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ばね指でやってはいけないこと|対処法と症状セルフチェックリストを解説【医師監修】

ばね指は、指の腱と腱鞘という組織が炎症を起こし、指の引っかかり感や曲がった指が急に伸びる現象を伴う腱鞘炎のことです。
特徴的な症状や痛みがあるため、無意識に症状を悪化させる行動を取ってしまうことも少なくありません。
本記事では、ばね指のときに「やってはいけないこと」を中心に、ご自身で症状を確認できるセルフチェックリストや具体的な対処法について詳しく解説します。
- ばね指のときに避けるべき3つの行動
- 自分の症状がばね指かどうかわかるチェックリスト
- 自宅でできるセルフケアと専門的な治療法
手術をしない再生医療の選択肢についても紹介しているので、つらいばね指を早く治したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例を配信しているため、この機会に再生医療についてチェックしてみてください。
目次
ばね指でやってはいけないこと
ばね指の早期回復のためにも、指の負担になる以下のような行動は避けましょう。
良かれと思った行動が逆効果となり、ばね指の症状を長引かせる可能性があります。
なぜ避けるべきなのか、理由を1つずつ見ていきましょう。
指を無理に伸ばす
ばね指によって引っかかった指関節を、反対の手や力任せに無理やり伸ばすことはやめましょう。
痛みを我慢して動かすことも同様に危険です。
無理に指を伸ばすことには、以下のようなリスクがあります。
- 炎症を起こした腱や腱鞘がさらに損傷する可能性
- 症状の悪化や痛みのさらなる増強
- 関節が固まる「拘縮」への進行リスク
無理な力を加えると、炎症を起こしている組織をさらに傷つけてしまう可能性があります。
自己流でマッサージする
ばね指に対して、専門的指導のない自己流マッサージはやめましょう。
痛みやこわばりがあると、ついその部分を強く揉みほぐしたくなりますが、誤った方法でマッサージすると逆効果です。
自己流のマッサージが逆効果になる理由として、以下が挙げられます。
- 炎症部位への過度な物理的刺激になる
- 組織の損傷をさらに広げてしまう可能性がある
- 結果として回復が遅れてしまう
患部は炎症によって腫れていたり、熱っぽくなっているため、症状に合わせた適切な対応が重要です。
医師の指示がない限り、患部を安静に保つことを優先しましょう。
治療を受けずに放置する
痛みや症状が長引くときは、ばね指の治療を受けずに放置することはやめましょう。
ばね指患者の52%は初診から平均8ヶ月で治療を受けずに自然治癒したというデータ※があります。
※出典:PubMed
治療を受けずに自然治癒する可能性もある疾患ですが、放置した場合、以下のように症状が進行する可能性があります。
- 痛みが強くなる
- 拘縮によって指の関節可動域が制限される
- 腱断裂のリスク
症状が悪化すると日常生活に大きな支障が出るだけでなく、保存療法での改善が難しくなり、手術が必要になる可能性も高まります。
ばね指が疑われる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診しましょう。
ばね指の症状は?セルフチェックリスト
ばね指は、初めは軽い痛みや違和感から始まりますが、進行すると指の曲げ伸ばしに特徴的な症状が現れます。
ご自身の症状がばね指のサインに当てはまるか、以下のリストで確認してみましょう。
- 指の曲げ伸ばしで引っかかり感がある
- 指がカクンと弾ける「ばね現象」がある
- 手のひら側、指付け根の痛みや腫れがある
- 朝起きたときに指がこわばる
- 指が動かなくなる「ロック現象」が見られる
上記の項目に1つでも当てはまるものがあれば、ばね指の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
治療せずに放置すると、症状が悪化して指関節が固まってしまう「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」になる可能性があります。
指の痛みや引っかかりに気づいたら、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに整形外科を受診し、専門医による適切な診断と治療を受けることが重要です。
以下の記事では、ばね指をはじめとする腱鞘炎の痛みについて詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
ばね指が疑われるときの対処法
ばね指のサインに気づいたら、症状を悪化させないために適切な対処を始めることが重要です。
対処法は、ご自身でできる「セルフケア」と、医療機関で受ける「専門的な治療」の2つに分けられます。
まずは自宅でできることから始め、症状が改善しない場合は我慢せず、専門の医療機関に相談しましょう。
自宅でできるセルフケア
症状が軽い初期段階のばね指であれば、セルフケアで症状改善が期待できる場合があります。
具体的なセルフケアは、以下のとおりです。
- 指の使いすぎを避けて安静にする
- 装具やテーピングで指を固定する
- 痛みのない範囲でストレッチをする
- 症状に応じて患部を冷やす、または温める
初期段階の炎症が強い時期は患部を冷やし、炎症が落ち着いてきた慢性期には患部を温めることで症状の軽減が期待できます。
上記のセルフケアは、あくまで症状を和らげるための対処法なので、痛みが続く場合は医療機関に相談しましょう。
医療機関で受けられる治療
セルフケアで改善しない、痛みが強い、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関を受診しましょう。
ばね指の治療は、まず手術以外の「保存療法」から始めるのが基本です。
保存療法は、以下の治療を組み合わせることで、痛みや症状の緩和を目指します。
治療法 | 内容 |
---|---|
薬物療法 | 処方される飲み薬や湿布で炎症を抑える |
腱鞘内ステロイド注射 | 炎症の中心である腱鞘内に直接注射し、強力に炎症を抑える |
理学療法 | 専門家指導のもと、温熱療法や安全な運動を行う |
手術療法は、保存療法を数ヶ月続けても改善しない場合や、再発を繰り返す場合は手術が検討されます。
厚くなった腱鞘を切り、腱の通り道を広げることで、ばね指による引っかかりを根本から解消します。
手術法 | 特徴 |
---|---|
腱鞘切開術 | 皮膚を1〜2cm切開し、医師が直接見て腱鞘を切る確実な方法 |
経皮的腱鞘切開術 | エコーで確認しながら、注射針のような小さな傷で腱鞘を切る方法 |
近年では、体への負担が少なく傷跡も小さい低侵襲な手術も増えています。
以下の記事では、腱鞘炎に対するステロイド注射の効果について詳しく解説しているので、参考にしてください。
ばね指でやってはいけないことに関するよくある質問
ばね指や、やってはいけないことに関するよくある質問に回答します。
それぞれの疑問を解消していきましょう。
ばね指を自分で治す方法は?
症状がごく軽い初期段階のばね指であれば、セルフケアで症状が和らぐ可能性があります。
具体的なセルフケアは、以下のとおりです。
- 指の使いすぎを避けて安静にする
- 指のストレッチを行う
- テーピングやサポーターを活用する
- 患部をアイシング(冷却)する
ただし、セルフケアは根本的な治療ではなく、あくまで症状を緩和させるための対処法です。
セルフケアを2週間ほど続けても症状が改善しない、または悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
ばね指は病院に行くべき?
結論として、ばね指が疑われる症状があれば、速やかに医療機関を受診するべきです。
「そのうち治るだろう」と自己判断で放置することは、症状を悪化させるリスクがあります。
以下のようなサインが見られたら、迷わず整形外科を受診しましょう。
- 数日以上続く、または悪化する痛み
- 指の付け根の明らかな腫れや熱感
- 指が伸ばせなくなるロック現象
- 2週間セルフケアを続けても効果が見られない
ばね指は放置すると、指が固まって動かなくなる「関節拘縮」という状態になる可能性があります。
指の機能を守るためには、専門医による適切な診断と治療を受けることが大切です。
ばね指でやってはいけないことを守って早期回復を目指そう
ばね指の早期回復で重要なのは、「指を無理に伸ばす」「自己流でマッサージする」「治療せずに放置する」といった、症状を悪化させる行動を避けることです。
セルフチェックでばね指が疑われる場合は、我慢せずに整形外科を受診しましょう。
一般的な保存療法で改善しない方や、手術を避けたいと考える方には、「再生医療」という新しい選択肢もあります。
再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自然治癒力を向上させることで、炎症抑制や痛みの改善が期待できます。
手術に比べて体への負担が少なく、症状の根本原因にアプローチできる治療法として注目されています。
以下のページでは、手関節に対する再生医療の症例を紹介しているため、併せて参考にしてみてください。
「ばね指を早く治したい」「セルフケアだけでは不安」とお考えの方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設