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肘がブヨブヨに腫れて痛い原因は?考えうる病態の症状・治療方法を紹介

公開日: 2019.09.30
更新日: 2024.11.19
  • ・肘がブヨブヨに腫れて痛い
  • ・ブヨブヨに腫れている原因を知りたい
  • ・ブヨブヨ・ぷよぷよは自然に治るのか

上記のようなお悩みを抱えている読者の方々に向けて、本記事では肘がブヨブヨに腫れて痛い原因から考えられる疾患の症状や治療法までを紹介します。肘の問題解決の参考として、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を読むとわかること
  • ・肘がブヨブヨに腫れて痛い原因
  • ・肘頭滑液包炎の症状・原因・治療方法

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肘がブヨブヨに腫れて痛い原因

肘がブヨブヨに腫れて痛い原因として考えられるのが、肘頭滑液包炎と呼ばれる疾患です。読み方は「ちゅうとうかつえきほうえん」です。

この「ぷよぷよ・ブヨブヨ」している訳は、関節を包んでいる滑液包の中に水(滑液)がたまる現象が起きているからです。

以下で肘頭滑液包炎の症状・原因・治療方法を詳しく紹介します。

肘頭滑液包炎の症状

肘頭滑液包炎は、肘が腫れたり痛みが出たりする病気です。

たとえば、転倒した際に肘を強くぶつる・繰り返し肘が圧迫されると、肘頭滑液包炎になる可能性があります。また、肘がぷよぷよ・ブヨブヨに腫れる点も肘頭滑液包炎の特徴です。

肘頭滑液包炎の症状
  • ・肘のに赤みが現れる
  • ・腫れ(ブヨブヨ) 肘を曲げ伸ばす、回すると痛みが出る
  • ・肘の動きが制限される
  • ・触れると熱を持っている
  • ・発熱や倦怠感などの全身に症状が出る(感染性の場合)

肘頭滑液包炎になる原因

肘頭滑液包炎は、肘の滑液包に炎症が生じる病気です。この炎症はさまざまな原因で引き起こされます。

肘頭滑液包炎の原因 特徴
細菌感染による炎症
  • ・肘頭滑液包炎の主な原因
  • ・外傷や動物に噛まれることなどで細菌が侵入、炎症を起きる
  • ・黄色ブドウ球菌による感染も見られる(強い痛みや腫れが特徴)
肘の過度な使用
  • ・肘を頻繁に使う動作や姿勢が要因
  • ・動作や姿勢で滑液包に負荷をかけ、炎症を引き起こす
外傷と刺激
  • ・肘をぶつける、擦るなどが要因(打撲・捻挫など)
  • ・繰り返しの強い刺激や圧迫で炎症を起こす
炎症性疾患
  • ・リウマチや痛風などが主な要因
  • ・体内で炎症を引き起こしやすい
  • ・痛風の場合は尿酸結晶が滑液包に溜まることもある
その他の原因
  • 特定の誘因がないにもかかわらず発症
  • 体質や健康状態が影響する(免疫力の低下など)

それぞれの原因に対して適切な予防策を講じることで、炎症を防げます。肘を守るためにも、日常生活やスポーツにおける肘の使い方には注意が必要です。

滑液包とは

滑液包(かつえきほう)は、人体の関節や腱の周りにある小さな袋状の組織です。滑膜と呼ばれる内膜に包まれ、中には少量の滑液が入っています。滑液包は関節部に多く、主に腱と骨・筋と骨・皮膚と骨の間に存在します。

これらの場所では、動作によって構造同士がこすれ合うことが多く、滑液包がクッションの役割を果たして摩擦を軽減します。

滑液包の種類
滑液包には、表在性と深在性の二種類があります。表在性の滑液包は皮膚のすぐ下にあり、肘や膝などに見られます。一方、深在性の滑液包は筋肉や腱の下に位置し、より深い部位で同じように摩擦を減らす役割を果たしてくれます。
滑液包の構造と特性
滑液包の内壁は滑膜で覆われており、この滑膜には血管や神経、リンパ管が豊富に分布しています。また、痛覚を感じる自由神経終末が多く存在するため、滑液包が炎症を起こすと疼痛を発症します。

肘頭滑液包炎の治療方法

肘頭滑液包炎の治療方法は、保存療法・手術療法・投薬療法の3つです。くわえて、治療に役立つ滑液の検査が存在します。症状や状態にあわせて、それぞれの治療法を専門医が選択します。

以下で治療法を詳しく解説するので、治療のイメージをつけていただけると幸いです。

保存療法

肘頭滑液包炎の主な治療方法は保存療法です。

保存療法の内容
滑液包内の液体過剰の場合 注射で液体を吸引除去
感染による滑液包炎の場合 抗生物質の投与
感染のない滑液包炎の場合
  • ・肘の挙上
  • ・冷却療法
  • ・圧迫
  • ・液体を吸引除去
  • ・非ステロイド性抗炎症薬
  • ・ステロイド注射

上記のように専門医の判断の下、症状に応じて適切な保存的治療を選択します。

手術療法

保存的な治療で改善しない場合は、手術による治療が行われることがあります。

感染が続く場合、手術で直接感染部分を取り除くこともあります。対して、感染でない場合は以下の手術を行うことがあります。

手術療法の内容(感染でない場合)
  • ・肘の周りの厚くなった組織の切除
  • ・関節鏡を使った内視鏡的な炎症部位の処理
  • ・肘の関節の内側の膜が厚くなった部分の切除

手術は症状の改善と再発の予防に期待できますが、侵襲的(患者さんの体に直接的に手を加える)な治療です。

そのため、患者さんの状態を十分に評価し、的確な手術方法を慎重に検討する流れになります。

投薬療法

滑液包炎が感染によるものであれば、抗生物質の使用が一般的です。

一方で感染が原因でない場合は、以下の方法で炎症を抑えます。

投薬療法の内容(感染でない場合)
  • ・消炎鎮痛薬:炎症を和らげるために消炎鎮痛薬を使用します。
  • ・ステロイド:強力な抗炎症作用をもちます。

感染でない場合には、液体を抜き取ることに加えて、ステロイドによる注入も検討します。これにより、顕著な炎症を抑制できます。

抜き取った滑液の検査

滑液包炎は、滑液が出血を伴って貯留する特徴があります。

局所的に発赤や熱感を伴う場合には、滑液を穿刺(せんし)による細菌培養検査の実施が推奨されます。検査の内容に応じて感染の有無を確認できるため、適切な治療を行えます。

肘がブヨブヨに腫れて痛い方からよくある質問

肘がブヨブヨに腫れて痛む症状に悩む方々から、さまざまな質問が寄せられています。

この項目ではそうした疑問に答え、適切な対処法や治療の選択肢について解説します。

注射による吸引は癖になる?

注射による吸引治療は一時的に症状を緩和できます。滑液吸引自体に依存性はありませんが、滑液は再びたまることもあり、これが癖になると感じられる要因です。

ここで理解いただきたいのが「何度も水を抜くから炎症が慢性化するのではなく、炎症が慢性化しているために何度も水がたまる」ことで、けして癖になっている訳ではありません。

慢性化した滑液包炎の場合、根本的な原因を取り除くことが必要です。物理的な刺激を避け、原因となる疾患の治療に力を入れることが大切です。

肘が腫れて痛いときは何科を受診すればいい?

肘が腫れて痛む場合は、整形外科の受診をおすすめします。

整形外科医は、筋骨格系の専門家として肘の腫れや痛みの原因を適切に診断し、適切な治療法を提案できます。症状の原因が肘頭滑液包炎や関節炎、腱炎などの場合、整形外科で適切な診断と治療を受けられます。

肘に水がたまる肘頭滑液包炎は自然に治癒する?

肘頭滑液包炎は、適切なケアと時間があれば自然に治癒する可能性があります。しかし、個人差が大きく、症状の程度や原因によって治癒までの期間が異なります。

軽度の場合は安静や冷却などの保存療法を講じ、数週間で改善する傾向にあります。ただし、重度の場合や繰り返し発症する慢性的な状態では、自然治癒が困難なケースもあります。

また、長期間放置すると、滑液包の肥厚や線維化が進行し、完全な回復が難しくなる可能性もあります。そのため、症状が長期間続く場合や、痛みが強い場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

肘がブヨブヨに腫れているけど痛くないときは?

肘がブヨブヨに腫れているが痛みがない場合、慢性的な肘頭滑液包炎や別の病態である可能性があります。

痛みがないからといって軽視せず、適切な対応が必要です。慢性的な肘頭滑液包炎では、急性期の炎症が落ち着いた後も滑液包内に液体が貯留し続け、痛みを伴わないブヨブヨとした腫れが残ることがあります。

そのため、痛みがなくても油断は禁物です。炎症が起きているから水が貯まることを理解し、医療機関を受診しましょう。

肘のブヨブヨした腫れが続く場合は早期受診を!

肘頭滑液包炎は、肘の周囲にある滑液包が炎症を起こす病気です。

肘の外傷や過度の使用・感染・または基礎疾患によって引き起こされます。また、特定の誘因なしに発症することもあります。

主な症状は、肘の腫れ・痛み・動きの制限が挙げられます。治療法は原因によって異なりますが、感染が原因の場合は抗生物質が使用されます。感染でない場合は、安静やアイシング・消炎鎮痛薬の使用・ときにはステロイド注射が使用されることもあります。重症な場合には、液体の抜去や手術を伴う治療が必要なケースもあります。

肘頭滑液包炎を防ぐためにも、肘の負担を減らすことが大切です。適切な姿勢や動作を心掛けると同時に、肘頭の外傷を防ぐ意識も大切です。

また、肘の痛みにお悩みの方は再生医療も検討してみましょう。手術を伴わず、低リスクで早期の完治に期待できます。

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