脳梗塞の原因は?初期症状や治療法、予防のポイントを解説
公開日: 2025.01.09更新日: 2025.02.03
脳梗塞は一度発症すると再発の可能性も高い危険な病気です。
どのような原因で発症してしまうのか、予防する方法があるのか不安な方も多いのではないでしょうか。
本記事では、脳梗塞の原因や予防方法について紹介します。
この記事を読むとわかること
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脳梗塞の初期症状や治療法についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
脳梗塞とはどのような病気?
脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が途絶え、脳の神経細胞が損傷してしまう病気です。
脳の細胞は血流が途絶えると数時間で死んでしまうため、治療が遅れると重篤な後遺症や命を落としてしまうケースもあります。
重症化する前に発見されることが多いため、死亡率は10%と低めですが脳梗塞は死につながることも。
また、脳梗塞が原因で心臓や肺に負担がかかることで「心不全」や「肺炎」など、二次的な合併症リスクもあるため注意が必要です。
脳梗塞の主な原因
脳梗塞の主な原因は、以下の3つです。
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高血圧が続くと動脈が硬くもろくなり、動脈硬化が進行します。動脈硬化の進行によって血管内に血栓ができ、血管の中が狭くなって脳梗塞を引き起こす可能性があります。
また、不整脈の一種である心房細動によって、血流の動きが妨げられ血栓ができやすくなります。その血栓が脳に運ばれてしまうと脳梗塞を発症します。
心房細動による脳梗塞は脳の広い範囲に影響が出やすく、半身麻痺や寝たきり状態になる可能性が高いです。
脳梗塞の前兆・初期症状について
脳梗塞は、主に以下のような前兆や初期症状がみられます。
脳梗塞の初期症状
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上記のような症状が出た場合、必ず病院を受診して治療を受けてください。
脳梗塞の初期症状は突然現れることが多いため、小さな違和感を見逃さないように普段から体調を気遣いましょう。
脳梗塞を予防するためのポイント
脳梗塞を予防するためのポイントを5つ紹介します。
脳梗塞の原因を作らないためにも、それぞれの予防ポイントを把握して実践してみましょう。
適度な運動の習慣をつける
運動をすると血管機能が上昇し、高血圧や脂質異常の改善が期待できます。
脳梗塞の予防には、筋トレやウォーキングなどの有酸素運動が有効です。
1日5,000歩の歩行かつ、ジョギングや自転車に乗るなどの中強度身体活動を7.5分行うことが推奨されています。
※出典:脳卒中患者における身体活動研究の動向
運動をする時間や頻度は、自分の体調や運動能力に合わせて無理のない範囲で行いましょう。
食生活を改善する
脳梗塞を予防するために、以下のポイントを意識して食生活を改善しましょう。
減塩する |
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タンパク質を摂る |
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抗酸化作用のある食材を摂取する |
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食塩の1日の適正摂取量は男性:7.5g未満、女性:6.5g未満です。高血圧を予防・治療する場合の摂取量は1日6.0g※未満となっています。
※出典:厚生労働省「日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題」
他にも、タンパク質や抗酸化作用のある緑黄色野菜などの摂取が脳梗塞予防に効果的です。
水分をこまめに摂る
脳梗塞を予防するために、こまめに水分を摂りましょう。
体内の水分が少なくなると、血液がドロドロになって血栓ができやすくなります。
喉が渇いたとき、食事中、入浴後などに水分を摂取しましょう。空気が乾燥する秋・冬もこまめな水分補給を意識しましょう。
ただし、水の飲みすぎには注意が必要です。水を飲み過ぎると腎臓に負担をかけてしまうため、適度な水分補給を心がけてください。
ストレスを溜めないようにする
脳梗塞を予防するために、ストレスを溜めないようにすることも重要です。
ストレスが脳梗塞を引き起こす理由
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ストレスを溜めないように生活リズムを整えましょう。睡眠や適度な運動はストレス発散に有効です。
また、日光を浴びることもストレス発散につながるので、屋外での有酸素運動をしてみましょう。
脳梗塞につながる病気の早期発見・治療
脳梗塞を予防するために、脳梗塞につながる病気の早期発見・治療を意識しましょう。
脳梗塞につながる病気
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上記のような脳梗塞を引き起こす可能性がある症状を早期に見つけ、治療を開始することが重要です。
脳梗塞の症状が出ない場合もあるため、予防のためにも定期的に検査を受けましょう。
また、生活習慣病や心疾患のリスクが高い方は早期改善、治療を意識してください。
脳梗塞の予防検査では、頭部MRIや頸動脈エコー検査が行われます。
脳梗塞の治療方法は?
脳梗塞の治療方法は主に以下の4つがあります。
詳しい治療内容について解説します。
t-PA(血栓溶解療法)
t-PA(血栓溶解療法)は、発症から4~5時間以内の急性期に用いられる治療法で、脳に詰まった血栓を溶かす働きがあります。
t-PA(血栓溶解療法)は内服薬ではなく静脈注射ですので、家での治療はできません。
また、t-PAの効果が期待できるのは3割ほどといわれています。
さらに、t-PA(決戦溶解療法)は、血栓を溶かす作用が協力なため、脳内出血が生じる可能性もあり、医師との相談が必須です。
血管内治療
血管内治療は、カテーテルを血管に挿入し血栓を除去・吸引する治療方法です。
足や手の血管を通じてカテーテルを挿入するため、頭を切開する必要がなく傷が目立たないことが利点です。
身体への負担も少ないため、早期の社会復帰も期待できます。
しかし、時間的な制限があり、一般的に脳梗塞を発症してから8時間以内に治療をする必要があります。
内服療法
内服療法では、以下のような薬を内服して治療・再発防止を行います。
抗血小板薬 | 血小板が血管の壁に付着し狭くなる/壁に付着した血小板がはがれて血管を詰めることを防ぐ |
抗凝固薬 | 血液が固まらないようにする |
どちらも注射・経口薬があります。
抗凝固剤は量が多すぎると出血しやすくなる危険があるため、適正量を厳しくチェックする必要があります。
医師と相談し、服薬量などを守ることが重要です。
外科手術
外科手術では、以下のような治療を行います。
再開通療法(カテーテル治療) |
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血管吻合術(バイパス術) |
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頸部内頸動脈内膜剥離術 |
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外科手術は、t-PA(血栓溶解療法)ができない、内服療法では再発予防が難しい患者さんに対して行われます。
脳梗塞の治療に「再生医療」という新たな選択肢
脳梗塞の治療方法として、再生医療による幹細胞治療が注目されています。
再生医療とは、患者さん自身の細胞を利用して損傷した部位を保護・修復することが期待できます。
自身の細胞を利用するため拒否反応が起こる確率が低く、従来の手術よりも身体への負担が少ない治療法です。
破れたり詰まりやすくなっている血管も修復する働きがあるため、再発予防としても効果的です。
再生医療による脳梗塞の後遺症治療の実例を紹介
当院で幹細胞治療を受けた患者さんには、以下のような効果が見られました。
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幹細胞治療は回数を重ねるごとに脳梗塞の症状が緩和されていきます。
【まとめ】脳梗塞の原因について|予防のためにやるべきこと
脳梗塞の原因や予防するために注意することを紹介しました。
さまざまな原因が脳梗塞を引き起こす可能性があるので、規則正しい生活と適度な運動を心掛けましょう。
また、脳梗塞を予防するために食生活を見直すこともおすすめします。
再生医療は脳梗塞の根本的な改善につながる新たな治療法として期待されています。
脳梗塞の治療で再生医療を検討している方は、当院にご相談ください。

監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長