大腿骨頭壊死は手術しないで治る?股関節の痛みの治療法について解説【医師監修】
公開日: 2020.06.08更新日: 2025.08.30
大腿骨頭壊死と診断されると「必ず手術が必要」と思われがちですが、近年の医療進歩により手術を避ける選択肢も広がっています。
股関節の痛みから解放されたいと願いつつも、手術には抵抗があると感じる患者さまは少なくありません。
本記事では、大腿骨頭壊死は本当に手術しないで治るのか、手術しないで治す方法について詳しく解説します。
- 大腿骨頭壊死が手術なしで治る可能性
- 保存療法と再生医療による手術しない治療法の違い
- 大腿骨頭壊死を治療せずに放置した場合のリスク
- 日常生活での注意点や手術が必要になる症状の目安
従来の保存療法から根本的な改善が期待できる再生医療まで、それぞれの特徴や違いを詳しく解説します。
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「大腿骨頭壊死を手術せずに治したい」という方は、ぜひ再生医療についてチェックしてみてください。
目次
大腿骨頭壊死は手術しないで治るのか
大腿骨頭壊死と診断された場合、手術をせずに治るかどうか、骨が壊死した範囲と部位によって異なります。
そもそも骨が壊死したこと自体が直接的な痛みの原因ではありません。
壊死した部分に体重などの負荷がかかり、骨が潰れてしまう「圧壊(あっかい)」が起こることで、強い痛みが生じます。
そのため、生涯にわたって骨が圧壊せず、痛みが出ない可能性があるのは以下のようなケースです。
- 骨の壊死範囲が狭い場合
- 壊死した部位が体重の負荷がかかりにくい場所だった場合
骨壊死した部分が圧壊して痛みが強い場合であっても、適切な治療で改善を目指すことは可能です。
しかし、骨壊死により圧壊した部分を元通りに修復する方法はありません。
骨壊死を起こした場合は経過を観察し、必要に応じて適切な治療を受けることが重要です。
大腿骨頭壊死を手術せずに放置するリスク
大腿骨頭壊死を手術せずに放置すると、以下のようなリスクがあります。
初期段階では無症状のこともあるため、「様子を見よう」と放置してしまう患者さまも少なくありません。
早期発見・早期治療の重要性を理解し、適切な医療機関での相談を検討するための参考にしてください。
歩行困難になるほど痛みが強くなる
大腿骨頭壊死を放置すると、壊死した骨が徐々に潰れていき、歩行困難なほどの激しい痛みを引き起こします。
大腿骨頭壊死を放置した場合の痛みの特徴
- 初期は無症状でも、骨の潰れが進むほど痛みが強くなる
- 痛みは鋭く激しくなり、安静時でも持続するようになる
- 階段の昇り降りや椅子からの立ち上がりなど日常動作が困難になる
- 痛みをかばうことで足を引きずり、正常な歩行ができなくなる
症状が悪化すると歩行時に患側の脚に体重をかけられなくなるため、身体を支えるのも困難になり、杖が手放せなくなることもあります。
変形性股関節症につながる可能性
大腿骨頭壊死を放置すると、股関節の軟骨がすり減ってしまう変形性股関節症に進行し、より深刻な病態を引き起こす恐れがあります。
大腿骨頭壊死が変形性股関節症につながるリスク
- 壊死した骨頭が潰れると関節軟骨がすり減り、二次的に変形性股関節症を発症する可能性がある
- 関節面の変形と寛骨臼(骨盤側の受け皿)の破壊により股関節の可動域が著しく制限される
- 骨同士が直接擦れ合うため慢性的な激痛と強いこわばりが生じ、痛み止めが効きにくくなる
- 関節が変形・崩壊すると人工関節置換術が検討される
大腿骨頭壊死は初期段階で適切な治療を行えば、上記の重篤な状態への進行を防げる可能性があります。
症状が軽いからといって放置せず、専門医に相談することが大切です。
大腿骨頭壊死による股関節の痛みの主な治療法
大腿骨頭壊死の治療は、患者さまの症状や進行度、年齢などを総合的に考慮して方針を決定します。
治療法は、主に「保存療法」と「手術療法」の2つがあり、手術の方法も2通りあります。
それぞれの治療法について、詳しく見ていきましょう。
保存療法
大腿骨頭壊死に対する非手術療法として長年実施されてきたのが保存療法です。
保存療法では、主に症状緩和と日常生活の維持を目的としています。
保存療法の主なポイント
- 患部の安静
- 運動療法による体重管理
- 下半身のストレッチによる柔軟性向上
- 薬物療法による痛みのコントロール
保存療法では患部を安静にし、股関節への負担を減らすために日常生活での工夫が重要です。
痛みに対しては、消炎鎮痛剤などの薬物療法で症状を和らげることが中心となります。
しかし、保存療法は「対症療法」であり、壊死した骨を根本的に改善させる治療法ではありません。
そのため、保存療法で経過観察中に股関節の変形が進行したり痛みが増強した場合には、骨切り術や人工股関節置換術などの手術的治療が検討されます。
手術療法
保存療法で痛みの改善が難しい場合や、骨の圧壊が進行している場合には手術療法が検討されます。
手術には、ご自身の関節を温存できる「骨切り術」と、損傷した部分を人工関節に置き換える「人工関節置換術」の2種類があります。
どちらを選択するかは、壊死の範囲や患者さまの年齢、活動量などを総合的に判断して決定します。
骨切り術
骨切り術は、ご自身の股関節を温存するための手術です。
大腿骨の一部を切り、骨頭を回転させることで、壊死していない健康な部分が体重を支える位置にくるように調整します。
これにより、骨の圧壊が進行するのを防ぎ、痛みの軽減を図ります。
壊死の範囲が限られており、比較的お若い年代の患者さまが主な対象となります。
ご自身の関節を残せる大きな利点がありますが、リハビリテーションには時間がかかるため注意しましょう。
人工関節置換術
人工関節置換術は、壊死して潰れてしまった骨頭を人工関節に置き換える手術です。
痛みの原因となる部分そのものを除去するため、高い除痛効果が期待できます。
骨の壊死範囲が広い患者さまや骨の変形が進行してしまっている患者さまが主な対象です。
術後の回復が比較的早く、早期の社会復帰を目指せる利点がありますが、人工関節の耐久性や脱臼などのリスクも考慮する必要があります。
以下の記事では、人工関節にならないためにできることについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
大腿骨頭壊死を手術しない「再生医療」の選択肢について
近年、大腿骨頭壊死に対し、手術とは異なるアプローチで根本的な改善を目指す「再生医療」が注目されています。
再生医療は、患者さまご自身の血液や細胞を活用し、血流が途絶えて壊死した骨の再生・修復を促す医療技術です。
血流の再開と新たな骨の形成を促すことで、痛みの軽減と骨の圧壊(あっかい)の防止が期待できます。
採血や少量の細胞採取、そして点滴や注射で治療が行われるため、手術や入院を必要としません。
そのため、手術を避けたい方や日常生活を送りながら治療を受けたい方にとって、検討すべき選択肢といえるでしょう。
以下の動画では、骨壊死の再生医療について詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。
大腿骨頭壊死を手術しない方法についてよくある質問
本章では、大腿骨頭壊死の手術についてよくある質問に回答していきます。
気になることがあれば、事前に解消しておきましょう。
大腿骨頭壊死で手術が必要な症状は?
大腿骨頭壊死の治療では、保存療法では改善しない場合や壊死の範囲が広く、症状が進行している場合に手術が検討されます。
具体的な目安は、以下のとおりです。
- 安静にしていても痛みが続く
- 痛みで歩行が困難になるなど、日常生活に大きな支障がある
- 画像検査で骨頭の圧壊が進行している
上記のような症状がある場合、痛みを和らげ関節の機能を保つために手術が選択肢となります。
手術の方法は壊死の範囲や年齢によって異なるため、専門医との相談が重要です。
骨頭壊死になったらやってはいけないことは?
大腿骨頭壊死と診断されたら、股関節に負担をかける動作はできるだけ避ける必要があります。
- 激しい運動や階段の上り下り
- 重い物を持つ
- 長時間立ちっぱなしでいる
- 深くしゃがみ込む姿勢や前かがみの姿勢
- 過度の体重増加
- アルコールの多量摂取と喫煙
何より重要なのは、股関節に継続的に強い負荷がかかることを避けることです。
壊死のある骨頭に過度な荷重がかかると、骨の潰れが進行してしまう恐れがあるからです。
必要に応じて松葉杖などを使いながら負荷を軽減し、適切なリハビリや生活習慣の改善によって股関節への負担を減らすことが、症状悪化の防止につながります。
骨頭壊死の手術費用はいくら?
骨頭壊死の手術費用は保険診療で3割負担の場合、骨切り術で「約80万円」、人工関節置換術で「約60〜80万円」が目安です。
さらに、高額療養費制度を利用すると、所得によって約10〜20万円前後まで軽減される場合があります。
また、骨頭壊死は指定難病のため、医療費助成を受けられる可能性があります。
詳しくはご加入の健康保険組合や病院の窓口で確認してみましょう。
大腿骨頭壊死を手術したくない方は再生医療をご検討ください
大腿骨頭壊死は骨の圧壊が進行すると、強い痛みや歩行困難につながるため、早期の対処が重要です。
治療法は、手術せずに症状緩和を目指す保存療法や根本的に改善を目指す手術療法など、進行度に応じて選択されます。
また、近年の治療では、手術をしたくない方やご自身の関節を残したい方の新たな選択肢として「再生医療」が注目されています。
再生医療は、ご自身の細胞を活用して壊死した骨の修復を促し、手術せずに根治を目指せる可能性がある治療法です。
手術しないと治らないと言われた方でも再生医療によって改善する可能性があります。
「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師
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