- 肩
- 肘
上腕二頭筋断裂とは|主な症状や治し方は?全治までの目安期間について解説【医師監修】

「重い荷物を持ち上げた瞬間に肩から腕にかけて激痛が走った」
「力こぶの形や位置が明らかに変わってしまった」
上記のような症状がある場合、「力こぶ」を作る筋肉の腱が切れてしまう上腕二頭筋断裂の可能性があります。
主に40代以上の方に多く見られ、加齢によって弱くなった腱に、急激な負荷がかかることで発症します。
本記事では、上腕二頭筋断裂の典型的な症状や治療法について詳しく解説します。
突然の腕や肘の痛みにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
上腕二頭筋断裂とは?主な症状
上腕二頭筋断裂は、肩や肘の腱が断裂し、力こぶの筋肉が移動・変形する「ポパイサイン」という特徴的な症状を伴う外傷です。
本章では、上腕二頭筋断裂の主な症状について解説します。
それぞれの症状がどのようなメカニズムで起こるのか、具体的に見ていきましょう。
突然の痛みと「ブチッ」という断裂音
肩や腕の付け根あたりに鋭い痛みを感じると同時に、「ブチッ」「パチン」といった断裂音(断裂感)を自覚するケースが多く見られます。
この断裂音は、蓄積されたダメージや加齢による変性で耐久性が落ちた腱が、重いものを持ち上げたり、腕を振ったりした瞬間の張力に耐えきれずに破断するために起こります。
痛みは受傷直後がピークで、時間の経過とともに軽減していく傾向があります。
「痛みが引いたから治った」と勘違いしやすいですが、腱が切れて緊張が解けたことで痛みが減っているだけである可能性が高いため、自己判断は禁物です。
ポパイサイン(力こぶの移動・変形)
上腕二頭筋断裂の特徴的な症状として、力こぶが肘側に移動し、筋肉が膨らむなどの変形が見られます。
肩側の腱が切れると筋肉の付着部が失われ、ゴムが切れたように肘側へ収縮し、力こぶが肘に近い位置にボコッと盛り上がって見えます。
この状態がアニメキャラクターのポパイの力こぶに似ていることから、「ポパイサイン(Popeye sign)」と呼ばれています。
鏡の前で肘を曲げて力を入れた時、左右で力こぶの位置や形が明らかに違う場合は、上腕二頭筋断裂の可能性が高いです。
皮下出血や腫れ
上腕二頭筋断裂に伴い、筋肉や腱の周囲にある毛細血管も損傷するため、内出血や腫れが生じます。
受傷直後は二の腕あたりにうっすらと赤みが出る程度ですが、時間が経つにつれて重力によって血液が下がり、腕の付け根から肘にかけて広範囲に皮下出血が広がります。
通常は1〜2週間程度で自然に吸収され、青紫のような色から黄色っぽく変色しながら消えていきます。
筋力低下
上腕二頭筋は、肘を曲げる動作に関与しているため、腱が断裂するとこれらの機能に影響が出ます。
具体的には、「肘を曲げる力(屈曲力)」や「手のひらを上に向ける力(回外力)」が低下してしまいます。
日常生活は送れるものの、重い荷物を持つ際やスポーツ動作などで「力が入りにくい」と感じる場面が出てくるでしょう。
上腕二頭筋断裂の主な原因
上腕二頭筋断裂の主な原因として、以下の3点が挙げられます。
これらは単独で原因となることもありますが、複数が組み合わさることで受傷リスクを高めます。
それぞれの要因について詳しく確認していきましょう。
加齢による組織の変性
加齢に伴う腱の変性(老化)は、上腕二頭筋断裂の主な原因の一つです。
若い頃は弾力があった腱も40代以降は水分量が減り、古くなったゴムのように硬く脆くなっていきます。
特に、肩関節を通る「長頭腱」は骨との摩擦が多く、年齢と共に摩耗していくため、日常生活の動作でも断裂するリスクになります。
加齢による変性は止められませんが、適度なストレッチや運動によって筋力や柔軟性を高め、断裂リスクを抑えましょう。
腕への負荷
腕の酷使によって、腱に物理的なストレスが加わることが上腕二頭筋断裂の直接的な引き金となります。
重い荷物を急に持ち上げたり、転倒して手をついたりする「一度の強い衝撃」だけでなく、仕事での運搬作業やゴルフ・テニスなど腕を高く上げる「反復動作」にも注意が必要です。
健康な腱なら耐えられる負荷でも、加齢による変性と組み合わさると「最後の一押し」となる可能性があります。
ステロイド薬の継続使用
持病の治療などでステロイド薬を長期間使用している場合も、上腕二頭筋断裂のリスク要因です。
ステロイドは強力な抗炎症作用を持つ反面、副作用としてコラーゲンの合成を抑制し、腱や皮膚の組織を脆弱化させる可能性があります。
服用中や関節注射を繰り返している方で、腕に違和感を覚えた際は、無理をせず早めに主治医へ相談しましょう。
上腕二頭筋断裂の治し方は?主な治療法
上腕二頭筋断裂の主な治療法は、大きく以下の2つに分けられます。
基本的には手術をしない保存療法が選ばれることが多いですが、重症例や早期の機能回復を強く望む場合は手術療法も検討されます。
それぞれの特徴や適応となるケースを見ていきましょう。
保存療法
保存療法では、薬で痛みをコントロールし、痛みが引いている間にリハビリテーションによって機能回復を目指します。
以下のようなアプローチを組み合わせて治療を進めます。
- 安静とアイシング
- 薬物療法(痛み止め)
- 理学療法(リハビリテーション)
力こぶの変形は残りますが、体への負担が少なく、日常生活には支障がないレベルまで改善できます。
手術療法
手術療法は、断裂した腱を骨や周囲の組織に再び固定する外科的な処置です。
高い筋力が求められる若い世代やスポーツ選手、力仕事に従事されている方などに検討されます。
主な術式は、以下のとおりです。
- 腱固定術:断裂した腱を適切な位置に固定する
- 腱修復術:断裂した腱を縫合する
近年では、関節鏡を使った傷跡の小さい低侵襲手術も行われていますが、術後は3週間程度の固定期間があり、計画的なリハビリが必要です。
完全にスポーツや仕事へ復帰するには、3〜6カ月程度の期間を見込んでおきましょう。
上腕二頭筋断裂の全治期間の目安
上腕二頭筋断裂の全治までの期間は、損傷程度や治療法によって大きく異なりますが、軽度であれば数週間〜3カ月程度で日常生活に復帰できます。
一方で、重度の場合やスポーツや力仕事へ復帰したい場合には3〜6カ月程度、長ければ1年以上かかる場合もあります。
保存療法の場合、薬物療法によって痛みをコントロールしながら、適度なリハビリテーションによって機能回復を目指します。
手術療法の場合、術後に患部を固定する期間があるため、リハビリを開始するまでに時間がかかる点に注意しましょう。
上腕二頭筋断裂に関してよくある質問
本章では、上腕二頭筋断裂に関してよくある質問に回答していきます。
ご自身の状況と照らし合わせながら、適切な選択をするための判断材料としてお役立てください。
上腕二頭筋断裂は自然に治る?
一度断裂した腱が自然に元の骨にくっつくことはないため、自然に治ることはありません。
しかし、適切な治療を受けて痛みが改善され、リハビリによって筋力を強化すれば日常生活も問題なく送れるようになります。
「元通り繋がる」ことはありませんが、手術を受けなくても「生活に支障がない状態」へ改善するケースがほとんどです。
上腕二頭筋断裂の手術費用は?
上腕二頭筋断裂の手術費用は、入院期間や病院によりますが、3割負担の保険適用で自己負担額は30万円〜90万円程度が目安です。
「高額療養費制度」を利用すれば、一般的な所得の方で月の上限を超えた医療費が払い戻され、実質負担額を抑えられるケースが多くあります。
費用について不安がある場合は、事前に病院の窓口に相談しましょう。
上腕二頭筋断裂の早期改善には「再生医療」をご検討ください
上腕二頭筋断裂は、突然の痛みと「ブチッ」という断裂音や力こぶの筋肉が移動・変形する「ポパイサイン」という特徴的な症状が見られます。
保存療法でも手術療法でもリハビリテーションの継続が必要となり、完全復帰までには時間がかかります。
「仕事を長く休めない」「少しでも早くスポーツに復帰したい」という方は、手術以外の選択肢として「再生医療」をご検討ください。
再生医療は、自身の細胞や血液を用いて、炎症抑制や損傷した腱の再生・修復を促すことで早期改善を目指す治療法です。
当院リペアセルクリニックでは、上腕二頭筋断裂に対する再生医療について無料カウンセリングを実施しております。ぜひご相談ください。
監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設


















