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脳幹出血の後遺症とリハビリ方法を解説|再生医療の選択肢も紹介

公開日: 2025.03.07

脳幹出血を発症すると、どのような後遺症が残るのか、またその症状に対してどのような治療やリハビリが効果的なのか疑問をお持ちの方も多いでしょう。

とくにご家族が脳幹出血を発症された方は、これからの治療や生活について不安を感じておられることと思います。

この記事では、脳幹出血の主な後遺症とその症状、治療・リハビリ方法について詳しく解説します。

脳幹出血の主な後遺症

脳幹出血の主な後遺症は以下の通りです。

出血した部位や範囲によって症状は異なりますが、一般的には後遺症が出るケースが多いとされています。

本章では、脳幹出血後に見られる主な後遺症について詳しく解説します。

運動麻痺(四肢麻痺)

運動麻痺とは、手足を自分の意思通りに動かせなくなる状態です。

麻痺の状態は以下のように分類されます。

  • 完全麻痺:自分の意思で手足を全く動かせない状態
  • 不全麻痺:運動機能や感覚が完全に失われず、手足の動きが少し残る
  • 弛緩性麻痺:筋肉の緊張が低下し、力が入らない状態
  • 状態痙性麻痺:筋肉が硬く緊張した状態で、スムーズに動かすことができない

脳幹出血によって運動をコントロールする神経経路が損傷すると、四肢に麻痺が生じることがあります。

とくに脳幹は左右の神経が交差する場所であるため、両側の手足に麻痺が現れる四肢麻痺を引き起こすことがあります。

感覚麻痺

感覚麻痺は、皮膚などへの刺激を正常に感じ取れなくなる状態です。

感覚麻痺によって現れる主な症状には以下のようなものがあります。

  • 触覚の低下(物に触れても感じにくい)
  • 痛覚の低下(痛みを感じにくい)または過敏(わずかな刺激でも痛みを感じる)
  • 温度感覚の低下(熱い・冷たいの区別がつきにくい)
  • 深部感覚の低下(体の位置や動きの認識が難しい)
  • しびれ感や異常感覚
  • 振戦(ふるえ)

脳幹出血によって感覚を伝える神経経路が損傷されると、身体の感覚が鈍くなったり、異常を感じたりすることがあります。

眼球運動障害

眼球運動障害は、目の見え方に異常をきたす障害です。

脳幹出血によって、眼球を動かしたり瞳孔や水晶体の調節したりする神経が損傷されると、さまざまな視覚症状が現れます。

  • 複視(物が二重に見える)
  • 眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がってくる)
  • 視野狭窄(視野が狭くなる)
  • 視力低下(物がぼやけて見える)
  • めまい

これらの症状は日常生活に大きな支障をきたすため、早期からのリハビリテーションが重要です。

嚥下障害

嚥下(えんげ)とは、飲食物を飲み込む動作のことです。

脳幹には嚥下に関わる神経が多く存在するため、脳幹出血によって嚥下機能に影響を及ぼすことがあります。

  • 食事中にむせる・咳き込む頻度が増える
  • 食事に時間がかかるようになる
  • 食べられる量が減少する
  • よだれが増える
  • 声が枯れやすくなる(誤嚥により声帯に負担がかかる)

嚥下障害がある場合、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、適切なリハビリテーションと口腔ケアが重要です。

構音障害

構音障害とは、舌、口唇、声帯などの動きに異常が生じ、はっきりと発音できなくなる障害です。

構音障害によって現れる主な症状には以下のようなものがあります。

  • はっきり発音できなくなる(呂律が回らない)
  • 高い声を出しにくくなる
  • 声がかすれやすくなる
  • 声の大きさをコントロールしにくくなる
  • 言葉に抑揚がなくなる

脳幹出血によって発声に関わる神経や筋肉の機能が損なわれると、言葉がはっきりと発音できなくなります。

構音障害のリハビリでは、正しい発音の練習やゆっくりと話すことを意識することで、コミュニケーション能力の改善が期待できます。

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる認知・思考・行動の障害です。

高次脳機能障害には以下のような症状が含まれます。

  • 注意力や集中力の低下
  • 記憶障害(とくに新しいことを覚えられない)
  • 遂行機能障害(計画を立てて実行することが難しい)
  • 社会的行動障害(感情のコントロールが難しい)
  • 意欲の低下

高次脳機能障害は外見からは分かりにくいため「見えない障害」とも呼ばれます。

本人が気付きにくいからこそ、家族や周囲の人の理解が必要です。

脳幹出血の後遺症に対するリハビリと治療方法

脳幹出血は重篤な症状を引き起こす疾患であり、後遺症の回復には適切な治療とリハビリテーションが欠かせません。

治療とリハビリは病期によって大きく内容が変わります。

脳幹出血の後遺症に対するアプローチは、上記の3段階に分けて行われ、それぞれの段階で必要な治療とリハビリ方法が選択されます。

急性期の治療とリハビリ

発症から約2週間〜1カ月程度の急性期は、命を守り、状態を安定させることが最優先される時期です。

急性期の治療は主に次のように行われます。

治療方法 内容
降圧療法 出血の拡大を防ぐため血圧を適切にコントロール
脳浮腫治療 マンニトールやグリセオールなど薬剤を用いて脳浮腫(脳の腫れ)を軽減
ドレナージ手術 水頭症が見られる場合にチューブで脳脊髄液を体外に排出
人工呼吸器管理 呼吸機能低下時に実施
気管切開 長期的な呼吸管理が必要な場合に実施

脳幹出血は他の脳出血と異なり、手術の負担が大きいという理由から血腫除去手術はあまり適応されません。

治療の主な目的は出血の拡大防止と全身状態の安定化です。

急性期には、全身状態に注意した上で以下のリハビリが実施されます。

  • ベッドでの関節可動域訓練
  • 早期離床訓練(座位訓練)
  • 嚥下機能評価と訓練
  • 呼吸リハビリ
  • 基本動作訓練

急性期のリハビリは、可能な限り早期から開始することが推奨されています。長期間のベッド上安静は筋力低下や関節拘縮、褥瘡などの二次的合併症のリスクを高めるためです。

ただし、脳幹出血の場合は他の脳血管疾患よりも安静度が高く設定されることが多いため、医師の判断のもとで状態に合わせた適切なリハビリを進めていきます。

回復期の治療とリハビリ

回復期(発症後約3~6カ月)は、失われた機能の回復に集中的に取り組む時期です。

急性期を過ぎても症状や後遺症に応じて以下のような治療が行われます。

治療方法 内容
薬物療法 痙縮に対する筋弛緩薬の投与
ボツリヌス療法 強い痙縮に対しボツリヌス毒素を注射し筋緊張を緩和
ITB療法 重度痙縮に対しバクロフェンを脊髄腔内に持続投与
電気刺激療法 筋肉に電気刺激を与え運動機能回復を促進

回復期ではとくに痙縮(けいしゅく)と呼ばれる手足の筋肉が緊張して突っ張る症状に対する治療が重要です。

回復期には、症状や後遺症に応じて以下のリハビリが実施されます。

  • 歩行訓練
  • ADL(日常生活動作)訓練
  • 上肢機能訓練
  • 高次脳機能障害へのアプローチ
  • 嚥下・構音訓練
  • 筋力増強訓練

脳幹出血患者の場合、リハビリ専門病院への入院期間は150日間(高次脳機能障害を伴う場合は180日間)までと決まっています。

この時期は機能回復が期待できる時期であり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など多職種によるリハビリが行われます。

維持期の治療とリハビリ

維持期(発症後6カ月以降)は、回復した機能の維持と、残された症状に適応した生活の再構築を目指す時期です。

維持期には、以下の治療が行われます。

治療方法 内容
継続的な薬物療法 痙縮、高血圧、脳卒中再発予防のための薬物治療
定期的な検査 合併症の早期発見のための検査(血液検査やCT・MRIなど)
再発予防治療 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患管理
二次的合併症対応 関節拘縮、排尿障害、うつなどへの治療
補助具・福祉機器の処方 日常生活の自立度を高めるための支援機器提供と調整

維持期の治療では再発予防がとくに重要です。脳幹出血は再発すると症状がさらに重篤化することが多いため、基礎疾患の管理と定期的な健康チェックが欠かせません。

また、維持期には、以下のリハビリが実施されます。

  • 外来リハビリテーション
  • 訪問リハビリテーション
  • デイケア・デイサービスでのリハビリ
  • 自主トレーニング
  • 環境調整と生活支援

維持期のリハビリは在宅で行われることが一般的で、介護保険サービスを活用しながら継続的に実施します。

リハビリを継続することで生活の質を向上させることができます。

脳幹出血の後遺症に対する治療の選択肢「再生医療」について 

脳幹出血の後遺症に対する治療選択肢の一つとして再生医療があります。

再生医療は、人間が持っている再生能力を活かした医療技術です。

当院「リペアセルクリニック」で行っている再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療です。

幹細胞治療では、患者さまの脂肪から幹細胞を採取・培養し、点滴で体内に戻すことで損傷した脳細胞の再生を図ります。

患者さま自身の幹細胞を利用するため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。

脳幹出血を含む脳卒中に対する再生医療について詳細を知りたい方は、以下をご覧ください。

脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。

脳幹出血の後遺症に関してよくある質問

脳幹出血の後遺症に関してよくある質問を紹介します。

それぞれ詳しくみていきましょう。

脳幹出血の後遺症から回復する見込みはある?

脳幹出血の後遺症からの回復見込みは、出血の重症度によって大きく異なります。

軽度から中程度の場合は回復が期待できることもありますが、重度の場合は回復が難しい可能性が高いです。

調査では、脳幹出血患者の約6.1%が良好な回復、25.4%が中〜重度の障害を残すという結果が報告されています。
※出典:PubMed

発症時の意識レベルや出血量が大きな予後因子となります。

脳幹出血で後遺症になったら余命はどのくらい?

脳幹出血に限らず脳出血で後遺症が残った場合の余命については、研究データによると、脳内出血全体の10年生存率は約24%とされています。
※出典:AHASIA Journals Stroke

具体的には、深部出血で31.6%、脳葉出血で23.8%、後頭蓋窩(脳幹や小脳を含む部位)出血では34.3%の10年生存率が報告されています。

脳幹出血の前兆・サインはある?

脳幹出血の発症前に現れることがある前兆やサインとしては、主に以下の症状が知られています。

  • 突然の激しいめまい
  • 大きないびき
  • 視覚の異常(視野が狭くなる、物が二重に見えるなど)

これらの症状を感じた場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。

【まとめ】脳幹出血の後遺症にお悩みの方は再生医療をご検討ください

脳幹出血は重篤な症状を引き起こす疾患で、運動麻痺や高次脳機能障害などの後遺症が出ることがあります。

後遺症の新たな治療方法として再生医療をご検討ください。

当院「リペアセルクリニック」では自己脂肪由来の幹細胞治療を提供しており、一般的な治療(約1億個)の2倍となる2億個の幹細胞を投与可能です。

脳幹出血の後遺症でお悩みの方は、当院にご相談ください。

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監修者

圓尾 知之

Tomoyuki Maruo

医師

略歴

2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業

2002年4月医師免許取得

2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務

2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務

2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務

2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務

2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)

2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教

2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長

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