- 肩
鎖骨骨折の過ごし方と安静期間は?早く治すためのポイントを医師が解説

「寝返りを打つだけで痛くて、夜中に目が覚める……」
「服を着替えようとするだけで、ズキッと痛む……」
鎖骨を骨折してしまった方で、痛みでストレスを抱えている人もいるでしょう。
「ただの打撲」だと思っていたのに強い痛みが続くのは、鎖骨骨折が原因として考えられます。
本記事では、鎖骨骨折後の正しい過ごし方、やってはいけない動作、寝るときの姿勢や固定具の管理方法について詳しく解説します。
ご自身の状態を把握し、しっかり療養して完治するために、ぜひ参考にしてください。
また、「早く治したい」「後遺症が心配」という方のために、当院(リペアセルクリニック)では、新たな治療法の再生医療に関する情報をLINEで発信しております。
目次
鎖骨を骨折している際の過ごし方と少しでも早く治す方法
鎖骨骨折の治療中は、骨の修復を妨げないように安静に過ごすのが基本です。
「早く治したい」と焦る気持ちもあるかもしれませんが、骨がくっつき始める時期に余計な負担をかけると、回復を遅らせる原因になります。
ここでは、以下のポイントを解説します。
【日常生活で気をつけるポイント】
それぞれの内容について、順に詳しく見ていきましょう。
腕を上げない・重い物を持たない|禁忌動作を避ける
骨折した骨が安定するまでの期間は、治癒を遅らせるような動作を避けなければなりません。
骨折部がズレる原因になるため、以下に示すような動作は控えてください。
- 腕を肩より高く上げる動作:鎖骨が動き、骨にズレを生じさせる力が加わる
- 重い物を持つ動作:初期段階では、わずかな重さでも骨折部に負担となる
- 腕で体を支える動作:怪我をした側の腕に体重をかける動作は避ける
- 体をひねる動作:肩周りに力が加わり、骨折部に影響を与える場合がある
上記は意識していないと無意識にやってしまう動作なので、骨の回復のためにも意識して過ごすようにしましょう。
寝るときは横向きが基本
人によって骨折部は異なるため、誰しもが楽になる決まった姿勢はありませんが、以下のように姿勢を整えると楽になる場合があります。
| 仰向けで寝る場合 | ・背中から肩にクッションを置き上半身を少し高くする ・肘の下にタオルやクッションを置いて腕を安定させる | 
| 横向きで寝る場合 | 痛みのある側を上にして横向きになる | 
医師の指示によりますが、就寝中であっても無意識に腕を動かさないように、鎖骨バンドや三角巾は装着したままにする場合もあります。
固定具(バンド・三角巾)は1日2回ほど締め直しを行う
鎖骨バンドや三角巾などの固定具は、骨折部の安静を保つ役割があります。
しかし、固定具を長時間締めっぱなしにすると、緩みや皮膚トラブルが起こる場合があります。
管理のポイントを、以下にまとめました。
- 締め直しの目安:1日に2回程度、固定具の締め直しを行う
- 皮膚トラブルのケア:皮膚を清潔で乾燥した状態に保つ
固定具による「かゆみ・赤み・痛み」が起きた場合には、我慢せずに主治医に相談してください。
鎖骨骨折について|完治までの期間は2~3ヶ月が目安
鎖骨骨折が完治するまでの期間は、骨がくっつき安定するまで約2〜3ヶ月が目安です。
多くの場合、痛みのピークは怪我をしてから2〜3日程度で、その後徐々に骨の修復が進んでいきます。
ここでは、ご自身の状態を把握するために、以下の内容を解説します。
ご自身の現在の症状と照らし合わせ、段階別の過ごし方を参考にしてみてください。
症状
鎖骨は皮膚のすぐ下にあるため、骨折による変化が現れやすいのが特徴です。
受傷直後には、以下のような症状が現れます。
| 激しい痛みと腫れ | 骨折した鎖骨周辺や肩に強い痛みが生じ、動かすのが困難になる | 
| 腕を上げられない | 鎖骨は腕を動かす支点となるため、骨折すると自力で腕を上げらなくなる | 
| 見た目の変化(変形) | 折れた骨の端がズレることで、皮膚の下にこぶのような盛り上がりが生じる場合がある | 
| 皮下出血(あざ) | 受傷後、数日経ってから骨折部周辺に内出血による青あざが現れる場合がある | 
まれに起こる「腕や手のしびれ」「感覚の異常」といった症状がある場合は、 速やかに医師に伝えてください。
安静期間の目安
鎖骨骨折の回復は、「急性期・固定期間・骨癒合(こつゆごう)」という流れで、段階を経て進みます。
骨の修復が活発な子供は治癒が早く、固定期間も成人より短い傾向にあります。
回復段階ごとの目安は、以下の通りです。
- 急性期(受傷後~約2~3週間):痛みが強い時期で、最初の2〜3日が痛みのピークとなる場合が多い
- 固定期間(受傷後 約4~8週間):骨の修復が進む時期で、鎖骨バンドや三角巾による固定を継続します
- 骨癒合(受傷後 約2~3ヶ月):骨が構造的に安定し、日常生活における安定性が得られる時期
※参考:一般社団法人 日本整形外傷学会「鎖骨骨折」
骨癒合は、あくまで「骨が安定した」という目安です。
以前と同等の筋力や関節の動きを取り戻す機能的な回復には、さらに数ヶ月のリハビリテーションが必要となる場合があります。
つらい時期ですが医師の指示に従い、痛みのない範囲で「指・手首・肘」を動かすなど、できることから始めましょう。
鎖骨骨折後の治療法
鎖骨骨折の治療は、「骨折の場所・形状・ずれの程度」によって方針が変わります。
治療法は、以下のように大きく分けて、「保存療法」と「手術療法」の2種類です。
- 保存療法:鎖骨バンドや三角巾で固定し、骨の自然な修復力に任せる方法
- 手術療法:ずれた骨を正しい位置に戻し、プレートやワイヤーなどで内側から固定する方法
骨のずれが大きい場合、保存療法では回復期間が長くなったり、骨が変形して治癒する「変形癒合(へんけいゆごう)」になる場合があります。
一方、手術療法は早期の機能回復が期待できますが、傷あとや感染などのリスクを伴います。
医師とよく相談し、ご自身の生活スタイルに合った治療方針を一緒に決めていきましょう。
鎖骨骨折の骨がつきにくい場合の選択肢「再生医療」
鎖骨骨折後は安静が基本で、無理に動かすと回復が遅れる場合があるので注意が必要です。
しかし、従来の治療法で安静にしていても、骨のつきが悪い場合や、痛みが長引く場合があります。
こうしたお悩みに対して、ご自身の血液や脂肪に含まれる成分を活用し、組織の修復を促す「再生医療」も選択肢のひとつです。
当院リペアセルクリニックでは、ご自身の脂肪から取り出した幹細胞を患部に注入する「自己脂肪由来幹細胞治療」を行っています。
幹細胞治療は、損傷した骨や組織の再生を促し、炎症を抑える作用が期待できます。
「骨折の治りが遅いと診断された」「できるだけ早くスポーツに復帰したい」といったお悩みやご希望がありましたら、まずは当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。
鎖骨骨折した際の過ごし方に関するよくある質問
鎖骨骨折した際の過ごし方に関するよくある質問は以下のとおりです。
鎖骨骨折後に仕事復帰できるまでの期間は?
仕事の内容によって復帰時期の目安は異なります。
- デスクワーク(事務職など):痛みが管理でき、通勤が可能であれば受傷後1週間以内で復帰できる場合がある
- 軽作業(立ち仕事など):固定が外れる目安となる受傷後4〜6週間程度
- 重労働(力仕事など):骨が癒合し、十分な筋力が回復する受傷後3ヶ月以上
どのような仕事内容でも、最終的な復帰の判断は、医師の許可を得てから行うようにしてください。
鎖骨骨折で風呂はいつから入れる?
医師の許可があれば、シャワー浴が可能です。
入浴の際には、鎖骨バンドや三角巾を一時的に外します。
湯船に浸かると、転倒のリスクや体を温める影響で痛みが増す場合があるため、医師に相談しましょう。
 
                            監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設


 
							
 
							 
						 
					
 
                           
                  













 
                  