる効果が期待されます。 また、もし脳卒中になってしまった場合に備えて、治療法について知っておくことが大切です。 脳卒中になった場合は、血圧を下げたり出血を止める薬の投与や、必要に応じて手術が行われます。その後は機能回復のため、なるべく早期からのリハビリ開始が望まれます。 後遺症からの回復や再発予防には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療は患者さま自身の細胞を利用するため、拒否反応が起こるリスクが低い治療法として注目されている先端医療の一つです。 将来的な不安がある方は、この機会に再生医療について知っておきましょう。
2022.01.26 -
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脳卒中は発症後どれだけ早く初期治療を受けられるかで、その後の回復に大きな影響を与えます。 本記事では「脳卒中発症後の初期治療の重要性」について詳しく解説します。 脳卒中の発症後はできるだけ早い対応が求められるため、自分や家族が倒れた時にすぐ対応できるようにしましょう。 機能回復に重要なリハビリや再生医療による治療方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 脳卒中(脳梗塞)は倒れてからの時間より発症後の時間が重要 脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があり、これらを発症してしまった場合は、一刻も早く治療を受ける必要があります。 特に「脳梗塞」は、発症からの時間がその後の回復に大きな影響を与えます。 重要なのは倒れた時間ではなく、最初に症状が現れた時刻です。 頭痛やしびれなど、軽微な症状が出始めた時点が発症時間となります。 救急車を呼ぶ際も、「何時頃から症状が出始めたか」を正確に伝えられるよう、時間を記録しておくことが大切です。 脳梗塞は発症から4.5時以内の初期治療が鍵となる 脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要 くも膜下出血は早急に救急車を呼ぶ 4.5時間経過後も初期治療は重要!諦めずにすぐ病院へ 脳卒中を疑ったら可能な限り早く専門医を受診しましょう。 脳の障害は発症後、時間が経つほど症状が大きくなり後遺症も重度になる可能性が高いです。 また脳梗塞では、発症してから4.5時間以内に行えるt-PA点滴治療、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療の血管内治療があります。 脳梗塞は発症から4.5時間以内の初期治療が鍵となる 脳梗塞を発症後、4.5時間以内に初期治療を受けることが重要です。 脳梗塞になると、脳に血液を送る血管が詰まり、脳に血液が流れなくなることで脳の神経細胞が死んでしまいます。 しかし、脳梗塞の発症から4.5時間以内なら、血栓を溶かすt-PA治療が行えます。 t-PA治療は、血管内の血栓を溶かすことで詰まった脳血管を再開通させ、脳細胞への血流を回復させます。 発症から治療開始までの時間が遅くなるほど脳の神経細胞が死滅するリスクが上がるため、早急に治療を受ける必要があります。 脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要 脳出血(脳内出血)は発症から1〜6時間程度で出血が止まりますが、意識障害など重症になる可能性があるため、早期受診しましょう。 脳出血とは、脳内の血管が破れて脳内に出血する病気のことです。 出血した血液が固まって血腫となり脳を圧迫することで吐き気や意識障害などを引き起こします。 脳出血を発症してから6時間以上経過しても、意識障害などの重度な症状が出ない場合は手術せずに様子をみることが多いです。 しかし、発症後に意識障害まで悪化してしまうと命に関わる可能性があります。 早期受診することで症状が悪化した時に病院ですぐ対応できるようにすることが重要です。 くも膜下出血を発症した場合は早急に救急車を呼ぶ くも膜下出血を発症した場合は、できる限り早く医療機関へ搬送できるよう救急車を呼びましょう。 脳の血管が破裂したことで、脳の表面を覆っているくも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こる病気のことです。 くも膜下出血の原因でもっとも多い脳動脈瘤が破裂してしまうと、24時間以内に再破裂する可能性があります。 再破裂して出血すると死亡率は約50%といわれており、初期治療では再出血の予防が重要になります。 主な初期症状は「突然の激しい頭痛」「嘔吐」「意識障害」などがあり、一時的に症状が治ることもあるため、異変を感じたらすぐに医療機関へ相談しましょう。 4.5時間経過後も初期治療は重要!諦めずにすぐ病院へ 脳梗塞の治療は発症から4.5時間以内のt-PA静注療法が有効ですが、それを過ぎても諦める必要はありません。6時間以内なら血管内治療など、まだできることがあるのです。 発症時刻が不明でも、MRI検査で判断できればt-PA静注療法を検討できる場合もあります。 さらに、脳卒中専門病棟での治療と早期リハビリで、4.5時間を過ぎても良好な効果が期待できます。 大切なのは、できるだけ早く専門的な治療を始めること。脳梗塞の疑いがあれば、躊躇せずに救急車で専門病院へ行きましょう。 諦めずに治療を受けることが、その後の回復と生活の質を大きく左右します。 急性脳卒中のガイドライン/FASTで脳卒中(脳梗塞)か判断 急性脳卒中を診断する際には、「FAST」と呼ばれるガイドラインが使用されます。FASTは、脳梗塞を早期発見するためにチェックするポイントの頭文字を合わせたものです。 FACE:顔 うまく笑顔が作れますか? 片側の顔だけが歪んでいたり、ひきつっていないか、顔の麻痺状態をチェックしましょう。 ARMS:腕 腕を上げたままキープできますか? 両腕をゆっくりと上げ下ろししてみて、腕の麻痺が起きていないかどうかをチェックします。もしも両腕を前に上げた際に、片腕だけが脱力して腕が上げられなければ要注意です。 SPEECH:話 短い文がいつも通り話せますか? 簡単な問いかけ(例えば本人の名前や今日の日付など)をしてみて、正しい返答があるかどうかをチェックしましょう。 TIME:時間 発症時刻を確認。 脳梗塞の場合、発症してからの時間によって治療内容が変わります。発症後3〜4.5時間以内であれば、薬物により血栓を溶かす治療が可能となることがあります。 周りにいる人が突然倒れたり、自分でおかしいなと思ったら、上記の4点を確認して、速やかに救急車を呼びましょう 症状が消えても油断できない一過性脳虚血発作(TIA)について 脳梗塞は突然襲ってきます。夜中のトイレ、朝の起床時、日中の活動中など、発症のタイミングははっきりしているケースがほとんどです。 ところが、最初の症状が徐々に和らいで消えてしまうことがあります。これを「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼びます。 一過性脳虚血発作(TIA)は、脳梗塞の前触れとして、同じような症状が一時的に現れる現象です。数分から数十分、長くても24時間以内に症状が消えます。 症状が一時的でも、一過性脳虚血発作(TIA)を経験した人は、再び脳卒中に襲われる危険性が非常に高いため油断は禁物です。 もし一過性脳虚血発作(TIA)かもしれないと思ったら、一刻も早く医療機関を受診しましょう。 脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきこと 脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきことや、対応のポイントを解説します。 意識があるとき 意識がないとき 救急車を呼ぶ 脳卒中で倒れるほどの症状が出ている場合は、時間との戦いです。 後遺症のリスクを抑え、回復する確率を少しでも上げるために、できるだけ早く医療機関を受診して初期治療を受けましょう。 意識があるとき とにかく周囲に助けを求め、できるだけ動かずその場で横になることが原則です。周囲の人は、マットや毛布の上に患者さんを乗せて、広いところに移動して寝かせましょう。 これは脳への血流を保つこと、血圧上昇による出血の悪化や、再出血を予防するためです。横になれる場所が近くになくても、自分で立って歩くべきではありません。 なぜなら脳の血管が詰まって症状が出ている時には、歩くことで脳への血流が悪くなり、脳の障害がひどくなる恐れがあるからです。 意識がないとき こちらからの呼びかけや、体をゆすっても反応がまったくない、一時的に目を開けてもまたすぐに閉じて眠り込んでしまう。 さらに目は開いていても応答が曖昧な場合は、周囲の人が慎重に機敏に対応しなくてはなりません。 意識がないときの対応ポイント 倒れたまま意識がない時は救急車が到着するまで、以下のポイントを意識して対処しましょう。 1.適切な場所への移動 敷物などに寝かせ、処置や運び出しがしやすい場所に移動 戸外であれば、風通しのよい日陰に移動させる 頭をできるだけ動かさない(特に前に曲げない) 2.気道の確保と誤飲の防止 頭を前屈させない(=枕をしない) いびきや呼吸が苦しそうな時は、バスタオルや座布団などを巻いて肩の下に敷く(首を反らせ気味にすると、呼吸が楽になることが多い) 嘔吐しそうな時は、誤飲や窒息を防ぐため体ごと横向きに寝かせる(麻痺がある時は、麻痺側を上に向ける) 3.環境調節 上着のボタンを外し、ズボンのベルトを緩める 眼鏡、腕時計などのアクセサリー、入れ歯を外す 照明をやや暗く、室温を20℃程度にして換気をする 脳卒中発症後すぐに生命の危険があるのは、重症のくも膜下出血を除けばほとんどありません。落ち着いて上記の3点をすぐに実行してください。 救急車を呼ぶ 脳卒中が疑われる時は、一刻も早く専門医の受診が必要になります。通院治療中のかかりつけ医がいる場合は、専門の医療機関を紹介してもらうのが良いでしょう。 すぐに連絡がつかない場合は、直ちに119番に電話し、救急車を呼びましょう。受診予定の病院には、あらかじめかかりつけ医や救急隊から連絡し、搬送予定の患者の病状を説明した上で受け入れ可能か確かめておけば無駄な時間を省いて搬送できます。 重症の場合ではもちろんですが、軽症と思われる時も救急車を利用してください。 これは一刻も早く救急搬送するためであり、また搬送の途中で急に容体が悪化することも十分あり得るからです。 もしも救急車が他の現場へ出動中などで到着に時間がかかる時は、患者さんに横向きに寝てもらって、家族や周囲の人が車を運転し、病院へ運んでください。 ただし、患者さん本人が運転したために大事故を起こした例や、手遅れになるほど病状が悪化した例もあるため、患者さんが自分で運転して病院へ向かうのは絶対にやめましょう。 脳卒中(脳梗塞)で倒れたらどんな後遺症が残る? 脳卒中、特に脳梗塞は治療後も様々な後遺症が残ることがあります。 主な後遺症とその症状は以下の通りです。 後遺症 主な症状 運動麻痺 片側の上下肢が動かなくなる 感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり、過敏になったりする 目の障害 視野狭窄、複視、半盲などの症状が長期間残ることも 構音障害 呂律が回りにくくなる 嚥下障害 飲み込みにくくなる 高次脳機能障害 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、病識欠落など多岐にわたる 失語症 言葉が出にくくなったり、理解できなくなったりする 半側空間無視 外界の半側(主に左)に注意が向かなくなる 自発性障害 自ら進んで動作や会話ができなくなる 脳梗塞の後遺症は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。脳梗塞になった場合は、このような後遺症についても理解しておくことが重要です。 脳卒中(脳梗塞)の後遺症に対する治療 脳卒中(脳梗塞)の後遺症は、患者さんの日常生活に大きな影響を与えます。 しかし、適切なリハビリテーションと治療により、後遺症の改善が可能です。 理学療法 作業療法 感覚統合訓練 認知リハビリテーション 薬物治療 など リハビリテーションは、急性期、回復期、維持期に分けて行われ、それぞれの時期に応じた適切なアプローチが重要です。 後遺症からの回復には時間がかかりますが、粘り強いリハビリテーションを続けることで、多くの患者さんが自立した生活を取り戻すことができます。 リハビリや治療に関して、詳しくは以下の記事をご覧ください。 脳卒中(脳梗塞)の回復には早期のリハビリが重要 脳卒中の治療後は、さまざまな後遺症が残ってしまう可能性があり、機能回復のために早期のリハビリが重要です。 一般的に脳卒中の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられているため、後遺症が回復する見込みがあります。 そのため、発症から6ヶ月後までの「回復期」と呼ばれる期間にリハビリを積極的に行いましょう。 脳梗塞の後遺症に効果的なリハビリ内容について詳細が知りたい方は、以下をご参考ください。 脳卒中(脳梗塞)の治療法としての選択肢「再生医療」 脳卒中(脳梗塞)の治療法としては、脳梗塞や脳出血に対する効果が認められてきている再生医療という選択肢もあります。 再生医療では、主に幹細胞治療とPRP療法の2つを行います。 幹細胞治療:患者さま自身から採取した幹細胞を培養して投与。ご自身の幹細胞を利用するため副作用などリスクが少ないのが特徴です。 PRP療法:患者さま自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を患部に注射します。こちらもご自身の血液を利用するため副作用などリスクは少ない治療方法です。 特に幹細胞治療は脳神経細胞の修復および再生と、脳の血管を新しく再生させるという2つの大きな作用があり、脳卒中の再発予防にも効果的です。 特に以下のような方が治療対象になります。 うまく話せない 痺れや麻痺をなんとかしたい もうこれ以上の機能の回復が見込めないと診断を受けた方 リハビリの効果を高めたい 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の再発を予防したい 再生医療について興味がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 【まとめ】脳卒中の発症後は時間との戦い!その時に取るべき行動や知っておきたいこと 早期発見や早期治療がその後の予後に大きく関わります。 運動麻痺、感覚障害、高次脳機能障害など、患者さんの日常生活に大きな影響を与える後遺症に対して、適切なリハビリテーションが重要です。 脳卒中の後遺症からの回復には時間がかかりますが、あきらめずに継続的なリハビリテーションに取り組むことで症状の改善が目指せます。 また自分が脳卒中の危険因子に当てはまる場合は、再発予防のためにも生活習慣を見直し、検診を受けるように心がけましょう。 現在既に脳卒中後の後遺症で悩んでいる方は、後遺症の改善・再発予防として再生医療もご検討ください。 脳卒中の症状の多くはリハビリを重ねていけば改善が見込めるものの、慢性期を過ぎてしまった場合はリハビリ効果が低くなっていきます。 そうしたケースに対して、後遺症の回復効果が期待できるのが再生治療です。 脳卒中の治療法でお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」で行っている無料相談をご利用ください。
2022.01.25 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
くも膜下出血は、半身麻痺や運動や言語などの神経障害など、多くの後遺症が残る可能性があります。 くも膜下出血の原因は、髄膜という脳の組織の内側にある軟膜と、中間にあるくも膜のすき間にあるくも膜下腔の出血です。 この記事ではくも膜下出血による右脳と左脳の後遺症の違いや、症状からリハビリまで詳しく解説します。 くも膜下出血の後遺症は右脳と左脳で異なる? くも膜下出血の後遺症は、半身麻痺の場合、右脳では左半身に、左脳では右半身に麻痺症状が出ます。 これは運動機能の中枢は、右脳と左脳の両方にあり、右脳は左半身の運動機能に、左脳は右半身の運動機能につながっているためです。 また、運動機能だけでなく、視覚なども同じ機能のため、右脳と左脳とでは現れる後遺症に左右の違いがあります。 くも膜下出血の後遺症 くも膜下出血の後遺症は、出血した部位や出血量、発症後から治療までの時間などによって、症状や後遺症に違いがあります。 出血量が多い場合や治療が遅れた場合は、脳血管攣縮による脳梗塞などを発症し、その結果として高次脳機能障害や運動障害などの後遺症が残ることがあります。 くも膜下出血の主な症状には次のような後遺症があります。 高次機能障害 運動障害 言語障害 感覚障害 視野障害 嚥下障害 排尿障害 感情障害 それぞれの症状について解説していきます。 高次脳機能障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状に、高次脳機能障害があります。 高次脳機能障害は、脳の損傷による認知障害全般を指していて、失語・失行・失認や、記憶障害、注意障害、遂行機能障害などの症状が含まれます。 また、高次機能障害は外見では判断しにくいことや、本人が認識していないなどの特徴があります。 運動障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状は、運動障害です。脳の運動に関わる部位がダメージを受けると、身体を思い通りに動かせなくなります。 運動障害の1つである麻痺は、症状の程度や出現する部位によって名称が決まっています。 麻痺や運動障害の重さ 痙縮 筋肉が重く、突っ張った感じがする程度 不全麻痺 部分的な麻痺、わずかな麻痺 完全麻痺 まったく動かない麻痺 不随意運動 無意識に手足が動いてしまう異常運動 例)健側に力を入れると麻痺側の手足が勝手に動く 運動失調 筋力低下や麻痺がないにも関わらず、協調運動ができない状態 例)小脳の障害により、歩行バランスが悪くなり上手に歩けなくなる 麻痺の現れる部位別の名称 単麻痺 片半身の上肢あるいは下肢だけの麻痺 片麻痺 右半身あるいは左半身の上下肢の麻痺 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳の外傷などで起こる 対麻痺 両下肢の麻痺 スポーツや交通事故、転落・落下による脊髄損傷で起こる場合が多い 四肢麻痺 両側の上肢と下肢の両方が麻痺した状態 脊髄損傷や脳性麻痺などによって起こる くも膜下出血の発症部位の反対側に運動障害が現れることを「半身麻痺」といいます。障害部位と反対側に麻痺が起こる理由は、脳からの指令を全身に伝達する神経が首のあたりで交差しているためです。 右脳に障害がある場合は、左半身の運動機能が障害されて左半身麻痺になる 左脳に障害がある場合は、右半身の運動機能が障害されて右半身麻痺になる 言語障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状に、言語障害があります。言語障害は、構音障害(運動障害性構音障害)と失語症に分けられます。 脳の障害部位により、うまく話せない理由が異なるため注意が必要です。 構音障害(運動障害性構音障害) くも膜下出血の後遺症による言語障害に、構音障害(こうおんしょうがい)があります。 構音障害は声が出にくかったり、呂律が回らなかったりする言語障害です。 構音障害が起こると、口や舌などの発声・発語器官がうまく機能しなくなってしまいます。 失語症 くも膜下出血の後遺症の1つに、失語症があります。 失語症とは、脳の言語中枢が障害されて考えている言葉とは異なる言葉が出たり、聞いた単語を理解できなくなったりする症状です。 失語症の患者さんは、”言葉がわからない国に、突然放り出されたような状態”となります。 相手の言葉を理解できず、自分の思いも上手に伝えられないためコミュニケーションにストレスを感じやすいのが特徴です。 感覚障害 くも膜下出血の後遺症に感覚障害があります。感覚神経の異常反応によって視覚・聴覚などの知覚に異常が生じたり、鈍くなったりする障害です。 半身の感覚が麻痺したり手足がしびれたりすると、痛覚や温度感覚などが鈍くなる感覚障害が現れる場合があります。 視野障害 くも膜下出血の後遺症に、視野障害があります。視野障害のひとつ「Terson(テルソン)症候群」は、くも膜下出血に伴う眼内出血が原因です。 主に硝子体と呼ばれる部位に出血することで知られています。 症状としては、目のかすみや浮遊物がみえるなどがありますが、さらに悪化すると視力の低下など日常生活に支障を来す場合があります。 嚥下障害 くも膜下出血を発症すると、嚥下障害(えんげしょうがい)が起こる可能性があります。嚥下障害は、食べ物の飲み込みが上手にできなくなる症状です。 嚥下(飲み込み)障害には、窒息や誤嚥性肺炎のリスクもあるため注意が必要です。 排尿障害 くも膜下出血により排尿に関わる神経が障害されると、排尿をコントロールできなくなる症状が現れます。 排尿障害の症状例は、以下のとおりです。 失禁 頻尿 尿が出ない 尿意を感じない 排泄に関する症状はデリケートな内容であるため、周囲の人に伝えられずにストレスを感じる場合もあります。 感情障害 くも膜下出血の後遺症に、感情障害があります。感情障害で出現する症状は、以下のとおりです。 意欲の低下 感情失禁(少しのことで、喜怒哀楽が激しく現れる) 幻覚や妄想 また、気分障害の一種である「うつ病」になる場合もあります。うつ病は気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力をコントロールできなくなる病気です。 うつ病の主な症状は、抑うつ気分や不安感、焦燥感(しょうそうかん:焦りやイライラ感)、不眠、食欲低下などです。 くも膜下出血の後遺症により、日常生活に支障をきたすショックがうつ病の原因になります。 くも膜下出血の後遺症に対するリハビリ くも膜下出血の後遺症に対するリハビリは、「急性期」「回復期」「維持期」の3段階に分けられます。 症状や障害の程度に応じて、理学療法(基本動作)、作業療法(日常生活動作)、言語聴覚療法(コミュニケーション機能)を組み合わせてリハビリを実施します。 急性期リハビリテーション くも膜下出血の急性期リハビリテーションは、発症からおよそ1~2カ月以内※ とされています。 ※出典:厚生労働省「脳卒中に関する留意事項」 発症直後はベットから起き上がれない状態となることが多いため、麻痺した側の手足の関節が固まってしまうことや、麻痺していない筋力が低下する可能性があります。 そのため、急性期では手足を動かしたり、筋力をつけるなど、ベットサイドで簡単にできるリハビリを行います。 回復期リハビリテーション くも膜下出血の回復期リハビリテーションは、発症からおよそ3~6ヵ月とされています。 主に、立ち上がりや歩く動作のほか、箸の練習から着替えなど、日常生活における動作を中心に行われます。 回復期で行われるリハビリは、歩行といった日常生活の確立を目標として実施されます。また、機能が低下している部分の回復も重要です。 維持期リハビリテーション くも膜下出血の維持期リハビリテーションは、発症から6ヵ月以降とされています。 回復期で行ってきたリハビリの継続や、取り戻した身体機能の維持など日常生活の自立と社会生活への復帰を目指す段階です。 つまり、維持期ではくも膜下出血によって、後遺症として残った機能障害の改善だけでなく、生活の質の向上を目的としています。 くも膜下出血の後遺症改善のための選択肢「再生医療」について 近年、くも膜下出血だけでなく脳出血や脳梗塞などにおいて、新たな治療の選択肢として再生医療があります。 くも膜下出血を含む脳卒中に対する治療として、再生医療の幹細胞治療が行われています。 再生医療について詳しい情報をご希望の方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 無料のメール相談やオンラインカウンセリングを承っております。 【まとめ】くも膜下出血の後遺症は早期リハビリと適切な治療が重要 くも膜下出血による後遺症は、神経症状など個人によって差があります。 しかし、急性期から維持期まで、適切なリハビリを行うことにより低下した身体機能を回復させ、日常生活への支障を軽減することができます。 くも膜下出血に対する治療法としては、再生医療も選択肢の一つとして挙げられます。再生医療は、患者様自身の幹細胞を採取・培養し、体内の損傷した部位に投与する治療法です。 くも膜下出血による後遺症にお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へ一度ご相談ください。
2022.01.22