変形性膝関節症のステージ分類と進行度|ステージごとの症状や治療法を解説【医師監修】

公開日: 2020.06.19
更新日: 2025.08.30

「膝の痛みやこわばりが気になる」「症状はどれくらい進んでいるのだろう」と変形性膝関節症の進行状況に不安を抱えている方は少なくありません。

病院では「ステージ」や「グレード」という言葉で病気の進行度を説明しますが、数字だけでは自分の膝の状態がイメージしにくいことも多いでしょう。

この記事では、変形性膝関節症の進行度を表す5段階のステージ分類や各ステージに応じた症状・治療法について解説します。

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変形性膝関節症で、これまでの治療では痛みが十分に改善しなかった方や、手術は避けたいと考えている方にとって、新たな選択肢となる可能性があります。

進行が心配な方や将来のステージ悪化を防ぎたい方、治療の幅を広げたい方はご覧ください。

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変形性膝関節症における5つのステージ分類

変形性膝関節症は、KL分類(Kellgren-Lawrence分類)に基づき、グレード0から4までの5段階に分けられます。

この分類は、レントゲンで関節の隙間や骨の変化を観察して評価されます。

グレード 主な状態
KL-grade 0(正常)
  • 大腿骨と脛骨の間に十分な隙間があり、関節として正常に機能している
  • 骨棘または軟骨の下にある骨が硬くなる変化は見られない
KL-grade 1(疑い)
  • 骨の一部がトゲのようにとがっている(骨棘)
  • 関節を潤滑にする関節液が骨の内部に侵入している状態が見られる
  • 骨棘または軟骨の下にある骨が硬くなる変化が見られるケースがある
KL-grade 2(軽度)
  • 多くの場合、変形性膝関節症と診断される
  • 関節の隙間が狭くなっているものの、正常な状態の半分以上の隙間がある状態
  • はっきりとした骨棘が見られる
KL-grade 3(中等度)
  • 関節の隙間がさらに狭くなり、正常な状態の半分以下の状態
  • 骨棘形成がより顕著になる
  • 保存療法に加えて治療方針の見直しが必要になることもある
KL-grade 4(重度)
  • 関節の隙間がほぼなくなっている状態
  • 大腿骨が傾き、脛骨の位置関係にずれが生じている
  • 関節には大きな骨棘が形成されている

変形性膝関節症のグレードはレントゲン検査の結果に基づく評価のため、半月板や軟骨の詳細な状態まではわかりません。

必要に応じてMRI検査を組み合わせて、正確な診断と治療方針を決定するのが一般的です。

また、症状の感じ方や生活への影響は、同じグレードでも人によって異なります。

自分の症状がどの段階にあるのかを把握し、適切な治療を選んで変形性膝関節症の進行を防ぎましょう。

KL-grade 0|正常な状態

KLグレード0は、膝関節に損傷や変形が認められない健康な状態です。

レントゲンでグレード0と判定される目安は、以下の通りです。

チェックポイント 状態
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間 十分な隙間が確保されている
骨棘(骨の先端にできる突起) なし
軟骨下の骨が白く映る部分 なし

太ももの骨とすねの骨の隙間がしっかり確保されていると、関節軟骨がクッションの役割を果たすので、スムーズな歩行や階段の昇り降りが可能です。

しかし、KLグレード0でも将来の関節変形を防ぐための予防は重要です。

年齢とともに軟骨はすり減りやすくなり、体重増加や膝への繰り返しの負担が進行の引き金となります。

予防のためには、太ももの筋肉を鍛える軽い運動や適正体重の維持、長時間の正座や無理な負荷を避ける生活習慣が効果的です。

KL-grade 1|変形性膝関節症が疑われる状態

KLグレード1は、変形性膝関節症が疑われる初期段階です。

レントゲンでの評価ポイントは、以下の通りです。

チェックポイント 状態
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間 わずかに隙間が狭くなっている場合がある
骨棘(骨の先端にできる突起) 小さなものが出始めることがある
軟骨下の骨が白く映る部分 部分的に白っぽく見えることがある

KLグレード1では、ほとんど症状を感じないか、軽い違和感がある程度です。

しかし、膝の軟骨が少しずつ傷み始め、放置すると進行のスピードが上がる可能性があります。

軟骨は一度すり減ると自然治癒が難しく、進行を予防するには早期からのケアが重要です。

ウォーキングや水中歩行で膝周りの筋肉を鍛え、階段の昇降や深いしゃがみ込みなど負担の大きい動作を控えるなどして、痛みや変形の進行を防ぎましょう。

KL-grade 2|軽度な変形が確認できる状態

KLグレード2は、変形性膝関節症と診断される段階です。

チェックポイント 状態
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間 やや狭くなっている
骨棘(骨の先端にできる突起) はっきり見える
半月板 断裂やずれがMRI検査で見つかることがある

骨棘は、関節の軟骨がすり減って骨同士が接触し、膝にかかる負荷が集中することで形成されます。

集中した負荷に対抗するために骨でできたとげを作り、膝の安定性を保とうとする反応ですが、同時に関節の動きを妨げたり痛みの原因になったりします。

KLグレード2では、必要に応じてレントゲン以外の検査を受けることも大切です。

また、膝の衝撃を吸収する半月板の断裂や3mm以上のずれがあると、軟骨にかかる圧力が増し、痛みや変形の進行が早まることがあります。

半月板はMRIや超音波検査で初めて確認できるケースが多いため、症状に応じて精密検査を受けましょう。

KL-grade 3|中等度の変形が確認できる状態

KLグレード3は、変形性膝関節症の中等度にあたる段階です。

レントゲンでの評価ポイントは、以下の通りです。

チェックポイント 状態
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間 骨と骨の隙間がさらに狭まり、軟骨の多くがすり減っている
骨棘(骨の先端にできる突起) 複数の骨の突起がはっきり確認できる
軟骨下の骨が白く映る部分 増えている

KLグレード3は、膝の関節構造の変化が進み、レントゲンやMRIで変形がはっきり確認できる段階です。

膝に違和感や痛みを感じやすくなり、日常生活に支障が出ることもあります。

痛みが強い場合は、医師と相談して痛み止めの服用やヒアルロン酸注射などの治療を検討しましょう。

KL-grade 4|重度(末期)の変形が確認できる状態

KLグレード4は、変形性膝関節症が最も進んだ末期の状態です。

レントゲンでの評価ポイントは、以下の通りです。

チェックポイント 状態
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間 すき間がほとんどない
骨棘(骨の先端にできる突起) 大きなとげ状の骨棘が多数見られる
軟骨下の骨が白く映る部分 白く濃く映る

KLグレード4では、膝の内部構造が損なわれ、関節としてのクッション機能を果たすのが難しい状態です。

外見からも膝の変形がわかりやすく、脚がO脚やX脚に見えることがあります。

安静にしていても痛むことがあり、歩行や立ち上がり、階段の昇降など日常の動作に大きな支障が出る段階です。

手術や保存療法など、症状や生活状況に応じた治療方針を医師と十分に相談しましょう。

変形性膝関節症の症状【ステージ分類別】

変形性膝関節症の症状別の進行過程について詳しく紹介します。

一度すり減った関節軟骨が自然治癒することはほぼないため、変形性膝関節症は早期発見および治療が重要です。

初期症状に心当たりがある方は、医療機関に相談しましょう。

初期症状(ステージ1~2)

変形性膝関節症のステージ1~2に当てはまる方は、特定の動作をしたときに膝に違和感や軽い痛みを感じることが多い傾向にあります。

主な症状は、下記の通りです。

  • 膝がこわばり、重く感じる
  • 膝の動きがスムーズでなく、違和感がある
  • 動き始めや立ち上がるときに痛みを感じる
  • あぐらや正座がしづらい

初期の段階では、痛みは一時的で休むと治まることが多いため、「年齢のせい」と見過ごしてしまう方も少なくありません。

違和感や動かしにくさが続く場合は、症状の悪化を防ぐためにも早めに医療機関で相談しましょう。

中期症状(ステージ3)

変形性膝関節症のステージ3にあたる方は、膝の痛みや動かしにくさが日常生活に影響し始める段階です。

  • 膝の痛みが動作中も続く
  • 膝をまっすぐ伸ばしきれない
  • 深くしゃがめない
  • 膝が腫れて熱を持つことがある
  • 膝の変形が見られる

初期の頃は休むと痛みが治まることもありましたが、中期になると動作中も痛みを感じることが増えます。

膝の違和感や痛みを我慢せず、早めに医療機関を受診しましょう。

膝に負担をかけない生活習慣や痛み止めの使用などを取り入れて痛みの軽減や歩行の安定化を目指しましょう。

末期症状(ステージ4)

変形性膝関節症のステージ4では、膝の変形と痛みが最も進行した状態です。

  • 安静にしていても膝が痛む
  • 脚の変形が目立つ
  • 痛みや変形の影響で歩行が困難になる

末期になると、日常生活のほとんどの動作に支障が出る場合があります。

ステージ4では、症状の進行を抑えるだけでなく、生活の質を維持するための適切な治療が重要です。

医師と相談して必要に応じて手術や補助具の利用なども検討しましょう。

変形性膝関節症のステージ分類別の治療法

変形性膝関節症の主な治療方法は、以下の2つです。

2つの治療方法について、詳しく説明します。

保存療法

変形性膝関節症のステージ1~3の方は、手術を行わずに症状の進行を抑える保存療法が基本となります。

保存療法は、薬物療法や運動療法など手術をしない治療法のことを指します。

主な治療内容は、下記の通りです。

  • 鎮痛剤の内服や膝への注射で痛みを和らげる
  • 膝を支えるサポーターを装着し、関節への負担を軽減する
  • 膝に負担をかけない動かし方や運動指導を受ける

さらに、体重が膝にかかる負担の大きな原因となる場合は、食生活や運動のアドバイスも行われます。

保存療法で症状の改善が見られない場合は、手術療法も検討されます。

手術療法

変形性膝関節症のステージ3~4の方や、保存療法を6カ月続けても効果がない方は、症状や日常生活への影響に応じて手術療法が検討されます。

主な手術方法は、以下の通りです。

関節鏡視下手術
  • 内視鏡(関節鏡)を挿入してすり減った軟骨の破片や損傷した半月板を取り除く
  • 現在の痛みの原因を取り除く手術のため、疾患の根本的な改善にはならない
膝周囲骨切り術
  • 骨を切って角度を修正し、荷重を健全な部分に分散させる
  • 膝の可動域が制限されていると適応できない場合がある
人工関節単顆置換術(UKA)
  • 変形した膝関節の一部のみを人工関節に置換する
  • 全置換よりも傷跡が小さく、出血も少ない場合が多い
人工関節全置換術(TKA)
  • 損傷した膝関節全体を人工関節に置換する
  • 膝関節の痛みが改善され、関節機能の改善が見込める

関節鏡視下手術や膝周囲骨切り術は、比較的症状が軽い場合に適応される手術方法です。

一方、症状が進行している場合や高齢の方は、人工膝関節置換術が検討されます。

症状の進行度や年齢、生活スタイルによって適した手術方法は異なるため、医師と十分に相談して自分に合った手術を検討しましょう。

変形性膝関節症のステージ分類によくある質問

変形性膝関節症のステージ分類について、患者さまやご家族からよく寄せられるご質問をまとめました。

疑問を解消して、適切な治療に取り組む参考にしてください。

変形性膝関節症の進行速度は?

変形性膝関節症の進行速度には個人差があり、年齢・体重・運動習慣・筋力の状態など、さまざまな要因によって左右されます。

一般的には数年かけて徐々に進行するとされていますが、以下のような場合は進行が早くなる傾向があるため注意が必要です。

進行が速くなると考えられる要因 内容
過去の靭帯や半月板の損傷 膝にストレスがかかりやすく、軟骨がすり減りやすい
更年期による炎症 炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が増え、軟骨や骨の変形が進みやすい
膝に負担がかかる生活習慣 正座・しゃがみ込み・ジョギング・ジャンプ動作などが多いと膝に負担がかかる
肥満 体重による負荷で膝へのダメージが蓄積しやすい

変形を少しでも遅らせるためには、現在の膝の状態(ステージ)を把握し、早い段階から適切な治療や生活習慣の見直しを行うことが大切です。

変形性膝関節症でしてはいけないことは?

変形性膝関節症のステージ1~4の方は、膝に負担をかける行動を取ると症状を悪化させる恐れがあります。

以下の動作には、注意が必要です。

  • 深くしゃがむ
  • 正座を長時間行う
  • 急なジャンプ
  • 重い荷物の持ち運び
  • 体重増加の放置
  • 無理な運動

ウォーキング・水中歩行などの膝への負担が少ない有酸素運動や、サポーターの活用、適正体重の維持を心がけましょう。

膝の健康を守るために、症状に応じて医師や理学療法士に相談することが重要です。

変形性膝関節症を早く治すには再生医療もご検討ください

変形性膝関節症は、レントゲン検査の結果をもとにグレード0〜4の5段階に分類されます。

グレード 主な状態
KL-grade 0(正常)
  • 大腿骨と脛骨の間に十分な隙間があり、関節として正常に機能している
  • 骨棘または軟骨の下にある骨が硬くなる変化は見られない
KL-grade 1(疑い)
  • 骨の一部がトゲのようにとがっている(骨棘)
  • 関節を潤滑にする関節液が骨の内部に侵入している状態が見られる
  • 骨棘または軟骨の下にある骨が硬くなる変化が見られるケースがある
KL-grade 2(軽度)
  • 多くの場合、変形性膝関節症と診断される
  • 関節の隙間が狭くなっているものの、正常な状態の半分以上の隙間がある状態
  • はっきりとした骨棘が見られる
KL-grade 3(中等度)
  • 関節の隙間がさらに狭くなり、正常な状態の半分以下の状態
  • 骨棘形成がより顕著になる
  • 保存療法に加えて治療方針の見直しが必要になることもある
KL-grade 4(重度)
  • 関節の隙間がほぼなくなっている状態
  • 大腿骨が傾き、脛骨の位置関係にずれが生じている
  • 関節には大きな骨棘が形成されている

グレード1~2の初期段階で治療を始めれば、痛みの軽減や関節機能の維持が期待でき、生活の質を落とさずに過ごせる可能性があります。

グレード3~4へ進むと膝の軟骨は大きくすり減り、骨同士がぶつかることで痛みや変形が強くなるのが一般的です。

そのため、自覚症状が軽いうちに自分の膝の状態を把握し、適切な治療を受けましょう

これまで変形性膝関節症では、保存療法で改善が見られない場合に手術が検討されるのが一般的でした。

しかし、手術を避けつつ膝軟骨の修復を目指す治療法として、再生医療が検討されています。

以下のような方は、ぜひ再生医療をご検討ください。

  • 変形性膝関節症の手術を避けたい
  • 将来的な膝の痛みの悪化や関節の変形に不安を感じている
  • 変形性膝関節症による膝の痛みを早く治したい

再生医療では、患者さま自身の細胞や組織を活用して、摩耗した膝関節の組織にアプローチすることで、根本的な改善を目指します。

また、患者さまの細胞のみを用いることでアレルギーや拒否反応のリスクが低く、入院や手術の必要がないことも特徴です。

再生医療の治療について詳しく知りたい方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。

監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長