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股関節のMRI検査でわかる病気一覧|検査費用やその他の画像検査との違いを解説

股関節のMRI検査でわかる病気一覧|検査費用やその他の画像検査との違いを解説
公開日: 2025.12.26

「MRI検査でわかる股関節の病気は?」
「レントゲン検査では問題なかったけど痛みが続く」

他の検査を受けても股関節の痛みの原因がわからず、上記のようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

MRI検査は、強力な磁石と電波(ラジオ波)を用いて、体の内部を画像化することで、他の画像検査では映らない情報を得ることが可能です。

本記事では、MRI検査でわかる股関節の病気や他の画像検査との違いについて解説します。

検査費用の目安やレントゲン・CT検査との違いも解説しているため、MRI検査について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

また、変形性股関節症や関節唇損傷などの股関節の痛みを早く治したい方は、再生医療も選択肢の一つです。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて損傷した組織の再生・修復を促し、股関節の痛みの根本改善を目指す治療法です。

当院リペアセルクリニックでは、再生医療の具体的な治療法や適応症例について無料カウンセリングを行なっているため、ぜひご相談ください。

股関節のMRI検査でわかる病気一覧

股関節のMRI検査では、骨の変形だけでなく、軟骨や関節唇、骨内部の異常まで確認できるため、初期段階の疾患や炎症の把握に役立ちます。

本章では、MRI検査でわかる股関節の病気について解説します。

以下では、上記がどのような病気なのか、MRI検査でどのような状態が確認できるのか、具体的に解説していきます。

変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々にすり減り、痛みや動かしにくさが生じる病気です。

基本的な診断方法はレントゲン検査となりますが、MRI検査では軟骨の状態をより詳細に評価できるため、明らかな変化が見られない早期段階でも、軟骨の変性を確認できる可能性があります。

股関節の状態を画像で評価することは、今後の治療方針を検討する上で有用な情報となります。

ただし、初期変形性股関節症の診断基準は確立されておらず、MRIでも見逃される変化があることに注意が必要です。

大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死は、大腿骨の頭部への血流が滞ることで骨の組織が壊死して脆くなる病気です。

初期段階ではレントゲン検査で異常が出ないことが多いため、MRI検査での診断が中心となり、骨髄内の信号変化として壊死の兆候を捉えられます。

早期に診断できれば、荷重制限や治療介入により、股関節の温存を目指せる可能性が高まります。

関節唇損傷

関節唇損傷は、股関節の安定性を保つための「関節唇」という軟骨組織が裂けたり剥がれたりする病気です。

関節唇の断裂や変性はレントゲン検査で診断できないため、MRI検査によって関節唇の状態や周囲の炎症を確認します。

単純MRI(造影剤を使わない検査)では見逃される可能性もあり、MR関節造影(MRA)によって微細な損傷を確認するケースもあります。

関節唇の損傷箇所を早期に特定することで、リハビリテーションの方向性を検討する材料になります。

股関節インピンジメント症候群

股関節インピンジメント症候群は、股関節の骨の形状異常により、動かすたびに骨同士が衝突して組織を傷つける病気です。

レントゲン検査による骨形態の診断が基本ですが、MRI検査によって骨同士の衝突による二次的な関節唇損傷や軟骨損傷の有無を評価できます。

特定の動作で痛みが出る原因を画像で評価することは、避けるべき動きや治療方針を検討する上で参考となります。

骨髄浮腫

骨髄浮腫は、骨の内部にある骨髄に水分が過剰に溜まり、炎症や微小な損傷が起きている状態のことを指します。

レントゲン検査では全く映らない「骨内部の炎症」を確認できるのは、MRI検査ならではの大きな特徴といえるでしょう。

骨折までは至っていないものの、骨に過度な負担がかかっているサインを早期に発見できることで、重症化を未然に防げます。

骨への負担を画像で確認することで、活動量の調整や治療方針を検討する際の参考となります。

滑液包炎

滑液包炎は、関節の動きを滑らかにする「滑液包」という袋に炎症が起き、痛みや腫れが生じる病気です。

MRI検査は滑液包に炎症が起きている様子を評価でき、大転子滑液包炎や腸恥滑液包炎などの診断に用いられます。

しかし、軽度の炎症では検出できないこともあり、臨床診断(触診や問診)が重要です。

筋肉や腱の摩擦による炎症を特定することは、治療法を検討する際の大切な情報となります。

股関節の検査に用いられる「MRI検査」の特徴

MRI検査は磁気と電波を利用した画像検査で、放射線被曝がないという特徴があります。

骨の形状だけでなく、軟骨や筋肉、靭帯といった軟部組織の状態を評価できるため、股関節疾患の診断において重要な役割を果たしています。

本章では以下の内容について解説します。

患者様の状態に合わせた適切な治療計画を立てるために、MRIがどのような役割を果たし、他の検査とどのように使い分けられているのかを詳しく解説していきます。

MRI検査でわかること

MRI検査の特徴は、骨の表面だけでなく骨内部の信号変化や軟骨の状態、軟部組織の異常を評価できる点にあります。

【MRI検査でわかること】

  • 関節唇の損傷・断裂などの状態
  • 関節軟骨のすり減り具合などの状態
  • 筋肉・靭帯・腱の炎症や断裂などの状態
  • 骨内部の炎症や壊死などの状態
  • 関節液の貯留や滑液包の炎症などの状態

レントゲン検査で「明らかな異常なし」と診断された場合でも、MRI検査では筋肉、腱、靭帯、神経周囲の異常が確認されることがあります。

しかし、微細な変化は見逃してしまうケースもゼロではない点や、ペースメーカーなど体内金属がある場合は検査できない場合もある点に注意が必要です。

MRI検査の費用

MRI検査の費用は、医療保険が適用される3割負担で6,000〜15,000円程度が目安となります。

初診料や他の検査費用、処方箋料などを含めた総額では、10,000〜20,000円程度の予算を想定しておくと良いでしょう。

一方で、自由診療(全額自己負担)の場合、20,000〜50,000円程度が目安です。

具体的な費用は、検査を受ける施設や機械の性能、造影剤使用の有無によって変動するため、事前に医師に確認しましょう。

レントゲンやCT検査との違い

各画像検査には特徴があり、症状や診断目的に応じて適切に使い分けることで、より正確な診断が可能になります。

それぞれの特徴の違いは、以下のとおりです。

検査方法 特徴
MRI ・強力な磁石と電波(ラジオ波)を用いて、体の内部を画像化
・レントゲンやCTではわからない軟骨や筋肉、骨の内部の状態を確認できる
レントゲン ・X線(放射線)を用いて、透過度で静止画像を撮影
・主に骨の状態を診断する際に有用
CT ・X線(放射線)を複数方向から照射し、体の断面画像を撮影
・レントゲンよりも詳しく骨の状態を確認できる

レントゲン検査は、股関節疾患の診断において基本となる検査ですが、骨の形状や関節の隙間などを確認する際に用いられます。

MRI検査は、レントゲンやCT検査で確認が難しい軟部組織の状態を確認するのに有効です。

それぞれの検査に長所と短所があるため、これらの検査を組み合わせることで、より詳細な診断・評価が可能になります。

股関節に対するMRI検査の流れ・撮り方

股関節に対するMRI検査の流れ・撮り方は、以下のとおりです。

  • 金属類のアクセサリーや装飾品を外す
  • 検査着に着替える
  • 股関節周辺に専用のコイルを装着する
  • 体を固定された状態で足から装置に入る
  • 検査を受ける(30〜60分程度)
  • 検査終了

機器の故障や火傷のリスクがあるため、金属類のアクセサリーなどはすべて外します。

ペースメーカーなど体内に金属が入っている場合、施設によっては検査を受けられない可能性もあるため、事前に医師に伝えましょう。

より正確に撮影するために、アンテナのような専用のコイルを装着したり、体が動かせないように固定したりする場合があります。

股関節のMRI検査についてよくある質問

最後に、股関節のMRI検査についてよくある質問に回答していきます。

初めてMRI検査を受ける際の不安を解消するためにも、それぞれの内容を事前に把握しておきましょう。

どんなときにMRI検査を受ければいい?

股関節の痛みで以下のような症状が見られる場合は、医師の判断によってMRI検査が検討されます。

  • 歩き始め・立ち始めに股関節が痛くなる
  • 股関節の痛みで階段の上り下りがつらい
  • 股関節からコキッとした音が鳴る
  • 安静にしていても股関節が痛い
  • 股関節や脚の付け根に違和感がある

上記の症状以外にも、レントゲン検査で「異常なし」と言われたにも関わらず、痛みが続く場合も医師に相談しましょう。

レントゲンでは初期段階の股関節疾患を見逃してしまう可能性もあるため、痛みが継続している場合は、MRI検査を受けた方が良いケースがあります。

早期に疾患を発見できれば、治療選択肢も狭まらずに保存療法や生活習慣の改善だけで改善を目指せる可能性が高まります。

MRI検査を受けるときの服装は?

MRI検査を受けるときは、安全性を考慮して検査着を着用することが推奨されています。
※出典:首都大学東京放射線学科「ルーチン関節MRIの進め方」

ほとんどの病院では、用意されている検査着に着替えるため、検査当日は着替えやすい服装で来院することをおすすめします。

また、カラーコンタクトレンズや一部のメイク用品(アイシャドウ等)にも金属成分が含まれている場合があるため、当日はナチュラルな状態で来院しましょう。

股関節の痛みはMRI検査を受けて原因を特定しよう

股関節のMRI検査は、レントゲン・CT検査でもわからない軟骨、筋肉、腱、靭帯、骨内部などの状態を確認できます。

レントゲン検査で「明らかな異常なし」と診断された場合でも、何らかの異常が発見されることもあるため、股関節の痛みが長引く場合は医療機関に相談しましょう。

また、変形性股関節症や関節唇損傷などの股関節の痛みを早く治したい方は、再生医療も選択肢の一つです。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて損傷した組織の再生・修復を促し、股関節の痛みの根本改善を目指す治療法です。

従来の治療では難しかった軟骨組織にもアプローチでき、手術や人工関節を避ける選択肢として注目されています。

以下の動画では、当院リペアセルクリニックの再生医療によって変形性股関節症が改善した症例を紹介しているため、併せて参考にしてください。

当院では、再生医療の具体的な治療法や適応症例について無料カウンセリングを行っているため、ぜひご相談ください。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設