関節炎とリウマチの違いとは?原因・症状・治療法を紹介
公開日: 2019.06.30更新日: 2025.04.30
関節炎とリウマチはよく混同されますが、実はまったく異なる病態です。
関節炎は「関節に炎症が起きた状態」全般を指す幅広い概念であるのに対し、リウマチ(関節リウマチ)は免疫の異常によって自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。
しかし関節炎とリウマチの違いがよく分からないと、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、関節炎とリウマチの症状の違いを詳しく解説します。
関節炎とリウマチの症状の違いを正しく理解したい方、どちらに該当するのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
関節炎とリウマチの違い
関節炎とリウマチの主な違いを、各項目に分けて解説しています。
両者の違いを正しく理解するためにも、ぜひ参考にしてください。
症状
関節炎とリウマチの症状の違いは、以下のとおりです。
症状 | 関節炎 | リウマチ(関節リウマチ) |
---|---|---|
痛みの範囲 | 単一または限られた関節に出やすい | 多発し、左右対称に現れる場合が多い |
腫れ | 局所的で非対称な場合が多い | 対称的で熱感や腫れを伴う場合が多い |
朝のこわばり | 比較的短時間で治まる場合が多い | 1時間以上続く場合が多い |
全身症状 | ほとんど見られない | 倦怠感や微熱、貧血を伴う場合がある |
関節炎は、膝や指など特定の関節に限定して炎症が起こるケースが多く、全身への影響は比較的少ないのが特徴です。
一方、関節リウマチでは、左右対称に複数の関節に炎症が現れやすく、腫れや熱感も強く出るのが特徴です。
さらに朝のこわばりが1時間以上続くこともあり、倦怠感や微熱、貧血などの全身症状を伴うケースも少なくありません。
原因
関節炎と関節リウマチは、いずれも関節に痛みや炎症をもたらしますが、原因は以下のように異なります。
原因 | 関節炎 | リウマチ(関節リウマチ) |
---|---|---|
一般的な要因 | 関節の使いすぎ、加齢、外傷など | 自己免疫の異常 |
遺伝 | 関連は低い | 遺伝的要因が関与する場合がある |
環境要因 | 肥満、特定のスポーツなど | 喫煙、感染症などが影響する場合がある |
好発年齢 | 高齢者に多い | 比較的若い世代にも発症する |
関節炎は加齢や使いすぎなどによって関節が物理的に摩耗することが主な原因で、スポーツや重労働が影響することも。
一方、関節リウマチは自己免疫の異常によって、自分の関節を攻撃してしまう疾患であり、遺伝要因や喫煙・感染症などの環境因子が関与する場合があります。
このように原因が異なるため、予防法や治療アプローチもまったく異なります。
診断方法
関節炎とリウマチの診断方法の違いは、以下のとおりです。
診断方法 | 関節炎 | リウマチ(関節リウマチ) |
---|---|---|
診察 | 特定の関節の状態を重点的に観察 | 全身の関節の状態、皮膚症状などを観察 |
血液検査 | 一般的な炎症反応を確認 | 自己抗体の有無、炎症反応などを確認 |
画像検査 | X線、CT、MRIなど | X線、超音波検査、MRIなど |
関節炎は局所的な症状の把握が中心ですが、関節リウマチでは全身症状や自己抗体の有無など、より多角的な検査が必要になります。
そのため、関節リウマチが疑われる場合は早めに専門医を受診し、総合的な診断を受けることが大切です。
治療法
関節炎とリウマチでは治療の目的や取り組み方が異なるため、選択される治療法にも違いがあります。
治療法 | 関節炎 | リウマチ(関節リウマチ) |
---|---|---|
薬物療法 | 鎮痛剤や湿布などで炎症や痛みを緩和 | 抗リウマチ薬、生物学的製剤など |
非薬物療法 | 理学療法、運動療法、装具療法など | 作業療法、関節保護、生活指導など |
手術療法 | 関節鏡手術、人工関節置換術など | 関節形成手術、滑膜切除術など |
関節炎では炎症のコントロールと関節機能の維持が治療の中心で、比較的軽度であれば、鎮痛剤やリハビリで対応可能の場合もあります。
一方で関節リウマチでは、進行性の関節破壊を防ぐことが最優先で、免疫に直接働きかける抗リウマチ薬や生物学的製剤による治療が欠かせません。
薬物療法に加えて、関節への負担を軽減する生活習慣の工夫や、症状の進行度に応じた外科的治療が選択されることもあります。
【まとめ】関節炎とリウマチの違いを知り、適切な治療を
関節炎と関節リウマチは、いずれも関節の痛みや腫れといった共通の症状がありますが、以下のように原因や症状の現れ方や治療法には明確な違いがあります。
項目 | 関節炎 | 関節リウマチ(リウマチ) |
---|---|---|
原因 | 加齢、外傷、感染、代謝異常など | 免疫異常による自己免疫疾患 |
症状の現れ方 | 特定の関節に現れる | 左右対称に複数の関節に出やすい |
炎症の範囲 | 局所的 | 関節だけでなく全身に及ぶことも |
伴う症状 | 関節の痛み・腫れ・熱感など | 倦怠感、微熱、貧血などの全身症状 |
関節炎は、主に関節の使いすぎや加齢、ケガなどが原因で発症しやすく、痛みや腫れが1か所にとどまることが多いのが特徴です。
一方、関節リウマチは免疫システムの誤作動により、自分自身の関節が攻撃されて炎症が起こる「自己免疫疾患」です。
このように症状が似ていても根本的な原因が異なるため、治療法も大きく異なります。
関節の痛みや腫れが長引くときは自己判断で済ませず、できるだけ早く専門医を受診することが大切です。
日常生活への支障を抑えるためにも、関節に違和感を覚えた際は放置せずに速やかに医療機関での診察を受けましょう。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設