膝関節骨壊死になるとどうなる?放置するリスクや手術せずに治療できる再生医療について解説
公開日: 2020.06.16更新日: 2025.04.30
膝関節が壊死していると診断されたとき、これからどのような症状が出てくるのか、どのような治療方法があるのか不安になります。
症状や治療法のほか、放置した場合のリスクについて知っておくと、治療方法を選択しやすくなるでしょう。
手術でなければ治療ができないといわれた場合にも、再生医療の選択肢があることも紹介します。
目次
膝関節骨壊死になるとどうなる?
膝関節骨壊死で最初に出る症状は、歩いているときに突然感じる膝の内側の痛みです。
症状が進むと、関節を動かすと痛みが出るようになり、膝に体重をかけることも辛く感じるようになります。
さまざまな状況で痛みを感じますが、歩いたり膝を曲げたりしているときだけでなく、安静にしているときにも痛みが出ることも、決して珍しい症状ではありません。
膝関節骨壊死を放置するリスク
膝関節骨壊死を治療せずに放置リスクは、以下の通りです。
変形性膝関節症を合併する可能性
膝関節骨壊死を放置すると、変形性膝関節症を合併する可能性があります。
壊死した部分から関節液が骨の内部に入り込むことで関節面の陥没につながり、膝関節が変形していくスピードが速くなります。
変形性膝関節症を合併すると進行を止められないため、痛みだけでなく関節が大きく変形して、日常生活に支障が出ます。
膝関節骨壊死を放置すれば、変形膝関節症の合併リスクがあるだけでなく、症状の進行を早めてしまうのです。
初期段階ではレントゲンに映りにくいため見逃される可能性がありますが、膝に痛みがある場合は、早期に原因を突き止めることが大切です。
初期に改善しないと手術が必要になるケースが多い
膝関節骨壊死の初期であれば、壊死の範囲も狭いため、薬やリハビリによる治療が可能です。
しかし、薬やリハビリで痛みがなくならない場合や、放置して痛みが強くなってから受診した場合には、手術が必要になることが多いです。
意図的に放置していなくても、初期段階ではレントゲンでの診断が難しく、骨壊死だとわからないケースがあります。
原因不明の状態が長く続き、膝関節骨壊死であることが判明したときには、手術が必要な状態になっていることも珍しくありません。
膝関節骨壊死の主な治療法
膝関節骨壊死と診断された場合、治療方法は主に2つあります。
それぞれどのような治療を行うのか、詳しく解説します。
保存療法
膝関節骨壊死の保存治療では、主に薬物療法・理学療法(筋力トレーニング)・装具療法の3種類を併用して行います。
薬物療法は、主に痛み止めやヒアルロン酸注射を使用し、痛みや炎症をコントロールすることを目的とした治療です。
痛みや炎症が落ち着いてきたら、筋力トレーニングやストレッチで膝周辺の筋肉や柔軟性を向上させ、骨壊死している部位への負担軽減を図ります。
また、膝関節の骨が壊死している状態は、普通に歩行するだけでも負荷がかかるため、装具療法も有効です。
膝を外側に曲げる外反装具やインソールと呼ばれる足底装具、松葉杖などを用いて、膝周辺への負担を軽減させましょう。
手術療法
膝関節骨壊死を発症し、以下のような場合は手術療法が検討されるケースがあります。
- 保存治療では痛みが治まらず、日常生活に大きな支障が出るケース
- 日常的に薬物療法に頼らなければならないほど痛みが出るケース
- 将来的に症状が進行して歩けなくなってしまう可能性が高いと医師が判断したケース
手術療法では、壊死部を除去してプレートで固定する方法と、膝関節を人工関節と取り替える方法があります。
壊死部だけを取り除いてプレートで固定すれば、関節機能の温存が可能です。
そのため、壊死の範囲が狭く、膝関節の他の部分が比較的状態が良い場合は、関節機能を温存する術式を適応されます。
従来の治療では、保存方法で症状の改善が見られなければ手術以外の選択肢しかありませんでした。
しかし、近年では手術せずに治療できる再生医療も検討できるため、選択肢の幅が広がっているといえます。
膝関節骨壊死を手術しない治療法として再生医療も選択肢の一つ
従来の治療では、保存療法で症状が抑えられない場合や改善が見られない場合は、手術しか選択肢がないといわれていました。
しかし、現在では先端医療である再生医療での治療が可能です。
再生医療とは、患者さま自身の細胞を使って損傷した軟骨を修復・再生させる治療法のことで、症状の根本的な原因を改善する効果が期待できます。
自分の血液や脂肪を使うため、アレルギー反応といったリスクが少ないことも魅力です。
手術に抵抗がある方や、手術のための長期休暇が取りにくい方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。
【まとめ】膝関節骨壊死は放置せずに早期治療が重要
膝関節骨壊死を放置すると、膝関節がすり減って変形してしまう変形性膝関節症を合併する可能性があるため、早期治療が重要です。
保存治療で改善が見られなければ、手術しか選択肢がないといわれていた膝関節骨壊死ですが、現在では再生医療の選択肢もあります。
選択肢が増えれば、自分の症状や希望に合う治療方法に出会える可能性が高くなるので、再生医療を始めさまざまな治療方法を知っておきましょう。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療に関する情報や症例を公開していますので、ぜひ参考にしてください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設