反張膝を治すには?原因や主な治療法を医師が解説
公開日: 2019.09.02更新日: 2025.07.31
反張膝(はんちょうひざ)は、立っているときに膝関節が正常な範囲を超えて後ろに反り返る状態を指します。
靭帯や関節の緩い女性に多く見られ、放置すると膝への負担が蓄積し、関節の痛みや歩行障害、姿勢の崩れなどを引き起こすリスクもあります。
しかし「反張膝って治せるの?」「治療法はある?」「手術が必要なの?」と不安・疑問を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、反張膝の原因・なりやすい人の特徴や主な治療法について詳しく解説します。
- 反張膝とは
- 反張膝になる原因
- 反張膝の主な治療方法(治し方)
- 反張膝の治し方に関する質問
また従来の治療では装具やリハビリ、手術などが行われてきましたが、最近では再生医療によるアプローチが注目されています。
体に負担をかけずに膝の構造そのものを修復・再生する新しい選択肢です。
反張膝の治し方や再生医療の具体的な内容を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
反張膝とは
反張膝とは、足を横から見たときに後ろに弓のように曲がってしまっている膝変形のことです。
反張膝の原因は、生まれつきや大腿骨に外傷を受けて変形したことなどが考えられます。
靭帯や筋の柔軟性が過剰なケースでも生じやすく、膝が反るような力の入れ方を続けると発症しやすいです。
また、脳卒中などの脳疾患で麻痺が残った方も反張膝になる場合があります。
反張膝は膝の関節が過度に伸び切った状態になり、大腿四頭筋や下腿三頭筋に大きな負担がかかると同時に、膝関節や足部の変形につながるおそれがあります。
自分が反張膝なのではないか?と気になる方は、セルフチェックも可能です。自分でできるチェック方法を紹介するので、参考にしてください。
- 用意するもの:バスタオル1枚
- バスタオル1枚を丸め、足首の下に置いて上向きに寝ます
- この状態で膝の裏が床に着くかどうかをチェックします
- 膝の裏が床に着いている場合、反張膝になっている可能性があります
反張膝の原因
反張膝を起こしてしまう原因には以下のようなものが考えられます。
ここからは反張膝を起こす要因として挙げられる3つの原因について詳しく見ていきましょう。
生まれつき・遺伝的な要因
反張膝は、遺伝的な要因が影響する可能性があり、両親や兄弟など家族の中で同様の膝の疾患や問題を持っている場合は、反張膝になりやすいと言われています。
家族に確認して問題がある場合は、早期の対策を講じることで、予防や治療に役立てられます。
過去の膝の怪我
過去に膝を怪我したことがある方や手術を受けた経験がある方は、反張膝のリスクが高まる傾向があります。
外傷や手術によって関節の構造や可動域が変化し、膝の安定性が損なわれることがあるためです。
また、脳卒中後の片麻痺も反張膝のリスクを高める可能性があります。
麻痺により片側の筋力が極端に低下したり、筋緊張が異常に高まったりすることで、歩行時に膝関節がうまく制御できず、反張膝のような代償動作が現れやすくなります。
このように、膝の既往歴や中枢神経の障害は、反張膝を引き起こす重要なリスク要因です。
もしこれらに該当する場合は、早期からの予防的アプローチや専門的なリハビリテーションが必要になります。
筋力不足・過度な柔軟性
反張膝は、膝関節が通常の可動域を超えて過度に伸展する状態を指します。
膝の安定性が損なわれ、歩行や日常生活に支障をきたしますが、背景には、筋力不足や過度な柔軟性が関与しています。
膝の安定性を保つためには、周囲の筋肉が重要です。
とくに大腿四頭筋やハムストリングスの筋力が不足していると、膝関節をしっかりと支えられなくなり、膝が後方に過度に伸びやすくなります。
大腿四頭筋 |
・太ももの前面に位置し、膝を伸ばす力を助ける4つの筋肉の総称です。 ・大腿四頭筋筋力が不足すると、膝の安定性が低下します。 |
---|---|
ハムストリングス | 太ももの裏側に位置する3つの筋肉の総称で、膝を曲げたり、股関節を後ろに反らすときに働きます。 |
筋力不足に加えて、過度な柔軟性も反張膝を引き起こすリスクがあり、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 靭帯が緩んでいる(関節弛緩性)
- 関節が過可動(ハイパーモビリティ)状態になっている
とくにストレッチを頻繁に行う人は靭帯が柔らかくなりすぎるため、注意が必要です。
関節が過度に柔らかい場合、膝が通常の範囲を超えて伸びることがあります。
関節の柔軟性維持は重要ですが、過度に柔らかくするのは避けましょう。
反張膝を回避するためには、筋力と柔軟性のバランスが重要です。
反張膝になりやすい人の特徴|生活習慣・癖に注意が必要
反張膝になりやすい人の特徴として、以下のようなものがあります。
- 重心が後ろに偏りやすい姿勢をしている
- 骨盤が前方にスライドしている
- 幼少期に体操やバレエをしていた
- ヒールの高い靴をよく履く
- 下半身の筋力が不足している
- 膝の故障や手術歴がある
反張膝を放置すると、将来的に変形性膝関節症や腰痛につながることもあります。
姿勢改善や筋トレ、靴選びを見直すだけでも予防につながるので、今の体の使い方を一度見直してみましょう。
反張膝の主な治療方法(治し方)
この項目では、反張膝を治したい方に向けて治療方法を紹介します。
いずれも専門医の指示に従って適切に行いましょう。
保存療法
保存療法とは病気などの直接原因を取り除くのではなく、症状の改善や緩和を目指す治療を指します。
保存療法にはリハビリも含まれ、いくつかのアプローチがあります。反張膝は単純に筋肉を鍛えるだけで改善されるものではなく、神経回路についての取り組みも重要です。
以下に、反張膝のリハビリに役立ついくつかの方法を示します。
1.神経回路の再構築を目指すリハビリ |
|
---|---|
2.装具療法の利用 |
|
3.筋力増強トレーニング |
|
4.姿勢と歩行の意識 |
|
リハビリは個々の症状や状態に応じて調整されるものです。専門医の指導のもとで、個人に適したリハビリ(保存療法)を受けましょう。
外科的療法
外科的療法と呼ばれる反張膝の手術は、症状が重い場合に検討される治療法です。
しかし感染や出血などのリスクが伴う場合があります。
また、麻酔による副作用や、手術後の回復に時間がかかる場合もあるので、手術前には医師との相談が重要です。
さらに手術後には入院期間が「数週間から数カ月」といった長期になる点もデメリットでしょう。
そのため治療方法の選択は、患者様の症状や状態、およびリスクを十分に考慮した上で専門医と相談するのが大切です。
再生医療
反張膝は、筋力の低下や姿勢の乱れが関与することが多く、自覚しにくい症状です。
痛みが慢性化したり、動作に支障が出るようであれば、専門医に相談し、保存療法での改善が難しい場合は再生医療の選択も視野に入れましょう。
再生医療は自身の細胞を活用し、損傷した組織を修復・再生させる先進的な医療です。
リペアセルクリニックでは、自己由来の幹細胞やPRP(多血小板血漿)を用いた治療を提供しています。
幹細胞治療 |
・切らない治療で、入院不要 ・軟骨再生が見込めるため、人工関節を回避できる可能性も ・自分の細胞と血液を使用するため、安全性が期待できる |
PRP療法 |
・関節の痛みや炎症に効果が期待できる ・日帰り治療が可能 ・美容医療にも応用される再生技術 |
手術と言われた方や反張膝を改善したいとお悩みの方は、一度検討してみてください。
再生医療の治療法や症例については、以下当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでも確認できますので、ご確認ください。
反張膝に関するよくある質問
反張膝に関するよくある質問に対しての回答は、以下の通りです。
反張膝にお悩みの方は参考にご確認ください。
水泳選手は反張膝を治したほうが良い?
結論、反張膝は水泳に対して有利に働くことから、治すべきか否かの判断は難しいところです。
反張膝は膝の可動域を広げるため、水をとらえる範囲が大きくなり、泳ぐスピードが向上します。しかしパフォーマンス向上につながる側面がある一方で、膝の痛みや将来的な障害のリスクもはらんでいます。
反張膝が競技に与える影響や、膝の痛みなど症状の程度、将来の競技レベルなどを総合的に判断し、医師やトレーナーとよく相談して治療の方針を決めるのが重要です。
反張膝になりやすい女性の特徴は?
- 筋肉が弱い
- 柔軟性が低い
- ヒールのある靴を好む
- 猫背の姿勢になりやすい
女性は男性に比べて骨盤が広く、関節がゆるみやすい傾向があります。そのため、膝関節が不安定になりやすく、反張膝になりやすいと言われています。
また、ヒールのある靴を長時間履くこと、猫背の姿勢を続けることも反張膝の原因になります。さらに妊娠や出産で骨盤の歪みや体型の変化が起こり、反張膝が悪化するケースも少なくありません。
反張膝を改善するための筋トレ・ストレッチ方法は?
反張膝を改善するための筋トレ・ストレッチ方法は、以下の通りです。
【ストレッチ】大腿四頭筋(前もも)をゆるめる |
・立位または横向きに寝た状態で、片膝を曲げて足首を持つ ・かかとをお尻に近づけるように引っ張り、太もも前面が伸びるのを感じる ・30秒キープ×左右2セット |
【筋トレ】ハムストリングス(太もも裏)を鍛える |
・仰向けになり、膝を立てて足裏を床につける ・お尻を締めながら、ゆっくりお尻を持ち上げる ・肩~膝が一直線になるところで3秒キープ、ゆっくり下ろす ・10回×2セット |
【筋トレ】中臀筋を鍛える |
・横向きに寝て、下の足を軽く曲げる ・上の足をまっすぐ上にゆっくり持ち上げ、3秒キープ ・ゆっくり下ろす ・10回×左右2セット |
反張膝を改善するには、筋肉のバランスを整えることが大切です。
前ももはゆるめ、裏ももとお尻を鍛えることで、自然で安定した立ち姿勢が身につきます。
反張膝を治すなら再生医療を検討しよう
反張膝(はんちょうひざ)とは、立ったときに膝関節が正常な可動域を超えて後ろ側に反るように曲がった状態をいいます。
反張膝の主な原因には、以下のようなものがあります。
- 遺伝的な関節の柔らかさ(関節弛緩性)
- 外傷や靭帯損傷の後遺症
- 脳卒中後の麻痺や神経障害
- 筋力低下や姿勢の癖
反張膝が長期間続くと、膝関節や半月板の損傷・慢性的な膝痛や歩行時の不安定感、反り腰や猫背などの姿勢不良の問題を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
症状が進行して保存療法で効果が出にくい場合、外科的治療が検討されることがありますが、手術はリスクや入院が伴うため、慎重な判断が求められます。
そうした中で近年注目されているのが、再生医療という選択肢です。
また、現在は膝以外の場所から脂肪細胞を採取し「幹細胞」を抽出する方法や、血小板を多く含んだ液体を膝に注射する再生医療も注目されています。
保存療法で効果を感じにくい場合や進行を止めたいとお考えの方は、当院(リペアセルクリニック)までぜひご相談ください。
また、治療の流れや実際の症例、再生医療に関する最新情報は、当院の公式LINEでもご紹介していますので、気になる方は、ぜひお気軽にご覧ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設