股関節唇損傷はどのくらいで治る?主な治療法から再発防止のリハビリについて
公開日: 2025.02.07更新日: 2025.02.17
股関節唇損傷は、股関節の組織である関節唇が損傷し、痛みを感じる疾患です。
症状によっては約3カ月程度の長期的な治療や、入院を伴う手術が必要な場合があります。
どのくらいで股関節唇損傷が治るのか不安な方も多いのではないでしょうか。
本記事では、股関節唇損傷が治る期間や治療方法について詳しく解説します。
損傷した股関節唇を手術不要で修復できる可能性がある再生医療についても紹介しているので、参考にしてみてください。
目次
股関節唇損傷とは
股関節唇損傷とは、股関節の関節唇(かんせつしん)と呼ばれる組織が損傷する疾患です。
股関節の関節唇とは、股関節の骨盤側の軟骨で、太ももの骨を包み込むような形をしています。
主に股関節を安定させ、衝撃を吸収・分散させる役割があります。
関節唇は、自然に治癒することはほぼない組織なので、症状によっては長い治療期間が必要です。
以下では、股関節唇損傷の症状や原因、診断方法について詳しく解説します。
主な症状
股関節唇は股関節を安定させる役割があるので、損傷してしまうと歩行や寝返りなどの日常的な動作に支障をきたす可能性があります。
股関節唇損傷の主な症状は以下の通りです。
- 歩行時に痛みや違和感を感じる
- 股関節がぐらぐらして抜けるような感覚がある
- 股関節を曲げる、ひねる動きをする際に痛みを感じる
- 股関節の可動域が狭くなる
- 安静にしていても痛む
初期は歩行時や股関節を曲げるときに痛みや違和感を感じることが多いです。
主に股関節の前面に痛みを感じやすいですが、股関節の側面やおしり、太ももなどが痛むこともあります。
症状が悪化すると安静にしていても痛むようになり、放置すると変形性股関節症を引き起こす恐れも考えられます。
スポーツによる股関節の負荷だけでなく、長時間の立ち仕事や座り仕事など日常生活の中の動作でも悪化する可能性があるので、股関節に負担をかけないように注意しましょう。
主な原因
股関節唇損傷の主な原因を下記にまとめました。
- スポーツによる股関節への負担
- 臼蓋形成不全症(きゅうがいけいせいふぜんしょう)
- 交通事故
- 転倒や落下
ゴルフ・サッカー・バレエ・ランニングなどの腰や足の付け根をひねるような動きが多いスポーツが原因となる場合があります。
股関節をねじったり、脚を大きく広げたりする動きに注意しましょう。
また、生まれつき股関節の一部の形成が不十分な疾患である「臼蓋形成不全症」も原因のひとつとされています。
診断方法について
股関節唇損傷の診断方法は以下の通りです。
- X線検査:股関節の変形や骨折がないか調べます。
- CT検査:股関節の状態をX線検査よりも詳しく調べられます。
- MRI検査:股関節唇の損傷を確認できます。
股関節唇は小さい組織なのでX線やCT、通常のMRI検査では異常が見つけられません。
そのため、特殊なMRI検査が必要です。
レントゲンで異常がないのに股関節の痛みが続く方は、股関節唇損傷の可能性を疑ってみましょう。
股関節唇損傷はどのくらいで治る?
股関節唇損傷の治療期間を「日常復帰」と「競技復帰」の2つに分けて紹介します。
股関節唇は自然に回復することはほぼない組織なので、自力での治癒はできません。
治療やリハビリを受けながら、長い目で疾患とつきあう必要があります。
日常生活に復帰できるまでの期間
股関節唇損傷から日常生活に復帰できるまでの期間は、保存療法で約3カ月、手術した場合は約2〜3週間程度です。
保存療法とは手術をしない治療法で、内服薬や注射で炎症を抑え、リハビリで筋力や柔軟性の向上を目指します。
また、手術では傷ついた股関節唇を縫い合わせたり、正しい位置で固定したりします。
一般的に、手術の際は3日ほど入院し、その後2~3週間のリハビリが必要です。
保存療法、手術療法ともに股関節に負担がかからない生活習慣を身につけるのが重要です。
競技(スポーツ)復帰できるまでの期間
股関節唇損傷からスポーツに復帰できるまでの期間は、約3〜6カ月程度です。
股関節の機能において、スポーツでは日常生活よりも高い安定性や柔軟性が求められます。
そのため、より専門的なリハビリが必要な場合があります。
股関節唇損傷の再発や痛みを予防するには、股関節をねじる動きや大きく開脚する際は慎重に行いましょう。
股関節唇損傷の治療方法
股関節唇損傷の治療方法について紹介します。
再生医療は、手術なしで組織の修復や痛みの軽減が期待できる治療法で、新たな選択肢として注目されています。
保存療法
股関節唇損傷の治療では、3カ月を目安に保存療法を行います。
具体的な内容を以下にまとめました。
- 安静:股関節に負担がかからないようにベッド上で安静にする
- 薬物療法:炎症を抑える外用薬や内服薬、注射を使用し痛みをコントロール
- 運動療法(リハビリ):股関節まわりの筋力向上や骨盤の柔軟性を高めるトレーニング
- 日常生活での工夫:股関節の負担がかからない適切な動作を覚える
保存療法は、身体への負担が少なく、通院で治療が可能です。
あぐらを組む動作や深いソファに腰掛けるのを避け、股関節を深く曲げないようにすると、股関節の痛みの軽減や予防に有効です。
しかし、 保存療法では関節唇の根本的な治療にはならないため、痛みが再発する可能性が考えられます。
手術療法
保存療法で症状の改善がみられない方や、日常生活に支障をきたすほど症状が進んでいる方、スポーツ選手の方は手術を勧められる場合があります。
股関節唇損傷の手術には主に以下の2種類があります。
- 股関節唇修復術:損傷した股関節唇を縫い合わせる
- 関節唇再建術:損傷した関節唇を除去した後、太ももの外側にある筋肉の一部を採取し、関節唇の代わりに固定する
手術は、関節唇の修復・再建によって痛みの軽減が期待できる上に、保存療法よりも短期間での復帰が見込まれます。
しかし、股関節鏡手術は高度な技術が必要とされ、国内での普及率はあまり高くありません。
また、合併症として感染症や出血、再発のリスクがあります。
再生医療
再生医療の幹細胞治療は、股関節唇損傷の治療期間の短縮や痛みの軽減に期待ができる治療法です。
患者さま自身の幹細胞を採取して培養し、股関節に注射するので手術や入院の必要がありません。
幹細胞は、損傷している組織を修復する働きがあるため、元に戻らないとされている股関節唇の治療に有効です。
長引く股関節唇損傷の痛みにお悩みの方や、根本的な治療を探している方は、ぜひ当院へご相談ください。
股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
股関節唇損傷の治療後に行うリハビリテーション
安静時の痛みや、夜間の痛みがなくなった患者さまが行うリハビリテーションでは、股関節の可動域を広げたり、股関節周辺の筋力をアップしたりするトレーニングを行います。
トレーニングの内容は症状によって異なるので、理学療法士や作業療法士の指導に従いましょう。
股関節の正しい動かし方を習得して、股関節の機能の改善や再発の予防を目指しましょう。
股関節の可動域トレーニング
股関節唇損傷の治療後に行うリハビリテーションでは、股関節の可動域トレーニングが重要です。
保存療法や手術後で安静にしている状態が長いと、筋肉が固まり股関節の可動域が狭くなってしまいます。
そのため、股関節や周囲の筋肉の柔軟性を上げ、可動域を広げるための運動やストレッチが一般的です。
可動域のトレーニングで股関節の柔軟性が高まれば、衝撃の吸収に役立つだけでなく痛みの軽減にもつながります。
股関節周辺の筋力トレーニング
股関節周辺の筋力トレーニングも股関節唇損傷の治療後に行うリハビリテーションとして有効です。
筋力が不足していると股関節の安定性や機能が損なわれ、痛みが増す可能性があります。
リハビリでは主に、股関節につながる太もも(大腿四頭筋)やお尻の筋肉を鍛え、体幹のトレーニングを行います。
股関節周辺の筋肉量をアップして、股関節の安定化を目指しましょう。
股関節唇損傷の治療・再発予防に再生医療の治療を検討しよう
股関節唇損傷の治療および再発予防には、再生医療も一つの選択肢です。
手術や入院が不要で、損傷した股関節唇の再生が期待できるためです。
具体的な治療方法を以下にまとめました。
- 1.患者さまから米粒2〜3つ分の脂肪を採取
- 2.脂肪から幹細胞を抽出し、約1ヶ月かけて培養
- 3.特殊な注射器やレントゲン装置を使用して、身体の奥深くにある股関節へピンポイントに幹細胞を投与
患者さま自身の細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低く、細胞の採取も米粒数粒程度なので体の負担が少ないのが利点です。
当院(リペアセルクリニック)では、独自の培養技術により、幹細胞を冷凍せずに培養しているため生存率が高い点が特徴です。
高い治療効果を期待したいとお考えの方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。。
【まとめ】股関節唇損傷が治る期間|早期に医療機関を受診しよう
股関節唇損傷が治る期間は症状によって異なりますが、保存療法での日常生活の復帰に約3カ月、手術の場合は約2〜3週間程度かかります。
股関節唇は自然修復しない組織のため、長引く股関節の痛みにお悩みの方は、早期復帰のためにも早めに医療機関の受診を検討しましょう。
当院(リペアセルクリニック)では、股関節の痛みに再生医療による幹細胞治療をご案内しています。
再生医療を検討している方は、ぜひお問い合わせください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設