ぎっくり腰の症状チェックリスト|注意点や医療機関を受診すべき症状を解説

ぎっくり腰の症状チェックリスト|注意点や医療機関を受診すべき症状を解説
公開日: 2025.11.28

「腰に激痛が走ったので、ぎっくり腰か確認したい」
「ぎっくり腰によくある症状は?」

何かの動作をきっかけに腰に激しい痛みがあり、どのような症状がぎっくり腰かチェックしたいという方も多いでしょう。

本記事では、ご自身の症状がぎっくり腰に当てはまるかを判断するための「セルフチェックリスト」や、危険なサインの見分け方について解説します。

痛みの原因を正しく理解し、適切な対処への第一歩としてお役立てください。

ぎっくり腰の症状チェックリスト

突然激しい腰痛に襲われた際に、それが一般的な「ぎっくり腰」なのか、別の疾患なのかを見極めることは、その後の適切な処置において非常に重要です。

まずは、以下のチェックリストでぎっくり腰が疑われる症状に当てはまるか確認してみてください。

【ぎっくり腰(急性腰痛症)セルフチェックリスト】

  • 重い荷物を持った瞬間に激痛が走った
  • 前かがみになった拍子に腰を痛めた
  • せきやくしゃみの衝撃で痛くなった
  • 朝起きた時や、立ち上がる瞬間に痛む
  • 動くと痛いが、じっとしていると楽になる
  • 腰が「くの字」に曲がり、まっすぐ伸ばせない
  • 寝返りを打つだけでも激痛が走る

上記のような症状は、腰の筋肉や関節に急激な炎症が起きているときに見られる典型的なぎっくり腰のサインです。

一般的なぎっくり腰の場合、楽な姿勢で安静にし、炎症が治まるのを待つことで数日から数週間で自然に痛みが引いていきます。

「1ヶ月以上痛みが続く」「腰痛以外の症状もある」などの症状は、早期治療が必要なケースや別の原因が潜んでいる可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。

以下では、医療機関を受診すべき症状について解説していきます。

医療機関を受診すべき症状

「ただのぎっくり腰だろう」と自己判断せず、以下の「危険なサイン(レッドフラッグ)」が見られる場合は、早急に整形外科などの専門医へ相談することを強く推奨します。

特に注意したい症状は、以下のとおりです。

症状 具体的な症状の例
安静時の痛み ・横になってじっとしていても痛みが変わらない
・夜も眠れないほどの痛みがある
しびれなどの神経症状 ・お尻から太もも、足先にかけて電気が走るような痛みや痺れがある
・足に力が入らず、歩行が難しくなった
排泄トラブル ・尿が出にくい、尿漏れなどの排泄トラブルがある
全身症状を伴う腰痛 ・発熱を伴う腰の痛み
・腰痛だけでなく、胸の痛みや冷や汗がある

腰痛の中には椎間板ヘルニアや圧迫骨折、あるいは内臓疾患が原因となっているケースも潜んでおり、これらは自然治癒を待つだけでは解決しません。

上記の症状は、筋肉の炎症にとどまらず、神経や臓器にトラブルが起きている可能性を示唆しています。

「動けるから大丈夫」と我慢するのではなく、専門家の診断を仰ぐことが重症化を防ぐための賢明な選択です。

ぎっくり腰の症状をチェックするときの注意点

ぎっくり腰の症状をセルフチェックするときは、以下のポイントに注意しましょう。

  • 「どこまで曲げられるか」などの無理な動作確認は避ける
  • セルフチェックは確定診断ではないため、あくまで目安と捉える
  • 数日経っても痛みが変わらない、あるいは悪化する場合は、医療機関の受診を検討する

やってしまいがちな行動ですが、痛みを確かめるために無理に体を動かしたり、痛む姿勢をわざと再現したりしないでください。

傷ついた筋肉や関節にさらなる負担をかけ、炎症を広げてしまうリスクがあるため、あくまで「安静にした状態」で確認することが重要です。

セルフチェックで疑われる症状があった場合は、医療機関での診断を仰ぎましょう。

ぎっくり腰の診断方法

医療機関での診断は、「ぎっくり腰であることを証明する」というよりも、「ヘルニアや骨折など、他の重篤な疾患ではないことを確認する(除外診断)」というプロセスが中心となります。

そのため、医師は患者さまからの情報と、客観的な検査結果を組み合わせて慎重に判断します。

本章では、医療機関で一般的に行われるぎっくり腰の診断の流れについて解説します。

具体的にどのようなことを聞かれ、どのような検査が行われるのかを確認していきましょう。

問診・触診

ぎっくり腰の診断の精度を高めるための大きな手がかりは、患者さまご自身の言葉(問診)にあります。

医師は「いつ、どのような体勢で痛めたか」を詳細に聞き取り、実際に体に触れて筋肉の緊張や痛みの場所を確認します。

受診の際は、以下の情報を整理して伝えるとスムーズです。

項目 詳細
発症の状況 重い物を持った、くしゃみをした、朝起きたら痛かったなど。
痛みの場所 腰の真ん中か、左右どちらかか、お尻や足に響くか。
姿勢による変化 前かがみが痛いか、反ると痛いか。
既往歴 過去に腰痛やヘルニア、内臓の病気などを経験しているか。

また、仰向けの状態で足を伸ばしたまま持ち上げて神経の圧迫を調べる「SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)」などを行い、ヘルニアの疑いがないかをチェックすることもあります。

画像検査

問診や触診で「骨や神経に異常があるかもしれない」と判断された場合や、痛みが激しい場合には、画像検査が行われます。

主な検査の種類と目的は、以下のとおりです。

検査方法 特徴・目的
レントゲン(X線) ・骨の状態を確認する基本の検査
・圧迫骨折や骨の変形、がんの骨転移などがないかを調べる
MRI検査 ・神経や椎間板、筋肉の状態を詳しく見る検査
・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の確定診断に用いられる

ここで知っておきたいのは、一般的なぎっくり腰(筋肉や筋膜の炎症)は、レントゲンには写らないという点です。

検査の結果「骨や神経に異常はない」となれば、筋肉や靭帯に対する治療を受けることでつらい腰痛も改善に向かいます。

ぎっくり腰の症状を引き起こす原因とは

ぎっくり腰は、ある日突然「グキッ」と起こるイメージが強いですが、実は日々の生活習慣や加齢によって蓄積された腰へのダメージが、ふとした動作をきっかけに許容量を超えてしまうことが主な原因と考えられています。

本章では、ぎっくり腰を引き起こす代表的な3つの原因について解説します。

原因を知ることは、痛みの再発を防ぐための重要なヒントにもなるでしょう。

腰に負担のかかる動作

ぎっくり腰の直接的な原因となるのが、腰の筋肉や関節に対して瞬間的に過度な負荷がかかる動作です。

特に以下のようなシーンは、ぎっくり腰を引き起こすトリガーとなりやすいため注意しましょう。

  • 重量物を腰だけで持ち上げる動作
  • 急に体をひねったり、曲げたりする動作
  • くしゃみや咳をしたときの予期せぬ強い衝撃
  • ゴルフやテニスなどの腰を旋回させる運動

準備運動なしに腰をひねるような動きをしたり、不適切な姿勢で動いたりすることで、組織が耐えきれずに損傷してしまいます。

これらの動作は、普段なら何でもないことでも、疲労が溜まっている時には大きなダメージとなり得ることを意識しておくと良いでしょう。

不良姿勢による負担の蓄積

特定の動作をしていないのにぎっくり腰になる場合、長時間にわたる「姿勢の悪さ」が原因となり、筋肉が慢性的な緊張状態にあることが考えられます。

現代の生活において、特にリスクを高めるのが以下の要因です。

  • デスクワークなどで長時間座りっぱなし
  • 猫背や反り腰などの姿勢を正さずに生活する
  • スマホの長時間利用で前屈みの姿勢が続く

上記のように同じ姿勢を続けたり、姿勢が悪い状態のまま生活したりすると、筋肉が凝り固まって血流が悪くなり、柔軟性が失われてしまいます。

「腰が重だるい」と感じている方は、すでに負担の蓄積が限界に近づいている可能性があります。

腰への負担を避けるために、定期的に姿勢を正す意識を持つと良いでしょう。

加齢による関節や椎間板の衰え

年齢を重ねるにつれて、背骨のクッション役である「椎間板(ついかんばん)」の水分が減少し、弾力性が失われていくことも原因の一つです。

若い頃なら吸収できていた衝撃も、クッション機能が低下した状態ではダイレクトに骨や周囲の組織に伝わってしまいます。

加齢による変化は避けられないものですが、以下の点に気をつけることでリスクを減らすことは可能です。

  • 腰周辺の筋力を維持する
  • 体の柔軟性を確保する

ご自身の年齢や体の変化に合わせて、動き方やケアの方法を見直していくことが大切と言えるでしょう。

ぎっくり腰の症状チェックに関してよくある質問

ぎっくり腰は誰にでも起こる可能性があるトラブルだからこそ、「自分の症状は普通なのか」「何が原因なのか」と疑問を感じる場面も多いものです。

本章では、ぎっくり腰の症状チェックについてよくある、以下の3つの疑問について回答します。

痛みの場所や程度、体型の傾向を知ることで、ご自身の腰の状態をより深く理解でき、再発予防につなげることができるでしょう。

ぎっくり腰はどのあたりが痛む?

ぎっくり腰は一般的に、腰の中央(背骨周辺)から骨盤の上のライン(ベルトのあたり)にかけて痛みが出ることがほとんどです。

炎症が起きている組織や範囲によって、痛む場所には以下のような特徴があります。

  • 腰の片側:左右どちらかの筋肉や関節をピンポイントで傷めた場合。
  • 腰全体:広い範囲の筋肉が緊張し、炎症が広がっている場合。
  • お尻や足:ぎっくり腰だけでなく、椎間板ヘルニアの併発が疑われる場合。

もし腰の痛みにとどまらず、太ももや足先にまで響くようであれば、神経が圧迫されている可能性があります。

腰痛以外の症状を伴う場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

軽いぎっくり腰の症状は?

軽度のぎっくり腰は、激痛で動けなくなるわけではなく、「特定の動作で痛むが、日常生活はなんとか送れる」というレベルの状態です。

単なる疲れと見過ごされがちですが、以下のようなサインが出ていないか確認しましょう。

  • 立ち上がる瞬間や動き出しにだけ「ズキッ」とする。
  • 前かがみや腰を反らすと、突っ張り感や痛みがある。
  • 腰の奥に重だるさや、何かが引っかかっている感覚がある。

「動けるから大丈夫」と無理をしてしまうと、数日後に本格的なぎっくり腰を引き起こし、激痛に襲われることがあります。

軽い違和感でも、数日間は激しい動きを控えて様子を見ることが大切です。

ぎっくり腰になりやすい体型は?

ぎっくり腰になりやすい体型として、「肥満体型」と「筋力不足の痩せ型」が挙げられます。

特定の体型だから必ずぎっくり腰になるわけではありませんが、「腰への負担が集中しやすい姿勢や重心バランス」を持っている方はリスクが高くなります。

肥満体型の方は、お腹の重みで重心が前にずれて、腰の筋肉に常時負荷がかかるため、大きな衝撃をきっかけとしてぎっくり腰を引き起こしやすいです。

一方で、筋力不足で痩せ型の方は、上半身を支える腹筋や背筋が弱く、骨や関節への負担が大きいため、ぎっくり腰になりやすいといえます。

腰を守るためにも、ご自分の身長や体格に合わせた体重コントロールや筋力トレーニングを取り入れましょう。

ぎっくり腰の症状チェックに該当したら医療機関を受診しよう

ぎっくり腰の症状チェックに複数該当したり、腰痛以外の症状も伴っていたりする場合は、医療機関を受診することを検討しましょう。

軽いぎっくり腰であれば、1〜2日の安静期間を設け、腰への負担をかけないように生活することで数日から数週間で痛みは引いていきます。

しかし、「安静時にも激しい痛みを感じる」「発熱やしびれなどの腰痛以外の症状もある」などの場合は、ヘルニアなどの疾患の可能性が考えられます。

ヘルニアなどの神経症状は、自然に改善することはほとんどないため、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

近年の治療では、ヘルニアなどの神経症状の根治を目指す治療法として、再生医療が注目されています。

当院リペアセルクリニックの再生医療によって、ヘルニアが改善した症例を紹介していますので、以下の動画も併せてご覧ください。

「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院の無料カウンセリングにてご相談ください。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設