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薬による肝臓への負担と数値の目安|薬物性肝障害と負担を軽減する方法について解説

薬による肝臓への負担と数値の目安|薬物性肝障害と負担を軽減する方法について解説
公開日: 2026.03.31

薬を服用していて、健康診断や血液検査で肝臓の数値が高くなったと指摘された方も多いのではないでしょうか。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常があっても自覚症状が出にくいため、気づかないうちに負担が蓄積していることがあります。

薬を服用中に肝臓の数値が上がる場合、「薬物性肝障害」が関係している可能性があります。

この記事では、薬が肝臓に与える負担や数値の目安、薬物性肝障害について詳しく解説します。

薬の影響で肝臓に負担がかかっていないか気になる方は、ぜひ最後までご覧いただき、適切な対処法を見つけましょう。

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薬による肝臓への負担と数値の目安

薬の成分は血液を通じて肝臓に運ばれ、分解・処理されます。この作業が繰り返されることで、肝臓に少しずつ負担がかかる場合があります。

肝臓への負担を把握するうえで参考になる数値は、以下の3つです。

※参考:日本人間ドック・予防医療学会ホームページ

以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

AST(GOT)

ASTは、肝臓・心臓・筋肉などの細胞に含まれる酵素で、細胞がダメージを受けると血液中に漏れ出し、数値が上昇します。

肝臓だけでなく筋肉の異常でも上がるため、他の数値と組み合わせて判断することが一般的です。

項目 目安
正常値 30以下※
上昇しやすい薬の例 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、抗生物質、抗てんかん薬など

とくに高用量の解熱鎮痛薬は、肝臓での処理負担が大きくなりやすく、ASTが一時的に高くなる場合があります。

ALT(GPT)

ALTは主に肝臓に多く存在する酵素で、肝細胞が傷ついたときに血液中に放出されます。

項目 目安
正常値 30以下
上昇しやすい薬の例 コレステロールを下げる薬(スタチン系)、糖尿病の治療薬(メトホルミン)、一部の抗生物質など

また、健康目的で飲んでいるサプリメントの摂りすぎも、ALTが上昇する原因になることがあります。

「身体に良いものだから」と過剰に摂取することは、肝臓への負担につながる可能性があるため注意が必要です。

γ-GTP

γ-GTP(ガンマジーティーピー)は、肝臓や胆道(たんどう)の状態と関係が深い酵素です。

アルコールの影響を受けやすく、お酒をよく飲む方の肝機能チェックに参考にされる数値です。

項目 目安
正常値 50以下
上昇しやすい薬の例 抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピンなど)、精神安定剤の一部、睡眠薬、一部の抗菌薬など

鎮静剤や睡眠薬を長期間使用している方も、γ-GTPが高くなる場合があります。

数値が気になる場合は、服用中の薬を医師や薬剤師に確認してみましょう。

薬の服用で起こる「薬物性肝障害」とは

薬物性肝障害とは、薬の影響によって肝臓の細胞が傷つき、肝機能に異常が起きる状態を指します。
※参考:厚生労働省「薬物性肝障害」

処方薬や市販薬以外にもサプリメントが原因になることもあり、自覚症状がないケースも多いため、定期的な血液検査による早期発見が重要です。

本章では、薬物性肝障害について以下の2点を解説します。

どのような原因で起こるのか、どんな症状が現れるのかを正しく理解して、早期発見・早期対処につなげましょう。

主な原因と発症メカニズム

薬物性肝障害が起こる原因は、大きく2つに分けられます。

  • 薬の成分そのもの、または肝臓で処理される過程で生じる物質が肝細胞を傷つけるケース
  • 薬の成分を体が「異物」と認識して過剰に反応し、肝臓がダメージを受けるアレルギー反応(免疫反応)

前者は薬の量に比例してリスクが高まる傾向があり、後者は少量でも起こる可能性があります。

「少ししか飲んでいないから大丈夫」とは言い切れないため、数値の変化があれば早めに医師に相談することが大切です。

また、複数の薬を同時に服用している場合は、肝臓での処理が重なり、より負担がかかりやすくなります。

持病などで複数の薬を使っている方は、定期的な肝機能チェックを心がけましょう。

主な症状

薬物性肝障害では、自覚症状がまったく現れないケースも少なくありません。

症状が出る場合は、次のようなものが見られることがあります。

  • だるさや疲れやすさ(倦怠感)
  • 食欲の低下
  • 吐き気
  • 発熱
  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸:おうだん)
  • 発疹・じんましん・かゆみ
  • お腹の右上あたりの不快感・痛み

これらの症状は、ほかの病気でも起こりうるため、自己判断せずに医療機関を受診することをおすすめします。

とくに黄疸が現れた場合は、すみやかに受診してください。

薬による肝臓への負担を軽減するための対処法や注意点

薬は正しく使えば体の回復を助ける大切なものですが、使い方を誤ると肝臓に思わぬ負担をかけることがあります。

肝臓への負担を減らすためには、日常的な心がけが大切です。

本章では、負担を軽減するために意識したい以下の3つの注意点を紹介します。

どれも今日から実践できる内容ですので、ぜひ取り入れてみてください。

医師・薬剤師の指示に従う

複数の薬を同時に飲むと、肝臓での処理が重なり、負担が増えることがあります。

自己判断で市販薬やサプリメントを追加するのではなく、必ず医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。

とくに持病で薬を長く飲み続けている方は、定期的な血液検査で肝臓の数値を確認しながら服薬内容を見直すことも大切です。

「この薬は長く飲んでいるから安心」と思わず、定期的なチェックを習慣にしましょう。

長期間の服用や多量摂取を避ける

「早く治したいから」と用量を超えて飲んだり、症状が続くからと薬を飲み続けたりすることは、肝臓に強いダメージを与える原因になります。

解熱鎮痛薬や風邪薬は市販で手軽に購入できますが、過剰摂取は肝臓への負担を大きく高めます。

薬は必ず決められた量と回数を守って服用してください。症状が長引く場合は自己判断で飲み続けず、医療機関を受診することをおすすめします。

アルコールと併用しない

アルコールも肝臓で分解されます。そのため、薬を飲みながらお酒を飲むと、肝臓が同時に複数の処理をしなければならなくなり、負担が大幅に増えます。

解熱鎮痛薬や抗生物質など、肝臓への影響が出やすい薬を服用中は、アルコールの摂取を控えることが特に重要です。

薬の効果が変わったり、副作用が強く出たりする可能性もあるため、薬を服用している期間はできるだけアルコールを避けましょう。

薬による肝臓への負担と数値についてよくある質問

最後に、薬による肝臓への負担と数値についてよくある質問に回答します。

以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

薬で肝臓の数値が上がるのはなぜ?

肝臓が薬の成分を分解・処理する際の負担によって、ASTやALTなどの数値が上がることがあります。

薬の成分を代謝する過程で生じる物質が肝細胞を傷つけたり、体が薬の成分を「異物」と認識してアレルギー反応を起こしたりすることも数値上昇の原因です。

数値の上昇が見られたら、自己判断で薬をやめるのではなく、必ず医師に相談してください。

薬物性肝障害はどれくらいで治る?

薬物性肝障害は、原因となる薬の服用を中止することで、多くの場合は数週間から数カ月で改善するとされています。

ただし、回復の速さは個人差や障害の程度によって異なり、重症化している場合は回復に時間がかかることもあります。

数値の異常を指摘された場合は早めに医師へ相談し、自己判断で薬を中断・継続することは避けましょう。

薬の服用中は肝臓への負担を避けて数値上昇を防ごう

薬を服用すると、肝臓はその成分を処理するために大きく働きます。

負担が蓄積すると、ASTやALT・γ-GTPなどの数値が上昇し、薬物性肝障害につながる可能性があります。

肝臓への負担を防ぐために、まず以下の点を意識しましょう。

  • 医師・薬剤師の指示を守って服用する
  • 用量を超えた服用や長期間の自己判断での継続を避ける
  • 服用中はアルコールを控える
  • 定期的な血液検査で肝臓の数値を確認する

数値の異常が続く場合や、倦怠感・食欲低下・黄疸などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

また、生活習慣の改善だけでは数値がなかなか改善しない方や、すでに脂肪肝・肝炎と診断されている方には、「再生医療」という選択肢もあります。

再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を活用して肝臓の組織修復を促す医療技術です。

>>再生医療による肝疾患の症例ページはこちら

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監修者

渡久地 政尚

Masanao Toguchi

医師

略歴

1991年3月琉球大学 医学部 卒業

1991年4月医師免許取得

1992年沖縄協同病院 研修医

2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務

2008年沖縄協同病院 内科 勤務

2012年老健施設 かりゆしの里 勤務

2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長

2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長

2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長