免疫療法は効く人と効かない人がいる?向いている人の特徴について医師が解説
公開日: 2020.04.12更新日: 2025.06.02
人間には病原体に対して防御する免疫システムが備わっているので、免疫療法ではこの免疫システムを活性化させて、病原体やがん細胞などを攻撃します。
これから免疫療法を検討している方や、すでに治療中の方で効果が見られない方は、本当に効果があるのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、免疫療法が効く人と効かない人の特徴や、どのような人に向いているのかを解説します。
- 免疫療法が効く人・効かない人の特徴
- 免疫療法が向いている人
- 病状や目的に合わせた免疫療法の種類
当院リペアセルクリニックでは、NK細胞免疫細胞療法をご提供しています。
免疫療法による治療を受けたいけど不安でなかなか治療に踏み出せないという方は、ぜひ当院へご相談ください。
また、当院の公式LINEでは、先端医療である再生医療に関する治療法や症例を公開しているので、どのような治療を行うのかぜひご覧ください。
目次
免疫療法が効く人と効かない人の特徴
免疫療法はすべての人に効果が見られるわけではありません。
ここでは、免疫療法が効く人と効かない人の特徴をそれぞれ解説していきます。
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
効く人の特徴
免疫療法が効く人の特徴は、主に3つあります。
- 免疫を強く活性化できる人
- がんの種類が免疫療法に合う人
- 特定の遺伝子変異をもつ人
免疫療法は人の体にある病原体を防御する免疫システムを活性化させて、がん細胞を攻撃します。
一部の免疫応答が強く活性化される方では、がん細胞へ効率的な攻撃ができるので、免疫療法の効果を実感できる可能性があります。
また、免疫療法はどのようながん細胞に対しても同じような効果があるわけではなく、がんの種類により免疫療法の向き不向きがあります。
免疫療法に向いているといわれるがんの種類は、非小細胞肺がんやメラノーマです。
その他に、がん細胞の中にある特定遺伝子異変が免疫療法の効果を高めるとされていて、この遺伝子異変を持つ場合には、免疫療法が向いているといえるでしょう。
効かない人の特徴
免疫療法が効かない人や、病状によっては免疫療法を行えない人がいます。
以下のような人は、免疫療法をおすすめできません。
- 免疫システムを抑制する物質を保有する人
- がんが転移している人
- 他の疾患や薬剤の影響を受ける人
免疫システムを抑制する物質をがん細胞が出すと、治療効果が低下する可能性があり、免疫療法には向いていません。
がんが進行して転移が見られる人も、免疫療法の効果が十分にみられない可能性があります。
また、がんの他にも疾患がある人で、免疫療法が疾患に影響する場合や、服用している薬と併用できなければ、免疫療法ができません。
免疫療法が向いているのはどんな人?
免疫療法は、さまざまな種類のがんに使用できるため、多くの人に適用できる治療方法です。
その中でもとくに、以下のような人に向いています。
免疫機能が働きやすい「ホットチューマー」を持つ方
がんには、免疫細胞が活性化しているホットな腫瘍を持つタイプと、免疫がほぼ存在していない冷たいタイプに分けられます。
ホットな腫瘍を持つタイプは「ホットチューマー」と呼ばれ、免疫細胞が入り込みやすく活性化するため、免疫療法の効果が出やすいです。
ホットチューマーに該当するがんの種類は、以下の通りです。
- メラノーマ(悪性黒色腫)
- 非小細胞肺がん
- 腎細胞がん
- 膀胱がん
- MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)大腸がん
特定のバイオマーカーを持つ人
バイオマーカーはがん治療において、適切な薬など治療法を決める指標です。
主に心拍数や血圧、タンパク質の量など血液検査の結果や、心電図などがバイオマーカーとして使用されます。
近年では免疫療法の反応を予測するバイオマーカーの種類も多く、以下の表を参照してください。
バイオマーカー | 内容 |
PD-L1 | ・がん細胞表面のタンパク質 ・免疫細胞の働きが抑制される |
TMB(腫瘍変異量) | ・がん細胞のもっている遺伝子変異の量 |
MSI(マイクロサテライト不安定性) | ・DNAの修復機能の異常があるがん細胞 |
腸内フローラ | ・善玉菌のバランス |
免疫機能が良好な人
免疫細胞が治療の中心となる免疫療法は、白血球やリンパ球が良好であることが大切です。
以下のような条件が整えば、免疫機能が良好といえます。
- パフォーマンスステータスが0〜1
- アルブミンやプレアルブミンが正常範囲で栄養状態が良好
- 炎症マーカーが安定している
- 重度の自己免疫疾患がない
がんの転移や再発を予防したい人
免疫療法は、がんの転移や再発を予防したい人にも向いています。
全身に向けた治療方法のため、転移や再発の原因となる全身の微小ながん細胞に対して攻撃できます。
また、免疫療法が適しているがんの進行状況にも関係しています。
免疫療法は即時に結果が出る治療方法ではなく、効果が出るまでに数週間から数カ月が必要です。
治療の対象となるのが初期のがんなど、治療に時間的余裕があるケースが多いため、転移や再発予防につながります。
高齢の人や体力のない人
免疫療法のメリットの一つが体への負担が少ないことなので、高齢の人や体力が低下している人にも向いている治療方法といえます。
体への負担の少ない理由として、アレルギー反応など重篤な副作用が起きる可能性が低いことが挙げられ、抗がん剤治療の副作用に耐えられない人も、免疫療法であれば治療が可能です。
また、免疫療法には通院でできる治療方法が多く、入院の必要がないために普段通りの生活の中で治療を行えます。
高齢の人は、入院すると寝たきりになってしまうケースもありますが、免疫療法は入院しないで治療ができます。
免疫療法における病状や目的に合わせた治療法の種類について
免疫療法が向いているかどうかは、どのような治療を希望しているのか、目的を明確にするのが大切です。
例えば、腫瘍を小さくする治療では「即効性を求める人」と「時間がかかっても負担の軽さを求める人」がいます。
即効性を求めるのであれば、抗がん剤治療や放射線治療が適していますが、時間がかかっても負担の軽い治療を求めるなら、免疫療法が適しています。
生活の質を下げずに、今の日常生活のままで治療を行う場合にも、入院が必要なく身体への負担が少ない免疫療法がおすすめです。
リペアセルクリニックでは、新たな治療方法として免疫細胞療法を提供しています。
免疫力を高めることは、がんの治療だけでなく、感染症やアレルギーの予防や、がんの再発や転移を防ぐ効果が期待できます。
以下の記事では、免疫療法について詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。
免疫療法が効く人と効かない人はいる!治療法は医師と相談して決めよう
免疫療法は、入院が不要で日常生活を続けながら治療を進められることが魅力です。
しかし、免疫療法が効く人や向いている人がいる反面、効かない人や治療に向いていない人もいます。
以下の特徴を参考に免疫療法を受けるか検討してみましょう。
- 免疫を強く活性化できる人
- がんの種類が免疫療法に合う人
- 特定の遺伝子変異をもつ人
- ホットチューマーを持つ人
- 免疫機能が良好な人
- がんの転移や再発を予防したい人
- 高齢の人や体力のない人
治療を行う際には医師と相談し、納得した上で治療を始めることが大切です。
免疫療法を検討している方は、ぜひ当院リペアセルクリニックへお気軽にご相談ください。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師