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脳卒中とは、脳の血管障害が原因で発症する疾患群の総称で、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気です。 脳卒中は急性発症が多く、「ついさっきまで元気だったのに、突然手足が動かなくなった」といった内容を訴え、具体的な時間も言える場合が大半です。 本記事では、脳卒中の種類や予防法について解説します。脳卒中の主な症状や予防策を確認し、脳卒中の発症や再発を防ぎましょう。 この記事を読むとわかること 脳卒中の種類 脳卒中の主な症状 一次予防と二次予防 脳卒中の種類は脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血に分類される 脳卒中には、主に脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血の3種類があります。 脳梗塞 脳内出血 くも膜下出血 脳梗塞は血管が詰まり発症する「虚血性脳卒中」、脳内出血・くも膜下出血は血管が破れて発症する「出血性脳卒中」に分類されます。 脳血管疾患は、わが国の死因の第4位(第1位:がん、第2位:心疾患、第3位:老衰)※です。 ※出典:令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省 脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血は、まとめて脳卒中といわれる場合が多くありますが、症状や発症理由が異なります。 脳梗塞 脳梗塞とは、脳血管の閉塞・重度の狭窄により、血液の供給量が不十分になることで、脳の神経細胞が壊死する疾患です。脳細胞は再生能力がないため、一度死滅した細胞は元には戻りません。 脳梗塞は、主に以下の3つの病型に分類されます。 脳梗塞3つの病型 ラクナ梗塞 アテローム血栓性脳梗塞 心原性脳塞栓症 脳梗塞は、病型によって発症する原因や症状の出方が異なるため注意が必要です。 ラクナ梗塞 脳梗塞の病型の1つに、ラクナ梗塞があります。ラクナ梗塞とは、脳の深部にある穿通動脈と呼ばれる細い血管が詰まり発症する脳梗塞です。 ラクナ梗塞は、脳梗塞の範囲が直径15㎜以下と小さく、症状に気づきにくいのが特徴です。脳梗塞の症状が出現しない場合は、「無症候性脳梗塞」といい、検査で偶然発見されることもあります。 アテローム血栓性脳梗塞 脳梗塞の病型に、アテローム血栓性脳梗塞があります。アテローム血栓性脳梗塞とは、アテローム硬化を発症原因とする脳梗塞です。 アテローム硬化とは、動脈壁に悪玉コレステロール(LDL)や脂質などで作られたプラーク(粥種)を原因とした動脈硬化です。アテローム硬化によりもろくなった血管は、血栓(血液の塊)ができやすいため、脳梗塞になりやすくなります。 心原性脳塞栓症 心原性脳塞栓症は、脳梗塞の病型の1つです。心原性脳塞栓症とは、心臓にできた大きな血栓が、脳血管を詰まらせて発症する脳梗塞です。 心臓の機能が低下すると、血流が滞り血栓ができやすくなります。心原性脳塞栓症は太い脳血管に血栓が詰まるため、症状が重く、後遺症も出やすいのが特徴です。 脳内出血 脳卒中の種類の1つに、脳内出血があります。脳内出血とは、脳の血管が破れて脳内で出血した状態です。 脳内出血の約60%は、高血圧症が発症原因です。 高血圧と動脈硬化によって脳の細い動脈が壊死を起こし、小さな血管のこぶ(微小動脈瘤)ができます。微小動脈瘤に強い力がかかる(高血圧)ことにより、動脈瘤が破れて脳内出血を引き起こします。 アルコール常飲者や肝機能障害者、血小板減少症の患者さんは止血機構の作用が悪いため、脳内出血を起こすと大量出血が起こりやすく注意が必要です。 脳内出血は、脆弱な血管ができる疾患(脳動静脈奇形・もやもや病・血管腫・脳腫瘍など)に合併して発症する可能性もあります。 くも膜下出血 脳卒中の種類の1つに、くも膜下出血があります。くも膜下出血とは、くも膜下腔(脳の表面とくも膜の間のスペース)に出血が起きた状態です。 くも膜下出血の70~80%が、脳動脈瘤の破裂を原因として発症します。脳動脈瘤が破裂した場合は、急激な頭蓋内圧の上昇により激しい頭痛や悪心・嘔吐などの症状が出現します。 頭蓋内圧がさらに上昇すると、周囲の脳組織を圧迫して死に至る場合もあるため注意が必要です。くも膜下出血発症後は、再出血(最も多いのは最初の出血後24時間以内)や水頭症、脳血管攣縮(くも膜下出血後4~14日頃に発生)などが起こる可能性があり、時期に応じたケアが必要になります。 脳卒中の前触れである一過性脳虚血発作について 脳梗塞が起こる前触れを、一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)といいます。一過性脳虚血発作(TIA)は、脳梗塞と同様に突然症状がみられますが、多くは24時間以内に消失し、画像検査でも脳梗塞の所見を認めません。 一過性脳虚血発作(TIA)が起こった場合は脳梗塞に進展する危険性が高いといわれており、早急な原因究明や脳梗塞に準じた治療を行う必要があります。 一過性脳虚血発作(TIA)の症状 半身の脱力 言語障害(呂律がまわらない・言葉が出ない) 半身のしびれ 片側顔面麻痺 視野が狭くなる 一過性脳虚血発作(TIA)の出現から48時間以内に脳梗塞を発症しやすいため、いつもと違うと感じたらすぐに病院へ行くことが重要です。 脳卒中(脳梗塞)の主な症状は? 脳卒中(脳梗塞)の症状は、発症する部位や血管の詰まり方によって異なりますが、主に以下の症状が見られます。 脳卒中(脳梗塞)の主な症状 半身の脱力・麻痺 半身のしびれ 呂律が回らない 言葉が出ない 人のいうことを理解できない めまい・ふらつき 片側顔面麻痺 視野が狭くなる・物が二重に見える 一過性脳虚血発作(TIA)と同じ症状が出現する場合もありますが、時間が経つにつれて症状が重くなりやすいため注意しましょう。 脳卒中の予防と再発を防ぐ方法 脳卒中の予防は、まだ脳卒中を起こしていない方の予防(一次予防)と、一度でも脳卒中を起こしたことのある人の予防(二次予防)に分けられます。 脳卒中を一度起こした人は、原因となる生活習慣や基礎疾患をもっていることが多く、脳卒中の再発リスクが高いといわれています。脳卒中が再発すると、初発のときよりも重症であったり、重度の後遺症が出たりする場合もあるため、再発予防に取り組みましょう。 脳卒中の予防には、下記の危険因子の早期発見や対策が重要です。 脳卒中の主な危険因子 高血圧症 糖尿病 脂質異常症 心房細動 喫煙 飲酒 睡眠時無呼吸症候群(SAS) メタボリックシンドローム 慢性腎臓病(CKD) 日本脳卒中協会は、脳卒中の予防啓発のために「脳卒中予防十か条」と「脳卒中克服十か条」を掲げ、注意を促しています。 脳卒中の一次予防 脳卒中を起こしたことのない人の発症予防を、一次予防といいます。一次予防では、生活習慣の見直しや環境の改善などにより脳卒中を予防します。 健診や脳ドックなどを定期的に受けると、危険因子を早く発見でき、早期からの治療が見込めます。脳卒中を予防するために、喫煙やアルコールを控え、バランスの良い食事と運動を心がけましょう。 脳卒中の二次予防(再発予防) 一度でも脳卒中を起こしたことのある人の再発予防を、二次予防といいます。二次予防では、生活環境の改善や危険因子の管理、服薬の継続が重要となります。 退院後の健康の維持・回復のためには、行動変容が重要で、問題のある保健行動を改善していくことが必要です。入院中から退院を見据え、自分に合った内服管理やリハビリの進め方などを検討しましょう。 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣は、以下の6つです。 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣 血圧 食事 運動 喫煙 飲酒 服薬 脳卒中のリスク因子に生活習慣病があるため、食事や運動などの生活行動を見直し、改善していくことが大切です。改善できる生活習慣から行動変容を起こし、脳卒中のリスクを低減しましょう。 血圧 脳卒中最大の危険因子に、血圧があります。血圧値と脳梗塞の発症率との関係をみると、血圧値が高くなるほど、発症率が急激に高まります。 「健康日本21※」では、国民の平均血圧が2 mmHg低下すると、脳卒中死亡患者は1万人減少し、ADL(日常生活動作)が新たに低下する患者の発生も3,500人減少するといわれています。 ※出典:健康日本21(第三次)|厚生労働省 同じ時間、同じ条件で血圧を測定し記録することを習慣化し、自身の血圧変動を知ることが大切です。 食事 脳卒中予防のために改善すべき生活習慣に、食事があります。偏った食事は高血圧や脂質異常症、糖尿病などを促進してしまうため、栄養バランスの良い食事を摂ることが重要です。 塩分を控えめ(1日10g未満)にし、高脂肪の乳製品は控え、魚や植物性の油を積極的に摂るように心がけましょう。食物繊維やビタミンなどを豊富に含む野菜も摂取するのがおすすめです。 運動 脳卒中予防のために、適度な運動を行うことが大切です。厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 ※」で、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を、週60分以上行うのが望ましいとしています。 ※出典:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 |厚生労働省 運動不足の人は、生活習慣病になるリスクが上がり、脳卒中を発症する可能性が高まります。運動する時間がなく有酸素運動の継続が困難な場合は、家事や仕事などで身体を動かすことを意識しましょう。 喫煙 脳卒中予防のために、喫煙習慣がある人は改善することが必要です。喫煙は、脳卒中のリスク因子である動脈硬化の発症率を高めます。 完全にたばこをやめるのが難しい人は、喫煙本数を減らすことから始めましょう。なかなか禁煙できなかったり、喫煙本数が減らなかったりする場合は、禁煙外来の受診を検討するのも1つの手段です。 飲酒 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣に、飲酒があります。過剰にアルコールを摂取すると、生活習慣病や動脈硬化などのリスクが高まります。 飲酒は適正量を守ることや週1日程度の休肝日をつくることが重要です。ビールなら 1 日あたり中瓶 1 本(500mL)、日本酒なら 1合(180 mL)くらいまでが、適正量といわれています。 服薬 脳卒中の再発予防のために、服薬管理を徹底しましょう。内服薬を勝手に中断すると、症状が悪化したり、脳卒中が再発したりする恐れがあります。 脳卒中の治療に用いられる薬は、効果が目に見えるものではありません。薬の効能がわからなかったり、副作用が出ていたりする場合は、医師へ相談しましょう。 【まとめ】脳卒中の予防と再生医療について 脳卒中の予防には、脳卒中を起こしていない方の予防(一次予防)と、一度でも脳卒中を起こしたことのある人の予防(二次予防)があります。以下の「3つのR」をポイントに、生活習慣や環境を整えると、脳卒中の発症リスクを低減できます。 脳卒中を予防する3つのR Recognize(危険因子を発見する) Reduce(危険因子を減らす、治療する) Respond(発作に反応する、早期に受診する) 脳卒中を予防するために高血圧や糖尿病にならないように、生活習慣を見直しましょう。 また、脳卒中の再発を防ぐ方法の1つに、再生医療があります。脳卒中の再生医療を受けると、麻痺や言語障害などの症状の緩和が期待できます。 再生医療をご検討の際は、当院へお気軽にご相談ください。
2022.01.26 -
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脳卒中は発症後どれだけ早く初期治療を受けられるかで、その後の回復に大きな影響を与えます。 本記事では「脳卒中発症後の初期治療の重要性」について詳しく解説します。 脳卒中の発症後はできるだけ早い対応が求められるため、自分や家族が倒れた時にすぐ対応できるようにしましょう。 機能回復に重要なリハビリや再生医療による治療方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 脳卒中(脳梗塞)は3時間以内の初期治療が重要 脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があり、発症してしまうと時間との戦いです。 特に「脳梗塞」は、初期治療を受ける時間がその後の回復に大きな影響を与えます。 【初期治療を受けるまでに好ましい時間】 脳梗塞は発症から3時以内の初期治療が鍵となる 脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要 くも膜下出血は早急に救急車を呼ぶ 脳卒中を疑ったら可能な限り早く専門医を受診しましょう。 脳の障害は発症後、時間が経つほど症状が大きくなり後遺症も重度になる可能性が高いです。 それとは逆に、早期診断や早期治療開始を行うことで、後遺症が軽くなることがあります。また脳梗塞では、発症してから4.5時間以内、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療があります(t-PA点滴治療、血管内治療)。 脳梗塞は発症から3時以内の初期治療が鍵となる 脳梗塞を発症後、3時間以内に初期治療を受けることが重要です。 【脳梗塞とは】 脳に血液を送る血管が詰まり、脳に血液が流れなくなることで脳の神経細胞が死んでしまう病気のこと 脳に血液が流れなくなってから3時間以上経ってしまうと、脳細胞が死んでしまいます。 後遺症につながるため、脳細胞が死んでしまう3時間以内に脳の血管の詰まりを改善させることが、その後の回復に大きな影響を与えます。 気を失って倒れるなどの重度な症状でなくても脳梗塞の疑いを持った場合は、早めに医療機関に相談しましょう。 https://youtu.be/nImMy68lviU?si=xR2kFfwaLrw6Cxz9 脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要 脳出血(脳内出血)は発症から1〜6時間程度で出血が止まりますが、意識障害など重症になる可能性があるため、早期受診しましょう。 【脳出血(脳内出血)とは】 脳内の血管が破れて脳内に出血する病気のこと 出血した血液が固まって血腫となり脳を圧迫することで吐き気や意識障害などを引き起こす 脳出血を発症してから6時間以上経過しても、意識障害などの重度な症状が出ない場合は手術せずに様子をみることが多いです。 しかし、発症後に意識障害まで悪化してしまうと命に関わる可能性があります。 早期受診することで症状が悪化した時に病院ですぐ対応できるようにすることが重要です。 くも膜下出血を発症した場合は早急に救急車を呼ぶ くも膜下出血を発症した場合は、できる限り早く医療機関へ搬送できるよう救急車を呼びましょう。 【くも膜下出血とは】 脳の血管が破裂したことで、脳の表面を覆っているくも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こる病気のこと くも膜下出血の原因でもっとも多い脳動脈瘤が破裂してしまうと、24時間以内に再破裂する可能性が高いです。 再破裂して出血すると死亡率は約50%といわれており、初期治療では再出血の予防が重要になります。 主な初期症状は「突然の激しい頭痛」「嘔吐」「意識障害」などがあり、一時的に症状が治ることもあるため、異変を感じたらすぐに医療機関へ相談しましょう。 https://youtu.be/Aid9jdQOKmk?si=TOn793Tu3e7pGWs2 脳卒中の初期症状に当てはまる場合は一刻も早く病院へ 脳卒中や脳梗塞というと「突然、意識を失い倒れる病気」とイメージする方も多くいると思いますが、このようにひどい症状で発症するのはほんの一部に過ぎません。 以下のような初期症状が突然起こった場合、早めに医療機関へ相談しましょう。 ろれつが回らない・食事中にはしを落とす・片目が見えない 視野が半分になる・顔の半分と片方の手足の感覚がおかしい・言葉が理解できない 言いたいことが言えない・半身に力が入らず歩きにくい・バランスがとれない 突然の強い頭痛や吐き気・意識がもうろうとする・急に興奮して暴れ出す ひどいめまい・けいれん発作 など 脳は障害を受けた場所により症状が異なります。脳は大脳・中脳・小脳・間脳・橋・延髄などに分けることができ、その部位ごとに役割が違います。 また大脳は前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉に区分けでき、それぞれで司る機能が違うため、脳卒中により障害を受けると、その部位により様々な症状が現れます。 症状は急に現れることが多く、だいたいの場合、発症時刻がはっきりしています。例えば夜中にトイレで起きた際や、朝起きた際、あるいは日中に急に発症するというパターンがほとんどです。 最初にみられた症状が徐々に軽くなり、そのまま消えることもあり、これを「一過性脳虚血発作※」といいます。 ※一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack:TIA) 脳梗塞の前触れとして、脳梗塞と同じ症状が短時間(数分~数十分、長くても24時間以内)だけ出現するものを、「一過性脳虚血発作」といいます。 症状が一時的で比較的軽いため、たいしたことはないと安易に考えがちですが、本質は重症の脳卒中発作と同じメカニズムで起きているので、そのうち再起不能の発作に襲われる危険性が高いとみるべきです。前触れをそのまま放置するか、すぐに病院を受診して適切な治療を受けるかによって、予後が大きく変わるのはいうまでもありません。 脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきこと 脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきことや、対応のポイントを解説します。 まずやるべきこと 意識がない時の対応ポイント 急性脳卒中のガイドライン/FAST 脳卒中で倒れるほどの症状が出ている場合は、時間との戦いです。 後遺症のリスクを抑え、回復する確率を少しでも上げるために、できるだけ早く医療機関を受診して初期治療を受けましょう。 まずやるべきこと 自分や周りの人で脳の異常が疑われる症状がみられた場合は、速やかに適切な対応を取りましょう。 意識がある時 とにかく周囲に助けを求め、できるだけ動かずその場で横になることが原則です。周囲の人は、マットや毛布の上に患者さんを乗せて、広いところに移動して寝かせましょう。 これは脳への血流を保つこと、血圧上昇による出血の悪化や、再出血を予防するためです。横になれる場所が近くになくても、自分で立って歩くべきではありません。 なぜなら脳の血管が詰まって症状が出ている時には、歩くことで脳への血流が悪くなり、脳の障害がひどくなる恐れがあるからです。 意識がない時 こちらからの呼びかけや、体をゆすっても反応がまったくない、一時的に目を開けてもまたすぐに閉じて眠り込んでしまう、さらに目は開いていても応答が曖昧な場合は、周囲の人が慎重に機敏に対応しなくてはなりません。 救急車を呼ぶ 脳卒中が疑われる時は、一刻も早く専門医の受診が必要になります。通院治療中のかかりつけ医がいる場合は、専門の医療機関を紹介してもらうのが良いでしょう。 すぐに連絡がつかない場合は、直ちに119番に電話し、救急車を呼びましょう。受診予定の病院には、あらかじめかかりつけ医や救急隊から連絡し、搬送予定の患者の病状を説明した上で受け入れ可能か確かめておけば無駄な時間を省いて搬送できます。 重症の場合ではもちろんですが、軽症と思われる時も救急車を利用しましょう。これは一刻も早く救急搬送するためであり、また搬送の途中で急に容体が悪化することも十分あり得るからです。 もしも救急車が他の現場へ出動中などで到着に時間がかかる時は、患者さんに横向きに寝てもらって、家族や周囲の人が車を運転し、病院へ運んでください。 ただし、患者さん本人が運転したために大事故を起こした例や、手遅れになるほど病状が悪化した例もあるため、患者さんが自分で運転して病院へ向かうのは絶対にやめましょう。 意識がない時の対応ポイント 倒れたまま意識がない時は救急車が到着するまで、以下のポイントを意識して対処しましょう。 1.適切な場所への移動 敷物などに寝かせ、処置や運び出しがしやすい場所に移動 戸外であれば、風通しのよい日陰に移動させる 頭をできるだけ動かさない(特に前に曲げない) 2.気道の確保と誤飲の防止 頭を前屈させない(=枕をしない) いびきや呼吸が苦しそうな時は、バスタオルや座布団などを巻いて肩の下に敷く(首を反らせ気味にすると、呼吸が楽になることが多い) 嘔吐しそうな時は、誤飲や窒息を防ぐため体ごと横向きに寝かせる(麻痺がある時は、麻痺側を上に向ける) 3.環境調節 上着のボタンを外し、ズボンのベルトを緩める 眼鏡、腕時計などのアクセサリー、入れ歯を外す 照明をやや暗く、室温を20℃程度にして換気をする 脳卒中発症後すぐに生命の危険があるのは、重症のくも膜下出血を除けばほとんどありません。 落ち着いて上記の3点をすぐに実行してください。 急性脳卒中のガイドライン/FAST 急性脳卒中を診断する際には、「FAST」と呼ばれるガイドラインが使用されます。FASTは、脳梗塞を早期発見するためにチェックするポイントの頭文字を合わせたものです。 FACE:顔 うまく笑顔が作れますか? 片側の顔だけが歪んでいたり、ひきつっていないか、顔の麻痺状態をチェックしましょう。 ARMS:腕 腕を上げたままキープできますか? 両腕をゆっくりと上げ下ろししてみて、腕の麻痺が起きていないかどうかをチェックします。もしも両腕を前に上げた際に、片腕だけが脱力して腕が上げられなければ要注意です。 SPEECH:話 短い文がいつも通り話せますか? 簡単な問いかけ(例えば本人の名前や今日の日付など)をしてみて、正しい返答があるかどうかをチェックしましょう。 TIME:時間 発症時刻を確認。 脳梗塞の場合、発症してからの時間によって治療内容が変わります。発症後2〜3時間以内であれば、薬物により血栓を溶かす治療が可能となることがあります。 ▲ 周りにいる人が突然倒れたり、自分でおかしいなと思ったら、上記の4点を確認して、速やかに救急車を呼びましょう「F・A・S」のチェックのうち、ひとつでも項目が確認できたら、発症した時刻を確認して、速やかに救急車を呼びましょう。 脳卒中へと繋がる生活習慣病 脳卒中は、高血圧や糖尿病、高脂血症など「生活習慣病」を持っている人に起こりやすいとされています。 これらの病気は、動脈硬化の原因となったり、心臓に血液のかたまりをつくり、それが血管にのって飛んでいき、脳の血管をふさいだりします。 また、こうした病気においては、 脂質、塩分、糖分の摂り過ぎ 喫煙や酒の飲み過ぎ 運動不足 過剰なストレス といった生活環境が深く関係しているため「生活習慣病」と名付けられています。 さらに、性別や遺伝的素因、年齢なども脳卒中発症に深くからんでおり、これらをまとめて 「危険因子」と呼びます。危険因子をもつ人は、予備軍であると心得て、生活環境を見直して危険因子を減らし、生活習慣を改善すべきです。 脳ドックについて また脳卒中の危険因子が多い人は、日頃から脳ドックを受けるなどで脳卒中発症前の予防に努めるのも良いでしょう。以下に当てはまる方は一度「脳ドック」を受けてみるべきといえます。 40歳以上でまだ一度も脳ドックを受診したことがない 高血圧、脂質異常(高脂血症)、動脈硬化などの診断を受けている 家族や血縁者に脳卒中になった人がいる。もしくは糖尿病、高血圧の傾向がある 飲酒、喫煙の習慣がある 脳ドックの検査項目には以下のようなものがあります。 MRI(磁気共鳴断層撮影) MRA(脳血管撮影) マルチスライスCT 超音波検査 脳波測定 血圧測定 血液検査 尿検査 心電図 眼底検査 脳卒中後の回復には早期のリハビリが重要 脳卒中の治療後、さまざまな後遺症が残ってしまう可能性があり、機能回復のために早期のリハビリが重要です。 一般的に脳卒中の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられているため、後遺症が回復する見込みがあります。 そのため、発症から6ヶ月後までの「回復期」と呼ばれる期間にリハビリを積極的に行いましょう。 また、脳卒中の後遺症には先端医療である「再生医療」による幹細胞治療が注目されています。 【脳卒中に対する再生医療とは】 患者さんの幹細胞を培養して数を増やし、幹細胞がいろいろな組織に変化する性質を利用して死んでしまった脳細胞を再生させる治療方法 一度死んでしまった脳細胞は戻らないといわれています。 しかし、近年では再生医療による治療で機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症が改善できることがわかってきました。 脳血管障害に関する再生医療の研究が進んだことで安全性や効果が認められ、世界でも注目される治療法です。 https://youtu.be/pSaJBptY3Bc?si=FFRJNuKB_b0s4jk3 以下のページでは脳卒中の再生医療について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 【まとめ】脳卒中の発症後は時間との戦い!その時に取るべき行動や知っておきたいこと 脳の障害では、早期発見や早期治療がその後の予後に大きく関わります。 何か異常がみられた際は様子を見るのではなく、少しでも早い対応をとりましょう。 また自分が脳卒中の危険因子に当てはまる場合は、生活習慣を見直し、検診を受けるように心がけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院
2022.01.25 -
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脳卒中(脳出血)発症後は、さまざまな後遺症や神経症状が現れる場合があります。 脳出血を起こし日中寝てばかりいると、活動性が低下したり、精神的な症状も出現したりする可能性があります。 脳卒中の後遺症と上手に付き合っていけるように、自分自身に合った対策をとりましょう。 この記事を読むと分かること 脳卒中(脳出血)の後遺症による神経症状の種類・障害 脳卒中(脳出血)の後遺症による精神的症状・心理的変化 脳卒中の後遺症による精神的症状を緩和するためには? 脳卒中(脳出血)になってから寝てばかりなのは後遺症? 脳卒中はなんらかの理由で脳血管が障害される病気の総称で、以下の3つが含まれます。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 いずれかの症状が出てから寝てばかりいる場合は、後遺症の可能性があります。日中寝てばかりになってしまう理由は、主に障害部位による運動機能の低下や心理的要因です。 後遺症が日常生活に影響を及ぼすとストレスを感じやすく、活動性の低下にもつながります。 脳卒中(脳出血)の後遺症による神経症状の種類・障害 脳卒中の後遺症として現れる神経症状は多岐にわたり、日常生活に支障をきたします。 運動障害 言語障害 感覚障害 嚥下障害 排尿障害 感情障害 脳卒中が起こる部位によって、出現する神経症状の種類や障害の程度は異なります。 1.運動障害 脳卒中の後遺症による神経症状の1つは、運動障害です。脳の運動に関わる部位がダメージを受けると、身体を思い通りに動かせなくなります。 運動障害の1つである麻痺は、症状の程度や出現する部位によって名称が決まっています。 麻痺や運動障害の重さ 痙縮 筋肉が重く、突っ張った感じがする程度 不全麻痺 部分的な麻痺、わずかな麻痺 完全麻痺 まったく動かない麻痺 不随意運動 無意識に手足が動いてしまう異常運動 例)健側に力を入れると麻痺側の手足が勝手に動く 運動失調 筋力低下や麻痺がないにも関わらず、協調運動ができない状態 例)小脳の障害により、歩行バランスが悪くなり上手に歩けなくなる 麻痺の現れる部位別の名称 単麻痺 片半身の上肢あるいは下肢だけの麻痺 片麻痺 右半身あるいは左半身の上下肢の麻痺 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳の外傷などで起こる 対麻痺 両下肢の麻痺 スポーツや交通事故、転落・落下による脊髄損傷で起こる場合が多い 四肢麻痺 両側の上肢と下肢の両方が麻痺した状態 脊髄損傷や脳性麻痺などによって起こる 脳卒中の発症部位の反対側に運動障害が現れることを「半身麻痺」といいます。障害部位と反対側に麻痺が起こる理由は、脳からの指令を全身に伝達する神経が首のあたりで交差しているためです。 右脳に障害がある場合は、左半身の運動機能が障害されて左半身麻痺になる 左脳に障害がある場合は、右半身の運動機能が障害されて右半身麻痺になる 2.言語障害 脳卒中の後遺症による神経症状に、言語障害があります。言語障害は、構音障害(運動障害性構音障害)と失語症に分けられます。 脳の障害部位により、うまく話せない理由が異なるため注意が必要です。 構音障害(運動障害性構音障害) 脳卒中の後遺症による言語障害に、構音障害(こうおんしょうがい)があります。構音障害は声が出にくかったり、呂律が回らなかったりする言語障害です。構音障害が起こると、口や舌などの発声・発語器官がうまく機能しなくなってしまいます。 失語症 脳卒中の後遺症の1つに、失語症があります。失語症とは、脳の言語中枢が障害されて考えている言葉とは異なる言葉が出たり、聞いた単語を理解できなくなったりする症状です。 失語症の患者さんは、”言葉がわからない国に、突然放り出されたような状態”です。相手の言葉を理解できず、自分の思いも上手に伝えられないためコミュニケーションにストレスを感じやすいのが特徴です。 3.感覚障害 脳卒中の後遺症に感覚障害があります。感覚神経の異常反応によって視覚・聴覚などの知覚に異常が生じたり、鈍くなったりする障害です。 半身の感覚が麻痺したり手足がしびれたりすると、痛覚や温度感覚などが鈍くなる感覚障害が現れる場合があります。 4.嚥下障害 脳卒中を発症すると、嚥下障害(えんげしょうがい)が起こる可能性があります。嚥下障害は、食べ物の飲み込みが上手にできなくなる症状です。 嚥下(飲み込み)障害には、窒息や誤嚥性肺炎のリスクもあるため注意が必要です。 5.排尿障害 脳卒中により排尿に関わる神経が障害されると、排尿をコントロールできなくなる症状が現れます。 排尿障害の症状例は、以下のとおりです。 失禁 頻尿 尿が出ない 尿意を感じない 排泄に関する症状はデリケートな内容であるため、周囲の人に伝えられずにストレスを感じる場合もあります。 6.感情障害 脳卒中(脳出血)の後遺症に、感情障害があります。感情障害で出現する症状は、以下のとおりです。 意欲の低下 感情失禁(少しのことで、喜怒哀楽が激しく現れる) 幻覚や妄想 また、気分障害の一種である「うつ病」になる場合もあります。うつ病は気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力をコントロールできなくなる病気です。 うつ病の主な症状は、抑うつ気分や不安感、焦燥感(しょうそうかん:焦りやイライラ感)、不眠、食欲低下などです。 脳卒中の後遺症により、日常生活に支障をきたすショックがうつ病の原因になります。 脳卒中(脳出血)の後遺症による精神的症状・心理的変化 脳卒中で後遺症が残ると、精神的症状が出現する場合があります。 脳卒中(脳出血)の後遺症による精神的症状 手足の自由がきかない 仕事をやめざるを得なくなった 介護を必要とする身体になってしまった 入院中は障害を受け入れられても、退院後は健常者に囲まれるため心理的変化が出現しやすくなります。 ご家族や周囲の方は、本人の心理的変化に注意し見守ることが大切です。精神的症状が強くみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 脳卒中の後遺症による精神的症状を緩和するためには? 脳卒中の後遺症による精神的症状を緩和するためには、以下の4つの方法があります。 社会参加を積極的にする ボランティアやレクリエーションなどの社会活動 デイサービスやデイケアで他人との交流 再生医療や保険適用外のリハビリも検討する 脳卒中の後遺症により活動性が低下すると、うつ傾向になりやすくなります。うつ傾向があると日中も寝てばかりになってしまうため、活動量を増やし対策するのが大切です。 社会参加を積極的にする 脳卒中の後遺症による精神的症状が現れると、外出するのが億劫になります。精神症状を緩和するためには、社会参加を積極的にするのが良いでしょう。 社会参加の例としては下記のようなものが挙げられます。 社会参加の例 脳卒中仲間と会う 地域のイベントや交流会への参加 散歩 リハビリテーションを兼ねた軽作業ボランティア 趣味のサークル活動やワークショップ 軽スポーツ(グラウンドゴルフやゲートボール) デイサービスのプログラム参加 など 家に引きこもるようになると、ますます精神的につらくなり、うつ状態になってしまいます。家族だけでなく、さまざまな人と接し精神を安定させることが必要です。 ボランティアやレクリエーションなどの社会活動 脳卒中の後遺症による精神的症状を緩和する方法に、ボランティアやレクリエーションなどの社会活動への参加があります。社会の一員として活動し、自身の存在価値を認識するとが生きる意欲の向上につながります。 デイサービスやデイケアで他人との交流 脳卒中の後遺症による精神的症状を緩和するために、デイサービスやデイケアで他人と交流することも効果的です。 同じ境遇の人たちと交流を持つことで、今の自分を見つめ直し、病状を受け入れる良い機会になります。 再生医療や保険適用外のリハビリも検討する 脳卒中の後遺症による精神的症状を緩和するには、再生医療や保険適用外のリハビリも検討するのがおすすめです。再生医療とは、自身の細胞を移植し後遺症で低下した身体機能を高める技術です。 再生医療やリハビリでは、専門職が患者さんに合った緩和方法を提案してくれます。自身に合った緩和方法を見つけ、後遺症と上手に付き合っていくことが大切です。 脳卒中による後遺症とその具体的な症状 脳卒中による後遺症とその具体的な症状は、以下の5つです。 疼痛 失禁・便秘 廃用症候群 脳卒中発症後は、日常生活に影響を及ぼす後遺症が現れます。後遺症と上手に付き合っていくには、ご家族や周囲の人のサポートが必要です。 骨折・打撲 脳卒中による後遺症の症状に、骨折・打撲があります。 リハビリや日常生活動作(ADL)の中で、後遺症の麻痺により思い通りに身体が動かない場合があります。思い通りに身体が動かせないと、転倒のリスクがあるため注意が必要です。 安全に過ごせるように、バリアフリーにするなど室内環境を整備しましょう。 疼痛 脳卒中を発症すると、後遺症に疼痛が現れる場合があります。疼痛の原因はさまざまで、麻痺の部位を無理に動かしたり、リハビリで過度な運動を行ったりすると起こります。 疼痛の緩和方法は、物理療法や薬物療法などです。疼痛の症状がある場合は、我慢せずに近くの人に相談しましょう。 失禁・便秘 脳卒中の後遺症には、排便に関する症状の失禁や便秘があります。脳卒中で排便をコントロールする神経が障害されると、排泄が上手にできなくなります。 失禁が酷い場合の対策方法は、薬物療法やトレーニング、介護用おむつの使用などです。トレーニングは、骨盤の底にある骨盤底筋を鍛えて、排尿時の尿道や肛門を閉める動作を改善します。 便秘の症状には、緩下剤や浣腸が使用される場合もあります。 異所性骨化 脳卒中の後遺症に異所性骨化があります。異所性骨化とは、関節周囲の軟部組織の中に骨ができる病気で、麻痺の患者さんや関節の手術後によく見られます。 過度のリハビリで関節が硬くなった状態でさらに運動を続けると、周囲の組織が傷つき骨化が進行する可能性があります。 症状が治まるまでは患部に過度の刺激を与えないように注意し、腫れや疼痛がある場合はすぐに医師の診察を受けましょう。 廃用症候群 脳卒中の発症後は、廃用症候群の症状が出現する場合があります。廃用症候群とは、筋肉や骨が衰えたり関節が固まって動かしにくくなったりする後遺症です。 急性期のリハビリをできるだけ早く始める理由のひとつは、廃用症候群を予防し、機能の損失を最小限にとどめるためです。脳卒中で壊死した脳細胞の周囲には、死んではいないが機能が停止している“仮死状態”の脳細胞があります。 急性期のリハビリは脳細胞に刺激を与えると、機能を回復させる効果があると考えられています。急性期リハビリテーションは、しばらくしてからリハビリテーションを始めた場合よりも早く退院でき、死亡率も減ることがわかっています。 【上図】発症後まもなくリハビリを開始した群と、しばらくしてから開始した群の6週間後の状態を比較しました。すぐに開始した群では、自宅に戻れる割合が 50%を超えているだけでなく、死亡率も半減していることがわかります。 脳卒中(脳出血)の後遺症は再生医療で改善が期待できる 一般的に、脳卒中で脳が受けたダメージが重ければ重いほど、後遺症の種類も増え症状も重くなる傾向があります。 後遺症を受け入れ早期からリハビリを開始するには、本人だけでなく周囲の理解やサポートが大切です。 また、脳卒中の後遺症は、再生医療で改善が期待できます。 再生医療による脳卒中の治療結果は身体の具合によって個人差がありますが、再生医療治療を始めるのは早いほど、良い結果に期待できます。再生医療による脳卒中の治療を検討している方は、早めにご相談ください。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の後遺症に対する新たな治療法として注目が必要です
2022.01.22 -
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脳卒中は脳血管の破裂や閉塞により、脳の神経細胞が栄養不足になり死んでしまう病気です。その結果、後遺症が残ることも少なくありません。 しかし、脳卒中の前兆や初期症状を知る方法に「ACT FAST」と呼ばれるセルフチェックがあります。 後遺症を軽減するためには、脳卒中の前兆を把握し、早期発見・早期治療に努めることが重要です。 本記事では、脳卒中の前兆やセルフチェック方法を解説します。 この記事を読むとわかること 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中のセルフチェック方法 脳卒中を予防するためのポイント 脳卒中の初期症状が出現していないかセルフチェックを行い、早期発見を目指しましょう。 脳卒中とは 脳卒中とは、脳の血管が急に破れたり詰まったりして、脳の血液循環に障害をきたす病気です。脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」とに大別されます。 脳梗塞や脳内出血を含む脳血管疾患は、日本人の死因の第4位※です。 ※出典:令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省 脳卒中の発見が遅れると、重い後遺症が出る可能性が高まるため注意が必要です。早期治療ができるように、脳卒中の前兆や初期症状を確認しましょう。 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中の前兆は疾患ごとに異なる場合があります。以下の3つの脳血管疾患の初期症状を確認しましょう。 脳血管疾患の前兆・初期症状 脳梗塞の前兆|一過性脳虚血性発作 脳内出血の前兆 くも膜下出血の前兆 脳卒中の初期症状に気づいて早期に治療を始めると、症状や後遺症の重症化を防げます。 脳梗塞の前兆|一過性脳虚血発作 脳梗塞の前兆に、一過性脳虚血発作(TIA)があります。一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳の血流が一時的に遮断され、脳梗塞様の症状が出現する発作です。 症状は1時間以内に収まることが多く、長くとも24時間以内で消失するといわれています。一過性脳虚血発作(TIA)の発症後は48時間以内に脳梗塞を発症する可能性が高いため、早期治療が重要です。一過性脳虚血発作(TIA)の主な症状は、以下のとおりです。 一過性脳虚血発作(TIA)の主な症状 片半身がしびれる、感覚が鈍くなる 体が動きにくい、力が入らない 顔半分がしびれる、ひきつる 片目が見えにくい めまいがする ろれつがまわらない、言葉が出てこない 上記の症状が短時間出現し、状態が元に戻った場合は一過性脳虚血発作(TIA)を疑い、すぐに病院を受診しましょう。 脳内出血の前兆 脳内出血は突然発症する病気で、前兆に気づくのが難しいのが特徴です。重い後遺症が出るのを防ぐために、以下の症状がある場合はすぐに病院を受診してください。 脳内出血の前兆 片目が見えにくい 両目で見たときに物が二重に見える 目が充血する 目が前に突出してくる 片半身がしびれる 言葉が出てこない 脳内出血の前兆に気づき早期治療ができれば、症状の悪化を防げます。目や身体の違和感は、脳卒中の症状の可能性があることを覚えておきましょう。 くも膜下出血の前兆 くも膜下出血の前兆に、突然の激しい頭痛や嘔吐があります。くも膜下出血の頭痛は、「突然バットで殴られたような強さ」が特徴です。 激しい頭痛の前に、警告頭痛がある場合もあります。警告頭痛は片頭痛に似た症状で強さに個人差があり、頭痛を放置してしまう人もいるため注意が必要です。 くも膜下出血は、激しい頭痛がなく嘔吐や意識障害などを突然発症する例もあります。脳血管が破裂し出血すると、脳を覆う髄膜が刺激され嘔気・嘔吐を引き起こします。 脳卒中の前兆が見られたらセルフチェック【ACT FAST】 脳卒中の疑いをテストする方法に、“ACT FAST”と呼ばれるセルフチェックがあります。 以下を参考に、脳卒中の初期症状が出現していないかをチェックしましょう。 ACT FAST Face(顔)=顔の麻痺のチェック 鏡に向かって微笑んだときの、口角の左右のバランスをチェックします。片側が引きつって歪んだように見えたら黄信号です。 Arm(腕)=腕の麻痺やしびれのチェック 真っ直ぐ立って手のひらを上に、両腕を肩の高さまで突き出します。高さを維持できずに片腕が下がってきたら、片麻痺の疑いがあります。 Speech(言葉)=言葉の異常をチェック 「花子が太郎にリンゴをあげた」これを声に出して言ってみてください。顔や口元に麻痺があると滑舌が悪くなり、とくに「ラ行」が発声しづらくなります。 Time(時間)=症状に気付いた時刻 セルフチェックを行い、該当する症状がみられる場合は、119番ヘ連絡して救急車を呼びましょう。 脳卒中の前兆に対する検査とリハビリ 脳卒中の検査とリハビリは、初期症状や前兆がある場合に実施されます。脳卒中は生死にかかわるため、検査により発症部位を特定できたら、早急な治療が必要です。 脳卒中の症状が出現していたり、後遺症が残っていたりした場合は、リハビリで症状を緩和します。 脳卒中の前兆に対する検査方法 脳卒中の前兆に対するリハビリ 早期発見や早期治療ができるように、脳卒中の検査やリハビリの方法を確認しましょう。 脳卒中の検査 脳卒中の診断には、以下の検査が行われます。 脳卒中の検査 コンピュータ断層撮影(CT) 核磁気共鳴画像(MRI) 核磁気共鳴血管撮影(MRA) 超音波検査・心エコー X線撮影(血管造影検査) 脳卒中の前兆や初期症状がみられる場合は、上記の検査で発症部位を特定します。病院を受診した際に検査内容がわかるよう、各検査の特徴を詳しく解説します。 ■CT検査 脳卒中の検査に、CT検査があります。CT検査とは、X線撮影をコンピュータで解析して脳の輪切りを映し出し、脳卒中の有無や種類を判定する検査です。 脳梗塞の場合は発症から24時間以上経たないとはっきり描画できませんが、脳出血は発症後すぐに描画されます。 ■MRI検査 脳卒中の疑いがある場合は、MRI検査を行います。MRI検査とは、磁力を使って脳の断層像を映し出す検査です。 CTと比較して鮮明な画像が得られ、出血部分や梗塞部分が発症後すぐに描画されます。 ■MRA検査 脳卒中の検査の1つに、MRA検査があります。MRA検査では、造影剤を使用せずに、磁力を使って脳の血管を映し出します。 詰まっている脳血管を見つけ出し、脳卒中の発症場所の特定が可能です。 ■超音波検査 脳卒中の検査に、超音波検査があります。超音波検査とは、超音波の発信受信装置を首にあてて、動脈硬化の有無や程度を調べる検査です。 脳血管疾患は心疾患とも関連している場合があるため、心エコーと呼ばれる心臓の検査でも超音波を用います。 ■血管造影検査 脳卒中の検査では、血管造影検査が行われます。血管造影検査とは、カテーテルという細い管を通して造影剤を入れ、X線撮影をする検査です。 血管造影検査を行うと、血管の状態や脳卒中の発症部位がわかります。 脳卒中のリハビリテーション 脳卒中のリハビリテーションは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフによって行われます。脳卒中を発症してからの経過時間に応じて、実施するリハビリテーションが異なるため、以下のポイントを確認しましょう。 急性期(発症から1~3週間) 治療施設:急性期病院 リハビリテーションのポイント ⇨廃用症候群の予防、リスク管理(座位、運動負荷)、合併症管理 回復期(1~3週間から3~6週間) 治療施設:リハビリテーション専門病院 リハビリテーションのポイント ⇨機能回復訓練、心理的支持、維持期への橋渡し 維持期(3~6カ月以降) 治療施設:リハビリテーション専門病院、介護保険対応の病院、施設、在宅 リハビリテーションのポイント ⇨機能維持、介護負担の軽減、環境調整、社会資源の活用 リハビリテーションの効果は個人差がありますが、劇的な効果がみられなくても、諦めることなく根気よく続けることが大切です。 脳卒中の後遺症を、新しい先端医療「再生医療」で治療した例 再生医療は、脳卒中の後遺症に対する新たな治療法として注目を集めています。 以下の動画は、脳卒中の後遺症を再生医療で治療した人のインタビューですので、ぜひ参考にしてください。 再生医療は、厚生労働省の認可を受けた再生医療専門クリニックでしか実施できません。脳卒中の再生医療が気になる方は、当院へお気軽にお問い合わせください。 脳卒中を予防するためのポイント 脳卒中予防のために、以下の4つのポイントを意識することが大切です。 脳卒中を予防するためのポイント 血圧管理を行う 塩分控えめの食生活とコレステロールを減らす食品を心がける 適度に運動する 健康診断や脳ドックを受診し、脳の健康状態を把握する 脳卒中は生活習慣を改善すると、予防できる可能性が高まります。食生活や運動習慣などを見直し、脳卒中の発症リスクを低減しましょう。 【まとめ】脳卒中の前兆が見られたら早期発見・早期治療が大切 脳卒中は早期発見・早期治療が大切です。 ACT FASTでセルフチェックを行い、脳卒中の前兆や初期症状に気づければ、早期治療ができ症状の進行を抑えられます。脳卒中を早期発見できるように、定期的に健康診断や脳ドックを受けて脳の健康状態を把握しましょう。 脳卒中になってしまった場合は、後遺症からの回復やリハビリ効果を高める方法として、再生医療が注目されています。再発を抑える効果にも期待できるので、脳卒中を発症した際は、ぜひ再生医療をご検討ください。その際は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。
2022.01.22 -
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脳卒中の急性期とは、発症直後から1カ月程度までの期間をいいます。脳卒中の急性期にリハビリを行うと、合併症予防や機能の回復が期待できます。 本記事では、脳卒中の急性期症状や、急性期リハビリのポイントについて詳しく解説します。 この記事を読むとわかること 脳卒中の急性期について 脳卒中の急性期リハビリのポイント 脳卒中の発症後すぐに治療を開始できるよう、急性期リハビリテーションの効果やポイントを確認しましょう。 脳卒中の急性期とは? 脳卒中の急性期とは、発症直後から状態が安定していない1ヶ月程度程度の期間です。脳卒中の急性期や回復期は明確な基準がないため、以下のポイントを押さえ、リハビリを始めることが必要です。 脳卒中のポイント 全身状態が安定するまでは急性期 発症後1~2カ月後になれば回復期に入る 脳卒中のリハビリテーションの目的は、合併症予防や廃用症候群予防です。廃用症候群は、病気やけがなどで安静に過ごすことで活動力が低下し、身体の機能が衰えてしまう状態をいいます。 早期回復のためには、運動量を可能な限り確保したり、適切な運動課題を実施したりすることが重要です。脳卒中の発症時期に合わせたリハビリテーションが実施できるように、各時期の特徴を確認しましょう。 全身状態が安定するまでは急性期 脳卒中の急性期とは、全身状態が安定するまでの発症直後から1ヶ月程度の期間のことです。 急性期は脳の血管以外にも、血液の循環状態や意識レベルなどさまざまな状態が変化しやすく、突然症状が出現する場合があるため注意が必要です。 症状の出現に気づき、治療を開始するまでの時間が短いほど、症状の重症化を防げる可能性が高まります。 発症後1~2カ月後になれば回復期に入る 脳卒中の発症後、1~2カ月が経つと回復期に入ります。回復期は、急性期を脱し状態が安定している期間です。 状態が安定している回復期は、社会生活への復帰を目指して、日常生活動作(ADL)を中心としたリハビリテーションを行います。発症から6カ月以降は、生活期(維持期)と呼ばれ、自宅や施設での生活のなかでリハビリテーションを継続していきます。 脳卒中の急性期に行うリハビリのポイント 脳卒中の急性期には、以下のポイントを意識してリハビリを行います。 まず脳卒中の急性期では、脳の血管だけでなく循環状態や意識レベルなど、全身のさまざまな状態が変化しやすいため「全身状態の管理」が重要となります。 しかし、急性期は脳卒中の症状だけでなく、二次的合併症の出現にも注意をしなくてはいけません。 過度の安静により長期間ベットに寝ている状態が続くと、筋力低下や床ずれなどといった廃用症候群を発症する恐れもあります。 全身状態を管理した上で、早期からベッドを離れて、食事や洗面、トイレ、歩行などの日常生活動作(ADL)のリハビリから始めることが大切です。 脳卒中の急性期に行う早期リハビリの重要性と症状別の離床基準 脳卒中の早期リハビリは、症状の重症化予防や廃用症候群予防のために重要です。 脳卒中にはさまざまな病型があり、離床開始の基準(※)は症状によっても異なります。 ※離床基準は施設によって異なります。 離床とは、ベッド等で生活していた人が、徐々に床(ベッド)から離れて生活機能・範囲を拡大していくことをいいます。 ベッドに寝たきりの状態が続くほど、心肺機能や運動機能、精神状態など、心身ともに機能低下が進んでしまいます。全身状態が落ち着いたら、医師の指示のもと、「早期離床」を目指しましょう。 脳梗塞(ラクナ梗塞) 脳梗塞(ラクナ梗塞)の離床基準は、以下のとおりです。 脳梗塞(ラクナ梗塞)の離床基準 診断日より離床開始を検討 心エコーの評価後、残留心内血栓と心不全徴候がなければ離床開始 進行性麻痺を認める症例は個別で検討 ラクナ梗塞は、脳の深部の細い血管が詰まって起こる脳梗塞で、比較的症状が軽いのが特徴です。脳梗塞の症状が出現しているときは、症状の程度によって離床が可能かを判断する場合もあります。 脳出血 脳出血の離床基準は、以下のとおりです。 脳出血の離床基準 収縮期血圧 140 mmHg以下にコントロール フォローアップ画像検査で血腫の増大、急性水頭症は否定されている 脳出血は、脳血管が破裂し脳内で出血が起こる病気で、血圧変動が大きい特徴があります。急激な血圧の変化に注意しながら離床を行う必要があるため、無理に身体を動かさないようにしましょう。 くも膜下出血 くも膜下出血は、以下の項目を満たしていれば離床を開始できます。 くも膜下出血の離床基準 破裂脳動脈瘤の根治術が行われている 症候性脳血管攣縮がない 急性水頭症が無い くも膜下出血は、くも膜下腔に出血が広がり、激しい頭痛や嘔気が出現する疾患です。脳動脈にできたこぶ(脳動脈瘤)が破裂することで発症する病気で、血圧変動が大きいため注意が必要です。 症候性脳血管攣縮は、くも膜下出血後に脳血管が過剰に収縮し、脳血管への栄養が途絶えることで発生する脳梗塞様症状です。離床時に症候性脳血管攣縮があると、症状が悪化しさらに合併症を発症する恐れがあります。 急性期のリハビリテーションの重要性 急性期のリハビリテーションは、早期回復や合併症予防のために重要です。 臥床状態(ベッドや床で安静にしている状態)が続くと、廃用症候群のリスクも高まるため注意しましょう。 しかし、急性期は全身状態が変化しやすいため、無理なリハビリをするのは禁物です。 全身状態を管理し、無理のない範囲でリハビリをしましょう。 「脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)※」では、急性期のリハビリテーションはバイタル徴候(血圧や体温など)に留意しつつ、脳卒中発症後なるべく早期から積極的に行うことがすすめられています。 ※参照:脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)|日大医誌 82 (6):325ー332 (2023) 急性期リハビリテーションの主な内容は、以下のとおりです。 ベッド上で座る 自分で手足を動かす 関節可動域を維持するために関節を少しずつ広げる リハビリテーションの専門家は、症状や身体の状態をチェックし、適切なプログラムを提案してくれます。脳卒中の早期回復や、社会生活への復帰を目指して、急性期リハビリテーションに取り組みましょう。 【まとめ】脳卒中のリハビリは急性期が重要!再生医療も有効 脳卒中のリハビリは、急性期から始めることが重要です。脳卒中の急性期である発症後から1カ月程度の機関は、状態の急変に注意しながらリハビリを行うことで、早期回復が期待できます。 脳卒中に有効な治療法の1つは、再生医療です。 急性期を脱したあとはリハビリと再生医療を併用すると、リハビリ効果を高められます。脳卒中の症状についてお悩みの際は、当院までお気軽にお問い合わせください。
2022.01.22 -
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脳梗塞を発症すると後遺症が残る場合があります。脳梗塞の後遺症は日常生活にも影響を与える可能性のある恐ろしいものです。 そんな後遺症ですが、リハビリをすることで後遺症を克服し、発症する前と変わらない生活が送れるようになる可能性もあります。 本記事では脳梗塞の主な後遺症と期間によるリハビリの違いについて解説します。 この記事を読むとわかること 脳梗塞による主な後遺症 脳梗塞の後遺症を緩和するリハビリ 脳梗塞の後遺症を治療する「再生医療」の選択肢 再生医療による治療についても解説しているので、ぜひ参考にしてください 脳梗塞による主な後遺症 脳梗塞の後遺症は主に以下の症状が挙げられます。 運動麻痺 身体の片側が動かしにくくなる 感覚障害 感覚が過敏になる/鈍くなる 目の障害 視野が狭くなる・二重になる・片目が見えにくくなるなどの症状 脳梗塞発症後、長期間にわたって後遺症が残るケースもある 構音障害 ろれつが回らない、舌がもつれる 嚥下障害 口や喉の筋肉が麻痺し、食べ物や飲み物が肺に入ってしまう 誤嚥性肺炎のリスクが高まる 食べこぼしが増える 涎が垂れる 高次脳機能障害 物忘れが激しくなる記憶障害 注意散漫になり集中できなくなる注意障害 言葉を理解できなくなる失語障害 これらの症状は、発症した脳の部位や障害の程度によって異なります。 心理的な後遺症も多い脳梗塞ですが、リハビリをすれば運動的・心理的後遺症はいずれも良くなることがわかっています。 脳梗塞の後遺症を緩和するリハビリ|期間別に解説 脳梗塞のリハビリは3つの期間で別の方法が採られています。 急性期:発症から約2週間までの期間 回復期:発症から約3~6カ月までの期間 維持期(生活期):自宅・施設に戻りリハビリを行う期間 基本的には回復に向かっていく期間には日常に戻るためのリハビリが始まります。 リハビリで重要なことは、自分から能動的に動くことです。セラピストに身体を動かしてもらうだけだと脳への刺激が少なく回復が期待できません。 3つの期間に分けて、詳しいリハビリの内容をお伝えします。 急性期に行うリハビリ 脳梗塞発症後のリハビリは、発症してから2週間までの期間である急性期が特に重要だと言われています。 急性期のリハビリでは、寝たきりの状態が続き、筋肉や骨が萎縮したり、関節が硬くなったりすることで運動機能が低下する「廃用症候群」の予防が主な目的になります。 急性期には患者の体調が急変する恐れが残っているため、ベッドの上でできるリハビリを行います。 急性期に行うリハビリ 手足の関節を動かす 麻痺のある手足を適切な場所に保つ 寝返りを打つ ただし、寝たきり状態によって体力が落ちたり床ずれや感染症などを発症したりしないないよう、無理のない範囲でベッド周辺での軽い運動をする場合もあります。 寝たきりになると体のさまざまな器官が衰え、深部静脈血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。 回復期に行うリハビリ 急性期を過ぎて病状が安定してくる回復期では、脳梗塞の後遺症の症状に合わせて、日常で必要となる動作ができるようになるためのリハビリをします。 回復期に行うリハビリ 運動機能のリハビリ 嚥下・言語機能のリハビリ 機能障害を防ぐリハビリ 運動機能のリハビリは立つ・座るなどの基本動作や歩く練習、トイレや着替えなどのリハビリが行われます。 また、発声や飲み込む練習などをするのが嚥下・言語機能のリハビリです。この嚥下のリハビリを行うことで、日常と同じ固形の食事を摂れるようになります。 高次脳機能障害を防ぐリハビリでは、繰り返し同じ行動をする訓練や風船、積み木を用いたリハビリが行われます。 維持期に行うリハビリ 急性期、回復期を過ぎて退院した後(維持期)も、身体を動かさないでいると、身体の機能が低下してしまうので、引き続きリハビリをする必要があります。 維持期のリハビリ 物理療法 日常動作 散歩・軽い運動 維持期のリハビリは自宅やリハビリ設備のあるクリニックで行われます。クリニックでの物理療法も効果的です。 退院後何もしないと、一度取り戻した運動機能が低下してしまうので維持期のリハビリが重要です。 脳梗塞の後遺症には「再生医療」という選択肢がある 脳梗塞の後遺症を緩和させる方法には、再生医療もあります。 再生医療は患者自身の細胞や組織を利用するため、通常の手術より拒否反応が起こるリスクが低く安全な治療法です。 脳の血管や組織の修復を促し、脳梗塞の後遺症を緩和する効果が期待できます。 再生医療をご検討の際は当院へお気軽にご相談ください。 脳梗塞後の後遺症やリハビリに関してよくある質問 脳梗塞発症後の後遺症・リハビリに関する質問に答えていきます。 脳梗塞で後遺症が残らない確率はどのくらい? 脳梗塞の後遺症は治るの? 脳梗塞から退院後はどんな生活? 脳梗塞発症後の後遺症が治る確率や退院後の生活について解説していますので、ぜひご覧ください。 脳梗塞で後遺症が残らない確率はどのくらい? 後遺症が残らない確率は約3割※とされています。 (内訳:症状なし:12.2% / 症状はあるが明らかな障害はない:20.04%) ※参照:日本脳卒中データバンク報告書2023 発症後すぐに治療を受けた場合は後遺症が残らず退院できたケースもあります。脳梗塞を発症したときには、少しでも早く医師の治療を受けましょう。 脳梗塞の後遺症は治るの? 脳梗塞の後遺症は完治する可能性もあります。 厚生労働省の調査では脳梗塞発症後の復職率は5~6割※と半分以上の方が復職しています。 ※参照:厚生労働省「脳卒中における留意事項」 多くの患者は生活に支障がない程度まで回復するようです。病院や専門の施設でリハビリを受けることで大きく改善が見込めます。 脳梗塞後のリハビリによる回復効果を高めるためには、再生医療が有効です。再生医療は患者自身の組織・細胞を利用して治療するため、患者の身体への負担が少ない治療法として注目されています。 再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。 脳梗塞から退院後はどんな生活? 退院後の生活は、後遺症に合わせてリハビリを続けながら、生活の工夫をしていくことが大切です。 退院後の生活で気を付けるべきこと 運動をする 血圧に注意する 脱水に注意する もしひとりで運動するのが苦手な方は、専門施設や介護施設でリハビリを受ける選択肢もあります。軽い散歩だけでも毎日続けられるようにしましょう。 【まとめ】脳梗塞の後遺症とリハビリ内容のまとめ 脳梗塞の後遺症を残さないためには、早期の受診と急性期のリハビリが重要です。 脳梗塞の時期や筋力・体力を鑑みて適切なリハビリをしましょう。 また、リハビリとの併用で再生医療を利用すると身体機能の回復効果を高められます。再生医療をご検討の方は、当院へご相談ください。 退院後も注意しなければいけないことが多くありますが、発症以前と同じ生活を送るためにも日々の運動に努めましょう。
2021.08.06 -
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- 再生治療
脳出血を発症した場合、その後の再発防止にも努めなければいけません。再発すると重い後遺症を残す可能性が高まるため、適切な再発予防策を講じる必要があります。 本記事では、脳出血の再発防止で重要な取り組みや生活習慣の改善方法について解説します。 この記事を読むとわかること 脳出血を予防するために重要なこと 脳出血を予防する生活習慣 血圧の正しい測り方 普段の生活を見直すだけでも、再発の可能性は格段に下がります。ぜひご自身の生活を振り返りながらご覧ください。 脳出血の再発を予防する!そのために欠かせない2つのこと 脳出血を予防するためには、日常生活で2つのことに気を付けなければいけません。 血圧管理 定期検査での早期発見 以上の2つのポイントについて詳しく解説します。 脳出血になった経験がある方は、ぜひこれからの生活で取り組んでみてください。 脳出血の再発を予防するには血圧管理が重要 高血圧が原因で引きおこる脳出血は患者全体の約9割を占めます。 脳出血は脳内の血管に負担がかかって引きおこるため、再発を防止するには血圧の管理が重要です。 脳出血を起こしたことがある方は家庭血圧で115/75mmHg未満※が推奨されています。 ※出典:厚生労働省「生活習慣病」 生活習慣だけで高血圧を改善できない場合、薬を飲んで血圧を下げるケースもあります。 定期検査で早期発見に取り組む 脳出血の再発を防止するには、定期的に検査を受け、医師の診断を受けることが大切です。 CTやMRIを受けることで、脳の血管や組織の異常を詳しく確認することができます。異常が早期に発見できれば、再発を未然に防ぐことが期待できます。 CT、MRIのほかに頸動脈エコーも脳出血予防に効果的な検査です。 血圧を下げる生活習慣の改善方法 脳出血を予防するには、血圧が高くならないように生活習慣を改善するのが効果的です。 血圧を下げる生活習慣の改善法 食生活を改善する 運動を習慣化する 禁煙する アルコール摂取量を減らす 脳出血を発症したことがある方は生活を見直し、再発予防に努めましょう。 食生活を改善する 塩分・脂質の摂りすぎは、血圧上昇につながります。普段の食事では、減塩に取り組みましょう。 一般的には目標摂取量は成人男性1日あたり7.5g未満、成人女性1日あたり6.5g未満ですが、高血圧予防の観点からは男女ともに1日6.0g未満が推奨されています。 また、果物や緑黄色野菜を積極的に摂り、カリウムの摂取を心掛けてください。カリウムは塩分の排出を助け、高血圧や動脈硬化の予防に役立ちます。 また、魚介・ナッツ類、アマニ油や大豆油は体内の脂質のバランスを整える働きがあります。これらの食品を日々の食事に取り入ることで、血圧管理に役立つだけでなく、全身の健康維持にもつながります。 運動を習慣化する 定期的に運動を行うことで、血圧を下げる効果が期待できます。 筋トレよりも有酸素運動が好ましく、週に2~3回、1日30分程度のウォーキングで脳出血予防に効果があります。 ただし、運動のやりすぎは体に負担をかけてしまいます。運動の頻度は医師と相談し、無理のない範囲で行いましょう。 禁煙する タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる恐れがあります。 禁煙すると脳の収縮が抑えられるため、脳出血のリスクが減少します。脳出血を発症したことがある喫煙者は、まず禁煙しましょう。 禁煙が難しい方は依存症の可能性があるので、禁煙外来などで医師の指導を受けてください。 アルコール摂取量を減らす アルコールは血圧を上昇させる作用があるので、血圧をコントロールするためにもアルコール摂取量を減らしましょう。 また、アルコールは利尿作用があります。水分が足りなくなると脳の血流が悪くなり、血栓ができやすくなる点にも注意が必要です。 1日のアルコール摂取量は20g※までに控えましょう。 ※出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」 アルコール20gをビールや日本酒などに換算すると以下の量になります。 ビール 500ml 日本酒 180ml チューハイ 350ml ワイン 200ml 焼酎 100ml ウイスキー 60ml 女性は上記の半分が適量です。 血圧の正常値と正しい測り方 脳出血の再発予防のためには、家庭血圧で115/75mmHg未満※にコントロールする必要があります。 ※出典:厚生労働省「生活習慣病」 正しい血圧の測り方 毎日朝と夜2回、できるだけ同じ時間に測る リラックスして椅子に座り、背筋を伸ばした状態で測る 寝ている場合は仰向けになって腕を伸ばし、手のひらを上に向けて測る 毎回同じ腕で測る。原則、利き腕とは反対側 カフ(腕帯)は肘から1~2cm上、腕帯のチューブが手のひら側になるよう巻き付ける 血圧を測るのに適した時間帯は以下の通りです。 朝 起床後1時間以内、排尿後、朝食・服薬の前 夜 就寝前 以上のように、血圧を測る場合は細かく姿勢や時間帯が決まっています。 毎日測定し、正常値の血圧を維持できるようにしましょう。 脳出血の再発を予防しなければならない理由 脳出血の再発は、命の危険性だけでなく、その後の生活の質にも大きな影響を与えます。 以下の2つの理由で、脳出血は再発防止が重要です。 脳出血の再発を予防しなければならない理由 以前よりも後遺症が重くなる 新たな後遺症を発症する可能性がある また、同じ場所で再出血した場合多くの部位が損傷し、神経症状が出現するケースもあります。 脳出血の再発により高次機能障害を発症するおそれもありますので、再発防止に尽力しなければいけません。 脳出血の再発に関してよくある質問 脳出血の再発防止に取り組む方からのよくある質問を紹介します。 脳出血を再発するときの前兆やリスクが高い方の特徴について解説します。 脳出血の再発の前兆は? 脳出血発生時の前兆としては、頭痛やめまい、視覚障害などの症状が起こります。 頭痛は片頭痛などとは違い、突然強い痛みが発生します。また、普段と違う激しいめまいがあった場合は、脳出血の前兆である可能性が高いです。 視覚障害は、一部が欠けて見える、視界がぼやけるなどの特徴があります。 以上の症状が起こった場合は、すぐに病院を受診してください。 脳出血の再発率は? 脳出血は再発率が高く、初回発症後1年以内で約10%、初回発症後10年間の累積で約55%※ほどが発症すると言われています。 ※出典:PubMed「Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study」 つまり、約半分の方が10年以内に再発していることになります。 再発防止のために、自身の生活を見直しましょう。 脳出血の再発リスクが高い人の特徴は? 脳出血の再発リスクが高い方には以下の特徴があります。 高血圧・糖尿病の人 飲酒・喫煙の習慣がある人 運動の習慣がない人 食生活が乱れている人 食生活の改善はすぐにできます。野菜や果物・魚中心の食事に切り替え、健康的な生活を送りましょう。 また、運動はウォーキングを30分、週2回ほどで効果が期待できます。自身の体力や体調を考えながら無理のない範囲で運動の習慣を作りましょう。 脳出血を再発しないためにも最適な治療法を選択しよう 脳出血の再発を予防するには、生活習慣の改善や血圧の管理が大切ですが、治療としては再生医療が注目されています。 再生医療では幹細胞を用いた治療を行います。幹細胞治療には、傷跡がほぼ残らない、拒絶反応のリスクが低いなどの利点があります。従来の手術より患者の身体への負担が少ない方法として期待されています。 再生医療を希望する場合には、当院へお気軽にご相談ください。
2021.08.06 -
- 脳卒中
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体には運動神経という神経があり、この運動神経が正しく働いていると手足を思うように動かすことができます。 しかし、脳出血によって運動神経に障害が起きると体に麻痺が生じます。 脳出血が頭の左側で起きると右半身麻痺の症状が生じ、右側で起きると左半身麻痺が生じます。この麻痺を改善していくためにはリハビリが重要です。 本記事では「脳出血後の右半身麻痺を回復させるためのリハビリの重要性」について詳しく解説していきます。 脳出血による右半身麻痺の早期回復を目指すための「再生医療」についても解説しています。 リハビリの重要性と治療方法を理解して、脳出血の後遺症を回復させるための参考にしてください。 脳出血による右半身麻痺は「運動障害」の一つ 脳出血後、脳の細胞がダメージを受けたことで後遺症が残ることもあり、右半身麻痺の症状は「運動障害」の一つです。 運動障害の症状の重さは、脳出血が生じた部位によって異なります。 名称 主な症状 完全麻痺 損傷した部位の運動機能が完全に失われて、感覚がなくなっている状態 不全麻痺 手足などの一部または全身が自分の意のままに動かせなくなっているが、手足の動きや感覚がわずかに残っている状態 痙縮(けいしゅく) 筋肉が過剰に緊張した状態になり、手足が動かしにくかったり、勝手に動いてしまったりする 不随意運動 手足などの一部または全身が自分の意思とは関係なく勝手に動いてしまう 運動失調 麻痺はないが、手や足などの複数の部位を協調して動かせない状態 また、脳出血後の後遺症は「運動障害」以外に触覚や痛覚が鈍くなってしまう「感覚障害」などさまざまな症状があります。 後遺症によって日常生活に影響が出ることも多いため、脳出血後の症状や適切な治療方法を知っておくことが重要です。 脳出血による右半身麻痺の回復にはリハビリが重要 脳出血によって半身麻痺の後遺症が残ってしまった場合、早期のリハビリがとても重要です。 一般的に脳出血の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられており、症状が回復する見込みがあります。 しかし、時間が経過してしまった半身麻痺の症状は、回復の見込みが著しく低下してしまいます。 「回復期」と呼ばれる半身麻痺発症6ヶ月後までの期間で、脳の機能回復をできる限り引き出すためにリハビリを積極的に行うことが重要です。 リハビリは患者本人だけでなく、家族の理解やサポートも大切なポイントです。 【時期別】右半身麻痺の回復に必要なリハビリテーション内容 脳出血による右半身麻痺の回復に必要なリハビリ内容を「急性期」「回復期」「維持期」の3つの時期別に解説します。 急性期に行うリハビリ 回復期に行うリハビリ 維持期に行うリハビリ 早期に回復するためにも、それぞれの時期別に適したリハビリを行いましょう。 急性期に行うリハビリ 脳出血の発症から2〜3週間の「急性期」に行う主なリハビリは、以下の通りです。 麻痺した手足の関節をストレッチする ベッドから起き上がる 寝返りを打つ 急性期は特に危険な状態になりやすいので、安静にしている治療期間の体力低下を抑えることをリハビリの目的としています。 主に関節が硬くならないようにストレッチやベッド周辺でできるリハビリを中心に行います。 回復期に行うリハビリ 急性期から発症後6ヶ月までの「回復期」に行う主なリハビリは、以下の通りです。 自力で立つ、座るなどの「基本動作訓練」 杖や歩行器を用いた「歩行訓練」 食事やトイレなどの「日常動作訓練」 回復期のリハビリは、在宅復帰や社会復帰を目指して、さまざまな機能回復を目的としています。 主に自力で立つ、座るなどの基本的な動作や食事やトイレなどの日常生活に欠かせない動作を中心に行います。 維持期に行うリハビリ 一度症状が回復し、退院後の「維持期」に行う主なリハビリは、以下の通りです。 麻痺した側の手足を動かす、ストレッチする 散歩などの軽い運動 症状が回復した機能も何もしないでいると機能低下が進むため、機能維持のためにリハビリをする必要があります。 麻痺した側を積極的に動かすことも重要ですが、麻痺していない側も注意が必要です。 右脳と左脳でバランスを保っているため、意識せずとも麻痺してできないことを麻痺していない側の身体が補おうとして大きな負荷がかかります。 維持期のリハビリは、全身の機能維持を意識することが重要です。 脳出血による右半身麻痺は「再生医療」による治療がおすすめ 脳出血による右半身麻痺の後遺症には、再生医療による治療がおすすめです。 今まで一度死んだ脳細胞は元に戻らないといわれていました。 しかし、再生医療による治療で機能しなくなった脳細胞が復活し、後遺症を改善できることがわかってきました。 脳出血に対する再生医療の治療は、患者さんの幹細胞を培養して数を増やし、幹細胞がいろいろな組織に変化する性質を利用して脳細胞を再生させるという方法です。 https://youtu.be/pSaJBptY3Bc?si=ukDFOEQTShggOpeI 治療結果は、患者さんの病状や身体の具合で個人差がありますが、治療を始めるのが早いほど良い結果が出ています。 再生医療による治療を受けるか迷われている方は、早めにご相談いただくことをおすすめします。 以下のページでは脳出血の再生医療について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 【まとめ】脳出血による右半身麻痺の早期回復を目指すなら再生医療で治療しよう 脳出血による右半身麻痺を回復させる方法について解説しました。 一般的に脳出血の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられており、症状が回復する見込みがあります。 そのため「回復期」と呼ばれる発症から6ヶ月の時期に機能回復のためのリハビリが重要です。 また、脳出血による後遺症の早期回復を目指すなら「再生医療」による脳の再生治療を検討しましょう。 いろいろな組織に変化する幹細胞の性質を利用して損なわれた脳細胞を再生させる研究が進み、安全性が高く効果があると世界でも注目されています。 再生医療による治療は早ければ早いほど良い治療結果が出ているため、まずはご相談ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院
2021.08.06 -
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脳梗塞の後遺症・しびれに悩まされている方も多いのではないでしょうか。しびれは生活への影響が大きい後遺症のひとつです。 本記事では、脳梗塞の症状であるしびれを発症するメカニズムや治療方法を解説しています。 この記事を読むとわかること 脳梗塞によってしびれを発症するメカニズム 脳梗塞によるしびれと他の原因によるしびれの見分け方 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法 現在、しびれにお悩みの方はぜひご一読ください。 脳梗塞の症状はリハビリによって改善が見込めます。治療方法についても紹介するので日常生活が不自由なく送れるようになることを目指しましょう。 脳梗塞によってしびれを発症するメカニズムとは 脳梗塞によるしびれは、脳内の感覚を司る領域、特に視床や体性感覚野が損傷を受けることで発生します。 これらの部位が障害されると、感覚情報の伝達や処理が正常に行われなくなり、実際には刺激がないにもかかわらず、ビリビリとしたしびれや異常な感覚が生じます。 一方、しびれがない脳梗塞の場合、損傷が運動機能や他の認知機能を司る領域に限定され、感覚を担当する領域が影響を受けていない可能性があります。 その結果、しびれの症状は現れず、代わりに運動麻痺や言語障害など、他の症状が主に現れることがあります。 つまり、脳梗塞によるしびれの有無は、損傷部位の違いによって決まります。 感覚を司る領域が損傷されるとしびれが生じ、これらの領域が無事であれば、しびれは発生しないと考えられます。 脳梗塞”しびれ”の原因 人が感覚を感じる仕組み 皮膚のセンサー「触覚受容器」を通して感覚を感じ取る 感覚神経を通して脊髄を通り、脳の視床を通過 体性感覚野に到達 情報を受け取り感触を認識 皮膚や感覚神経が正しく働いていても、脳梗塞によって視床や感覚神経、体性感覚野に障害があると情報を正しく伝達できなくなります※。 ※参考:脳梗塞の後遺症“しびれ”の原因とは?生活への影響とその治療方法について医師が解説します。 神経や感覚野に異常があると、何も触っていなくてもしびれの症状が出るのです。 脳梗塞の際に視床・感覚神経・体性感覚野が損傷していなければ、しびれは発症しません。 運動障害 脳梗塞による麻痺で身体を動かさなくなると、動かさなくなった部分の筋肉が硬くなり血管も収縮してしまいます。 血管が収縮すると血液の流れが悪くなり、その状態が続くとしびれが生じるようになります。 感覚障害 脳梗塞によって感覚を司る脳神経が損傷すると、体の感覚に対する情報がうまく処理できなくなります。 それにより、触っている感覚がよくわからない、手足のしびれ、不快な刺激を感じるなどの症状が出るのです。 脳梗塞によるしびれと他の原因によるしびれの見分け方 下記の症状に当てはまる場合は、脳梗塞によるしびれの可能性があります。 片方だけ手足がしびれる 手に力が入らない ろれつが回らない 反応が遅くなる 視野が半分欠けている 脳梗塞によるしびれは、通常、体の片側(顔・腕・足)が同時にしびれることが特徴です。また、言語障害や片側の筋力低下、視野欠損などの症状を伴うことが多く、突然発症します。 一方、他の原因によるしびれは、特定の部位に限られることが多く、徐々に進行する場合や、一定の動作や姿勢で悪化する場合があります。 脳梗塞の後遺症「しびれ」による生活への影響とは 脳梗塞の後遺症でしびれを発症すると、以下のような生活への影響があります。 外出がおっくうになる 人とのコミュニケーションをしなくなる 介助のときに触られるとしびれる 細かい作業ができなくなる 活動量が低下すると気分もふさぎ込みがちになり、鬱にもなりやすくなってしまいます。 また、しびれによる不快感によって慢性的な睡眠不足になってしまうほか、顔面のしびれによる食欲不振、場合によってはリハビリに影響を及ぼすこともあります。 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法は主に以下の5つです。 薬物療法 リハビリテーション 電気刺激による脳外科的療法 温熱療法 再生医療 5つの治療法について詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法では以下の薬を処方されます。 鎮痛剤 抗うつ剤 漢方薬 薬物療法は、症状そのものを抑えることを目的としており、しびれの原因そのものを治す治療法ではありません。薬の効果で一時的に症状が和らぐ場合でも、根本的な改善にはつながらない点に注意が必要です。 リハビリテーション リハビリテーションではマッサージや関節可動域を広げる訓練を行います。 マッサージは筋肉をほぐし、血流を改善して痛みを軽減するのが目的です。また、関節の可動域を広げると、日常生活が楽になります。 電気刺激による脳外科的療法 電気刺激(しびれ同調TEN)は実際に起きているしびれと同じ強さ・周波数の電気刺激を流す治療方法です。 電気刺激を行った後も治療効果が続き、しびれ以外の感覚障害も治療できる特徴があります。後遺症によるしびれに対して効果が期待される新たな期待されています。 温熱療法 手足が冷たくなり血行が悪くなるとしびれが強くなるケースが多いため、ホットパックや温浴を用いた治療法があります。 しびれそのものに対する効果は人によって差があり、温熱療法の効果は一時的です。持続的な改善には他の治療法を併用する必要があります。 再生医療 再生医療は脳梗塞による後遺症の回復や再発予防に大きな可能性を持つ治療法です。 患者自身の細胞や組織を利用した治療法のため、拒否反応が起こる可能性が低く身体への負担が少ないのが利点です。 また、しびれ以外の後遺症の改善も期待できます。 まとめ・脳梗塞の後遺症”しびれ”の原因は?生活への影響とその治療法 しびれを発症すると食事や歩行などの日常生活にも影響を与えます。発症以前のような生活を送ることが困難になり、気分が落ち込むケースも見られます。 電気刺激と再生医療は効果が長く続くため、しびれを治療したい方はどちらを受けるか検討してください。再生医療によってしびれや麻痺による痛みの軽減が期待できます。 再生医療を検討している方は、当院にお問い合わせください。
2021.08.06 -
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脳出血後には、後遺症によって全身や手足のしびれに悩まされるケースがあります。 身体のしびれは日常生活にも大きな影響を及ぼすため、どの程度回復するのか気になるのではないでしょうか。 本記事では、しびれの回復期間や原因、治療法についてご紹介します。 ぜひ、最後までご覧いただき、どの治療を受けるのか検討してください。 脳出血後のしびれ(麻痺)の回復期間には個人差がある 脳出血のしびれ(麻痺)の回復期間は、後遺症の種類や重症度、リハビリの量や質、全身の状態によって個人差があります。 発症後は早期にリハビリを開始することが大切です。 しびれの回復には脳の可塑性(かそせい)が関係している 脳出血後の「しびれ」の回復に大きく関わるのが脳の可塑性です。 脳の可塑性とは、脳の損傷した細胞の代わりを正常な脳細胞が代替し、失った神経の経路に代わる新たな経路を形成したりする性質のことです。 脳の可塑性を利用して神経細胞を適切に刺激すると、脳出血の後遺症からの回復が見込まれます。 回復の効果を促進するためにも、脳出血治療後からリハビリを行うことが重要です。 脳出血後の「しびれ」について 脳出血後のしびれは日常生活にも影響を及ぼします。 適切なリハビリによってしびれや麻痺の回復が期待できる場合もあります。 しびれ(麻痺)の原因 脳出血によって、感覚を司る「視床」や思考や記憶を司る「大脳皮質」が損傷すると、感覚の伝達に障害が発生してしびれや麻痺を発症します。 体のしびれや麻痺の症状が重い場合、日常生活がままならなくなり、鬱状態を引き起こすケースもある後遺症です。 適切な治療とリハビリを行うことで改善が期待できますが、回復までに時間を要する場合があります。 しびれの種類 脳出血後の「しびれ」には、損傷した箇所によって2つの種類にわけられます。 中枢系 脳や脊髄の損傷によって生じる 感覚の鈍さや持続的な痛み 末梢系 手足の末梢神経 ピリピリ、ビリビリした感覚 それぞれのしびれには、症状に応じた治療やリハビリが必要です。 脳出血後のしびれ(麻痺)に対する治療方法 リハビリ以外にも脳出血後のしびれを緩和する方法があります。 薬物療法 薬物療法で処方される薬は主に3つあります。 鎮痛剤 しびれだけでなく痛みもある時に使用 抗うつ剤 しびれにより落ち込みが大きく生活に支障がある場合に使用 漢方薬 しびれの部位に合わせて処方される場合あり 薬物療法は痛みなどを抑えることが目的で、しびれそのものを根本的に治療することはできません。 電気神経刺激 電気神経刺激(しびれ同調TENS)は、しびれと同じ周波数・強さの電気刺激を流してしびれや感覚障害を改善させる治療法です。 効果が持続し、ほかの感覚障害の改善も見られるため、新たな治療法として期待されています。 再生医療 再生医療は、患者さま自身の細胞や組織を利用して損傷した部位を治療します。 自身の組織を用いるため、拒絶反応や副作用のリスクが少なく安全性が高いと注目されている治療方法です。 今まで死んでしまった脳細胞は戻らないとされていました。 しかし、再生医療では体の細胞が持つ再生力を利用することで、脳細胞の再生が期待できます。 効果に個人差はありますが、しびれ(後遺症)の回復やリハビリ効果を高められます。 再生医療による脳出血後の後遺症治療は、ぜひ当院へご相談ください。 脳出血後のしびれ(麻痺)に対するリハビリテーション 脳出血後の生活期のしびれに対するリハビリでは、日常動作を支援します。 脳出血後のしびれに対するリハビリは早期に始めることが重要です。リハビリが遅れると回復までに時間がかかる可能性があります。 脳出血後のリハビリの目的はADLの向上 脳出血後のリハビリの目的は機能回復だけでなく、残された能力を最大限に活用し、生活の質を向上させる目的もあります。 ADL(日常生活動作)の改善により、回復するまでの生活の負担を軽減し、長期的な後遺症にも備えます。 脳出血のしびれ(麻痺)と回復に関するQ&A 脳出血の後遺症”しびれ”に関するよくある質問を紹介します。 しびれからの回復期間や、しびれを発症した方の回復率について回答しています。 脳出血によるしびれ(麻痺)からはいつまでに回復するの? 最も機能が回復しやすい時期は発症してから3~6カ月の回復期です。 脳の可塑性を活かしたリハビリを継続するとより良い回復が期待できます。ただし、個人の症状やリハビリの内容によって回復の程度や期間が異なります。 脳出血後によるしびれ(麻痺)からの回復率は? 2022年のデータによると、自宅に戻れた人は約26%、リハビリ目的の施設へ移行した人は約68%です。 脳出血後の回復率は、症状の重さやリハビリの開始時期によって異なります。 重度のしびれは長期的なケアが必要なケースもありますが、リハビリの開始が早いほど回復率が上がります。 脳出血後のしびれ(麻痺)や言語障害の緩和には早期のリハビリが鍵 脳出血後のしびれの回復期間や治療法について紹介しました。 しびれ(麻痺)の回復期間には個人差はありますが、発症後早期のリハビリが重要です。体調や症状を鑑みながら、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。 脳出血後のしびれ(麻痺)を緩和させたい場合、リハビリと併用して再生医療を受けるのがおすすめです。 当院(リペアセルクリニック)で提供している再生医療は厚生労働省に受理された治療方法で、しびれを含む脳卒中の後遺症の改善や再発予防にも役立ちます。 再生医療を検討している方は、当院へお問い合わせください。
2021.08.06 -
- 脳卒中
くも膜下出血は後遺症が出ることが多く、本人はもとより、家族もつらい思いをすることが少なくありません。 家族(患者)の幸せを願い懸命に看病することはとても素晴らしいことです。そのため、「家族である自分たちができることは何か」と考えをめぐらせる方もいらっしゃるでしょう。 そこで本記事では、くも膜下出血になってしまった家族に対して、残された家族ができることについて紹介します。 お悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 くも膜下出血になった家族に対してできること くも膜下出血を発症した家族のためにできることはいくつかあります。 家族にできることまとめ 再発した場合の早期発見 介護保険など支援サービスの申請 転倒防止のための工夫 食事や喫煙・飲酒などの管理 定期的な会話 再発防止や日常生活のサポートなど、具体的な行動について紹介していきます。 再発した場合の早期発見 くも膜下出血は、治療後も再発する可能性がある病です。そのため家族だからできる重要なことは、再発した場合の早期発見です。 くも膜下出血は早期発見が非常に大切です。そのためには本人だけでなく、周りの家族も変調にいち早く気づけるかがその後のカギを握ります。 早急に医療機関を受診すべきケース 顔や手足に麻痺がみられる 呂律が回っていない こちらが言っていることを理解できていない 日頃から再発を意識して、注意深く観察する習慣を身につけましょう。また、医療機関を受診した際に、調子の良し悪しを詳細に医師へ伝えることでその後の治療に役立ちます。 顔や手足に麻痺がみられる・呂律が回っていない・こちらが言っていることを理解できていないなどの症状が見られた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 介護保険など支援サービスの申請 くも膜下出血を発症した場合、働けない分の給料を保証してくれたり保険範囲内の医療費が一部払い戻されたりする制度などが使用できる場合があります。また、介護保険制度を活用すれば、必要な介護サービスを受けられます。 くも膜下出血を発症した方が利用できるサービスを下記にまとめました。 くも膜下出血を発症した方が利用できるサービス 高額療養費制度※ ※参照:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」 介護保険※ ※参照:厚生労働省「介護保険制度の概要」 傷病手当金※ ※参照:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 障害年金※ ※参照:日本年金機構「障害年金」 自立支援医療制度※ ※参照:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」 くも膜下出血を発症した本人がひとりで申請するのは難しい場合は、家族が申請をサポートしましょう。 高額療養費制度 高額療養費制度とは、1日から月末までに支払った医療費が自己負担額を超えた場合、払い戻される制度です。 医療費は保険診療の範囲内なので、くも膜下出血による診療代や検査料が対象です。一方で、差額のベッド代や先進医療の費用、食事代は対象ではありません。 自動で払い戻しはされないので、申請が必要です。国民健康保険の場合は各市区町村の窓口に問い合わせてみてください。 介護保険 介護保険とは、介護が必要な方にサービスを提供する制度で、訪問介護や福祉用具の貸与、施設の入所などさまざまです。 くも膜下出血による後遺症で介護が必要な場合は40歳から利用できます。しかし、利用には介護保険の申請や介護度の認定が必要で、認定のないまま介護サービスを利用すると全額が自己負担となります。 介護保険の申請からサービスの開始まで時間がかかる場合があるため、早めの申請がおすすめです。 傷病手当金 病床手当金とは、くも膜下出血による入院や治療で働けない場合、月給のおよそ2/3程度の金額を保証してくれる制度です。支給には4つの条件がありすべてに当てはまっている方が対象です。 傷病手当を受けられる条件を下記にまとめました。 傷病手当を受けられる条件 業務外の病気やケガで治療を受けている 病気やケガが原因で働けない 4日以上仕事を休んでいる 休んでいる期間、給与の支払いがない 該当している方は、加入している保険組合や協会けんぽから申請書を取り寄せておきましょう。 障害年金 障害年金は、くも膜下出血による後遺症によって労働や日常の生活が制限される場合に国から支給されます。受給に障碍者手帳の有無は問いませんが、書類による審査が必要です。 障害年金は2種類あり、くも膜下出血の発症で初めて診療を受けたときに加入していた年金によって請求できる障害年金が異なります。 障害年金の種類 障害基礎年金・・・国民年金に加入していた場合 障害厚生年金・・・厚生年金に加入していた場合 申請の際は、近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。 自立支援医療制度 くも膜下出血による後遺症で怒りっぽくなったり、ぼんやりしてしまったりする高次脳機能障害にお悩みの方は自立支援医療制度を活用してみましょう。 自立支援医療制度とは、高次機能障害を治療するための医療費が1割の負担まで軽減される制度です。通院の際の診療や薬代、往診、訪問看護などが対象です。 申請の際は、市区町村の障害福祉課に問い合わせてみましょう。 転倒防止のための工夫 くも膜下出血に関して家族ができることに転倒防止の工夫が挙げられます。くも膜下出血は麻痺などの後遺症が残り、転びやすくなるケースが多いため、なんらかの工夫を講じる必要があります。 主な転倒防止策 小さな段差をなくす 転倒しそうな場所に手すりを設置する マットを敷かない 明るさを保つ 玄関や部屋、廊下の境目に段差がある場合は、段差をなくす・手すりを設置するなど、歩くための障害を極力なくしましょう。 また、床や浴槽、マットが置いてある場所など、滑りやすくなっていないか確認することも大切です。また、床や廊下での物の置きっぱなしに気をつけましょう。 くわえて、足元が見にくい場所にライトを設置する工夫も有効です。 食事や喫煙・飲酒などの管理 くも膜下出血の危険因子(原因)を取り除くことも家族にできることのひとつです。くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂が主な原因ですが、その危険因子となるのが高血圧や喫煙、飲酒などです。 喫煙や飲酒は自制するのが難しいため、家族のサポートを必要とします。また、高血圧の対策として脂肪や塩分を控えた食事の提供も大切です。 定期的な会話 くも膜下出血後の家族間の定期的な会話は身体的な回復だけでなく、精神的な健康を維持する上で重要です。 患者は不安や孤独感を抱きやすい状態にあるため、家族との対話が心の支えになります。日々の出来事や患者の気持ちについて、ゆっくりと話し合う時間を設けましょう。 認知機能の維持や改善にも会話は効果的です。また、会話を通じて患者の状態の変化にいち早く気づくことができます。 【ご家族向け】寝たきりのくも膜下出血患者に関する知識 寝たきりになったくも膜下出血患者の家族として、適切なケアを提供するためには、病状や回復過程に関する正しい知識が不可欠です。 寝たきりのくも膜下出血患者に関する知識 くも膜下出血の回復過程 くも膜下出血の平均入院期間 くも膜下出血になった方の平均余命 ここではくも膜下出血の回復過程や入院期間、予後について解説します。 くも膜下出血の回復過程 くも膜下出血からの回復期間は個人差が大きく、一様ではありませんが全治までに6カ月以上かかるとされています。 一般的には、急性期・回復期・生活期と3つの段階を経ていきます。 段階 発症からの期間 過程 急性期 発症後約2週間 生命の危機管理が最優先され集中的に治療 回復期 2週間〜3カ月 集中的なリハビリテーション 生活期 3カ月以降 定期的な通院によるリハビリテーション 上記の過程で、患者はさまざまな症状(頭痛・めまい・認知機能の低下など)を経験する可能性があります。家族は、医療チームと密に連携し、患者の状態に応じたケアの提供が重要です。 くも膜下出血の平均入院期間 くも膜下出血の平均入院期間は、患者の状態や治療方法によって大きく異なります。 一般的には、軽症例で1〜2カ月、中等症から重症例では3〜6カ月程度の入院が必要となることが多いです。 症状レベル 入院期間(目安) 軽症 1〜2カ月 中等症〜重症 3〜6カ月 ただし、これはあくまで平均的な目安であり、個々の患者の回復状況によって大きく変動します。 また、入院中は定期的な面会や病室の環境整備(写真や好みの物の配置など)を通じた家族間の寄り添いが大切です。患者の回復意欲を高めることにもつながります。 くも膜下出血になった方の平均余命 くも膜下出血になった方の平均余命は、年齢・合併症・治療内容などにより個人差が大きいため確実なことは一概に言えないものの、生存率に関しては以下のようになります。 くも膜下出血は特徴として発症直後は死亡のリスクが非常に高い傾向にあるだけでなく、再出血や血管攣縮といった合併症のリスクが伴うため、5年後の生存率は約55%となっています。 しかし、適切な治療と発症後のケアによって予後を改善できる可能性もあります。 とくに急性期治療はもちろんのこと、その後のリハビリテーションや生活習慣の改善は、再発予防や後遺症の軽減につながるでしょう。 くも膜下出血後の余命や生存率について不安を感じる方は多いと思いますが、医師としっかりと相談したうえで、状況に合った治療計画やケアプランを立てることが大切です。 くも膜下出血の後遺症を改善するためにできる再生医療 くも膜下出血の発症後、後遺症なく元通りの生活ができる人は約33.5%※(内訳 全く症候がない:19.8% / 症候あるが明らかな障害はない:13.7%)です。 ※出典:日本脳卒中データバンク報告書2023 後遺症を少しでも改善したいとお考えの方は、再生医療を検討してみましょう。 当院では再生医療を取り扱っていて、後遺症が改善する効果が期待できます。神経や血管などに変化できる性質のある幹細胞を自身の体から採取し、点滴にて体に送り込む治療方法です。 くも膜下出血の治療は早ければ早いほど良い結果が出る傾向にありますが、時間が経っている方についても効果が期待できますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。 くも膜下出血患者に対して大切なのは家族の思いやり くも膜下出血になってしまった患者に対して家族にできることは、まずは思いやり、そして行動観察・生活環境の改善・飲食の管理などたくさんあります。 思いやり 行動観察 生活環境の改善 飲食の管理 精神面での支えになる 大切な家族をしっかりとサポートし、精神面でも支えになれるようにしましょう。 また、脳をはじめとするさまざまな治療で注目を集めている再生医療は、くも膜下出血の再発予防に効果的です。 家族の後遺症に悩んでいたり、再発を恐れている場合は、再生医療による治療も検討してみましょう。
2021.08.06 -
- 脳梗塞
「ラクナ梗塞にはどのような後遺症がある?」 「ラクナ梗塞の後遺症は治る?」 ラクナ梗塞を発症してしまった方や後遺症にお悩みの方の中には、上記のような疑問やお悩みがある方もいるでしょう。 本記事では、ラクナ梗塞の後遺症やリハビリについて詳しく解説します。 ラクナ梗塞の後遺症を根本的に治療するための「再生医療」についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。 ラクナ梗塞とは? 「ラクナ梗塞」とは、脳の血管が詰まる脳梗塞の病型の一つで脳の深部を流れている細い血管が詰まってしまう病気です。 脳は太い血管から細い血管へと枝分かれしており、深部を流れている穿通枝(せんつうし)と呼ばれる細い血管があります。 穿通枝が詰まると脳の深部に血液が流れなくなり、脳細胞が壊死して「ラクナ梗塞」を発症します。 細い血管が詰まるため、脳細胞が壊死する範囲も15mm以内と小さいことが特徴です。 しかし、脳細胞が壊死する範囲が小さいことで症状が出ない「無症候性脳梗塞」となっている可能性があります。 症状が進行、放置してしまうと他の場所に脳梗塞を発症したり脳出血につながるリスクが高くなるため、定期的に検査を受けることが重要です。 ラクナ梗塞の主な後遺症 ラクナ梗塞を含む脳梗塞は、脳細胞がダメージを負うことで以下のような後遺症が残ることがあります。 それぞれの後遺症について、詳しく解説していきます。 運動麻痺 ラクナ梗塞の代表的な後遺症として、全身または手足が思い通りに動かせなくなる「運動麻痺」があります。 脳の血管が詰まることで神経細胞に血液が行き渡らなくなり、以下の症状がみられます。 ラクナ梗塞発症から14日程度までの急性期では、脱力したような状態になる「弛緩性麻痺(しかんせいまひ)」の症状がみられます。 急性期を過ぎて6ヶ月目までの期間を指す回復期には、徐々に手足が動かせるようになりますが「指の細かい動きができない」など思い通り動かせないことが多いです。 また、体を動かそうとすると手足がこわばって硬くなってしまう「痙性麻痺(けいせいまひ)」の症状もみられます。 体を自由に動かせるようにするには、最も機能回復が見込まれる回復期でのリハビリが重要です。 感覚障害 ラクナ梗塞によって、しびれや感覚異常が生じる「感覚障害」の後遺症が残る場合があります。 手足の感覚を脳に伝える感覚神経の経路にダメージを負うことで、以下のような症状がみられます。 感覚障害の後遺症が残ってしまった場合、全身または身体の一部分に「しびれ」を感じることが多いです。 また、触れたり動かしている感覚が薄くなることや、逆に感覚が過敏になることもあります。 感覚の低下や感覚過敏によって運動が阻害されるため、日常生活に影響が出てしまう後遺症です。 構音障害 ラクナ梗塞の後遺症には、言葉をはっきり発音する能力が失われる「構音障害」があります。 構音障害では、以下のような症状がみられます。 構音障害では、言葉の内容や意味が理解できても「呂律が回らない」など、言葉をはっきり発音するのが困難になります。 「唇」「舌「喉」周辺の麻痺や協調運動ができないことで、言葉を発音できなくなることが多いです。 構音障害と似ている後遺症として「失語症」があります。 失語症は「言葉を理解できない」「頭の中で単語や文章を組み立てられない」などの言葉を理解する能力が失われる高次脳機能障害の一つです。 高次脳機能障害 ラクナ梗塞によって、脳細胞がダメージを負うと「高次脳機能障害」の後遺症が残る場合があります。 高次脳機能障害とは認知障害全般のことを指し、以下のような症状がみられます。 高次脳機能障害には、新しい出来事を覚えられない「記憶障害」や言葉を理解できない「失語症」など、さまざまな認知機能の低下がみられます。 また、集中力の低下や感情のコントロールやできなくなるなど、日常生活に影響を及ぼす障害が多いです。 嚥下障害 ラクナ梗塞の後遺症には、飲み込みに関する機能が低下してしまう「嚥下(えんげ)障害」があります。 嚥下障害の後遺症が残ると、以下のようなリスクが考えられます。 嚥下障害によって、誤嚥性(ごえんせい)肺炎につながるリスクがあります。 誤嚥性肺炎とは、誤嚥によって食べ物や唾液が気道に入り、口の中の細菌が肺に侵入して発症する肺炎のことです。 また、食事や水分が上手く取れずに栄養状態の低下や脱水症状になることで、リハビリの阻害にもつながってしまいます。 ラクナ梗塞の原因 ラクナ梗塞の主な原因は、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりすることで血流が悪くなる「動脈硬化」です。 動脈硬化によって、血流スペースが少なくなることで血液が途絶えてしまいます。 また、以下のような疾患は動脈硬化の危険因子となるため、間接的にラクナ梗塞の原因となります。 上記のような生活習慣病がラクナ梗塞につながることもあるため、生活習慣の改善が重要です。 ラクナ梗塞の後遺症を改善するリハビリ方法 ラクナ梗塞の後遺症を改善するために行うリハビリを紹介します。 それぞれ後遺症の症状に合わせたリハビリ方法について、詳しく解説していきます。 運動機能に関するリハビリ 運動機能に関するリハビリでは「機能障害の程度」「筋力・関節の動かせる範囲」に応じて、以下のリハビリを行います。 主に日常生活に戻るための「自立・歩行訓練」「日常動作訓練」のリハビリを重点的に行います。 言語機能に関するリハビリ 言語機能に関するリハビリでは、言語聴覚士による機能の評価を元に以下のリハビリを行います。 構音障害により正しい発音ができない場合、上記のリハビリを重点的に行いコミュニケーションを取る練習をします。 高次脳機能障害に関するリハビリ 高次脳機能障害に関するリハビリでは、患者さまの障害や程度に応じて以下のリハビリを行います。 「記憶障害」や「遂行機能障害」などのさまざまな認知障害に対して、危険なく日常生活動作を行えるように訓練します。 ラクナ梗塞の再発を防ぐためのポイント ラクナ梗塞の再発を予防するためのポイントを3つ紹介します。 それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。 三大危険因子を予防する ラクナ梗塞の再発を予ぐためにも、以下の三大危険因子を予防しましょう。 いずれも聞いたことがある生活習慣病ですが、ラクナ梗塞の再発を防ぐために治療すべき病気といえます。 ラクナ梗塞の発症・再発原因となる「動脈硬化」につながる可能性があるためです。 細い血管が詰まることで起こるラクナ梗塞は、動脈硬化によって血流が途絶えやすくなる影響を受けやすいです。 動脈硬化の原因となる生活習慣病を予防することで、間接的にラクナ梗塞の再発予防につながります。 生活習慣を改善する 生活習慣の改善もラクナ梗塞の再発を防ぐために重要なポイントです。 以下の要点を押さえて、生活習慣を改善しましょう。 生活習慣病は、さまざまな病気の原因となることが多いです。 身体を守るためにも健康的な生活を目指して生活習慣を改善しましょう。 再生医療による治療 ラクナ梗塞の後遺症や再発を防ぐために、再生医療による幹細胞治療を検討しましょう。 再生医療では、幹細胞のさまざまな細胞へ変化する性質を利用し、損傷した機能を再生することを目的とした治療を行います。 患者さまの細胞を用いるため、アレルギーや拒絶反応などの副作用の心配が少ないのが特徴です。 また、手術や入院が不要な治療方法なので日常生活へ復帰しやすい点も再生医療の強みといえます。 「ラクナ梗塞の後遺症にお悩みの方」「ラクナ梗塞の再発を防ぎたい方」は、ぜひ当院へご相談ください。 【まとめ】ラクナ梗塞の後遺症はさまざま|再生医療による治療を検討しよう 本記事では、ラクナ梗塞の後遺症について解説しました。 ラクナ梗塞の発症後は、以下のようにさまざまな後遺症が残る可能性があります。 症状や程度は個人差がありますが、日常生活に影響する後遺症がほとんどです。 ラクナ梗塞の再発を予防するためにはリハビリだけでなく、生活習慣の改善も意識して行う必要があります。 「後遺症によってリハビリが上手くいかない」「後遺症を治したい」という方は、再生医療による治療を検討してください。 再生医療は、幹細胞のさまざまな細胞へ変化する性質を利用し、損傷した機能を再生することを目的としています。 損傷した脳細胞を再生することで「リハビリの効果を促進」や「後遺症の改善」が期待できます。 再生医療による治療を検討する方は、ぜひ当院へご相談ください。
2020.07.29