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膝裏が腫れる原因のベーカー嚢腫とは?症状・検査・治療法を徹底解説

膝の裏がポコッと腫れているのを見つけて、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
膝裏の腫れは痛みが軽くても、医療機関での診察が必要なケースもあります。
その原因の一つとしてよく見られるのが ベーカー嚢腫(のうしゅ) です。
本記事では、膝裏の腫れの代表的な原因であるベーカー嚢腫を中心に、症状の特徴や検査方法などについて解説します。
膝裏の腫れの正体を理解し、日常生活での対処や受診のタイミングの判断にお役立てください。
また当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、ベーカー嚢腫以外に膝裏の腫れの原因となる変形性膝関節症や、半月板損傷に対して期待できる再生医療の治療法や症例をご紹介しています。
「膝裏の腫れはあるけれど大丈夫かな…」という方や、歩きはじめの痛み・膝のぐらつきが気になる方にとって、きっと役立つ情報が見つかるはずです。
膝の症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご覧いただき、今後の治療や生活改善のヒントにしてください。
目次
膝裏がぽっこり腫れるベーカー嚢腫とは|関節液がたまって袋状に腫れる状態
膝裏がぽっこり腫れるベーカー嚢腫とは、膝関節内の炎症や障害によって関節液が過剰に分泌され、関節の後方(膝裏)に袋状にたまった状態を指します。
関節液とは関節の中に存在する液体で、通常より多くたまると膝裏に腫れとして現れます。
触ると柔らかく、膝を曲げたり伸ばしたりすると膨らみがより目立つことがあります。
ベーカー嚢腫は痛みが軽い場合が多いですが、以下のような疾患が隠れている場合があるため、医療機関の受診を検討しましょう。
疾患名 | 内容 |
---|---|
変形性膝関節症 | 膝の軟骨がすり減って炎症を起こす |
半月板損傷 | 膝のクッションが傷ついて炎症が起こる |
関節リウマチ | 免疫の異常によって関節に炎症が起こる |
エコノミークラス症候群 | 長時間同じ姿勢を続けることや運動不足によって血のかたまり(血栓)が血管に詰まる |
また、子どもの場合は関節を覆う役割を果たす膜が生まれつき未発達なため、関節液がたまりやすく膝裏に腫れが出ることがあります。
以下のコラムでは、関節リウマチによる膝裏の痛みの仕組みや、ほかの疾患による膝裏の痛みについても解説しています。
膝裏に違和感や痛みを感じる方は、ぜひ参考にしてください。
ベーカー嚢腫の検査方法
膝裏の腫れの検査方法では、おもに超音波検査やMRIを用います。
ベーカー嚢腫における検査の流れは、以下の通りです。
- 医師による診察にて症状の経過や痛みの程度を確認する
- 視診や触診で膝裏の腫れの大きさや左右差を調べる
- 必要に応じて超音波検査やMRIを用いて膝裏の腫れの状態を調べる
膝裏の腫瘍の正確な位置や大きさ、関節液の状態を調べて変形性関節症や関節リウマチなどの病気の有無を判断します。
膝裏の腫れや違和感がある際や皮膚が赤く熱を持つなどの症状がある場合は、整形外科を受診しましょう。
ベーカー嚢腫の治療|保存療法・手術療法が検討される
ベーカー嚢腫の治療方法は、以下の通りです。
ベーカー嚢腫の治療は、症状の程度や日常生活への影響に応じて選択されます。
痛みや腫れが軽い場合は保存療法から始め、必要に応じて手術療法が検討されるのが一般的です。
保存療法(安静・湿布・薬物治療・関節穿刺)
膝裏の腫れや違和感が軽度の場合、膝にかかる負担を減らし炎症や痛みの緩和を目指す保存療法が検討されます。
保存療法の内容は、下記の通りです。
治療名 | 内容 |
---|---|
安静 |
|
湿布 | 市販の消炎鎮痛湿布を活用し炎症や腫れを緩和する |
薬物治療 |
|
関節穿刺(注射による関節液の除去) |
|
日常生活では、激しい運動や長時間の立ち仕事は控え、膝を休めましょう。
正座やあぐら、しゃがみ込みなどは膝に負担がかかるためとくに注意が必要です。
また、変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患が原因となっている場合は、それらの治療を並行して行うことも重要です。
ベーカー嚢腫の原因となる疾患を放置したままでいると症状が再発したり、腫れが長引いたりする可能性があります。
手術療法(嚢腫切除術・関節鏡手術)
保存療法で症状が改善しない場合や、膝裏の腫れが大きく生活に支障をきたす場合には手術療法が検討されます。
膝裏の腫れに対する主な手術は、以下の通りです。
手術名 | 内容 |
---|---|
嚢腫切除術 |
|
関節鏡手術 |
膝関節内の小型カメラと器具を使い、嚢腫を切除したり関節液が漏れている部位を縫い合わせたりする |
手術は、保存療法で改善しない腫れや圧迫感を解消できる可能性がありますが、切開による痛みや腫れなどのリスクを伴います。
嚢腫の原因が残っている場合、腫れが再発する恐れがあるため医師と十分に相談して治療方法を決めましょう。
手術後のリハビリでは痛みや腫れの状態を見ながら、膝関節周囲の筋力強化を目指して運動量を増やすのが一般的です。
膝裏の腫れを放置するのは禁物!痛くない場合でも医療機関を受診しよう
膝裏の腫れは、ベーカー嚢腫のほかにも変形性膝関節症や半月板損傷など、さまざまな病気が関係していることがあります。
たとえ膝裏の痛みが強くなくても放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。
また往来の治療法では痛みが改善しない方に向けて、患者さま自身の細胞や血液を活用して損傷した組織の修復を目指す再生医療があります。
通院のみで行える場合もあり、入院や手術を避けたい方の新たな選択肢として注目されています。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、変形性膝関節症や半月板損傷に対する再生医療の具体的な治療法や症例を詳しくご紹介しています。
膝の不調に悩んでいる方は、ぜひご参考ください。
膝裏の腫れ(ベーカー嚢腫)に関するよくある質問と回答
膝裏の腫れについて、よくある質問は以下の通りです。
一つずつみていきましょう。
ベーカー嚢腫に対するストレッチ方法はある?
ベーカー嚢腫がある場合でも、膝の動きを保つために太ももまわりの柔軟性を整えるストレッチは有効です。
ただし、腫れや痛みが強いときは無理に行わず、医師に確認してから取り入れることをおすすめします。
ハムストリング(太ももの裏)のストレッチを紹介します。
- 椅子に浅く座り片足を前に伸ばす
- もう一方の足は膝を曲げて床に足を付ける
- 背筋を伸ばしたまま上体を少し前に倒す
- 太ももの裏が気持ちよく伸びるところでキープ
- 膝が痛くない範囲で10回ほど繰り返す
大腿四頭筋(太ももの前)のストレッチは、以下の通りです。
- 立ったまま壁や椅子につかまり片足を後ろに曲げて足首を持つ
- かかとをお尻に近づけるようにして太ももの前を伸ばす
- 腰を反らさないようにする
- 痛みのない範囲で15秒キープ
いずれのストレッチも、伸びて気持ち良いと感じる程度で止めることが大切です。
無理に強く伸ばすと膝の負担になるため注意しましょう。
膝の裏が腫れてる場合、何科を受診すべき?
膝裏の腫れを感じた場合、多くは整形外科を受診するのが一般的です。
整形外科では、超音波検査やMRIを用いて関節の状態や靱帯・半月板の異常・ベーカー嚢腫の有無などを詳しく調べます。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設