膀胱炎の治し方を医師が解説|自力でできる方法や治療法を紹介
公開日: 2020.07.20更新日: 2025.06.30
膀胱炎(ぼうこうえん)は、細菌感染が原因で膀胱に炎症が起こる病気で、排尿痛や残尿感などの症状がみられます。
膀胱炎は女性に多く見られ、再発しやすい症状の1つです。
本記事では、現役医師が膀胱炎の正しい治し方について詳しく解説します。
また自力でできる効果的な予防策やセルフケア、そして医療機関での適切な治療法まで、幅広くご紹介。
膀胱炎のつらい症状を和らげ、繰り返さないための具体的な方法を学べます。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、免疫力低下による膀胱炎の再発に不安を持つ方に向けて、免疫力を高める再生症例や治療内容を紹介しています。
膀胱炎による悩みを解消して、日常生活を快適に過ごしたい方はご確認ください。
目次
【自力でできる】膀胱炎を発症した際の対処法・治し方
膀胱炎を発症した際は、以下の3つの対処法を取ることが大切です。
膀胱や尿道に細菌が繁殖しないように生活習慣を見直し、膀胱炎の再発を防ぎましょう。
水分を多くとる
膀胱炎にかかったら、水分をたくさん摂ることがとても大切です。
水を多く飲むことで排尿の回数が増え、膀胱にいる雑菌を体の外へ排出することができます。
目安としては、普段よりも意識して、1日に1.5リットルから2リットルの水を飲むと良いでしょう。
カフェインやアルコールは利尿作用がありますが、膀胱への刺激になる可能性があるので、カフェインの少ない水やお茶がおすすめです。
排尿を我慢しない
尿意を感じたらすぐにトイレへ行き、排尿を我慢しないようにしましょう。
日常的に排尿を我慢する習慣があると、膀胱の機能が低下し、排尿後に尿が残ってしまう「残尿」が増える恐れがあります。
残尿が増えると、膀胱内に雑菌を多く含んだ尿が長時間溜まることになり、細菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。
これが膀胱炎のリスクを高める原因となります。
尿意がない場合でも、意識的に決まった時間にトイレに行く、あるいはトイレの前を通った際に立ち寄るなど、こまめな排尿を習慣づける工夫をしましょう。
局所を清潔にする
膀胱炎にかかった際は、症状の悪化を防ぐために局所を清潔に保つことが重要です。
局所の清潔を保つ方法は、以下の通りです。
- おりものシートや生理用ナプキンをこまめに変える
- 定期的にトイレへ行く
- 性行為は控える
- シャワーや入浴で身体を綺麗にする
膀胱炎の原因となる雑菌の繁殖を防ぐため、おりものシートや生理用ナプキンはこまめに交換しましょう。
また、定期的にトイレへ行くことで尿道に雑菌がとどまる時間を短縮できます。
性行為は尿道からの雑菌侵入リスクを減らすため控えるのが賢明です。
シャワーや入浴で体を清潔に保ち、常に衛生的な状態を心がけましょう。
膀胱炎の治療方法
膀胱炎の治療方法は、基本的に薬物療法になります。
ここからは、以下の膀胱炎の種類別の治療方法を解説していきます。
それぞれの膀胱炎のタイプによって、適切な治療薬や治療期間が異なります。
膀胱炎の具体的な治療法について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
急性単純性膀胱炎
女性が発症しやすい急性単純性膀胱炎は、尿道から侵入した細菌が膀胱内で増殖することで起こる、比較的軽度な膀胱炎です。
主な症状は、排尿時の痛み・頻尿・残尿感・尿の濁り・血尿が挙げられます。
急性単純性膀胱炎の治療法は、以下の抗菌薬の内服によって行われます。
対象 | 薬剤 | 1日の服用回数 | 服用期間 |
---|---|---|---|
閉経前の女性 | レボフロキサシン | 1日1回 | 3日間 |
シプロフロキサシン | 1日2-3回 | 3日間 | |
セファレキシン | 1日3回 | 7日間 | |
アモキシシリン/クラブラン酸配合剤 | 1日3回 | 7日間 | |
閉経後の女性 |
セファレキシン | 1日3回 | 7日間 |
アモキシシリン/クラブラン酸配合剤 | 1日3回 | 7日間 |
急性単純性膀胱炎は上記の抗菌薬の服用によって、数日から1週間程度で改善します。
閉経前・閉経後の女性で処方される薬が異なるのは、閉経後の女性はキノロン系薬剤への耐性を持つ菌が多い傾向にあるためです。
症状が改善しても自己判断で服用を中止すると、菌が完全に死滅せず、再発する可能性があります。
決して自己判断で服用を中止せず、医師の診断を仰ぐようにしましょう。
複雑性膀胱炎
複雑性膀胱炎は、前立腺肥大症・尿路結石・糖尿病などの基礎疾患がある場合に起こる膀胱炎です。
単純性膀胱炎と異なり、基礎疾患の治療も行わないと治りにくく、再発しやすいのが特徴。
そのため、基礎疾患の治療と並行して、以下の抗菌薬による治療も並行して行います。
種類 | 薬剤 | 1日の服用回数 | 服用期間 |
---|---|---|---|
第一選択 | レボフロキサシン | 1日1回 | 7〜14日間 |
シプロフロキサシン | 1日2〜3回 | 7〜14日間 | |
難治例 | カルバペネム系注射薬 | 医師の判断による | 3〜14日間 |
第4世代セファロスポリン系注射薬 | 医師の判断による | 3〜14日間 |
第一選択薬を投与して効果が感じられない場合は、難治例に投与される薬が選択されます。
これらの治療は検査の結果に基づき、医師が慎重に判断します。
自己判断での服薬中止は、症状悪化や耐性菌発生のリスクを高めるため、必ず医師の指示に従いましょう。
ESBL産生菌による膀胱炎の場合
ESBL産生菌は、多くの種類の抗菌薬を分解する酵素を作り出す菌です。
この菌は膀胱炎の治療に用いられる抗菌薬が効きにくく、治療が難しくなります。
治療には、ESBL産生菌に効果のある以下の抗菌薬が選択されます。
- ホスホマイシン
- ファロペネム
ESBL産生菌による膀胱炎は再発しやすい傾向にあるため、治療が終わった後も油断はできません。
医師の指示に従い、定期的に検査を受けることが非常に大切です。
膀胱炎を繰り返す方におすすめしたい治し方
膀胱炎を繰り返しやすい方は、日常生活での予防策と、場合によっては新しい治療法を検討することが大切です。
膀胱炎を繰り返している方は、日常生活の中で以下の点に気をつけましょう。
- 睡眠を十分にとる
- ストレスや疲労を溜めない
- 栄養バランスの良い食事を摂取する
- 水分摂取を習慣化する
- 再生医療で免疫力を改善する
上記の生活習慣を改善し、免疫力を高い状態で維持することで、膀胱炎の再発防止に繋がります。
生活習慣を改善しても膀胱炎を繰り返してしまう方は、再生医療による治療を検討してみましょう。
再生医療は、患者様自身の免疫細胞を採取し、体外で培養して数を増やし、活性化させてから点滴で体内に戻す治療法です。
リペアセルクリニックでは、この治療により、体の内側から免疫力を高め、膀胱炎の予防を目指します。
再生医療について詳しく知りたい方は、当院のメール相談・オンライン診療にてご相談ください。
再⽣医療で免疫⼒を⾼めることができる時代です。
膀胱炎を繰り返す原因
膀胱炎を繰り返している方は、以下の点を見直してみましょう。
心当たりがある方は、これらの点に注意して生活するようにしてください。
性行為による刺激や接触
性行為は、膀胱につながる尿道口に細菌が入り込むリスクがあり、膀胱炎を繰り返す一因となります。
膀胱へ細菌が侵入するのを防ぐには、身体を清潔に保つことが重要です。
対策として、性行為の前後でシャワーを浴びる習慣をつけると良いでしょう。
また性行為後に排尿することは、尿道周辺に侵入した可能性のある細菌を洗い流す効果が期待できます。
さらに、手に付着した細菌が尿道に触れることで感染を引き起こすのを防ぐため、手洗いを徹底することも大切です。
これらの対策を徹底し、尿路に細菌が侵入するリスクを減らしましょう。
女性の場合は月経による体質の変化が原因の場合も
女性が膀胱炎を繰り返しやすい要因として、月経による体質の変化が大きく関わっています。
何故なら、女性ホルモンの分泌が月経によって低下するとともに、膣内の防御機能も同時に低下してしまうからです。
これにより、細菌が繁殖しやすい環境が作られ、膀胱炎のリスクが高まります。
また、月経中に使用するおりものシートや生理用ナプキンを長時間交換せずに使用していると、湿気と温かさで細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎のリスクをさらに高めてしまいます。
ナプキンを使用する際は、こまめに交換し、デリケートゾーンを清潔に保つことが膀胱炎予防のために非常に重要です。
ストレスや体調不良による免疫力低下
膀胱炎を繰り返す背景には、ストレスや体調不良による免疫力の低下が影響していることがあります。
過度なストレスは、私たちの体のあらゆる器官やホルモンバランスを司る自律神経の働きに大きな影響を与えます。
自律神経が乱れると、体内でホルモンバランスが崩れたり、免疫機能が低下したりするため、結果として膀胱炎の再発リスクが高まってしまうのです。
自律神経の乱れは、ストレスだけでなく、寝不足や不規則な食生活といった日々の生活習慣からも引き起こされます。
膀胱炎の再発を防ぐためには、自分に合ったストレス発散法を見つけ、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけるなど、規則正しい生活を送ることが非常に大切です。
心身の健康を保つことが、膀胱炎に負けない体を作る第一歩となります。
膀胱炎中にやってはいけないこと
膀胱炎になってしまった際は、症状を長引かせないためにも、以下の行動は避けるように注意しましょう。
- 性行為
- 疲れやストレスを溜める
- トイレを我慢する
- 下腹部を冷やす
- 刺激物を摂取する
- 自己判断で治療する
膀胱炎は細菌感染が原因のため、医師の処方する抗菌薬で治療を行うのが一般的です。
薬物治療と並行して、生活習慣の見直しやセルフケアを適切に行うことで、症状の早期改善が目指せます。
自己判断で市販薬を使用したり、治療を中断したりせず、必ず医師の指示に従ってください。
膀胱炎を繰り返しやすい人の特徴【チェックリストあり】
膀胱炎を繰り返す原因は多岐にわたりますが、多くの場合、日々の習慣が深く関わっています。
以下のチェックリストで、ご自身の生活習慣が膀胱炎を繰り返しやすい特徴に当てはまっていないか確認してみましょう。
- トイレを我慢することが多い
- 水分摂取量が少ない
- ストレスを溜めやすい
- 寝不足のことが多い
- 下腹部を冷やしやすい
- 不規則な食生活を送っている
- 性行為の頻度が高い
- おりものシートや生理用ナプキンをあまり変えない
- トイレットペーパーで拭く際に、後ろから前へ拭く
トイレを我慢してしまう人や排尿回数が少ない人は、尿路に細菌が付着しやすくなり、膀胱炎を繰り返す恐れがあります。
こまめにトイレに行く習慣をつけ、膀胱に尿を溜めすぎないようにしましょう。
また過度なストレスや寝不足は、膀胱炎を繰り返す原因の一つである免疫力低下に直結します。
免疫力が低下すると、細菌に対する体の抵抗力が弱まり、感染しやすくなります。
膀胱炎の再発を防ぐためには、自身に合ったストレス発散法を見つけ、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけるなど、規則正しい生活を送ることが非常に大切です。
さらに女性の場合は、性行為の前後や月経中のデリケートゾーンのケアも重要です。
性行為後の適切なケアや、おりものシートや生理用ナプキンのこまめな交換は、細菌の繁殖を防ぎます。
また、トイレットペーパーで拭く際は、必ず前から後ろへ拭くようにし、肛門付近の細菌が尿道に侵入するのを防ぎましょう。
膀胱炎の治し方を把握して適切な治療を受けよう
膀胱炎は主に細菌感染が原因で発症し、抗菌薬による治療が一般的です。
自己判断せず必ず医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう。
- 膀胱炎の治療は基本的に薬物療法
- 膀胱炎の種類によって処方される薬は異なる
- 予防策として多め水分補給・トイレを我慢しない・局所を清潔にすることが挙げられる
- ストレスや睡眠不足時にも膀胱炎になりやすい
治療と並行して、十分な水分摂取・トイレを我慢しない・ストレスを溜めないといった生活習慣の見直しが大切です。
リペアセルクリニックで行っている再生医療は、ご自身の免疫細胞を培養・投与することで、繰り返す膀胱炎の根本的な予防を目指します。
繰り返す膀胱炎でお悩みの方は、当院のメール相談・オンライン診療にてご相談ください。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師