腱鞘炎はどんな痛み?症状・原因・治し方について解説【医師監修】

公開日: 2019.12.22
更新日: 2025.08.30

「物をつかむと痛い」「スマホを長時間使ったあとに指がしびれる」といった、手や指の違和感や痛みを感じながらも放置していませんか?

腱鞘炎は指や手首の使いすぎによって起こる炎症で、初期のうちに対処すれば回復が見込めますが、放置すると痛みが慢性化し、家事や仕事に支障をきたすケースも少なくありません。

本記事では腱鞘炎による痛みの特徴や治療法まで詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 腱鞘炎の痛みの特徴
  • 腱鞘炎の痛みの原因
  • 腱鞘炎の治療方法

手術以外の治療法として注目されている再生医療についても紹介しますので、つらい痛みに悩まされている方はぜひ参考にしてください。

また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例を無料で配信中です。

「腱鞘炎の痛みを早く治したい」「手術せずに治したい」という方は、ぜひ再生医療についてチェックしてみてください。

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腱鞘炎はどんな痛み?症状を種類別に解説

腱鞘炎の種類と痛みの特徴

腱鞘炎は発症する場所によって症状や特徴が異なります。

痛みの特徴について、以下2つのタイプ別に紹介します。

発症部位や痛みについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

ドケルバン病(親指の腱鞘炎)

ドケルバン病は、手首の親指側にある腱(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)の腱鞘が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる病気です。

特徴は、以下のとおりです。

発症部位 親指の付け根から手首にかけて
痛みの特徴 親指を広げたり、手首をひねったりすると強い痛みが生じる
日常生活への影響 ・ペットボトルの蓋を開ける、タオルを絞るなどの動作が困難になる
・手首の親指側が腫れて熱を持つことがある

ドケルバン病は手や指をよく使う人に発症しやすく、放置すると慢性化することもあります。

ばね指(弾発指)

ばね指は、指の腱が腱鞘の中で引っかかり、指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなる病気です。

特徴は、以下のとおりです。

発症部位 指の付け根の手のひら側
痛みの特徴 指を曲げ伸ばしするときに「カクッ」とした引っかかりと痛みがある
日常生活への影響 ・指がばねのように急に動く「弾発現象」が起こる
・起床時に症状が強く現れることが多い
・指が曲がったまま伸ばせなくなることもある

早期に適切な対処をすることで症状の改善が期待できます。

痛みや動かしにくさを感じたら、まずは指の付け根を安静にして負担を減らすことが大切です。

腱鞘炎で痛みが生じる原因 

腱鞘炎の痛みの原因は、主に以下の3つです。

腱鞘炎が起こる原因を理解して、予防や早期対応につなげましょう。

手首や指の使いすぎ 

腱鞘炎が起こる主な原因は、手首や指の使いすぎです。

通常は滑らかに動く「腱」ですが、同じ動作を繰り返したり、過度な負担をかけ続けたりすると、摩擦によって炎症が起きて痛みや腫れが生じます。

日常生活の中では、以下のような動作が原因となる場合があります。

活動の種類 具体的な動作例
日常のデジタル作業 パソコンやスマートフォンの長時間操作
職業・仕事 美容師、料理人、楽器の演奏
家事・育児  赤ちゃんの抱っこ、フライパンをあおる動作
スポーツ・趣味 テニスやゴルフの素振り、編み物

一見すると軽い力に見える動作でも、毎日繰り返し行うことで腱に疲労が蓄積していきます。

ご自身の生活の中で、上記のような手首や指を酷使する動作を長時間続けていないか確認してみましょう。

ホルモンバランスの変化 

腱鞘炎は女性に多くみられる疾患の一つでもあり、これにはホルモンバランスの変化が関係しています。

とくに以下の時期に発症しやすいとされており、注意が必要です。

  • 妊娠・出産期:ホルモンバランスの変化により腱や靭帯が緩みやすくなる
  • 更年期:エストロゲンの減少により腱の柔軟性が低下する
  • 月経周期:ホルモンの変動により症状が悪化することがある

また、加齢により腱の柔軟性が低下し、小さな損傷が蓄積されるのも炎症の原因になります。

年齢を重ねると、若い頃と同じ動作でも腱鞘炎を発症するリスクが高くなるため、無理せず適度に休憩を取りましょう。

糖尿病の合併症

糖尿病の合併症の一つとして、指がカクッと引っかかる「ばね指」を発症するリスクが高まることが知られています。

これは、高血糖の状態が続くことで、腱そのものの質が変化してしまうためです。

糖尿病と腱鞘炎の関係について、以下の点が指摘されています。

  • 糖尿病患者はそうでない方と比べて、ばね指を発症する頻度が約10倍高い
  • 血糖コントロールの状態を示すHbA1cの値が高いほど、ばね指の発症リスクは上昇する
  • 高血糖で体内に増える終末糖化産物(AGEs)が腱に蓄積し、組織を硬く、もろくさせることが原因
    ※参考:PubMed

指の痛みや動かしにくさを感じている糖尿病の患者さまは、ただの手の使いすぎではなく、ばね指を合併しているサインかもしれません。

血糖コントロールを続けることが、腱鞘炎(ばね指)の予防と改善につながります。

腱鞘炎チェックリスト|手首や指の痛みがある方は要注意

手首や指に続く痛みや違和感がある方は、ご自身の症状が腱鞘炎のサインに当てはまるか、以下のリストで確認してみましょう。

腱鞘炎チェックリスト

  • 手首の親指側が痛む、または腫れている
  • 親指を動かすと痛みが増す
  • 指の付け根(手のひら側)に痛みや腫れがある
  • 指を曲げ伸ばしする時に引っかかる感じがする
  • 物をつかむ、タオルを絞るといった動作で痛む
  • 朝、指がこわばって動かしにくい
  • 親指を中に入れて拳を握り、小指側に手首を曲げると鋭い痛みが走る
  • 長時間のパソコン作業やスマホ操作を日常的にしている
  • 妊娠・出産期、または更年期である

上記の項目に複数当てはまる場合、腱鞘炎を発症している可能性があります。

症状が改善しない、または痛みが強くて日常生活に支障が出ているようでしたら、我慢せずに整形外科など専門の医療機関へ相談しましょう。

腱鞘炎の痛みの治し方

腱鞘炎の痛みを改善する主な選択肢として「保存療法」「手術療法」「再生医療」があります。

上記から症状の進行度やライフスタイルに合わせて適切な治療法を選択します。

ご自身の状況と照らし合わせながら、どのような治し方があるのかを確認していきましょう。

保存療法

保存療法は、手術以外の方法で炎症を鎮め、患部への負担を軽減する治療の基本です。

腱鞘炎の治療では、まず保存療法から開始するのが一般的で、主に「炎症の鎮静」と「患部へのストレス軽減」が目的になります。

具体的な治療内容は、以下のとおりです。

  • 安静と活動の調整
  • サポーターやテーピングによる固定
  • 消炎鎮痛作用のある外用薬や内服薬の使用
  • ステロイド注射

初期の腱鞘炎であれば、まずは安静を心がけ、上記の治療法を併用することで症状の改善が期待できます。

上記の方法の中でも、ステロイド注射は炎症を抑えるのに効果的です。

ただし、繰り返しの使用には注意が必要なため、医師との相談のもとで慎重に進める必要があります。

手術療法

手術療法は、保存療法を続けても症状が改善しない、または再発を繰り返す場合に検討される治療法です。

痛みの原因となっている厚くなった腱鞘の一部を切開し、腱がスムーズに動けるようにすることで、症状の根本的な改善を目指します。

一般的に「腱鞘切開術」と呼ばれる手術の概要は、以下のとおりです。

  • 局所麻酔での日帰り手術が可能
  • 手術時間は15〜30分程度
  • 1〜2cmほどの小さな皮膚切開で完了

腱鞘切開術は、慢性的な痛みや指の引っかかりに悩む方にとって、根治が期待できる有効な選択肢です。

比較的短時間で済む手術なので、体への負担もそこまで大きくありません。

手術の翌日から手を動かせるため、腱鞘炎の痛みや症状を早く治したい方に選ばれる治療です。

再生医療

再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて炎症を抑えたり、損傷した組織の修復を促す先端医療です。

保存療法では十分な効果が得られず手術も避けたいと考える方にとって、新たな治療選択肢になります。

保険適用外の自由診療となりますが、入院や手術の必要がなく日帰りで受けられるため、日常生活を送りながらでも治療可能です。

アレルギーや拒絶反応などの副作用リスクも少ないため「腱鞘炎を手術せずに早く治したい」という方は、ぜひ検討してみてください。

当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例を配信しています。

再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

腱鞘炎の痛みについてよくある質問

ここでは、腱鞘炎の痛みについてよくある質問に回答していきます。

痛みの場所やご自身でできる対処法など、正しい知識を身につけていきましょう。

腱鞘炎で手首に痛みは出る?

指の付け根の痛みをイメージする方も多い腱鞘炎ですが、炎症によって手首に痛みが出ることもあります。

とくに、手首の親指側に痛みや腫れが生じる「ドケルバン病」は腱鞘炎の代表的な種類の1つです。

親指を動かす腱とそれを覆う腱鞘がこすれて炎症を起こすため、物をつかんだり手首をひねったりする動作で痛みが強くなるのが特徴です。

妊娠・出産期や更年期の女性のほか、パソコン作業や育児などで手や指を頻繁に使う方にみられやすい症状です。

以下の記事では、手首が痛いときの対処法について詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。

腱鞘炎の痛みを和らげる方法は?

腱鞘炎の痛みを和らげる基本は、患部を安静に保ち、炎症を鎮めることです。

ご自身でできる対処法として、以下のような方法があります。

  • 痛みの原因となる動作を控え、手や指を休ませる
  • サポーターやテーピングで患部を固定し、動きを制限する
  • 痛み出した直後は冷やし、慢性的な痛みには温める
  • 消炎鎮痛成分を含む湿布や塗り薬を使用する

まずは患部を使いすぎないように意識し、これらのセルフケアを試してみてください。

痛みが長引く、または日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある場合は、医療機関での治療を検討しましょう。

腱鞘炎になったらやってはいけないことは?

腱鞘炎になった際は、以下の行動を避けましょう。

  • 痛いところを確かめようと、何度も押したり動かしたりする
  • 痛みを我慢しながら無理にストレッチやマッサージをする
  • 痛み止めを使いながら、手や指をこれまで通り酷使する
  • 患部に熱感や腫れがあるのに温める

痛みを早く治したいと思うあまり、上記のような行動がかえって症状を悪化させてしまう場合があります。

放置していると症状が慢性化し、回復が遅れる原因にもなるため、まずは患部を安静にすることが回復への近道です。

腱鞘炎の痛みは放置せずに早めの治療が大切

腱鞘炎による痛みは適切な治療を受けることで、症状の改善や再発予防が期待できます

腱鞘炎への対処で意識したいポイントは、以下のとおりです。

  • 安静にする
  • 治療選択肢は豊富にあり、ご自身に合った方法を選べる
  • 手術以外の治療法として再生医療も選択肢となる

手や指の痛みで家事や仕事に支障を感じている方は、我慢せず医療機関に相談することが大切です。

また近年では、手術以外の選択肢として再生医療も注目されており、負担の少ない治療法として検討も可能です。

治療法については、当院リペアセルクリニックの公式LINEからでも確認できますので、ご興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設