- 頭部
- 頭部、その他疾患
- 再生治療
脳炎による後遺症とは?回復を目指す治療法についても医師が解説

脳炎を経験した後、「記憶力が以前より落ちた」「体の動きがうまくコントロールできない」「気分の波が激しくなった」など、日常生活に支障をきたす症状に悩んでいる方やそのご家族も多いのではないでしょうか。
脳炎とはウイルス感染や自己免疫の異常などによって脳に炎症が生じる病気で、急性期の治療後も神経細胞へのダメージが残ることで、さまざまな後遺症が現れる場合があります。
後遺症の種類や程度は個人差が大きいものの、早期からの適切な治療とリハビリへの取り組みが、回復への鍵となります。
本記事では、脳炎による後遺症の種類と原因、回復を目指すための治療法・リハビリについて医師が解説します。
また従来のリハビリや薬物療法で改善が十分に見られない場合、再生医療という新たなアプローチも選択肢の一つとなります。
再生医療とは、患者さま自身の細胞が持つ修復・再生能力を活用して、損傷した神経や組織の回復を促す治療法です。
再生医療について詳しく知りたい方は、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
脳炎による後遺症とは
脳炎による後遺症とは、脳の炎症によって生じた神経細胞のダメージが治療後も残り、さまざまな機能障害として現れる状態です。
後遺症はすべての方に残るわけではありませんが、症状が現れた場合には早期の治療介入とその後の継続的なケアが非常に大切です。
以下では、代表的な後遺症の種類ごとに詳しく解説します。
認知機能障害|記憶・注意力・言語機能が低下する
認知機能障害は、脳炎後の後遺症の中でも特に多くの方に見られる症状であり、以下のように日常生活の基盤となる機能に影響を与えます。
| 言語機能の障害 | 主な症状 |
|---|---|
| 話す力の障害(表出性失語) | 言葉がなかなか出ない・文法を誤って話す |
| 聞く力の障害(理解性失語) | 話の内容が理解できない・指示に従えない |
| 読み書きの障害(失読・失書) | 文字が読めない・字が書けない・誤字が増える |
脳炎による炎症が海馬(かいば)や前頭前野(ぜんとうぜんや)に及ぶと、神経細胞が損傷し、アセチルコリンなどの神経伝達物質が減少することで、新しいことが覚えられない・以前の記憶が曖昧になるといった記憶力の低下が生じる場合があります。
また、炎症が広範囲に及んだり、脳浮腫が生じたりすると、脳全体のネットワーク機能が乱れ、以下のような症状が現れることがあります。
- 集中力の低下
- 判断力の低下
- 注意力の低下
- 計画・実行能力(遂行機能)の低下
さらに言語をつかさどるブローカ野やウェルニッケ野が損傷を受けると、さまざまなタイプの失語症が現れることがあります。
これらの認知機能障害は、本人が気づきにくい場合もあるため、家族や周囲の方が変化に気づいた際には、早めに専門医へ相談することが大切です。
運動障害・麻痺・ふらつき|身体機能への影響
脳炎による後遺症として、以下のように手足の麻痺や筋力低下、ふらつきなどの運動障害が現れることがあります。
| 症状名 | 主な特徴 |
|---|---|
| 運動失調(ふらつき) | まっすぐ歩けない・体がふらつく |
| 企図振戦(きとしんせん) | 手を目標物に近づけるほど震えが強くなる |
| 協調運動障害 | ボタンかけ・箸の操作など細かい動作が難しくなる |
| 構音障害(こうおんしょうがい) | 発音が不明瞭になり、言葉が聞き取りにくくなる |
| 痙縮(けいしゅく)・固縮(こしゅく) | 筋肉が突っ張る・硬くなる異常な筋緊張が生じる |
脳炎によって運動野や神経伝達経路が障害されると、片側または両側の手足に麻痺や筋力低下が生じることがあります。
また、小脳が損傷を受けると、体のバランスや動きの調整機能が低下し、以下のような症状が現れることがあるので注意が必要です。
- ふらつき
- 動作のぎこちなさ
- 手の震え
これらの運動障害は、歩行や食事、着替えなどの日常生活の自立度に大きく関わる症状です。
症状がみられる場合は、早期から理学療法(リハビリテーション)を開始し、継続的に取り組むことが大切になります。
てんかん発作|脳炎後に起こりうる
脳炎によって神経細胞が損傷を受けると、脳の電気的な活動が不安定になり、過剰な放電が繰り返されることで、てんかん発作を引き起こすことがあります。
てんかん発作の種類には主に以下のものがあります。
| 発作の種類 | 主な症状 |
|---|---|
| 部分発作(焦点発作) | 手足の一部の痙攣・しびれ・感覚の異変など、脳の一部からの発火によって起こる |
| 全般発作 | 意識消失・全身の強直間代性けいれん(硬直と律動的な震え)を伴う |
| てんかん重積(じゅうせき) | 発作が長時間止まらない状態。緊急の医療対応が必要とされる |
再発リスクがあるため、抗てんかん薬による適切な薬物療法と継続的な医師による経過観察が不可欠です。
発作が日常生活に影響を与えている場合は、自己判断で服薬を中止せず、必ず主治医に相談しましょう。
感情のコントロールが難しくなる|情緒不安定な状態が続く
脳炎の後遺症として、以下のように感情のコントロールが難しくなる「情緒不安定」な状態が続くことがあります。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 易怒性(いどせい)・過敏反応 | 小さな出来事に対してもイライラしやすく、感情的になりやすい |
| 不安・抑うつ | 強い不安感・気分の落ち込みが続き、何に対しても意欲が湧かない |
| 衝動的な行動 | 結果を考えずに行動してしまう・言葉を止められない |
脳の扁桃体(へんとうたい)や前頭前野など、感情の調整に関わる部位が炎症の影響を受けると、感情の起伏が激しくなり、急に怒り出したり涙ぐんだりする症状が現れることがあります。
気分の沈みや意欲の低下が長く続く場合は、一人で抱え込まずに精神科や心療内科を受診しましょう。
本人はもちろん、ご家族もともに専門家のサポートを活用しながら対処していくことが大切です。
脳炎の後遺症は回復する?改善を目指すための治療法とリハビリ
脳炎の後遺症の回復・改善には、自己判断を避け、医師の指導のもとで早期から複数のアプローチを組み合わせることが重要です。
代表的な治療・リハビリの方法を以下の表にまとめました。
| アプローチ | 内容・目的 | 主な対象症状 |
|---|---|---|
| 言語療法(ST) | 発声練習・言語訓練・嚥下(えんげ:飲み込み)訓練などを通じて、話す・聞く・飲み込む機能の回復を目指す | 失語症・嚥下障害・構音障害 |
| 作業療法(OT) | 着替えや調理などの日常生活動作の訓練、記憶力・注意力トレーニングなどで生活の自立を支援する | 認知機能障害・協調運動障害・日常生活動作の困難 |
| 理学療法(PT) | 歩行練習・筋力トレーニング・バランス訓練を通じて、身体機能と移動能力の回復を目指す | 麻痺・筋力低下・運動失調・ふらつき |
| 薬物療法 | 抗てんかん薬・抗うつ薬・睡眠薬・抗不安薬などにより、神経伝達を整え、症状を和らげてリハビリに取り組みやすい状態をつくる | てんかん・不眠・不安・抑うつ |
| 生活習慣の改善 | 栄養バランスの取れた食事・質の高い睡眠・適度な運動など、神経の回復を支える環境づくりを行う | 全般的な後遺症の回復基盤 |
| 精神的ケア・カウンセリング | 不安や抑うつに対して心理士・精神科医によるカウンセリングを活用し、心の安定とリハビリへの意欲を維持する | 情緒不安定・抑うつ・社会復帰の困難 |
これらのアプローチは、症状の種類や重さ、回復の段階に応じて組み合わせることが大切です。
専門家と連携しながら、無理のない範囲で継続的に取り組むことが、後遺症の改善に向けた大きな一歩となります。
脳炎による後遺症の回復期間の見込みはある?
脳炎による後遺症の回復にかかる期間は、炎症の程度・広がり・症状の種類・個人の回復力などによって異なります。
軽度の後遺症であれば数週間から数ヶ月で改善が見られることもある一方、重篤な神経障害が残った場合は数年以上にわたってリハビリを継続しても、元の状態に完全に戻ることが難しいケースもあるとされています。
以下に、回復に影響する主な要因を整理します。
| 回復に影響する要因 | 内容 |
|---|---|
| 炎症の程度・範囲 | 炎症が脳の広い範囲に及ぶほど、後遺症が重くなる傾向がある |
| 治療開始のタイミング | 発症後早期に適切な治療を開始できたかが、神経障害の程度に影響する |
| 年齢・体の回復力 | 若い方は脳の可塑性が高く、回復が比較的早い傾向がある |
| リハビリの継続性 | リハビリを中断せず、長期にわたって根気強く継続することが回復の鍵 |
| 周囲のサポート環境 | ご家族や医療・福祉チームによる支援体制が、回復意欲と実際の改善に関わる |
回復はゆっくりと進むことが多く、日々の小さな改善を前向きに捉えることがモチベーションの維持につながります。
焦らず自分のペースで、途中で中断せずに根気強くリハビリを継続する姿勢が求められます。
また、経過の中で「伸び悩み」を感じた場合でも、リハビリの方法を見直したり、新たな治療の選択肢を専門医に相談したりすることで、改善の糸口が見つかることもあります。
脳炎の後遺症改善を目指すなら、再生医療も選択肢の一つ
脳炎による後遺症には、以下のようなものがあります。
- 認知機能障害
- 運動障害・麻痺・ふらつき
- てんかん発作
- 感情のコントロールが難しくなる
これらの脳炎の後遺症を放置・治療を中断すると、炎症や神経障害が慢性化し、身体機能の低下だけでなく、気分の落ち込みや社会的孤立など精神的な悪化を招く恐れがあります。
従来のリハビリや薬物療法で改善が十分に得られない場合、「再生医療」もご検討ください。
再生医療により、身体機能(後遺症)の回復やリハビリ効果の向上が期待できるだけでなく、今後の症状悪化を防ぐ予防的効果も期待できます。
再生医療という選択肢を検討されている方は、まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでも、再生医療に関する情報や症例を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長























