-
- 再生治療
- 肝疾患
- 幹細胞治療
脂肪肝は肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態で、放置すると肝炎・肝硬変・肝がんへと進行するリスクもあります。 しかし、食事・運動・生活習慣を見直して対策することで、十分に改善が期待できます。 この記事では、肝脂肪に対する対策方法を解説しています。 脂肪肝と診断される数値の目安も紹介していますので、ご自身の数値や生活に不安のある方は、ぜひ最後までご覧ください。 脂肪肝の対策法を紹介!食事・運動・生活習慣の改善が大切 脂肪肝については、以下のような対策法があります。 食事改善 運動習慣 生活習慣 これらの対策を習慣づけることで、脂肪肝の発症リスクを抑えられる可能性があるため、参考にしてください。 【食事改善】糖質・脂質の摂り方を見直し、バランスの良い食事へ 脂肪肝は肝細胞に脂肪が異常に多く蓄積した状態で、脂質の大部分は中性脂肪のため、糖質や脂質など日常的に摂取する食事の見直しが必要です。 お菓子やジュースなどは糖質が多く、特に砂糖は消化・吸収がされやすいため、中性脂肪として肝臓にたまりやすくなります。 野菜や海藻類、キノコ類などの食物繊維は、腸からの糖質や脂質の吸収を遅らせる働きがあるため、積極的に摂取することが大切です。 また、納豆や牛乳、若鶏のささみなど、良質なたんぱく質を含む食品も摂取することで、バランスの良い食事を心がけましょう。 食事方法については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 【運動習慣】有酸素運動と筋トレなどの運動を無理なく続ける 脂肪肝対策として、ウォーキングや自転車など有酸素運動や、筋トレなど、日常的に運動習慣を身につけることも大切です。 有酸素運動は体内の中性脂肪を燃焼するため、肝臓の脂肪が減りやすくなります。 また、筋肉を増やすことは基礎代謝が上がることで、脂肪が燃焼しやすくなります。 スクワットや腕立て伏せ、腹筋運動など、無理のない範囲内で継続することが大切です。 【生活習慣】禁酒・節酒と睡眠・ストレス管理も大切 食事の見直しや、継続的な運動習慣も重要ですが、お酒の過剰摂取や睡眠不足、ストレスなども脂肪肝のリスクが高くなります。 お酒の過剰摂取はアルコールを分解する過程で肝臓の働きが低下することにより、脂肪が溜まりやすくなります。 また、不眠症や睡眠の質が下がる睡眠時無呼吸症候群は脂肪肝のリスクが高くなる可能性があるため、注意が必要です。 食事の見直しや運動を習慣づけ、健康な身体を作り上げることで、ストレスの軽減にもつながります。 さらに、禁酒や節酒などお酒の量を見直すことも、脂肪肝を含む生活習慣病の予防・改善に効果的です。 脂肪肝と診断される数値の目安を正しく理解しよう 脂肪肝と診断された方や健康診断の結果を見て不安に思っている方は、血液検査の数値を正しく理解することが大切です。 健康診断(血液検査)の結果が手元にある場合は、リストに掲載されている項目の中から「AST」「ALT」という項目を探してください。 AST(GOT):基準値7~38IU/L ALT(GPT):基準値4~44IU/L 上記の数値を越えている場合、疑われる病気の1つとして「脂肪肝」が挙げられます。 ただし、数値の上昇はウイルス性肝炎や肝硬変、薬剤性肝障害など他の肝疾患の可能性もあるため、自己判断せず医師の診断を受けることが重要です。 また、脂肪肝とは直接関係しない数値ですが「BMI(体格指数)」という数値も重要な指標の一つです。 自分の数値を把握するためにも、以下の計算式を使って、現在のBMIを一度チェックしてみましょう。 BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)² 一般的に、BMIが25以上の場合は「肥満」※と判定され、脂肪肝のリスクが高まるといわれています。 ※参照:J-Stage「肥満と炎症」 脂肪肝が進行した場合は、再生医療も治療の選択肢の一つ 脂肪肝の状態をそのままにすると、「肝硬変」や「肝臓がん」といった状態に進行する可能性があり、場合によっては命に関わることもあります。 しかし、近年では再生医療という選択肢があり、再生医療は「幹細胞」を利用することで、脂肪が原因による肝機能低下の改善が期待できます。 治療効果には個人差がありますが、機能が低下した肝臓の回復を目指せるという点で、再生医療は検討に値する選択肢の一つと言えるでしょう。 【まとめ】脂肪肝は早めの対策が大切!まずは医師に相談して自分に合った治療法を始めよう 脂肪肝は血液検査の数値を参考にできますが、自覚症状は目立つものではなく、気づかないうちに症状が大きく進行している可能性があります。 定期的に健康診断を受けて、肝臓の数値を確認して、数値が気になる方は医師に相談するなど、早めの対策を行うことが大切です。 近年では、再生医療という治療法が選択肢としてあります。再生医療は自身の幹細胞を用いて肝臓機能を改善を目指し、再生を目指す治療法で、副作用や身体への負担も軽減される可能性があります。 自分に合った治療法を見つけるためにも、まずは医師に相談し、脂肪肝の症例や再生医療の詳細について知識を深めておきましょう。 以下のページも参考にしてみてください。
2020.07.18 -
- 再生治療
- 肝疾患
「肝臓の数値が高いときはどんな症状が出る?」 健康診断で肝臓の数値が高いことが判明するとどのような症状が出るのか、病気ではないか不安な方も多いのではないでしょうか。 本記事では、肝臓の数値が高いときに現れる症状や考えられる疾患について、わかりやすく解説します。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、肝硬変をはじめとする肝臓疾患を患っている方向けに先端医療である再生医療に関する情報を配信しています。 従来の治療では治らないといわれている肝硬変の改善にも期待できる治療法なので、ぜひご参考ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 肝臓の数値が高いときに現れる症状 肝臓の数値が高いときに見られる症状は、以下のようなものが考えられます。 倦怠感 むくみ 食欲不振 吐き気 発熱 健康診断の結果に「肝臓の数値が高い」と出たときに思い当たる体調の変化や症状がない方も少なくありません。 肝機能が低下している状態でも初期段階で症状を自覚できず、血液検査を受けて発覚することがほとんどです。 ただの体調不良だと思っていても、肝機能が低下している可能性があるため注意しましょう。 https://youtu.be/ZcBK2hb48bo?si=GCQXAq9hUM-jXwmM 肝臓の数値が高いときに考えられる肝疾患 肝臓の数値が高い場合、考えられるのは以下の主な肝疾患です。 急性肝炎 慢性肝疾患 脂肪肝 肝硬変 肝臓は、病気になっても自覚症状がなかなか出ないことが特徴で、検査を受けて見つかることが多いです。 肝臓の異常を知るには血液検査が有効で、肝臓に関する数値も調べ、数値が上がっていれば肝臓の病気を疑いましょう。 以下では、肝臓の数値が高いときに考えられる肝疾患について、それぞれ詳しく解説します。 急性肝炎 急性肝炎はウイルス感染や免疫異常、薬の副作用などが原因で起こる炎症です。 ほとんどは自然に治りますが、1~2%ほどは重症化して急性肝不全になることがあります。 血液検査が有効なので、早めの検査がおすすめです。 慢性肝疾患 肝臓の炎症が6カ月以上続いている状態を、慢性肝疾患といいます。 慢性肝疾患の多くがB型肝炎とC型肝炎で、肝硬変や肝がんなどの重大な肝臓疾患につながる可能性があります。 早期に発見して、肝硬変や肝がんへと進行する前に治療を始めましょう。 脂肪肝 脂肪肝とは肝臓の肝細胞に中性脂肪がたまっている状態のことで、飲み過ぎや運動不足、肥満や糖尿病が原因で起こります。 お酒の飲み過ぎが原因とイメージされがちですが、お酒を全く飲まない人でも発症のリスクは否定できません。 疲労感や肩こりなどを感じることがありますが、自覚症状がほとんどなく、進行すると肝硬変や肝がんのリスクが高まるため注意が必要です。 肝硬変 肝硬変は、ウイルスや過剰なアルコール摂取などさまざまな原因で肝炎を発症し、肝臓が繊維化して起こります。 肝障害が進行して肝細胞が破壊されると、身体が肝細胞を修復しようとする働きによって、コラーゲンである繊維が増えるのです。 肝臓に繊維が広がる状態を線維化といいます。 初期には自覚症状がほとんど見られませんが、徐々に黄疸やかゆみ、腹水や膨満感などの症状が出てきます。 肝臓の数値が高いときに受けた方が良い検査 肝臓の病気を見つけるためには、血液検査が有効です。 血液検査で肝臓の数値が高いときは「腹部超音波検査」や「腹部MRI」などの精密検査を受けた方が良いでしょう。 肝臓の数値を示す血液検査の項目と正常値は、以下の通りです。 血液検査の項目 正常値 AST(GOT) 13〜30U/L ALT(GPT) 10〜42U/L γGTP 13〜64U/L 総ビリルビン 0.4〜1.5mg/dL ALP 38〜113U/L ※出典:日本臨床検査医学会 ASTやALTは肝細胞に多く含まれていて、炎症などで肝細胞が壊れる際に血液中に流出するため、肝機能障害を起こしていると数値が上がります。 その他の数値も肝機能に異常がある場合に数値が上がるため、上記の正常値を超えている項目がある場合は注意が必要です。 早めに精密検査を受け、肝臓の数値が高い原因を見つけましょう。 肝臓の数値が高いときの対処法 肝臓の数値が高い場合、アルコールの摂取を控えたり、生活習慣を改善したりする対処方法があります。 アルコール摂取を控える 生活習慣を改善する 症状が初期であれば、対処法によって改善が期待できるため、ぜひ実践してみてください。 アルコール摂取を控える 肝臓の数値が高い場合、アルコールの摂取を控えることで肝機能低下の改善が期待できます。 特に初期段階の場合には効果が得られやすく、約1カ月アルコール摂取を控えれば、肝機能数値が基準範囲に改善※していきます。 ※出典:金沢医学大学 症状が進行して肝硬変を発症してしまうと、アルコール摂取を控えても肝機能が正常に戻らなくなります。 肝臓の数値が高い方は、すぐに禁酒することが望ましいです。 生活習慣を改善する 肝臓の数値が高い場合、食事や睡眠、適度な運動などの生活習慣を見直してみましょう。 食生活では、栄養バランスの悪い食事や朝食を食べなかったりすることで肝臓に負担がかかりやすいです。 無理のない範囲で栄養バランスを考え、1日3回食事を摂るようにしましょう。 また、適度な運動も肝機能の改善に有効で、ランニングなどの有酸素運動を取り入れるのがおすすめです。 今まで運動習慣がなかった方は、エレベーターなどを使わずに階段を利用するなど、日常生活の中でできることから始めてみましょう。 肝臓の数値が高く肝機能障害の場合は再生医療も選択肢の一つ 肝臓の数値が高く肝機能障害になった場合、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療とは、さまざまな組織に変化する幹細胞を用いて、損傷した肝臓を修復・再生させる医療技術のことです。 従来の治療では治らないといわれている肝硬変の改善につながる治療法として注目されています。 患者さまの細胞のみを使用するため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用が少ない点も強みの一つです。 「肝臓の数値が高いのを改善したい」という方は、再生医療による治療を検討してみましょう。 【まとめ】肝臓の数値が高いと肝機能障害の可能性あり!早めに医療機関を受診しよう 肝臓の数値が高いと肝機能障害の可能性があるため、早期に医療機関を受診することが推奨されます。 肝炎や脂肪肝といった肝臓の病気は、自覚症状がないことが多く、健診や人間ドックで気づくことがほとんどです。 知らぬ間に肝臓疾患が進行し、肝硬変になってしまうと従来の治療では治せないといわれています。 しかし、近年の治療では、肝硬変をはじめとする肝臓疾患に対して再生医療による治療が注目されています。 「肝臓疾患を早く治したい」「肝硬変になってしまわないか不安」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックへお問い合わせください。
2020.07.10 -
- 再生治療
- 肝疾患
- 幹細胞治療
肝臓は再生能力が旺盛で、正常な肝臓の場合約70%を切除しても、3ヶ月程度で元の80%程度の大きさに戻る※とされています。 ※出典:大阪赤十字病院がん診療センター 肝疾患の治療法の1つに、肝臓を切除する方法もありますが、実は肝臓を再生できない病気もあります。 今回の記事では、肝臓の再生能力や肝疾患、再生医療による治療について詳しく解説します。 肝臓の再生能力や働きを確認し、適切な治療で肝疾患の症状を軽減しましょう。 肝臓の再生能力について|切除しても元に戻るって本当? 肝臓の働きや再生能力について紹介します。 正常な肝臓は70%を切除しても再生する場合がある 肝臓が再生するかは個々の病態による 肝臓の働き 肝臓は、人体最大の代謝機能をもつ臓器です。治療により肝臓の一部を切除した場合でも、大きさや肝機能が元に戻る可能性があります。 正常な肝臓は70%を切除しても再生する場合がある 正常な肝機能を持つ肝臓の場合は、約70%を切除しても再生する※場合があります。 個人差はありますが、正常な肝臓であれば重量は約3カ月で元の80%程度の大きさまで再生するといわれています。 ※出典:大阪赤十字病院がん診療センター しかし、肝疾患の種類や症状の進行度合いによっては、肝臓が再生しきらず、切除後より萎縮が進む場合もあります。 肝臓が再生するかは個々の病態による 切除後の肝臓が再生するかは個々の病態によるため、肝疾患の治療の際は医師と十分に相談しましょう。 肝臓が切除されると、肝細胞の肥大や細胞分裂によって元の大きさに戻り、肝機能も回復する※とされています。 ※出典:東京大学分子細胞生物学研究所 アルコールや脂肪・糖分の過剰摂取などの肝臓に負担がかかる生活習慣は、肝機能が低下するため、再生能力も低下する恐れがあります。 肝臓の働き 肝臓は、主に以下の4つの働きをもつ人体最大の臓器です。 私たちが口にした食べ物は胃や腸で消化・吸収され、残ったエネルギーは肝臓に蓄えられます。 アルコールや薬物などの有害物質は、肝臓で無害なものに解毒され、有害物質が体内に貯留しない仕組みになっています。 乱れた食生活やアルコールの過剰摂取は代謝異常を引き起こす可能性が高く、肝硬変や肝炎の原因になるため、日頃から生活習慣に注意することが大切です。 肝臓が再生しない疾患とは? 肝臓が再生しない疾患は、以下の3つです。 肝臓は7割まで切除しても再生する場合がありますが、機能や大きさが回復しないケースもあります。 肝疾患は症状の悪化や再発を引き起こしやすいため、発病しないように予防することが大切です。 肝硬変 肝臓が再生しない病気の1つに、肝硬変があります。 肝硬変は、脂肪肝や肝炎などの病気を原因に、肝臓が線維化し硬くなる疾患です。 肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、初期症状が現れにくい特徴があります。 肝硬変になると肝細胞の機能が低下するため、肝臓の再生能力も低下し、切除術による治療は困難です。 異変に気づいた時点で、医療機関を受診し、早期から治療を行いましょう。 慢性肝炎 慢性肝炎は、肝臓が再生しない病気の1つです。慢性肝炎とは6カ月以上肝臓に炎症が生じている状態で、主にB型肝炎やC型肝炎を原因に発症します。 初期は無症状のことが多く、違和感に気づいたときには慢性肝炎に進行しているケースが大半です。 慢性肝炎を治療せずに放置すると、肝硬変や肝がんを発症する恐れがあるため注意が必要です。 アルコール性肝炎 肝臓が再生しない病気に、アルコール性肝炎があります。 アルコール性肝炎は、長期間にわたるアルコールの過剰摂取が原因で発症する肝炎です。 アルコールは人体に有害な物質であり、摂取しすぎると解毒作用を担う肝臓へ大きな負担がかかります。 肝臓へ負担がかかった状態が長く続くと、肝硬変や肝がんの発症リスクを高める可能性があるため注意が必要です。 飲酒習慣がある方は、日頃からアルコールの摂取量に注意し、肝疾患のリスクを低減しましょう。 肝臓が再生しない疾患には「再生医療」という選択肢 肝臓の再生能力が低下し、手術による治療ができない場合は、再生医療をご検討ください。 再生医療は、患者様自身の幹細胞を利用して、損傷した組織の修復・再生を促す治療法です。 肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、初期は無症状の場合が多く、健診やほかの病気の検査で偶然肝疾患が見つかるケースが大半です。 肝硬変や肝炎などになると、肝臓の機能が低下し再生能力も低下するため、切除術による治療は難しくなります。 再生医療では、幹細胞が損傷した組織に変化する能力があるため、損なわれた肝機能を回復できる可能性があります。 肝疾患になり再生医療による治療を検討している方は、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 【まとめ】肝臓の再生能力は個人差や病態によって異なる 肝臓の再生能力には個人差があり、疾患や症状の程度によっても異なります。 再生が難しい肝疾患になってしまった場合は、病気の進行や症状の改善のために、再生医療による治療を受けるのも1つの選択肢です。 当院(リペアセルクリニック)の再生医療は、厚生労働省に受理された幹細胞治療を提供しています。 生活習慣に注意して肝疾患の進行を防ぐことが大切ですが、症状がなかなか改善せずにお困りの方は、再生医療をご検討ください。
2020.07.09 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 肝疾患
肝機能を取り戻す!肝臓疾患に対する治療法、再生医療の可能性 再生機能に優れた肝臓ですが、その機能が発揮できない状態になることもあります。そのようなときに検討したい治療が「再生医療」です。 今回は、肝臓がんになる前の段階で再生治療を利用して治療することの意味について解説します。 肝臓疾患に対する再生医療の可能性と、肝臓の機能を取り戻す再生医療についてご紹介します。 肝細胞を活性化!再生医療とはどのようなもの? 近年、さまざまな病気や傷害の治療に再生医療が期待されるようになりました。再生医療とは、何らかの原因で傷ついた体の組織を再生させて、元の状態に戻すことを目的としているものです。 痛みに対して痛み止めを用いる対症療法や、傷ついた部分を取り除く手術とは異なる新たな方法で、再生医療の治療で用いるのは薬剤ではなく「生きた細胞」です。 具体的には、自分の体から採取・抽出した幹細胞を用います。その幹細胞は、さまざまな細胞に分化し、損傷した細胞を活性化させる可能性を持っているのです。 再生医療で、幹細胞を用いることができる臓器のひとつが、肝臓です。 肝臓は再生能力に優れていることで知られていますが、その役割を担っているのが肝細胞です。幹細胞は、そんな肝細胞が傷ついたときにも再生治療で活性化させることが期待されています。 肝硬変は怖い病気?肝臓疾患の進行 沈黙の臓器とも言われる肝臓は、病気が潜んでいても自覚症状がないことが多いです。そのため、自覚症状が現れたときにはすでに病気が進行していることもあるのです。 病気が進行した状態の肝臓は、本来の肝臓の機能を果たすことができないばかりか、再生能力も期待できないこともあります。 正常な肝臓も、生活習慣などを原因として「炎症」が起きてしまい、これが慢性化すると「慢性肝炎」という状態になります。 肝臓に炎症が起きる主な原因はウイルス性によるものですが、食べすぎや飲酒量の多さなどの生活習慣を原因とした「脂肪肝(脂肪性肝炎)」というケースもあります。 この状態を放置すると、炎症により次第に肝臓の細胞が破壊されてしまい、肝機能が徐々に低下していくのです。 その代表的な病気のひとつが「肝硬変」です。肝臓が炎症を起こした状態の肝炎や、肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝が進行すると、肝硬変という状態になることがあります。肝硬変は、肝細胞などの組織が線維化して肝臓が固くなった状態です。 肝硬変になると、全身のだるさや黄疸といった症状が出現します。さらに進行すると、腹水や腹部静脈瘤が出てくることもあります。肝性脳症のような命に関わることもある危険な病気なのです。 肝硬変の他に、肝細胞がんといった命に関わるような重大な病気に進展する場合もあります。 肝硬変の恐ろしいところは、一度線維化した肝臓は自然に修復することができないということです。肝細胞も本来の働きをすることができません。 肝臓疾患(がん等)|従来の治療法 脂肪肝は、従来の治療法は確立されたものではなく、生活習慣の改善により治療を進めるのが一般的でした。厄介なのは、脂肪肝そのものは自覚症状に乏しく、放置されがちだということです。 症状が進行して肝硬変になると、これも根本的な治療方法が確立されておらず、症状の進行を防ぐための食事療法や、ウイルス性の場合であれば抗ウイルス治療を実施します。 肝臓がんを治療する方法はありますが、すでに悪化している肝炎や肝硬変を治療する方法ではないため、「肝臓を根本的に治療する」ことは従来の治療法では不可能であるとされているのです。 しかし、最先端の再生医療であれば、肝臓がんの患者さんの肝臓の機能を取り戻す可能性も期待できるのです。 肝臓疾患の修復も!再生医療の可能性 肝臓がんへの進行を根本的に防ぐためには、肝臓の状態を可能な限り正常な状態に近づけることが必要ですが、従来の治療法ではそれは難しいものでした。 しかし、新しい治療法「再生医療」は、幹細胞を利用して肝臓の炎症や線維化した組織を発見し、これを溶解して修復することで肝機能を正常な状態に「戻す」ことができる可能性があるのです。 再生医療の治療では、自己由来幹細胞を静脈注射し、傷ついた肝臓に送り届けます。そして幹細胞が線維化した組織を溶解・修復させてくれるのです。損傷した肝細胞も、幹細胞によって修復・活性化することが期待できるでしょう。 脂肪肝の場合であれば、脂肪により弱りつつある肝臓を回復させる作用が期待され、疲れやすいなどの症状がある場合も血流改善効果により症状が改善する可能性があります。 さらには、肝臓がんにも再生治療による治療の可能性を見出すことができます。 まとめ・肝機能を取り戻す!肝臓疾患に対する治療法、再生医療の可能性 肝臓は再生能力に優れるものの、組織が線維化してしまうと本来の再生機能を発揮することができません。そのような肝臓の治療として注目されるのが再生治療です。治療効果には個人差がありますが、幹細胞が線維化した組織を溶解し、損傷した肝細胞の修復が期待できます。 再生医療の効果には個人差があるので「肝臓がんであっても必ず肝臓の機能を取り戻せる!」とは言い切れません。 しかし、再生医療は病気が進行する不安を解消する、または食事制限などの生活の制約を軽減できる可能性があるなど、前向きに治療に取り組める点が従来の治療法との大きな違いです。 再生医療は、今まで治せないと言われていた肝臓疾患の症状を根本的に改善できる可能性がある治療法として注目されています。 そのため、肝臓の状態に悩んでいる人にとって一考の価値がある治療法と言えるでしょう。ただ再生医療は、一般的な病院等で受けることはできません。当院は厚生労働省から認可を受けた再生医療専門院で多くの症例を有しています。治療等のご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
2020.06.27 -
- 再生治療
- 肝疾患
- 幹細胞治療
肝臓といえば「お酒」というイメージがありますが、お酒以外でも肝臓にダメージを与えている可能性があります。 「身体の疲労がなかなか取れない」という人は、肝機能が低下しているかもしれません。 本記事では、低下した肝機能を回復させる方法について詳しく解説していきます。 肝機能の低下を放置すると「脂肪肝」や「肝硬変」という病気に繋がる可能性があります。 肝臓の働きや肝機能を回復させる方法を理解して、肝臓疾患を予防しましょう。 肝臓はどのような働きをしているの? 肝臓は、人間の体の中で最も大きな臓器といわれており、以下のような働きをしています。 代謝 食事などから摂取した栄養素を体内で利用できるエネルギーとして蓄える機能 解毒 薬やアルコールなどの体にとって有害な物質を分解して無害化する 胆汁の生成 脂質の消化や吸収に必要な胆汁を生成・分泌する 「肝臓が疲れている」場合、エネルギーとして代謝できなかった栄養素が中性脂肪となって蓄積されます。 また、アルコールなどの解毒されるべき物質がそのまま体内に残ってしまいます。 生命活動にとって重要な働きをしている肝臓の疲労や疾患は、早めの対策・治療が必要です。 しかし、肝臓には神経が通っていないため、何らかのダメージを受けても自覚症状が現れにくく「沈黙の臓器」とも呼ばれています。 そのため、人間ドックや健康診断を受けて肝臓の異常を早期発見することが重要です。 肝臓を回復させるには食事の見直しや運動が大切 肝臓を回復させるには、食事による栄養素の摂取や有酸素運動、禁酒で肝臓を休める必要があります。 たんぱく質やビタミン類を摂取する 脂質と糖質の摂取を控える 肥満状態を改善する 1日30分程度の有酸素運動 アルコールの摂取量を抑える それぞれの項目について詳しく解説していきます。 たんぱく質やビタミン類を摂取する 肝臓の働きをサポートする効果に期待できる栄養素と主な食べ物を紹介します。 必要な栄養素 主な食べ物 詳細 たんぱく質 鶏ささみ、青魚、豆腐、卵など 幹細胞の修復や機能回復に必要な栄養素 ミネラル 野菜、海藻類、きのこ類など 代謝、解毒、胆汁の生成など肝臓の働きをする過程に欠かせない栄養素 抗酸化ビタミン (ビタミンA・C・E) ・ビタミンA 緑黄色野菜、ウナギなど ・ビタミンC レモン、パセリ、ブロッコリーなど ・ビタミンE 大豆類、青魚、ブロッコリーなど 肝臓内の活性酸素を抑え、肝機能の低下を防ぐために必要な栄養素 タウリン 貝類、タコ、エビなど 肝臓の解毒作用を高めて肝機能をサポートする効果が期待できる栄養素 食生活の見直しは、「肝機能の低下予防」と「肝機能を高めるサポート」のどちらの効果も期待できます。 暴飲暴食や偏った食事を避けて、バランスの良い食事を心がけましょう。 脂質と糖質の摂取を控える 肝臓を回復するためには、脂質と糖質の過剰摂取を控えることが重要です。 高脂肪・高糖質の食事は肝臓に負担をかけ、脂肪肝の原因となります。 特に、揚げ物やファストフードなどの飽和脂肪酸を多く含む食品、清涼飲料水や菓子類などの単純糖質の食べ過ぎは控えるべきです。 代わりに、不飽和脂肪酸を含む青魚などを適量摂取し、精製された糖質ではなく玄米や全粒粉パンなどの複合糖質を選ぶようにしましょう。 糖質制限と適切な脂質バランスを保つことで、肝臓への負担を軽減し、回復を助けることができます。 肥満状態を改善する 過剰な体脂肪、特に内臓脂肪は肝臓に脂肪が蓄積する「脂肪肝」の主な原因となります。 肥満状態を改善して適正体重を目指すことで、肝臓への負担を大幅に軽減できます。 具体的には、一日の摂取カロリーを適切に管理し、ゆっくり確実に減量することが重要です。 急激なダイエットは逆に肝臓に負担をかけるため避けましょう。目標は1ヶ月に1〜2kg程度の減量が理想的です。 1日30分程度の有酸素運動を習慣化する 肝機能を改善するためには1日30分程度の有酸素運動を取り入れましょう。 肥満や運動不足によって、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積される「非アルコール性脂肪肝」が起こる可能性があります。 ウォーキングや水泳などの有酸素運動を習慣にし、肝臓に蓄積した中性脂肪を減らしましょう。 有酸素運動によって脂肪肝化が改善される※1ことも報告されています。 ※参考:一般社団法人 日本肝臓学会「追補内容のお知らせ『NAFLD/NASH 診療ガイドライン』」 アルコールの摂取量を抑える 肝機能を改善させるためには、禁酒もしくはアルコールの摂取量をできるだけ抑えましょう。 お酒の飲酒量が多いと、アルコールを分解する働きを持つ肝臓に負担がかかり続けるため「アルコール性脂肪肝」になる可能性があります。 厚生労働省では、適度な飲酒量として1日あたりの純アルコール量は約20gとしています。 主な酒類の目安量は、以下の通りです。 お酒の種類 純アルコール量 ビール(中瓶1本500ml) 20g 清酒((1合180ml)) 22g ウイスキー・ブランデー(ダブル60ml) 20g 焼酎(35度)(1合180ml) 50g ワイン(1杯120ml) 12g しかし、アルコールは肝臓にとってストレスになるため、肝臓が疲労している時は禁酒することをおすすめします。 肝臓が回復するまでの期間と肝臓の状態 肝臓の機能が回復するまでに必要な期間は、肝臓の状態によって大きく違いがあります。 例えば、飲酒により一時的に肝臓が疲れている状態であれば、2日間の禁酒期間を設けることで肝臓は回復するといわれています。 一方で、慢性肝炎を放置して「肝硬変」になっている場合だと、いくら期間を設けても肝機能が回復することはありません。 極端な 2 例を挙げましたが、このように肝臓の回復に必要な期間および回復するかどうかについては、肝臓がどの程度のダメージを受けていて、どういった状態になっているかによって左右されるのです。 肝機能低下が招く疾患とは? 肝臓が疲れていると表現される「肝機能が低下している状態」を放置すると、様々な病気に繋がるリスクがあります。 病名 主な症状 脂肪肝 自覚症状がほぼないため、健康診断などの血液検査で発覚することが多い アルコール性肝炎 食欲不振・だるさ・発熱などの症状があり、肝臓の腫れや上腹部に痛みを感じる ウイルス性肝炎 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)・食欲不振・嘔吐・全身の倦怠感・発熱など 肝硬変 ・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる) ・腹水(下腹部が張る) ・くも状血管拡張(首、前胸部、頬に赤い斑点ができる) ・手掌紅斑(掌の親指と小指の付け根が赤くなる) など 肝機能の低下は、肝機能を回復させるために生活習慣を見直せば改善することが多いです。 しかし、肝機能の低下を放置して病気になってしまうと適切な治療が必要になります。 肝機能が低下している前兆 肝機能が低下しても初期段階では症状が現れにくいため、血液検査を受けて初めて異常に気づくことも多いです。 しかし、肝機能の低下が進行すると肌が黄色くなる黄疸やむくみ、尿の色が濃くなるなどの症状が現れます。 気づいた時には症状が進行している可能性があるため、早めに医療機関を受診して検査を受けましょう。肝臓の回復には早期発見が重要です。 肝疾患の改善につながる可能性がある「再生医療」 従来の肝硬変の治療法では、症状の進行と合併症を防ぐことを目的としており、元の状態に戻すのは難しいとされています。 そんな、治らないとされている肝疾患には再生医療という選択肢があります。 患者さま自身から幹細胞を採取・培養して点滴投与します。ご自身の細胞を使用することから、副作用などのリスクが少ないのが特徴です。 肝疾患を根本的に治したい方は、当院「リペアセルクリニック」の無料メール相談・オンラインカウンセリングをご利用ください。 【まとめ】肝臓を回復させるには再生医療による治療をご検討ください 疲れた肝臓の機能を回復させるには、脂肪や糖質の過剰摂取を避ける食生活や、適度な運動など生活習慣の改善が大切です。 普段から肝臓を労わっていれば、少し疲れた程度なら数日の期間で回復しますが、慢性的に肝臓が疲れていると肝疾患になってしまいます。 そうなると、回復に時間がかかる、あるいは自然回復しない状態に陥ってしまう可能性があります。 肝疾患には薬物治療や運動療法の他にも、再生医療という選択肢があります。肝機能の低下に悩んでいる方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。
2020.02.28 -
- 再生治療
- 肝疾患
- 幹細胞治療
肝硬変と聞くと「治らない」「怖い病気」というイメージがあるかもしれませんが、医療の進歩により治療の選択肢が広がっています。 本記事では、従来の治療法から最新の再生医療まで、肝硬変に対する様々なアプローチを解説します。 また、病状の段階別の治療法や、日常生活で実践できる予防法についても詳しく紹介します。 肝硬変の治療について不安がある方は、この記事を参考にしてください。 肝硬変を治すにはどんな治療がある? 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状が出にくいため発見が遅れやすく、従来の治療では「肝硬変は治らない病気」といわれています。 肝硬変に対する従来の治療方針と近年注目されている再生医療について解説します。 近年注目されている「再生医療」は、硬くなった肝臓を修復する可能性のある治療法です。 ここでは、従来の治療方針と合わせて解説します。 従来の治療方針 肝硬変の従来の治療方針は、根本的な治癒よりも「進行抑制」と「症状緩和」を主な目標としています。 硬化した肝臓組織を元に戻すことは困難であるため、患者さんの状態に合わせた対処法が重要となります。 肝硬変の従来の治療における主なポイントは以下の通りです。 原因疾患への対処(ウイルス性肝炎には抗ウイルス薬、アルコール性には完全禁酒) 栄養バランスの良い食事と適度な運動の維持 病状に応じたタンパク質摂取量の調整 腹水や肝性脳症などの合併症に対する薬物療法 定期的な血液検査や超音波検査による経過観察 重症例における肝移植の検討(ただしドナー不足の課題あり) 特に初期段階では生活習慣の改善を中心とした治療で病状を安定させることが可能なケースもあるため、早期発見・早期治療が重要となります。 肝硬変治療に注目されている再生医療 「肝硬変は治らない」という常識を覆す可能性を秘めているのが、再生医療です。 従来の治療法では難しかった肝臓組織の修復が、先端技術によって実現できる可能性があります。 再生医療による肝硬変治療のポイントは以下の通りです。 幹細胞を活用して傷ついた肝臓組織を修復・再生 「自己骨髄細胞投与療法」で一部患者の肝硬変が改善した実例あり 入院や手術不要で治療できる 患者さま自身の細胞を用いるため副作用リスクが少ない 再生医療は病気の進行を抑えるだけでなく、硬化した肝臓を元の状態に近づける可能性がある点が画期的です。 山口大学の研究では、患者さま自身の骨髄から採取した細胞を静脈注射する方法で、一部の患者さまが慢性肝炎の段階にまで回復したことが報告※されています。 ※出典:Medical Note「肝硬変になった肝臓は再生可能? 他家間葉系幹細胞を用いた肝硬変の研究」 治らないといわれていた肝硬変の改善に期待できるため、多くの患者さまに新たな希望をもたらす可能性がある治療法です。 肝硬変の2つの病状に対する治療法 肝硬変は進行度によって大きく「代償性」と「非代償性」の2つの段階に分けられます。 代償性肝硬変では、肝臓はまだある程度の機能を保っており、症状があまり現れないことが特徴です。 一方、非代償性肝硬変になると、腹水や黄疸などの明らかな症状が出現し、より積極的な治療が必要になります。 どの段階にあるかによって治療方針は大きく変わりますので、医師の説明をしっかり理解しましょう。 代償性肝硬変 代償性肝硬変とは、肝臓が硬くなっていても、まだ十分な機能を保っている状態です。 この段階ではほとんど自覚症状がないため、健康診断や他の病気の検査で偶然見つかることもあります。 代償性肝硬変の治療目標は「これ以上悪化させない」ことです。 残念ながら、硬くなった肝臓を元に戻す薬はまだありませんが、原因に対する治療で進行を抑えることができます。 まず大切なのは原因疾患への対応です。 B型やC型肝炎ウイルスが原因なら、抗ウイルス薬でウイルスの活動を抑え込みます。 非代償性肝硬変 非代償性肝硬変は、肝臓の機能が著しく低下し、様々な症状が現れる肝硬変が進行した状態です。 この段階では、患者さまの生活の質を維持するために、合併症への適切な対処が重要となります。 非代償性肝硬変の症状と治療のポイントは以下の通りです。 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)の出現 腹水に対する塩分制限(1日5〜7g)と利尿剤療法 重度の腹水には「腹水穿刺(ふくすいせんし)」による直接排液 非代償性肝硬変では、上記のの症状が患者さんの日常生活に大きな影響を与えるため、家族の理解とサポートも大切です。 合併症の初期症状(意識の変化や腹部膨満感の増加など)に気づいたら、すぐに医療機関を受診しましょう。 肝硬変になる原因は肝機能障害からの進行が多い 肝硬変は突然発症するものではなく、肝臓の慢性的な障害が徐々に進行して引き起こされます。 主な原因となるのは、B型・C型肝炎ウイルス感染や、脂肪性肝疾患です。 上記のような病気により肝臓に持続的な炎症が起こると、その修復過程で線維(瘢痕組織)が形成され、肝臓全体が硬く小さくなっていきます。 かつてはC型肝炎ウイルスが原因の割合が高く、肝硬変全体の約半数を占めていました。 肝硬変に進行する前に、原因となる肝疾患を治療することが重要です。 肝硬変の進行を防ぐ方法や予防法について 肝硬変は一度進行してしまうと完全に元に戻すことは難しい病気ですが、早い段階から適切な対策を取ることで進行を遅らせたり、発症そのものを予防したりすることが可能です。 特に近年の日本では、ウイルス性肝炎の治療薬が進歩したことで、ウイルスが原因の肝硬変は減少傾向にある一方、アルコールや脂肪肝など生活習慣に起因する肝硬変の割合が増加しています。 そのため、日々の生活習慣の見直しがますます重要になっています。 食生活を改善する 肝臓は「体の化学工場」とも呼ばれ、食事内容が直接肝機能に影響します。 肝硬変の予防や進行抑制には、日々の食習慣の見直しが欠かせません。 肝臓に優しい食生活を送るために、何を食べるべきか、何を控えるべきかを理解しましょう。 積極的に摂りたい食品 控えるべき食品 野菜・海藻・きのこ類(ビタミン・食物繊維が豊富) 揚げ物・スナック菓子(高脂肪・高カロリー) 魚(DHA・EPAが豊富) インスタント食品・ファストフード 脂肪の少ない肉(鶏むね肉など) 清涼飲料水・甘い菓子類(高糖分) 大豆製品(豆腐・納豆など) 塩分の多い食品(漬物・加工肉など) オリーブオイル・ナッツ類(良質な脂質) 生の魚介類・加熱不十分な肉(感染リスク) コーヒー(適量) アルコール飲料 食事の取り方も重要で、一度に大量に食べるより少量ずつ規則正しく摂ることで、肝臓への負担を減らせます。 特に肝硬変の方は腹水悪化を防ぐため、塩分制限(1日7g以下)を心がけましょう。 肝機能が低下している方は食中毒リスクが高まるため、生ものは避けましょう。 禁酒・減酒する アルコールは肝臓で分解される過程で、肝細胞にダメージを与えるため、禁酒・減酒が肝硬変の進行を防ぐポイントです。 お酒の飲む量が多く、期間が長いほど肝臓の線維化(硬くなること)が進行します。 肝硬変や肝がんを予防するためには、「肝硬変になる前にお酒をやめること」が効果的です。 すでに肝硬変と診断された方は、それ以上の悪化を防ぐために禁酒が強くすすめられます。 肝機能低下や肝疾患はすぐに治療する 肝硬変の多くは、肝機能障害や肝疾患が長期間進行した結果として発症します。 そのため、前段階である肝炎や脂肪肝などの早期発見と適切な治療が非常に重要です。 例えば、B型・C型肝炎ウイルスに感染している方は、自覚症状がなくても放置すると肝硬変や肝がんへ進行する恐れがあります。 早期に適切な治療を行えば、肝硬変への進行を防げる可能性が高まります。 肝炎ウイルスは自覚症状がないまま肝臓を傷めることが多いため、過去に輸血を受けた経験がある方や感染リスクがある方は一度検査を受けることをおすすめします。 【まとめ】肝硬変を治すには再生医療による幹細胞治療を検討しよう 肝硬変は一度発症すると完全な治癒は難しいものの、早期発見と適切な治療により進行を抑えることが可能です。 従来の治療法は進行抑制と症状緩和が中心でしたが、再生医療という新たな選択肢が登場し、肝機能の回復に期待が寄せられています。 肝臓の健康は日々の生活習慣に大きく左右されますので、この記事の情報を参考に、ご自身やご家族の肝臓を守る取り組みを始めてみてください。
2020.02.24 -
- 免疫細胞療法
- 再生治療
- 肝疾患
肝硬変を根本的に治療できる可能性を秘めた再生医療とは?! 従来、「肝硬変」という病気は、肝臓を元の状態に戻すことができないといわれていました。 しかし、その常識を覆すかもしれない可能性を秘めた治療法「再生医療」に注目が集まっています。 今回は、肝硬変を根本的に治療できるかもしれない「再生医療」について解説します。 肝硬変に再生医療が利用される意味 そもそも「肝硬変」という病気がどのような状態であるのかを理解することで、再生医療との関連性について理解しやすいと思います。 肝硬変とは、慢性的な肝臓の炎症などを原因として肝細胞が線維化して硬くなってしまった状態のことです。 線維化した肝細胞は肝臓の「壁」となり、内部で肝細胞が増えるのを阻害することで肝臓は最終的に小さくなってしまいます。 肝硬変を起こすと肝臓内の血液の流れが滞り、さまざまな「合併症」のリスクを高めてしまうのですが、この状態は自然に治すことができないのです。 そのため、従来の肝硬変の治療方針は対症療法や食事療法などを継続して、これ以上の肝機能低下を防ぐことが中心となっていました。 ここで注目すべきなのが「再生医療」なのです。 再生医療とは? 「再生医療」とは、「幹細胞」と呼ばれる細胞を利用して行われる新しい治療法です。 幹細胞は私たちの体内に存在している細胞の一種であり、「壊れた細胞に作り替わり、組織を修復する」という役割を担っています。 肝硬変の再生医療では、培養後に患者さんに投与された数多くの幹細胞の働きによって、硬質化した肝細胞を溶解・修復することによって肝機能の改善を目的とするのです。 肝硬変以外の肝疾患に対しても有効性が指摘されており、例えば「脂肪肝」においては肝機能の改善と血流促進による疲れやすさの改善などに寄与する可能性があるとされています。 再生医療と治療結果の個人差 再生医療に注目が集まっていますが、あくまでも「可能性がある」という治療法であることは理解しておかなければなりません。 これは再生医療に限った話ではありませんが、同じ病気で同じ治療法を用いたとしても、すべての患者さんが同じように回復するわけではありません。 肝硬変の再生医療でも同じように、すべての肝硬変患者さんが再生医療で同じ結果を得られるということはできないのです。 しかし、「再生医療なら100%肝硬変を治せる!」とは言えませんが、肝機能が改善する可能性があること自体は間違いではありません。 再生医療を利用することで肝硬変の進行や合併症のリスクを減らし、食事療法や運動療法のレベルを減らすことができるなどの可能性は十分に見いだせるのです。 まとめ・肝硬変を根本的に治療できる可能性を秘めた再生医療とは?! 再生医療は「万能の治療法」というわけではありません。そして、再生医療によって肝硬変を完治させられるとは断言できません。 しかし、従来の治療法と違って「肝硬変が改善される可能性がある」という意味ではやはり注目されるべき治療法であることは間違いありません。 肝硬変の治療や症状に悩んでいる方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
2020.02.18 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 肝疾患
病気の治療にかかる期間は、体への負担や費用面の負担から考えると、できるだけ短い方が良いでしょう。 「肝硬変」も治療が必要になりますが、これから肝硬変とつきあっていかなければならない人にとっては治療期間が気になるところだと思います。 そこで今回は、肝硬変の治療期間について解説します。 こちらもご参照ください 肝硬変の治療期間と肝臓の状態について 肝硬変の治療期間について理解するうえでは、そもそも肝硬変という病気がどのような状態であるのか理解する必要があります。 肝硬変とは、文字通り肝臓が固く変質してしまう状態のことです。 なぜ肝臓が硬化するのかといえば、多くの場合は何らかの原因によって発生した慢性的な肝臓の炎症(肝炎)により発症します。 炎症を起こした肝臓は細胞が壊れ、修復するたびに線維化が進んでしまうと、次第に肝臓は小さく硬くなってしまうのです。 そして、一度肝硬変であると診断された場合、従来の治療法では肝臓を元に戻すことは極めて難しいとされてきました。 つまり、肝硬変は基本的に「一生かけてつきあっていく病気」だったのです。 従来の肝硬変の治療法 従来の肝硬変の治療法はいわゆる「根治治療(病気を根本的に治す治療)」ではなく、症状の進行を防ぐための治療が中心となり、以下のような治療を行うのが一般的です。 肝炎の治療 肝庇護療法(肝臓を鎮静化させる) 免疫抑制剤の使用(自己免疫異常による肝硬変) 食事療法 運動療法 選択される治療法は、肝臓の状態や肝硬変の原因、その他の要因を加味して決められます。 いずれの治療法も変質した肝臓の状態を改善する治療法ではないため、現状の肝機能を維持するという方針となりますので、基本的に治療期間はその後の人生すべてにまたがることになるでしょう。 肝硬変を再生医療で治療できる時代です! 肝硬変の治療期間が半永久的になるというのは、従来の常識でした。 しかし現在は、肝硬変を根本的に治療できるかもしれない治療法として「再生医療」が注目されています。 再生医療とは、さまざまな細胞に変質して壊れた組織を修復する働きをする「幹細胞」を利用し、硬質化した幹細胞を修復することで肝硬変の症状を改善できる可能性がある治療法です。 再生医療の成果は個人差があるので100%肝硬変を根治治療できるとは限りませんが、肝硬変の合併症のリスクを減らすなどの効果は期待できます。 まとめ 肝硬変は一度診断されたら元の状態に戻らない、治らないといわれてきました。 しかし、新しい治療法である再生医療には肝硬変を改善できる可能性を見出すことができます。 再生医療による治療法も選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
2020.02.12 -
- 再生治療
- 肝疾患
「肝臓は痛みを感じない」と聞いたことはありませんか? 実際、肝臓そのものには痛覚神経がほとんど存在しないため、病気が進行しても自覚症状が乏しく、沈黙の臓器とも呼ばれます。 また、肝臓には痛覚がないため、病気の進行を見逃しやすい臓器です。 本記事では、肝臓の痛覚を感じない理由を詳しく解説します。 自覚症状がないからといって安心できないのが肝臓の病気です。 健診で肝機能の数値に異常があった方や、肝臓の不調が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。 肝臓の痛覚を感じない理由|知覚神経が表面にしかなく沈黙の臓器と呼ばれている 肝臓は痛覚神経がほとんど存在せず、痛みを感じる神経は表面の被膜にのみ分布しているため、内部で障害や病変があっても痛みとして感じにくいのが特徴です。 自覚症状がないまま病気が進行し、気付いたときにはすでに重篤な状態となっている場合が多いです。 また健康診断などで確認できる以下の数値が基準値を超えている場合、肝疾患のリスクが高まります。 AST(GOT) ALT(GPT) γ-GTP 数値が基準値を超えていると、肝細胞が壊れている可能性が高く、脂肪肝や肝炎などの疾患が疑われます。 とくにALTとγ-GTPの数値が高い場合は、飲酒や薬剤、肥満、糖尿病など生活習慣の見直しが必要です。 このように自覚症状がなくても、定期的な血液検査や超音波検査によるチェックを行い、速やかに精密検査を受けましょう。 肝臓の働き 肝臓は、私たちの健康維持に欠かせない役割を担っています。 主な働きは、以下のとおりです。 代謝 解毒 胆汁の生成・分泌 免疫機能 代謝機能では食事から摂取した糖質や脂質、タンパク質を体内で利用しやすい形に変換し、必要に応じてエネルギーとして供給します。 たとえば、ブドウ糖をグリコーゲンに変えて蓄え、血糖値が下がった時に放出することで血糖値を一定にするなどです。 さらにアルコールや薬物、アンモニアなど、体内に入った有害物質を分解・解毒し、無害な形にして体外へ排出します。 胆汁の生成・分泌も役割のひとつで、脂肪の消化や吸収に欠かせません。 胆汁の分泌が悪くなると、脂質の消化不良や腸内環境の悪化につながります。 また、肝臓にはクッパー細胞やNK細胞、T細胞などの免疫細胞が多いため、体内に侵入したウイルスや細菌、老化した細胞を処理する免疫の要です。 クッパー細胞 肝臓に存在するマクロファージの一種で、異物や老廃物を貪食し、免疫応答を調節する役割を担う。肝臓の類洞に位置し、肝臓の生体防御機能に重要な役割を果たしている。 NK細胞 体内の免疫系において重要な役割を果たすリンパ球の一種。ウイルスに感染した細胞やがん細胞を特異的に攻撃し、自然免疫の一環として迅速に反応する。 T細胞 免疫系の中心的な役割を果たすリンパ球の一種で、骨髄で産生された後、胸腺で成熟する。主にキラーT細胞とヘルパーT細胞にわかれ、ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃したり、他の免疫細胞を活性化したりする機能を持つ。 私たちの健康バランスが保たれているのは、肝臓が正常に働いているためです。 さまざまな機能が損なわれると、体調不良や重篤な疾患につながります 主な肝臓疾患 主な肝臓疾患は、5つあります。 ウイルス性肝炎 脂肪肝疾患 肝硬変 肝臓がん 自己免疫性肝疾患 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ウイルス性肝炎 ウイルス性肝炎は、A型、B型、C型など複数のウイルスによって引き起こされる感染症です。 型 主な症状 A型肝炎 ・発熱 ・全身の倦怠感 ・食欲不振 ・吐き気・嘔吐 ・黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる) ・腹痛 B型肝炎 ・倦怠感 ・食欲不振 ・吐き気・嘔吐 ・黄疸 ・腹痛 ・褐色尿(濃い色の尿) C型肝炎 ・倦怠感 ・食欲不振 ・吐き気・嘔吐 ・黄疸 ・腹痛 ・褐色尿(濃い色の尿) D型肝炎 ・発熱 ・全身倦怠感 ・食欲不振 ・黄疸 E型肝炎 ・発熱 ・倦怠感 ・悪心 ・腹痛 ・黄疸 特にB型とC型は慢性化しやすく、長期間炎症が続くと肝臓の線維化が進み、肝硬変や肝臓がんへと移行するリスクが高まります。 急性肝炎の場合は発熱や倦怠感、黄疸などの症状が現れる場合がありますが、慢性肝炎では自覚症状がほぼありません。 また血液検査でASTやALTの大幅な上昇がみられる場合は、ウイルス性肝炎の可能性が高まります。 近年はワクチンや抗ウイルス薬の進歩により、治療成績が向上していますが、慢性化した場合は定期的な検査と専門医の管理が欠かせません。 病気の進行を防ぐためには、早期診断と治療が必要です。 脂肪肝疾患 脂肪肝は肝細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態で、日本人の成人の20~30%※が該当するとされています。 出典:脂肪肝|全国健康保険協会 脂肪肝は、以下のような生活習慣の乱れによって発症するケースが大半です。 運動不足 食べ過ぎ アルコールの過剰摂取 肥満 糖尿病 アルコールをあまり飲まない人でも、食生活の乱れや肥満が原因で非アルコール性脂肪肝(MASLD)を発症するケースがあります。 自覚症状はほぼ見られず、健康診断でASTやALT、γ-GTPの数値が上昇して初めて気付く方が多いです。 特に炎症と線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎は、放置すると肝硬変や肝がんに進行するリスクが高く、注意が必要です。 脂肪肝は初期段階では自覚症状に乏しいため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。 進行を防ぐには、生活習慣の改善と定期的な検査による早期発見が重要です。 肝硬変 肝硬変は肝臓の正常な組織が線維化し、硬く変化した状態で、以下のような慢性的な肝障害によって引き起こされます。 B型・C型肝炎ウイルス感染 長期的なアルコール過剰摂取 非アルコール性脂肪肝炎 自己免疫性肝炎などによる慢性的な肝臓の炎症や障害など 肝臓の再生能力があっても、線維化が進むと元の状態には戻りません。 初期には食欲不振や全身の倦怠感などの症状が現れる場合がありますが、進行すると黄疸や腹水、意識障害などの重篤な症状が出現します。 さらに進行すると、肝臓がんのリスクが高まるだけでなく、生命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 現時点では、根本的な治療法は確立されておらず、進行を遅らせるための食事療法や生活習慣の改善が中心です。 肝硬変による重篤な合併症や肝臓がんへの進行を防ぐには、早期発見と適切な管理をする必要があります。 肝臓がん 肝臓がんは、肝硬変や慢性肝炎などの背景疾患がある場合に発症リスクが高まります。 日本では、肝臓がんの多くがB型・C型肝炎ウイルス感染や長期間の肝障害に起因しています。※ ※出典:国立研究開発法人国立がん研究センター 初期段階では症状がほぼ見られず、進行すると腹部のしこりや痛み、黄疸、体重減少などが現れる場合があります。 主な治療法は、以下のとおりです。 治療法 特徴 手術 ・肝臓がんの根治的治療法で、腫瘍を含む肝臓の一部を切除する ・肝移植も選択肢のひとつで、早期の肝がんに適応される ・手術の適応は肝機能や腫瘍の大きさや位置による 抗がん剤治療 ・がん細胞を攻撃する薬剤を使用する ・通常、手術や局所療法ができない場合に選択される ・副作用が強く出ることが多く、肝機能への影響も考慮される 放射線治療 ・高エネルギーの放射線を使用してがん細胞を破壊する ・定位放射線治療や重粒子線治療が行われる場合とがある ・健康な組織への影響を最小限に抑えられる 治療成績を向上させるには、方法だけでなく早期発見も必要です。 定期的な画像検査や腫瘍マーカーの測定は、早い段階での発見に役立ちます。 肝臓がんは進行が速い場合もあるため、肝疾患の既往がある場合は注意が必要です。 自己免疫性肝疾患 自己免疫性肝疾患は、体の免疫システムが誤って肝細胞を攻撃することで発症します。 代表的なものには、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎(PBC)があります。 自己免疫性肝炎 体の免疫系が誤って自分の肝細胞を攻撃し、慢性的な炎症を引き起こす病気。主に中年以降の女性に多く見られ、倦怠感や黄疸などの症状が現れる可能性がある。 原発性胆汁性胆管炎(PBC) 肝臓内の胆管が自己免疫反応により慢性的に炎症を起こし、胆汁の流れが妨げられる病気。主に中年以降の女性に多く、初期には無症状が多いものの、進行すると黄疸や肝硬変を引き起こす可能性がある。 これらは女性に多く発症し、進行すると肝硬変や肝臓がんのリスクが高まります。 症状では倦怠感やかゆみ、黄疸などがみられるものの、初期には症状が出ない場合が多いです。 血液検査で特定の自己抗体や肝機能異常がみられた場合は、専門医による診断と治療が欠かせません。 肝臓は痛みを感じないため健康診断が重要 肝臓は痛覚がほとんどないため、病気が進行しても自覚症状が現れにくいのが特徴です。 そのため、健康診断や人間ドックで肝機能異常を指摘された場合、症状がなくても再検査や精密検査を受けましょう。 血液検査では、AST、ALT、γ-GTPなどの数値が健康状態を示す指標です。 指標 上昇する疾患 AST 肝機能障害の有無を示す指標 ・急性肝炎 ・アルコール性肝炎 ・心筋梗塞 ・筋疾患 ALT 肝機能障害の有無を示す指標 ・脂肪肝 ・慢性ウイルス性肝炎 ・肝硬変 γ-GTP 胆道系の健康状態を示す重要な指標(アルコールに敏感に反応し、胆道の障害を示す) ・アルコール性肝障害 ・胆道系疾患 ・脂肪肝 これらの数値が基準値を超えている場合、脂肪肝や肝炎・肝硬変などのリスクが高まります。 診断では、腹部超音波検査や画像診断を組み合わせると、状態を正確に把握できる可能性があります。 肝臓疾患は、早期での発見と治療が欠かせません。 自覚症状がなくても定期的な健診を受けると、重篤な疾患への進行を未然に防げます。 とくに、生活習慣病や肥満、糖尿病、高血圧などのリスク因子を持つ方は、年に1回の肝機能のチェックを行いましょう。 肝臓疾患に対する治療法「再生医療」について 従来の肝臓疾患治療では、生活習慣の改善や薬物療法が基本とされてきましたが、再生医療も治療法の選択肢の一つになります。 再生医療は患者自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻すことで肝臓組織の修復や再生を目指す治療法です。 幹細胞には炎症を抑えたり、線維化した組織を修復したりする働きがあり、肝硬変や重度の脂肪肝にも効果が期待されています。 特に、冷凍保存せずにその都度培養すると、生存率・活動率の高い新鮮な幹細胞を投与できる点が特徴です。 治療の安全性や効果には個人差がありますが、臨床研究が進めば、肝臓疾患治療の新たな選択肢として普及が進むでしょう。 【まとめ】肝臓は痛覚がほとんどないので健診を受けて疾患を早期発見しよう 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれるように、進行しても痛みなどの自覚症状がほとんど現れない臓器です。 そのため、病気の発見が遅れやすく、気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。 とくに以下のような方は、健康診断の数値(AST・ALT・γ-GTP)を見逃さず、異常があれば速やかに専門医の診察や精密検査を受けることが重要です。 肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症など アルコールを日常的に摂取している 急激な体重減少が見られる 自覚症状がなくても、定期的な検診と適切な生活習慣の見直しが、肝臓病の早期発見と重症の予防につながります。 再生医療も選択肢に加えつつ、まずは自分自身のリスクを把握し、早期での発見と治療を心掛けてください。 健診結果は軽視せず、医師の指導のもとで適切な対応を行いましょう。 再生医療といった新しい治療法も選択肢として広がっています。興味のある方は以下から症例をご確認ください。 [LINE画像]
2020.02.08 -
- 再生治療
- 肝疾患
肝臓が悪いと顔や体に変化がありますが、初期症状が曖昧で気づきにくいため注意が必要です。 肝臓の病気は進行すると、肝硬変や肝臓がんなどの重篤な病気になる可能性があるため、早く症状に気づけるかどうかが大切です。 そこで本記事では、肝臓が悪いとどんな症状が出るのか解説します。最後までご覧いただき肝疾患の早期発見・早期治療を目指しましょう。 この記事を読むとわかること 肝臓が悪いと顔や体に出現する症状 肝臓の病気の種類 肝臓の病気を予防する方法 肝臓が悪いと顔や体に出る症状 肝臓が悪いと顔や体に出る症状は、以下のとおりです。 肝臓が悪いと顔や体に出る症状 黄疸と皮膚のかゆみ 視力の低下と目の疲れ からだのむくみと腹水 全身倦怠感と疲労感 吐血と意識障害 食欲低下と消化不良 肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、初期段階では症状に気づきにくいのが特徴です。症状に気づいたころには重症化している可能性もあるため、どんな症状が出現するのか知っておきましょう。 黄疸と皮膚のかゆみ 肝臓が悪いと、黄疸や皮膚のかゆみが現れる場合があります。黄疸とは、皮膚や眼の白い部分が黄色くなる症状です。 肝臓の機能が低下し、ビリルビンと言われる黄色い色素を正常に処理できなくなると、黄疸の症状が現れます。皮膚のかゆみも肝臓の異常を示す症状で、ビリルビンや胆汁酸が体内に蓄積されて生じます。 視力の低下と目の疲れ 肝臓が悪くなると、視力の低下や目の疲れなどの症状が現れることがあります。 肝臓の機能低下による間接的な影響で、健康な血液が十分に供給されなくなり、視界がぼやけたりかすんだりする症状が出現します。 ドライアイの症状も肝臓の異常を示すサインの場合があるため、目に違和感があるときは注意が必要です。 からだのむくみと腹水 肝臓の働きが鈍ると、からだがむくんだり腹水が溜まったりする場合があります。体内の水分量が増える原因は、肝機能の悪化により正常に血液を処理できなくなり、血液や体液が滞るためです。 一般的に足や顔がむくみやすく、症状が進行すると大量の腹水が溜まる場合もあります。 全身倦怠感と疲労感 肝臓が悪いと、全身倦怠感や疲労感が強く現れます。肝機能の悪化により全身倦怠感や疲労感が出現する理由は、肝臓が担う代謝の機能が乱れ、疲労物質が蓄積するためです。 日常生活動作で疲れたり、何も動いていないのに倦怠感があったりする場合は、早めに医師へ相談しましょう。 吐血と意識障害 肝臓病が重篤化すると、吐血や意識障害が現れる場合があります。吐血が起こる原因は、肝臓の異常によって消化管の血管が破れやすくなるためです。 意識障害が現れる理由は、体内に蓄積した毒素が脳に影響を及ぼすためです。肝臓には代謝や解毒作用などの働きがあり、正常に機能しなければ毒素が蓄積します。 肝疾患が重篤化する前に、体の異変に気づいたらすぐ医療機関を受診しましょう。 食欲低下と消化不良 肝臓が悪化すると、食欲低下や消化不良が起こります。 食べ物の消化には、肝臓から分泌される胆汁が必要です。肝臓の働きが鈍り、胆汁の分泌量が低下すると、食べ物の消化が困難になります。 消化不良の場合は、食欲がなくなったり嘔気を感じたりします。 受診の重要性 肝臓の疾患が疑われる症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 肝臓の異常はウイルス感染や自己免疫異常、薬の副作用など、さまざまな原因で引き起こされます。血液検査や画像診断で肝臓の状態を知り、医師の治療を受ける必要があります。 知っておくべき肝臓の病気の種類 知っておくべき肝臓の病気は、以下のとおりです。 肝炎 脂肪肝 非アルコール性脂肪性肝炎 アルコール性肝障害 肝硬変 肝臓の病気を早期に発見し、スムーズに治療を受けられるよう、疾患別の症状を確認しましょう。 肝炎 肝炎は主に肝炎ウイルスの感染により発症する病気で、感染以外の発症要因にはアルコールや薬物などがあります。 急激に症状が出現する急性肝炎は、A型・B型・E型ウイルスが原因の場合が大半です。一方で、慢性的に症状が進行する慢性肝炎は、B型・C型ウイルスを要因とする場合が多いと言われています。 肝炎になると、以下の症状が現れる場合があります。 全身倦怠感 食欲不振 皮膚のかゆみ、黄疸 発熱、頭痛 嘔気、嘔吐 褐色尿 症状には個人差があるため、違和感や不安があるときは迷わず医師にご相談ください。 脂肪肝 知っておくべき肝臓の病気の1つに、脂肪肝があります。脂肪肝とは、肝臓に過剰な脂肪が蓄積された状態です。 脂肪肝は主に、中性脂肪が肝細胞内に多く蓄積し起こります。脂肪肝が悪化すると、肝炎や肝硬変、肝がんなどの深刻な病気に進展するリスクがあります。 脂肪肝は、乱れた生活習慣が原因で起こる場合が大半です。過剰な飲酒や肥満なども脂肪肝のリスクを高めるため、自身の生活習慣を見直しましょう。 非アルコール性脂肪性肝炎 知っておくべき肝臓の病気に、非アルコール性脂肪性肝炎があります。 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肥満や糖尿病などの生活習慣病に関連して発症する肝炎です。肝臓に異常に蓄積した脂肪が炎症を引き起こし、疲労感や腹部の不快感などの症状が現れます。 NASHは、肝硬変や肝臓がんなどの深刻な疾患を合併する恐れがあります。合併症を予防するためには、不規則な生活習慣の改善や早期治療が重要です。NASHの治療法は、食事療法や運動療法、薬物療法などです。治療効果が得られず症状が悪化した際は、肝移植を行う場合もあります。 医師と相談し自身に合った治療を受け、症状の改善を目指しましょう。 NASHは初期段階で症状に気づくのが難しいため、定期的な健康診断や肝機能モニタリングが早期発見・早期治療の鍵となります。 アルコール性肝障害 知っておくべき肝臓の病気に、アルコール性肝障害があります。アルコール性肝障害とは、多量のアルコールを長期間にわたり摂取し、肝臓が損傷を受ける疾患の総称です。 多量飲酒によりアルコール代謝の過程で生成される有害物質が肝細胞を傷つけ、炎症を引き起こします。肝臓が炎症を起こすと、肝機能が低下し、以下の症状が現れます。 全身倦怠感 食欲不振 体重減少 黄疸(皮膚や目が黄色くなる) 腹水、浮腫(むくみ) アルコール性肝障害は、以下3つの状態に分けられます。 進行度 アルコール性脂肪肝(初期) アルコール性肝炎(中期) アルコール性肝硬変(末期) 状態 肝臓に脂肪が蓄積している状態 肝臓に炎症が生じ、肝細胞が破壊された状態 肝臓の組織が線維化し硬くなり、正常な機能が失われた状態 アルコール性肝障害を予防するためには、飲酒量を適度に抑えることが最も重要です。厚生労働省の「健康日本21(アルコール)」によると、適度な飲酒量は1日平均純アルコールで約20gで、具体例は以下のとおりです。 お酒の種類 純アルコール量 ビール中瓶1本(500ml) 20g 清酒1合(180ml) 22g ウイスキー(60ml) 20g 焼酎35度1/2合(90ml) 25g ワイン2杯(240ml) 24g 飲酒の頻度や量を減らすと、肝臓への負担が軽減され、肝障害のリスクが低下します。治療する際はアルコールを完全に断ち、肝臓の損傷部位を回復させるとともに、栄養療法や薬物療法を行います。 アルコール性肝障害は、生活習慣の見直しで予防できる疾患です。健康的な飲酒習慣を心がけたり、定期的に健康診断を受けたりし、早期発見・早期治療を目指しましょう。 肝硬変 慢性肝炎が長期化すると、肝臓の組織が線維化し硬くなり、肝硬変になります。肝臓は再生力が高い臓器ですが、肝硬変になると肝機能を元の状態に戻すのが難しくなるため、早期発見・早期治療が重要です。 肝硬変の主な症状は以下のとおりです。 足がむくむ 腹水がたまる 黄疸が出る 腹部静脈が盛り上がる 意識障害が起こる 初期の肝硬変は、症状に気づきにくいのが特徴です。健康診断で異常を指摘されたら、症状がなくても病院を受診しましょう。 自己免疫性肝疾患 自己免疫性肝疾患とは、自己免疫反応が原因で肝臓が障害される病気の総称です。主に自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎の3つがあります。 自己免疫性肝炎(AIH) 原発性胆汁性肝硬変(PBC) 原発性硬化性胆管炎(PSC) 50歳から60歳代の中年以降の女性 ※若い女性や小児でも発症する場合あり 中年以降の女性に多い ※50歳代が最も多い 20歳代と60歳代 自己免疫反応により肝細胞が攻撃され慢性肝炎を引き起こす 細い胆管が慢性的な炎症により破壊され、肝臓に胆汁が停滞して、肝臓の細胞が障害される 臓内外の胆管が障害され胆汁の停滞が起こり、肝臓に炎症を引き起こす 自己免疫性肝疾患は、発症メカニズムが完全に解明されておらず、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられています。 肝臓が悪いとどんな症状が出る?セルフチェック項目 肝臓が悪いと出現する症状が現れていないか、以下の表でセルフチェックをしてみましょう。 チェックポイント 理由 顔や体の皮膚が黄色い 黄色い色素のビリルビンが正常に処理されず体内に蓄積されるため 白目が黄色く濁っている 鼻の頭に赤みを帯びている 肝臓が正常に機能せずホルモン異常が起き、クモ状血管腫が増えるため 手の平に赤みを帯びている 肝臓が正常に機能せず、血管拡張作用のあるエストロゲンが処理されなくなるため セルフチェックの項目に当てはまる場合は、肝臓が悪くなっている可能性を考え、早めに医療機関を受診するのが得策です。症状には個人差があるため、セルフチェックだけで病気の発症の有無を判断しないよう注意しましょう。 肝臓が悪い場合は、栄養療法や薬物療法で治療を行うのが一般的ですが、再生治療も選択肢の1つです。肝機能の改善を目指すために、自身に合った治療法を医師と相談したうえで検討しましょう。 定期的な血液検査で肝臓の数値をチェックしよう 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行しても自覚症状が現れにくい特徴があります。そのため、肝臓の不調を早期に発見するためにも、健康診断などで定期的な血液検査を行いましょう。 血液検査では、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの数値を確認し、肝臓の状態を把握します。 肝機能に異常がある場合、数値の変化として現れることが多く、脂肪肝や肝炎、肝硬変といった疾患の兆候を早期に見つけられます。 早期治療ができるよう、定期的に健康診断を受け、血液検査で肝臓の数値を確認しましょう。 予防や生活習慣の改善も大切 肝臓の病気を予防するためには、生活習慣の改善も大切です。以下の3つの生活習慣を参考に、自身の日常生活を振り返りましょう。 食事のバランスを整える 適度な運動を行う 休肝日をつくる 肝臓の病気は、生活習慣と密接に関わっています。肝臓が悪くならないよう、改善できる生活習慣から見直すことが大切です。 食事のバランスを整える 肝機能を向上させるためには、食事のバランスが重要です。主食・主菜・副菜を揃えた食事を心がけると、バランスの良い食事になります。 炭水化物はエネルギー源となり、日常の活動を支えます。タンパク質は、筋肉や臓器の修復・成長に必要不可欠です。ビタミンやミネラルは、体の機能を正常に保つために大切です。 家で健康的な食事を心がけていても、外食時に栄養バランスが崩れる場合があるため注意してください。 たとえば、ラーメンやカレーライスなどの単品料理は、主食と主菜は満たしますが、副菜が不足します。サラダや野菜スープなどを追加し、副菜も摂取できるよう工夫しましょう。 適度な運動を行う 肝機能の改善や健康維持には、適度な有酸素運動が非常に効果的です。適度な運動を行うと、肝臓に蓄積した脂肪の減少が期待できます。 有酸素運動とは、ウォーキングやジョギングなどです。有酸素運動を毎日30分以上行い、肝機能の改善や筋肉量の維持を目指しましょう。 筋肉は糖質代謝やアンモニア代謝をつかさどり、肝臓の機能を補完する役割があります。肝臓病患者にとって筋肉の維持は、肝臓の負担を軽減し、肝機能の向上につながるため大切です。 また、有酸素運動はストレスの軽減にも効果があります。通勤や日常生活にウォーキングを取り入れると心身の健康に良い影響を与えます。 休肝日をつくる 肝臓が悪くならないよう休肝日をつくりましょう。休肝日(きゅうかんび)は、週に1日以上飲酒しない日を設け、肝臓を休めることを目的としています。 習慣的な飲酒は依存性を高め、飲酒量が増加する危険性があります。休肝日を設け、飲酒総量を減少させると、肝障害を予防できる可能性があります。 肝臓の症状に気づいたら早めに医療機関を受診しよう 肝臓の症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。 肝臓は沈黙の臓器と言われ、悪くなっても症状の自覚が難しく、発見が遅れやすいのが特徴です。肝機能の悪化でどんな症状が出るのか事前に知っておくと、病気の早期発見が可能です。 肝臓が悪くなった場合の治療法には、栄養療法や薬物療法、再生医療などがあります。医師と相談し、自身に合った治療法の選択が大切です。 体に異変を感じたらすぐに医療機関を受診し検査を受けるのが大切です。定期的に健康診断や受診に行き、早期発見・早期治療を目指しましょう。
2020.02.02 -
- 再生治療
- 肝疾患
サプリメントは健康食品の一種であり、特定の栄養成分を補給することを目的とした食品ですが、「肝臓に負担をかけてしまうのではないか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。 とくに、サプリメントの摂りすぎや飲み合わせによる影響が気になる場合、どのように正しく利用すればよいのか悩む方も少なくありません。 本記事では、サプリメントの過剰摂取が肝臓に与える影響や薬剤性肝障害のリスクについて解説します。 また、肝障害に対する再生医療の可能性にも触れながら、健康的にサプリメントを活用するための知識をご紹介します。ぜひ最後までお読みください。 サプリメントの摂りすぎが肝臓にダメージを与える理由 肝臓は体の中で非常に重要な役割を担っており、主に以下の働きをしています。 サプリメントは薬剤と同じく肝臓で解毒・分解されますが、過剰な服用で肝臓への負担が大きくなります。 実際に、薬剤によって引き起こされる「薬剤性肝障害」と呼ばれる肝臓の病気は、健康食品やサプリメントの過剰摂取によって発症した事例も報告されています。 また、アルコールの分解を補助するサプリメントを飲めば、お酒をたくさん飲んでも良いというわけではありません。 加えて、すでに肝炎や脂肪肝を患っている方は、サプリメントにより肝臓の負担が増す可能性があるため注意が必要です。 重篤な状態に陥ると、肝臓が再生しない肝硬変に進展する可能性もあります。 肝臓疾患を招く薬とその症状 実は、ほとんどのサプリメントや薬に肝臓疾患を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 発熱・倦怠感・体のかゆみ・発疹・吐き気などの症状があるときは、サプリメントや薬が肝臓に負担をかけている可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。 過剰摂取すると肝臓に悪いサプリメントの成分 サプリメントは健康維持に役立つ面もありますが、過剰摂取によって肝臓に負担がかかる場合があります。 過剰摂取すると肝臓に悪いサプリメントの成分と影響は以下の通りです。 成分 肝臓への影響や注意点 ビタミンA 脂溶性ビタミンなので過剰に摂ると肝細胞に蓄積し、炎症や障害を誘発するケースがある 鉄分 多量に摂取すると肝臓に蓄積し、酸化ストレスを引き起こすため肝硬変などのリスクが高まる ウコン(ターメリック) カレーなどで使われるスパイスだが、過剰摂取で肝障害につながる報告がある アガリクス(キノコ類) 免疫向上を目的に使用されるが、長期過剰摂取で肝臓に炎症が起きる可能性がある プロポリス 蜂由来の成分で抗酸化作用が期待されるが、体質や量によっては薬剤性肝障害が発生するケースがある ノニ(モリンダシトリフォリア) 健康飲料として市販されているが、過剰摂取で急性肝障害を発症した報告が存在する タンパク質サプリ 長期間にわたり高容量を摂ると肝臓が分解時に負担を受け、肝機能に悪影響を及ぼす可能性がある ナイアシン、緑茶エキス 適量なら問題ないが、過剰摂取による肝炎のリスクがあるため、サプリの上限量を守る必要がある サプリメントは用量や飲むタイミングを誤ると肝障害を招く恐れがあります。 安全に利用するには摂取量を守り、持病がある場合は医師に相談しましょう。 サプリメントで起こる薬剤性肝障害の症状 サプリメントの過剰摂取や成分の影響により、肝臓に炎症や障害が発生する可能性があります。 薬剤性肝障害でみられる症状は、以下の通りです。 これらの症状が現れた場合は、早急に医療機関へ相談し、適切な検査や治療を受けることをおすすめします。 サプリメントによる肝障害は再生医療で根本的な治療に期待できる サプリメントの影響で肝臓に障害が生じた場合の治療法の一つに、再生医療があります。 再生医療は、肝細胞の修復や再生を促進することで、従来の治療では難しい症状の改善が期待できます。 再生医療による肝臓の治療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。 肝臓疾患を防ぐ正しいサプリメントの飲み方 サプリメントにおける用法・用量は守ることは非常に重要です。 肝臓に負担をかけないためにもサプリメントの飲み方を覚えておく必要があります。 サプリメントについての理解を深め、肝臓疾患を防ぎましょう。 摂取量を守る 1日に必要な栄養素を超えないようにサプリメントを飲むことが大切です。 サプリメントをたくさん飲んだからといって効果が増幅することはありません。それどころか、サプリメントの過剰摂取は肝臓のダメージをはじめ、健康に害を及ぼす可能性があります。 必ず容量を守って飲みましょう。 飲み合わせの効果を確認する 1種類だけでなく、複数種類のサプリメントを同時に飲む方もいらっしゃるでしょう。しかし、飲み合わせはサプリメント同士の働きを邪魔してしまうこともあります。 サプリメントを複数飲む際は、一緒に飲んでも効果があるのか薬剤師に確認してみましょう。 医師に相談する 肝臓の病気を患っており、処方薬を飲んでいる場合は細心の注意を払ってサプリメントを摂取する必要があります。 処方薬と干渉しないサプリメントを選ぶ必要があるため、その場合は必ず医師に相談し、飲めるサプリメントを教えてもらいましょう。 とくに、肝硬変の場合はサプリの代謝が難しいため、必ず医師からの指導を受けてください。 サプリメントの危険な飲み合わせに注意する サプリメント同士の組み合わせによっては、効果が減少したり副作用が発生する可能性があります。 以下は、注意が必要なサプリメント同士の組み合わせです。複数のサプリメントを飲むときはお気を付けください。 サプリメント成分1 サプリメント成分2 注意点 ビタミンA ビタミンD 両方とも脂溶性ビタミンのため、過剰摂取で肝障害や高カルシウム血症を引き起こす可能性がある 鉄分 カルシウム 鉄分の吸収がカルシウムによって妨げられ、鉄分不足を招く可能性がある マグネシウム カルシウム 両者が腸内で競合し、どちらの吸収率も低下する場合がある 亜鉛 鉄分 亜鉛の摂取量が多いと鉄分の吸収を阻害し、貧血を招く可能性がある オメガ3脂肪酸 ビタミンE 両方とも血液をサラサラにする作用があり、出血時のリスクが高まる クエン酸カルシウム 亜鉛 クエン酸カルシウムが亜鉛の吸収を妨げる可能性がある ビタミンB群 緑茶エキス 緑茶エキスに含まれるカテキンがビタミンB群の吸収を阻害する可能性がある サプリメントは適切に利用することで健康を維持できますが、飲み合わせによる影響を理解し、安全に活用しましょう。 サプリメントは摂取量に注意!肝臓が悪い場合は医師に相談しよう サプリメントは健康維持に役立つ一方で、摂取量を守らないと肝臓に負担をかけるリスクがあります。 とくに、脂溶性ビタミンや鉄分、ウコンなど、過剰摂取により肝障害を引き起こす可能性がある成分には注意が必要です。 サプリメントの過剰摂取などにより薬剤性肝障害になってしまうと、倦怠感や吐き気、黄疸、発熱などの症状が現れます。 これらの症状を放置すると肝機能がさらに低下し、治療が難しくなる場合もあるため、早めの対応が大切です。 薬剤性肝障害などの肝臓疾患に対しては、再生医療が効果的な治療法の一つとして挙げられます。 再生医療では、幹細胞を用いて肝細胞の修復や再生を促進することで、従来の治療では改善が難しい症状の緩和が期待されています。 肝臓の疾患にお悩みの方は、再生医療を含む治療法について当院へお気軽にご相談ください。
2020.01.30 -
- 再生治療
- 肝疾患
- 幹細胞治療
「お酒は肝臓がんの原因になる?」 「お酒と肝臓がんとの関係が気になる」 日常的にお酒を楽しんでいる方で「このまま飲み続けても大丈夫?」と不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。 本記事では、肝臓がんの発病リスクと飲酒の関係性や、肝臓がんの原因や予防法について解説します。 肝臓は病気になってもなかなか症状が現れず、気付きにくい臓器です。 そのため、治療が遅れて肝臓がんになってしまう可能性があります。 また、お酒によってダメージを負った肝臓の修復・再生が見込める再生医療についても紹介しているので、参考にしてください。 肝臓がんの原因と飲酒の関係性とは 肝臓がんの原因と飲酒の関係性について解説します。 発病リスクを高めるアルコール量 推奨される1日あたりの飲酒量 過度な飲酒は、肝臓がんの原因の一つです。 肝臓がんの発症リスクを高めるお酒の量や、適切な飲酒量を具体的に解説するので、飲酒する際は参考にしてください。 発病リスクを高めるアルコール量 肝臓がんの発病リスクを高める1日あたりの純アルコール摂取量は、男性が69g以上、女性が23g以上※です。 ※出典:国立研究開発法人国立がん研究センター「飲酒と肝がんリスク」 純アルコール量は、お酒を飲んだ際に体内に取り込まれるアルコールの量です。 お酒の種類や度数が異なると、同じ量を飲んでも摂取するアルコール量は異なります。 発病リスクを高める1日あたりのお酒の量を、男女に分けて以下にまとめました。 お酒の種類(アルコール度数) 男性(純アルコール量69g程度) 女性(純アルコール量23g程度) 日本酒(15%) 3合(540ml)/1日 1合(180ml)/1日 ビール(5%) ロング缶3本(1,500ml)/1日 ロング缶1本(500ml)/1日 チューハイ(7%) 缶3本(1,050ml)/1日 缶1本(350ml)/1日 ワイン(12%) グラス6杯弱(600ml)/1日 グラス2杯弱(200ml)/1日 たとえば、1日に3合以上の日本酒を長い期間に渡って飲んでいる男性は、肝臓がんの発病リスクが高くなると考えられます。 上記の表以上にお酒を飲んでいる方は肝臓にダメージを負っている可能性を疑い、飲酒の習慣を見直して量を減らしたり、休肝日を設けたりしましょう。 推奨される1日あたりの飲酒量 厚生労働省の「節度ある適度な飲酒」として推奨される1日あたりの飲酒量は、1日平均純アルコールで約20g程度※です。 ※出典:厚生労働省「アルコール」 純アルコールで約20gの飲酒量は、以下の通りです。 ビール:中瓶1本500ml 日本酒:1合180ml ウイスキー:ダブル60ml ワイン:2杯弱240ml 肝臓がんが心配な方や、脂肪肝の指摘を受けた方は、日頃の飲酒量を見直しましょう。 また、1日あたりの純アルコール量が男性で10~19g、女性では9gまでの方が最も死亡率が低い※という研究結果もあります。 ※出典:PubMed「アルコールと全死因死亡率のメタアナリシス:NHMRCの推奨事項の検証」 健康を意識したい方や女性、少量の飲酒で顔が赤くなる方、65歳以上の方はさらに量を抑えましょう。 肝臓がんの主な原因は?お酒以外にも注意 肝臓がんを引き起こす主な原因は、アルコールだけでなく肥満や、ウイルス性の肝機能障害にも注意しましょう。 アルコール性肝炎 非アルコール性肝炎 ウイルス性肝炎 それぞれの症状の概要や、肝臓がんに移行するリスクについて解説します。 アルコール性肝炎 https://www.youtube.com/watch?si=lGB4xI8fNAAi4TWM&v=ogtKPP3x8Mg&feature=youtu.be アルコール性肝炎とは、長期に渡る多量のアルコール摂取が原因で、肝臓の細胞が傷つき炎症を起こす疾患です。 肝臓はアルコールや有害物質、薬物などを解毒・分解する働きがあるため、アルコールによるダメージを受けやすい臓器です。 アルコール性肝炎の初期段階では、ほとんど自覚症状がないため、肝臓がんへ進行する可能性もあります。 アルコール性肝炎の初期症状は、以下の通りです。 疲れやすい 食欲不振 吐き気 微熱 お酒を飲む期間が長いほどアルコール性肝炎のリスクは高くなりますが、飲酒を控えると改善する見込みがあります。 飲酒の習慣があり、初期症状に心当たりのある方は、飲酒の量を見直して医療機関を受診しましょう。 非アルコール性肝炎 非アルコール性肝炎とは、お酒をほとんど飲まない人でも肝臓に脂肪が溜まり、炎症が起こる疾患です。 過食や運動不足、肥満、糖尿病などが非アルコール性肝炎の原因で、症状が進行すると肝臓がんになることがあります。 非アルコール性肝疾患の進行度は、以下の通りです。 1.正常な肝臓 2.非アルコール性脂肪肝:肝臓に脂肪が溜まった状態 3.非アルコール性脂肪肝炎:肝細胞が損傷して炎症を起こしている状態 4.肝硬変:慢性的な炎症によって肝臓の組織が硬化する状態 5.肝臓がん:肝臓にがん化した細胞がみられる状態 非アルコール性脂肪肝炎は、脂肪肝を経て肝臓がんに進行する場合があります。 健康診断で肥満や脂肪肝を指摘された方は、食生活や運動の習慣を見直して医療機関を受診しましょう。 ウイルス性肝炎 ウイルス性肝炎とは、肝臓がウイルスに感染し、炎症する疾患です。 主なウイルス性肝炎の特徴は、以下の通りです。 ウイルスの種類 主な原因 特徴 A型肝炎ウイルス 貝類や海外旅行での食事 慢性化するケースは少ない 肝臓に負担を与えない低カロリーの食事が推奨される B型肝炎ウイルス 輸血・出産・性交渉など 乳児期に感染した場合は、慢性肝炎や肝臓がんに進展する可能性がある 成人で感染した場合、劇症化するケースもあるが大部分は治癒する C型肝炎ウイルス 輸血・血液製剤・刺青など 慢性的な肝炎に移行するケースが多く、肝硬変や肝臓がんに進展する原因となる E型肝炎ウイルス 豚や猪、鹿などの生肉を食べる 慢性化するケースはほとんどなく、大半が自然に治癒する 上記のウイルス性肝炎の中では、B型肝炎・C型肝炎ウイルスは肝臓がんに移行する可能性が高いです。 ウイルスが長い期間、体内に留まり肝臓の炎症による損傷と修復が繰り返されると、肝臓の遺伝子に異常が生じて、がん細胞が発生するケースがみられます。 B型肝炎は母子感染防止策、C型肝炎は輸血や血液製剤による感染対策が取られていて、日常生活で感染する危険は少なくなってきています。 しかし、B型およびC型ウイルス感染の対策以前に感染した方が慢性肝炎になっている場合、自覚症状はほとんどみられません。 肝炎ウイルスに感染しているかどうかは主に血液検査でわかるので、心配な方は医療機関で肝炎検査を受けましょう。 肝臓がんを予防するには? お酒や食事の習慣による肝臓がんを予防するには、肝臓がんの原因となる病気を早期に発見し、生活習慣を見直しながら適切な治療を受けることが重要です。 生活習慣の改善 定期的に検診・検査を受ける 以下では、肝臓がんの予防法についてそれぞれ詳しく紹介します。 生活習慣の改善 肝臓がんの予防には、生活習慣の改善が不可欠です。 肝臓がんの原因であるアルコール性肝炎や非アルコール性肝炎は、お酒や食事の習慣と深い関わりがあります。 見直したい生活習慣は、以下の通りです。 アルコールの制限や禁酒 禁煙 食生活の改善 運動不足の解消 アルコールの制限や禁酒、禁煙は肝臓がんの予防に有効です。 また、食事では糖質と脂質を控え、たんぱく質やビタミンを積極的に摂りましょう。 以下の記事では、肝臓を回復させる食事や運動について解説しているので、合わせて知りたい方はご覧ください。 定期的に検診・検査を受ける 肝臓がんを予防するために、定期的な検査や検診を受けましょう。 肝臓がんに限らず肝臓の病気は、初期段階で自覚できる症状がほとんどないため、検診や検査で発覚する場合が多くみられます。 肝臓がんの主な検査は、以下の通りです。 血液検査:がんによって生成される物質を測定する 超音波検査:超音波が出る器具を身体に当て、がんの大きさや肝臓の状態を調べる 画像検査:CTやMRIでがんの広がりを調べる 肝硬変やウイルスによって慢性的な肝炎になっている方は、3〜6カ月ごとに定期的な検査を受けましょう。 肝臓がんにつながる肝炎や脂肪肝の治療に再生医療の選択肢 脂肪肝や肝炎などの肝臓がんにつながる疾患は、手遅れになる前に治療しましょう。 肝臓の疾患は、自覚症状が少ないために病気に気が付くのが難しいので、お酒を飲む量が多い方や脂肪肝を指摘された方は、医療機関を受診しましょう。 また、肝臓の疾患には再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療とは、自身の細胞を用いて損傷した組織の修復を目指す治療法で、お酒の飲みすぎによって損傷した肝臓を改善できる可能性があります。 肝臓の状態に不安を抱えている方は、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 【まとめ】多量飲酒は肝臓がんの原因に!生活習慣を改善して予防しよう 多量の飲酒習慣は、肝臓がんの原因の一つです。 例えば、男性はビール1,500ml以上/1日、女性はビール500ml以上/1日の飲酒をしている方は、肝臓がんのリスクが高くなる可能性があります。 お酒の量を控え、食事や運動の習慣を見直して肝臓がんの進行を予防しましょう。 また、肝臓がんにならないためには定期的な健康状態のチェックが重要です。 肝臓の病気は自覚症状が現れにくいので、検診の結果を確認してください。 アルコールの制限や食事、運動以外の肝臓疾患の治療として、再生医療による治療に注目が集まっています。 急なお酒の制限や禁酒は難しいとお考えの方、生活習慣の改善だけでは心配な方は、再生医療も選択肢の一つです。 まずは、お気軽に当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
2020.01.26