ランニングによる膝外側の痛み|ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治し方や予防法について解説
公開日: 2019.09.06更新日: 2025.08.30
ランニングによる膝の外側の痛みがある方は、ランナー膝(腸脛靭帯炎)の可能性があります。
ただし、ランナー膝以外に考えられる疾患もあり、放置しておくと症状が悪化し、強い痛みをともなう場合があるため注意が必要です。
この記事では、ランナー膝の治し方や予防法、ランナー膝以外で考えられる疾患を紹介します。
近年の治療では、ランナー膝の早期回復を望む方にとって再生医療という治療選択肢があります。
再生医療とは患者さまの細胞を用いて、損傷した組織の再生・修復を目指す医療技術のことです。
手術が必要な重度の症例でも手術せずに治療できる可能性があるため「手術を避けたい」「とにかく早く治したい」という方に選ばれています。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例に関する情報を配信しているので、合わせてご覧ください。
目次
ランニングによる膝外側の痛みはランナー膝の可能性
ランニングによる膝外側の痛みは、ランナー膝(腸脛靭帯炎)の可能性があります。
ランナー膝について詳しく解説していきますので、参考にしてください。
ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは
ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みを感じるスポーツ障害です。
マラソンなど長距離走だけでなく、水泳やバスケットボールなどのスポーツにおいても発症する可能性があります。
安静にしていると痛みがなくなることもありますが、悪化すると安静にしていても痛みが出るのが特徴です。
ランナー膝(腸脛靭帯炎)の主な原因
ランナー膝になる主な原因は、オーバーユースや運動前のストレッチ不足、筋力不足などさまざまです。
また、ランニングフォームの乱れやランニングシューズが合っていないなども原因として考えられるため、フォームの改善も重要な場合があります。
少しでも痛みや違和感を感じるようであれば、アイシングや十分な休養などを取り、医療機関を受診しましょう。
ランニングによる膝外側の痛みでランナー膝以外に考えられる疾患
ランニングによる膝外側の痛みでランナー膝以外に考えられる疾患は、以下の2つです。
それぞれ解説していきますので、参考にしてください。
外側半月板損傷
外側半月板は、急激なねじれや衝撃から膝を守るクッションの役割を果たしています。
外側半月板損傷の原因は、強い衝撃や転倒による外傷性のものと、加齢や繰り返しの負荷による変性のものがあります。
外側半月板損傷の症状の特徴は、主に3つです。
- 膝の外側にズキンとした痛みがある
- 膝に水が溜まって腫れる
- 曲げ伸ばしの際に引っ掛かりを感じる
ジャンプの着地で膝をひねって外側半月板を損傷してしまうケースもあるため、十分なストレッチなどを行う必要があります。
外側側副靭帯損傷
外側側副靭帯とは、膝関節の外側にある靭帯です。
関節の安定性を保ち、膝が内側に過剰に曲がってしまうのを防ぐ役割があります。
外側側副靭帯損傷の特徴は、膝の外側の痛みや指で押したときの痛み、力が抜けるような感覚です。
ラグビーやサッカーなどで、相手と激しく接触した際に衝撃が加わって損傷するケースがあり、手術をする場合もあります。
ランニングによる膝外側の痛みの治し方
ランニングによる膝外側の痛みを治す方法は、主に以下の3つです。
これらの治し方はご自身で行うため、悪化する場合は医療機関を受診することが大切です。
湿布やサポーターを活用する
ランニングによる膝外側の痛みがある場合は、湿布やサポーターを活用することで痛みを軽減できる可能性があります。
湿布は炎症による痛みや腫れを軽減する役割があり、サポーターは膝関節の動きをサポートして安定させることで、痛みの軽減や予防につながります。
ただし、湿布やサポーターは一時的に症状を緩和させるものであるため、痛みが軽減しても医療機関を受診しましょう。
膝周辺のマッサージやストレッチ
膝の外側が痛い際は、足のマッサージやストレッチを行うことで、筋肉がほぐれて痛みが和らぐ可能性があります。
- 1.膝から太もも、お尻にかけての筋肉や靭帯を手のひら全体で圧迫してほぐしていく
- 2.押しながら揺する。方向は太ももの上から下に走っている筋線維に垂直に
膝の外側に痛みを感じた場合は、ストレッチをして柔軟性を確保しましょう。
内転筋(太ももの内側)や腸脛靭帯、大腿四頭筋のストレッチを行ってください。
内転筋のストレッチ |
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腸脛靭帯(太ももの外側)のストレッチ |
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大腿四頭筋(太ももの前側)のストレッチ |
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各ストレッチを20~30秒程度キープし、左右交互に数セット繰り返すと効果的です。
ただし、痛みを感じる場合はすぐにストレッチを中断し、医師の指導のもとストレッチを行いましょう。
膝周辺の筋力トレーニング
膝の外側が痛む場合は、膝周辺の筋力トレーニングが有効です。
- 1.太ももにトレーニングバンドを付ける。または手で押さえる
- 2.膝を外に広げる運動を繰り返す
強度や時間は自分の体力を鑑み、無理のない範囲で行ってください。
筋力トレーニングをやりすぎると、膝に負担をかけて逆効果になってしまう可能性があるので注意しましょう。
ランニングで膝外側の痛みを予防する方法
ランニングで膝を痛めないようにする方法は、主に3つあります。
これらの予防法を意識することで、膝外側の痛みを軽減できる可能性があります。
膝に負担が少ないランニングフォームを意識する
膝への負担を軽減するために、正しいランニングフォームを意識することが重要です。
無理をして大股で走るよりも、自分のペースと歩幅で走ると負担が軽減されます。
自分だけではフォームの見直しが難しい場合は、他の人にフォームを見てもらう、走っている様子を撮影するなどの方法で正しいフォームを習得しましょう。
ウォーミングアップとクールダウンを欠かさず行う
運動前のウォーミングアップと運動後のクールダウンのセルフケアを継続的に行いましょう。
ウォーミングアップをすると筋肉がほぐれ、柔軟性が高まることで運動時にケガをするリスクを軽減できます。
また、運動後のアイシングなど適切なクールダウン処置をすることで、疲労回復や筋肉の回復も期待できます。
走っている間に足に違和感があったとしても、クールダウンによって改善されるケースがあります。
自分に合ったランニングシューズを選ぶ
ランニングシューズが自分の足に合っていないと、靴擦れだけでなく膝や足首に負担をかけてしまいます。
サイズはもちろん、自分の足の形に合ったシューズを選びましょう。
ランニングシューズは、クッション性が高い靴を選ぶと膝への負担が軽くなります。
どのシューズが合っているのかわからない場合は、店員さんに相談してみるとよいでしょう。
ランニングによる膝外側の痛みによくある質問
ランニングによる膝外側の痛みによくある質問を紹介します。
ランニングによる膝の痛みが気になる方は、参考にしてください。
ランニングで膝が痛くなったらどれくらいで治る?
ランニングによる膝の痛みの原因はさまざまですが、ランナー膝の場合は軽度で数週間で改善することもあります。
重症化している場合は手術療法も検討されるため、完治までに半年以上かかるケースもゼロではありません。
早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることで治療期間も短縮できる可能性があります。
膝の外側が急に痛くなるのはなぜ?
ランニングで膝の外側が急に痛くなるのは、ランナー膝の可能性があります。
痛みの原因は、オーバーユースやストレッチ不足、筋力不足、ランニングフォームの乱れなどであるため、予防することが重要です。
ウォーミングアップやストレッチなどのセルフケアをしっかり行い、ランニングフォームやシューズを見直して膝の負担を軽減しましょう。
ランナー膝の確かめ方は?
ランナー膝かどうかを確かめる方法は、膝の外側の痛みや違和感を確認することです。
まずは、膝を90度に曲げた状態で、膝の外側上部2~3cm(大腿骨外側上顆と腸脛靭帯の接触部分)を指で押さえてください。
押さえた状態で膝をゆっくり伸ばしていき、押さえたところに痛みがある場合はランナー膝の可能性があります。
ランニングによる膝外側の痛みには再生医療も選択肢の一つ
ランニングによる膝外側の痛みの多くは、ランナー膝(腸脛靭帯炎)の可能性が考えられます。
ランナー膝の治療には、湿布やサポーター、ストレッチ、筋力トレーニングが有効です。
また、予防のためにも正しいランニングフォームとウォーミングアップ・クールダウン、適切なシューズ選びを行いましょう。
ランナー膝を「手術せずに治したい」や「早く治してスポーツ復帰したい」という方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。
再生医療では、さまざまな組織に変化する能力を持つ幹細胞を用いて、損傷した組織の再生・修復を目指します。
手術や入院せずに治療できるため、早期回復を目指す方にもご検討いただいています。
再生医療の治療効果や具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックにご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設