股関節が石灰化すると歩けない?原因と進行を防ぐ治療方法について解説
公開日: 2020.05.20更新日: 2025.03.07
股関節が痛くなったときに考えられる原因の1つが股関節の石灰化です。
股関節内に石灰化したカルシウムが沈着すると、痛みや関節の可動域の制限を引き起こします。
ときには、強い痛みで歩けなくなる恐れがある疾患です。
本記事では、股関節の石灰化の症状や原因、対処法について詳しく紹介します。
また、石灰化した股関節の根本的な治療に期待できる再生医療についても紹介しているので参考にしてみてください。
目次
股関節が石灰化すると歩けない可能性があるのはなぜ?
股関節が石灰化すると歩行が困難になる可能性がある理由は、症状が進行することで強い痛みや股関節の可動域が制限されるためです。
股関節の石灰化は「石灰沈着性腱炎」という病名で、石灰と呼ばれるカルシウムの結晶が股関節の組織に溜まる病気です。
股関節以外にも肩関節、手足の関節などによく発症し、急に患部が痛んだり、夜も眠れないほどの痛みを感じたりします。
股関節に発症すると炎症による痛みで関節の動きが制限され、歩行が困難になるなど日常生活に大きな影響を与える病気です。
石灰沈着性腱炎による股関節痛の原因
石灰沈着性腱炎による股関節痛の原因は、身体が石灰を異物と判断して攻撃するために起こる炎症です。
石灰化したカルシウムが股関節に沈着すると、身体が石灰を異物だと認識して攻撃するので関節がダメージを受けて炎症を起こします。
沈着したカルシウムを異物と判断して攻撃することは本来ならありませんが、なぜ攻撃するのかは解明されていません。
また、石灰化が肩の腱板に起こると「石灰沈着性腱板炎」になり、痛みを引き起こします。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
病態によって症状が異なる場合がある
石灰沈着性腱炎による股関節痛の痛みの度合いや鎮静化するまでの期間は個人差があり、年齢や免疫反応(石灰を攻撃する力)によって異なります。
若い人は体の免疫反応が強いため、炎症が激しく、強い痛みが出ることがあります。
しかし、症状が鎮静化するまでの期間は短いケースが多いです。
免疫反応が弱い高齢者では、強い炎症や激しい痛みになるケースは少なくなりますが、鎮静化するまでの期間が長くなる傾向にあります。
股関節はどうやって石灰化する?沈着するカルシウムについて
股関節が石灰化するきっかけとなるのがカルシウムの沈着です。
カルシウムが沈着する主な要因は、以下の通りです。
- カルシウムの代謝異常によって骨からカルシウムが溶け出す
- 加齢によってカルシウムの代謝バランスが崩れる
- カルシウムの過剰摂取によって石灰化を促進する可能性がある
カルシウムは本来、骨を維持するために腸から吸収し、余分なものは尿で排出しています。
しかし、加齢によって吸収と排出のバランスが崩れたり、カルシウムを過剰摂取したりすると石灰化が促進される可能性があります。
また、カルシウムは体内の細胞が活動するのに欠かせないので、カルシウム不足になると骨を溶かして補おうとします。
代謝異常によって必要以上にカルシウムが溶け出してしまうことで、カルシウムの蓄積につながり、石灰化する可能性があります。
股関節の石灰化による炎症や進行を治療する方法
股関節の石灰化によって歩けないときの治療法を紹介します。
股関節の石灰化は自然に治癒する場合もありますが、痛みが強い方や長引いている方は、医療機関を受診しましょう。
保存療法
股関節の石灰化に対する保存療法は以下の通りです。
- 安静にする
- 鎮痛剤や抗炎症剤の内服
- 石灰部位への注射
- 石灰の吸引
- リハビリテーション
保存療法では、痛みの原因である石灰を吸引したり、炎症を抑えたりする治療が一般的です。
重度の場合や保存療法で改善が見られない場合、石灰部位を外科手術で摘出する治療も検討されます。
再生医療
股関節の石灰化による治療では、再生医療も選択肢の一つです。
再生医療の治療は、主に以下の2種類です。
- 幹細胞治療:損傷した組織の再生および修復
- PRP治療:自然治癒力を高め、炎症を抑える
とくに幹細胞治療では自身の細胞を活用し、損傷した股関節の再生・修復を目指します。
患者さまから幹細胞を採取・培養し、注射で患部に投与します。
手術や入院をせずに根本的な治療が期待できるため、近年注目されている治療法です。
股関節の石灰化による歩行の困難さにお困りの方は当院へご相談ください
歩行が困難なほどの股関節痛にお悩みの方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
当院で提供している再生医療の特徴は、以下の通りです。
- 股関節の疾患に対する幹細胞治療の症例数は数千件以上
- 独自の培養技術で幹細胞の生存率・活動率が高い
- 手術や入院が不要で早期回復を目指せる
当院(リペアセルクリニック)では、豊富な症例を元に患者さまそれぞれの症状に合わせた治療法をご提案します。
再生医療の効果には個人差がありますが、股関節の強い痛みにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
股関節の石灰化で歩けない方からよくある質問
股関節痛の石灰化で歩けない方からよくある質問をまとめました。
受診の検討や予防に役立ててください。
股関節の石灰化は自然に治る?
股関節の石灰化は、保存療法を受ければ自然に軽快する場合が多い病気です。
関節の石灰化による痛みが出たら、一般的に痛み止めの服用やステロイドの注射、リハビリなどの保存療法を行います。この治療を3カ月行なったところ、73%以上に改善があった報告もあります。※
※出典:肩の石灰性腱鞘炎:メカニズム、病因、および治療に関する臨床的展望
保存的な治療を行えば、比較的高い確率で改善する病気です。
股関節の石灰化に有効なストレッチは?
石化に有効なストレッチはありませんが、予防のために股関節を柔らかくするストレッチがおすすめです。
寝ながらできる簡単なストレッチについて紹介します。
- 寝た姿勢になる
- 膝を胸に向かってゆっくりと引き寄せる
- 20〜30秒姿勢を保つ
- 3セット繰り返す
- 朝晩1回ずつ継続して行いましょう
ただし、石化の根本的な治療が必要になるので、専門家への相談を忘れずに行ってください。
股関節の石灰化に効く食べ物は?
石灰化しやすい食べ物や石灰化に効く食べ物は、今のところありません。
コーヒーが石灰沈着性腱炎の原因と言われていますが、医学的根拠はなく因果関係も証明されていません。
全身の炎症を抑えたいなら、抗炎症食品として有名な果物や野菜、ナッツ、脂肪の多い魚の摂取がおすすめです。
【まとめ】股関節の石灰化は早期治療によって進行を防ぐことが大切
石灰沈着性腱炎による股関節痛の原因や症状について紹介しました。
股関節痛の原因はさまざまですが石灰沈着性腱炎が疑われる場合、症状の度合いによって適切な治療法も異なります。
股関節が痛みや思うように動かせない方は、放置せずに早めに医療機関を受診してください。
また、当院(リペアセルクリニック)では、股関節の疾患に対して再生医療による治療を取り扱っています。
股関節痛を根本的に解決したい方は、まず当院へご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設