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くも膜下出血とは、脳の表面を覆う膜(くも膜)の下で出血が起こる病気で、突然の激しい頭痛で発症します。 命に関わる危険性が高く、発症後の後遺症も心配される疾患です。 この記事では、くも膜下出血の10年後の生存率や、予後を左右する要因、再発リスクについて解説します。 くも膜下出血の予後について正しく理解することで、適切な治療選択や生活管理につなげられます。 また、現在当院(リペアセルクリニック)では「手術なしで根本的な改善が期待できる」再生医療に関する情報をLINEで発信しております。 くも膜下出血の後遺症に対する治療選択肢として、脳卒中に関する改善症例も紹介しておりますので、ぜひ登録してください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ くも膜下出血の10年後の生存率は「重症度」と「治療の早さ」で変わる くも膜下出血の10年後の生存率は、発症時の重症度と治療のタイミングによって大きく変わります。 発症直後の死亡率は約30%と非常に高く、医療機関到着前に亡くなるケースも少なくありません。 しかし、早期に適切な治療を受けた場合、10年後の生存率はおよそ50〜60%程度に改善するとされています。 生存率を左右する主な要素は以下の3つです。 くも膜下出血の重症度(グレード1〜5で分類され、グレードが高いほど予後は厳しくなる) 搬送・手術のスピード(発症から治療開始までの時間が短いほど、脳へのダメージを最小限に抑えられる) 合併症の有無(脳血管攣縮や水頭症などが起こると予後に影響する) これらの要素を総合的に判断し、患者さま一人ひとりの状態に応じた適切な治療を行うことが、長期的な予後の改善につながります。 くも膜下出血の予後を左右する要因【10年後の生活にも影響】 くも膜下出血の予後は、以下のさまざまな要因が複雑に関係しています。 発症時の年齢|高齢になるほど回復率が低下しやすい 出血の場所と量|脳のどの部位で出血したかが予後を左右する 発症から治療までの時間|早期手術が後遺症リスクを減らす 合併症の有無|脳血管攣縮や水頭症の発生が回復に影響 これらの要因を理解することで、10年後の生活をより良くするための対策を立てられます。 発症時の年齢|高齢になるほど回復率が低下しやすい 発症時の年齢は、予後に大きく影響する要因の一つです。 一般的に、若い方ほど回復力が高く、リハビリの効果も出やすい傾向にあります。 高齢者の場合、以下のような理由で回復に時間がかかりやすくなります。 血管がもろくなっている 高血圧や糖尿病などの他の病気を抱えている 体力や筋力が低下している 神経の回復力が若年層に比べて弱い ただし、高齢者でも適切な治療とリハビリを継続することで、日常生活に戻れる方もいらっしゃいます。 年齢だけで予後を判断するのではなく、総合的な健康状態を考慮することが大切です。 出血の場所と量|脳のどの部位で出血したかが予後を左右する 出血した部位や量は、その後の回復に大きく影響します。。 とくに注意が必要なのは、脳幹(呼吸や意識をコントロールする生命維持に不可欠な領域)周辺での出血です。 この部位で出血が起こると、重度の意識障害や深刻な神経後遺症が残るリスクが高まります。 また、出血が広範囲に広がるケースでは、脳全体が圧迫を受けるため、運動機能や言語機能など多岐にわたる障害が生じる可能性があります。 出血量が多いほど、こうしたダメージは深刻です。 発症から治療までの時間|早期手術が後遺症リスクを減らす くも膜下出血は時間との勝負です。 発症から治療までの時間が長引くと、次のようなリスクが高まります。 再出血のリスク(最初の出血から数時間〜数日以内に起こりやすい) 脳へのダメージが拡大する 合併症が発生しやすくなる 後遺症が重くなる可能性が高まる 突然の激しい頭痛や、吐き気、意識障害などの症状が現れた場合は、すぐに救急車を呼びましょう。 一刻も早い治療開始が、命と予後を守ります。 合併症の有無|脳血管攣縮や水頭症の発生が回復に影響 くも膜下出血の後に起こる合併症は、予後に大きな影響を与えます。 代表的な合併症として、脳血管攣縮、水頭症、けいれん発作などがあります。 合併症 内容 脳血管攣縮 出血後3〜14日頃に起こりやすく、脳の血管が縮んで血流が悪くなります。脳梗塞を引き起こすリスクがあり、後遺症や再出血の可能性を高めます。 水頭症 脳の中を流れる髄液が正常に吸収されず、脳の中にたまってしまう状態です。頭痛や意識障害、歩行困難などの症状が現れます。 けいれん発作 脳の損傷により、異常な電気信号が発生してけいれんが起こることがあります。薬でコントロールできるケースが多いです。 入院中だけでなく、退院後も定期的な受診を続けることで合併症の早期発見につながります。 くも膜下出血の再発率|後遺症なしでも再発するリスクがある くも膜下出血を一度経験した方は、たとえ後遺症がなくても再発のリスクがあります。 再発を防ぐために、以下のポイントに注意しましょう。 血圧を適切にコントロールする(家庭で毎日測定し、記録する) 処方された薬は指示通りに服用する 定期的に脳の検査を受ける 禁煙する 過度な飲酒を避ける 塩分を控えた食事を心がける ストレスをためない生活を送る 激しい運動や力仕事は医師に相談してから行う とくに高血圧は、くも膜下出血の大きな危険因子です。 退院後も血圧管理を継続し、主治医の指示に従って定期的に受診することが、再発予防につながります。 適切な治療と生活管理で、くも膜下出血の長期予後の改善を目指そう くも膜下出血は重篤な疾患ですが、発見のタイミングと早期の治療によって、予後が大きく変わる可能性があります。 適切な治療を受け、退院後も生活習慣を見直すことで、長期的な予後の改善を目指せます。 現在、くも膜下出血の後遺症に悩まされている方には、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療とは、患者さま自身の細胞を使って、傷ついた組織の再生を促す医療技術です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療についての詳細や実際に治療を行った方の症例を紹介しているので、ぜひご覧ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ くも膜下出血の生存率に関するよくある質問 くも膜下出血の生存率に関するよくある質問を紹介します。 くも膜下出血の退院後はどんなことに気をつければいい? くも膜下出血で意識不明の場合の回復時期は? 退院後の生活や回復に関する不安を解消しましょう。 くも膜下出血の退院後はどんなことに気をつければいい? くも膜下出血の退院後は、再発予防のため以下の点に気を付けましょう。 毎日血圧を測る 処方された薬を指示通りに服用する 禁煙する 飲酒は適量に抑える 塩分を控えた食事を心がける 規則正しい生活を送る ストレスをためない 体調に変化があった場合(激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らないなど)は、すぐに医師に相談してください。 早期発見・早期治療が、再発予防につながります。 くも膜下出血で意識不明の場合の回復時期は? くも膜下出血で意識不明になった場合、回復時期は出血の重症度や脳のダメージの程度によって異なります。 軽度から中等度の場合は数日から数週間で意識が回復することがありますが、重度の意識障害(昏睡状態)の場合、回復までに数か月以上かかることもあります。 意識回復に影響する要因は次のとおりです。 要因 内容 重症度 発症時の意識レベルが低いほど、回復に時間がかかります。 治療のタイミング 発症から手術までの時間が短いほど、回復の可能性が高まります。 合併症 脳血管攣縮や水頭症などの合併症が起こると、回復が遅れることがあります。 年齢 若い方ほど、神経の回復力が高い傾向にあります。 意識が戻った後も、リハビリを継続することが重要です。 言語療法、理学療法、作業療法など、さまざまなリハビリを組み合わせることで、日常生活への復帰を目指せます。
2025.10.31 -
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脳梗塞の再発予防において、食事管理は重要な対策の一つです。 なぜなら、脳梗塞の再発の引き金となる高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は、毎日の食事内容と密接に関連しているからです。 しかし「食事で何に気をつければいいのか」「具体的に食べてはいけないものは何なのか」と、日々の食生活について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 本記事では、脳梗塞の再発リスクを高めてしまう「食べてはいけないもの」について詳しく解説します。 正しい食生活を理解し、毎日の習慣を見直すことが、再発を防ぐための一歩となります。 また、近年の脳梗塞の再発予防策として「再生医療」という選択肢が注目されています。 再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて、損傷した血管や脳細胞の再生・修復を促す医療技術です。 脳梗塞の再発への不安がある方や、後遺症の改善を諦めたくない方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 脳梗塞後に食べてはいけないもの一覧 脳梗塞の再発を予防するためには、食生活の改善が重要です。 とくに、動脈硬化や高血圧、脂質異常症といった脳梗塞の再発リスクを高める要因を悪化させる食品は、日常の食事から避けるか、厳しく制限する必要があります。 脳梗塞後に食べてはいけないものは、以下のとおりです。 脂肪分が多い食品 塩分の多い食品 糖分の多い食品 高GI炭水化物 アルコール これらの食品がなぜ脳梗塞の再発リスクとなるのか、具体的に解説していきます。 脂肪分が多い食品 脂肪分の多い食品の中でも、「飽和脂肪酸」や「トランス脂肪酸」を多く含むものは、避けるべきです。 これらは血液中の悪玉(LDL)コレステロールを増やし、血管の壁にプラークを蓄積させ、動脈硬化を促進させてしまうためです。 飽和脂肪酸を多く含む食品例 肉の脂身(バラ肉、ロース肉の脂身など) バター、ラード、生クリーム 加工肉(ソーセージ、ベーコン) など トランス脂肪酸を多く含む食品例 マーガリン、ショートニング ケーキ、クッキー、スナック菓子 ファストフード、揚げ物 など 後述する塩分の多い食品やアルコールとともに摂取する機会が多いため、意識して避ける必要があります。 塩分の多い食品 塩分の多い食品は、脳梗塞の危険因子である高血圧を直接招くため、厳しく制限する必要があります。 高血圧は血管に常に高い圧力をかけ、血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる原因となります。 塩分を多く含む食品例 加工食品(ハム、ソーセージ、ちくわ、かまぼこ) インスタント食品(カップラーメン、インスタント味噌汁) 漬物、梅干し、佃煮 干物 スナック菓子、せんべい など とくに、カップラーメンなどのインスタント食品の汁は塩分が多いため、飲み干さないようにしましょう。 糖分の多い食品 ジュースやお菓子、菓子パンなど、砂糖を多く含む糖分の多い食品も控えるべきです。 これらは食後の血糖値を急激に上昇させるだけでなく、過剰な糖質は中性脂肪として蓄積されやすいためです。 糖分を多く含む食品例 清涼飲料水、ジュース、加糖のコーヒー・紅茶 ケーキ、クッキー、饅頭などの菓子類 アイスクリーム 菓子パン、デニッシュパン など 血糖値の乱高下(血糖値スパイク)や肥満は、血管に負担をかけ、動脈硬化のリスクを高めます。 高GI炭水化物 白米や食パン、うどんなど、精製された炭水化物(高GI食品)の摂取量にも注意が必要です。 これらは糖分の多い食品と同様に、摂取すると体内で速やかに糖に分解され、食後の血糖値を急激に上昇させます。 主な高GI炭水化物の例 白米 食パン、菓子パン うどん、そうめん じゃがいも など 主食を摂る場合は、玄米や雑穀米、全粒粉パン、そばといった血糖値の上昇が緩やかな「低GI食品」に置き換えることが推奨されます。 アルコール アルコールの過剰な摂取は、脳梗塞の再発リスクを高めるため、原則として控えるべきです。 過度な飲酒は、脳梗塞の原因となる「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」を悪化させる要因となります。 また、降圧剤や血液をサラサラにする薬(抗血小板薬、抗凝固薬)を服用中の方は、アルコールが薬の効果に影響を与える可能性もあります。 主治医から許可が出ている場合でも、示された適量を厳守することが不可欠です。 【再発防止につながる】脳梗塞後に食べた方が良いもの https://youtu.be/mVmZk4D7Fso?si=wfO51EoR58Q8W1yw 脳梗塞の再発予防には、「食べてはいけないもの」を避けるだけでなく、動脈硬化や高血圧を防ぎ、血液の状態を良好に保つ栄養素を含む食品を積極的に摂ることが重要です。 再発予防のために日々の食事で積極的に取り入れたい食品群は、以下のとおりです。 野菜類・果物類 青魚(サバ、イワシ、アジなど) 大豆製品・海藻類・きのこ類 低GI炭水化物(玄米、全粒粉パンなど) 良質な油(オリーブオイル、亜麻仁油など) など これらの食品群はどれも重要ですが、再発予防において、とくに重要なのが「野菜・果物」と「青魚」です。 野菜や果物には、血圧を下げる働きのあるカリウムが豊富に含まれており、高血圧の原因となる体内の余分なナトリウム(塩分)を排出するのを助けてくれます。 また、豊富な食物繊維がコレステロールの吸収や血糖値の急上昇を抑える役割も果たします。 青魚は血液をサラサラにする効果が期待できるEPAやDHAという良質な脂質(n-3系脂肪酸)を含みます。 これらに加え、食物繊維が豊富な大豆製品や海藻類、血糖値の上昇が緩やかな玄米、悪玉コレステロールを減らすオリーブオイルなどをバランス良く組み合わせることが重要です。 ただし、腎機能が低下している方や特定の薬を服用中の方は、カリウムの摂取制限が必要な場合もあるため、必ず主治医や管理栄養士に相談しましょう。 脳梗塞の再発防止のための食事療法とは 脳梗塞の再発予防における食事療法は、血管や血液を健康に保つための栄養素をバランス良く摂取する積極的な取り組みです。 再発防止のために日々の食事で意識すべきポイントは、以下のとおりです。 バランスよく食べる 食物繊維の多い食品を選ぶ 良質なタンパク質を摂る こまめに水分補給する カリウムを積極的に摂る 脂質・塩分・糖分の過剰摂取を避ける 以下では、それぞれの具体的な実践方法について解説します。 バランスよく食べる 食事療法の基本は、「主食・主菜・副菜」をそろえ、多様な栄養素を過不足なく摂ることです。 特定の食品に偏るのではなく、野菜、魚、肉(赤身)、大豆製品、海藻類などをバランスよく取り入れましょう。 バランスの悪い食事は、脂質異常症や糖尿病などのリスクを高め、動脈硬化を促進させる原因となるため注意が必要です。 食物繊維の多い食品を選ぶ 食物繊維の多い食品を取り入れるのも、脳梗塞の再発予防につながります。 野菜、きのこ類、海藻類、玄米などに含まれる水溶性食物繊維は、コレステロールの吸収を抑え、血糖値の急上昇を防ぐ重要な役割を果たします。 これらは余分な脂質や糖を体外に排出するのを助けます。 また、満腹感を得やすいため、カロリーの過剰摂取を防ぎ、肥満予防にもつながります。 良質なタンパク質を摂る 筋肉や血管を丈夫に保つために、良質なタンパク質を適量摂ることが重要です。 ただし、肉類に偏ると飽和脂肪酸(悪い脂)も多く摂りがちになるため注意しましょう。 肉の脂身は避け、赤身を選んだり、EPAやDHAが豊富な青魚、あるいは豆腐・納豆などの大豆製品、卵などからバランスよく摂取することを心がけましょう。 こまめに水分補給する 脳梗塞の再発予防において、血液がドロドロになるのを防ぐための水分補給は非常に重要です。 体内の水分が不足すると血液の粘度が上がり、血栓(血の塊)ができやすくなります。 とくに起床時や入浴後、運動後は水分が不足しやすいため、喉が渇く前にこまめに水や白湯、麦茶などで水分を補給する習慣をつけましょう。 カリウムを積極的に摂る カリウムは、高血圧の原因となるナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあるため、積極的に摂取したい栄養素です。 ほうれん草など葉物野菜、かぼちゃ、バナナやキウイなどの果物、海藻類に多く含まれています。 ただし、腎機能に問題がある方や特定の薬を服用している方は、カリウムの摂取制限が必要な場合がありますので、必ず主治医に相談してください。 脂質・塩分・糖分の過剰摂取を避ける 「食べてはいけないもの」とも共通しますが、食事療法の根幹として過剰摂取を避ける意識が重要です。 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸(脂質)、塩分、砂糖(糖分)は、それぞれ脂質異常症、高血圧、糖尿病や肥満のリスクを高め、動脈硬化を直接的に進行させます。 普段の食事から、脂質・塩分・糖分の過剰摂取をいかに減らしていくかが再発予防の鍵となります。 脳梗塞の再発リスクについて食事で注意すべきこと 脳梗塞の再発予防では、食べるものだけでなく、食生活全体を見直すことが不可欠です。 本章では、食事に関して注意すべき3つの重要なポイントを解説します。 食べ過ぎによる肥満・体重増加を防ぐ 脱水症状にならないように水分を摂取する 嚥下障害がある場合は誤嚥に注意する 肥満や脱水は再発リスクを高める直接的な要因であり、後遺症としての嚥下障害も食事の安全に直結します。 以下では、それぞれの注意点について詳しく解説していきます。 食べ過ぎによる肥満・体重増加を防ぐ 食べ過ぎによる肥満や体重増加は、脳梗塞の危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症を悪化させるため、避ける必要があります。 肥満は万病のもとと言われ、特に血管への負担を増大させます。 食事は「腹八分目」を心がけ、主食・主菜・副菜のバランスを整えることが重要です。 とくに夜遅い時間の食事や、お菓子・ジュースなどの間食は中性脂肪として蓄積されやすいため、摂取量や時間帯にも注意しましょう。 脱水症状にならないように水分を摂取する 体内の水分が不足すると血液の粘度が上がり、血栓(血の塊)ができやすくなるため、こまめな水分補給は脳梗塞の再発予防に重要です。 とくに高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、意識的な水分摂取が求められます。 起床時、入浴前後、運動中やその前後、就寝前など、タイミングを決めてコップ一杯の水や白湯、麦茶などを飲む習慣をつけると良いでしょう。 ただし、心臓や腎臓に疾患がある場合は水分摂取量に制限が必要なこともあるため、必ず主治医の指示に従ってください。 嚥下障害がある場合は誤嚥に注意する 脳梗塞の後遺症で嚥下障害(飲み込む力が低下すること)がある場合、食べ物や飲み物が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」に注意が必要です。 誤嚥は、窒息や「誤嚥性肺炎」という命に関わる深刻な肺炎を引き起こす原因となります。 食事中にむせる、咳き込む、食べた後に声がかすれるといった症状が見られる場合は、すぐに主治医やリハビリテーション科の医師、言語聴覚士に相談してください。 食材を細かく刻んだり、とろみをつけたりするなど、本人の飲み込む力に合わせた「嚥下調整食」の導入を検討する必要があります。 脳梗塞の再発リスクを抑えるには食事以外にも再生医療をご検討ください 脳梗塞の再発リスクを抑えるためには、脳梗塞の引き金となる高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病を徹底して管理することが重要です。 そのためにも、食事管理によって血管や血液の状態を良好に保つ「守り」の対策は、脳梗塞の再発予防に不可欠です。 本記事で紹介した「食べてはいけないもの(脂質・塩分・糖分の多い食品)」を避け、「食べた方が良いもの(野菜・青魚など)」を積極的に取り入れる食事療法を実施しましょう。 しかし、長年の生活習慣によって進行した動脈硬化や、脳梗塞によってダメージを受けた脳の機能は、食事療法だけでは改善しません。 そうした課題に対し、近年では「再生医療」という選択肢が注目されています。 再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて、傷ついた血管や神経組織の修復を促したり、炎症を抑えたりすることで、失われた機能の回復や動脈硬化の根本的な改善を目指す治療法です。 脳梗塞の再発への不安がある方や、後遺症の改善を諦めたくない方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 >当院の再生医療による脳梗塞(脳卒中)の症例はこちら
2025.10.31 -
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脳梗塞は突然発症し、適切な治療を受けないと重篤な後遺症が残る可能性がある疾患です。 脳梗塞を発症したご家族の看護について、どのようにサポートすればよいか悩まれている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳梗塞の病期ごとの看護計画や、ご家族が退院後にできる具体的なサポート方法を解説します。 脳梗塞の看護で困っている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。 また、現在リペアセルクリニックでは脳梗塞の後遺症改善や再発予防の選択肢「再生医療」に関する情報をLINEで発信しております。 脳梗塞の後遺症に関する改善症例も紹介しておりますので、ぜひ登録してください。 脳梗塞の看護計画とケアのポイント 脳梗塞の看護は、発症からの時期によって治療方針や看護内容が異なります。 医療機関では、発症直後と3つの病期に分けられ、それぞれの段階で適切な治療とケアを行われます。 発症直後 急性期 回復期 慢性期 各段階での看護内容を理解することで、ご家族として患者さまがどのような状況にあるのかを把握できます。 発症直後 脳梗塞の発症直後は、生命に関わる最も危険な時期です。 脳の血管が詰まると、脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、時間とともに細胞が壊死していきます。 後遺症を減らすためにも、一刻も早く血流を再開させる治療を始めることが重要です。 脳梗塞の発症直後に医療機関で行われる主な治療は、以下の2つです。 治療法 内容 t-PA療法 発症から4.5時間以内であれば、血栓を溶かす薬を点滴で投与します。 血栓回収療法 カテーテルという細い管を血管に入れて、直接血栓を取り除きます。原則として発症から8時間以内、状態によっては24時間以内まで可能です。 この時期は、意識の状態、呼吸、血圧、脈拍などを常に確認しながら、症状の変化に注意深く対応します。 食べ物や飲み物が誤って気管に入らないよう、飲み込む力を確認してから食事を開始します。 急性期 急性期は全身の状態が安定しておらず、まだ症状が変化する可能性がある段階(1~2週間が目安)です。 医療機関では、状態が急に悪くなるリスクに注意しながら、全身の管理を行います。 医療スタッフが重点的に確認する項目は、以下のとおりです。 意識の状態(呼びかけに反応するか、会話ができるか) 呼吸の様子 血圧の変動 体温 手足の動き 皮膚の状態 この時期に注意すべきは、廃用症候群の予防です。 廃用症候群とは、筋肉が弱くなる、関節が固まる、肺炎や床ずれが起きやすくなる、といった身体機能の低下を指します。 これを防ぐため、医師の許可が出れば発症から48時間以内にリハビリを開始します。 回復期 発症後2週間から6ヶ月目までの期間を指す回復期は、全身状態が安定し、日常生活の動作を取り戻すための積極的なリハビリを行う時期です。 歩行訓練、手足の運動、言語訓練、飲み込みの訓練など、患者さまの状態に合わせたリハビリを毎日行います。 看護では、リハビリをサポートしながら以下の点を重点的に管理します。 食事の飲み込みの確認と栄養状態の管理 床ずれの予防と皮膚の清潔保持 排泄機能の回復支援 手足の麻痺や感覚障害の観察 心理的なサポート(不安や落ち込みへの対応) 適切なリハビリと看護により、多くの患者さまが日常生活動作の改善を実感できる時期です。 慢性期 慢性期は、退院に向けた準備を本格的に進める時期です。 患者さまの健康管理を続けながら、以下の点を重視した看護を行います。 退院後の日常生活をどう送るかの支援 ご家族への説明とアドバイス 不安や心配に対する心のケア わからないことや気になることがあれば、遠慮せずに医師や看護師に相談してください。 また、脳梗塞は再発しやすい病気のため、血圧の管理や生活習慣の改善などの再発防止対策を行うことも重要です。 脳梗塞の患者さまを看護するときに家族ができること 脳梗塞の患者さまが退院した後、ご家族が自宅でできる具体的な看護方法を紹介します。 日常生活のサポート 生活環境の整備 専門家に頼ることも検討 これらのサポートを適切に行うことで、患者さまの回復を促し、ご家族の負担も軽減できます。 日常生活のサポート 退院後の日常生活では、すべてを代わりにやってしまうと回復が遅れる可能性があるため、できることは患者さま自身に行ってもらうことが大切です。 主なサポート内容は、以下のとおりです。 サポート項目 具体的な内容 食事 ・食べ物を小さく切る、とろみをつける ・姿勢を正してゆっくり食べてもらう ・誤嚥防止のため食事中は目を離さない 入浴 ・手すりの使用、転倒に注意 ・麻痺側を優しく洗い、皮膚状態を確認 ・必要に応じて訪問入浴サービスを利用 排泄 ・トイレで排泄できる環境を整える ・ポータブルトイレの設置を検討 ・尊厳を守りながらサポート リハビリ ・病院で教わった運動を継続 ・無理のない範囲で毎日続ける 心理面 ・話を聞いて共感する ・小さな回復も一緒に喜ぶ 生活環境の整備 自宅での生活を安全で快適にするためには、生活環境の整備が必要です。 とくに転倒防止のためにできる工夫として、以下があります。 床に物を置かない 廊下やトイレ・浴室に手すりを設置する 照明を明るくして夜間も足元が見えるようにする 段差をなくす、滑りにくいスリッパや靴を使う カーペットを固定する 介護保険を利用すれば、住宅改修費用や介護用品の補助を受けられる場合があります。 ケアマネージャーや自治体の窓口に相談してください。 専門家に頼ることも検討 ご家族だけで看護を続けることは、身体的にも精神的にも大きな負担になります。 以下のような専門家に頼ることは決して悪いことではなく、むしろ患者さまとご家族の両方にとって良い選択です。 サービス 内容 ソーシャルワーカー 退院後の生活や介護サービス、介護保険の申請方法など幅広い相談が可能 訪問看護 看護師が自宅を訪問し、健康状態の確認や医療処置、薬の管理を実施 訪問リハビリ 理学療法士や作業療法士が自宅でリハビリを指導 デイサービス 日中、施設で食事や入浴、リハビリなどを受けられ、交流の機会にもなる 一人で抱え込まず、専門家やサービスを上手に活用しましょう。 脳梗塞の看護についてよくある質問 脳梗塞の看護についてよくある質問を紹介します。 脳梗塞の看護の役割は? 脳梗塞の看護における観察項目は? 患者さまやご家族が抱える疑問を解消し、適切なケアにお役立てください。 脳梗塞の看護の役割は? 脳梗塞の看護の役割は、患者さまの生命を守り、合併症を予防し、機能回復を支援することです。 具体的には、意識状態や呼吸、血圧などの全身状態を管理し、異常があれば迅速に対応します。 患者さまやご家族の不安に寄り添い、前向きな気持ちを保てるような心理的なケアも重要な役割です。 脳梗塞の看護における観察項目は? 脳梗塞の看護における主な観察項目は、以下のとおりです。 意識の状態(目を開けるか、反応があるか、話せるか) 呼吸の状態(息苦しさがないか、呼吸のリズムは正常か) 血圧と脈拍(血圧が高すぎたり低すぎたりしていないか) 体温(発熱していないか) 手足の動き(麻痺の程度、筋力の変化) 言葉の状態(言葉が出るか、理解できるか) 飲み込む力(食事や水分を安全に摂取できるか) 排尿・排便の状態 皮膚の状態(床ずれができていないか) 精神状態(不安や落ち込みがないか) これらの項目を定期的に確認することで、症状の変化を早期に発見し、適切な対応ができます。 脳梗塞の看護で困ったことは専門家に相談することが大切 脳梗塞の看護は、病期によって治療方針やケアのポイントが異なります。 発症直後から急性期、回復期、慢性期と段階を追って、医療スタッフが適切な治療とケアを行います。 退院後は、ご家族が日常生活のサポート、生活環境の整備、専門家への相談などを通じて患者さまを支えることが大切です。 しかし、すべてを一人で抱え込む必要はありません。 訪問看護やデイサービスなどのサービスを活用し、専門家に頼ることも大切な選択です。 また、脳梗塞の後遺症改善や再発予防の選択肢として、再生医療をご検討ください。 再生医療は、患者さま自身の細胞を使って損傷した組織を再生させる医療技術で、脳梗塞のリハビリとの併用が可能です。 当院「リペアセルクリニック」では、患者さまの状態にあわせて治療方針を提案いたします。 リハビリ以外の治療法をお探しの方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。 >当院の再生医療による脳梗塞の症例はこちら
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くも膜下出血とは、脳の表面を覆うくも膜の下で出血が起こる病気で、発症後に命が助かってもさまざまな後遺症がでる可能性があります。 後遺症の程度や種類は脳のダメージを受けた場所や範囲によって異なり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。 この記事では、くも膜下出血で起こりうる後遺症の種類や症状、後遺症が生じる理由、再発リスクを軽減する対策について詳しく解説します。 ご自身やご家族がくも膜下出血を発症され、後遺症について不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。 また、くも膜下出血の後遺症や再発予防の治療法として、再生医療という選択肢もあります。 再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自己治癒力を高めることで、損傷した脳細胞の修復・再生を促す医療技術です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ くも膜下出血の後遺症に悩まされている くも膜下出血の再発を予防したい 生活習慣を改善しているけれど症状が改善しない 症例や治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼くも膜下出血の後遺症治療について無料相談! >>(こちらをクリック)今すぐ電話相談してみる 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、くも膜下出血の後遺症が改善された患者さまの症例を紹介しています。 https://youtu.be/CBg805KY-Bw?si=RHKGIWgSCi_9G79p くも膜下出血の後遺症|主な種類と症状 くも膜下出血の後遺症には、身体機能や認知機能などさまざまな種類があります。 後遺症として現れる症状は以下が代表的です。 運動麻痺 感覚障害 言語障害 嚥下障害 視覚・視野障害 認知機能障害 高次脳機能障害 その他に見られる後遺症 それぞれの後遺症について正しく理解し、適切なリハビリや治療を選択することが回復への第一歩となります。 運動麻痺 運動麻痺は、脳の運動をコントロールする部分がダメージを受けることで起こります。 主な症状は以下のとおりです。 手足を思うように動かせない 片側の手足に力が入らない 立ったり歩いたりするのが困難になる リハビリでは、理学療法士や作業療法士による訓練を通じて、筋力の維持や関節の動きを改善していきます。 繰り返し訓練することで、失われた機能の回復や代償動作の獲得を目指します。 感覚障害 感覚障害は、脳の感覚を処理する領域がダメージを受けることで発生します。 主な症状は以下のとおりです。 触られた感覚が分からない 痛みや温度を感じにくい しびれが続く リハビリでは、触覚刺激を繰り返し与えることで感覚の回復を促します。 また、感覚が鈍くなっている部分の怪我や火傷を防ぐため、日常生活での注意点を学ぶことも大切です。 言語障害 言語障害は、脳の言語中枢がダメージを受けることで起こります。 主な症状は以下のとおりです。 言葉が出てこない、うまく話せない 相手の言葉を理解できない 文字を読んだり書いたりするのが難しい 言語聴覚士によるリハビリでは、発声練習や言葉の理解を深める訓練、コミュニケーションカードの活用など、患者さまの状態に合わせた方法で言語機能の回復を目指します。 嚥下障害 嚥下障害は、飲み込みに関わる脳の部分や神経がダメージを受けることで生じます。 主な症状は以下のとおりです。 食べ物や飲み物を飲み込みにくい 食事中にむせることが多い 食べ物が気管に入ってしまう リハビリでは、言語聴覚士による飲み込みの訓練や、食べ物の形態を工夫する指導を行います。 視覚・視野障害 視覚や視野の障害は、視神経や脳の視覚を処理する部分がダメージを受けることで起こります。 主な症状は以下のとおりです。 視野の一部が欠けて見えない 物が二重に見える 視力が低下する リハビリでは、視野が欠けている部分を補うために顔や目を動かす訓練を行います。 認知機能障害 認知機能障害は、脳の広い範囲がダメージを受けることで発生します。 主な症状は以下のとおりです。 記憶力が低下する 新しいことを覚えられない 日時や場所が分からなくなる リハビリでは、記憶訓練や日常生活動作の繰り返し練習を通じて、認知機能の維持や改善を図ります。 家族の協力のもと、メモやカレンダーなどの補助道具を活用することも効果的です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害は、前頭葉など脳の複雑な機能を担う部分がダメージを受けることで起こります。 主な症状は以下のとおりです。 注意力や集中力が続かない 物事を計画したり判断したりするのが難しい 感情のコントロールがうまくできない リハビリでは、作業療法士や臨床心理士による訓練を通じて、注意力や遂行機能の改善を目指します。 社会復帰に向けて、段階的に課題の難易度を上げていくことが大切です。 その他に見られる後遺症 上記以外にも、くも膜下出血の後遺症として以下のような症状が現れることがあります。 頭痛やめまいが続く 疲れやすくなる てんかん発作が起こる 水頭症による脳圧の上昇 うつ状態や不安感が強くなる くも膜下出血の後遺症は多岐にわたり、患者さま一人ひとりで症状の現れ方が異なります。 早期からリハビリを開始し、継続することで回復の可能性を高められます。 くも膜下出血によって後遺症が生じるのはなぜ? くも膜下出血の後遺症は、脳がさまざまな形でダメージを受けることによって起こります。 後遺症が残ってしまう主な理由は、以下の4つです。 原因 詳細 出血による直接的なダメージ 脳の表面で出血が起こると、血液が脳を圧迫したり脳細胞そのものを傷つける 脳の血流が悪くなる 出血から数日後に脳の血管が異常に縮み、血液が十分に流れず脳細胞の酸素不足や栄養不足でダメージを受ける 脳に水がたまる 出血した血液の影響で脳の中を循環している液体の流れが悪くなり、脳内に液体がたまって脳を圧迫する(水頭症) 脳の腫れや炎症 出血や血流不足が起こると脳の腫れや炎症が起こり、脳細胞にさらなるダメージを与えることがある くも膜下出血の後遺症は、これらの原因が組み合わさって発生します。 どのような後遺症が残るかは、脳のどの部分が、どの程度ダメージを受けたかによって決まります。 そのため、患者さまごとに現れる後遺症の種類や程度は大きく異なるのです。 くも膜下出血の後遺症や再発リスクを軽減する対策 くも膜下出血を一度発症すると、再発のリスクが残ります。 後遺症を軽減し再発を防ぐための方法は、主に以下の3つです。 食生活を改善する 適度な運動習慣を身につける 適切なリハビリを継続する これらの対策を日常生活に取り入れることで、健康状態の維持と再発防止につながります。 食生活を改善する 食生活の改善は、くも膜下出血の再発リスクを下げるために欠かせません。 栄養バランスの偏りは高血圧や血行不良を引き起こし、再発の原因となります。 以下の食品を積極的に取り入れましょう。 緑黄色野菜や果物 青魚(イワシ、サバなど) ナッツ類 大豆製品 オリーブオイル、菜種油などトランス脂肪酸を含まない油 これらの食品には、血圧を下げたり血行を促進したりする効果があります。 また、塩分の摂りすぎは高血圧につながるため、減塩を心がけることも大切です。 さらに、喫煙や過度な飲酒は脳動脈瘤の形成や破裂のリスクを高めるため、控えるか可能であればやめることをおすすめします。 適度な運動習慣を身につける 適度な運動は、くも膜下出血の再発防止に重要な役割を果たします。 定期的な運動により、血行促進、高血圧の予防、ストレスの軽減といった効果が期待できます。 これらはすべて再発リスクを高める要因なので、運動習慣を身につけて改善しましょう。 とくに、ウォーキングや水泳などの負荷が少ない有酸素運動が効果的です。 無理のない範囲で、毎日30分程度の運動を日常に取り入れることをおすすめします。 ただし、運動を始める前には必ず医師に相談し、体調に合わせた運動強度を選ぶようにしてください。 適切なリハビリを継続する くも膜下出血の治療後は、適切なリハビリを継続することが重要です。 急性期の治療が終了する2週間以降には、回復期リハビリ病棟への転院を検討します。 リハビリ中に回復が遅れたり状態が悪化したりする場合は、水頭症が進行している可能性があります。 その際は、脳内の液体の流れを改善する手術が必要になることもあります。 手術後は再びリハビリを続けることで、機能の回復を目指します。 リハビリは根気強く続けることが大切なので、医療チームと協力しながら取り組みましょう。 くも膜下出血の後遺症にお悩みの方は再生医療をご検討ください くも膜下出血の後遺症には、運動麻痺、感覚障害、言語障害、嚥下障害、視覚・視野障害、認知機能障害、高次脳機能障害などさまざまな種類があります。 これらの後遺症は、脳の出血や血流の悪化、水頭症、炎症など複数の要因によってダメージを受けて生じます。 後遺症を軽減し再発を防ぐためには、食生活の改善、適度な運動習慣、適切なリハビリの継続が重要です。 バランスの取れた食事や有酸素運動を日常に取り入れ、医療チームと協力しながらリハビリに取り組み改善を目指しましょう。 また、くも膜下出血の後遺症に対する治療法の一つとして、再生医療という選択肢もあります。 再生医療はくも膜下出血の後遺症だけでなく、再発予防にも効果が期待できる可能性があるため、リハビリとの併用もご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、医師の他に理学療法士や柔道整復師などの専門資格を持つチーム体制が整っています。 再生医療とリハビリの併用でくも膜下出血による後遺症を治療したい方は、ぜひご相談ください。
2025.10.31 -
- 脳卒中
- 再生治療
「脳出血」は突然発症し、多くの後遺症を引き起こす病気です。 命が助かったとしても出血による脳の損傷で、四肢麻痺や運動障害などの後遺症が発症する可能性があります。 それにより日常生活に支障をきたし、「今後の生活はどうなるんだろう」「脳出血の予後はどこまで回復できる?」と不安に思う方もいらっしゃるかと思います。 インターネットでは脳出血の後遺症は治らないとの情報も多くみられますが、実は変えられる部分も多く存在します。 そこでこの記事では、脳出血の予後や対処方法、再生医療の可能性について解説します。 脳出血の「予後」とは? 脳出血の「予後(よご)」とは、脳出血が発症した後の回復の見込みや後遺症の程度、生活への影響のことを指します。 予後を正確に予測することは、具体的な治療計画を立てるうえで必要不可欠です。 また、患者や家族としても今後の生活や人生計画を立てていくうえで正確な予後の予測が重要になります。 脳出血の予後(回復の見通し)を左右する要因 日本脳卒中学会※によると、脳出血の予後は以下に挙げる要因によって左右されます。 予後を左右する要因 理由 出血量と部位 ・出血量が多いほど脳が圧迫され、脳浮腫や脳ヘルニア(脳が押し出される状態)を起こしやすく、死亡率が高まる ・出血部位によって障害される脳機能が異なるため、生命予後や後遺症の重さも変わる 年齢 ・高齢者は脳血管の弾力が低下し、出血による損傷が広がりやすいほか、自己修復力・神経可塑性(回復力)が低下する ・高血圧や糖尿病などの基礎疾患の有無も予後不良に直結する。 意識レベル(GCSスコア) ・意識レベルが低いほど脳全体への圧迫や脳幹障害が強く、致命的なダメージを受けていることを意味する ・スコアが低いと予後が悪い可能性が高まる。 脳室穿破(のうしつせんぱ)の有無 ・脳室穿破(のうしつせんぱ)は脳室に血液が流れ込む状態 ・脳室穿破は水頭症や脳圧上昇・意識障害が悪化の要因となりうる 治療・リハビリ開始までの時間 発症24~48時間以内にリハビリを開始することで、廃用症候群(筋力低下や拘縮)を防ぎ、日常生活動作の改善率が上昇する 治療・リハビリの遅れは、回復機会の損失につながりやすい 脳出血はこのような要因で予後が左右されるため、迅速な対応が必要です。 脳出血が疑われる場合には迷わず119番で救急車を要請するか、迷った場合には7119番に連絡して専門家の助言を受けましょう。 ※参考文献:脳卒中ガイドライン2021[改訂2025] 予後の流れ 脳出血の予後は、大きく分けて以下の3段階で経過します。 発症直後(急性期):命の危険と合併症リスク 1~3か月:リハビリで回復が進む時期 6か月以降:回復の“壁”が見え始める 脳出血が発症した直後は、命の危険が高い時期です。 とくに、脳浮腫や再出血を予防しつつ、水頭症や肺炎・深部静脈血栓症などの合併症に注意しなければいけません。 命の危険を脱した後は、リハビリを進め身体機能の回復を図りますが、発症から3ヶ月が重要です。 過去の研究※から発症から3ヶ月は神経機能の回復が盛んなことがわかっていて、この時期のリハビリは機能を回復するうえで不可欠といえます。 しかし、6ヶ月を過ぎると徐々に神経の回復が止まってしまい、機能回復の壁を感じる方も多い傾向にあります。 脳出血後に起こりやすい後遺症と回復の目安 ここからは、脳出血後に起こりやすい後遺症と回復の目安について、以下の3項目を解説します。 これらは脳出血の予後を考えるうえで重要な知識です。 脳出血でお悩みの方は、ぜひ最後までチェックしてください。 主な後遺症の種類と頻度 脳出血でみられる主な後遺症は以下のとおりです。 主な後遺症の種類と頻度 片麻痺(運動麻痺) 約70〜80%の患者で、体の片側(右または左)の手足が動かしにくくなる。 構音障害・失語症 うまく発音できない、言葉が出てこない・理解しづらいといった症状が約30〜40%に出現。 嚥下障害(飲み込みづらさ) 食べ物や水が飲み込みにくい、むせる、誤嚥性肺炎を起こしやすいといった症状が約40〜50%で一時的または持続的に出現。 認知障害・感情変化 記憶力・注意力低下、感情の起伏が激しくなるといった症状が約30〜50%に出現。 これらの後遺症はすべての脳出血患者に発症するわけではありませんが、脳出血後遺症として問題になりやすい症状です。 しかしリハビリで改善する可能性もあるため、専門家による早期治療が重要となります。 リハビリで回復する機能・しにくい機能 リハビリで回復する機能と回復しにくい機能は、以下の表のように分類されます。 回復しやすい機能 運動障害 少しでも神経回路が生き残っていれば、リハビリによって再生しやすい。 感覚障害 神経の再生による回復は時間がかかるが、視覚や運動感覚による代償が効きやすい 回復しにくい機能 高次脳機能障害 高次脳機能障害を引き起こす部位は神経の回復が難しいため、回復しにくい 言語障害 言語機能は脳の左半球に多く依存しているため、左半球を損傷すると代償が効きにくい このように、運動障害や感覚障害は神経が回復したり他の機能により代償が効いたりするために、回復しやすいといえます。 逆に高次脳機能障害や言語障害は神経が回復しにくいうえに代償が効きにくいため、回復しにくい機能です。 回復を左右する「神経可塑性」とは 神経可塑性とは、脳神経が損傷した後に構造や機能を再編成する能力です。 言い換えれば、壊れた神経回路を別の経路で補う「脳の柔軟性」ともいえます。 具体的には、損傷した部位の周囲や反対側の脳が機能を補う能力です。 この神経可塑性があることで、脳出血後遺症は回復していきます。 予後を良くするために重要なポイント 脳出血後の予後を良くするために重要なポイントは、以下の3点です。 脳出血は、「時間との戦い」です。 迅速に治療を開始することで脳のダメージを軽減でき、後遺症の重症度軽減が期待できます。 また、「ゴールデンタイム」と呼ばれる脳出血発症後数ヶ月で集中的なリハビリを行えば、前述した神経の可塑性も最大限に高められるでしょう。 一方で、脳出血では家族や社会的なサポートも欠かせません。 脳出血は身体機能だけでなく、認知機能や感情・社会的な能力も損なわれる可能性があるためです。 とくにうつ・意欲低下・社会的孤立は、回復意欲を損ない、再発や寝たきりリスクを高めます。 そのため、家族や社会的なサポートが再発予防・生活の質(QOL)向上のために不可欠といえるでしょう。 このような迅速で質の高い身体的な治療や家族・社会的なサポートは、脳出血の予後を良くするために重要です。 リハビリで限界を感じた方向けの再生医療という新たな選択肢 脳出血は発症後、6ヶ月後までは機能の回復が得られる可能性があります。 しかし、6ヶ月を経過して以降はあまり機能の回復が望めないため、装具を使用するなどの代替手段が検討されてきました。 しかし、近年では再生医療が発達してきたことにより、6ヶ月経過した後でも神経の回復が期待できる可能性があります。 実際に当院リペアセルクリニック大阪院でも、脳出血後遺症に対して再生医療が功を奏したケースを経験してきました。 脳出血以外の脳梗塞などの後遺症にも効果が期待できる可能性はありますので、興味がある方はぜひ以下のリンクをご参照ください。 脳出血の予後を良くするためには、早期のリハビリと専門医への相談が重要 脳出血の予後にみられる後遺症や、予後を良くするためのポイントを解説しました。 ポイントは以下のとおりです。 脳出血は迅速な治療が重要です。 神経が回復できる期間も決まっているため、早期のリハビリ介入も大切といわれています。 そのため、脳出血が疑われる場合には速やかに専門医に相談し、可能な限り早くリハビリを開始しましょう。 なお、リハビリの効果を感じない時期に差し掛かった場合でも、再生医療であれば神経機能が回復する可能性があります。 当院でも多数の症例を経験しているため、興味がある方はお気軽にご相談ください。
2025.10.07 -
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突然の頭痛とともに命の危険もある「くも膜下出血」。 首の痛みを感じて体調が悪い場合、「もしかしたらくも膜下出血かも」とお悩みを持つ人もいるかもしれません。 結論から言えば、首の痛みと激しい頭痛を伴う場合くも膜下出血の前兆である可能性があります。 しかし具体的にどうしたら良いのかわからず、余計に不安を感じる人もいらっしゃるでしょう。 そこで本記事では、くも膜下出血を疑う症状や病院に行くべき基準を解説します。 【結論】首の痛みを伴う頭痛はくも膜下出血の前兆の可能性あり 前述のとおり、首の痛みと激しい頭痛を伴う場合、くも膜下出血の前兆症状の可能性があります。 これは脳(くも膜)の出血の影響で首の血管(椎骨動脈)もダメージを負うためです。 世界的に用いられているくも膜下出血の分類であるHunt and Hess分類では、軽度のくも膜下出血でも頭痛と首の硬直(痛み)を伴うと記載されています。 この頭痛は警告頭痛と呼ばれ、くも膜下出血の前兆症状の1つです。 頭痛がさらに強くなると雷鳴頭痛と呼ばれる激しい頭痛になり、意識障害などに発展する可能性もありますので、速やかに受診しましょう。 そもそもくも膜下出血とは?特徴的な症状をご紹介 くも膜下出血とは、脳のくも膜という組織の内部で起こる出血のことです。 ほとんどは脳動脈瘤(脳の血管にできるコブ)の破裂が原因と考えられており、さまざまな症状を引き起こします。 全国保健健康協会によれば、くも膜下出血は致死率が50%を超える(※)ため、前兆症状を感じたら速やかに対応しなければいけません。 ※出典:全国健康保険協会「くも膜下出血」 なお、くも膜下出血に関しては以下の記事でも詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。 https://africatime.com/topics/15415/ 【チェックリスト】くも膜下出血の前兆 くも膜下出血の前兆症状は以下のとおりです。 警告頭痛 血圧の乱高下 吐き気・嘔吐 視覚異常・めまい 意識の変化や頭の違和感 これらの症状は脳動脈瘤や出血によって脳が圧迫されて生じる症状です。 とくに警告頭痛は数時間〜数日前からみられ、首の痛みも伴います。 そのため、首の痛みを伴う頭痛が見られた時には注意が必要です。 救急要請すべき症状と外来受診でも良い症状 前項の前兆のうち、救急要請すべき症状と外来受診でも良い症状を分別すると、以下の通りになります。 救急要請すべき症状 外来受診でも良い症状 警告頭痛 吐き気・嘔吐 意識の変化や頭の違和感 視覚異常・めまい 血圧の乱高下 救急要請すべき症状の3つはすべて、出血によって脳が圧迫されるために生じる症状です。 まずは「今までに感じたことのない頭痛」が特徴の警告頭痛に始まり、吐き気や嘔吐、失神などの意識の変化がみられます。 視覚異常やめまい、血圧の乱高下もくも膜下出血の症状ではありますが、くも膜下出血以外の疾患でもみられる症状です。 まずは「警告頭痛があるかどうか」を基準に、受診を検討してください。 くも膜下出血で大事なことは早期発見と再発予防! くも膜下出血は命に直結する疾患で、発症から時間が経てば経つほど重症度と致死率が上がります。 そのため、早期発見と再発予防が非常に重要な疾患です。 ここからは、くも膜下出血について以下の項目を解説します。 くも膜下出血について重要な知識なので、ぜひチェックしてください。 くも膜下出血の検査方法 くも膜下出血は以下の検査で特定します。 検査方法 検査内容 CT検査 ・X線で脳を撮影できる画像検査 ・迅速に脳の出血の有無を確認できる MRI検査 ・磁力を用いて脳の撮影を行う画像検査 ・CTより時間はかかるが、詳細な情報を得られる 腰椎穿刺(髄液検査) ・背中から脳脊髄液を採取し、成分を調べる検査 ・くも膜下出血と髄膜炎の鑑別に役立つ これらの検査などを用いて、くも膜下出血の検査を行います。 検査によって詳細な出血部位を特定することは、出血した血液の除去や止血のために重要です。 くも膜下出血の再発予防に重要な生活習慣 くも膜下出血の予防では、血圧の安定化と動脈硬化の予防が重要です。 高血圧や動脈硬化はくも膜下出血のリスクを高めるため、気をつけなければいけません。 特に気をつけるべき生活習慣を、以下の表にまとめました。 気をつけるべき生活習慣 理由 食事 ・適切な塩分量・コレステロールを摂取する ・高血圧や動脈硬化のリスク低下に期待できる 運動 適切な運動は血圧を下げる効果に期待できる 喫煙 ・喫煙は高血圧を引き起こす危険因子 ・くも膜下出血発症のリスクとなる 飲酒 ・過度な飲酒が高血圧につながる ・適切な量に抑えることでリスクを軽減できる 睡眠 ・適切な睡眠は血圧を安定させる ・睡眠時無呼吸症候群はくも膜下出血のリスクとなる 歯磨き ・歯周病菌は動脈硬化を引き起こす危険因子 ・歯周病予防ができれば動脈硬化のリスク軽減に期待できる これらの生活習慣に気をつけて高血圧や動脈硬化を予防できれば、間接的にくも膜下出血の予防効果が期待できます。 くも膜下出血の治療には再生医療が有効となる可能性 くも膜下出血が発症した後は、以下の治療を行います。 治療 内容 手術 脳の出血除去や止血を行い、脳へのダメージ軽減を図る 投薬 降圧剤や痛み止めなどで症状を安定化させる リハビリ 四肢麻痺などの後遺症に対して、運動療法を行う くも膜下出血では、多くのケースでしびれや四肢麻痺などの後遺症が発症します。 なぜなら、一度損傷した脳細胞は再生が難しいためです。 そのため、脳が損傷したことで生じるしびれや四肢麻痺などの後遺症に対しての対症療法が治療がメインとなります。 しかし、近年ではiPS細胞をはじめとする再生医療により、傷ついた脳細胞も再生が期待できるようになりました。 実際に当院リペアセルクリニック大阪院でも、脳出血後の後遺症に対して再生医療が有効だった症例を経験しています。 くも膜下出血以外の脳卒中の症例もご紹介しているので、興味がある人は以下をご参照ください。 くも膜下出血でよくある質問 くも膜下出血でよくある質問をまとめました。 ・くも膜下出血の原因は何ですか? ・くも膜下出血は何科を受診すれば良いですか? くも膜下出血について詳しく知り、予防するためにもぜひ参考にしてみてください。 くも膜下出血の原因は何ですか? くも膜下出血は以下のような原因があります。 脳動脈瘤 脳動静脈奇形 交通事故などによる外傷 これらが原因となり、脳のくも膜の内側で出血する病気がくも膜下出血です。 くも膜下出血は何科を受診すれば良いですか? くも膜下出血が疑われるときは、脳神経内科・外科を受診してください。 くも膜下出血は脳の疾患であるため、脳を専門に扱う科が適切です。 ただし、緊急を要する疾患ですので、救急車を要請した方が良い可能性があります。 #7119に電話すれば救急車を呼ぶべきかを待機している専門家に相談できるので、迷ったら電話してみましょう。 【まとめ】くも膜下出血の前兆を疑ったら迷わず受診しよう 本記事では、くも膜下出血の前兆と首の痛みについて解説しました。 ポイントは以下のとおりです。 くも膜下出血は緊急性が高く、致死率の高い病気です。 まずは記事前半のくも膜下出血の前兆症状チェックリストを確認しましょう。 もし当てはまった場合はくも膜下出血の可能性がありますので、無理をせず医療機関にご相談ください。 また、くも膜下出血の後遺症に対して、近年は再生医療も注目されています。 当院リペアセルクリニック大阪院でも脳卒中に対する再生医療を行っていますので、興味がある人はお気軽にご相談ください。
2025.09.30 -
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視床出血は脳の深部にある「視床」が出血することで起きる病気で、感覚障害や視床痛など、特有の後遺症を残しやすいことで知られています。 しかし視床出血の疑いがあるけれど、適切なリハビリと治療や長期的なケアの続け方が分からずお困りの方もいらっしゃるかと思います。 そこで本記事では、視床出血の発症原因と症状・後遺症や治療、そして回復の鍵となるリハビリの進め方まで、生活再建に役立つ情報を解説します。 視床出血についての情報が知りたい、後遺症に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。 視床出血とは?発症原因と症状 視床出血は、脳の深部にある重要な神経核「視床」からの出血を指す脳卒中の一種です。 視床は全身の感覚や運動、意識の中継地点であり、出血によってこれらの機能に障害が起こります。 視床出血の主な発症原因は、以下の通りです。 高血圧 動脈硬化 飲酒・喫煙・糖尿病 これらの要因によって脳内の血管に負担がかかり、血管が破れて出血を引き起こします。 結果として視床が持つ重要な機能に障害が生じ、以下の症状が現れます。 症状 内容 片麻痺 意識障害を伴うことが多く、麻痺は利き手と反対側に出やすい 感覚障害 触覚や痛覚の鈍化・しびれ・または「視床痛」と呼ばれる激しい痛みが起こる 視覚障害 物が二重に見えたり、視野が狭くなったりする 言語障害 ろれつが回りにくくなる、言葉が出にくくなる 上記の症状は、出血の大きさや位置によって異なりますが、早期の治療とリハビリが生活再建に不可欠です。 適切なケアと継続的な努力によって、生活の質の改善を目指すことができます。 視床出血と他の脳出血との違い 視床出血と他の脳出血の違いは、以下の通りです。 出血部位 主な症状 特徴的な症状 視床出血 ・片麻痺 ・意識障害 ・感覚障害 ・言語障害 ・視覚障害 ・視床痛 ・意識障害 ・視野狭窄 被殻出血 ・片麻痺 ・言語障害 ・視線が麻痺側に偏る 小脳出血 ・ふらつき ・めまい ・頭痛 ・嘔吐 ・運動失調 ・平衡感覚の障害 脳幹出血 ・重度の意識障害 ・呼吸障害 ・四肢麻痺 命に関わる症状が多い 皮質下出血 出血した部位の機能に対応した症状 ・てんかん発作 ・意識障害は軽度〜中程度 脳出血は、出血部位によって症状が大きく異なります。 中でも視床出血は、感覚や意識を司る視床で起こるため、特有の症状と後遺症が現れます。 例えば、被殻出血では運動麻痺や言語障害が主となりますが、視床出血ではこれらに加え、感覚鈍麻や「視床痛」と呼ばれる激しい痛みが特徴的です。 視床痛は、体の感覚を伝える回路の障害によって生じる慢性的な痛みであり、日常生活に大きな影響を及ぼす後遺症です。 また、視野の狭窄といった視覚障害も他の部位に比べて現れやすい傾向にあります。 視床出血で残りやすい後遺症 視床出血の後遺症として、最も特徴的かつ生活に大きな影響を及ぼすのが感覚障害と視床痛です。 視床は全身の感覚情報を集約する重要な部位であるため、この部分の出血は、触覚や痛覚の鈍化、しびれといった症状を引き起こします。 中でも視床痛は、術後の麻痺が回復した後も、体の一部に激しい痛みが継続する難治性の慢性痛であり、日常生活の質を著しく低下させることがあります。 また、視床は高次脳機能にも関わるため、注意障害、記憶障害、感情失禁(感情のコントロールが難しくなる)などの高次脳機能障害も残りやすいとされています。 これらの症状は一見わかりにくいため、周囲の理解と適切なサポートが必要です。 視床出血のリハビリと生活再建のロードマップ 視床出血のリハビリと生活再建までのロードマップは、以下の通りです。 急性期のリハビリ(発症から約2週間) 回復期のリハビリ(発症から約3ヶ月~半年) 生活期のリハビリ 発症から回復、日常生活へ戻るためのリハビリについてまとめています。 急性期のリハビリ(発症から約2週間) 視床出血発症後の急性期は、病状の安定と合併症予防が最優先されます。 この時期のリハビリは、ベッド上での安静を保ちつつ、早期の機能回復を促すことが目的です。 具体的な内容としては、理学療法士が関節の可動域訓練を行い、筋肉の萎縮や関節の拘縮を防ぎます。 病状が安定すれば、座位訓練や、車椅子への乗り移りといった早期離床に向けた訓練も始まります。 この訓練は回復期リハビリをスムーズに進めるための大切な準備となります。 回復期のリハビリ(発症から約3ヶ月~半年) 回復期は病状が安定し、集中的なリハビリテーションが可能になります。 この時期の目標は、日常生活動作の自立度を高め、家庭や社会への復帰を目指すことです。 理学療法士は歩行訓練やバランス訓練など、より実用的な動きをサポートし、作業療法士は生活に必要な動作を反復して訓練します。 併せて言語聴覚も、ろれつ障害や高次脳機能障害に対する専門的なアプローチを行います。 回復期は、機能回復が最も期待できる重要な期間です。 生活期のリハビリ 生活期のリハビリは、退院後に社会での生活を維持・向上させることを目的とします。 回復期のような集中的なリハビリではありませんが、機能の維持や更なる改善を目指し、長期にわたって継続することが重要です。 訪問リハビリや通所リハビリを利用することで、専門家によるサポートを継続できます。 生活環境に合わせた動作訓練や、趣味・社会活動への参加を促す支援も含まれます。 また、再発を防ぐための健康管理もリハビリの一環です。 医師や専門家の指導のもと、血圧管理や服薬、適度な運動を続けることが、自分らしい生活を長く続ける鍵となります。 視床痛の治療法 視床痛の治療法として、以下が挙げられます。 薬物療法 非薬物療法 神経の興奮を抑える薬を使用した薬物療法から、気軽に取り組めるマッサージや運動を行う非薬物療法について解説します。 薬物療法 視床出血の治療において、薬物療法は主に合併症の予防と再発防止、そして後遺症の緩和を目的とします。 発症直後の急性期では、出血の拡大を防ぐために降圧剤を用いて厳格に血圧をコントロールすることが重要です。 後遺症として生じる「視床痛」は、通常の鎮痛剤では効果が薄いことが多いため、抗うつ薬や抗てんかん薬など、痛みの神経経路に作用する特殊な薬剤が用いられます。 退院後も再発予防のため、高血圧や脂質異常症など基礎疾患に対する薬物治療を継続することが、長期的な健康維持に繋がります。 非薬物療法 視床出血後のリハビリテーションと並行して行われる非薬物療法は、以下の通りです。 視床出血の非薬物療法 内容 理学療法・作業療法 専門家による運動療法、温熱・電気刺激などの物理療法で、麻痺や感覚障害の改善を目指す 心理的アプローチ 視床痛やうつ症状に対して、認知行動療法やマインドフルネスで改善を目指す セルフケア 軽度な運動やストレッチ、マッサージなどを日常生活に取り入れ、血行改善や痛みの緩和を図る 装具・自助具の活用 痺が残った手足のサポートや、日常生活動作を補助する装具や器具を使い、自立した生活を維持する 視床出血後のリハビリテーションと並行して行われる非薬物療法は、特に痛みや注意障害といった後遺症の緩和に有効です。 代表的なものとして、リハビリテーション専門家による物理療法(温熱、冷却、電気刺激など)や、心理的アプローチ(認知行動療法、マインドフルネスなど)が挙げられます。 また、軽度な有酸素運動やストレッチも、血流改善や精神的な安定に欠かせません。 非薬物療法は薬だけに頼らず、患者さん自身のセルフケア能力を高めることを目的としています。 視床出血の再発予防とケア 視床出血の再発を防ぎ、長期的に安定した生活を送るためには、以下のケアが重要になります。 血圧管理の徹底 生活習慣の改善 定期的な通院 最も大切なのは、血圧管理の徹底です。日々の血圧測定を欠かさず行い、医師から処方された薬は忘れずに服用しましょう。 また、生活習慣の改善も不可欠です。バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、禁煙や節酒を実行してください。 さらに自己判断で通院を中断せず、定期的に通院することで、合併症のリスクを管理し、安心して生活を送ることができます。 視床出血の後遺症には再生医療という選択肢も 従来の治療やリハビリだけでは改善が難しい後遺症に、直面されている方も少なくありません。 特に激しい痛みが続く「視床痛」や重度の感覚障害、麻痺などは、現在の標準治療では限界があるケースも報告されています。 そのような状況に対し、近年では再生医療が新たな選択肢として注目されています。 再生医療は、幹細胞が持つ神経細胞の再生・保護作用を利用した治療法です。 リペアセルクリニックでは患者さま自身の脂肪や骨髄から採取した幹細胞を培養し、点滴で投与することで機能回復を促します。 また再生医療とリハビリと組み合わせることで、さらなる相乗効果が期待できます。 当院では、視床痛や麻痺でお悩みの方に対し、幹細胞治療とリハビリを組み合わせることで、早期に改善した事例があります。 詳しくは、以下の症例紹介ページを参考にしてください。 視床出血と向き合い、希望を持って生活再建を目指しましょう 視床出血は後遺症が残りやすい病気ですが、早期からのリハビリテーションと、再発を防ぐための長期的なケアを続けることで、生活の質を改善できます。 視床痛の治療法には薬物療法と非薬物療法がある 非薬物療法は後遺症の緩和に友好的である 再発予防として血圧管理・生活習慣の改善・通院が挙げられる 視床痛には再生医療という選択肢がある 現在の症状に悩むことはあっても、決して希望を失わないでください。日々の小さな努力が、自分らしい生活を再建するための大きな力となります。 また、もし従来の治療法では改善が難しいと感じた場合でも、再生医療という新たな選択肢があります。 リペアセルクリニックの幹細胞治療は、入院の必要が無く日帰りで対応できるため、お仕事が忙しい方でも安心です。 一人で抱え込まず、医療従事者やご家族とともに、前向きに生活再建を目指していきましょう。
2025.09.30 -
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脳幹出血は、脳の最も重要な部位である脳幹で出血が起こる、非常に危険な病気です。 発症すると生命に直結し、一命を取り留めても重い後遺症が残ることが少なくありません。 その多くは突然発症するため、予期せぬ出来事として襲いかかります。 しかし、その原因のほとんどは、日々の生活習慣と深く関わっています。 この記事では、脳幹出血の原因やリスク因子、脳幹出血の再発予防策について解説します。 脳幹出血の後遺症に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 脳幹出血の原因を徹底解明 ここからは、脳幹出血の原因やリスク因子、症状について解説していきます。 脳幹出血の直接的な出血の原因とは? 脳幹出血の見逃せないリスク因子 脳幹出血の症状と緊急時の対応 まずは命と健康な未来を守るために、脳幹出血の知識を深めていきましょう。 脳幹出血の直接的な出血の原因とは? 脳幹出血は、脳の深部にある脳幹で血管が破れて出血する重篤な病気です。 この出血の直接的な原因の大半は高血圧です。 高血圧が長期間続くと、脳の細い血管(穿通枝)に大きな負担がかかります。 その結果血管の壁が脆くなり、瘤ができたり、血管自体が変性したりします。 そして脆くなった血管が血圧の急激な上昇などによって破裂することで、脳幹出血が引き起こされます。 また、先天的な血管の奇形(脳動静脈奇形など)や、動脈硬化も出血の要因となることがあります。 脳幹出血の見逃せないリスク因子 高血圧の他に、脳幹出血のリスクを高める要因は以下の通りです。 生活習慣病 喫煙 飲酒 睡眠不足 ストレス 主なリスク因子は生活習慣病です。特に糖尿病や脂質異常症は、動脈硬化を進行させ、血管を脆くします。 また、喫煙や過度な飲酒も血管に悪影響を与え、出血のリスクを高めます。 さらに、高齢者や家族に脳卒中の既往がある人も注意が必要です。 ストレスの多い生活や、睡眠不足も血圧を不安定にさせ、脳幹出血の引き金になる可能性があります。 上記のリスク因子を複数持っている場合は、特に厳重な注意が必要です。 脳幹出血の症状と緊急時の対応 脳幹出血の主な症状は、以下の通りです。 突然の意識障害 激しいめまい 手足の麻痺 呼吸障害 出血がわずかでも、生命維持に重要な役割を担う脳幹の機能が障害されるため、短時間で症状が進行し、意識レベルが急速に低下することが多いです。 これらの症状が見られた場合は、一刻も早く救急車を呼び、専門的な医療機関に搬送することが不可欠です。 脳幹出血の症状は時間との勝負であり、少しでも早い対応が予後を左右します。 救急車を待つ間は、患者を楽な姿勢で寝かせ、衣服を緩めるなど、無理のない範囲で応急処置をしましょう。 絶対に自己判断で水を飲ませたり、身体を揺らしたりしないでください。 脳幹出血の原因別の検査の流れ 脳幹出血の原因を特定するための検査は、以下の通りです。 CT/MRI検査 血液造影検査 血液検査 脳幹出血が疑われる場合、まずCTスキャンで出血の有無や範囲、量を迅速に確認します。 次にMRI検査で、出血部位の詳細な特定や、小さな血管の異常を見つけることで、原因の特定を進めます。 また脳動静脈奇形や動脈瘤など、血管自体の異常が疑われる場合には、脳血管造影を行います。 これは、カテーテルを挿入して造影剤を注入し、血管の形状や血流を詳しく調べる精密検査です。 併せて出血のリスクをどの程度高めているかを評価するため、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病の有無や、血液凝固異常なども調べます。 これらの検査を総合的に行うことで、出血の根本的な原因を明らかにし、再発予防を含めた最適な治療計画を立てることが可能になります。 脳幹出血の再発予防策 脳幹出血の再発予防には、原因となる生活習慣病の徹底的な管理が必要になります。 血圧管理 食生活の改善 生活習慣の見直し 定期的な健康診断 まずは再発の最大のリスク因子である、高血圧をコントロールすることが最も重要です。 医師の指示に従い、降圧剤を正しく服用するとともに、自宅でも毎日血圧を測定し記録しましょう。 また塩分を控えた減塩食を心がけ、野菜や魚を積極的に摂取するバランスの取れた食事が大切です。 肥満を解消するために、高カロリー・高脂質の食品は避けましょう。禁煙と節酒は必須です。 さらに適度な有酸素運動を習慣化し、ストレスを溜めないようにすることも血圧の安定につながります。 これらの管理のほか、定期的に健康診断を受け、血圧・血糖値・コレステロール値などをチェックすることも重要です。 退院後の生活設計とリハビリ 脳幹出血からの退院後は、再発予防と機能回復のための計画的な生活が求められます。 生活設計 内容 リハビリテーションの継続 脳幹出血による後遺症改善のために理学療法、作業療法、言語聴覚療法を継続する 在宅環境の整備 歩行に不安がある場合、手すりの設置や段差の解消など、転倒リスクを減らすための自宅改修を検討する 生活習慣の管理 記載した再発予防策(血圧管理、睡眠・食事、禁煙・節酒)を徹底する 社会資源の活用 介護保険や障害者手帳の申請を検討し、デイケアサービスや訪問リハビリなど、利用可能な社会資源を活用する 定期的な通院 医師の指示に従い、定期的な通院を怠らず、体の変化や後遺症の状況を相談する これらの生活設計とリハビリは、退院後の生活の質を向上させ、自立した生活を目指します。 しかし、リハビリを行っているものの、後遺症がなかなか改善されず困っているという方もいるでしょう。 脳幹出血の後遺症に悩む方におすすめなのが、再生医療です。 リペアセルでは再生医療を提供しており、後遺症からの回復を後押ししています。 患者様自身の幹細胞を培養し、静脈から点滴で投与することで、脳内の神経細胞の再生や保護効果が期待できます。 従来の治療法だけでは改善が難しかったケースでも、再生医療を併用することで、より効果的なリハビリにつながる可能性があります。 実際に5年間続いた脳出血の後遺症が改善した事例もあるので、気になる方は下記をチェックしてみてください。 脳幹出血から未来を守るための3つのポイント 脳幹出血は再発リスクが高い病気ですが、適切な対策で未来を守ることができます。 意識障害などの前兆を感じたら一刻も早く119番通報する 血圧・生活習慣・服薬の3つを徹底的に管理する 再生医療という選択肢も検討してみる 脳幹出血は高血圧や糖尿病、喫煙など複数の要因が絡み合って発症します。 もし激しいめまいや意識障害が出たら、すぐさま119番通報しましょう。 また日々の生活管理も再発防止に欠かせません。 減塩、禁煙、適度な運動を心がけ、服薬を忘れないよう心掛けてください。 しかし、人によっては日々の予防やリハビリを続ける中で、なかなか後遺症が改善しないと感じることもあるでしょう。 既存の治療法だけでは後遺症の回復が難しい場合、再生医療も選択肢の一つとなります。 当院では幹細胞治療を行い、脳幹出血を含むあらゆる病の後遺症の改善を目指しています。 後遺症を改善したい、生活の質の向上させたい方はリペアセルクリニックのメール相談・オンライン診療にてご相談ください。
2025.09.30 -
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最近、家族や身近な方が脳溢血になった、またはニュースで脳溢血という言葉を聞いて「どのような病気なのか」「予防できるのか」と心配されている方も多いのではないでしょうか。 脳溢血は突然発症することが多く、適切な治療を受けないと重篤な後遺症がみられたり、生命に関わる危険性があります。 この記事では、脳溢血の症状や原因から出血部位別の特徴、効果的な予防法を詳しく解説します。 脳溢血の正しい知識を身につけることで、早期発見や適切な予防につながります。 近年の治療では、脳溢血を含む脳卒中に対して、再生医療という治療法が注目されています。 脳溢血の後遺症改善や再発予防についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録いただき、再生医療について詳しい情報をご確認ください。 脳溢血とは|脳出血とも呼ばれる脳卒中の一つ 脳溢血とは、脳の血管が破れて出血する脳卒中の一つに分類される病気です。 まずは、基礎知識として、主な原因と症状について詳しく見ていきましょう。 脳溢血の主な症状 脳溢血の主な原因 上記の知識を身につけることで、脳溢血の早期発見や適切な予防につながります。 脳溢血の主な症状 脳溢血は突然発症し、以下のようなさまざまな症状が現れます。 突然の激しい頭痛 片側の手足の麻痺やしびれ ろれつが回らない、言葉が出にくい 意識障害やぼんやりした状態 めまいや吐き気、嘔吐 視野の異常や物が二重に見える バランス感覚の異常、ふらつき 顔面の麻痺や表情の変化 これらの症状が一つでも現れた場合は、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診してください。 脳溢血は時間との勝負であり、早期治療により後遺症を軽減できる可能性があります。 脳溢血の主な原因 脳溢血の主な原因は、以下のとおりです。 高血圧 動脈硬化の進行 糖尿病による血管への影響 喫煙による血管の損傷 過度の飲酒 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常) ストレスや過労 肥満 加齢による血管の老化 とくに高血圧は脳溢血の最大の危険因子とされており、血圧管理が予防の鍵となります。 これらの原因の多くは、食事や運動などの生活習慣の改善により対策できるため、日頃からの健康管理が重要です。 脳溢血と脳梗塞・脳卒中との違い 脳溢血、脳梗塞、脳卒中は混同されがちですが、それぞれ異なる病気です。 以下の特徴や違いがあります。 病気の名称 特徴 脳溢血(脳出血) 脳の血管が破れて出血する 脳梗塞 脳の血管が詰まって血流が止まる 脳卒中 脳溢血・脳梗塞・くも膜下出血の総称 脳卒中は脳溢血(脳出血)・脳梗塞・くも膜下出血の総称であり、脳組織が障害を受ける病気のことです。 また、脳溢血は血管の破裂による出血が原因であるのに対し、脳梗塞は血管の詰まりが原因という点で大きく異なります。 どちらも緊急性の高い病気のため、早期に医療機関に連絡し、適切な治療を受けることが重要です。 脳卒中の種類について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 脳溢血は出血した部位によって症状や後遺症が異なる 脳溢血の症状や後遺症は、出血が起こった脳の部位によって大きく異なります。 本章では、出血部位別の特徴について解説します。 被殻出血(ひかくしゅっけつ) 視床出血(ししょうしゅっけつ) 橋出血(きょうしゅっけつ) 小脳出血 大脳皮質下出血 それぞれの出血部位の特徴を知ることで、症状に応じた適切な対応や治療選択肢の検討ができます。 被殻出血(ひかくしゅっけつ) 被殻出血は、脳溢血全体の約50%を占める最も多いタイプです。 被殻は大脳の奥にある部位で、運動機能を司る重要な役割を果たしており、出血すると以下のような症状が現れます。 片側の手足の麻痺 片側の顔面麻痺や表情の変化 感覚の鈍さやしびれ 言葉が出にくい、ろれつが回らない 重症化すると意識障害 被殻出血の主な症状は「運動麻痺」のため、適切なリハビリテーションによる機能回復を促すことが重要です。 早期からの適切なリハビリにより、日常生活動作の改善が期待できます。 脳溢血の後遺症について、麻痺が回復するのかどうか解説している以下の記事もご参考ください。 視床出血(ししょうしゅっけつ) 視床は感覚を司る脳の中継点として重要な役割を担っています。 視床出血で現れる症状は、以下のような感覚に関するものが中心です。 片側の感覚障害(触覚や痛覚の異常) 目が内側に向く特徴的な眼球運動異常 視床痛(腕や脚に激しい痛みを感じる) 進行すると運動麻痺も出現 記憶や注意力の低下 視床痛は視床出血特有の後遺症で、通常の痛み止めでは効果が得られにくい難治性の痛みです。 しかし、適切な治療の継続によって症状の軽減が期待できます。 諦めずに医師とともに治療を継続することが大切です。 橋出血(きょうしゅっけつ) 橋は脳幹の一部で、生命維持に必要な呼吸や意識状態をコントロールする重要な部位です。 そのため、橋出血は以下のような重篤な症状を引き起こす可能性があります。 急激な意識障害(昏睡状態になることが多い) 両側の手足の麻痺 呼吸困難や呼吸停止 体温調節の異常 血圧の急激な変動 橋出血は出血量が少なくても重篤な症状を引き起こすため、直ちに集中治療が必要です。 生命に関わる緊急事態であり、一刻も早い医療機関での治療が求められます。 小脳出血 小脳は身体のバランス感覚や協調運動を司る部位で、小脳出血では以下のような症状が現れます。 強いめまいや回転感 激しい吐き気や嘔吐 歩行困難やふらつき 頭の後ろ部分の激しい頭痛 手の震えや動作の不正確さ 突然の激しいめまいと頭痛が同時に起こった場合は、小脳出血を疑って緊急受診が必要です。 大脳皮質下出血 大脳皮質は脳の表面に位置し、部位によって異なる機能を担っているため、出血した場所により多様な症状が現れます。 運動麻痺 感覚麻痺 言語障害 視力や視野の障害 性格や行動の変化 記憶障害や認知機能の低下 大脳皮質下出血では、出血部位に応じてリハビリテーションの内容を個別に調整する必要があります。 言語療法、作業療法、理学療法を組み合わせた包括的なアプローチが効果的です。 脳溢血の予防法 脳溢血は、血圧管理や正しい生活習慣によって予防可能な病気です。 血圧の管理 生活習慣の改善 これらの予防法を継続的に実践し、脳溢血のリスクを減少させましょう。 脳溢血(脳出血)の再発率について詳細は、以下の記事で解説しているので、併せてご覧ください。 血圧の管理 高血圧は脳溢血の最大の危険因子であり、予防には血圧管理が重要です。 適切な血圧管理により、脳溢血を含む脳卒中の再発リスクを43%減少できる※という報告もあります。 ※出典:PubMed 血圧管理の具体的な方法は、以下のとおりです。 定期的な血圧測定を行い、家庭用血圧計で毎日同じ時間に測定する習慣をつける 目標血圧は家庭血圧で125/75mmHg未満を維持する 高血圧と診断された場合は、医師の指導のもと降圧薬を適切に服用する 寒い季節や早朝の急激な血圧上昇に特に注意する 起床時はゆっくりと身体を起こし、急激な体位変換を避ける 室温調整により血圧の急激な変動を防ぐ また、高血圧を防ぐには、食事や運動などの生活習慣の改善も欠かせません。 生活習慣の改善 脳溢血の予防において、正しい生活習慣への改善も重要です。 禁煙:喫煙は血管を傷つけ動脈硬化を促進させるため、禁煙外来の利用も検討 運動習慣:週3回以上、30分程度の有酸素運動でウォーキング・水泳・サイクリングなど 食事療法:塩分6g未満・野菜果物を豊富に・魚類のオメガ3脂肪酸を積極摂取 適度な飲酒:男性は日本酒1日1合程度、女性はその半分程度まで 十分な睡眠:7~8時間の質の良い睡眠を確保 ストレス管理:リラクゼーション法や趣味活動でストレス発散 とくに、運動と食事療法は血圧を直接的に低下させる効果があり、禁煙は血管の健康を改善します。 適度な飲酒制限は血圧上昇を防ぎ、十分な睡眠とストレス管理は血圧の安定に寄与します。 これらの生活習慣を継続的に実践し、脳溢血のリスクを減少させましょう。 脳溢血に関するよくある質問 脳溢血に関してよくある質問と回答を紹介します。 脳溢血と脳出血の違いは? 脳溢血に前兆はある? 脳溢血の初期症状は? 脳溢血への理解を深めて、不安を解消しましょう。 脳溢血と脳出血の違いは? 脳溢血と脳出血は、同じ病気を指す言葉です。 どちらも脳の血管が破れて出血する病気であり、症状や治療法に違いはありません。 医学的には「脳出血」という用語が使用され、「脳溢血」は一般的な呼び方として広く使われています。 医療機関では「脳出血」という用語で説明されることが多いですが、同じ病気であることを覚えておきましょう。 脳溢血に前兆はある? 脳溢血は、通常突然発症する病気です。 しかし、以下の前兆症状が先行してみられることがあります。 軽い頭痛やめまい 手足のしびれ ろれつの回りにくさ 物忘れの増加 など これらの症状は脳梗塞をはじめとする他の病気でも現れるため、脳溢血の確実な前兆とはいえません。 普段と異なる症状が現れた場合は、早期に医療機関に相談しましょう。 脳溢血の初期症状は? 脳溢血の初期症状は出血部位により異なりますが、特徴的な初期症状として突然の激しい頭痛が挙げられます。 「今まで経験したことがないような頭痛」と表現されることが多く、突然症状が現れます。 その他、片側の手足の脱力や麻痺、ろれつが回らない、意識がぼんやりする、激しい吐き気なども初期症状として現れる場合があります。 これらの症状が一つでも現れた場合は、迷わず救急車を呼んで、すぐに医療機関を受診しましょう。 脳溢血の治療、後遺症を治すには再生医療をご検討ください https://youtu.be/pSaJBptY3Bc?si=WFuCvq4ABq9PcOmT 脳溢血は、適切な急性期治療により症状改善も期待できますが、残念ながら多くのケースで後遺症が出ます。 そんな脳溢血の後遺症に対して、近年の治療では「再生医療」が注目されています。 \脳溢血の後遺症に有効な再生医療とは/ 再生医療は、損傷した脳細胞にアプローチする治療によって、従来の治療では難しい脳細胞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳溢血が治るか不安を抱えている 治療後にも後遺症に悩まされている 現在の治療では目立った効果が出ていない 脳溢血の後遺症や再発予防にお悩みの方は、従来のリハビリテーションと再生医療の併用をご検討ください。 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、脳溢血(脳出血)の後遺症が改善された患者様の症例を紹介しています。 https://youtu.be/AoMLP77h-c4?si=r7ykvSwmkQJPeu9i 当院リペアセルクリニックでは、患者さまの症状に適した治療やリハビリの訓練・指導が行えるように、医師の他に理学療法士や柔道整復師などの専門資格を持つチーム体制が整っています。 再生医療について詳しい情報をご希望の方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。
2025.09.30 -
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- くも膜下出血
頭を打ったとき、「どの場所を打つと危ないのか」「病院に行くべきなのか」不安になる方は多いのではないでしょうか。 結論、頭を打ったときに「ここだけが特に危険」といった特定の場所はありません。 どの部位でも打ち方や衝撃の強さによって危険が伴うため、頭部を打った部位以外にも注意する必要があります。 本記事では、頭を打ったときの部位ごとの特徴的なリスクや注意すべき危険な症状について詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、頭部打撲に伴う脳の後遺症に対して期待できる再生医療の治療法や実際の症例を配信しています。 頭部の症状でお悩みの方はぜひ一度ご覧いただき、今後の治療や生活改善にお役立てください。 頭を打つと危ない場所は?おでこ以外に注意すべき部位 頭のどこを打っても危険ですが、部位によってリスクは異なります。 頭部打撲の部位と影響 頭をぶつけた後に注意すべき危険な症状 部位ごとの特徴を把握して、早期の受診につなげましょう。 頭部打撲の部位と影響 頭を打ったときの危険性は、打った部位や年齢によって異なります。 とくに1歳半から2歳ごろの子どもは頭蓋骨が柔らかく、大人より衝撃に弱い上に変形しやすいため注意が必要です。 代表的な部位と起こりやすい影響は、以下の通りです。 部位 影響 側頭部(こめかみ周辺) 骨が薄く骨折のリスクがある 内側に重要な血管が走っているため、出血が脳を圧迫すると危険な状態につながる恐れがある おでこ(前頭部) 強い衝撃で脳挫傷や頭痛・吐き気が出る場合がある 目の周囲(眼窩) 前方からの衝撃で骨折したり、物が重なって見えたりする状態が起こる可能性ある 見た目には大きな異常がなくても、眼球内部で出血が起こる場合がある まゆ毛の外側を強くぶつけると視神経まわりの骨に影響を与え、急に視力が落ちる恐れがある 後頭部 首の後ろや両肩に痛みが生じたり、脳内出血を起こしたりする可能性がある 子どもは出血がなくても脳震盪で何度も吐くことがある 耳周り・側頭後方 耳周りの頭蓋骨が骨折した場合、鼓膜の破裂や顔の神経が麻痺して顔の半分の筋肉が動かせなくなる恐れがある 打撲後は部位ごとの特徴や症状を理解し、異常があれば早めに医療機関で確認しましょう。 頭をぶつけた後に注意すべき危険な症状 頭を打った後はすぐに症状が出ないこともありますが、異常が現れた場合は見逃さずに対応するのが重要です。 注意すべき代表的な症状は、以下の通りです。 嘔吐を繰り返す 長引く頭痛 二重に見える 物がかすんで見える 自分の意志とは無関係に筋肉が動く 症状がすぐに現れなくても、怪我をしてから24時間(とくに最初の6時間)※は注意深く様子を見ましょう。 ※出典:防衛医科大学校防衛医学研究センター外傷研究部門「軽症頭部外傷・軽症頭部爆傷」 とくに小さな子どもは自分で症状を伝えられないため、大人が慎重に見守ることが大切です。 頭部打撲によって起こりうる病気・症状 頭部打撲によって起こりうる病気・症状は、以下の通りです。 脳震盪 急性硬膜下血腫 外傷性くも膜下出血 脳挫傷 高次脳機能障害 症状の現れ方は、打った部位や衝撃の強さによって異なります。 そのため、頭部打撲で起こりうる病気をあらかじめ知っておくことが大切です。 脳震盪 脳震盪(のうしんとう)とは、頭部への衝撃で脳が一時的に揺れ、機能が乱れる状態です。 主な症状は、以下の通りです。 意識消失 打つ前後の出来事を覚えていない 頭痛 吐き気 倦怠感 めまい 睡眠障害 脳震盪を繰り返すと癖になり、重い後遺症や頭蓋内出血のリスクが高まる恐れがあるため注意が必要です。 多くの場合、症状は2週間以内に自然に回復しますが、子どもや若年者では回復に時間がかかることもあります。 脳震盪が疑われる場合は、安静を保ちつつ医療機関を受診しましょう。 急性硬膜下血腫 急性硬膜下血腫は、脳の表面の血管が損傷し、脳と硬膜(脳を包む膜)の間に血の塊がたまる病気です。 おでこ・こめかみ・頭上部に多く見られ、脳全体に影響を及ぼすことがあります。 急性硬膜下血腫の主な症状は、下記の通りです。 激しい頭痛 意識障害 片側の手足の動きが鈍くなる 症状は受傷直後だけでなく、遅れて現れることもあり、油断はできません。 高齢者は数週間〜数か月後に頭の中に血が溜まる慢性硬膜下血腫と呼ばれる症状が現れる場合があります。 そのため、頭痛や物忘れが多くなるなどの症状が見られた場合は脳神経外科を受診しましょう。 血の塊が大きくなると脳を圧迫し、緊急手術が必要になる恐れがあります。 早期診断と迅速な対応が、予後を大きく左右します。 外傷性くも膜下出血 外傷性くも膜下出血は、頭を打ったことによって脳を覆う薄い膜(くも膜)と脳の間で出血が起こる病気です。 主な症状は、以下の通りです。 激しい頭痛 吐き気・嘔吐 意識がぼんやりする 目の痛み とくに、強い頭痛が出る場合はすぐに救急車を呼び、医療機関で診察を受けましょう。 外傷性のくも膜下出血は、血管が破裂すると死亡率が50%以上※と高く、早期の治療が必要です。 ※出典:日本医科大学「頭部外傷の病態と治療」 手術方法は状況によって異なり、血管を修復する方法や血流を確保する手術が行われることもあります。 脳挫傷 脳挫傷は、頭部への強い衝撃で脳が損傷を受けた状態です。 症状は損傷した部位によって変わりますが、主に次のようなものがあります。 頭痛 片方の手足が動きにくくなる 言葉の理解や表出が難しくなる 脳挫傷は、衝撃を受けた側だけでなく反対側の脳にも損傷が起こることがあります。 外傷後、数時間から数日にかけて広がる可能性があるため、症状の変化を注意深く観察しましょう。 重症化すると意識がもうろうとして混乱状態になることがあり、早期の受診と適切な治療が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害は、頭部外傷の後遺症として起こり、さまざまな障害が生じる症状のことです。 主な症状は、以下の通りです。 症状 具体例 記憶障害 物の場所を忘れる 同じ質問を繰り返す 注意障害 注意力が続かない 複数の作業を同時に行うと混乱する 遂行機能障害 考えや判断がうまくできない 自分で計画を立てて行動できない 社会的行動障害 怒りやすい 自己中心的な行動が目立つ 高次脳機能障害は外見ではわかりにくいため、患者さまや周囲の方も気づきにくい場合があります。 発症後できるだけ早くリハビリを始めると回復の可能性が高まるため、早期に異変に気づき治療を開始するのが重要です。 以下の記事では、高次脳機能障害の回復過程やリハビリ方法について解説しているので参考にしてください。 頭を打つと危ない場所に関するよくある質問 頭を打つと危ない場所に関するよくある質問は、以下の通りです。 頭をぶつけたときの危険なサインは? 頭を打ったら病院に行くべき? 頭を打った直後は痛みや違和感が軽くても、数時間〜数日後に症状が現れることもあります。 危険な症状や受診のタイミングを把握して、自身の状態を確認しましょう。 頭をぶつけたときの危険なサインは? 頭をぶつけた後に注意すべき危険なサインは、以下の通りです。 意識がぼんやりする 嘔吐を繰り返す 激しく頭が痛む 手足がしびれる ろれつが回らない 二重に見える ぶつけた直後だけでなく、数日経ってから現れることもあるため、頭部を打った24時間は注意深く観察しましょう。 とくに、小さな子供や高齢者の場合、以下のような症状が見られたら迷わず医療機関を受診してください。 6歳以下の子どもは、普段と様子が違って元気がない場合や何度も嘔吐する場合 高齢者は、受傷後数週間~数か月経って頭痛・吐き気・脱力感・ふらつきなどの症状が現れた場合 症状が少しでも気になる場合は、脳神経外科で診てもらいましょう。 頭を打ったら病院に行くべき? 頭を打った際の症状に不安があるときや、どの症状が危険か判断できないときは医療機関を受診しましょう。 症状が軽くても、脳や頭部には外見ではわからない損傷が隠れている恐れがあります。 また、数日後に症状が現れる遅発性の合併症が見られる可能性があるため、違和感がある場合は医療機関を受診することが重要です。 頭を打つと危ない場所以外にも衝撃の強さに注意しよう 頭部打撲は、打った部位だけでなく、衝撃の強さや事故の状況によっても危険度が変わります。 軽く打っただけに見えても、数時間から数日後に症状が現れることがあります。 転倒やスポーツ、日常生活での外傷に注意し、周囲の安全確保やヘルメットの着用などで頭を守る工夫をしましょう。 頭部に異常を感じた場合は医療機関を受診することも重要です。 また、頭を打ったことによる脳の損傷に対して、当院リペアセルクリニックでは先端医療の一つである「再生医療」による治療を提供しています。 再生医療は損傷した組織にアプローチし、後遺症の改善につながる可能性がある治療法です。 頭部外傷による脳損傷や後遺症の治療法について詳しく知りたい方は、当院の公式LINEもご参考ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2025.09.30 -
- 頭部
- 脳梗塞
- 脳卒中
脳梗塞とは脳の血管が血栓で詰まり、血流が止まることで脳組織が死んでしまう病気です。 突然発症することが多く、治療が遅れると重篤な後遺症のリスクがあり、生命に関わることもあります。 脳梗塞を発症した方やご家族の中には、「本当に治るのか」「どのような治療を受ければよいのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳梗塞の回復見込みや病期別の治療法、入院期間について詳しく解説します。 また、現在リペアセルクリニックでは脳梗塞の後遺症や再発予防に対する治療法として、再生医療を行っています。 \脳梗塞に有効な再生医療とは/ 再生医療は、損傷した脳細胞にアプローチする治療によって、従来の治療では難しい脳細胞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳梗塞が治るか不安を抱えて生活している 治療後にも後遺症に悩まされている 現在の治療では目立った効果が出ていない 「脳梗塞が治るか不安」「後遺症を早く治したい」という方の新たな選択肢として、ぜひ検討してみてください。 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、脳梗塞の後遺症が改善された患者様の症例を紹介しています。 https://youtu.be/AoMLP77h-c4?si=r7ykvSwmkQJPeu9i 再生医療の治療法や症例については、当院リペアセルクリニックの公式LINEで発信しているので、ぜひご登録ください。 脳梗塞は治る見込みあり|早期治療が重要 脳梗塞は治る見込みがある疾患です。 以下の適切な知識を持って治療に取り組むことで、より良い回復を目指せる可能性があります。 早期治療の重要性 脳梗塞治療に必要な検査 これらの正しい知識を身につけて、適切な治療を選択しましょう。 また、脳梗塞の後遺症の回復に関しては、以下の記事も参考になります。 早期治療の重要性 脳梗塞の回復において、早期治療は重要な要素です。 脳梗塞は発症してから時間が経つにつれて、脳組織の損傷が拡大していきます。 とくに発症から4.5時間以内に治療を開始できれば、血栓を溶かす薬物治療が可能になり、脳へのダメージを最小限に抑えられます。 また、原則6時間以内(特定条件下では24時間以内)※であれば血管内治療による血栓除去も有効です。 ※出典:日本脳神経血管内治療学会 そのため、手足の麻痺やろれつが回らないなど、脳梗塞の症状を感じたらすぐに救急車を呼んで医療機関での治療を受けましょう。 脳梗塞治療に必要な検査 脳梗塞に対して早期治療を行うためには、まずは以下の検査による正確な診断が必要です。 検査 内容 身体検査 心臓の音や血圧を測り、脳や神経の働きを調べる 血液検査 血液の凝固速度、血糖値、感染症の有無を調べる CT検査 脳出血や脳の腫れ、異常な影などを画像で確認する MRI検査 脳の細かな変化や血流の状態を詳細に画像化する 頸動脈超音波検査 首の動脈の狭窄や血管壁の厚みを超音波で調べる 脳血管造影検査 造影剤を使って血管の形や血流の流れを詳しく観察する 心エコー検査 心臓の動きや構造、血栓の有無を超音波で確認する 検査結果に基づいて、患者様一人ひとりに合った治療計画を立てられます。 【病期別】脳梗塞に対する治療法 脳梗塞は病期に応じた適切な治療法を理解することが大切です。 脳梗塞の治療は、以下の急性期、回復期、生活期の3つの段階に分けられ、それぞれ異なる治療目標があります。 急性期 回復期 生活期 各段階で適切な治療を受けることで、より良い回復を目指しましょう。 急性期 急性期は脳梗塞の発症から2〜3週間程度の時期を指し、脳へのダメージを最小限に抑える治療が優先となります。 とくに発症から6時間以内は、血管を詰まらせている血栓に直接アプローチできる治療が適応できる可能性があります。 急性期に行われる治療は、主に以下の3つです。 血栓溶解療法(t-PA治療) 血栓溶解療法(t-PA治療)は、血管を詰まらせている血栓を溶かすアルテプラーゼという薬を注射する治療法です。 脳梗塞の発症後4.5時間以内に開始すると効果的で、脳への血流を回復させることができます。 4.5時間を超えると、薬により出血のリスクが高くなるため使用できません。 そのため、症状を感じたらできるだけ早く医療機関を受診することが重要です。 血管内治療(血栓回収療法) 血管内治療(血栓回収療法)は、重症の脳梗塞に対してカテーテルという細い管を血管に挿入し、直接血栓を除去する治療法です。 局所麻酔または全身麻酔下で行われ、網目状の器具や吸引装置を使って血栓を取り除きます。 血栓溶解療法と同様に、脳梗塞発症後できるだけ早く開始すると効果的です。 一般的には6時間以内の治療が推奨されています。 抗血栓療法(内服治療) 抗血栓療法は血栓に対する急性期治療に加えて、脳梗塞の再発予防として内服薬による治療も同時に行います。 主に2種類の薬が使用されます。 内服薬 特徴 抗血小板薬(アスピリン・クロピドグレル) 新しく血栓ができることを防ぐ薬 患者様の状態に応じて、クロピドグレルなど他の抗血小板薬と併用する場合もある 抗凝固剤(ワーファリンなど) 新たな血栓ができるリスクを減らすために使用される薬 ワルファリンやダビガトランなど、長期間使用できる種類がある 医師が患者様の状態を総合的に判断して薬を選択し、再発予防を目指します。 回復期 回復期は脳梗塞の発症から約6カ月間の時期を指し、主な治療目標はリハビリテーションによる機能回復です。 この時期には理学療法、作業療法、言語療法などの専門的なリハビリを集中的に行います。 理学療法:歩行訓練や筋力強化 作業療法:日常生活動作の練習 言語療法:話す・飲み込む機能の改善 回復期リハビリテーション病院では、医師、看護師、各種療法士などの多職種チームが連携し、患者様の状態に合わせた個別のリハビリプログラムを作成します。 生活期 生活期は回復期以降の時期を指し、在宅での生活を継続しながら維持期リハビリを行う段階です。 この時期の治療は、外来でのリハビリや訪問リハビリを継続し、獲得した機能を維持・向上させることが目標となります。 また、血圧管理、血糖管理、コレステロール管理などの内科的治療を継続し、脳梗塞の再発予防に努めます。 定期的な医師による診察と検査により、適切な薬物調整を行うことが重要です。 脳梗塞の入院期間・費用 脳梗塞の治療について、入院期間と費用を事前に把握することで適切な準備ができます。 入院に関する情報は以下の2つに分けて説明します。 平均入院期間 平均入院費用 これらの情報を参考に、入院に向けた準備を進めましょう。 平均入院期間 厚生労働省の調査※によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院期間は68.9日です。 ※出典:厚生労働省「患者調査」 軽度の脳梗塞の場合は2週間程度で退院できることもありますが、障害のある脳の部位や範囲など、脳梗塞の重症度によって入院期間は大きく変動します。 また、年齢によっても入院期間に差があります。年齢別の平均入院期間は以下の通りです。 年齢 平均入院期間(平均在院日数) 0~14歳 11.8日 15~34歳 31.4日 35~64歳 44.5日 65歳以上 75.5日 70歳以上 77.7日 75歳以上 80.1日 ※出典:厚生労働省「患者調査」 高齢で脳梗塞を発症した場合、リハビリが長期化しやすい傾向があります。 年齢が高くなるほど入院期間が長くなることを理解しておきましょう。 平均入院費用 厚生労働省の調査※によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院費用は約72~94万円(加入している医療保険制度により異なる)です。 ※出典:厚生労働省「医療給付実態調査報告」 脳梗塞の入院・治療費は、高額療養費制度を活用することで負担を軽減できます。 高額療養費制度※とは、医療機関での医療費が1カ月で上限額を超えた場合、超えた分の金額があとから払い戻される制度です。 ※出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 脳梗塞の医療費は入院期間や重症度によって変動するため、具体的な金額については医療機関にご確認ください。 脳梗塞の治る見込みや治療に関するよくある質問 脳梗塞の治療や回復見込みについて、よくある質問をご紹介します。 脳梗塞になったら長生きできる? 脳梗塞が完治する確率は? 治療方針の検討にお役立てください。 脳梗塞になったら長生きできる? 脳梗塞を発症しても、適切な治療とリハビリにより長生きすることは十分に可能です。 とくに軽度から中等度の脳梗塞の場合、適切な治療により社会復帰される方も多くいらっしゃいます。 ただし、長生きを目指すうえでは再発予防が重要です。 血圧管理、血糖管理、コレステロール管理など内科治療の継続、そして生活習慣の改善も大切です。 禁煙、節酒、適度な運動、バランスの取れた食事を心がけ、健康的な生活を送りましょう。 脳梗塞が完治する確率は? 国内外の大規模研究によると、発症から90日後に完治に近い状態(mRS 0~1:症状がない、あるいは日常生活にほとんど支障がない状態)となる人の割合はおおよそ30~40%程度と報告※されています。 ※出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025)」 早期の治療(血栓溶解療法や血管内治療)やリハビリテーションの導入が、良好な回復につながる重要な要因です。 脳梗塞を根本的に治したい方は再生医療をご検討ください 脳梗塞は完治が困難な場合もありますが、適切な治療により日常生活の質を向上させることも十分に可能です。 現在、脳梗塞の後遺症や再発予防として再生医療が注目されています。 再生医療は損傷を受けた脳組織の再生を促す医療技術で、麻痺やろれつが回らない後遺症がある方や、脳梗塞の再発予防を希望される方の治療選択肢となっています。 また、リペアセルクリニックには理学療法士や柔道整復師、鍼灸師、トレーナーのチーム体制が整っており、各専門職によるリハビリテーションの訓練や指導も可能です。 脳梗塞の後遺症や再発予防でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
2025.09.30 -
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- 頭部
脳挫傷などの頭部外傷は、数年経過してから後遺症が現れることがあります。 最近記憶力が落ちた、集中できなくなったと感じる症状は、過去の脳挫傷が原因で後遺症が現れているかもしれません。 本記事では、脳挫傷後に数年経過してから現れる後遺症の種類や症状、後遺症に気づくきっかけについて詳しく解説します。 また、後遺症が判明した場合に利用できる支援制度や交通事故の場合の法的な問題まで、幅広く対応方法をご紹介します。 脳挫傷の後遺症でお悩みの方やそのご家族の方に、少しでも安心していただける情報をお届けします。 脳挫傷は後遺症として残りやすい傾向にある 頭部に強い衝撃を受けた際に脳組織が損傷する「脳挫傷」は、後遺症が残りやすい傾向があります。 脳挫傷が後遺症として残りやすい主な理由は以下の通りです。 脳神経細胞は一度損傷すると完全な修復が難しく、再生能力が限られている 損傷は受傷部位だけでなく周辺組織にも影響を及ぼすことがある 初期検査では検出できない微細な損傷が時間経過とともに症状として現れることがある 脳の各部位が特定の機能を担っているため、損傷部位によって症状が異なる 重要なのは、脳挫傷の重症度と後遺症の程度が必ずしも比例しないことです。 一見すると軽症に見えても、後に深刻な後遺症が現れる可能性があります。 とくに高次脳機能障害が軽度の場合などは、日常生活や仕事の中で少しずつ症状に気づくことがあります。 頭部に衝撃を受けた場合は、症状がなくても医療機関での診察と経過観察を行うことが重要です。 脳挫傷(頭部外傷)の数年後に現れやすい後遺症 脳挫傷を含む頭部外傷では、受傷直後から症状が現れるケースだけでなく、数ヶ月から数年経過してから症状が顕在化することがあります。 これは遅発性後遺症・遅発性脳障害と呼ばれることもあり、患者さまやご家族が戸惑うことが少なくありません。 脳挫傷の数年後に現れやすい後遺症は個人差が大きく、脳のどの部位が損傷を受けたかによっても異なります。 数年後に現れやすいとされる後遺症は以下の通りです。 遅発性脳障害 高次脳機能障害 外傷性てんかん 身体性機能障害 本章では、それぞれの後遺症について詳しく解説していきます。 遅発性脳障害 頭部外傷後、数ヶ月から数年、あるいは数十年経過してから現れる神経変性疾患を遅発性脳障害と呼びます。 脳挫傷に限らず、頭部外傷によって引き起こされる可能性がある後遺症です。 現れる症状は、高次脳機能障害や外傷性てんかん、人格変化、PTSDなどさまざまです。 代表例として「慢性外傷性脳症(CTE)」があり、かつては「ボクサー脳症」として知られていました。 慢性外傷性脳症(CTE)」は主にボクシングやアメリカンフットボールなどで繰り返しの頭部外傷を受けた人に見られますが、稀に単発の重度頭部外傷後にも発症します。 症状の出現に個人差があるため、頭部外傷の既往がある方は定期的な経過観察が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳挫傷などの頭部外傷によって引き起こされる認知・記憶・行動などの機能障害です。 特徴的なのは、受傷直後には明らかな症状が現れず、数ヶ月から数年後に日常生活や仕事の中で徐々に気づかれることがあるという点です。 とくに症状が軽い場合、脳挫傷直後に異常を自覚できないことが多く、時間の経過とともに症状が顕在化します。 会社や学校復帰後、複数作業の処理が困難になったり、新しい情報を記憶するのが難しくなったりといった、社会生活で変化に気づくケースが少なくありません。 異変を感じたらすぐに専門医への受診をおすすめします。 外傷性てんかん 頭部外傷後、数ヶ月から数年経過してから外傷性てんかんが発症することがあります。 外傷性てんかんには発症時期によって分類があります。 受傷後24時間以内や1週間以内に発作が起きる「超早期・早期てんかん」 受傷後1週間以上経過してから発症する「晩期てんかん」 早期てんかんは晩期てんかんと比較して予後が良好なケースが多く見られますが、個人差があります。 一方、晩期てんかんはより長期的な治療が必要になることが多く、中には難治性てんかんに進展する場合もあります。 症状としては痙攣発作や意識障害が典型的であり、発作が繰り返されることで日常生活に支障をきたします。 重要なのは、脳損傷の大きさだけではてんかんの重症度は判断できないという点です。損傷部位以外が二次的にてんかんの原因となるケースもあります。 専門医による適切な診断と継続的な抗てんかん薬による治療が必要になるので、症状が現れた場合は、すみやかに神経内科や脳神経外科を受診しましょう。 身体性機能障害 脳挫傷を含む頭部外傷後に生じる身体性機能障害の代表的なものが、運動麻痺です。 これは脳の運動をつかさどる部位(大脳皮質運動野や内包、橋など)が損傷を受けることで起こります。 運動麻痺はその範囲によって以下のように分類されます。 四肢麻痺:両側の四肢(両腕と両脚)が麻痺する状態 片麻痺:一側の上下肢(片方の腕と脚)が麻痺する状態 単麻痺:一肢のみ(片方の腕または脚)が麻痺する状態 また、麻痺の程度は重症度によって以下のように分けられます。 高度:運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができない状態 中等度:運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある状態 軽度:運動性・支持性が多少失われ、動作の巧緻性や速度が損なわれている状態 症状は時間経過とともに改善することもありますが、重度の場合は後遺症として残ることもあります。 身体性機能障害は日常生活や就労に大きな影響を与えることがあり、重症度に応じたリハビリテーションや支援が必要です。 数年後に脳挫傷の後遺症に気づくきっかけとなる症状 脳挫傷を含む頭部外傷を受けた後、数年経過してから後遺症に気づくことは珍しくありません。 とくに高次脳機能障害は、日常生活の中で少しずつ顕在化することが多いのが特徴です。 後遺症に気づくきっかけは、主に日常のさまざまな場面での「以前とは違う」という変化として現れます。 仕事や学業のパフォーマンスの低下、人間関係での摩擦の増加、日常生活での計画立案や実行の困難さなど、脳の機能低下が具体的な形で現れるようになります。 これらの症状は当初、単なる疲れや加齢、ストレスによるものと考えられがちですが、実は脳挫傷の後遺症である可能性があります。 以下では、数年後に気づくことが多い主な症状について、仕事・学業、人間関係、日常生活の3つの側面から詳しく解説していきます。 仕事や学業での困難|記憶力低下・複数作業の困難さ 脳挫傷後の数年経過後に気づかれやすい症状として、仕事や学業での困難があります。 とくに「記憶力の低下」は多くの患者さまが自覚する症状です。 新しい情報を覚えられない 覚えてもすぐに忘れてしまう 以前なら簡単に思い出せたことが出てこない など また「複数の作業を同時に行う難しさ」も特徴的です。 会議中にメモを取りながら発言の内容を理解する、話をしながら資料を探すなど、以前は何気なくできていた同時並行作業が困難になります。 集中力も続かなくなり、作業の切り替えにも時間がかかるようになります。 こうした変化によって、仕事のミスが増える、納期に間に合わない、学業成績が低下するなどの問題が生じ、本人が「何かおかしい」と感じるきっかけになることが少なくありません。 人間関係の変化|感情コントロール・対人関係の問題 脳挫傷の後遺症として、感情のコントロールが難しくなることがあります。 これは前頭葉の機能低下によるもので、以前は抑制できていた感情が抑えられなくなる症状です。 些細なことでイライラする 急に怒りっぽくなる 感情の起伏が激しくなる 泣きやすくなる など 具体的には、些細なことでイライラする、急に怒りっぽくなる、感情の起伏が激しくなる、泣きやすくなるなどの変化が現れます。 また、感情表現が乏しくなる「感情の平板化」が起こることもあります。 これらの変化は対人関係に大きな影響を与えます。家族や同僚、友人との関係に摩擦が生じ、「性格が変わった」と周囲から指摘されることも少なくありません。 本人は自分の変化に気づいていないこともあり、周囲からの指摘で初めて後遺症の可能性に気づくケースもあります。 日常生活での支障|計画性の低下・疲れやすさ 脳挫傷の後遺症は日常生活にも様々な支障をきたします。 予定の管理ができなくなる、 優先順位をつけられなくなる 数時間で極度の疲労を感じる 集中力が持続しない これらの「計画性の低下」と「疲れやすさ」は特徴的な症状です。 その他、時間や場所の感覚が鈍くなる、物事への関心が薄れる、意欲の低下などの症状も現れることがあります。 これらの変化が複合的に起こることで、日常生活全般に支障をきたし、生活の質が低下します。 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が現れた場合 交通事故などによる脳挫傷の後遺症が数年後に現れるケースは少なくありません。 当初は軽症と思われていた症状が時間の経過とともに悪化したり、新たな症状が出現したりすることがあります。 このような「遅発性」の後遺症は、法的・医学的に複雑な問題を引き起こすことがあります。 脳挫傷による主な後遺症には以下のようなものがあります。 後遺症の種類 主な症状 高次脳機能障害 記憶障害 集中力低下 判断力・計画力の低下 情緒的変化 身体性機能障害 身体の麻痺 手足のしびれ 歩行障害 バランス感覚の低下 外傷性てんかん けいれん発作 意識障害 認知機能の低下 遅発性脳障害 進行性の認知症状 人格変化 運動障害 感覚器の機能障害 視力低下 聴力障害 嗅覚・味覚異常 平衡機能障害 めまい 吐き気 バランス感覚の喪失 慢性頭痛 持続的な頭痛 光・音への過敏症状 交通事故から数年経過して後遺症が判明した場合、損害賠償請求の期限や、事故と症状の因果関係の立証など、法的な問題に直面することがあります。 本章では、これらの課題について詳しく解説します。 損害賠償請求の期限|民法の規定 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が判明した場合、損害賠償請求が可能かどうかは「消滅時効」という概念が重要になります。 民法では不法行為による損害賠償請求権に関して、第724条で「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間」※と規定しています。 ※出典:民法 第七百二十四条 さらに第724条の2では、「人の生命または身体を害する不法行為」については、この期間が「5年間」に延長※されます。 ※出典:民法 第七百二十四条の二 つまり、脳挫傷の後遺症を自覚した時点から5年以内であれば、法律上は損害賠償請求が可能となります。 また第724条では「不法行為の時(事故発生時)から20年間」という長期の時効期間も設けられています。 ただし、後遺症が発生してから年月が経過するほど、その症状と事故との因果関係を証明することは難しくなります。 時効が成立していなくても、因果関係の立証ができなければ賠償請求は認められない可能性が高いのが実情です。 数年後に因果関係を立証するのは簡単ではない 脳挫傷の後遺症と交通事故との因果関係を数年後に立証することは、非常に困難です。 一般的に交通事故による症状は事故直後から現れ、時間の経過とともに改善していくと考えられています。 そのため、「数年後に症状が出現した」と主張しても、「事故との関連性が不明」と反論されるケースが多いのです。 因果関係を立証するためには、以下の条件が必要と考えられます。 事故(受傷)の事実が客観的に確認できること 日常生活または社会生活に明らかな制約があること その制約の主な原因が脳損傷による障害であること 事故直後からの診断画像や診断書など医学的証拠があること 特に重要なのは、事故後早期の段階でMRIやCTなどの画像検査で脳損傷の所見が確認されていること、そして継続的に医療機関を受診していた記録が残っていることです。 これらの証拠がなければ、後遺症と事故との因果関係を証明することは極めて困難になります。 脳挫傷の後遺症が数年後に判明した場合の対応方法 脳挫傷の後遺症が数年経過してから判明した場合でも、適切な対応で症状改善や生活の質向上が期待できます。 対応の基本は三つの側面から考えることが重要です。 専門的な医療機関での診断と適切なリハビリテーション 家族を含めた周囲の理解とサポート体制の構築 利用可能な公的支援制度の活用です。 後遺症の種類や重症度は個人差が大きいため、患者さま一人ひとりの状況に合わせた総合的なアプローチが必要になります。 本章では、これらの対応方法について詳しく解説していきます。 医療機関の受診とリハビリ 脳挫傷の後遺症を疑う症状に気づいたら、まずは脳神経外科や神経内科などの専門医療機関を受診しましょう。 医師に対して「以前に頭部外傷があった」ことを必ず伝え、現在の症状を詳しく説明することが重要です。 診断では、MRIやCTなどの画像検査に加え、神経心理学的検査などが行われることがあります。 診断が確定したら、症状に応じた適切なリハビリテーションプログラムが提案されます。 機能回復のためには、高次脳機能障害には認知リハビリテーション、運動麻痺には理学療法など、症状に合わせた専門的なリハビリの継続が重要です。 家族や周囲のサポート 脳挫傷の後遺症、特に高次脳機能障害は目に見えない障害であるため、家族や周囲の理解とサポートが非常に大切です。 患者さまの変化を理解し、無理な要求を避け、できることを少しずつ増やしていく姿勢を持ち接することで、症状の改善を目指せます。 また、家族会などの自助グループに参加することで、同じ悩みを持つ家族との情報交換や精神的なサポートも得られます。 日常生活では、環境を整理して混乱を減らす、メモやスケジュール表を活用するなどのサポートも効果的です。 後遺症が判明した際に利用できる支援制度 脳挫傷の後遺症が判明した場合、以下のような公的支援制度を利用することができます。 高次脳機能障害の相談窓口:各都道府県に設置されており、相談支援を行うほか、適切な医療機関や支援機関の紹介を行っています。 障害者手帳の申請:症状に応じて、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる場合があり、医療費助成や税金の減免などの支援を受けられることがあります。 介護保険サービス:40歳以上の方で、症状が介護保険の特定疾病に該当する場合、介護保険サービスを利用できることがあります。 障害福祉サービス:自立支援医療や就労支援サービスなど、障害者総合支援法に基づくサービスを利用できる場合があります。 これらの制度を効果的に活用するために、地域の障害福祉課や高次脳機能障害の相談窓口に連絡することをおすすめします。 【まとめ】脳挫傷(頭部外傷)は数年後に後遺症が現れる可能性がある 脳挫傷は後遺症が残りやすい傾向があり、受傷直後だけでなく数年後に症状が顕在化することがあります。 主な後遺症として高次脳機能障害、遅発性脳障害、外傷性てんかん、身体性機能障害などが挙げられます。 後遺症に気づくきっかけは、記憶力低下や複数作業の困難さ、感情コントロールの問題、計画性の低下や疲れやすさなど、日常生活の様々な場面での変化として現れます。 数年後に後遺症が判明した場合でも、専門医療機関での診断・リハビリ、家族のサポート、公的支援制度の活用など適切な対応で症状改善が期待できます。 頭部に衝撃を受けた方は、症状の有無にかかわらず医療機関を受診して、経過を観察しましょう。 脳の疾患による後遺症に対して、近年では改善・回復効果が期待できる治療方法として再生医療が注目されています。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身の幹細胞を採取・培養して投与する幹細胞治療を実施しています。 幹細胞は神経・血管・骨・軟骨などに変化する性質があり、その幹細胞を培養して数を増やすことで、いろいろな組織に変化する性質を利用して脳細胞を再生。 これによって一度機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症の改善が期待できます。 脳の再生医療による脳卒中の治療は、早ければ早いほど脳機能の回復が期待できますが、一定時間が経ってしまっても効果を発揮します。 再生医療について興味をお持ちの方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。
2025.03.08







