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- 再生治療
腱鞘炎を中華料理の料理人が職業病として悩むのはなぜ 4000年以上の歴史がある中国料理を調理する人の仕事は、一日中立ちっぱなしで大きな重い鍋を持ち上げたり、ゆすったりする動作を長時間行います。そのため丈夫な身体と体力が必要です。そんな中国料理の料理人のなかで多くの人が悩まされているのが腱鞘炎なのです。 今回は、腱鞘炎のばね指とドケルバン腱鞘炎の症状や原因、治療方法などについて紹介します。 腱鞘炎で悩む中華料理の料理人が多い? 腱鞘炎は親指や手首を動かした時に指の付け根や手首に痛みや腫れが出る疾患です。腱鞘とは、筋肉と骨をつなぐ役割を果たしている腱をトンネルのように包んでいるもので、腱鞘によって腱を滑らかに動かしています。 しかし、腕を酷使していると腱鞘と腱がこすれ合って炎症を起こしてしまい痛みや腫れが生じます。よって、仕事で大きな鍋を扱ったりして腕を酷使することが多い中華料理の料理人は腱鞘炎を起こしやすいのです。 中華料理の料理人に多い「ばね指」と「ドケルバン腱鞘炎」について 中華料理の料理人が発症する腱鞘炎で多いのが「ばね指」と「ドケルバン腱鞘炎」です。 ばね指とは 指の酷使などで腱鞘に炎症が起きて、腱鞘が厚くなることで指の曲げ伸ばしの際に痛みが生じたり、引っ掛かったりするタイプの腱鞘炎です。症状が悪化すると関節が硬くなって(拘縮)指が動かしにくくなってしまいます。 ドケルバン腱鞘炎とは 親指の伸ばす働きがある腱が炎症を起こし、痛みが生じるタイプの腱鞘炎で、親指を動かす際に手関節の親指の付け根付近に痛みが生じます。 中華料理の料理人が悩む腱鞘炎の治療方法 腱鞘炎の治療方法は、症状の度合いによって異なります。症状が軽度の場合は炎症を抑える塗り薬や、湿布などによる薬物療法や、超音波治療による温熱療法、ストレッチなどの運動療法などで治療をします。 症状が中度の場合は、ステロイド注射を腱鞘内にすることもあります。ただし、ステロイド注射は大きな効果が期待できるものの、腱を弱くしてしまうという副作用があるため頻繁におこなうことはできません。 ステロイド注射をおこなっても症状が繰り返されるという場合は、腱鞘を切開する手術が検討されます。手術自体は複雑ではなく日帰りで済ませることができますが、術後は関節の痛みや指の伸びにくさなどがあり、リハビリが必要です。 まとめ・腱鞘炎を中華料理の料理人が職業病として悩まされているのはなぜ 中国料理の料理人多くが悩まされている腱鞘炎のばね指とドケルバン腱鞘炎の症状や原因、治療方法などについて紹介しました。 腱鞘炎を始め、関節のトラブルで一般的な治療を受けても改善できない場合、再生医療による治療という選択肢もあります。手術を回避する選択肢を探している人は再生医療による治療を検討してみるのも良いでしょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2023.08.23 -
- スポーツ医療
腱鞘炎を早く治すための治療方法と治療期間について 腱鞘炎を早く治したい!ここでは、腱鞘炎の治療方法と治療期間についてご説明させていただきます。 腱鞘炎とは、手で同じ動作を何度も繰り返すことで起きる疾患です。手の指がこわばって動かしづらくなったり、指の関節が「カクッ」となったり、いきなり激痛が走ることもあります。 私たちは、手を使わずには生活できませんから、なんとか早く治したいですよね。そこで今回は、腱鞘炎の治療方法と治療期間、慢性化した場合の治療方法について解説します。 腱鞘炎の治療方法 腱鞘炎の治療方法は、症状によって段階があります。 ・患部を安静に保つためにテーピングや湿布をする ・痛み止めとして塗り薬や内服薬を使用する ・痛みが強い場合は患部にステロイド薬を注射する ・注射でも効果がない場合は、腱鞘を切開する手術を行う 腱鞘炎の治療では、痛みがあるときはなるべく安静にすることが基本です。いくら効果の高い治療をしても、手を酷使していてはなかなか治りません。無理をして悪化することのないように注意してください。 腱鞘炎の治療期間 腱鞘炎は、どの程度の治療を続けたら治るのかと不安になる方もいらっしゃると思いますが、治るまでに必要な期間は個人差があると言わざるを得ません。 テーピングをして「手を動かさないようにして治る人」もいれば、「注射で治る人」もいます。治療期間は「数ヶ月かかる人」もいれば、「数年間治療を続ける人」もいるほどです。 症状の重さと治療方法の相性で治療期間はケースによってさまざまです。大切なのは「早いうちに治療を始める」ことと「なるべく手を休めるようにする」ことです。 ゲームやゴルフなど趣味が原因で腱鞘炎になった場合は、治るまで趣味を諦めるのが賢明でしょう。家事や育児、仕事で手を使う作業が必要になる場合は、痛い部分に負荷がかからないようテーピングや、専用のサポーターを付けるなどすることが可能です。 これらは医療機関を受診された折に、その方法をお聞きになられることをお薦めします。素人判断で誤った方法で行うと逆効果になることもあります。 腱鞘炎が慢性化した場合の治療方法 腱鞘炎は、できれば症状の軽いうちに、湿布や塗り薬また、テーピング等の使用で治してしまいたいものです。ただ、一度良くなったとしても、同じ生活習慣を続けていると再発する可能性が高いのでご注意ください。 普段から手に負担をかけないように意識しましょう。 慢性化してしまった腱鞘炎や、アキレス腱炎などの治療法として、近年は再生医療が注目されています。自己培養幹細胞治療、PRP療法は、炎症を起こした患部の機能回復に効果が期待できる治療法でスポーツ医療の領域でも大きく貢献しています。 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です まとめ・腱鞘炎を早く治すための治療方法と治療期間について 腱鞘炎の治療は、それぞれの症状に合わせて段階的に行われます。腱鞘炎になって数日間手を休めていただけて治ってしまう人がいる一方、数ヶ月間治療を続けている人もいます。 腱鞘炎になってしまったときには、まず、患部を安静に保つことが治療の基本です。そして、悪化を防ぐためには、早めの対処が必要です。痛みがあるときは、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2023.12.27 -
- スポーツ医療
腱鞘炎はステロイド注射をすれば治る? 腱鞘炎の原因はさまざまです。長時間のゲーム、ピアノの練習、勉強でノートにいっぱい字を書く、仕事で同じ作業を繰り返すなどで腱鞘炎になってしまう人もいます。 そして、痛みが続くと、このまま治らないのかと心配になりますよね。しかし、適切な治療を受ければ、良くなりますから医療機関を受診しましょう。 腱鞘炎の治療法の1つにステロイド注射があります。 今回は、ステロイド注射とはどんなものか?腱鞘炎を再発させない方法、早めの治療が大切なわけをご説明します。 腱鞘炎のステロイド注射とはどんなものか? 腱鞘炎の初期症状では、患部を休ませ炎症が引くのを待つ治療をします。患部を冷やし、湿布やテーピングでの固定なども行われます。炎症を改善するために塗り薬の痛み止めを使うこともあります。 これらを続けても改善しない場合や痛みの強い場合は、ステロイド注射をすることになります。炎症を起こしている腱鞘内に、麻酔剤入りのステロイド薬を直接注射します。 ステロイド注射は、週1回程度の注射が複数回必要ですが、効果が期待できる治療法です。ただし、糖尿病患者やアレルギーのある人は使用できないので注意してください 腱鞘炎を再発させない方法 腱鞘炎の治療を続けていると、次第に痛みが治まってきます。ステロイド注射の効果は、個人差はありますが、数ヶ月は持続することが多いです。 しかし、そこで完治したと思い込んで、元の手を酷使する生活に戻ってしまい、腱鞘炎を再発する例がよく見られます。 体質的に腱鞘炎になりやすい人もいますし、腱鞘炎の原因は、手を使いすぎることにあるので、元の状態に戻らないようにしましょう。 同じ作業を続ける場合は、手を休めるために適度に休憩を取る、軽いストレッチを行うなどの対策をしてみてくださいね。 腱鞘炎は早めの治療が大切 腱鞘炎は重症化、慢性化すると厄介です。重大な疾患ではありませんが、手の痛みは普段の生活や仕事に支障を与えます。 ステロイド注射は効果が期待できる治療法ですが、手を使いすぎる状態が続くと、腱鞘炎が悪化してしまうこともあります。 注射で治らない場合は手術になることもあります。初期症状の段階で、適切な治療を行いましょう。 もし、慢性化してしまった場合、腱鞘炎の治療法として、再生医療があります。 再生医療は、患者さん自身の細胞を使って、損傷した患部の修復を行う最先端の治療法で、近年スポーツ医療の分野で注目を集めている治療法です。 まとめ・腱鞘炎はステロイド注射をすれば治る? 腱鞘炎の治療は、初期症状の段階で患部を休め、炎症を悪化させないことが重要です。ステロイド注射は効果が期待できますが、同じように手を使いすぎていては再発してしまう可能性もあります。手に負担をかけないような生活を心がけてください。 監修:リペアセルクリニック 大阪院 こちらもご参照ください https://africatime.com/?s=%E8%85%B1%E9%9E%98%E7%82%8E&post_type=topics
最終更新日:2023.08.23 -
- スポーツ医療
腱鞘炎の痛みから解放されたい!慢性化して薬や注射が効かない場合は手術の選択も! もし、手が腱鞘炎になってしまったら負担をかけないように安静に過ごす必要があります。 しかし、手を使わずに生活するのは難しいですよね。スポーツをしている方であれば、何日も休むというのは不安になるでしょうし、ストレスにもなってしまうでしょう。 なるべく早く、腱鞘炎の痛みからなんとか解放されたいものですよね。手術をしたら早く治るのでしょうか? 今回は、腱鞘炎はどのような場合に手術が検討されるのか、リハビリや他の方法で治すことはできないのか?ということについて解説します。 腱鞘炎の手術は最終手段 腱鞘炎は手をよく使う人に発症します。 初期の治療は指の曲げ伸ばしを控え、炎症を抑えることが中心になります。テーピングで固定する、医療用サポーターで指を動かさないようにするなどして対処します。 消炎剤の入った塗り薬を毎日数回塗ることで、症状が改善することもありますが、治らない場合はステロイド注射などを試します。 しかし、塗り薬や注射の効果は個人差があり、副作用の心配のある場合は使用できないことがあります。腱鞘炎が慢性化して、何度か注射をしても効果が見られないときは手術を選択することがあります。 腱鞘炎の手術とはどんなものか? 局所の安静、塗り薬、ステロイド注射などいずれも効果がなく、悪化が見られる場合や再発を繰り返す場合は手術になります。 手術は、腱鞘上の皮膚を1〜2cm切開し、厚くなった腱鞘の一部を切り開きます。手術の傷は小さなものです。手術時間は15分で終わり、次の日から手は動かすことができます。 腱鞘炎を手術以外で治す方法はないのか? 腱鞘炎は一度回復しても、また何かの拍子に再発してしまうことがあるので、できれば完治させたいものです。 また、手術はなるべくしたくないという方もいるのではないでしょうか。 近年は、スポーツ医療の分野で、再生医療に注目が集まっています。再生医療とは、患者さん自身の細胞を利用して、損傷した部位の修復を図る治療法で、入院は不要、アレルギーの心配もなく、治療期間が短いというメリットがある治療法です。 まとめ・腱鞘炎の痛みから解放されたい!慢性化して薬や注射が効かない場合は手術もありうる 腱鞘炎は動かしたときだけ痛い軽いものや、指が動かなくなってしまうものまでいろいろな症状がありますが、いずれの場合も早めに適切な治療を行うことが重要です。 悪化してからでは、完治までに時間がかかるかもしれません。手指の安静、塗り薬、ステロイド注射でも効果が見られないときは、手術を行うこともあります。手術を避けたいという場合は、再生医療も検討してみることができますので、まずは専門医に相談してみてくださいね。 こちらもご参照ください
最終更新日:2023.12.25 -
- 再生治療
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TFCC損傷でも仕事を休むことなく短期治療でする方法とは? TFCC損傷は、手を酷使する仕事に就いている人やスポーツをする人に多い症状です。そして、安静時の痛みはないのですが、タオルを絞る、ドアノブを回す、蛇口をひねるなどの動作をするときに、手首の小指側に痛みを感じるという特徴があります。 痛みのために手が使えないと仕事にも支障が出てしまいますよね。今回は、仕事にも支障が出てしまうTFCC損傷の効果的な治療法について解説します。 TFCC損傷は手の酷使が原因になりやすい! スポーツや家事、介護の仕事、デスクワークなどで手首を酷使していると、TFCC損傷になる可能性があります。もし、小指側の手関節に痛みを感じたらTFCC損傷かもしれません。 TFCC損傷は、医療機関でも診断が難しく、実は腱鞘炎などに間違えられやすい病気です。そのため、診断には、理学所見や関節造影、超音波やMRIなどを組み合わせて行う必要があります。 TFCC損傷の治療法 TFCC損傷の治療法には、保存療法と手術があります。 ▲保存療法 ・手関節を安静に保つために装具などで固定 ・テーピングや運動療法などでリハビリを行う ・関節内にステロイド注射をし、炎症を抑えて痛みを軽減する 保存療法で痛みが引かない、仕事に支障をきたすというような場合は、外科的な手術をするという選択肢があります。 ▲外科的な治療法(手術) ・関節鏡でTFCC部分の切除 ・関節鏡でTFCC縫合 ・尺骨短縮骨切除術 TFCC損傷の術後、仕事やスポーツに復帰できるのか TFCC損傷で痛みなどの症状が長引き、手術を選択せざるを得なくなった場合、気になるのは仕事復帰やスポーツ復帰だと思います。手術にかかる期間は個人によって差があります。 術後の1つの目安としては、痛みを見ながらギプスで約1ヶ月は固定が必要となり、その後、手関節用の装具に変更して2~3ヶ月の程度の固定を行います。つまり、この期間の重労働やスポーツは禁止となります。 このようにギプスで固定というと、何もできないのでは?と不安になりますよね。しかし、手指はギプス中から動かせますので、軽作業や、デスクワークについては、術後の1ヶ月以内に復帰できると思われます。 ただし、重いものを持つような家事や、介護などの仕事、スポーツへの復帰に関してはある程度の期間が必要になりますし。また、メスを入れることに抵抗がある方や、もっと自然に根治を目指したいという方も少なくないのではないでしょうか。 そこでご紹介したいのが、再生医療で根本的な治癒を目指すという方法です。 仕事への早い復帰が望める!TFCC損傷を再生医療で治す方法とは? 幹細胞とは、人が生まれながらにして持っているもので、損傷したり弱ったりしている箇所を修復するという機能を担っています。再生医療では、この幹細胞を体から取り出して培養、パワーを高めた幹細胞を損傷部位に注入し、損傷を修復するという治療法です。 再生医療は、関節痛や糖尿病、アンチエイジング、そしてTFCC損傷の治療にも効果が期待できる画期的で最先端の医療法です。そして、自分自身の細胞を用いるため副作用が少ないこと、治療期間が短くて済むなど、メリットが多い治療法としても注目を集めています。 まとめ・TFCC損傷でも仕事を休むことなく短期に治療する方法とは? TFCC損傷による痛みは、仕事やスポーツに影響を与えてしまいますから、早く治すことが必要です。治療法には保存療法と手術が一般的ですが、根本的な治癒につながらない、治療期間が長くかかるなどの問題があります。 もっと効果的な治療をしたい、早い根治を目指したいというのであれば、再生医療による治療を考えてみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2023.12.14 -
- インピンジメント症候群
野球選手が気に掛ける野球肩(インピンジメント症候群)の治療方法とその期間 野球選手を目指している人であれば、できるだけ故障なんてしたくないものです。とはいえスポーツに怪我はつきものです。 その中でも野球選手に多く「野球肩」なんて言われているのがインピンジメント症候群です。あのシカゴ・カブスで活躍しているダルビッシュ有選手もこのインピンジメント症候群に悩まされていました。 大活躍の投手を困らせるインピンジメント症候群。聞きなれない名前でどんな症状なのか気になるという人や、今後プロ野球選手を目指していきたいという人は参考にしてください。 インピンジメント症候群がどのような症状なのか、改善方法はないのかなどを解説していきます。 野球選手に多い野球肩(インピンジメント症候群)とは? インピンジメント症候群と聞いても症状を想像するのは難しいのではないでしょうか。特にあまり聞きなれない病名で疑問の残る人も多いでしょう。 インピンジメント症候群は、投球フォームの際に腕を大きく振り上げたときに痛みを生じる症状のことで、一定以上あげきると痛みが治まるのが特徴です。 最初から強い痛みを感じるものではなく、違和感や引っかかりなどがインピンジメント症候群の特徴です。 無理をして投球フォームを続けた結果、痛みとして現れるようになります。さらに我慢して無理に続けると悪化の一途をたどることとなり、腕をあげられる角度がどんどん低くなります。 一見すると四十肩や五十肩のような症状のため、勘違いされがちですが全くの別物です。 スポーツをしていなくてもインピンジメント症候群になる? ここで覚えておきたいのが、野球選手だけがインピンジメント症候群になるわけではないということです。それを証明するのがインピンジメント症候群の種類です。 • 肩峰下インピンジメント(エクスターナルインピンジメント) • 後上方インピンジメント(インターナルインピンジメント) 大きく分けるとこの2種類のインピンジメントに分けることができます。そしてこの2つには大きな違いがあります。 それは、エクスターナルインピンジメントが骨の変形や日常動作によるものに対して、インターナルインピンジメントは転倒や転落、スポーツなどによって引き起こされることです。 つまり、基本的に野球選手などが引き起こしているのは後者のインターナルインピンジメントということになります。 ちなみにエクスターナルインピンジメントは例えば骨の変形により骨が鋭くなっているため影響を及ぼしてしまう可能性があったり、猫背なんかを続けても筋肉や人体に影響を及ぼすので引き起こされます。 どんな人でも引き起こしてしまう可能性があるということだけ覚えておきましょう。 野球選手じゃなくてもインピンジメント症候群になる? ここまでの説明だと、インピンジメント症候群は野球選手だけに起こりうると思われてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。 インピンジメント症候群は腕を大きく振り上げたときに引きおこされる痛みの症状です。 • 水泳 • バレーボール • テニス • 重量挙げ • ラケットボール • バスケットボール 野球選手以外でも上記のようなスポーツでも引き起こされる可能性があります。ですので、野球にとどまらず、スポーツを行なっていて振り上げる動作に痛みを感じる人はインピンジメント症候群の可能性を秘めています。 注意深く観察し、無理をしないようにして早めにクリニックなどの受診をしましょう。 野球選手にありがちなインピンジメント症候群の原因とは? 野球選手にありがちな痛みの元となりインピンジメント症候群。症状の悪化具合によっては野球選手生命さえ危ぶまれる症状です。 できれば引き起こしたくないインピンジメント症候群の患者さんにありがちな様々な原因を紹介します。 インピンジメント症候群の原因①過度な投球動作 プロを目指している人であれば「誰よりも早くうまくなりたい…!」「あっと言わせるような球を投げられるようになりたい」など様々な目標があると思います。 夢の舞台で戦うための努力はとても大切なことですが、やりすぎてしまうとインピンジメント症候群を引き起こしてしまう可能性がぐっと上昇します。 投球で大きく腕を振りかぶるたび肩峰が靭帯などに衝突し炎症となって現れます。 インピンジメント症候群の原因②負担のかかる投球動作 野球選手を目指すのであればなおのこと肩は大事にする必要があります。そのため、小学生の間は変化球は覚えるべきではないと言われるほどです。 それはつまり体ができていないため、変化球は体への負担が大きくなってしまうためですが、これを無理に続けるとインピンジメント症候群になってしまう可能性あります。 変化球は体ができてからでも問題ないでしょう。インピンジメントの症状が出てしまうと、どうしても治るのが遅くなってしまいます。 インピンジメント症候群の原因③筋力不足 野球選手を目指すのであれば、ある程度の筋力トレーニングを行うと思います。投球するときにもその筋力と下半身の力などを駆使してボールを投げます。 ですが、肩の筋力や肩甲骨付近の筋力が少ない場合は、力いっぱい投げてしまった際に筋肉などに過度の負担がかかり損傷を引き起こす可能性があります。 その結果、インピンジメント症候群として現れてしまう可能性があります。痛みをカバーするあまり、腱に負担がかか 腱鞘炎になってしなってしまうこともあります。 野球選手になれる?インピンジメント症候群の治療法とは? 野球肩とも言われているインピンジメント症候群ですが、症状が現れたからといって必ずしも野球選手になれないわけではありません。 当然治療を行えば再び野球やそのほかのスポーツも行うことができるようになります。そこでインピンジメント症候群の治療法をいくつか紹介します。 インピンジメント症候群の治療法①安静 初期の頃のインピンジメント症候群に効果的な治療法はなんといっても安静です。 野球の場合で言えば、腕を振りかぶる動作を続けると肩にテンションがかかり続け、いつまでたってもインピンジメント症候群は治療できません。 むしろ、無理をし続けることで症状は悪化し安静だけではどうにもなくなってしまいます。インピンジメント症候群の初期症状は肩の違和感です。 引っかかりや違和感、ポキっといった関節の音が気になるようならまず無理はせず安静にしましょう。 インピンジメント症候群の治療法②局所注射による薬物療法 肩の違和感よりも痛みになってきている場合などは局所注射などを行う薬物療法がとられることがあります。 ヒアルロン酸やステロイドの注入などを行うことで、肩の痛みを補助しながら治療を行なっていく方法の1つです。 特に、ひどい炎症を引き起こしている場合にはステロイドなどで治療を行い様子を伺いながらインピンジメント症候群の治療を行なっていきます。 インピンジメント症候群の治療法③温熱療法 急性的な炎症の場合には冷却することが推奨されていますが、インピンジメント症候群が慢性的に現れている場合、温熱療法がとられます。 これは、患部の血行の循環をよくしてあげることで物理的に治療する方法です。他にも、高周波の温熱治療などを行うことができるクリニックもあります。 インピンジメント症候群の治療法④投球フォームの修正 理学療法士が常駐しているクリニックなどでは、肩に負担のかかりにくい投球フォームなどの提案をしてもらうことができます。 投球フォームを修正すれば、ゆくゆくは肩への負担が少ない投げ方をすることができるので、インピンジメント症候群が再発するのを予防することができます。 また、リハビリテーションや自主トレーニング方法などを提案してもらうこともできるので、おすすめです。 インピンジメント症候群の治療法⑤手術 どんな治療法を行なってもなぜかインピンジメント症候群が改善しないという場合は最悪手術によって治療を行います。 内視鏡を使って行う施術が主流で、施術後の跡も小さい上にリハビリなどもスムーズに進めることができます。 野球選手になれる?インピンジメント症候群の治療期間 安静するにしても何かしらの施術を行うにしても治療するためにはある程度の期間が必要となります。 手術以外の保存療法と呼ばれる治療法の場合には3〜6ヶ月程度の期間が必要となります。それ以上になると手術に踏み切る場合がほとんどです。 施術に関しても内視鏡などを使って傷口を最小限に抑えることができるので、傷跡が残りにくく回復も早いのが特徴です。 ただ、現在はあの大谷翔平選手や田中将大選手が行なったとして注目を集めている治療法があります。 もうインピンジメント症候群に悩まない?最新の再生医療を使った治療 インピンジメント症候群になると野球選手生命がたたれてしまうのでは…と心配になっている人は多いと思います。 さらに、休養期間が多いとどうしてもほかの人と差をつけられそうで焦りが前に出てしまう人もいるでしょう。 そんな人におすすめしたいのが、再生医療を使った治療法です。通常の治療法よりも早めに治療することができるのが特徴です。 インピンジメント症候群の治療におすすめの再生医療って? 損傷が原因で引き起こされるインピンジメント症候群の場合、再生医療を活用することで通常よりも早めの治療を行うことができます。 • PRP(多血小板血漿)注入治療 • 脂肪幹細胞治療 上記の2つの方法を用いた、再生治療法があり自己治癒力を高め安全に治療を行う方法です。 PRP(多血小板血漿)注入治療は、血中にある血小板と成長因子の働きを利用して損傷箇所の組織の修復を助けます。 脂肪幹細胞治療は、培養した幹細胞を損傷箇所に注入して痛みや炎症などを抑制するだけでなく、組織の修復も行います。 再生医療では、自分の体から採取したものでおこなうので拒絶反応もおこらず比較的安全なのが特徴です。 PRP注入治療は自身の血液を採取して行う治療法で、脂肪幹細胞治療は名前の通り自分の脂肪を採取して行う治療法です。 ただし、採取する脂肪細胞の量は少なく米粒にして2粒程度のため体への負担も少ないです。少ない細胞を培養して体内に戻すため効果的に体内の細胞を再生することができます。 https://youtu.be/B4Vx0of7CsE?si=NzbWJWzwuFQfDgBz ▶こちらの動画も是非ご覧ください。 再生医療は厚生労働省に認可されたクリニックでしか受けられない PRP注入治療法よりも高い効果を実感できるのは「脂肪幹細胞治療」です。損傷箇所の修復だけでなく痛みや炎症を取り除く効果も期待できます。 PRP注入治療は、多くのクリニックで取り入れられている施術方法である一方で、脂肪幹細胞治療は取り入れられているクリニックが圧倒的に少ないです。 また、脂肪幹細胞治療を取り入れるためには厚生労働省からの認可が必要となります。 裏を返せば認可してもらえるほど安全性などに気を使う必要があるということなので、より安全性が期待できる施術ともいえます。 野球選手の夢を諦めないで!インピンジメント症候群は病院で治療しよう! 「野球選手になりたい!」という大きな夢を抱えているのに、夢半ばでインピンジメント症候群に悩まされるなんて悲しいことこの上ないでしょう。 もちろん、初期で気づき安静にすることができればインピンジメント症候群は治療することもできますが、夢のために無理をする人が多いのも現状です。 悪化してしまうと治療までにそれなりに期間がかかってしまうのもまた変えられない事実なので、できるだけ早く治療する方法として再生医療がおすすめです。 再生医療を使えば、自己治癒力をぐっとあげることができるので治療薬などに頼らずしかも安全に治療をすすめていくことができます。 ただ、肩付近に起こる痛みの全てがインピンジメント症候群とは限りません。また、再生医療はウイルスによる炎症は解消することができません。 自分で痛みの原因を判断することも難しいので、綺麗に早く治療したいのであればまずクリニックの受診がおすすめです。 症状に合わせて今一番最適な治療法を施してもらうことができるので安心です。 また、今でもインピンジメント症候群に悩んでいる患者様や診断されていない方が参考にできるようにこのサイトでは様々な症状の関連情報を常に更新していきますので参考にしてください。 野球選手になるという夢を追いかけるため、そしてスポーツを快適に続けるためにもぜひ再生医療を活用してみてください。以上、野球選手が気に掛ける野球肩(インピンジメント症候群)の治療方法とその期間について記させて頂きました。参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2024.03.27 -
- 肘
- ゴルフ肘
- テニス肘
肘から下が痛い(腕が痛い)時の病名・原因・対処法 日常生活において必ず使わないといけない身体の部分といえば、足は勿論ですが、手や腕の頻度も高いですよね。 今やパソコンやスマートフォンなどの操作を行わない日は無いといえるのではないでしょうか? インターネットなどの普及によって、その傾向がより強まっていると言えるでしょう。 そして、パソコンやスマートフォンの操作以外にも手は日常で様々な動きをしています。 手や腕に痛みが生じると、どうしても日常生活に支障をきたしてしまいがちです。 そこで今回は、悩みのタネになりがちな腕の痛み…その中でも肘から下の痛みに迫ってみることにしました。 「肘から下の腕の痛み」で考えられる病気 日常使う部分の痛みは、生活に支障をきたす為、耐え難い痛みとなると困りものですよね。 なぜ、肘から下の腕が痛くなるのか気になりませんか? 正確な原因は病院できちんと診断してもらう必要がありますが、ここでは肘から下の腕が痛くなる原因をいくつか紹介します。 肘から下の腕が痛い原因その1:頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう) 肘から下が痛む為、腕だけが原因と思っている人も多いのではないでしょうか? 実は首にある頚椎から痛みを生じている場合があります。 そして、この首を支えている頚椎の間にはクッション性に優れた椎間板が入っています。この椎間板は、加齢などが原因でクッションとしての役割を果たせなくなってしまうことがあります。役割が果たせなくなると、骨同士が直接ぶつかってしまい、変形して神経を圧迫。 その結果、肩の痛みなどからはじまり、腕が痛い原因となってしまうのです。 また、肘から下だけでなく腕全体が痛いと感じる場合には、こちらが疑われます。 「頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)」 同じ頚椎で引き起こされている症状ですが、悪化して脊髄を圧迫し続けると、排尿障害を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。 肘から下の腕が痛い原因その2:末端神経障害(まったんしんけいしょうがい) 体にはたくさんの神経が通っています。腕や肘などが神経を通して命令を受け取る時には、他の神経からの伝達が必要となります。 その伝達を伝えるまでの神経が何かの原因で圧迫されることがあります。 これが腕が痛い原因になったり、肘から下に痛みを感じる原因となります。 また、痛みとして現れるだけでなく痺れとして症状が現れる可能性が大いにあります。 痛みの種類もピリピリとした痛みから、ズキズキとした痛みに変化する人も多いようです。 悪化の一途を辿ると、力が入らないといった原因にもなりかねませんので注意してください。 肘から下の腕が痛い原因その3:テニス肘・ゴルフ肘(テニスひじ・ゴルフひじ) その名前からもお分かりの通り、テニスやゴルフといったスポーツを行なっている人が起こしやすい、肘から下の腕に現れる痛みの症状です。 テニス肘の場合➡外側に腕をひねるような動きをした時に痛みが生じる。 ゴルフ肘の場合➡内側に腕を動かすと痛い場合がほとんど。 ただ、テニスもゴルフもしていないのに痛みを感じるという人も多いのではないでしょうか? 実はテニス肘やゴルフ肘は、「パソコンやスマホの操作」でも引き起こされます。 スマホやパソコンの操作はITが成長している昨今では当たり前のように毎日行われています。 そして、手の動きはものすごく複雑です。その動きをほとんどの人は長時間行なっている。 つまり、作業を行なっている時にどうしても腕などに負担がかかってしまう。結果、肘から下の腕が痛くなる原因となっています。 肘から下の腕が痛い原因その4:腱鞘炎(けんしょうえん) 「腱鞘炎」というと比較的、馴染みのある病名ですよね。 主に肘から下の手首付近でよく引き起こされる症状の1つです。 手首を動かすためには様々な筋肉や腱を使用していますが、それらに異常が起こり、炎症が引き起こされてしまうと、腕が痛い原因となります。 また、症状が悪化すると手首だけでなく、肘から下全体が痛い原因にもなりますので注意が必要です。 肘から下の腕が痛い原因その5:骨折・ヒビ(こっせつ・ひび) 腕または肘から下に対して何か強い衝撃を受けた場合、一番可能性が高いものといえば骨折やヒビなどです。 肘から下には橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2本の前腕骨がありますが、このどちらかが骨折していたり、ヒビが入っていると肘から下に痛みを生じます。 どんな人でも転倒や何らかの事故などで、突然骨折する可能性を秘めています。骨折する程の場面では強い衝撃があるはず。 ですので、痛みも我慢できるレベルのものではないでしょう。 原因がわかっているうちに病院を受診するのがおすすめです。 肘から下の腕が痛い原因その6:筋肉痛(きんにくつう) 骨折やヒビと比べて、何の衝撃も受けていないのに、なぜか突然腕が痛くなってしまった…。 そんな場合は、筋肉痛の可能性が考えられます。 普段あまり運動をしていない人が腕などを激しく動かした場合に、筋肉痛として現れる可能性があります。 筋肉痛の場合にも骨折と同様に何かしら身に覚えがあるはずですので、強い痛みでない場合には自宅で安静にしていれば問題ないでしょう。 腕の痛み…病院へ受診するべきか迷った時の目安 「肘から下の腕が痛い!」といっても、痛みの程度は人それぞれです。 病院に行くべきなのか?と迷っている人も多いはずです。 「この程度なら明日の診療まで我慢するべきか…」「いや、もう我慢できない…」など、腕の痛みの強さは人それぞれだと思います。ですので、あくまで簡単な目安として紹介します。 目安1)すぐに病院を受診する必要がある場合 何といっても痛みが強い場合です。「我慢できないほどの強い痛みがある場合」には我慢することなく、病院を受診すべきです。 腕の痛み、特に肘から下が痛い原因として、強い衝撃を受けた時に骨が折れてしまっている場合があります。 また、衝撃を受けた強さがわかる時もあるでしょう。 我慢できないほどの痛みや、ズキズキと痛む時は迷わず病院を受診してください。 我慢できないほど痛い➡迷わず病院へ行きましょう! 目安2)明日の診療時間まで様子見できる場合 次に、明日または近日中に病院を受診する様子見の場合は、「安静にしていればそれほどでもなく、動かすと痛い」といった症状がある場合です。 「日常生活を送る上では問題がないものの、痺れを感じる場合」にも病院を受診してください。 また、スポーツの習慣がある人や、痛みが慢性化してきた気がする場合にも、病院の受診を検討しましょう。 近いうちに強く腕が痛くなってしまうかもしれませんし、肘から下に痺れをきたす可能性もあります。 ですので、早めに病院への受診は検討しておきましょう。 ・安静にしていればそれほどでもなく、動かすと痛い➡放置することなく早めに受診してください ・日常生活を送る上で問題はないものの、しびれ痺れを感じる➡放置せず、早めに受診を! 目安3)まずは安静にして、気になれば医療機関を受診が必要な場合 腕が痛いのは気になるけれど、痛みも短期的で、繰り返しではない。と、感じるようであれば、すぐに病院の受診を行う程ではないかもしれません。 まずは、様子をみながら安静にしてみましょう。但し、もしも症状が再び現れてしまったり、何か違和感があれば迷わず病院を受診しましょう! 受診する程でもないと思った場合➡異常が見られたら迷わず病院へ行きましょう! 肘から下の腕が痛い場合は整形外科へ 様々な原因によって引き起こされる肘から下の腕の痛みですが、安静にしても痛みが取れない、違和感がある、などの場合は我慢せずに医療機関を受診すべきです。 ただ、いざ病院へ行こうと思っても、「何科を受診すべき…?」「接骨院?整形?」と、迷ってしまうこともあるはずです。 基本的には「整形外科」に通うのがおすすめです。痺れや痛みがでるに至った経緯やきっかけなどの総合的な面から「肘から下の腕が痛い原因」を探してくれます。 必要とあらばレントゲンなどを撮影することもあるでしょう。安心して適切な治療を受けることができます。 肘から下の腕が痛い時の対処法 ほとんどの場合、自分で対処するよりも病院を受診する方が早く正確に治療することが可能です。 ですが痛みが我慢できる程度であれば、お仕事や子供のお世話などの都合で様子を見てから。という場合もあるはずです。 湿布やサポーターも検討され、既に試したかもしれません。そんな時に行なって欲しい対処法は、肘から下の腕の痛みに関するストレッチとテーピングの使用です。 1)腕が痛い時の対処法:ストレッチ 寝起きに痛みを感じる場合や、重だるさを感じる場合は、腕の筋肉が温まっていないことで痛みを感じている可能性があります。 そんな腕の痛みや、だるい時におすすめしたいのがストレッチです。 ストレッチは、あくまで気持ち良いと感じられる程度のストレッチで十分です。 痛みが酷くなるほど強く、あるいは繰り返して行う必要は全くありません。 これにより肘から下の腕の痛みが改善する可能性もあります。では、そのやり方を簡単に解説しましょう。 片方の手をまっすぐ前に伸ばし、もう片方の手で指をつかむ 指をつかんだ手を自分のほうにゆっくりと引き寄せます 痛すぎない程度で引っ張るのをやめ、20秒キープ たったこれだけで肘から下の腕の筋肉をほぐすことができます。片方が終わったら反対側も同様に伸ばしてください。血行が促進され冷えている筋肉が少し温まり、稼働させやすくなります。 ただし、痛みが酷い場合は無理にストレッチをするのはNGです。 特に骨折やヒビといった強い痛みを生じる症状にも関わらず、ストレッチをするのは逆効果です。 それにヒビだった筈なのに、悪化して最悪の場合骨折となってしまう可能性もあります。 2)腕が痛い時の対処法:テーピング 腕が痛くても、作業などでどうしても腕を動かさねばならない人は、その作業自体が苦痛になってしまうことでしょう。 そんな時に少しでも補助をしてくれるのがテーピングです。上手に貼ることができれば痛みを軽減したり、腕の動作をスムーズにすることが可能です。 テーピングはとても簡単に貼ることができるのでご紹介しましょう。 肘を曲げ、腕が床と平行になるようにします 親指の付け根から痛みのあるポイントに向けてテーピングを装着 たったこれだけです。ぜひお試しください。 これだけでも肘から下の痛みをサポートすることができるのでおすすめですが、一本テーピングを貼るだけでは腕を可動させた時に剥がれないか?と、不安に感じる人もおられることでしょう。 そんな時は、ブレスレットをはめるかのようにして、テーピングをつけるのがおすすめです。肘を曲げる部分の直前にもテーピングをつけておけば動かしても安心です。 肘の曲げる部分に付けなければ、可動域を邪魔することはありませんし、日常生活においても邪魔に感じることはないでしょう。 ただし、テーピングをしても痛みが引かない場合や、痛みが強い場合は病院を受診されるべきでしょう。 肘から下の腕の痛みを改善する、新たな選択肢!身体に優しい再生医療とは 気になる肘から下の腕の痛み…早く治療したいなら、病院を受診されることをおすすめします。 そして、外的な要因で肘から下に痛みを生じている場合には再生医療という選択肢もあります。 再生医療とは、自分の血液や細胞から成長因子などを取り出し自己治癒力を高めてあげるのが特徴の治療法です。 ・PRP(多血小板血漿)注入治療 ・幹細胞治療(脂肪由来) 再生医療としては、上記の2つの方法を用いた治療を受けることができます。 PRP注入治療は、自分の血液から血小板と成長因子を取り出し再び患部に注入するという治療法です。関節の周りの組織などが修復するのを助けてくれる効果があります。 脂肪幹細胞治療は、自分の脂肪細胞から幹細胞を抽出し培養したものを損傷部位に注入することで、痛みや炎症を抑制し、細胞の修復を行うことを可能にするものです。 ちなみに抽出する脂肪細胞は米粒2つ程度のため、体への負担も少なく、通常の手術や入院が不要という特徴の治療法となっています。 また、どちらの治療法も自分の血液や細胞を使用するため、拒絶反応が起こりにくく、リスクも低いと言えます。 ただし、PRP注入治療と違い、脂肪幹細胞治療に関しては、どこのクリニックでも行えるわけではありません。 再生医療は、厚生労働省から認可されたクリニックでしか行えません 損傷を根本から治療できる方法として注目を集めている再生医療のうち「幹細胞治療」は、厚生労働省から認可を受けているクリニックでしか治療を行うことができません。 通常の整形外科などでは取り扱うことができない為、ご注意ください。肘から下の痛みに悩まされ再生医療に期待されているなら、まず私どもにご相談されてみてはいかがでしょうか。国内でも多くの症例を有するクリニックとして有名です。 まとめ・肘から下が痛い(腕が痛い)!症状から考える病名と原因、その対処法とは? 普段、スムーズに動かせている時は気にすることなく、何も思わないものですが 「ある日突然、腕に痛みが襲ってきた…!」という可能性は誰にでもありえますよね。 例えば、パソコンやスマートフォンが原因となり、肘から下の腕の痛みで頭を悩ませている人も、痛みや痺れといった腕全体の違和感などが気になる方も、おられることでしょう。 できるだけ早めに病院を受診するのがおすすめです。 早ければ早いほど、たくさんの治療法を検討してもらうことができますし、痛みなどが改善するスピードにも違いがでます。 但し再生医療に関しては、細菌などで炎症が引き起こされている場合は、使用することはできません。しかし、外的要因であれば再生医療で肘から下の腕が痛い原因を取り去ることも可能です。 いち早く受診すると、様々な治療法を提案してもらうことができるので、快適な毎日をお過ごしください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2024.03.26 -
- 肘
痛い!肘の筋肉に内側?外側?場所によって異なる病気を医師が徹底解説! 肘の痛む箇所によって違う病気が考えられます。痛みが出る原因としては、肩関節から上腕骨を走行して肘関節をまたぐ筋肉や、前腕部の筋肉、さらには手首の部分も考えられます。 打撲など、明らかに外からの力によって筋肉が損傷し、痛む場合は分かりやすいのですが、日常生活やスポーツ活動を繰り返す中で少しずつ負担が溜まり、いつの日か急に痛みが出ることもあります。さらには、骨折を起こした際にも、その後の経過で肘周辺に痛みが出る可能性があります。 今回は、肘の筋肉で痛みが出ている場合に考えられる原因と、その対処法についてご紹介していきます。 肘の筋肉の仕組み 肘の筋肉といっても、動作によって様々な筋肉が存在しています。 代表的なものは「上腕骨外側上顆(じょうわんこつがいそくじょうか)」や「内側上顆(ないそくじょうか)」につく、前腕の筋肉です。上腕骨外側上顆から起始する筋肉は、前腕の伸筋群で主に手関節の伸展、手指の伸展、前腕の回外に作用しています。 具体的な筋肉でいうと、 ・橈側手根伸筋(とうそくしゅこんしんきん) ・尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん) ・総指伸筋(そうししんきん) ・回外筋(かいがいきん) といった筋肉です。 上腕骨内側上顆から起始する筋肉は前腕の屈筋群で、 ・尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん) ・長掌筋(ちょうしょうきん) ・浅指屈筋(せんしくっきん) ・円回内筋(えんかいないきん) などです。 ほとんどの筋肉が上腕骨から手根骨、または手指骨に停止している二関節筋です。 そのため、どこか一つの関節の動きだけに作用するわけではなく、肘関節の屈曲や伸展、前腕の回外と回内、手関節の屈曲や伸展、手指骨の屈曲や伸展、といった動作に関与しています。 肩甲骨からも肘関節を動かす筋肉が走行している 肘関節に関わる筋肉の中には、上腕から前腕にかけて起始停止を持つ筋肉だけでなく、肩関節を超えて肩甲骨から走行してくる筋肉もあります。 屈筋側で言えば上腕二頭筋が代表的で、肘関節の屈曲や前腕の回外に作用しています。伸筋側では上腕三頭筋が最も力の大きな筋肉で、肩甲骨から尺骨の肘頭まで走行しています。肘関節の伸展に関わる主動作筋です。 肘の動き以外にも痛みが出る場合がある ここまでご紹介してきた代表的な筋肉は全て、肘関節の動作だけに関わる筋肉ではありません。したがって、肘の筋肉で痛みが出ている場合、肘関節の動き以外でも痛みを発するケースが多いです。 肩関節の屈曲や外転などでも肘関節部にかけて痛みが出ることや、手関節の屈曲や伸展でも肘関節付近で痛みが出ることがあります。さらには手指の動きも同様で、握りこむまたは手をいっぱいに開くという動作で、肘関節部に痛みが出るケースも考えられます。 肘関節の動作以外でも痛みを感じる場合は、肩関節や手関節など他の関節の運動療法が必要な場合もあるのです。必ずしも痛みのある部位と原因となっている関節が一致するわけではないので、注意が必要です。 肘の筋肉が痛い場合に考えられる病気 肘の筋肉に痛みを感じる場合、どんな病気が考えられるのかご紹介していきます。 外側上顆炎(テニス肘、テニスエルボー) 肘の筋肉が痛いときにまず考えられるのが、外側上顆炎です。上腕骨の外側上顆から、前腕の伸筋側にかけて痛みを発生します。原因は筋肉の使い過ぎやダメージの過度な蓄積で、テニス肘と呼ばれることもあります。 前腕の伸筋群に繰り返し負担をかけることで少しずつ疲労を蓄積し、筋力発揮をするたびに外側上顆で牽引力がかかります。そこから炎症に発展し、安静時でも痛みを伴うケースも珍しくありません。 テニス肘と呼ばれる由来は、テニスのバックハンドの際に外側上顆から起始する筋肉に過度な負担をかけるので、テニスプレーヤーに多い症状であるからです。 もちろん、テニスを経験したことが無い方でも、日常生活動作の中で負担を蓄積し、外側上顆炎に発展するケースは多々あります。手のひらを下に向けた状態で物を掴んで持ち上げるという動作は、全て外側上顆から起始する筋肉に負担をかけるのです。 家事の中でも、包丁を使う、買い物の袋を持つといった些細な動作でも外側上顆炎の一因になります。痛みが出るのは、安静時、肘関節屈曲伸展時、前腕回外時が多いです。 内側上顆炎(ゴルフ肘) 外側上顆炎と同じような発生機所で、内側上顆でも痛みを発生させることがあります。上腕骨の内側上顆から、前腕の屈筋群にかけて痛みを発生させます。 やはり筋肉の使い過ぎや過度な疲労の蓄積が発症の引き金になり、別名ではゴルフ肘と呼ばれることもあります。野球肘の一種と括られることもあり、投球動作を繰り返すことで手関節の屈曲力や手指の屈曲力を必要とするので、内側上顆で痛みを発生させることもあります。 日常生活の中でも、仕事によって内側上顆炎を発生させることも少なくありません。重いものを持つことが頻繁にある方や、指先の細かい作業で手指の動作を行う方など、強い衝撃でなくとも内側上顆炎になる可能性は十分です。 そのため、肘の筋肉で痛みが出ても、自分では何が原因なのか把握できないケースも多いという特徴があります。ゴルフの動作の場合は、スイングの際に後ろ側の手で押し込むような力が加わるので、初心者のゴルファーで内側上顆炎になるケースが多いです。 体幹の捻りを上手く使えず、上肢だけで飛距離と正確性をコントロールしようとするので、余計な力が入って内側上顆炎を発生させます。 側副靭帯損傷 肘関節には、内側と外側に上腕骨から前腕に伸びる靭帯が存在しています。肘関節が異常な動きをしないように、安定性を高める役割を果たしている靭帯です。 外側が外側側副靭帯、内側が内側側副靭帯です。それぞれ、一度の強い外力によって側副靭帯が断裂または部分損傷させられることがあります。 柔道など格闘技系のスポーツ活動によって、肘が過度に外反または内反させられたときに、側副靭帯が耐えきれずに損傷してしまいます。単なる外反や内反だけでなく、回旋力が加わると側副靭帯損傷の可能性は高まるでしょう。 一方で、軽微な外力を繰り返し受けることによって、微細な側副靭帯損傷を繰り返して痛みを発生させるケースもあります。例えば投球動作の繰り返しなどで、コッキング期からアクセレレーション期にかかる肘への外反力によって、内側側副靭帯に損傷を起こします。 肘関節の屈曲や伸展、前腕の回外な回内といった動作で痛みを発生させることが多いので、肘の筋肉で損傷が起きていると感じるかもしれません。 一度の強い外力で側副靭帯が損傷したものについては、保存療法や場合によっては手術も選択肢に入ります。負担の蓄積によって損傷した側副靭帯については、原因となる動作を禁止して安静にすることが第一です。 プロスポーツ選手など、特別な事情がある場合には手術も考えられます。 頸椎ヘルニア 筋肉が痛いと感じていても、実はそれが神経症状であるというケースも考えられます。それが頸椎ヘルニアや頚椎症、ストレートネックといった首の病態で引き起こされるのです。 頸椎部分から派出する神経は、肩甲骨や上腕付近を走行して、前腕から指先へと到達していきます。頸椎ヘルニアや頚椎症が起こっている高位によっては、上腕や肘付近、前腕の感覚を司っている神経を圧迫してしまうこともあります。 そうなれば、肘の筋肉の痛みとして最初は感じられるかもしれません。痛み方の特徴としては、安静時でも痛みやしびれがあり、長時間同じ姿勢を続けていると症状が憎悪します。 場合によっては仰向けで寝ると痛みが増すケースもあり、横向きでしか寝られなくなることもあるくらいです。頸椎ヘルニアや頚椎症の発生原因としては、日々の負担の蓄積にあります。 デスクワークが長時間続く方や、スマートフォンを長時間見続けている方、調理場など前かがみの姿勢が続く方など、物理的に首への負担が大きい方はリスクが高いです。 首凝りや肩凝りが酷くなり、ある日を境に肘関節付近の痛みが強くなるので、頚椎から上肢へ神経が走行している仕組みを知らなければ大変驚くはずです。 筋肉損傷などの痛みと鑑別する方法としては、頸椎の動作によって痛みが憎悪するかどうかを確かめる方法です。 頸椎ヘルニアや頚椎症である場合は、頸椎の伸展や回旋動作によって肘関節付近の痛みが増すことがあります。この場合は早めに受診して、原因を特定する必要があります。これは、神経の通り道が狭くなる動きなので、神経根の圧迫が強くなるためです。 腱鞘炎の可能性も考えられます。手首を繰り返し使う動作で、腱周りの組織が炎症を起こすと、肘周辺にも痛みが起こり得ます。 この場合は肘関節付近の筋肉にいくらアプローチしても、痛みが改善されるどころか時間の経過と共に悪化していきます。整形外科で精査をし、リハビリを行うのか場合によっては手術を行うのか検討していく必要があるでしょう。 肘の筋肉が痛い場合の対処法 肘の筋肉で痛みが出た場合、自分ではどのような対処法を行えばいいのかご紹介していきます。 肘を温める 筋肉の緊張やオーバーユースによって出ている痛みなら、肘を温めると血流が良くなって筋緊張が取れ、痛みも少し緩和することがあります。 お風呂に入った直後など、今まで痛みがあった動作が楽にできるようであれば、温めることは有効なセルフケアです。ホッカイロをあてておくだけでも良いですし、お風呂でよく温まることが大切です。 ただ、温めるというのは時と場所を選ぶケアなので、冷やさないということが重要になってきます。夏場であればクーラーの風があたることで痛みが悪化することもありますし、温度管理に気を配ってみてください。 ストレッチをする 上腕から前腕の筋肉をストレッチすることで、痛みを緩和できるケースもあります。側副靭帯損傷の場合は当てはまりませんが、筋肉そのものが原因で痛みが出ている場合は有効です。 頸椎ヘルニアがきっかけで出ている痛みでも、少し緩和されることもあります。肩関節を水平屈曲させたり、外転させたりして、腕から肩甲骨にかけての筋肉をストレッチします。 また、前腕の筋肉は手関節を過屈曲または過伸展することによってストレッチでき、前腕の回旋も加えることで効果的なストレッチが出来ます。もし動作で痛みがある場合は、無理せず痛みのない範囲で行いましょう。 人間は、痛みを感じると自分の体を守ろうとして筋肉を緊張させることがあります。無理なストレッチで、筋緊張を起こせば痛みが悪化してしまう可能性もあるので注意が必要です。 軽くマッサージをする 前腕や上腕部の、自分で硬さがあると思う部分を軽くマッサージするのも非常に有効です。あまり大きな筋肉ではないので、強く揉みすぎると防衛反応が起きてかえって筋肉が緊張することもあります。 痛みがあるようならさする程度でも大丈夫です。心地よいと感じる程度の強さでセルフマッサージを行うと、筋緊張を緩和することに繋がります。 湿布を貼る 湿布は温湿布でも冷湿布でもどちらでも大丈夫です。ただ、長時間貼っていると皮膚がかぶれてしまいますし、湿布の上からホッカイロをあてるなどすると、肌荒れに繋がるので注意です。 湿布が根本的な改善になるわけではないですが、痛みを軽減して日常生活を送ることができるでしょう。 専門医に相談する 筋肉の損傷なのか、靭帯の損傷なのか、神経症状なのか自分では見当がつかないという場合、すぐに専門医に相談してください。病院であれば整形外科ですし、接骨院や整骨院でも良いです。 筋肉に疲労が溜まっていることが肘の痛みの原因であれば、安静にすることで落ち着くかもしれません。しかし、靭帯損傷や神経症状の場合、放置しておくと痛みが悪化するケースもあります。 痛みをかばいながら行動することで、背骨に歪みを招くことになれば、肩こりや腰痛など二次的な症状に繋がってしまいます。 まとめ・肘の筋肉痛は肘だけの問題ではない! いかがでしたでしょうか。場所によって異なる病気をご紹介いたしました。 肘の筋肉で出る痛みの原因として多いのは外側上顆炎など、オーバーユースによるものです。肘の治療をしっかり行うことも大切ですが、肘に負担をかけすぎないような身体全体の使い方を考えることも、早期治癒と再発予防に繋がります。 自分では見当がつかないという場合、整形外科や接骨院、整骨院などの専門医に相談しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 肘の痛み、筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘から下の痛みは背骨が原因か?前腕が痛む原因で考えられる疾患 ・テニス肘とゴルフ肘の正しい治し方となりやすい条件とは ・肘をぶつけてからずっと痛みが治まらない時、考えられる原因は? ・肘の外側が痛い場合の対処法は?外側上顆炎や神経痛の場合も 肩の痛み、肩の関節の痛みに関連する記事はこちら 肩の関節が痛い場合に有効な治し方と痛みの原因は? 腕に関連する記事はこちら 腕が上がらないのは病気のせい?考えられる症状は何
最終更新日:2024.03.27 -
- 肘
肘から下の痛みの原因は?その種類と対処法について 肘から下の痛みが出る場合は、神経が圧迫されている、筋肉の使い過ぎ、または皮膚疾患など様々なことが考えられます。 では、肘から下に出る腕の痛みは何が原因で起こっているのか、自分である程度判断する方法や、どのような疾患が考えられるかについてご紹介していきます。 肘から下の腕を「前腕」、肘から上の腕を上腕と呼ぶ 私たちの腕は大きく分けて2つの部分からできています。肘から下の部分を「前腕(ぜんわん)」、肘から上の部分を「上腕(じょうわん)」と呼びます。 前腕は、手首から肘までの部分です。前腕には2本の長い骨があります。親指側の骨を「橈骨(とうこつ)」、小指側の骨を「尺骨(しゃっこつ)」と呼びます。この2本の骨は、手首で手のひらを回転させる動作に重要な役割を果たしています。また、手首には8個の小さな骨があり、これらは手の繊細な動きを可能にしています。 一方、上腕は肘から肩までの部分です。上腕には1本の長い骨があり、「上腕骨(じょうわんこつ)」と呼ばれています。上腕骨は、肩関節と肘関節をつないでいます。 前腕には手首や指を動かす筋肉が集まっている 前腕には、手や指の動きをコントロールする重要な筋肉が集中しています。これらの筋肉は大きく2つのグループに分けられます。 伸筋群(しんきんぐん):前腕の背側にある筋肉のグループです。この筋肉は、手首を背屈(手の甲側に曲げる動作)させたり、指を伸ばしたりする働きがあります。 屈筋群(くっきんぐん):前腕の掌側にある筋肉のグループです。この筋肉は、手首を掌屈(手のひら側に曲げる動作)させたり、指を曲げたりする働きがあります。 伸筋群と屈筋群は協力して働くことで、手首や指の繊細な動きを可能にしています。例えば、ペンを持つ、ボタンをかける、ピアノを弾くなどの動作では、これらの筋肉に加えて、前腕の回旋運動も関与しています。 また、前腕の筋肉は「回外(かいがい)」と「回内(かいない)」という特殊な動作にも関与しています。回外は、手のひらを上に向ける動作で、回内は手のひらを下に向ける動作です。これらの動作は、ドアノブを回す、ネジを締めるなどの日常生活で頻繁に使われています。 腕の神経は筋肉に圧迫されやすい 前腕には、脳から指先まで伸びる重要な神経が通っています。これらの神経は、筋肉を動かすための信号を送ったり、手や指の感覚を脳に伝えたりする役割を持っています。前腕の主な神経には以下の3つがあります。 正中神経(せいちゅうしんけい):親指、人差し指、中指、および薬指の半分の感覚と運動を担当しています。この神経は手の運動にも関与しています。 尺骨神経(しゃっこつしんけい):小指と薬指の半分の感覚と運動を担当しています。この神経も手の運動に関与しています。 橈骨神経(とうこつしんけい):手の甲側の感覚を担当する感覚神経です。手の運動には直接関与していません。 これらの神経は、筋肉の間を通るため、筋肉に圧迫されやすい位置にあります。例えば、前腕の筋肉が緊張したり、腫れたりすると、神経が圧迫される可能性があります。神経が圧迫されると、しびれ、痛み、筋力低下などの症状が現れることがあります。 なぜ肘から下の前腕で痛みが出るのか? 4 つの原因 前腕で痛みを発生させる原因は主に次の 4 つが考えられます。 1,筋肉の使い過ぎや過度な外力で筋損傷を起こしている場合 2,筋肉の緊張や内圧の高まりで神経を圧迫している場合 3,頚椎から派出する神経を圧迫している場合 4,皮膚の疾患にかかった場合 それぞれ打撲や捻挫など、1回の外力で起こる怪我とは別に日々のダメージの蓄積によって起こる症状も多いのです。 それぞれの原因別に、どんな疾患が考えられるのかご紹介していきます。 1.筋肉の使い過ぎや過度な外力で筋損傷を起こしている場合 筋肉に損傷を起こしているケースでは、肘関節や手関節、手指の動きをよく使う生活習慣を持っている方に多いです。スポーツ活動はもちろん、家事による負担や、デスクワークでの軽微な負担の蓄積によってある日突然痛みを発生するケースがあります。 前腕の痛みの原因について、もっとわかりやすく説明してみましょう。 腱鞘炎(けんしょうえん) 腱鞘炎は、手や指を頻繁に使う人によく見られる症状です。私たちの手や指の動きは、前腕の筋肉によってコントロールされています。この筋肉が過度に使われると、筋肉と骨をつなぐ腱や、腱を覆う腱鞘に炎症が起こります。その結果、前腕から手にかけての痛みやしびれが生じます。 例えば、長時間のキーボード入力、スマートフォンの使用、楽器の演奏などは、腱鞘炎のリスクを高めます。家事や育児でも、同じ動作を繰り返すことで腱鞘炎を発症することがあります。 内側上顆炎(ないそくじょうかえん) 内側上顆炎は、肘の内側にある骨のとがった部分(内側上顆)に付着する筋肉に炎症が起こる病気です。この筋肉は前腕を通って手首や指まで伸びているため、前腕から手にかけての痛みを引き起こします。 主婦の方に多いのは、料理や掃除など、手首を曲げる動作を繰り返すことが原因と考えられています。また、野球のピッチャーなど、肘を酷使するスポーツ選手にも多く見られます。 外側上顆炎(がいそくじょうかえん) 外側上顆炎は、内側上顆炎と同じように、肘の外側にある骨のとがった部分(外側上顆)に付着する筋肉に炎症が起こる病気です。この筋肉も前腕を通って手首や指まで伸びているため、前腕から手にかけての痛みを引き起こします。 テニスのバックハンドストロークなど、肘を伸ばす動作を繰り返すことが原因と考えられていますが、テニス以外のスポーツや日常生活でも発症することがあります。 2.筋肉の緊張や内圧の高まりで神経を圧迫している場合 前腕には狭い空間に神経が密集して通過しており、腕や手首の使い方によっては慢性的に神経を圧迫した症状を発生させることもあります。 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん) 肘から下に痛みを発生させるだけでなく、しびれや運動障害を起こすこともある疾患です。手根管とは手首の屈筋側にある部位のことで、神経や筋肉の腱などを束ねて正しい動きに導くという役割を持っています。 この手根管は靭帯によって覆われていて、ほとんど伸び縮みができないバンドのような構造をしています。その狭い空間の中に、正中神経と9本の筋肉の腱を通しているので、圧迫されやすい構造でもあります。 病態としては前腕の屈筋群を繰り返し使うことによって疲労を蓄積していることが原因の場合もありますし、腫瘍が出来ているケースや、骨折後の後遺症として発生するケースもあります。しかし、多くの場合は特発性の手根管症候群で、原因がよくわからないというのが現状です。 手根管症候群では正中神経が圧迫されている 前述のように、手根管の中に通っている神経は正中神経であり、手根管症候群によって出る痛みはほとんどの場合は正中神経の絞扼による痛みです。前腕から、手指の母指、第二指、三指、四指まで痛みやしびれを発生させることがあります。 特徴的な症状としては、正中神経支配である母指球の筋肉が徐々に痩せていき、OKサインのような手の形がとりにくくなることがあります。このため、細かい作業がしにくくなり、生活に大きな影響を及ぼすようになるのです。 3.頚椎から派出する神経を圧迫している場合 頚椎と呼ばれる首の背骨から派出している8本の神経は、首、肩、上腕を経由して前腕から手指まで届いています。その過程で神経が圧迫されるようなことがあれば、肘から下で痛みを発生させることも大いに考えられるのです。 頚椎(けいつい)ヘルニア 頚椎ヘルニアは、首にある椎間板が変形して突出し、脊柱の中に通っている脊髄や神経根を圧迫してしまいます。頚椎の5番6番あたりでヘルニアを起こせば、肘から下で常に痛みを生じさせることも多いです。 頚椎ヘルニアを起こしてしまう原因は、急性的なものと亜急性のものがありますが、多くは亜急性です。頚椎に微細な負担を長時間蓄積させ続け、少しずつ椎間板の変形を招くのです。 頚椎から派出している神経が前腕から手指までつながっていることを知らなければ、肘から下の痛みが頚椎の問題が原因で起こっていると見当もつかないでしょう。ひどい場合は座位や立位はもちろん、寝ている間でも常に前腕にしびれや痛みを生じさせることもあります。 頚椎症 頚椎症は頚椎ヘルニアと似たような発生機序で、背骨を構成している椎骨自体の変形によって前腕を支配している神経を圧迫する病態です。頚椎ヘルニアと同じく亜急性の頚椎症が多く、現代では頚椎症のリスクは増加していると言えます。 スマートフォンやパソコンの普及により、長時間の同じ姿勢を取ることが増え、筋肉の緊張や不良姿勢を招いて少しずつ頚椎を変形させていくのです。年齢によるリスクの増加というよりも普段の生活の中で首に負担がかかる猫背やストレートネックなどの姿勢が定着していれば、20代など比較的若い世代でも十分起こり得る症状でもあります。 頚肩腕(けいけんわん)症候群 首から前腕まで向かう神経を圧迫するという点では、頚椎ヘルニアや頚椎症と同じですが、骨や椎間板に圧迫されるというよりは、手指まで通過する過程で筋肉の緊張や血流の悪化によって痛みを引き起こす病態です。 パソコンが普及し始めたころの、いわゆるキーパンチャーと呼ばれる人たちに続出した疾患でもあります。現代でもデスクワークが主な仕事になっている方は同じリスクを抱えています。 首から前腕まで通過している神経は、様々な筋肉の間を縫うように走行しています。その過程で、筋肉が緊張したり関節の悪い動かし方をしたりしていると、慢性的に神経を圧迫して痛みを発生させてしまうのです。 神経を圧迫して肘から下に痛みを発生させるだけでなく、血管を圧迫したことによる症状も併発することがあるのも特徴です。痛みに加え、しびれ、ふるえ、冷え、運動障害も起こります。また、手先が真っ白になるレイノー現象を起こすこともあるのです。 胸郭出口症候群 腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる、頚椎から指先に向かう神経群を圧迫することによって肘の下まで痛みを起こす疾患です。 胸郭出口症候群はリスクが高い身体的な特徴が決まっていて、首が長い方、なで肩の女性、やせ型の男性などです。また、生活習慣がデスクワークを中心として座っている時間が長い方でも胸郭出口症候群のリスクは高まります。 胸郭出口症候群で神経を圧迫するポイントは3つで、斜角筋と呼ばれる首と鎖骨の間あたり、肋鎖間隙と呼ばれる鎖骨と第一肋骨の間あたり、小胸筋間隙と呼ばれる小胸筋と鎖骨の下あたりです。 どのポイントにも共通するのが、腕を上げ続けることによって痛みやしびれが悪化する点です。筋肉の緊張によって腕神経叢が圧迫し、肘の下や指先に痛みを発生させることもありますが、鎖骨の動き方によって神経を圧迫してしまっているケースもあります。 そのため、腕を上にあげている時間が長い美容師や理容師の胸郭出口症候群のリスクが高いことも事実です。 4.皮膚の疾患にかかった場合 肘から下の部分に痛みが出たときに、どうしても筋肉や神経が障害されて出ている痛みだと思い込みがちです。しかし、どんな動作でも痛みが悪化することがなく、原因がはっきりしない場合に考えられるのが皮膚の疾患です。 帯状疱疹 帯状疱疹はストレスが蓄積したときや、過労など何らかの原因で免疫力が低下したときに発生する病態です。ヘルペスウイルスの一種によるもので、一度水ぼうそうを経験している方なら誰でもなる可能性があります。 全身どこでも疱疹が出る可能性はありますが、最も多いのが胸背部などの体幹と腕なのです。自分でどんなケアをしても一向に良くならない痛みに関しては、意外と見落としやすい症状でもあるので頭の片隅に置いておくと良いでしょう。 肘から下の痛みの対処方法 帯状疱疹以外で、筋肉や神経の圧迫が原因で出ている前腕の痛みについては、治療方法が共通する部分も多いです。 筋肉の緊張を取る 筋肉の緊張をとって血流を良くすることで、痛みが快方に向かうケースも多いです。ただ、前腕の筋肉はあまり大きな筋肉ではないため、むやみにマッサージをしてしまうとかえって緊張を悪化させてしまう可能性もあります。ストレッチなど、あまり刺激が大きくない施術方法で治療するのが安全です。 背骨のゆがみを取る 頚椎ヘルニアや頚椎症などの神経症状はもちろん、前腕の筋肉疲労が原因で起きている痛みについても、背骨のゆがみを取ることが有効です。背骨のゆがみが矯正されれば肩甲骨の動きも自然と改善され、前腕にかかる負担も大幅に軽減されるのです。 痛みのある部分だけを治療してもなかなか良くならない場合は、背骨など根本的な部分のアプローチが必要と考えてください。 薬物療法を使う あまりにも強い痛みの場合は、痛み止めなど消炎鎮痛剤や、ビタミン剤といった薬物療法を選択することも視野にいれます。症状によってはすぐに効果を感じられないこともありますが、とにかく今の痛みにすぐ対処する方法として選択されることも多いです。 まとめ・肘から下の痛みの原因は?その種類と対処法について 自分の状態では原因が思い当たらない、痛みが急に出だした、痛みが徐々に悪化しているという際は、早めに専門医や病院を受診し、適切な診断と情報を得ることが重要です。まず整形外科やスポーツクリニックなどを探し、医師に相談するのがよいでしょう。 肘から下の腫れや脱臼、断裂などの症状が単独の原因でなければ、痛みのある個所を一生懸命治療しても改善がみられないケースもあります。本当に必要な治療を見極めるために、自己判断だけでなく専門医や医療機関での検査や診断を受けることをおすすめします。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ 当院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 肘や筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘・筋肉の痛みは?原因と対策は? 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最終更新日:2024.04.04