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前十字靭帯断裂を手術しないとどうなる?放置するリスクと自然治癒するか解説【医師監修】

前十字靭帯を断裂すると「手術が必要」といわれることが多いですが、手術をしないとどうなるのか不安に抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論、手術せずに放置していると膝の不安定感が続いたり再断裂したりする可能性など、さまざまなリスクがあります。
本記事では、前十字靭帯断裂で「手術をしないとどうなるのか」について解説します。
また、どうしても手術を避けたい方に向けて、新しい選択肢として注目されている再生医療も紹介します。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、前十字靭帯断裂の根本的な改善を目指せる再生医療について情報を配信中です。
「前十字靭帯断裂を手術せずに治したい」という方は、ぜひ再生医療についてチェックしてみてください。
目次
前十字靭帯断裂を手術しないとどうなる?考えられるリスク
前十字靭帯断裂で手術をしなかった場合、二次的なリスクや生活で支障が生じるケースがあります。
5つの影響について、それぞれ詳しく解説します。
膝の不安定感が残る
前十字靭帯断裂を手術せずに放置していると、膝の不安定感が残るリスクがあります。
ごく一部の小さい損傷の場合は、手術せずに対処するケースもゼロではありませんが、靭帯の機能は手術をしなければ再生しません。
膝の不安定感が残っていると運動をするときに膝崩れを起こす原因となり、さらなる怪我につながる可能性があります。
断裂した靭帯は自然治癒する可能性がほとんどないため、スポーツや運動を続けたい場合は手術を検討しましょう。
半月板や軟骨の損傷リスクがある
前十字靭帯が断裂すると半月板や膝関節面の軟骨に負担がかかり、損傷リスクが高まります。
スポーツをしている方は膝への負担が大きい動作を行うため、さらに半月板や軟骨の損傷リスクにもつながります。
関節がずれる動きが繰り返されることによって、軟骨や半月板が二次的に損傷する危険性が高まります。
踏み込んだり、ジャンプの着地などでとくに二次損傷の確率が高まるため、適切な治療と手術は必要です。
変形性膝関節症へ進行する可能性がある
前十字靭帯断裂を手術せずに放置していると膝への負担が増加し、将来的に変形性膝関節症を発症する可能性があります。
変形性膝関節症とは、膝への過度な負担や加齢によって膝の関節軟骨がすり減ってしまう疾患です。
断裂した靭帯と同様に、一度変形性膝関節症によってすり減った関節軟骨は元に戻りません。
早期回復のためにも、変形性膝関節症に進行する前に前十字靭帯断裂を手術することが推奨されます。
スポーツや日常生活に支障が出る
前十字靭帯断裂を手術しないと、スポーツ活動に支障が出るだけでなく日常生活にも影響を与えます。
膝の不安定感が残るだけでなく、痛みで走ることも困難になるケースがあります。
また、突然膝の力が抜けてしまう「膝崩れ」を繰り返しやすくなり、膝に大きな負荷がかかってしまいます。
日常生活でも痛みによって立ち上がる、階段の昇り降りなどが困難になる可能性が高いです。
再断裂のリスクがある
前十字靭帯断裂を手術しないと、スポーツや日常生活の動作によって膝に大きな負荷がかかり再断裂のリスクが高まります。
とくにスポーツ競技中の急な方向転換やジャンプの着地などは膝に大きな負荷がかかるため、再断裂の可能性が高いです。
コンタクトスポーツや競技レベルが高いほどリスクは増大し、選手生命に関わるケースもあります。
また、スポーツ以外にも階段の昇り降りや長時間の歩行といった日常的な動作でも再断裂が起こる可能性があります。
膝の不安定感が残ったまま生活を続けることで、膝崩れなどによって膝への負担が蓄積しやすくなるためです。
再発予防のためには、専門的なリハビリを継続し、筋力や柔軟性を向上させることが重要です。
無理に早期復帰を目指すと再断裂や症状の悪化を招くため、段階的に負荷を上げていく慎重なリハビリが欠かせません。
前十字靭帯は手術しなくても自然治癒する?
前十字靭帯断裂は自然治癒することはほとんどありませんが、損傷の程度によって治療方針は異なります。
ここでは「完全断裂」と「部分断裂」の違いを踏まえて、それぞれの自然治癒の可能性や手術の必要性について解説します。
それぞれの症状について、確認していきましょう。
完全断裂|手術しないと治らない
前十字靭帯の線維がすべて切れてしまう「完全断裂」は、自然治癒はほぼ不可能で、手術しないと治らないケースが大半です。
前十字靭帯断裂の手術は「靭帯再建術」と呼ばれ、断裂した靭帯を他の腱で置き換える手術が行われます。
基本的には、太ももの腱(ハムストリングス)や膝蓋腱を用いますが、それぞれに特徴があるため、置き換える腱は医師と相談して決定されます。
靭帯再建術では、関節鏡を用いた手術のため傷口は小さく済み、術後の回復も比較的早いのが特徴です。
個人差はありますが、スポーツ復帰までには平均で7〜8ヶ月※ほどかかります。
参考:日本鋼管病院・こうかんクリニック「十字靭帯(ACL)再建手術について」
部分断裂|ごく一部の軽度な損傷なら手術しない可能性も
ごく一部の線維だけが損傷した軽度な部分断裂であれば、装具療法やリハビリによって症状が落ち着く場合もあります。
ただし、自然に完治する可能性は低く、スポーツや日常生活復帰後の再断裂リスクや膝の不安定感が出る可能性は高いままです。
そのため、部分断裂であっても多くのケースでは手術療法が検討されます。
近年では、手術に加えて自分の細胞を用いて修復を促す「再生医療」という新しい治療法も選択肢として注目されています。
前十字靭帯断裂で手術を検討した方が良いケース
前十字靭帯を断裂した場合、自然治癒する可能性は低く、放置すると膝の不安定感や半月板の損傷などを招くリスクが高まります。
そのため、次のようなケースでは手術を検討することが推奨されます。
以下では、手術した方が良いケースについて、それぞれ詳しく解説します。
スポーツ復帰を目指したい場合
スポーツ活動を再開したい方は、手術を検討することが強く推奨されます。
競技中の急な方向転換やジャンプの着地などは膝に大きな負荷がかかるため、保存療法だけでは再断裂リスクや不安定感が残る可能性が高いからです。
さらに、痛みの悪化や再断裂のリスクに加えて、半月板損傷や変形性膝関節症へ進行する恐れもあります。
これらの合併症が起こると治療期間がさらに延び、競技復帰が大幅に遅れる可能性があります。
安定したパフォーマンスを取り戻し、スポーツ活動を続けるためには、手術によって膝の機能を改善させることが重要です。
スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。
日常生活に支障が出ている場合
階段の昇り降りや歩行中に膝が「がくっ」と崩れるなど、日常生活に支障が出ている場合は、手術を検討した方が良いです。
前十字靭帯断裂が自然治癒することはほとんどないため、保存療法では現在の症状よりも改善する見込みはありません。
膝の機能を改善し、生活の質を守るために、手術が選ばれるケースが多いです。
どうしても手術を避けたい方には、再生医療といった新しい治療法が選択肢となる場合もあります。
前十字靭帯断裂で手術しない場合の治療法
前十字靭帯を断裂した場合、多くは手術が推奨されますが、手術を避けたい方や一部の軽度な損傷では、手術以外の選択肢が検討されることもあります。
本章では「保存療法」と「再生医療」について解説します。
前十字靭帯断裂を手術せずに治療したい方は、それぞれの治療法について確認していきましょう。
保存療法
保存療法では、主に以下の方法で膝の負担を軽減し、症状の改善を目指します。
- 患部の安静・冷却
- 運動制限
- 減量
- サポーターなどの装具で固定
ごく軽度な部分断裂では、上記の保存療法やリハビリで膝の安定性を補える場合もあります。
ただし、膝の不安定感が残りやすく、再断裂のリスクもあるため 、手術が選択されるケースが多いです。
対症療法である保存療法では、前十字靭帯断裂の根治を目指せないことを理解しておきましょう。
再生医療
「再生医療」とは、患者さまの細胞を活用して損傷した組織の再生・修復を目指す治療法です。
前十字靭帯断裂では、さまざまな組織に変化する能力を持つ「幹細胞」を患者さまから採取・培養して、数を増やしてから膝関節に投与する方法などがあります。
この方法では、幹細胞を採取する際に米粒2〜3粒程度の脂肪を摘出しますが、従来の手術よりは身体への負担が少ないのが特長です。
根本的な改善を目指せるため、「手術せずに治したい」という方にとって、再生医療は新しい選択肢となります。
再生医療については動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
前十字靭帯断裂を手術しない治療法として再生医療をご検討ください
前十字靭帯断裂は自然治癒がほぼなく、放置すると膝の不安定感や二次損傷のリスクがあります。
そのため、多くは手術が選ばれますが、身体への負担に不安を抱く方も少なくありません。
本記事では、手術をしない場合に考えられるリスクや治療法について解説してきました。
そのうえで、近年注目されているのが患者さまの細胞を利用する「再生医療」です。
手術以外の選択肢として検討する価値があります。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例を無料で配信中です。
「前十字靭帯断裂を手術せずに治したい」という方は、ぜひ再生医療について確認してみてください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設