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膝の人工関節置換手術のリスク・合併症について|手術を必要としない再生医療も紹介

公開日: 2019.04.25
更新日: 2025.04.30

膝の人工関節置換手術を検討している方は、手術のリスクや日常生活への影響など、さまざまな懸念をお持ちかもしれません。

この記事では、膝の人工関節置換手術に伴うリスクや合併症について詳しく解説します。

しかし「人工関節置換手術をしたくない」「膝の手術するのは不安…」という方も多いでしょう。

近年の治療で、手術しない新たな選択肢として注目されている再生医療についても紹介しています。

ぜひ記事を最後までご覧いただき、膝の治療法を選ぶ際の参考にしてください。

膝の人工関節置換手術は、膝の痛みを改善し生活の質向上を期待できる一方で、以下のようなリスクが考えられます。

膝の人工関節置換手術は、重度の変形性膝関節症やリウマチなどで痛みが強く日常生活に支障をきたす場合に検討される治療法です。

手術を検討される際には、上記のリスクをよく理解し、医師と十分に相談しましょう。

以下では、膝の人工関節置換手術に伴う主なリスクについて説明します。

手術後に痛みが残る可能性

人工膝関節置換手術は痛みや機能改善を目的としていますが、術後に痛みが残る可能性があります。

すべての患者さまの痛みが完全に消失するわけではないため注意が必要です。

手術後3〜4年が経過した患者さまの約40%の方が痛みを感じており、15%の方が強い痛みを訴えているという研究もあります。
※出典:PubMed

痛みが残る原因としては、人工関節と骨との適合性の問題や周囲の軟部組織の状態、リハビリテーションの進み具合などが関係しています。

手術後は筋力や可動域を取り戻すために、適切なリハビリに取り組まなくてはいけません。

また、膝の筋力を回復するだけでなく、体重管理などによって膝の負担を減らしていく必要があります。

感染症などの合併症

人工関節置換手術後には、さまざまな合併症が起こる可能性があります。

とくに以下の合併症は頻度は低いものの、発生した場合は重篤化する可能性があり、注意が必要です。

手術をするということは関節の骨を切開するため、少なからず感染症のリスクがあります。

以下では、人工関節置換手術に伴う合併症のリスクについてそれぞれ解説します。

感染症

人工関節は細菌感染しやすいため、手術中だけでなく、術後にも感染症のリスクがあります。

手術中に傷口などから細菌が侵入して起こるだけでなく、術後にむし歯などの口腔内細菌などから感染するケースも。

感染率は0.82%という報告もあるため、発生頻度は高くありませんが感染症リスクがあることは覚えておきましょう。
※出典:児玉 祥ほか. 「人工膝関節置換術後感染の治療と予後について」 日本臨床整形外科学会雑誌, 2006年, 18(1), pp.87-91.

感染は手術中に細菌が侵入して起こる早期感染と、術後に歯槽膿漏や皮膚の傷などから二次的に発生する遅発感染があります。

感染症が発生した場合、抗生物質による治療だけでなく、人工関節を一時的に抜去して洗浄や抗生物質入りセメントでの処置が必要になることもあります。

手術後に膝に異常な痛みや腫れ、発熱などを感じたら、すぐに医師に相談することが大切です。

深部静脈血栓症・肺塞栓症

手術の際に出血に対する自己防衛反応で血液が固まりやすい状態になるため、深部静脈血栓症・肺塞栓症のリスクがあります。

深部静脈血栓症は、手術中や術後に下肢をあまり動かせないことにより、足の静脈内に血栓(血の塊)ができる病気です。

人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症の発生率は11.7%という報告があります。
※出典:松原 光宏ほか. 「人工膝関節置換術周術期の深部静脈血栓症発生率と膝関節可動域」 中部日本整形外科災害外科学会雑誌, 2008年, 51, pp.125-126.

また、血栓が剥がれて血流に乗り、肺の血管に詰まると肺塞栓症を引き起こし、命に関わる重大な合併症となることがあります。

手術後は医師の指示に従って、なるべく早期から足先を積極的に動かし、早期リハビリテーションを行うことが重要な予防策となります。

神経・血管損傷

発生頻度は多くないとされていますが、人工膝関節手術時に膝関節周辺の神経や血管に損傷が生じることがあります。

神経損傷では膝の外側にある腓骨神経の麻痺が代表的で、足首や足先の動きが悪くなる症状が出現します。

また、血管損傷では膝窩動脈損傷が重篤なものとなり、適切な処置が遅れると下肢切断という深刻な事態につながる可能性もあります。

神経・血管損傷が疑われる症状(しびれ、麻痺、冷感など)が現れた場合は、早急に医師に相談しましょう。

人工膝関節の摩耗やゆるみ

人工関節を長期間使用していると、金属部品と骨との接着面のゆるみや人工関節の素材が摩耗する可能性があります。

摩耗やゆるみを予防するためには、膝の負担が大きい作業や運動を控え、適正な体重を維持することが大切です。

また、膝周囲の筋力を維持するための適度な運動と、骨粗しょう症がある方は積極的な骨の治療も必要になります。

手術で命に関わるリスク

人工膝関節置換手術では、まれに命に関わる重大な合併症が発生する可能性があります。

手術の影響で血栓を発生させ、深部静脈血栓症や肺塞栓に陥る可能性もあります。どちらも手術中に発生した血栓が、静脈に詰まる病態です。

これは命の危機に繋がる病態で、膝の人工関節置換術においてもその可能性は否定できません。

大きなリスクを伴う手術であるにも関わらず、膝の痛みが必ずしも改善される保証はない、という点も理解した上で手術を受けるか検討してください。

膝の人工関節置換手術後にやってはいけないこと

人工膝関節置換手術後は、人工関節の耐久性低下や不具合のリスクを避けるため、日常生活においていくつかやってはいけない動きがあります。

手術後にやってはいけない動きは、以下の通りです。

場面 やってはいけない動き
姿勢
  • 正座やあぐらは避ける(人工関節脱臼のリスクあり)
自転車
  • 坂道で強く踏み込まない(降りて押す)
  • 体格に合った自転車を使用する
家事
  • 床の雑巾がけは避ける
  • 片足に体重をかける姿勢を避ける
  • 10kg以上の荷物は持たない
着替え
  • ズボン・靴下は座って履く
  • 履く時は手術した足から、脱ぐ時は健側から
入浴
  • 浴槽の縁にしっかり掴まる
  • 健側の足から出入りする
  • 滑り止めマットを使用する
運動
  • テニス、ジョギング、球技、スキーなどは避ける
  • 散歩や水泳は負担にならない範囲で可能

これらの注意事項を守ることで、人工関節を長持ちさせ、快適な日常生活を長く続けることにつながります。

膝の人工関節置換手術を行うケースとは

膝の人工関節置換手術を行う3つのケースについて紹介します。

以下では、それぞれのケースについて詳しく解説しています。

保存療法で改善の見込みがない場合

膝の疾患に対する保存療法で改善の見込みがない場合に人工膝関節置換術が検討されます。

人工関節置換手術は、最終的な治療選択肢のため、まずは薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法が優先されます。

しかし、以下のような疾患において症状が進行し、保存療法での改善が見込めない場合に人工関節置換手術が検討されます。

  • 変形性膝関節症
  • 関節リウマチ など

手術の決断は患者さまの年齢、活動レベル、全身状態などを総合的に評価した上で行われます。

高齢者の場合

膝の人工関節置換術が行われる多くの患者さまは、60代以降の高齢の方です。

若いうちから膝の人工関節置換術を行ってしまうと、人工関節の摩耗によって再手術を行わなければならない可能性があります。

そのため、40代、50代の年齢層で、膝の人工関節置換術が行われるケースは多くありません。

近年では人工関節の素材の品質などが向上し、耐久年数も少しずつ長くなってはいます。

しかし、膝は体重がかかる関節のため、人工関節が摩耗しやすいこともあり、耐久年数は20年程度が限界とされています。

生活レベルが下がっている場合

膝に患った疾患によって、著しく生活レベルが下がってしまっている場合は、人工関節置換術が選択されることがあります。

通常の歩行が困難になっている場合や、立ちあがる、座るなどの動作も自立して出来ないようなケースでは、人工関節置換術によって機能を早急に回復することが目指されます。

膝の痛みや可動域制限によって生活レベルが下がれば、そこから筋力はどんどん低下し、再び日常生活を自立して行えるように回復するまでかなりの時間を要することになります。

リハビリとの兼ね合いも考慮して、日常生活への支障度合いによっては、早めに膝の人工関節手術をすることもあるのです。

膝の人工関節手術を避けるためにできること

膝の人工関節手術にはリスクもあるため、可能であれば手術は避けるべきです。

手術を検討しなければならない状態まで悪化させないために、今からできることをご紹介していきます。

手術によるリスクを避けるために、目の前のできることに取り組みましょう。

膝に痛みや違和感があれば早めに相談する

膝で痛みや異変が起きたと感じたときは、なるべく早く専門医に相談することが大切です。

整形外科に行けば、レントゲンによる精査や腫れに対する検査をして病気を診断することもできます。

接骨院や整骨院でも、膝の痛みに対して専門的な知識によって治療を受けることができます。

基本的に膝の病態は、放置しておくと悪化する一方です。早めに膝の状態が分かれば、病態の悪化を食い止められる可能性が上がります。

全身のバランスを整える

姿勢を整えたり、背骨や骨盤のゆがみを矯正したりしておくことも、膝の負担を減らすとても有効な手段です。

姿勢が悪いせいで膝に余計な負担をかけ、変形などの症状を助長しているケースもあります。

さらに、体のゆがみによって股関節や足関節の可動域が制限され、その結果膝の負担を増やしていることもあるのです。

体のゆがみが原因の場合は、膝だけを集中して治療しても改善しないので、全身のバランスを整えることが必要になります。

体重を急激に増やさない

無茶なダイエットをする必要はありませんが、肥満状態の継続や、急激な体重増加は膝の疾患を助長します。

常に荷重がかかる関節でもあるので、単純に体が重くなれば変形や痛みも強くなるのです。

実際に治療の現場でも、肥満傾向にある方は変形性膝関節症になったときに変形の進行も早いので、日ごろから体重管理をしておくことが大切です。

膝に痛みが出てしまってからだと運動が制限され、体重管理の手段が食事制限しかなくなるため、痩せるのが難しくなります。

人工膝関節置換手術を避けたい方は再生医療をご検討ください

膝の疾患による人工膝関節置換手術を避けたい方は、再生医療の選択肢もあります。

再生医療は手術・入院を必要としない治療法です。患者さま自身から採取した幹細胞や血液を用いるため、拒絶反応などの副作用リスクも低いです。

ただし、再生医療は人工膝関節置換手術と併用して受けることはできません。再生医療をご検討の際は、手術前に医師に相談しましょう。

当院「リペアセルクリニック」では、再生医療に関する無料相談を承っております。

再生医療に興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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【まとめ】膝の人工関節置換手術にはリスクが伴うため再生医療も選択肢の一つ

膝の人工関節置換手術は、変形性膝関節症やリウマチなどで保存療法が効果を示さない場合に検討される治療法です。

多くの患者さまの痛みを軽減し生活の質を向上させますが、手術後の痛みの残存、感染症、人工関節のゆるみなどのリスクがあります。

また、手術後には正座や激しいスポーツの制限など生活上の制約も生じます。

手術を避けるためには、早期の専門医相談、全身バランスの調整、適切な体重管理が重要です。

手術を検討される方は、これらのリスクをよく理解した上で医師と相談し、場合によっては手術・入院を必要としない再生医療を選択肢に入れて検討しましょう。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設

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