前十字靭帯断裂は手術しないと治らない?!復帰は可能か
公開日: 2019.07.02更新日: 2024.01.29
目次
前十字靭帯断裂は手術をすれば復帰ができる
ひざの内部に位置し、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)をつなぎとめるているのが前十字靭帯ですが、何かの拍子でこの靭帯が断裂した後、できることなら手術しないで治したいと思う方も多いと思います。
しかし、前十字靭帯断裂は手術しないで治すことができるのでしょうか?
手術しないと生活の質が悪化の一途をたどる前十字靭帯断裂
前十字靭帯断裂は大腿骨と脛骨をつなぎとめ、ひざの可動域を制御して、スムーズな歩行・運動をするための大切な靭帯です。サッカーやバスケットボールなどでひざがねじれた状態で着地し、体重が強くかかったときこの靭帯が断裂することがあります。
前十字靭帯断裂後には腫れと痛みが出ますが、「何とか我慢できるから病院に行かなくていいや」とそのまま放っておくとやがて腫れと痛みが軽減します。痛みが軽減するので、一見治ってきたように思えるかもしれませんが、実はそうではありません。
その後の生活でひざがうまく使えず、ひざがずれるような感じや、ひざがガクッと外れるような感じを頻繁に経験するようになり、この状態がずっと続きます。
ひざの可動域が低下するので立ち仕事やスポーツをする人はとくに不便さ、不快さを感じますし、関節内の半月板や軟骨への負荷が強くなることで、これらの部位が損傷してしまう可能性が非常に高まります。
そうなると痛みは強まりますし、日常の身体活動で生じるストレスがどんどん強まっていきます。
前十字靭帯断裂は手術しないでいると永久に治らない
断裂した前十字靭帯は放置しておいても、そのうちつながる…ということはありません。残念ながらそこまで私たちの身体は都合よくできていないのです。完全に断裂した靭帯はもうつながってくれません。
では切れた靭帯同士をつなぎ合わせる手術すれば元のように動くのでしょうか?実は、つなぎ合わせる手術をしても靭帯は以前のようには動いてくれないのです。
しかし、なす術がないということではありません。身体の一部を切り取って新しい靭帯を作ることができます。新しい靭帯になることができるのは半腱様筋腱というひざの内側にある腱、もしくは膝蓋腱というひざの前方にある腱です。
断裂した前十字靭帯を除去した後、大腿骨と脛骨それぞれ前十字靭帯のあった場所に穴を開け、それぞれの穴に切り取った一本の腱を詰めて固定します。つなぎ合わせた腱は始めのうちは身体から分離しているので血液を介する栄養補給ができず細胞が壊死し、弱くなります。
ただ、1ヶ月程度で骨と腱をつなぐ血管ができ、半年後には靭帯としての役割を担えるようになってきます。理学療法士の指導を受けながらリハビリを行い、移植手術を受けたほとんどの人は8~10カ月程度でスポーツができるレベルにまで回復します。
ですから、前十字靭帯断裂の場合は手術しないで放置することはせず、信頼できる医師に手術をしてもらって、しっかり治すようにしてくださいね。
まとめ・前十字靭帯断裂は手術をすれば復帰ができる
前十字靭帯断裂は手術しないで放置しておくと、治るどころか、どんどん他の部位にまで負担と損傷を広げてしまいます。結果、生活の質を悪化させていくことになってしまいます。
しかし、前十字靭帯断裂は手術をすればほとんどの場合、スポーツができるほど復活できます。一時的に治療・リハビリでスポーツを休むことになってしまうとは思いますが、早く治療をしてきちんと治す!ということを検討したほうが賢明でしょう。
監修:院長 坂本貞範

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設