脳出血のしびれは回復する?麻痺の原因やリハビリ以外の治療方法について
公開日: 2021.08.06更新日: 2025.02.03
脳出血後には、後遺症によって全身や手足のしびれに悩まされるケースがあります。
身体のしびれは日常生活にも大きな影響を及ぼすため、どの程度回復するのか気になるのではないでしょうか。
本記事では、しびれの回復期間や原因、治療法についてご紹介します。
ぜひ、最後までご覧いただき、どの治療を受けるのか検討してください。
目次
脳出血後のしびれ(麻痺)の回復期間には個人差がある
脳出血のしびれ(麻痺)の回復期間は、後遺症の種類や重症度、リハビリの量や質、全身の状態によって個人差があります。
発症後は早期にリハビリを開始することが大切です。
しびれの回復には脳の可塑性(かそせい)が関係している
脳出血後の「しびれ」の回復に大きく関わるのが脳の可塑性です。
脳の可塑性とは、脳の損傷した細胞の代わりを正常な脳細胞が代替し、失った神経の経路に代わる新たな経路を形成したりする性質のことです。
脳の可塑性を利用して神経細胞を適切に刺激すると、脳出血の後遺症からの回復が見込まれます。
回復の効果を促進するためにも、脳出血治療後からリハビリを行うことが重要です。
脳出血後の「しびれ」について
脳出血後のしびれは日常生活にも影響を及ぼします。
適切なリハビリによってしびれや麻痺の回復が期待できる場合もあります。
しびれ(麻痺)の原因
脳出血によって、感覚を司る「視床」や思考や記憶を司る「大脳皮質」が損傷すると、感覚の伝達に障害が発生してしびれや麻痺を発症します。
体のしびれや麻痺の症状が重い場合、日常生活がままならなくなり、鬱状態を引き起こすケースもある後遺症です。
適切な治療とリハビリを行うことで改善が期待できますが、回復までに時間を要する場合があります。
しびれの種類
脳出血後の「しびれ」には、損傷した箇所によって2つの種類にわけられます。
中枢系 |
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末梢系 |
|
それぞれのしびれには、症状に応じた治療やリハビリが必要です。
脳出血後のしびれ(麻痺)に対する治療方法
リハビリ以外にも脳出血後のしびれを緩和する方法があります。
薬物療法
薬物療法で処方される薬は主に3つあります。
鎮痛剤 | しびれだけでなく痛みもある時に使用 |
抗うつ剤 | しびれにより落ち込みが大きく生活に支障がある場合に使用 |
漢方薬 | しびれの部位に合わせて処方される場合あり |
薬物療法は痛みなどを抑えることが目的で、しびれそのものを根本的に治療することはできません。
電気神経刺激
電気神経刺激(しびれ同調TENS)は、しびれと同じ周波数・強さの電気刺激を流してしびれや感覚障害を改善させる治療法です。
効果が持続し、ほかの感覚障害の改善も見られるため、新たな治療法として期待されています。
再生医療
再生医療は、患者さま自身の細胞や組織を利用して損傷した部位を治療します。
自身の組織を用いるため、拒絶反応や副作用のリスクが少なく安全性が高いと注目されている治療方法です。
今まで死んでしまった脳細胞は戻らないとされていました。
しかし、再生医療では体の細胞が持つ再生力を利用することで、脳細胞の再生が期待できます。
効果に個人差はありますが、しびれ(後遺症)の回復やリハビリ効果を高められます。
再生医療による脳出血後の後遺症治療は、ぜひ当院へご相談ください。
脳出血後のしびれ(麻痺)に対するリハビリテーション
脳出血後の生活期のしびれに対するリハビリでは、日常動作を支援します。
- ベッドから起き上がる
- 歩行練習
- 食事・トイレの練習
脳出血後のしびれに対するリハビリは早期に始めることが重要です。リハビリが遅れると回復までに時間がかかる可能性があります。
脳出血後のリハビリの目的はADLの向上
脳出血後のリハビリの目的は機能回復だけでなく、残された能力を最大限に活用し、生活の質を向上させる目的もあります。
ADL(日常生活動作)の改善により、回復するまでの生活の負担を軽減し、長期的な後遺症にも備えます。
脳出血のしびれ(麻痺)と回復に関するQ&A
脳出血の後遺症”しびれ”に関するよくある質問を紹介します。
しびれからの回復期間や、しびれを発症した方の回復率について回答しています。
脳出血によるしびれ(麻痺)からはいつまでに回復するの?
最も機能が回復しやすい時期は発症してから3~6カ月の回復期です。
脳の可塑性を活かしたリハビリを継続するとより良い回復が期待できます。ただし、個人の症状やリハビリの内容によって回復の程度や期間が異なります。
脳出血後によるしびれ(麻痺)からの回復率は?
2022年のデータによると、自宅に戻れた人は約26%、リハビリ目的の施設へ移行した人は約68%です。
脳出血後の回復率は、症状の重さやリハビリの開始時期によって異なります。
重度のしびれは長期的なケアが必要なケースもありますが、リハビリの開始が早いほど回復率が上がります。
脳出血後のしびれ(麻痺)や言語障害の緩和には早期のリハビリが鍵
脳出血後のしびれの回復期間や治療法について紹介しました。
しびれ(麻痺)の回復期間には個人差はありますが、発症後早期のリハビリが重要です。体調や症状を鑑みながら、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。
脳出血後のしびれ(麻痺)を緩和させたい場合、リハビリと併用して再生医療を受けるのがおすすめです。
当院(リペアセルクリニック)で提供している再生医療は厚生労働省に受理された治療方法で、しびれを含む脳卒中の後遺症の改善や再発予防にも役立ちます。
再生医療を検討している方は、当院へお問い合わせください。

監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長