首の骨がずれる原因|考えられる疾患や治す方法について解説【医師監修】

首の骨がずれる原因|考えられる疾患や治す方法について解説【医師監修】
公開日: 2025.11.28

首の痛みや違和感が続き、「首の骨がずれているのでは?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。

首の骨(頚椎)は、頭を支え神経の通り道を守る重要な部分です。

わずかなずれでも神経や筋肉を圧迫し、痛みやしびれ、肩こりなどの不調を引き起こすことがあります。

本記事では、首の骨がずれる原因や考えられる疾患、診断方法について解説します。

また、首の骨のずれによる神経障害や痛みに対し、再生医療による治療が注目されています。

再生医療は、患者さまご自身の細胞や血液を活用して、損傷した組織や神経の再生・修復を促す医療技術です。

当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療に関する内容や症例を公開中です。

長引く首の痛みやしびれがなかなか改善しない方や、手術以外の方法で回復を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

首の骨がずれる主な原因

本章では、首の骨がずれる主な原因について解説します。

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

加齢による変形

首の骨がずれる主な原因の一つに、加齢による変形が挙げられます。

加齢に伴い、首の骨と骨の間にある椎間板の水分が減少し、骨にかかる負担が増えることで、骨の端にトゲ状の突起(骨棘)ができたり、骨の位置がずれたりすることがあります。

加齢による骨のずれは、一般的に次のような症状として現れます。

  • 首の痛みや肩こり
  • 手や腕のしびれ
  • 手足の動きにくさ
  • 歩行障害

放置すると症状が徐々に悪化し、日常生活に支障をきたす恐れがあるため整形外科を受診しましょう。

外傷などの強い衝撃

首の骨(頚椎)は、交通事故・転倒・スポーツなどによる強い衝撃で椎間板・靭帯・筋肉に負担がかかり骨の位置がずれたり損傷が生じたりする場合があります。

外傷による首の骨のずれは、放置すると慢性的な痛みや手足のしびれなどにつながる可能性があります。

とくに骨折や脱臼は神経に大きなダメージを与える可能性があるため、早急な治療が必要です。

事故や転倒後に首や肩の違和感、しびれを感じた場合は早めに医療機関で診察を受けましょう。

不良姿勢

首の骨は、不良姿勢により負担がかかることで変形性頚椎症を引き起こすことがあります。

長時間の前かがみ姿勢やスマートフォンを見るときの姿勢で首が前に傾いた状態が続くと、椎間板・靭帯・筋肉に負担がかかり骨の微細なずれが生じることがあります。

頚椎症の主な症状は首の痛みや肩こり、手や腕のしびれなどです。

そのため、日常生活での見直しが重要です。

日常生活でできる工夫 具体例
姿勢の改善 ・背筋を伸ばし肩の力を抜く
・スマートフォンやパソコンは目の高さに近づける
定期的な休憩 ・1時間に1回は立ち上がって首や肩を軽く動かす
軽い運動 ・首や肩甲骨周囲の筋肉をほぐすストレッチや簡単な運動をする
寝姿勢の調整 ・枕の高さを調整し、首に負担がかからない寝方を意識する

上記の工夫で症状の進行を抑えられることがありますが、痛みやしびれが続く場合は医療機関で診察を受けましょう。

首の骨がずれて痛いときに考えられる疾患

首の骨(頚椎)がずれることで痛みやしびれが生じる場合、以下のような疾患・状態が考えられます。

疾患 特徴
頚椎すべり症 加齢などの原因によって椎間板がもろくなり、支えきれなくなった首の骨が本来の位置から前後にずれてしまう
環軸椎亜脱臼
(かんじくついあだっきゅう)
リウマチの合併症や転倒などの外傷によって、首の骨の1番目と2番目が不安定になり、大きくずれる状態
変形性頚椎症 首への負担が蓄積され、骨が変形したりトゲ(骨棘)ができたりすることで、骨の並びが悪くなり神経を刺激する状態
むち打ち(頚椎捻挫) 交通事故などの衝撃で首が鞭のようにしなり、関節が一過性にずれて筋肉や靭帯を損傷する状態

症状が続く場合は放置せず、早めに医療機関で診察を受けることが重要です。

以下の記事では、頚椎すべり症の原因にもなる「頚椎椎間板ヘルニア」の症状について解説しているので、併せて参考にしてください。

首の骨がずれる疾患の診断方法

首の骨がずれることで首の痛みやしびれがある場合、整形外科では以下の検査を行います。

診断方法 内容
診察・問診 痛みの部位や経過、発症のきっかけ(外傷、長時間のデスクワークなど)を確認する
触診 首の動きや姿勢・筋肉の緊張・圧痛(押したときの痛み)などを観察してどの部分に異常があるかを見極める
レントゲン 首の骨の位置関係や変形の程度を調べる
MRI 神経や椎間板などの軟部組織を確認して神経の圧迫状態を詳しく調べる
CT検査 骨の異常をより精密に確認して、骨折や脱臼がないか確認する
腱反射や感覚テスト、筋力検査 しびれや筋力低下などがある際に、どの神経が障害されているかを確認できる

自己判断では、首の痛みの原因を正確に見極めることは困難です。

筋肉のこりなのか、骨や椎間板のずれによる神経圧迫なのかによって治療法は異なります。

診断を受けて原因を明確にし、症状に合った適切な治療につなげましょう。

首の骨のずれを治す方法

首の骨のずれを治す方法は、以下の通りです。

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

以下の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの治療法やセルフケアについて解説しているので参考にしてください。

保存療法

多くの場合、首の骨のずれによる痛みやしびれは保存療法によって改善を目指します。

保存療法とは、手術を行わずに痛みを和らげ首の安定を図る治療法です。

主な治療法は、以下の通りです。

治療法 内容
薬物療法 消炎鎮痛薬やステロイドなどで、痛みや炎症を和らげる
物理療法 温熱療法や電気治療で血流を促し、筋肉の緊張をほぐす
安静・装具療法 首に負担をかけない姿勢を保ち、必要に応じて首を固定する装具で安静を保つ
リハビリ 医師や理学療法士の指導のもと、首や肩周囲の筋肉を強化し、再発予防を図る
神経ブロック注射 神経の周囲に麻酔薬を注射して痛みの緩和を目指す

症状が軽度な場合や炎症が落ち着いている場合は、リハビリを中心に徐々に改善を目指します。

一方で、強い痛みやしびれが長期間続く場合は、医師の判断により手術が検討されることもあります。

手術療法

首の骨のずれが強く痛みやしびれが生活に支障をきたす場合は、手術で神経の圧迫を取り除く治療が検討される場合があります。

主な手術の内容は、以下の通りです。

手術名 内容
頚椎前方固定術 首の前側から圧迫している骨や椎間板を取り除き、神経への圧迫を軽減
環軸椎固定術 金属製のインプラントで環軸椎を固定し、骨の安定性を確保する

手術が必要かどうかは、症状や画像検査の結果によって判断されます。

手術を検討する場合は効果やリスクを医師と十分に確認しましょう。

首の骨のずれに関するよくある質問

首の骨のずれに関して、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。

以下の回答を参考に、適切な治療につなげましょう。

首の骨のずれを自分で治す方法は?

首の骨のずれを自己判断で無理に調整したり揉みほぐしたりすると、かえって症状を悪化させる恐れがあります。

首には重要な神経や構造が集中しているため、痛みやしびれ、めまいがある場合は医療機関で専門医の診断を受けましょう。

診断の結果、問題がないと判断された場合にセルフケアを取り入れましょう。

首の骨のずれに関する主なセルフケアは、以下の通りです。

  • 首の後ろや横、胸を開くストレッチをゆっくり行う
  • デスクワーク中は1時間に1回、軽く体を動かす習慣を取り入れる
  • 耳が肩の真上にくるよう意識し、背筋を伸ばす姿勢を心がける
  • 枕や睡眠姿勢を見直し、首に負担をかけない寝方を意識する
  • 市販薬や湿布を活用し、急な痛みを一時的に和らげる

診察を受けたうえでセルフケアを行っても痛みやしびれが続く場合は、再度医師に相談しましょう。

首の骨がずれるとどうなる?

首の骨(頚椎)がずれると、首・肩・腕に以下のような症状が現れることがあります。

  • 首や肩の痛み・こり
  • 手や腕のしびれ・脱力感
  • 頭痛

首や肩に痛みやしびれが続く場合は、早めに医療機関で診察を受けましょう。

首の骨のずれに効果的なストレッチは?

首の骨のずれに対しては、首や肩周囲の筋肉をほぐし、柔軟性を保つストレッチが有効です。

強い痛みやしびれがある場合は無理に行わず、必ず医師や理学療法士の指導の下で実施しましょう。

首の横を伸ばすストレッチを紹介します。

  • 1.右手で頭の左側を持ち、ゆっくり右に倒す
  • 2.左肩が上がらないように注意し、左手で椅子の座面を支える
  • 3.左の首筋が心地よく伸びる範囲で20秒キープ
  • 4.反対側も同様に行う

心地良い伸び感を感じる範囲で、無理せず行うのがポイントです。

以下の記事では、頚椎椎間板ヘルニアに効果的なストレッチについて紹介しているので参考にしてください。

首の骨がずれて痛いときは再生医療をご検討ください

首の骨のずれによる痛みやしびれは、頚椎や椎間板、靭帯、神経の損傷が原因で起こることがあります。

以下の症状に該当する場合は、症状の進行に関わらず早めに整形外科を受診しましょう。

  • 首や肩に痛みやこわばりを感じる
  • 手や腕にしびれや力が入りにくい感覚がある
  • めまいや頭痛が伴う

また、「手術せずに痛みを改善したい」「日常生活への負担を少なくしたい」とお考えの方は、再生医療をご検討ください。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いる治療法で、以下の特徴があります。

【再生医療の特徴】

  • 損傷した組織や神経の根本的な改善を目指せる
  • 手術や入院せずに通院のみで治療できる
  • 自身の細胞を利用するためアレルギーのリスクが低い

再生医療による治療の具体的な効果や経過については、当院での症例紹介ページで詳しくご覧いただけます。

痛みやしびれを我慢せず、症状の進行を抑えたい方は、ぜひ当院リペアセルクリニックへご相談ください。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設