膝の腫れの原因にもなる痛風や、偽痛風についてと、その治療法
公開日: 2020.05.28更新日: 2025.06.02
痛風と診断された方の中には「突然膝に激痛が走った」という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
痛風による痛みは足の指に起きるというイメージが強いかもしれませんが、膝関節にも痛風の発作は起こる可能性があります。
本記事では、痛風による膝の痛みの特徴、初期症状や痛みが起こる原因について解説します。
- 痛風が膝に起きたときの痛みの特徴
- 膝の痛風における初期症状と発生メカニズム
- 薬物療法、運動療法、食事療法などの治療・対処法
膝に原因不明の激しい痛みを感じている方、あるいはすでに痛風と診断され膝の症状にお困りの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、膝の痛みに対する再生医療に関する治療法や症例を公開中です。
「膝の痛みが長引いて困っている」という方は、先端医療である再生医療がどのような治療を行うか知っておきましょう。
目次
痛風による膝の痛みの特徴
痛風の発作が起こりやすい場所は足の親指の付け根ですが、実は膝の関節にも痛風は発症することがあり、決して珍しいことではありません。
ここでは、痛風による膝の痛みがどのようなものか、その代表的な特徴3つを紹介します。
ご自身の膝の痛みが痛風によるものかどうか、確認してみましょう。
突発的に激痛が走る
痛風による発作が膝関節に発症した場合、突発的に激痛が走るケースがあります。
痛みの現れ方
- ある日突然、激しい痛みに襲われる
- 夜間や何かのきっかけで急激に痛みが強くなる
- 前日まで異常がなくても、急に赤く腫れる
- 電撃が走るような鋭い痛みを感じる
「変形性膝関節症」のように徐々に痛みが悪化していく疾患とは異なり、痛風による膝の痛みは突然起こるケースが多いです。
熱がこもりじわじわ痛みを感じる
痛風による膝の痛みの特徴として、奥からじわじわと湧き上がってくるような痛みを感じるケースがあります。
痛風の発作が膝の関節内で起こると、激しい炎症反応が引き起こされます。
この炎症によって膝への血流が増加することで関節全体が赤く腫れ上がり、触ると熱をもっていることがわかります。
膝関節がこわばり可動域が制限される
痛風発作が膝に起こると関節が腫れ上がり、膝全体が硬くこわばることで可動域が制限されるケースがあります。
膝を曲げようとしても、関節の中で何かが引っかかるような違和感があり、思うように動かせなくなってしまいます。
膝を曲げたり伸ばしたりする動作の際に関節に鋭い痛みが走るため、痛みを避けるように自然と膝を動かさなくなり、結果として可動域が狭まってしまうのです。
痛風による膝の痛みの初期症状と原因について
ここでは、痛風が膝に現れるときの初期症状と原因について解説します。
初期症状サインに気づき、原因を理解することで、適切な対処に繋げることができます。
膝関節のこわばり
痛風による膝の痛みの初期症状として、膝関節のこわばりが挙げられます。
朝目覚めて起き上がろうとしたときや、長時間座っていて急に立ち上がろうとしたときに「膝がスムーズに動かせない」「鈍い痛みを感じる」といった症状に気づくことがあります。
こわばりが起こる主な原因は、血液中の尿酸値が高い状態が続くことで関節の中に尿酸の結晶が少しずつ溜まっていき、それが刺激となって軽い炎症を引き起こすためです。
痛風発作の特徴である突然の激しい痛みが起こる数時間前や数日前に、このような軽い違和感やこわばりを感じる方もいます。
夜間に激しく痛む
痛風の痛みは、日中よりも特に夜間から明け方にかけて、前触れなく突然激しい痛みに襲われることが多いという特徴があります。
原因は、就寝中の体液バランスの変化や体温の低下などが、関節内での尿酸の結晶化を促しやすいためと考えられています。
さらに、寝ている間は水分が摂れないため、体が軽い脱水状態になりやすく、血液中の尿酸が濃縮されることも発作を誘発する一因とされています。
痛風による膝の痛みに対する治療法・対処法
痛風による膝の痛みは非常につらいものですが、適切な治療法や対処法があります。
この章では、痛風による膝の痛みがあるときの具体的な治療法から、普段の生活で意識したい対処法まで、以下の4つのポイントに沿って解説していきます。
正しい知識を身につけ、つらい痛みと上手に付き合いましょう。
薬物療法
激しい痛みに襲われたときまず行われるのは、炎症と痛みを鎮めるための薬物療法です。
一般的には、「NSAIDs」と呼ばれる非ステロイド性の消炎鎮痛薬が用いられます。
非ステロイド性の薬が効かない場合、強い抗炎症作用を持つステロイドが用いられるケースがあります。
しかし、ステロイドを短期間に繰り返して内服することで、高血圧のリスクを高めたり、骨密度の低下につながったりするため注意が必要です。
薬物療法は、根本的な治療ではなく「今起きている発作の症状を和らげる」ことが目的となることを覚えておきましょう。
運動療法
急性期には安静が基本ですが症状が落ち着いてきたら、医師の指導のもとで膝に負担をかけない程度の軽い「運動療法」を取り入れることが重要です。
主に以下のような有酸素運動を無理のない範囲で始めましょう。
- ウォーキング
- サイクリング
- 水泳
上記のような運動を取り入れることで、体重管理による膝への負荷軽減や血行改善により痛みを和らげる効果が期待できます。
体調と相談し、無理のない頻度と時間で楽しみながら長く続けていくことが、痛風と上手に付き合っていくための秘訣といえるでしょう。
食事療法
痛風は、血液中の尿酸値が高い状態が続くことで起こる病気のため、日々の食事内容を見直すことが重要です。
尿酸値を上げやすい要因をできるだけ取り除く食生活に改善しましょう。
食事のポイント | 内容 |
プリン体の多い食品を制限 |
レバー類、白子、エビ、イワシやサンマの干物、魚卵といった、プリン体を特に多く含む食品の摂取はできるだけ控える |
アルコールの摂取を控える |
ビールはプリン体を多く含むため要注意 |
十分な水分補給を心がける |
水やお茶をこまめに飲み、1日の尿量を増やすことで体内の尿酸を尿と一緒に排泄しやすくする |
適切なカロリー摂取と体重管理 |
摂取カロリーを適正範囲に抑えることで体重をコントロールし、肥満の改善や予防を行う |
特定の栄養素だけを制限するような偏った食事ではなく、野菜や果物、海藻類なども積極的に取り入れ、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事を心がけることが大切です。
尿酸値管理
痛風による膝の痛みが一度治まっても、根本的な原因である高い尿酸値をそのままにしておくと、繰り返し発作が起こります。
そのため、日頃から血中の尿酸値を適切な範囲(一般的に6.0mg/dL以下)にコントロールし続ける「尿酸値管理」が重要なポイントです。
尿酸値管理のためにも「食事療法」と「運動療法」を並行して行いましょう。
生活習慣の改善だけでは尿酸値が目標値まで下がらない場合や、すでに何度も痛風発作を繰り返しているような場合には、医師の判断により「尿酸降下薬」という、血液中の尿酸値を下げるためのお薬の服用が検討されます。
痛風による膝の痛みについてよくある質問
ここでは、痛風による膝の痛みに関してよくある質問に回答していきます。
不安なことはここで解消しておきましょう。
痛風による膝の痛みはどんな痛み?
痛風によって膝に生じる痛みの多くは、前触れなく突然始まる「激痛」といわれます。
痛みの特徴
- 突然始まる耐え難いほどの激痛
- 膝関節が赤く腫れ上がり、熱をもつ
- ズキズキと脈打つように痛む
- 少し触れたり動かしたりするだけでも激痛
- 「風が吹いても痛い」と表現されるほどの痛み
このような激しい痛みは適切な治療を行わない場合、数日間続くこともあります。
痛風で膝が曲がらないのはなぜ?
痛風で膝が曲がらなくなる主な原因は、膝関節に強い炎症が起こり、関節内が腫れているためです。
また、物理的な腫れやこわばりに加えて、膝を少しでも動かそうとすると激しい痛みが走るため、無意識のうちに膝を動かさないようにかばってしまいます。
つまり、関節内部の「腫れ」による物理的な動きの制限と、痛みを避けるための体の「防御反応」が相まって、膝がまるでロックされたかのように曲げ伸ばしできなくなってしまうのです。
痛風の膝の痛みはいつ治る?
痛風による膝の痛みは、発作が起きてから半日~1日程度でピークに達し、その後は徐々に和らいでいきます。
軽い痛風発作であれば2~3日程度で痛みが収まることもありますが、関節が真っ赤に腫れるような重度の場合は7~14日ほど痛みと腫れが続き、自然軽快するケースもあります。
早めに医療機関を受診し、炎症を抑えるお薬の服用や注射といった適切な治療を受けることで、痛みの期間を数日以内に短縮し、症状を和らげることが可能です。
痛風による膝の痛みは突発的な激痛が特徴!治療と生活習慣を改善しよう
痛風による膝の痛みは突発的な激痛が特徴であり、一度経験すると忘れられないほどのつらさを伴います。
そのため、適切な治療を受け、生活習慣を見直すことで痛みをコントロールすることが重要です。
大切なのは、膝に異変を感じたら自己判断で放置せず、できるだけ早く医療機関を受診し、医師による正確な診断と指示に従うことです。
処方されたお薬をきちんと服用するとともに食事療法や適度な運動を生活に取り入れ、尿酸値を安定させることを意識しましょう。
これらの対策が痛みのない快適な生活を取り戻すポイントとなります。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設