膝に水が溜まる原因とは?繰り返す症状に有効な再生医療について解説
公開日: 2019.12.16更新日: 2025.03.07
膝に水が溜まってしまい、痛みや不快感に悩まされている人もいるでしょう。膝に水が溜ると日常生活に支障をきたし、仕事やスポーツにおいても大きな負担となります。
この記事では、膝に水が溜まる主な原因や具体的な治療法、注意点について詳しく解説します。症状の改善に役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にご覧ください。
目次
そもそも「膝に水が溜まる」とはどういう状態?
膝に水が溜まるとは、滑膜といわれる組織から分泌されている関節液が、怪我や体重の増加など、様々な原因により過剰に分泌されている状態のことです。
痛みや腫れなどの初期症状が出る場合があります。
この関節液は、健康な人でも膝関節に通常1~3ml程度ありますが、炎症などを起こした場合30ml以上溜まることもあります。
炎症が起こった場合、関節液の分泌と吸収のバランスが崩れることにより、膝に水が溜まる状態となります。
膝に水が溜まる原因
膝に水が溜る原因は、膝関節にある軟骨や滑膜組織の損傷による炎症です。炎症によって滑膜組織から過剰に関節液が分泌されて、膝に水が溜まります。
主な原因や疾患は、以下の通りです。
上記からなる炎症は、主にスポーツや接触事故の強い衝撃、加齢から膝に負荷がかかり引き起こされます。
代表的な疾患は変形性膝関節症・感染症・リウマチです。
過剰な膝への負担
体重の増加や激しいスポーツなどによる過剰な膝への負担は、膝に水が溜まる原因となります。
適正な体重維持を行い、適度な運動、ストレッチや運動前のウォーミングアップを行うことで、膝への負担を軽減させましょう。
また、長時間のデスクワークで同じ姿勢を保つと血行不良になり、膝関節に悪影響を及ぼすため、定期的に姿勢を変更することも大切です。
半月板損傷や靭帯損傷
膝に水が溜まる原因として、半月板損傷や靭帯損傷をきっかけとした炎症が考えられます。
半月板は膝関節にある軟骨で、クッションの役割を持つ部位です。半月板損傷や靭帯損傷は激しいスポーツや日常生活の急な動きなどによって起こる可能性があります。
半月板損傷が起こると膝が腫れて、過剰に分泌された関節液が膝に溜まることがあります。
変形性膝関節症による膝軟骨のすり減り
変形性膝関節症による軟骨の摩耗によって骨同士の摩擦が生じ、炎症が発生することで膝に水が溜まる原因となります。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、軟骨が徐々にすり減っていく疾患です。
加齢によって軟骨が摩耗しやすくなる中高年に多く見られ、日常的な膝の痛みや腫れを引き起こします。
リウマチ性の関節炎
リウマチ性の関節炎により、滑膜が充血して腫れあがることで過剰に関節液が分泌され、結果として膝に水が溜まる原因となります。
リウマチは自己免疫の異常によって関節が慢性的に炎症を起こし、進行すると関節の変形を伴うリスクがあります。
また、関節炎が続くと膝軟骨が溶けるようになくなることで、膝の曲げ伸ばしが出来なくなり、骨が擦れる痛みも伴います。
細菌やウイルスによる関節炎
怪我や膝関節の注射などにより、細菌やウイルスが関節内に侵入し、急性の痛みや腫れが発生します。
また、虫歯菌が血管に入ってしまい、膝まで運ばれる血行性感染も原因です。
さらに細菌やウイルスによる関節炎が悪化すると、軟骨を破壊してしまい、強い痛みや熱感が発生します。
尿酸の過剰生成による痛風
痛風は足の親指の付け根の関節に発症することもありますが、膝関節に発症が見られた場合、膝に水が溜まる原因になります。
痛風は血中の尿酸値が高くなり、尿酸が過剰に生成されて関節内に蓄積することで炎症を起こします。
尿酸の過剰生成により、血液中のナトリウムと結合することで結晶が作られ関節内に溜まる状態が痛風です。
膝に水が溜まると生じる症状
膝に水が溜まると、歩行時や階段の上り下りなどでの膝の曲げ伸ばしに痛みが生じる症状が出ます。
また、膝が熱っぽく感じたりする場合は、膝関節の炎症が起きている可能性があります。
他にも膝が腫れていることにより、膝が重たい、違和感などの症状もあるのが特徴です。
歩行時や曲げ伸ばし時の痛み
膝に水が溜まると、歩行時や階段の上り下りなどで膝に痛みを感じます。
炎症が起こると滑膜組織から過剰に関節液が分泌されるほか、サラサラした水のような関節液になります。
サラサラの関節液では膝関節の負荷を軽減できず、骨と骨がぶつかるため、歩行時や膝の曲げ伸ばしの際に痛みが生じるのです。
熱感や腫れ
炎症が起きている状態では、膝関節の周囲が腫れます。スポーツで怪我をした場合、傷や内出血だけでなく膝の腫れにも注意が必要です。
軟骨や滑膜組織が損傷し、膝に水が溜まっている可能性も視野に入れて早めに受診してください。
また、腫れだけでなく膝が熱くなる、水が過剰に溜まって膝の周辺がブヨブヨしてくるなどの症状も現れます。
膝に水が溜まった場合の治療法
膝に水が溜まった場合の治療は、症状の原因や程度に応じて選択します。
軽度の場合は保存的治療が基本となりますが、症状が改善しない場合は他の治療が必要です。症状に合わせて治療を選択し、症状の改善を目指します。
治療法 | 内容 |
---|---|
保存療法 | 消炎鎮痛剤の投薬や膝周辺のリハビリ |
手術療法 | 関節の修復や人工関節置換 |
再生療法 | PRPや幹細胞を利用により軟骨や組織の再生を促進 |
投薬や物理的な治療による保存療法
膝に水が溜まった場合、消炎鎮痛剤の投薬や、安静、圧迫、挙上(RICE療法)などを組み合わせて治療する保存療法があります。
専門の理学療法士による指導のもと、膝周辺の筋力や柔軟性を強化することにより、再発を防止することが目的です。
消炎鎮痛剤では、膝の関節の動きを痛みを緩和するヒアルロン酸注射や、膝の炎症や痛みがひどい場合に緩和するステロイド注射があります。
人工関節置換などの手術療法
重度の変形性膝関節症や半月板・靭帯の損傷、リウマチを発症している場合などは、手術療法を行う場合があります。
それぞれ症状に応じて、以下のような手術が検討されます。
- 変形性膝関節症の場合:人工膝関節置換術・骨切り術・関節鏡視下手術
- 半月板損傷の場合:半月板縫合術・半月板切除術
- 膝の靭帯損傷の場合:靭帯再建術・靭帯縫合術
- リウマチ性関節炎:人工膝関節置換術・骨膜切除術
いずれも保存療法などによって改善が見られない場合に適用されるケースがほとんどです。
手術を回避するためにも早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
PRPや幹細胞を利用した再生療法
膝に水が溜まる症状では、PRPや幹細胞を利用した再生療法が治療の選択肢となります。
- PRP療法:患者さまの血液から抽出した血小板の濃縮液を用いて行う治療
- 幹細胞療法:患者さまの脂肪から幹細胞を採取・培養し、患部に投与する治療
再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。
膝に水が溜まる原因に関するよくある質問
膝に水が溜まる原因に関するよくある質問を2つ紹介します。
気になる疑問を解消して、症状の改善に向けた行動をとりましょう。
膝に溜まった水は自分で治せますか?
軽度の腫れであれば、安静にして膝への負担を減らすと自分で治せるケースがあります。
ただし、原因によっては医師の診断と治療が必要です。とくに感染症やリウマチ、関節の損傷が疑われる場合は、薬物治療やリハビリが欠かせません。
症状が続く場合は、専門医に相談しましょう。
太り過ぎは膝に水が溜まる原因になりますか?
太り過ぎは体重過多によって膝への負担が大きくなるため、膝に水が溜まる原因になります。
体重が増えると膝関節にかかる負担が増し、軟骨や関節に過剰な圧力がかかるためです。圧力がかかると軟骨の摩耗や炎症を引き起こし、膝に水が溜まる要因になります。
また、肥満は変形性膝関節症のリスクを高めます。体重管理を行い、膝への負担を減らしましょう。
【まとめ】膝に水が溜まってお困りの際は当院へご相談ください
膝に水が溜まる原因は膝への過剰な負担や変形性膝関節症、細菌やウイルス性の関節炎など多くの原因があります。
膝に水が溜まると現れる症状は、歩行時の痛みや熱感、腫れなどです。
治療法は症状の原因や程度によって異なり、保存療法や手術療法に加えて、再生医療という選択肢もあります。
再生医療は、患者さま自身の血液や幹細胞を利用するため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。再生医療が気になる方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。