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ぎっくり腰で病院に行くのは意味ない?医療機関受診の目安と治し方について解説

ぎっくり腰とは、急に腰に激しい痛みが生じる「急性腰痛症」のことで、重いものを持った瞬間や中腰になったときに発症します。
多くの場合は数日から2週間程度で自然に回復しますが、場合によっては重篤な疾患が隠れている可能性があります。
「ぎっくり腰で病院に行っても意味がない」という話を聞いたことがあり、病院に行くべきかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には特定の症状がある場合は医療機関での適切な診断と治療が重要です。
この記事では、ぎっくり腰で病院に行くべき症状の目安と、医療機関で受けられる治療法について詳しく解説します。
ぎっくり腰でお悩みの方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。
また、現在リペアセルクリニックの公式LINEでは、神経損傷による腰痛を手術せずに改善が期待できる再生医療に関する情報を発信しています。
慢性的な腰痛や神経損傷に関する症例も紹介しているため、腰痛にお悩みの方はぜひ再生医療についてご確認ください。
目次
ぎっくり腰で病院に行った方がいい症状の目安
ぎっくり腰になった場合、すべてのケースで病院受診が必要というわけではありません。
しかし、以下に該当する場合は、適切な診断と治療を受けることが重要です。
これらの症状がある場合は、単なる筋肉の問題ではなく重篤な疾患が隠れている可能性があるため、迷わず医療機関を受診しましょう。
痛みが2週間以上続く場合
通常のぎっくり腰は2〜3日をピークに徐々に痛みが和らぎ、2週間程度で改善することが多いです。
しかし、痛みが2週間以上続く場合や繰り返しぎっくり腰になる場合は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの疑いがあります。
椎間板ヘルニアとは、背骨の間でクッションの役割を果たす椎間板の中にある組織が外へ飛び出し、神経を圧迫して痛みやしびれが生じる疾患です。
脊柱管狭窄症は、背骨の中にある神経の通り道が狭まることで神経が圧迫され、腰や下半身の痛みやしびれが現れる疾患です。
これらの疾患に気づかずに放置すると、痛みが長引き、場合によっては手術が必要になるケースも考えられます。
痛みが続く場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。
足腰にしびれや麻痺がある場合
腰痛に加えて足にしびれや麻痺がある場合は、神経の圧迫が起きている可能性が高いです。
「足に力が入らない」「足を引きずるように歩く」「排尿や排便のコントロールが困難」といった症状は、治療が必要な場合があります。
これらの症状は「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」による神経圧迫の可能性があり、放置すると神経の損傷が進行するリスクがあります。
しびれ・麻痺の症状がある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
発熱を伴う場合
ぎっくり腰に38度以上の発熱や全身のだるさが伴う場合は、単なる筋肉の問題ではなく感染症の可能性があります。
とくに注意が必要なのは「化膿性脊椎炎」という背骨の感染症です。
化膿性脊椎炎は、細菌が血液を介して脊椎に感染することで炎症を引き起こす疾患で、高齢者や糖尿病患者、免疫力が低下している方がかかりやすいといわれています。
この疾患は抗生物質治療が必要であり、放置すると脊髄損傷や敗血症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
体温が38度以上ある場合や、悪寒、食欲不振などの全身症状がある場合は、医療機関を受診してください。
高齢者の場合
高齢になると骨がもろくなる骨粗鬆症を発症している可能性が高く、ぎっくり腰と思っていたものが実は「圧迫骨折」であるケースがあります。
骨粗鬆症の方は、重いものを持ち上げた時やくしゃみをした時など、ちょっとした動作でも骨折することがあります。
圧迫骨折は2〜3カ月の治療で改善するケースが多いものの、適切な治療を受けずに放置すると、体力の低下や寝たきりのリスクが高まります。
高齢でぎっくり腰になった場合は、骨折の可能性も考えて受診することをおすすめします。
ぎっくり腰で病院の受診を控えてもいいケース
先述のとおり、すべてのぎっくり腰で病院受診が必要というわけではありません。
以下のような場合は、自宅での安静と様子観察で改善する可能性があります。
- 発症直後で痛みはあるものの、日常生活の基本動作ができる場合
- 数日で痛みが徐々に軽減している場合
- 発熱やしびれなどの神経症状がない場合
- 過去にも同様のぎっくり腰を経験し、自然に回復した経験がある場合
完全な安静は筋力や柔軟性の低下につながるため、動作によって痛くなりすぎない範囲で可能な日常生活を維持しましょう。
動けないほど痛みが強くなった場合は、迷わず医療機関を受診することが重要です。
ぎっくり腰で病院に行く前にできる対処法
ぎっくり腰になった際は、病院を受診する前に適切な応急処置を行うことで症状の悪化を防ぐことができます。
以下の2つの対処法を実践してみましょう。
これらの対処法は痛みを軽減し、炎症の拡大を抑える効果が期待できます。
無理に動かずに安静にする
ぎっくり腰になった直後は、無理に動こうとせず、痛みが軽い体勢を見つけて安静にしてください。
横になる際は、仰向けになって膝の下にクッションや枕を入れたり、横向きになって背中を丸めたりすると痛みが和らぐことがあります。
立ち上がるときは、ゆっくりと時間をかけて体勢を変え、急な動作は避けましょう。
ただし、完全に動かない状態を長期間続けると筋力低下につながるため、可能な範囲で日常生活を維持することが大切です。
患部をアイシングする
発症直後の急性期には、患部をアイシングすることで炎症を抑える効果が期待できます。
氷をタオルで包んだものや保冷剤を患部に15〜20分程度当て、患部の炎症を抑えることで痛みの軽減につながります。
アイシングを行う際は、直接氷を肌に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルや布で包んでから使用してください。
発症から48〜72時間経過した後は、患部を温めることで血行を促進し、回復を早める効果が期待できます。
ぎっくり腰の治し方|病院で受けられる主な治療法
ぎっくり腰で医療機関を受診した場合、症状の程度や原因に応じてさまざまな治療が行われます。
主な治療法として以下の3つがあります。
これらの治療法を組み合わせることで、痛みの軽減と機能回復を図ります。
装具療法|コルセットの装着
ぎっくり腰の急性期には、腰回りの筋肉をサポートして身体を支えるコルセットの装着が効果的です。
コルセットには腰椎への負担軽減、不自然な動きの制限などの効果が期待できます。
「コルセットは筋力が下がる」という話もありますが、痛みが強い1〜2週間程度の使用であれば問題はありません。
ただし、長期間使い続けると筋力低下のリスクがあるため、医師の指示する期間を守って装着することが重要です。
薬物療法|湿布や内服薬
痛みを和らげ、炎症を抑える薬物療法は、ぎっくり腰で一般的な治療です。
主に非ステロイド性抗炎症薬の湿布や内服薬が処方されます。
ロキソニンやボルタレンなどの痛みを和らげる薬と、筋肉の緊張をほぐす筋弛緩剤を組み合わせて使用されることが多いです。
また、薬物療法で痛みが治まらない場合は、背中の神経に麻酔薬を注射する神経ブロック療法によって脳に痛みを伝える信号を遮断する治療が有効な場合もあります。
薬の効果や副作用には個人差があるため、医師の指示通りに服用しましょう。
リハビリテーション|下半身の筋力トレーニング
下半身の筋力は腰を支える重要な役割を果たし、適切な筋力トレーニングによってぎっくり腰の再発防止と機能回復が期待できます。
痛みが落ち着いた後は、医師の判断で理学療法士による専門的なリハビリテーションが開始されます。
具体的には、腹筋や背筋を強化する運動療法、腰や背中、太もものストレッチ、正しい姿勢や日常生活動作の指導などが行われます。
ただし、リハビリを始めるタイミングや行う内容は個人の症状によって異なるため、自己判断はせずに医師や理学療法士の指導に従いましょう。
ぎっくり腰の痛みが長引いている場合は病院に行くべき
ぎっくり腰は多くの場合、適切な安静と対処によって2週間程度で改善するケースが多いです。
しかし、痛みが長引く場合は、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」などの神経損傷が隠れている可能性があります。
これらの疾患による神経損傷がある場合、痛み止めや湿布による対症療法が中心となり、根本的な改善は困難なケースが多いです。
重症の場合は、神経の圧迫を取り除く手術療法が一般的な選択肢となります。
しかし、近年の医療では神経損傷そのものにアプローチする再生医療という治療法が注目されています。
再生医療は、患者さま自身の幹細胞や血液を用いて、損傷した神経の再生・修復を促す医療技術です。
手術を伴わないため身体への負担が少なく、入院も必要としません。
以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、腰椎ヘルニアの症状が改善された患者さまの症例を紹介しています。
慢性的な腰痛や神経症状でお悩みの方は、再生医療専門クリニック「リペアセルクリニック」へご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設