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空腹時の運動で血糖値が上昇する理由とは?効果的なタイミングを解説【医師監修】

空腹時の運動で血糖値が上昇する理由とは?効果的なタイミングを解説【医師監修】
公開日: 2026.02.27

「空腹時に運動すると血糖値が上昇するのはなぜ?」
「血糖値の上昇を防ぐにはいつ運動すべき?」

健康のために運動を頑張っているのに、逆に血糖値の上昇を招いてしまい、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

空腹時に激しい運動をすると、エネルギー不足を補おうとして一時的に血糖値が上昇しやすくなります。

本記事では、空腹時の運動で血糖値が上昇するメカニズムや、効果的な運動タイミングについて詳しく解説します。

「糖尿病のリハビリとして運動を行っている方」や「健康を意識して運動をしたい方」は、ぜひ参考にしてください。

空腹時の運動で血糖値が上昇するメカニズム

空腹時の運動で血糖値が上昇する原因として、運動で消費されるエネルギーを確保するため、体内に蓄えられた糖が血液中に放出されることが挙げられます。

具体的には、以下のような働きによって一時的に血糖値が上昇しやすくなります。

以下では、それぞれの詳しい働きについて解説します。

アドレナリンによる肝臓からの糖放出

運動によって自律神経が活性化されると「アドレナリン」や「グルカゴン」というホルモンが分泌されます。

この2つのホルモンには、肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解し、ブドウ糖として血液中に放出させる働きがあります。

空腹時は血液中の糖分が少ない状態であるため、運動エネルギーを素早く確保しようと、この働きが強く起こります。

その結果として血液中の糖分が増加し、一時的に血糖値が上昇してしまうのです。

交感神経の活発化とインスリン抑制

運動中は自律神経のうち、身体を活発に動かすための「交感神経」が優位に働きます。

交感神経が活発になると、血糖値を下げる唯一のホルモンである「インスリン」の分泌が抑制されるのが特徴です。

運動によって肝臓から糖が大量に放出されているにもかかわらず、それを処理するインスリンの働きが弱まります。

そのため、血液中に糖が滞りやすくなり、結果として血糖値の上昇に拍車がかかることになります。

エネルギー不足を補う体の防御反応

空腹時に運動で血糖値が上昇するのは、身体がエネルギー不足に陥るのを防ぐための重要な防衛反応の一つです。

空腹のまま激しい運動をすると、筋肉だけでなく脳に必要なエネルギーまで不足し、倒れてしまう危険性があります。

そのため、身体は危機を察知して自ら血糖値を上げ、生命活動を維持しようと懸命に働くのです。

ただし、この防御反応によって過度に血糖値が上がりすぎると、身体に負担をかける結果となるため注意しましょう。

空腹時の運動による「血糖値」に関するリスク・注意点

空腹時の運動は血糖値のコントロールにおいて、いくつかの危険なリスクを伴います。

健康な方であれば問題ないケースも多いですが、すでに血糖値が高めの方や糖尿病を治療中の方は、特に注意が必要です。

以下で、具体的なリスクについて詳しく確認していきましょう。

空腹時血糖値が高い方は血糖値が急上昇するリスクがある

もともと空腹時の血糖値が高い方は、空腹での激しい運動によってさらに数値が跳ね上がる危険性があります。

特に「空腹時血糖:250mg/dL以上」の方は、運動を禁止または制限すべきと判断される状況です。
※出典:糖尿病情報センター「糖尿病の運動のはなし」

先述のとおり、空腹時の運動ではエネルギー不足を補うために肝臓から大量の糖が血液中に放出されます。

インスリンの働きが低下している状態では、この放出された大量の糖をうまく処理できません。

結果として血液中に糖があふれ、かえって血糖値を急激に悪化させる原因となってしまうのです。

薬を服用中の方は低血糖を引き起こす危険がある

糖尿病の治療薬(SU剤やインスリン)を服用している方は、空腹時に激しい運動をすることで「低血糖」を引き起こす恐れがあります。

薬の効果で血糖値が下がりやすくなっているところに、運動によるエネルギー消費が加わるためです。

急激な低血糖状態に陥ると、大量の冷や汗やめまい、最悪の場合は意識を失う危険性も伴います。

治療中の方は決して自己判断せず、運動のタイミングや食事について必ず主治医に相談してください。

【空腹時は避ける】血糖値を下げるのに効果的な運動タイミング

血糖値を効果的に下げるためには、空腹状態での激しい運動を避け、食後や夕方の時間帯を選ぶことが重要です。

主に以下の2つのポイントを押さえて運動習慣を身につけましょう。

以下で、摂取した糖分を効率よく消費できる理想的なタイミングについて詳しく解説します。

食後1〜2時間が推奨される

血糖値を上手にコントロールするためには、食事を終えてから1〜2時間後の運動が推奨されています。

食事から摂取した糖分が血液中に溶け出し、血糖値が最も高くなるピークの時間帯に当たるためです。

このタイミングで体を動かすと、血液中にあふれた余分な糖分が筋肉を動かすエネルギーとして効率よく消費されます。

結果として、食後の急激な血糖値の上昇(スパイク)をなだらかに抑えることができ、血管へのダメージも大きく軽減できます。

早朝よりも夕方の運動がおすすめ

運動に取り組む時間帯としては、空腹状態になりやすい早朝よりも、夕方から夜にかけて行うのがおすすめです。

早朝の起床直後は体内のエネルギーが枯渇しており、運動すると防衛本能が働いて逆に血糖値が跳ね上がるリスクがあります。

また、起床時は水分不足で血液がドロドロになりやすく、心筋梗塞などの予期せぬトラブルを引き起こす危険性もゼロではありません。

日中の活動で体が十分に温まり、食事でエネルギーも補給されている夕方であれば、運動によって血糖値を下げることが可能です。

血糖値コントロールに効果的な運動法

血糖値を良好にコントロールするには、有酸素運動と無酸素運動を組み合わせ、日常的な活動量を増やすことが効果的です。

以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

有酸素運動

有酸素運動は、ウォーキングや軽いジョギングなど、全身の筋肉を使いながら十分な酸素を取り込む運動です。

これらの運動は、筋肉を動かすエネルギーとして血液中のブドウ糖が効率よく消費され、血糖値が速やかに低下します。

また、継続することで内臓脂肪が減少し、血糖値を下げるインスリンの働きが改善する効果も期待できます。

息がはずむ程度の適度な強さで、1回20〜60分の有酸素運動を週3〜5回、週合計150分以上を目標に続けるのが理想的です。
※出典:糖尿病診療ガイドライン2024「4章 運動療法」

無酸素運動

無酸素運動は、スクワットやダンベルを使った筋力トレーニングなど、短時間に強い負荷をかける運動です。

筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、安静時でもより多くの糖分を消費できる体質へと変化します。

さらに、筋肉そのものがブドウ糖を蓄える役割を果たすため、食後の急激な血糖値上昇を防ぐ効果もあります。

有酸素運動の前に軽い筋力トレーニングを行うと、脂肪燃焼や血糖コントロールの効果がさらに高まります。

日常動作も有効な運動の一つ

まとまった運動の時間が取れない場合は、日々の生活の中で活動量を意識的に増やすだけでも十分な効果が期待できます。

例えば、通勤時に一駅手前で降りて歩いたり、エスカレーターの代わりに階段を利用したりするのがおすすめです。

また、食後に座ったまま過ごさず、食器洗いや掃除などの家事をこまめに行うことも、食後の血糖値上昇を抑えるのに有効な方法です。

日常生活のちょっとした動作も立派な運動になるため、できることからコツコツと継続しましょう。

運動による血糖値の上昇を防ぐには空腹時を避けることが重要

空腹時の激しい運動で血糖値が上昇するのは、運動時のエネルギー不足を補おうとする仕組みによるものです。

運動による血糖値の上昇を防ぐには、空腹時を避け、「食後1〜2時間」や「夕方」に運動することが推奨されます。

ウォーキングなどの有酸素運動に、下半身を鍛えるスクワットなどの無酸素運動を組み合わせることで、糖を消費しやすい体質を目指しましょう。

また、糖尿病にお悩みの方は、自己細胞を用いた「再生医療」による治療をご検討ください。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて、すい臓の機能や血管の再生・修復を促す医療技術です。

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当院リペアセルクリニックでは、2型糖尿病に対する再生医療について無料カウンセリングを実施しております。ぜひご相談ください。

監修者

渡久地 政尚

Masanao Toguchi

医師

略歴

1991年3月琉球大学 医学部 卒業

1991年4月医師免許取得

1992年沖縄協同病院 研修医

2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務

2008年沖縄協同病院 内科 勤務

2012年老健施設 かりゆしの里 勤務

2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長

2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長

2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長