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インピンジメント症候群の手術後の痛みと回復期間について インピンジメント症候群は、症状が慢性化すると痛みがなかなか治まらなくなるので、痛みを取り除く治療法として手術が必要になります。しかし、手術の後の痛みや、どれくらいで回復するのかといったことが不安な方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、手術の方法や術後の痛みと回復、社会復帰の時期について紹介します。 インピンジメント症候群の手術方法と回復 慢性化したインピンジメント症候群は、手術による治療が必要です。現在は内視鏡を使った「鏡視下肩峰下除圧術(きょうけんかけんぽうかじょあつじゅつ)」が一般的で、関節内に内視鏡を入れて手術を行います。 具体的には炎症を起こしている滑液包(かつえきほう)の掃除をしたり、肩峰(けんぽう)に出来た骨の棘を切除したりします。痛みや炎症の原因となる部分を取り除くことから、「クリーニング手術」とも呼ばれています。 鏡視下肩峰下除圧術による傷 鏡視下肩峰下除圧術は、1㎝程度の孔を3~4箇所あけるだけです。全身麻酔30分程で行います。皮膚を大きく切開することはないため、手術の傷跡が目立たないことが特徴です。 手術後の回復 鏡視下肩峰下除圧術のために入院した場合、大体入院期間は9日~10日になります。この日数からしても、あまり回復に時間がかからないことが分かるかと思います。 鏡視下肩峰下除圧術は手術の傷が小さいため、回復も早くなります。そのためリハビリも早くから始められる人がたくさんいます。 手術後の痛み 滑液包や骨の棘といった炎症の原因を取り除いたため、手術後は痛みがほぼなくなるか軽減します。実際、インピンジメント症候群で手術を受けた多くのスポーツ選手が現役に復帰しています。 手術後に退院・社会復帰する時期 インピンジメント症候群で手術を行う場合、先ほどご紹介したように入院期間は9日~10日であることが多いです。そして、手術の傷が小さく回復が早いため、患者さんの体調が大丈夫であればリハビリを開始出来る時期も早まります。 リハビリが順調に進めば、早期退院・社会復帰も可能となります。 まとめ・インピンジメント症候群の手術後の痛みと回復期間について インピンジメント症候群は手術をすれば痛みの症状が治まります。スポーツ選手も手術によって現役復帰している人がたくさんいます。また、傷口が小さい手術は、比較的患者さんの体にかかる負担が少ないため、早い回復とリハビリの開始が期待できます。 とはいえ、初期のうちに発見し、手術による治療を必要とせず回復出来たほうが良いことには変わりません。症状が慢性化する前に医師の診察を受けるようにしましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
投稿日:2024.03.21 -
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インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群は、肩を酷使することで起こる病気です。 インピンジメント症候群の症状は主に痛みで、進行すると肩を使った動作がしにくくなったり、安静にしている夜の間も痛みが出たりと、なかなか厄介なことで知られています。 そこで今回は、インピンジメント症候群の症状例について詳しく紹介します。 インピンジメント症候群で痛みを感じる理由 なぜインピンジメント症候群になると痛みを感じるのでしょうか。 それは、肩関節にある「滑液包(かつえきほう)」という部分で出血や炎症による腫脹(しゅちょう)が起きているからです。 初期のうちは安静にすることでこの炎症が治まりますが、同じ動作を繰り返すなど、スポーツを続けていたり、仕事などでいつもの動作を繰り返すことにより、炎症が反復します。 その結果、痛みや引っかかりなどの症状が慢性化します。 慢性化すると肩のインナーマッスルである「腱板(けんばん)」が断裂したり、肩の先端部分「肩峰(けんぽう)」の下に骨の棘が出来たりします。こうなると、痛みがなかなか取れなくなっていきます。 インピンジメント症候群のテストについては下記の記事で詳しく解説しています。 インピンジメント症候群の症状例 インピンジメント症候群の症状には、以下のようなものが挙げられます。 肩の痛み インピンジメント症候群の代表的な症状例としては、肩の痛みがあります。 インピンジメント症候群の人は、肩を上げていく時と上げた位置から元に戻す時に、ある角度で痛みを感じます。初期のうちは、特定の動作をした時だけ痛む場合が多いです。 肩の引っかかり 肩を上げる際に引っかかりを感じることがあります。スムーズに動かすことが出来なくなり、ある角度からそれ以上腕が上がらなくなります。 肩を回すと音が鳴る 肩を回した時に「ポキポキ」した音が鳴ることがあります。これは肩が凝っている時にもなることがあると思いますが、この「ポキポキ」音の他に、先程ご紹介した肩の引っかかりや痛みを感じる場合は、インピンジメント症候群の可能性があります。 筋力の低下 インピンジメント症候群は痛みや引っかかりの他、筋力の低下を招くことがあります。 肩に痛みがあると、肩を動かすことが難しくなります。そのため、肩周辺の筋肉が減少し筋力低下に繋がりやすくなるためです。 夜間の痛み インピンジメント症候群は、進行すると動作をした時以外にも痛みを感じるようになります。安静にしている時や、夜間にも痛みが出始めます。 インピンジメント症候群の治療法 保存療法 インピンジメント症候群は、初期のうちならリハビリと注射の保存療法で治ることが多いです。以下に保存療法で行われる治療についてまとめました。 安静にする 今まで症状がなかった場合、初期だと考えられますので、まずは安静にしましょう。 痛みが起こったら、炎症が治まるまで無理せず安静にします。とにかく痛みを感じる動作を避けることがポイントです。安静にしていることで肩関節の炎症が治まり、症状が軽くなります。また、処置として患部を冷やしたり、圧迫したりすることもあります。 リハビリ 痛みや引っかかりなどの症状が慢性化している場合に有効な治療法です。慢性化しているのは、肩の動きに問題があることが多く、肩をスムーズに動かせるようにすることが根本的な解決になります。そのため、処置ではなくリハビリが効果的なのです。 リハビリの方法としては、弱い筋肉と硬い筋肉のバランスを整えることと、動作学習があります。動作学習は、正しい動きを体に覚えさせることを目的としています。 注射 注射は、肩関節の炎症を鎮めることを目的としています。 肩関節に副腎皮質ステロイドやヒアルロン酸を注射し、痛みを軽減します。 手術療法 リハビリや注射でインピンジメント症候群の痛みや炎症が治まらない時、治し方としては手術を検討します。 インピンジメント症候群治療の手術は、内視鏡を用いた「鏡視下肩峰下除圧術(きょうしかけんぽうかじょあつじゅつ)」です。この手術は、手術の傷が小さい、回復が早い、社会復帰も早いといったメリットが多いという特徴があります。 保存療法から手術療法へと切り替わるのには、基準があります。 それは3ヶ月〜6ヶ月以上リハビリや注射を行っても、症状が改善しなかった場合です。手術で痛みの原因を取り除くことで、症状の軽減が期待出来ます。 手術の特徴 内視鏡を使用し、全身麻酔で大体30分の手術になります。内視鏡を入れるための孔は1㎝程度で数は3〜4箇所。手術の傷も小さく、術後の回復も早いことが特徴です。 特にスポーツ選手であれば、術後の回復が早いことは大きなメリットになりますよね。リハビリも早くから始められるため、早期退院も可能となります。 インピンジメント症候群を発症した野球選手は、この手術を受けると復帰率が高くなるとも言われています。 手術後の痛みと回復期間についてはこちらもご覧ください インピンジメント症候群は野球選手がなりやすい!? インピンジメント症候群は、スポーツ選手の中でも特に野球選手に多い疾患です。プロ野球選手なら良いということでは決してありませんが、私は高校野球のピッチャーが投げ続けている姿を見ると、「大丈夫かな、大丈夫かな…肩を壊さないでよー!」と心配になります。今回は、野球選手がインピンジメント症候群になってしまったとき…その後どうなる?ということについてまとめました。 野球選手に多いインピンジメント症候群 インピンジメント症候群が野球選手に多いのは、肩を酷使することが原因の1つとして挙げられています。野球でボールを投げたり、飛んできたボールを打ったりする時、腕と肩には負荷がかかっています。 野球では試合時間が長く、同じ選手が長時間ボールを投げ続けることがあります。その結果、肩に負担がかかりやすくなります。特に、ピッチャーなど投球を繰り返すポジションの選手は、インピンジメント症候群を発症しやすいのです。 インピンジメント症候群からの復帰 野球選手はインピンジメント症候群になりやすいのは事実ですが、「この病気にかかったから選手生命が絶たれる」というわけではありません。 インピンジメント症候群は、原因をきちんと確認し正しく対処すれば十分改善可能なのです。実際、多くの野球選手がこの病気から復帰しています。初期のうちに見つけることが望ましいですが、手術をした後でも復帰することは出来ます。 ただし、インピンジメント症候群にかかった野球選手は、治療によって復帰も可能ですが、以前と同じポジションではいられないこともあります。治ったと言っても、あまり無理なことは出来ません。 重要なのは動作分析 インピンジメント症候群の原因を突き止めるには、動作分析が欠かせません。動作分析とは、痛みが出る動きなどを分析することです。 野球選手の場合、ほとんどがボールを投げようとした時になるかと思います。その痛みを感じる時の動きと姿勢を分析して、体のどこに問題があるのかを明らかにして行きます。 インピンジメント症候群は、姿勢に問題がある場合も少なくありません。 まとめ インピンジメント症候群は、特に肩を酷使する野球選手に多い疾患であり、肩関節に炎症があることで、痛みが発生して動作に制限がかかります。 初期段階の場合、安静にすることで症状を軽減できますが、慢性化すると腱板の断裂や骨の棘の形成など、より深刻な症状を伴う可能性も少なくありません。 症状が改善しない場合は、正しい動作分析を行い、適切な治療を受けるようにしましょう。 早期対処・再発防止に努めることが、スポーツ選手としてのキャリアを守る鍵となります。
投稿日:2024.11.19 -
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「肩が痛いけど、これってインピンジメント症候群かも?」 「病院に行く前に何か自分で確認できる方法はないのかな?」 このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。肩の痛みが慢性的になると、日常生活にも大きな影響を与えます。インピンジメント症候群は、早期に発見して対処するのが重要です。 この記事では、自宅でできるセルフチェック方法をわかりやすく解説します。さらに症状を和らげるためのセルフケアや治療法についても紹介していきます。 インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群は、肩を動かす動作で痛みを感じる病気です。 肩を頻繁に使うスポーツ選手はもちろん、一般人でも発症すると言われています。しかし、肩の痛みがあったからと言って、すぐにインピンジメント症候群かどうかはわかりません。そこで今回は、インピンジメント症候群の診断方法に使うテストについて解説します。 インピンジメント症候群のセルフチェック項目 インピンジメント症候群かどうかセルフチェックしたい場合は、下記の項目に当てはまるか確認しましょう。 ・肩を上げたときに痛みがあるか ・夜間に肩の痛みを感じるか ・腕を上げるのが困難か ・肩を動かすときに引っかかる感じがあるか ・肩を動かすとゴリゴリと音がするか ・腕を内側にひねると痛みが増すか ・重い物を持つと肩に痛みが走るか ・肩の痛みが長期間続いているか セルフチェック項目に当てはまる場合は、早めに病院での検査を受けましょう。 病院で行うインピンジメント症候群のテスト項目 インピンジメント症候群は4つのテストによって診断できます。 以下でテストのやり方と特徴をまとめています。病院を受診する前の参考としてご確認ください。 Neersテスト Neersテストとは、肩関節を使うテストです。 まず、痛みのある方の肩を上から押さえますが、動かないようにするのがポイントです。そして、肩を押さえたまま腕を伸ばしましょう。肘をまっすぐに伸ばしたまま小指を上にして、そのまま内側にひねって天に向けて上げます。 このときに腕の付け根に痛みを感じたら、インピンジメント症候群の可能性があります。 Hawkinsテスト Hawkinsテストとは、肘関節を使うテストです。 まず、痛みのある方の腕を前方へ水平になるように上げましょう。このとき腕をまっすぐにするよう意識してください。腕を上げたら、その状態のまま肘を直角に曲げ、手をひねりながら内側に倒します。 このとき肩に痛みを感じたら、インピンジメント症候群の可能性があります。 また、NeersテストとHawkinsテストは1人でもできますが、2人で行うのが一般的です。 有痛弧サイン 有痛弧サインは、肩関節の運動を調べるテストで、肩関節の可動域と痛みが出る部位の確認を目的としています。インピンジメント症候群の人は、弧を描くように腕を上げた際に、関節の角度が80°〜120°になると痛みを感じると言われています。 インピンジメント注入テスト インピンジメント注入テストとは、肩関節に注射をするテストです。 局所麻酔薬を肩峰下滑液包内に注入した後、肩の動作時痛など特有の症状が治まる場合、インピンジメント症候群を発症している可能性があります。 インピンジメント症候群の治し方 インピンジメント症候群の治療には、症状の進行度や個別の状況に応じた対応が必要です。 痛みの軽減や機能改善を目指して、治療法を選択しましょう。 ・痛み止めを服用する ・リハビリ・ストレッチをする ・手術を受ける 痛み止めを服用する インピンジメント症候群の痛みが強い場合、一時的に痛み止めを服用すれば症状を緩和できます。 痛み止めを服用すると炎症を抑えられて痛みが軽減します。日常生活での不快感を軽減するのに痛み止めは有効です。 痛み止めを服用している期間に運動を控えて、症状が改善するか観察します。 リハビリ・ストレッチをする インピンジメント症候群を改善するためには、適切なリハビリやストレッチが欠かせません。 肩周りの筋肉を強化し柔軟性を高めると、炎症を抑えられ関節の動きをスムーズにできます。 ただし、痛みがある中で無理にストレッチを行うと、症状を悪化させてしまうリスクがあるため、過度な負担は避けるべきです。 定期的なリハビリを続けると、症状の改善が期待できます。 手術を受ける インピンジメント症候群が進行してリハビリや薬物治療で改善しない場合は、手術を検討する段階です。 手術では、肩関節の炎症を引き起こしている部位を除去し、腱板や滑液包の機能を回復させます。 インピンジメント症候群では、関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術が一般的です。小さな切開で済むため、回復も比較的早いとされています。 手術後にはリハビリが必要ですが、症状の根本的な解決が期待できます。 インピンジメント症候群を疑う方は医療機関を受診しよう 肩を上げたときの痛みや、ゴリゴリと音が鳴るなどセルフチェック項目に該当する場合はインピンジメント症候群の可能性があります。 肩の違和感や痛みに悩まされている方は、放置せずに医療機関を受診して、早期に適切な治療やリハビリを始めましょう。
投稿日:2024.11.06 -
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肩の関節が突然痛くなる!その原因と治し方を徹底解説 いつもと変わらず日常生活を過ごしているのにも関わらず、突然肩が痛くなることは、珍しいことではありません。首や肩の筋肉に知らず知らずのうちに負担をかけていて、ある日一線を超えたかのように痛みとして感じられるようになります。 今回は、肩の関節が痛くなる原因と、その治し方についてご紹介していきます。 肩の関節は可動域が広い 肩の関節の大きな特徴は、可動域が広いということです。肩甲骨の関節窩と、上腕骨頭で構成されている肩関節は、球関節なので様々な軸で動作を行うことができます。 上腕の外転や内転、上腕の外旋や内旋、肩関節の屈曲と伸展という動きが主です。 脱臼をしやすい関節でもある 肩関節は可動域の広さが確保されているのと同時に、構造上脱臼をしやすい関節でもあります。肩甲骨にある関節窩が浅く、上腕骨頭を支持するには形態的に足りないのです。 特に、肩関節を外転外旋位にもっていくと、脱臼のリスクが高まります。一度脱臼をすると周囲の軟部組織や骨を損傷することがあり、再脱臼を起こしやすいというのも特徴です。そんな肩関節の支持性を高めているのがローテーターカフと呼ばれるインナーマッスルで、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の 4 つで構成されています。 ローテーターカフで正しい動作と安定性を補っている ローテーターカフの役割はただ単に肩関節を安定させるだけでなく、動作の中で肩甲骨や上腕の細かな動きを調整しています。例えば肩関節を外転させていく場合、ローテーターカフがしっかり働かなければ上腕骨頭の下制力が無くなり、そのまま肩甲骨の上部へと脱臼してしまいます。 ローテーターカフが明らかに筋力を発揮しているのを感じることは難しいですが、機能していないと肩関節の動きはかなり制限されることになります。 肩関節の動きには様々な骨が関わる 日常生活の中で肩関節が突然痛みを発しやすい原因の一つとして、関わる骨や筋肉が多いということも挙げられます。 肩関節を動かすためには、肩甲骨と上腕骨の動きはもちろん、鎖骨、胸骨、肋骨など様々な骨に付着する筋肉が関わっています。 そのため、鎖骨で異常が起きても肩関節の動きに影響しますし、胸骨や肋骨で異常が起きても肩関節の可動域は狭くなるのです。 肩の関節が痛いときの原因とは 肩関節で痛みが出る原因には、何が考えられるのでしょうか。 五十肩 五十肩は外傷などの後遺症として発生することもありますし、明確な原因なくある日突然痛みを発生させることもあります。肩関節周辺の筋肉に負担を蓄積し、緊張した筋肉によって動きのズレを生み、そこから肩関節の炎症へとつながっていくのです。 中高年の年代に多いことから五十肩と呼ばれますが、医学的な用語で説明すると、肩関節周囲炎ということになります。五十肩は炎症期といって特に痛みの強い時期が存在します、そこを過ぎれば少しずつ痛みは軽減していくものです。 しかし、痛みの軽減後も可動域の制限が残るケースがあります。これは炎症を抑える治療だけでは改善しきれないので、運動療法や背骨の矯正などで少しずつ可動域を戻していくことが必要です。 野球肩 野球など投球動作の繰り返しによる負担の蓄積で起きた症状を、野球肩と言います。オーバーユースによっておきた肩関節周辺の軟部組織損傷を総称している言葉なので、一言で野球肩といっても人によって病態は様々です。 筋肉に疲労を溜めすぎて硬くなっているだけというケースもありますし、関節唇の損傷を起こしているケースもあります。中にはそこから肩関節の亜脱臼を起こすこともあります。 野球肩になってしまった場合は、まず投球動作の中止が必要です。投球をしながらだと、治療期間もかなり長くなります。投球動作の中で、特にコッキング期からアクセレレーション期に移行する瞬間に負担がかかりやすいので、体の使い方そのものを改善していく治療方法が有効です。 石灰沈着性腱板炎 腱板とは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋それぞれの腱の束のことで、その付近に石灰が沈着して炎症を起こす病態です。特徴的なのは夜間痛で、痛みのために睡眠が邪魔されることもあります。 五十肩と症状の出方が似ていますが、夜間痛や動作時の痛みの強さ、画像診断などで判断していきます。カルシウムの代謝異常が原因であることはわかっていますが、何がきっかけで石灰沈着が起こるのか不明な点も多い病態なのです。 腱板断裂 上記の項目でもご紹介した、4 つの筋肉の腱から構成される腱板を断裂してしまっていると、当然肩の関節で痛みを引き起こします。腱板が断裂してしまう原因は様々で、転倒や打撲による負傷、肩関節のオーバーユースなど、急性でも亜急性でも両方考えられます。 特に棘上筋が断裂する頻度が一番高く、フルキャン(フルカン)テストなどでどの筋肉に問題が起きているのか鑑別することが可能です。 上腕二頭筋長頭腱炎 上腕二頭筋の長頭が、上腕骨の結節間溝を走行しています。結節間溝は肩関節の前側にあり、長頭と摩擦が起きることで炎症になることがあります。上腕二頭筋の過度な緊張や使い過ぎによって徐々に起こるものです。 肩の動き、肘の動き、前腕の動き全てに関わる筋肉なので、日常生活の中でも痛みの頻度は高いでしょう。 肩峰下滑液包炎 肩鎖関節の下あたりに位置する肩峰下に、関節の滑りを良くする滑液包が存在しています。動作の中でその肩峰下にある滑液包を挟み込んで炎症を起こしてしまい、肩関節の痛みとして感じられることがあります。多くは注射などの外科的治療が選択されることになります。 肩の関節が痛いときの治し方 それでは、肩の関節が突然痛くなってきたときに、どのように対処したらよいのかご紹介していきます。 肩や首を温める 筋肉が硬くなっていることによって肩関節で痛みが出る場合もありますが、それは温めることで痛みを緩和させることが出来ます。100 %痛みが軽減するとは言いきれませんが、多くの場合は一時でも楽になります。 血流が良くなれば筋肉の緊張も取れやすくなるので、ぶつけていないし捻ってもいない、自分では原因が不明な肩関節の痛みについては温めてみるという価値は十分あります。お風呂に浸かってじっくり温まることも良いですし、蒸しタオルを肩や首にあてるだけでも良いセルフケア方法です。 逆に冷えてしまうことで痛みを悪化させるケースもあるので、温めないまでも冷やさないということが大切です。 安静を保つ 肩を動かすと痛いという場合は、痛みのある動きをなるべく避けることも大切です。人間は痛みを感じると、無意識のうちにそこをかばって行動するようになります。 肩の関節で痛みが出れば、背骨や肘、手首の動きで肩関節の機能低下を代償するようになるので、必然的に他の部位でも不調が起こります。まずは安静にして、少しでも痛みが和らぐのか確認してみてください。 しかし、あまりにも肩を気にしすぎて全く動かさなくなると、そこから五十肩に移行したり、すでに五十肩の場合は治療期間を長引かせたりすることにもなりかねません。痛みのない範囲では積極的に動かしておきましょう。 整形外科に相談する 突然肩の関節が痛くなり、しばらくしても痛みが引かない場合は、整形外科を受診するのがまず確実です。レントゲンや、場合によってはMRIを使って精査してくれることもあります。石灰沈着を起こしていればレントゲンでわかりますし、関節の変形なども画像診断で判断できます。 逆に、骨や代謝物の異常が無いということもわかるので、筋肉にアプローチすべきなのか治療方法を絞り込むこともできます。肩で痛みが出た場合に、精査した結果何も異常が見つからないと余計に心配になることがあるかもしれません。 しかしそれは、アプローチすべき個所が絞られるとも言えるのでむしろプラスに捉えるべきでしょう。 接骨院に相談する 石灰沈着などは注射などの薬物療法が行われることもありますが、肩関節周囲炎など筋肉が原因で起きている痛みの場合、接骨院での治療で十分改善していくことが可能です。 場所によっては整形外科よりも受付時間が長いことの方が多いので、通院しやすいかもしれません。接骨院ではレントゲンは撮影できませんし、薬の処方も出来ません。痛み止めを使うほどの痛みでは無ければ、手技療法や電気療法、罨法などを熱心に施術してくれる接骨院を選びましょう。 肩関節の治療方法 肩関節の治療のやり方には、どのような方法があるでしょう。 電気治療 電気治療の目的は、筋緊張の緩和と血流の改善です。低周波や干渉波の治療器が肩関節の痛みに有効であるケースもあります。電気治療が受けられるのは整形外科や接骨院で、一般的には接骨院の方が使用頻度も高いでしょう。 ただ、捻挫や打撲などと違う、日常生活の軽微な外力で発生した肩関節の痛みについては、電気治療が根本的な治療方法になるわけではありません。電気治療に加えて、運動療法など他のアプローチも組み合わせることになるでしょう。 温熱療法 温めることで肩関節の痛みが緩和されることもあります。ホットパックと呼ばれる電気の温熱器具を使ったり、ホットタオルなど蒸しタオルを使ったりする方法です。 ホットパックは乾性の温熱で、ホットタオルは湿性の温熱と呼ばれています。温めるという効果は同じなので、よりリラックスできる方が良いでしょう。その他にも、赤外線を使って患部を温熱する方法もあります。 赤外線の良いところは、より深部の組織を狙って温めることができるという点です。整形外科でも接骨院でもどちらでも受けることが出来ます。 手技療法 いわゆるマッサージやストレッチなどの治療方法で、自分で肩関節を動かすというよりは、施術者の手によって他動的な運動で動作を行っていきます。マッサージにもストレッチにも言えることですが、あまりにも強すぎる刺激は逆効果になることがあります。 刺激が強すぎると、自分の体を守ろうとして逆に筋緊張を起こすこともあるのです。リラクゼーション目的であれば自分の好きな強さで施術を受ければ良いですが、目的が治療なのであれば、強ければ強いほど良いというわけではありません。 運動療法 肩の動かし方が悪いせいで、肩関節に痛みを発生させているケースがあります。ゴムチューブなどを使ってローテーターカフを鍛えたり、正しく筋力発揮ができるようにしたりするのが目的です。 肩関節が痛い場合、多くのケースでは筋力が足りないわけではありません。筋肉の量の問題なのではなく、使い方に問題があるのです。軽微な外力によって負担を溜めることで、徐々に筋緊張が広がっていきます。 その結果肩関節の動作で微妙にズレを起こし、動作のたびに痛みを発生させるのです。 背骨や骨盤の矯正 肩関節の痛みが、実は背骨のゆがみのせいで起きているというケースもあります。背骨が歪んでいれば肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節の可動域制限に繋がります。 自分でも試してみるとすぐに感じられると思いますが、背中を極端に丸めて両腕を挙上するよりも、背中をまっすぐ伸ばして両腕を挙上した方が挙げやすいはずです。このように、肩関節自体に問題が無くても、背骨のゆがみのせいで可動域制限や痛みを発生させていることは大いに考えられることなのです。 肩関節は放っておいても改善しにくい 少しぶつけた程度あれば、時間が経過すれば回復するものです。しかし、肩関節の痛みは時間が経過しても改善しない症状も多く、むしろ悪化する可能性が高いです。早めに専門医に相談して、対処しておきましょう。以上、肩の関節が突然痛くなる!その原因と治し方を徹底解説いたしました。参考になれば幸いです。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 肘や筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘・筋肉の痛みは?原因と対策は? ・肘から下の痛みは背骨が原因か?前腕が痛む原因で考えられる疾患 ・テニス肘とゴルフ肘の正しい治し方となりやすい条件とは 肘をぶつけてからずっと痛みが治まらない時、考えられる原因は? ・肘の外側が痛い場合の対処法は?外側上顆炎や神経痛の場合も 腕に関連する記事はこちら 腕が上がらないのは病気のせい?考えられる症状は何 当院の治療についての考え方や 再生医療についての内容もお読みください ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ
投稿日:2024.11.19