脳血管性認知症のリハビリテーション一覧|進行を遅らせるためのポイントを解説【医師監修】
公開日: 2025.03.07更新日: 2025.08.30
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる認知症です。
物忘れが激しくなったり、日付や曜日が思い出せなくなったりと、患者さまやご家族の日常生活に大きな影響を与えます。
「どのようなリハビリを行えば症状が改善するのかわからない」「家族として何をサポートすればよいのか知りたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、脳血管性認知症の具体的なリハビリテーション方法から進行を遅らせるためのポイントまでを詳しく解説します。
脳血管性認知症で悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。
また、現在リペアセルクリニックでは脳卒中の後遺症改善や再発予防などの治療法である、再生医療に関する情報をLINEで発信しております。
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目次
脳血管性認知症のリハビリテーション一覧
脳血管性認知症のリハビリテーションは、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、さまざまな専門的アプローチを組み合わせて行います。
主なリハビリテーションは以下のとおりです。
これらの専門的なリハビリテーションを組み合わせることで、患者さまの状態に応じた効果的な治療が期待できます。
理学療法
理学療法は、身体機能の回復と維持を目指し、筋力や柔軟性、バランス能力の改善を図る専門的なリハビリテーションです。
- 関節可動域訓練(関節の動く範囲を広げる運動)
- 筋力強化訓練(弱った筋肉を鍛える運動)
- バランス訓練(転倒予防のための体のバランス改善)
- 歩行訓練(安全に歩くための練習)
- ストレッチング(筋肉の柔軟性を保つ運動)
- 起き上がり・立ち上がり訓練
理学療法士が患者さまの身体機能を評価し、個人に合わせたプログラムを作成します。
継続的な取り組みにより、日常生活での移動能力向上が期待できます。
作業療法
作業療法は、日常生活での基本動作や社会参加に必要な能力の回復を目指す専門的なリハビリテーションです。
- 着替えや身だしなみの練習
- 食事動作の訓練(箸やスプーンの使い方)
- 入浴動作の練習
- 家事動作の訓練(料理や掃除の練習)
- 認知機能訓練(注意力や記憶力の改善)
- 手指の細かい動作訓練
作業療法士が患者さまの生活スタイルに合わせて、実用的な動作練習を行います。
自立した生活を送るための基盤づくりに重要な役割を果たします。
言語聴覚療法
言語聴覚療法は、言語機能や嚥下機能の改善を通じて、コミュニケーション能力と安全な食事の回復を目指す専門的なリハビリテーションです。
- 発話訓練(言葉を話す練習)
- 理解訓練(言葉の意味を理解する練習)
- 読字・書字訓練(文字の読み書き練習)
- 嚥下訓練(安全に飲み込むための練習)
- 口腔機能訓練(口の周りの筋肉を鍛える運動)
- 呼吸訓練(発声に必要な呼吸の練習)
言語聴覚士が患者さまの言語・嚥下能力を詳しく評価し、個別のプログラムを実施します。
家族とのコミュニケーションを円滑にし、誤嚥リスクを減らす効果が期待できます。
その他のリハビリ方法
専門的なリハビリテーション以外にも、認知機能の活性化や心理的な安定を図るさまざまなプログラムがあります。
- 回想法(過去の思い出を語り合う療法)
- 音楽療法(音楽を聴いたり歌ったりする活動)
- 認知刺激療法(計算やパズルなど脳を刺激する活動)
- アロマテラピー(香りによる感覚刺激)
- 園芸療法(植物の世話を通じた活動)
- ペットセラピー(動物との触れ合い)
これらのリハビリは、患者さまの興味や好みに合わせて選択することで、楽しみながら認知機能の維持・改善を図れます。
【症状別】脳血管性認知症のリハビリテーション内容
脳血管性認知症では、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、以下のさまざまなリハビリテーションを組み合わせて行います。
患者さまの状態に合わせた適切なリハビリの選択が、症状改善への第一歩となります。
認知機能のリハビリ
認知機能のリハビリテーションは、五感を刺激して脳の活性化を図り、記憶力や判断力の維持・向上を目指す訓練です。
主に以下の活動を通じて、脳の活性化と認知機能の改善を図ります。
- 塗り絵や習字などの創作活動
- 簡単な計算問題
- パズルやクロスワード
- 音楽を聴いたり歌ったりする音楽療法
- 興味のある話題についてのディスカッション
- アロマテラピーによる嗅覚刺激
- ペットセラピーでの触れ合い
患者さまの興味や好みに合わせて内容を選ぶことで、楽しみながら継続できます。
日常生活動作のリハビリ
日常生活動作のリハビリテーションでは、着替えや食事、トイレなど基本的な生活動作を自立して行えるよう訓練します。
主に以下の訓練を通じて、日常生活の自立度向上を目指します。
- 関節が動く範囲を広げる運動
- 着替えの練習(ボタンの留め外し、ファスナーの操作など)
- トイレ動作の練習
- 食事動作の練習(スプーンや箸の使い方など)
- 関節の柔軟性を保つストレッチ
- 入浴動作の練習
これらの訓練は、日常生活に戻るためには欠かせないリハビリです。少しずつできることを増やしていくことで、患者さまの自信回復にもつながります。
運動機能のリハビリ
運動療法は身体機能の維持・向上だけでなく、認知機能の改善にも効果が認められています。
主に以下の運動を行い、身体機能と認知機能の両方を改善します。
- ウォーキングなどの有酸素運動
- サイクリング(エアロバイクを含む)
- 水中歩行
- バランス訓練
- 筋力強化訓練
- 関節可動域訓練
水中での訓練は身体への負担が少なく、安全に運動できるためおすすめです。
10分程度の軽い運動でも効果が期待できるので、患者さまの体力に合わせて無理のない範囲で取り組みましょう。
言語機能のリハビリ
脳血管性認知症では失語症などの言語障害が生じることがあります。
言語機能のリハビリテーションでは、コミュニケーション能力の回復と維持を目指します。
主に以下の訓練を行い、コミュニケーション能力の改善を図ります。
- 家族や介護者との日常会話の練習
- 発声練習や発音訓練
- 文字の読み書き練習
- ジェスチャーを使ったコミュニケーション訓練
- スキンシップを取り入れた会話
- 歌を歌うことでの発話促進
言葉だけでなく、身振り手振りや表情を使ったコミュニケーションも大切です。
患者さまが伝えたいことを理解しようとする姿勢が、リハビリの効果を高めます。
嚥下機能のリハビリ
脳血管性認知症では、食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能に障害が生じることがあります。
嚥下機能のリハビリテーションは、安全に食事ができるよう飲み込み機能の改善を図ります。
主に以下の訓練を段階的に行い、誤嚥リスクの少ない食事ができることを目指します。
- 舌や頬のマッサージ
- 食前の嚥下体操
- 発声練習(あいうえお体操など)
- 水分やゼリーを使った飲み込み訓練
- 段階的な食形態の調整
- 正しい姿勢での食事練習
まずは基礎訓練から始めて、段階的に実際の食べ物を使った訓練に移行していきます。誤嚥(食べ物が気管に入ること)を防ぐため、専門職の指導のもとで進めることが重要です。
脳血管性認知症の進行を遅らせるためのポイント
脳血管性認知症の進行を遅らせるためのポイントとして、以下の3つがあります。
患者さまの心身の状態を最優先に考えながら、適切なサポートを行いましょう。
患者本人が無理をしない範囲で行う
リハビリテーションで最も大切なことは、決して無理をしないことです。患者さまの体調や気持ちを優先的に考えて進めましょう。
体調が悪いときや本人がリハビリを嫌がるときに無理をしても、効果が上がらないどころか「リハビリは嫌なもの」という印象を与えてしまいます。
もし嫌がる様子が見られたら、本人の好きな別の方法に変えたり、気持ちが向くまで待ったりすることが大切です。
また、リハビリの途中で体調が悪くなった場合は、無理をせずにすぐに中断してください。
リハビリを楽しめるように工夫する
リハビリテーションを継続するためには、患者さまが楽しく取り組めるような環境づくりが不可欠です。
本人の趣味や興味に合わせたリハビリ内容を選ぶことで、積極的な参加を促せます。
音楽が好きな方には音楽療法を、手先を動かすことが好きな方には創作活動を取り入れるなど、個人の嗜好に応じてプログラムを調整しましょう。
また、グループ活動を通じて他の参加者との交流を楽しめる環境も効果的です。
生活習慣も改善する
脳血管性認知症の進行を遅らせるためには、原因となる脳血管障害の再発予防が重要です。
日常生活での以下の改善に取り組むことで、症状の進行を抑制できます。
- 塩分を控えた食事(1日6g未満を目標)
- 脂質を抑えた食事内容
- 野菜や魚を中心とした栄養バランスの良い食事
- 適度な有酸素運動(週3回、1回30分程度)
- 禁煙・節酒の実践
- 十分な睡眠時間の確保(7〜8時間)
- 血圧・血糖値の定期的な管理
これらの生活習慣改善は、新たな脳血管障害の発症リスクを下げ、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
脳血管性認知症のリハビリに関するよくある質問
脳血管性認知症のリハビリについて、よくある質問を紹介します。
これらの疑問を解消して、適切なリハビリに取り組む参考にしてください。
脳血管性認知症の症状は?
脳血管性認知症の主な症状は、記憶障害、見当識障害(日時や場所がわからなくなる)、手足の麻痺、感情のコントロールが難しくなる感情失禁、抑うつ症状などです。
特徴は、障害を受けていない脳の部位は正常に機能するため、「できることとできないことの差が大きい」ことです。
そのため「まだら認知症」とも呼ばれます。
脳血管性認知症に効果的な運動は?
ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動が効果的です。
10分程度の軽い運動でも認知機能の改善が期待できます。
水中歩行は身体への負担が少なく、関節に問題がある方でもケガのリスクが少なく取り組めます。
また、サイクリングやエアロバイクなども、体力に応じて調整しやすい運動として推奨されています。
運動は脳の血流を改善し、認知機能の維持・向上に役立ちますが、無理をせず患者さまの体調に合わせて行うことが重要です。
脳血管障害による認知症は回復しますか?
脳血管障害による認知症は、適切なリハビリと治療により、症状の改善や進行の抑制が期待できます。
完全な回復は難しい場合もありますが、機能の維持や部分的な改善は十分に可能です。
脳血管性認知症は、原因となる脳血管障害の再発を防ぐことで進行を抑制できます。
また、損傷を受けていない脳の部位が代償的に機能することで、症状の改善も見込まれます。
早期からの適切なリハビリテーションと生活習慣の改善、必要に応じた薬物療法や再生医療などの組み合わせにより、患者さまの生活の質の向上を目指せます。
脳血管性認知症のリハビリ効果を高めるには再生医療も選択肢の一つ
脳血管性認知症をはじめとする脳卒中の後遺症に対して、再生医療という治療法があります。
再生医療は、患者さま自身の幹細胞を使用して、損傷した脳細胞や血管の機能改善を促す治療法です。
また、身体麻痺や言語障害などの後遺症改善、再発予防に対しても再生医療を実施しています。
再生医療は患者さま自身の幹細胞や血液を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。
リハビリと併用することで、改善効果の向上が期待できます。
再生医療については、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。

監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長