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脳梗塞を経験された方やそのご家族にとって、言葉がうまく話せない、思ったことを伝えられないといった言語障害は大きな悩みの一つです。 失語症や構音障害など、脳梗塞による言語障害にはさまざまな種類があり、症状や回復のスピードは人それぞれ異なります。 本記事では、脳梗塞後に起こる言語障害から回復する割合や期間、回復率を高める方法について詳しく説明します。 脳梗塞後の言語障害に悩む方は、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞による言語障害の治りには個人差がある 現在、脳血管疾患の通院患者は約118万人で、14%が働き盛りの世代です。医療技術の進歩により死亡率は減少しており、若い患者の約7割※が発症直後からリハビリを受けることで回復し職場復帰が可能です。 ※出典:厚生労働省「脳卒中に関する留意事項」 復職率は発症から3〜6か月後、または1年〜1年半後に上昇し、最終的には50〜60%に達します。 経過は急性期、回復期、生活期に分かれ、患者は治療状況や職場への配慮を医療機関と相談する必要があります。 脳梗塞の後遺症による言語障害の種類 脳梗塞後の言語障害の回復見込みは、障害の種類によって異なります。 脳梗塞による言語障害の種類は「失語症」と「構音障害」です。 失語症 失語症は、脳梗塞などにより脳の言語機能が損なわれ、読む・書く・話す・聞く能力に影響を及ぼす症状です。回復には年齢や損傷部位、健康状態などが関わりますが、40歳代までに発症した場合、言語訓練を3年以上続けることで大幅な改善が期待できます。 リハビリの内容としては、口や舌の運動、ジェスチャーを交えた会話、書字の訓練などがあります。リハビリ内容は症状や進行具合に応じて調整され、患者にあったプランを作成します。 構音障害 構音障害は、口腔や舌、声帯の運動機能が低下し、発音が困難となる状態です。治療法としては、外科的介入・発音補助装置の利用・構音訓練の3つがあり、患者の症状に応じて選択されます。 構音障害は回復の可能性があり、決して治らない障害ではありません。 外科手術では発音機能を改善し、補助装置を使用して発声を補助します。また、言語聴覚士がリハビリテーションを通じて舌や口の運動機能を高め、呼吸・発声・音読の向上を目指します。 早期のリハビリテーションが回復において重要な役割を果たすため、少しでも違和感を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。 脳梗塞による言語障害の回復率を高める方法 脳梗塞によって生じる言語障害の回復には、適切な治療とリハビリテーションが必要不可欠です。回復率を高めるためにも、早期にリハビリを開始し、専門的なサポートを受けましょう。 言語機能に影響する脳の部位や損傷の程度によって、回復にかかる時間や結果は異なりますが、効果的なリハビリ方法や先進的な治療法を組み合わせることで、言語障害の改善が期待できます。 ここからは、脳梗塞による言語障害の回復率を高める方法について紹介します。 再生医療で治療する 脳梗塞による言語障害(失語症)の再生医療は、骨髄由来の間葉系幹細胞を脳に移植し、損傷した神経細胞の再生を促す治療法です。 この幹細胞治療により、期待できる効果がいくつかあります。 また、幹細胞点滴による再生医療は、脳梗塞の再発予防にも効果が期待されています。損傷を受けた脳の血管を修復・保護することで、再発リスクを抑えるとともに、新たな血管網が構築され血流が改善されることで、後遺症の緩和にもつながります。 実際、脳卒中(脳梗塞)は再発率が高く、初回発症後1年以内で約10%、10年間の累積で約55%が再発※するというデータがあります。 ※出典:National Library of Medicine「日本のコミュニティで初めての脳卒中から10年後の再発:久山町の研究」 再発による後遺症の悪化リスクも含めて、再生医療はその抑制に有効な治療法です。 再生医療による幹細胞治療は開始時期が早いほど良い結果をもたらします。本治療に興味のある方は当院へお気軽にご相談ください。 言語聴覚士のリハビリサポートを受ける 言語聴覚士は、リハビリを通じて言語機能の改善を目指す言語障害に特化した専門家です。障害の程度を診断し、患者一人ひとりに合わせたリハビリ計画を作成します。 リハビリでは言葉だけでなく、ジェスチャーや絵といった手段を活用しコミュニケーションを図ります。 言語聴覚士のサポートを受けることで、言語面の改善はもちろん、心理面にもポジティブな変化をもたらします。 言語回復に大きな効果をもたらすため、積極的に受けておきたいサポートです。 脳梗塞発症後の言語障害に対するリハビリの流れ 脳梗塞発症後の言語障害のリハビリについては、意識状態など症状が安定し始めた頃から適切な対処が必要となります。言語能力が維持・向上し続けるためには、主に発症からおよそ1~2カ月以内の急性期、約3〜6ヶ月の回復期、自宅へ戻ってからの生活期と、それぞれのリハビリを行うことが重要です。 また、急性期・回復期においては、医療保険が適用される病院でのリハビリが行われますが、適用期間については基本的に脳梗塞は150日、高次機能障害を伴う重篤の場合は180日と定められていて、その後介護保険が適用される生活期へと移行していきます。この3段階のリハビリをどのように行っていくのかをそれぞれ詳しく紹介していきます。 急性期のリハビリ 急性期のリハビリでは、言語聴覚士が中心となり、口の動きの練習など患者の発話に合わせた言語機能回復訓練を行うことにより、発話意欲を高めていくことが重要となります。 また、挨拶など実用的なコミュニケーションが最も重要で、毎回顔を合わせるたびに挨拶を行い、時間帯で違う挨拶が返ってきても決して否定しないことが大切です。 患者だけでなく、ご家族の方もコミュニケーション方法をしっかり習得して、患者の言語機能の変化を追跡していくと同時に、患者が安心してリハビリに取り組んでいける環境づくりも、急性期では重要となります。 回復期から生活期のリハビリ 回復期のリハビリは失語症と構音障害により違いがありますが、基本的にはどちらも発話や読み書き、言葉の理解などを中心とした訓練を行うことが重要です。 リハビリでは、言語聴覚士が回復に向けたプランを作成しますが、患者本人の意欲を高めるためには、家族のサポートが何より重要です。そのサポートがリハビリの効果をさらに向上させます。 脳梗塞のリハビリ期間は病院などにより違いはありますが、原則発症から6ヵ月が経過した段階で生活期へと移行します。基本的には回復期で行ってきたリハビリは継続しながら、社会活動への参加なども行います。 脳梗塞後の言語障害リハビリ|家族ができるサポート 脳梗塞を発症してから、急性期や回復期では言語聴覚士がサポートしていきますが、特に生活期に入ってからは家族ができるサポートが重要となります。たとえば、「おはよう」や「いただきます」といったあいさつを積極的に行い、日常的に会話の機会を増やしていくことが大切です。 難しい質問などは控えて、患者が「はい」「いいえ」で答えられる質問も良いとされています。また、名前や生年月日の文字をなぞることや、音読すること、一日を振り返って日記をつけることなども効果的です。 言語障害においては読み書きや、理解しているかどうかなど、家族には気がかりなことも多くあります。しかし、無理に発話を促すのではなく、近くの公園や買い物など、外出をすることも家族ができるサポートです。 【まとめ】脳梗塞後の言語障害はリハビリで回復を目指せる 脳梗塞による言語障害は、症状や程度に個人差があり、完全な回復が難しい場合もあります。しかし、失語症や構音障害などの後遺症に対して適切なリハビリを行うことで、日常生活への影響を軽減し、言語機能を改善させる可能性があります。 リハビリに加えて、さらなる回復を目指す方法として注目されているのが再生医療です。再生医療では、幹細胞を用いた治療が進んでおり、損傷した脳組織の修復や神経細胞の再生を促します。再生医療は言語障害の改善だけでなく、脳梗塞の再発予防や後遺症の軽減にも役立つとされています。 脳梗塞による言語障害は、リハビリや再生医療を組み合わせることで回復を目指すことが可能です。再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。
2025.01.08 -
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脳梗塞を発症してから後遺症に悩まされ、なかなか回復の見通しが立たず困っている方は多いです。 運動麻痺を含む後遺症は早期の社会復帰が難しく、回復の可能性に疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。 脳梗塞の後遺症は発症後のリハビリ次第で、徐々に回復する可能性があることが判明しています。 個人差はありますが適切な方法を意識してリハビリを行えば、慢性期でも改善する可能性はあるでしょう。 本記事では具体的な回復のメカニズムからリハビリ方法について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞とは? 脳梗塞とは脳卒中の一種で、脳の血管が詰まることで発症します。主な種類と原因は以下の通りです。 脳梗塞の種類・原因によって症状や進行する度合いは異なります。 ラクナ梗塞 ラクナ梗塞は、脳の深部にある微細な血管が詰まることや血管に強い圧力がかかることで発症する脳梗塞の1種です。 日本人が発症する脳梗塞としては1番多く、脳梗塞の中で全体の25~40%の割合※を占めています。 ※出典:日立造船健康保険組合 因島総合病院「疾病案内 Vol. 07 脳梗塞について」 ラクナ梗塞を発症する主な原因は高血圧のほか、糖尿病や高脂質症、喫煙も危険因子の1つ。 症状としては運動麻痺や感覚障害、呂律が周らないなどが挙げられますが、意識障害を起こす人は少ないです。 そのため他の脳梗塞と比較すると、個人差はありますが早期からリハビリに取り組める傾向にあります。 治療は発症後4~5時間以内の場合はt-PAという血栓を溶かす薬を投与しますが、既定の時間を過ぎた・効果が無い場合は外科的治療を行います。 アテローム血栓性脳梗塞 アテローム血栓性脳梗塞は、脳や首太い血管が動脈硬化によって詰まる・狭くなることで発症する病です。 脳梗塞の前触れとして一過性脳虚血発作(TIA)を起こす人が多く、全体の20~30%が発症しています。 一過性脳虚血発作とは一時的に脳の血管が詰まり、めまいやふらつきなどの症状が起こる発作です。 アテローム血栓性脳梗塞を発症する原因は、主に以下が挙げられます。 特に加齢が進むと動脈硬化が起こりやすくなり、上記の原因と併せて発症する可能性が高くなるので注意してください。 ラクナ梗塞と比較すると症状が重いことが多く、半身麻痺・意識障害・視力低下を引き起こす可能性が高いです。 治療には血栓を溶かす薬の投与、血栓を外科的手術で取り除く方法があり、発症後4.5時間以内を目安に早期に血栓を溶かす薬を投与できれば、予後の回復が期待できます。 心原性脳梗塞 心原性脳梗塞は、心臓内の血栓が血流に乗って脳の血管を詰まらせることで発症します。 心臓で発生した血栓のサイズは大きい傾向にあり、脳の血管に詰まると重篤な症状を引き起こしやすいです。 心原性脳塞の原因は不整脈によるもので、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞と異なり、予防が難しい病気と言われています。 症状としては半身麻痺や意識障害、言語障害や感覚障害が挙げられ、他の脳梗塞より症状が重いです。 上記の症状により生活に大きな支障をきたすことから、「ノックアウト型脳梗塞」という別名もあります。 治療には血栓を溶かす薬が使用(t-PA療法)されますが、血栓が溶けきらない場合は太ももからカテーテルを挿入し脳の血栓を回収する手術が行われます。 脳梗塞の後遺症は本当に治る?回復のメカニズムについて 脳梗塞による後遺症の回復は、適切なリハビリや治療を受ければ改善する見込みがあります。 脳梗塞の後遺症に悩んでいる方やご家族の後遺症が回復する可能性が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 回復過程と時期ごとの特徴 脳梗塞の回復過程と時期ごとの特徴は、以下の通りです。 時期 期間 特徴 急性期 発症直後〜数週間 ・早期離床と関節可動域を増やすためのリハビリを行う ・少しずつ手足を動かしたり、ベッドの上でできるリハビリから始めることが多い 回復期 3〜6か月 ・神経可塑性を最大限活かした集中的なリハビリを行う ・身体を動かすリハビリ、集中力や思考力に関するリハビリを主に行う ・自宅での生活を想定し、日常生活に必要な作業に関するリハビリを行う 生活期(慢性期) 6か月以降 機能維持と再発予防に向けた取り組みを行う 急性期は発症してからそこまで時間が経っていないため、この時期のリハビリが早期の回復に繋がります。 急性期から回復期に入ると症状が落ち着き、歩行訓練や食事や着替えなどの日常動作に関するリハビリを行います。 生活期(慢性期)になると退院しているケースが多いので、自宅やリハビリテーションでの訓練になります。 ウォーキングなどの軽い運動や生活習慣・生活リズムを整え、再発予防をしながら社会復帰を目指します。 脳梗塞後の神経可塑性による回復の見込みについて 人間の脳は、生き残った神経細胞が機能を補う「神経可塑性(しんけいかそせい)」により回復の可能性があります。 神経可塑性とは、外部からの刺激によって、失われた機能を他の機能が代替えする現象です。 脳梗塞によって失われた脳細胞もリハビリによって脳が刺激され、他の細胞が失われた脳細胞を支える役割を果たします。 脳の神経可塑性を促進するためには、早期から適切なリハビリを反復して行うことが大切です。 同じリハビリを反復して行うことで脳細胞の刺激や繋がりが強化され、回復に1歩近付くことができるでしょう。 回復に個人差が生じる要因 回復に個人差が生じる要因として、主に年齢・発症部位・リハビリ開始時期が挙げられます。 若者の場合は高齢者と比較して基礎体力があり、リハビリに取り組みやすいことから回復が早いです。 また脳の発症部位によって症状の重さが変化する点も、回復に個人差のある理由の1つです。 さらにリハビリの開始時期によっても回復の度合いは左右され、基本的に適切なリハビリや治療を行う時期が早いほど効果が期待できます。 複数の要因が回復状況を左右するため、リハビリや治療は個人に合わせたアプローチが必要です。 脳梗塞の後遺症の種類と各症状について 脳梗塞の後遺症は、発症した部位によって症状が異なります。 症状によってリハビリ方法も異なるので、最適なリハビリ方法も含めてぜひ参考にしてください。 運動麻痺(片麻痺) 運動麻痺(片麻痺)は脳の運動機能に関わる領域※の損傷によって引き起こされ、多くの場合は損傷した部位の反対側に麻痺が現れます。 ※脳皮質運動野・大脳基底核・小脳・脳幹など リハビリは筋出力トレーニングやバランス訓練、歩行訓練といった、歩くことに特化した内容が多いです。 いずれもバランスを改善するエクササイズや、麻痺している側の筋力を強化する方法になります。 その他にも神経筋電気刺激(NMES)といった、筋肉を電気刺激することで回復を図る方法も。 これらのリハビリを適切な頻度で繰り返し行い、少しでも歩ける状態を目指していきます。 感覚障害やしびれ 感覚障害やしびれは頭頂葉の損傷によって発症し、触覚や温度感覚が鈍くなる症状を引き起こします。 加えて「じんじん」「ぴりぴり」とした体のしびれが起こり、日々の生活に支障をきたす場合も多いです。 また、頭頂葉は身体の様々な感覚情報を処理する「体性感覚野」と呼ばれる領域があり、この部位が損傷されると、感覚の鈍麻以外にも、手足の使いづらさや異常感覚が生じることもあります。 さらに、頭頂葉の特定の部位が損傷されると、ゲルストマン症候群(失算、失書、手指失認、左右失認)などの症状が現れることがあります。 感覚障害に対しては、理学療法士によるマッサージなどしびれを和らげるリハビリが行われます。 他にも重さや硬さ・材質が異なる物を手に取って、物を掴む力・物を手にした時の感覚を取り戻していくリハビリも。 またTMSという機械で脳に直接磁気刺激を与え、感覚障害やしびれの改善を目指す方法もあります。 視野障害と失語症 視覚中枢と言語中枢の損傷により、片目の視力が失われたり、言葉が出にくくなる失語症や感覚性失語症を発症します。 また両目は見えていても視野が狭くなったり、一部分だけが見えないケースも。 視野障害のリハビリは、視力の残っている方の視野に見たい対象を写す、眼球運動で改善を目指します。 一方で失語症には、言語聴覚士による絵が描かれたカードの名前を読み上げる訓練などが行われます。 加えて周りとのコミュニケーションで徐々に失語症が回復していくこともあるので、意識的にコミュニケーションを図ると良いでしょう。 高次脳機能障害 高次脳機能障害は記憶障害・注意力低下など、日常生活に大きな影響を与える症状を引き起こします。 記憶障害の場合、日付を忘れたり新しい情報が覚えられなくなったりと社会生活に支障が出てしまうケースも。 また注意力低下によりミスが増えたり、作業を長く続けられないなどの症状も現れます。 記憶障害のリハビリには記憶したことを復習する反復訓練や、物や人を見た目のイメージに基づいて記憶する視覚イメージ方があります。 一方注意力低下に対してのリハビリには、パズルや間違い探し、電卓計算やデータ入力作業が効果的です。 上記のリハビリを反復して行い、日々の生活でもメモを取る・集中できる環境を整えるなどのアプローチを行いましょう。 精神的後遺症 脳梗塞によってうつ症状や感情コントロール障害といった精神的後遺症が起こるケースも、少なくありません。 脳の感情を司る部位に損傷が起こることで不安感や意欲の低下起き、うつの症状が起こります。 また日々の生活で必要な動作(歩行や食事など)ができなくなることも、活力の低下の原因に。 そして感情コントロール障害により、急に怒り出す・泣き出すといった感情失禁を引き起こすこともあります。 上記の症状に対しては、精神科の医師や心理士によるカウンセリングが必要です。 カウンセリングと併せて、自分の行動を見直し認知の歪みを治す認知療法も行うと改善が期待できます。 後遺症改善に向けたリハビリ方法 脳梗塞の後遺症のリハビリは、時期に応じて適切に行うことが大切です。 急性期・回復期・生活期に分けて紹介するので、後遺症改善の参考にしてください。 急性期のリハビリ 急性期のリハビリは、主に離床と関節可動域を維持する内容になります。 リハビリ 内容 早期離床 ・車いすに移る ・ベッドから起き上がる 関節可動域訓練や廃用症候群の予防 ・手足を動かすストレッチ ・関節を動かすストレッチ ・食事や入浴などの日常の動作を行う 急性期は身体の機能が低下しないよう、日常での動作や廃用症候群を予防するリハビリが中心です。 廃用症候群とは長期間寝たきりになることで関節が固まってしまい、身体機能に不調をきたしている状態のこと。 そのため関節が固まらないように手足・関節のストレッチ、日常動作の動きから始めていきます。 回復期のリハビリ 回復期のリハビリは、運動療法と言語訓練・嚥下訓練を主として行います。 また、これらの基本的な機能回復に加えて、作業療法による、より実生活に即した訓練も取り入れられます。 リハビリ 内容 運動療法 ・歩行訓練を行う ・自重を使った筋力トレーニングを行う 言語訓練・嚥下訓練 ・物やカードを使って名前を言う ・PCでデータ入力を行う ・舌や頬の筋力を取り戻す訓練を行う 作業療法 ・調理、掃除、洗濯などの家事動作を含む、応用的な日常生活動作の練習 ・手指の巧緻性訓練や高次脳機能訓練などを行う 回復期は急性期と比較して容体が安定しているため、日常生活への復帰を目指すリハビリが中心です。 運動療法では歩行訓練のほか、スクワットなど自重を活かしたトレーニングを行い、身体機能の回復を図ります。 また喋る・飲み込むことに支障がある場合は、言語聴覚士による舌や頬の筋力を鍛える訓練も合わせて実施します。 生活期のリハビリ 生活期のリハビリは自主的なリハビリ、訪問・通所リハビリによって社会復帰を目指します。 リハビリ 内容 自主的なリハビリ ・バランス訓練を行う ・手足を中心としたストレッチを行う 訪問・通所リハビリ ・理学療法士や言語聴覚士による機能訓練を行う 生活期に入ると退院しているケースがほとんどなので、自宅できるリハビリや訪問・通所でリハビリを行います。 自主リハビリは手足を動かすストレッチ、歩行の際に転倒しないようバランス訓練が中心です。 訪問・通所リハビリでは歩行や寝返りなどの機能訓練のほか、福祉用具の取り扱いについてもアドバイスが貰えます。 脳梗塞の後遺症の回復なら再生医療もご検討ください これまでのリハビリに限界を感じている方は、当院(リペアセルクリニック)で提供している再生医療も選択肢の1つです。 当院では「脳細胞は再生しない」という常識を覆し、再生医療での新たな治療方法を確立しました。 新たな治療方法では、幹細胞の投与によって脳細胞の修復・血管の再生を目指し、一般的な治療と比較して効果が高い2億個の幹細胞を投与する治療を行っています。 脳梗塞でよくある以下のような症状についても、回復を見込めるのも特徴です。 再生医療の効果については個人差があるものの、実際に当院で治療を受けた人からも、後遺症が改善されたとの事例が多くあります。 脳出血後の後遺症として左半身麻痺を認め、車椅子の移乗にも3人の介助が必要となりましたが、幹細胞治療後には、車椅子への移乗が独りでできるようになりました。歩行においても左下肢と体幹の力がつくことで、安定して歩けるようになりました。もう一つ安定した歩行で大事なことは足の指の力であり、この力がつくことにより足の踏ん張りがつきます。 引用:リペアセルクリニック「脳出血後の後遺症で左半身麻痺 50代男性」 「今のリハビリに限界を感じている」「再発を予防したい」方や、リハビリで進捗を実感できない方・ご家族の回復を願う方にとって、回復・再発予防の期待できる治療法と言えるでしょう。 再生医療については早期に始めるほど良い効果が期待できます。 再生医療の内容や費用について知りたい、どの程度の回復見込みがあるかについて気になる方はお早めにご相談ください。 来院やメールによる相談のほか、オンラインカウンセリングも受け付けています。 脳梗塞の後遺症と回復に関するよくある質問 脳梗塞の後遺症と回復に関するよくある質問は、以下の通りです。 脳出血や脳梗塞の違い、脳梗塞の再発予防について回答しているのでぜひ参考にしてください。 脳出血・脳梗塞・くも膜下出血は何が違う? いずれも脳卒中の中に包括され、具体的には以下のように分類されます。 脳出血の種類 症状 分類 脳出血 脳の細い血管が破裂し出血した血液が神経を圧迫する ₋ くも膜下出血 脳動脈瘤が破裂し硬膜やくも膜下腔に血液が溜まる ₋ 脳梗塞 脳の細い血管もしくは太い血管に血栓が詰まり脳細胞に損傷が起こる ・ラクナ梗塞 ・アテローム血栓性脳梗塞 ・心原性脳塞 脳出血は脳の微細な血管が破裂・出血することで、神経を圧迫して運動麻痺や感覚障害などの症状を引き起こします。 一方脳梗塞は血管が詰まることで血流が途絶え、脳細胞に損傷をきたす症状で脳出血とは要因が異なります。 くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂で硬膜に血液が溜まり、激しい頭痛や意識障害、嘔吐やけいれんを伴う症状です。 いずれも早期発見・治療が回復の鍵になる症状なので、脳に違和感を覚えたらすぐにかかりつけ医に相談しましょう。 脳梗塞の再発を防ぐ方法は? 脳梗塞の再発を防ぐ方法としては、生活習慣の改善や血圧・糖尿病管理、適度な運動が挙げられます。 予防法 具体的な対策 生活習慣の改善 ・野菜や魚を取り入れたバランスの良い食事を意識する ・禁酒・禁煙する ・6~8時間の睡眠をとる ・ストレス解消方法を見つける 血圧管理 ・塩分の多い食事を控える ・毎日血圧を測る 糖尿病管理 ・血糖値、血圧を測る ・薬を忘れずに飲む ・食事計画に従う 適度な運動 ・20分~30分程度の運動を週3回程度行う ・ウォーキングやストレッチなどの軽い運動から始める 脳梗塞は高血圧や糖尿病、喫煙による動脈硬化によって引き起こされるため、これらの症状を予防する必要があります。 特に高血圧は脳梗塞の1番の要因となっているので、塩分の多い食事が多い日本人には血圧管理や糖尿病管理が必須です。 まずは無理なく日常的に取り入れられる対策から始め、習慣化していきましょう。 まとめ:脳梗塞の後遺症も回復見込みはある 脳梗塞の後遺症は適切なリハビリと治療を継続していくことで、改善や回復が期待できます。 後遺症の内容に応じて、自宅での自主リハビリやリハビリテーション施設の通所を継続していきましょう。 時には理学療法士・言語聴覚士・作業療法士によるフィードバックを受け、回復に向けた取り組みを見直すことも大事です。 また脳梗塞の後遺症の改善方法として、リハビリのほかに再生医療という選択肢もあります。 当院では幹細胞を活用した治療で、損傷した脳細胞や血管の回復・再生を目指しています。 幹細胞治療は後遺症の改善のほかに、再発予防にも繋がるため、再発予防に取り組みたい方にも最適です。 早期の治療が回復の鍵になるので、気になる方はお早めにご相談ください。
2025.01.08 -
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脳梗塞は年齢が上がるほど発症リスクが高いとイメージする方もいるのではないでしょうか。 若くても脳梗塞にならないか不安な方もいるでしょう。 本記事では、年齢別の発症率や若年性脳梗塞について解説します。 この記事を読むとわかること 脳梗塞の年代別発症率 脳梗塞は女性に多い理由 脳梗塞を予防する方法 脳梗塞の予防法も併せて紹介しますので、方法を実践して健康な生活を送りましょう。 脳梗塞は何歳から発症しやすくなる? 脳梗塞は一般的に65歳以上の発症リスクが高いとされていますが、年齢別で見たときにリスクが上がるのは何歳からなのでしょうか。 脳梗塞患者15万人あたりの年齢別の内訳は以下の通りです。 15~34歳 約0.02% 35~64歳 約9% 65歳以上 約90% うち75歳以上 約70% 65歳以上が全体の9割を占めています。つまり、65歳を過ぎると脳梗塞を発症するリスクが10倍に上がってしまうのです。 上の表を参考にすると、脳梗塞はとくに75歳以上の年齢の発症リスクが高いことがわかります。 脳梗塞は再発しやすい疾患です。初発の年齢が高いと再発リスクが高まります。 年齢によって異なる脳梗塞の発症リスク 年齢によって、脳梗塞の発症の原因が異なります。 若年者の発症リスク 中年者の発症リスク 高齢者の発症リスク 以下では、年代ごとの脳梗塞の原因を解説します。 年代ごとの発症リスクを理解し、脳梗塞を予防できるようにしましょう。 若年者の発症リスク 45歳以下の若年層の方が脳梗塞を発症する原因は主に3つあります。 生活習慣の変化 ストレス 運動不足など 慢性的なストレスによって脳梗塞につながりやすい高血圧や糖尿病などを引き起こす可能性があります。高血圧などの生活習慣病によって動脈が狭く・硬くなり、脳梗塞のリスクが高まるのです。 また、運動不足による脂質異常症も脳梗塞になる危険性があります。 若年者だからといって脳梗塞に絶対にならないと油断せず、運動を欠かさないようにしましょう。 中年者の発症リスク 40代後半~50代の中年者が脳梗塞を発症する原因は主に以下の3つです。 生活習慣病 ストレス 運動不足など 中年者になると、不摂生などによる生活習慣病になる可能性が高くなります。生活習慣病が慢性化すると、脳梗塞につながるリスクがあるのです。 運動不足解消や生活習慣病改善のためには運動を行い、血圧を下げ血流を改善する必要があります。また、お酒を飲んでいる方は頻度や一度に飲む量の見直しをしてください。 運動の習慣がなかった方は、軽いラジオ体操やウォーキングなど無理のない範囲で始めてみましょう。 高齢者の発症リスク 60代以降の高齢者の方が脳梗塞を発症する原因は以下の2つが考えられます。 高血圧 動脈硬化など 60歳以降は高血圧のリスクがより高くなります。高血圧が常態化すると脳梗塞を発症する可能性があるのです。 また、血液がドロドロになることで血管が詰まりやすくなるので糖尿病の方も注意が必要です。 動脈硬化が進行すると、脳の血管が詰まる・狭くなり、脳梗塞を引き起こします。動脈硬化は他にも心筋梗塞などの病気を引き起こす可能性も高まり危険です。 若い世代でも発症する「若年性脳梗塞」とは 主に50歳以下で発症する脳梗塞のことを「若年性脳梗塞」と言います。 若年性脳梗塞とは? 若年性脳梗塞の主な原因 一過性脳虚血発作の症状が出たら早期受診が重要 「若年性脳梗塞」になる原因や、受診の重要性について解説します。 若年性脳梗塞とは? 国際的な定義はありませんが、日本循環病センターは50歳以下で発症する脳梗塞を指して「若年性脳梗塞」と呼んでいます。 若年性脳梗塞は遺伝的要因や先天異常など、高齢者が発症する脳梗塞とは異なる原因で引きおこる特徴があります。 危険因子がある場合、年齢に関係なく誰でも脳梗塞になる可能性があるのです。 若年性脳梗塞の主な原因 若年性脳梗塞の原因は、以下の通りです。 病名 症状 抗リン脂質抗体症候群 抗リン脂質抗体ができることで血液が固まりやすくなる 動脈や静脈血栓を繰り返す 膠原病と合併して発症することもある 奇異性脳塞栓症 先天的に心臓の動脈奇形・心臓に穴が開いている人に見られる 静脈でできた血栓が動脈系に流れ込み脳血管に詰まる病気 もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症) 脳の太い血管が細くなり脳の血液が不足する病気 手足の脱力・言葉がわからないなどの症状 若年性脳梗塞の原因は高齢者の脳梗塞の原因とは異なるケースが多いです。 抗リン脂質抗体症候群とは、全身のどこにでも症状が出ますが、とくに若年層は脳梗塞につながる症例が多く見られます。 奇異性脳塞栓症は若年性脳梗塞を引き起こす原因として知られており、現在ではカテーテル治療や心臓手術などの治療法があります。 もやもや病は細い血管が太い血管の血液不足を補うために太くなることがありますが、本来の太さ以上に拡張しすぎて脳出血を引き起こすケースもあります。 一過性脳虚血発作の症状が出たら早期受診が重要 脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作の症状が出たら、すぐに病院を受診しましょう。 一過性脳虚血発作は(TIA)は、手足または顔面の運動障害・感覚障害や、言葉がしゃべりにくくなるなどの症状があります。 とくに知られている症状が黒内障です。片目の視界が白っぽく見えたり、まったく見えなくなったりする特徴があります。 この症状が出た患者の10~15%が3ヶ月以内に脳梗塞を発症したことが明らかになっています。 もし一過性脳虚血発作の症状が出た場合、すぐに病院を受診しましょう。適切な治療を受ければ脳梗塞を予防できる可能性が高いです。 脳梗塞は女性に多い?性別との関係性 脳梗塞は高齢者の発症リスクが高いですが、その中でもとくに女性に多いのです。 なぜ女性は脳梗塞を発症する可能性が高いのか、いくつか理由を調査しました。 ホルモンバランスの変化 不整脈を発症しやすい 妊娠高血圧症候群 女性ホルモン補充療法によるリスク 女性特有の閉経などが原因であることが分かっています。以下で詳しく解説しますのでご覧ください。 ホルモンバランスの変化 女性ホルモン「エストロゲン」は血管を保護する働きがあります。閉経後は女性ホルモンが減少するため、脳梗塞のリスクが高まるのです。 男性は女性に比べてホルモンバランスの変化が緩やかなため、急激にバランスが変化する女性の方が脳梗塞を発症する可能性が高くなります。 大豆イソフラボンにはエストロゲンと似た作用があるので、積極的に大豆製品を取り入れましょう。 不整脈を発症しやすい 中年期から高齢の方は、男性と比較して不整脈を発症しやすい傾向にあります。 不整脈は心臓に入る血液の動きを妨げるため、脳梗塞になるリスクも高まるのです。 とくに心房細動は脳梗塞が起こる確率が高くなります。規則正しい心臓の動きを乱してしまうので、辛抱内の血液がよどんで血栓ができやすくなるのです。 その血栓が脳に運ばれると、脳梗塞を引き起こす可能性があります。 妊娠高血圧症候群 妊娠中に血圧が高くなる疾患を妊娠高血圧症候群と言います。 軽傷の場合は脳梗塞につながることはありませんが、重症化すると合併症で脳梗塞を発症するケースがあります。 妊娠高血圧症候群になった場合、脳卒中や脳梗塞を発症するリスクが約3倍に上がるので注意が必要です。 全身の臓器の不全につながり、胎児の発育不全や肺水腫などの合併症になる可能性も高くなります。 一般的には妊娠高血圧症候群は分娩後に少しずつ改善されていきます。 女性ホルモン補充療法によるリスク ホルモン補充療法の副作用で動脈硬化が進行する可能性があるため、注意が必要です。 本来動脈硬化を改善する役割があるエストロゲンですが、閉経して動脈硬化が進んだ状態で女性ホルモンを投与すると、逆に硬化を進行させる恐れがあります。 実際に、2007年10月から2012年3月までに3例の脳梗塞発症事例があります。 2例には以下の危険因子がありました。 高血圧 脂質異常症 3例とも脳梗塞は軽症でした。 出典:女性ホルモン補充療法中に脳梗塞を発症した3症例 女性ホルモン補充治療は閉経前または閉経後早期に始めることが大切です。閉経後10年または60歳以降の場合、女性ホルモン補充治療は慎重に行われます。 【年代別】脳梗塞を予防するためにやるべきこと 脳梗塞を予防するためにやるべきことを年代別でお伝えします。 若年者 中年者 高齢者 すぐに生活に取り入れられる簡単な方法ですので、脳梗塞が心配な方、健康に気を遣いたい方はぜひ実践してください。 若年者 45歳以下の方は以下の方法を実践しましょう。 適度な運動 規則的な生活 若年者が脳梗塞になる原因の多くは運動不足です。運動不足解消のために、軽いウォーキングや散歩を取り入れることがおすすめです。 また、散歩は運動不足解消だけでなくストレス発散もできます。運動の時間が取れない場合は、一駅早く降りて歩いて帰宅するなど工夫しましょう。 高血圧や脂質異常症などの生活習慣病は不規則な食生活や睡眠不足が原因で発症し、脳梗塞につながります。これまでの生活を見直し、生活習慣病や脳梗塞を予防しましょう。 中年者 40代後半~50代の方は以下のことに気を付けましょう。 禁煙・節酒 適度な運動 規則的な生活 お酒好きの方は節酒をしましょう。 アルコールは血を固まりにくくする効果があるため、血栓症のリスクを下げる効果がありますので、少量であれば節酒に問題ありません。 しかし、適量を超えるとアルコールは悪影響を及ぼします。利尿作用があるため水分不足になり血栓ができやすくなるほか、血糖値が急激に上昇します。 1日のアルコール摂取量は20g以内に抑えましょう。 出典:厚生労働省 また、タバコには以下のデメリットがあります。 血圧の上昇 動脈硬化の進行 血栓ができやすくなる 以上の3つの症状が脳梗塞を引き起こす原因になりますので、禁煙に努めましょう。 高齢者 60代以上の方は以下の方法を実践して脳梗塞を予防しましょう。 適度な運動 食習慣の見直し 水をこまめに飲む 家・部屋を暖かくする 高齢になると身体を動かすのが困難になり、運動をする習慣がなくなってしまうかもしれません。しかし、ラジオ体操などをするだけで高血圧の改善が見込めます。 年を重ねると食が細くなる傾向にあります。そんなときこそ食事を見直し、栄養価の高い食材を取り入れるようにしましょう。 水分が不足すると血液の循環が滞って血栓ができやすくなり、脳梗塞に繋がります。高齢になると喉の渇きを感じにくくなるため、時間を決めて水分補給をしてください。 寒いと血管が収縮したり、体温を上げようと血圧が上がったりします。それが脳梗塞を発症させる原因になりますので、家や部屋の温度は暖かく保ちましょう。 脳梗塞が疑われる場合は早期受診・治療が重要 脳梗塞の症状が出た場合、すぐに病院を受診しましょう。 脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作は放置しておくと脳梗塞を発症する可能性があります。以下の症状が出たらすぐに受診・治療を開始することが大切です。 代表的な脳梗塞の初期症状は3つあります。 ろれつが回らない 力が入らずバランスが取れない めまい・痙攣などの発作 上記のような症状は急に出てやがて消えていくこともありますが、初期症状が出たら必ず病院を受診し、治療を受けてください。 【まとめ】脳梗塞は若くても発症するリスク有り!早期受診の重要性 今回は、脳梗塞の発症年齢や予防法について解説しました。 年齢を重ねると発症リスクが上がりますが、若年層に発症リスクがまったくないわけではありません。 運動不足やストレスなど、誰にでもあることが発症の原因になり得ます。運動でストレスも発散できますので、軽い運動を毎日しましょう。 脳梗塞は軽傷だと気にしない・放置してしまう方もいますが、重症化してからの治療は困難です。 初期症状が出た場合は早めに病院を受診し、重症化するまえに治療を開始しましょう。
2024.12.17 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
脳卒中とは、脳の血管障害が原因で発症する疾患群の総称で、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気です。 脳卒中は急性発症が多く、「ついさっきまで元気だったのに、突然手足が動かなくなった」といった内容を訴え、具体的な時間も言える場合が大半です。 本記事では、脳卒中の種類や予防法について解説します。脳卒中の主な症状や予防策を確認し、脳卒中の発症や再発を防ぎましょう。 この記事を読むとわかること 脳卒中の種類 脳卒中の主な症状 一次予防と二次予防 脳卒中の種類は脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血に分類される 脳卒中には、主に脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血の3種類があります。 脳梗塞 脳内出血 くも膜下出血 脳梗塞は血管が詰まり発症する「虚血性脳卒中」、脳内出血・くも膜下出血は血管が破れて発症する「出血性脳卒中」に分類されます。 脳血管疾患は、わが国の死因の第4位(第1位:がん、第2位:心疾患、第3位:老衰)※です。 ※出典:令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省 脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血は、まとめて脳卒中といわれる場合が多くありますが、症状や発症理由が異なります。 脳梗塞 脳梗塞とは、脳血管の閉塞・重度の狭窄により、血液の供給量が不十分になることで、脳の神経細胞が壊死する疾患です。脳細胞は再生能力がないため、一度死滅した細胞は元には戻りません。 脳梗塞は、主に以下の3つの病型に分類されます。 脳梗塞3つの病型 ラクナ梗塞 アテローム血栓性脳梗塞 心原性脳塞栓症 脳梗塞は、病型によって発症する原因や症状の出方が異なるため注意が必要です。 ラクナ梗塞 脳梗塞の病型の1つに、ラクナ梗塞があります。ラクナ梗塞とは、脳の深部にある穿通動脈と呼ばれる細い血管が詰まり発症する脳梗塞です。 ラクナ梗塞は、脳梗塞の範囲が直径15㎜以下と小さく、症状に気づきにくいのが特徴です。脳梗塞の症状が出現しない場合は、「無症候性脳梗塞」といい、検査で偶然発見されることもあります。 アテローム血栓性脳梗塞 脳梗塞の病型に、アテローム血栓性脳梗塞があります。アテローム血栓性脳梗塞とは、アテローム硬化を発症原因とする脳梗塞です。 アテローム硬化とは、動脈壁に悪玉コレステロール(LDL)や脂質などで作られたプラーク(粥種)を原因とした動脈硬化です。アテローム硬化によりもろくなった血管は、血栓(血液の塊)ができやすいため、脳梗塞になりやすくなります。 心原性脳塞栓症 心原性脳塞栓症は、脳梗塞の病型の1つです。心原性脳塞栓症とは、心臓にできた大きな血栓が、脳血管を詰まらせて発症する脳梗塞です。 心臓の機能が低下すると、血流が滞り血栓ができやすくなります。心原性脳塞栓症は太い脳血管に血栓が詰まるため、症状が重く、後遺症も出やすいのが特徴です。 脳内出血 脳卒中の種類の1つに、脳内出血があります。脳内出血とは、脳の血管が破れて脳内で出血した状態です。 脳内出血の約60%は、高血圧症が発症原因です。 高血圧と動脈硬化によって脳の細い動脈が壊死を起こし、小さな血管のこぶ(微小動脈瘤)ができます。微小動脈瘤に強い力がかかる(高血圧)ことにより、動脈瘤が破れて脳内出血を引き起こします。 アルコール常飲者や肝機能障害者、血小板減少症の患者さんは止血機構の作用が悪いため、脳内出血を起こすと大量出血が起こりやすく注意が必要です。 脳内出血は、脆弱な血管ができる疾患(脳動静脈奇形・もやもや病・血管腫・脳腫瘍など)に合併して発症する可能性もあります。 くも膜下出血 脳卒中の種類の1つに、くも膜下出血があります。くも膜下出血とは、くも膜下腔(脳の表面とくも膜の間のスペース)に出血が起きた状態です。 くも膜下出血の70~80%が、脳動脈瘤の破裂を原因として発症します。脳動脈瘤が破裂した場合は、急激な頭蓋内圧の上昇により激しい頭痛や悪心・嘔吐などの症状が出現します。 頭蓋内圧がさらに上昇すると、周囲の脳組織を圧迫して死に至る場合もあるため注意が必要です。くも膜下出血発症後は、再出血(最も多いのは最初の出血後24時間以内)や水頭症、脳血管攣縮(くも膜下出血後4~14日頃に発生)などが起こる可能性があり、時期に応じたケアが必要になります。 脳卒中の前触れである一過性脳虚血発作について 脳梗塞が起こる前触れを、一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)といいます。一過性脳虚血発作(TIA)は、脳梗塞と同様に突然症状がみられますが、多くは24時間以内に消失し、画像検査でも脳梗塞の所見を認めません。 一過性脳虚血発作(TIA)が起こった場合は脳梗塞に進展する危険性が高いといわれており、早急な原因究明や脳梗塞に準じた治療を行う必要があります。 一過性脳虚血発作(TIA)の症状 半身の脱力 言語障害(呂律がまわらない・言葉が出ない) 半身のしびれ 片側顔面麻痺 視野が狭くなる 一過性脳虚血発作(TIA)の出現から48時間以内に脳梗塞を発症しやすいため、いつもと違うと感じたらすぐに病院へ行くことが重要です。 脳卒中(脳梗塞)の主な症状は? 脳卒中(脳梗塞)の症状は、発症する部位や血管の詰まり方によって異なりますが、主に以下の症状が見られます。 脳卒中(脳梗塞)の主な症状 半身の脱力・麻痺 半身のしびれ 呂律が回らない 言葉が出ない 人のいうことを理解できない めまい・ふらつき 片側顔面麻痺 視野が狭くなる・物が二重に見える 一過性脳虚血発作(TIA)と同じ症状が出現する場合もありますが、時間が経つにつれて症状が重くなりやすいため注意しましょう。 脳卒中の予防と再発を防ぐ方法 脳卒中の予防は、まだ脳卒中を起こしていない方の予防(一次予防)と、一度でも脳卒中を起こしたことのある人の予防(二次予防)に分けられます。 脳卒中を一度起こした人は、原因となる生活習慣や基礎疾患をもっていることが多く、脳卒中の再発リスクが高いといわれています。脳卒中が再発すると、初発のときよりも重症であったり、重度の後遺症が出たりする場合もあるため、再発予防に取り組みましょう。 脳卒中の予防には、下記の危険因子の早期発見や対策が重要です。 脳卒中の主な危険因子 高血圧症 糖尿病 脂質異常症 心房細動 喫煙 飲酒 睡眠時無呼吸症候群(SAS) メタボリックシンドローム 慢性腎臓病(CKD) 日本脳卒中協会は、脳卒中の予防啓発のために「脳卒中予防十か条」と「脳卒中克服十か条」を掲げ、注意を促しています。 脳卒中の一次予防 脳卒中を起こしたことのない人の発症予防を、一次予防といいます。一次予防では、生活習慣の見直しや環境の改善などにより脳卒中を予防します。 健診や脳ドックなどを定期的に受けると、危険因子を早く発見でき、早期からの治療が見込めます。脳卒中を予防するために、喫煙やアルコールを控え、バランスの良い食事と運動を心がけましょう。 脳卒中の二次予防(再発予防) 一度でも脳卒中を起こしたことのある人の再発予防を、二次予防といいます。二次予防では、生活環境の改善や危険因子の管理、服薬の継続が重要となります。 退院後の健康の維持・回復のためには、行動変容が重要で、問題のある保健行動を改善していくことが必要です。入院中から退院を見据え、自分に合った内服管理やリハビリの進め方などを検討しましょう。 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣は、以下の6つです。 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣 血圧 食事 運動 喫煙 飲酒 服薬 脳卒中のリスク因子に生活習慣病があるため、食事や運動などの生活行動を見直し、改善していくことが大切です。改善できる生活習慣から行動変容を起こし、脳卒中のリスクを低減しましょう。 血圧 脳卒中最大の危険因子に、血圧があります。血圧値と脳梗塞の発症率との関係をみると、血圧値が高くなるほど、発症率が急激に高まります。 「健康日本21※」では、国民の平均血圧が2 mmHg低下すると、脳卒中死亡患者は1万人減少し、ADL(日常生活動作)が新たに低下する患者の発生も3,500人減少するといわれています。 ※出典:健康日本21(第三次)|厚生労働省 同じ時間、同じ条件で血圧を測定し記録することを習慣化し、自身の血圧変動を知ることが大切です。 食事 脳卒中予防のために改善すべき生活習慣に、食事があります。偏った食事は高血圧や脂質異常症、糖尿病などを促進してしまうため、栄養バランスの良い食事を摂ることが重要です。 塩分を控えめ(1日10g未満)にし、高脂肪の乳製品は控え、魚や植物性の油を積極的に摂るように心がけましょう。食物繊維やビタミンなどを豊富に含む野菜も摂取するのがおすすめです。 運動 脳卒中予防のために、適度な運動を行うことが大切です。厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 ※」で、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を、週60分以上行うのが望ましいとしています。 ※出典:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 |厚生労働省 運動不足の人は、生活習慣病になるリスクが上がり、脳卒中を発症する可能性が高まります。運動する時間がなく有酸素運動の継続が困難な場合は、家事や仕事などで身体を動かすことを意識しましょう。 喫煙 脳卒中予防のために、喫煙習慣がある人は改善することが必要です。喫煙は、脳卒中のリスク因子である動脈硬化の発症率を高めます。 完全にたばこをやめるのが難しい人は、喫煙本数を減らすことから始めましょう。なかなか禁煙できなかったり、喫煙本数が減らなかったりする場合は、禁煙外来の受診を検討するのも1つの手段です。 飲酒 脳卒中予防のために改善するべき生活習慣に、飲酒があります。過剰にアルコールを摂取すると、生活習慣病や動脈硬化などのリスクが高まります。 飲酒は適正量を守ることや週1日程度の休肝日をつくることが重要です。ビールなら 1 日あたり中瓶 1 本(500mL)、日本酒なら 1合(180 mL)くらいまでが、適正量といわれています。 服薬 脳卒中の再発予防のために、服薬管理を徹底しましょう。内服薬を勝手に中断すると、症状が悪化したり、脳卒中が再発したりする恐れがあります。 脳卒中の治療に用いられる薬は、効果が目に見えるものではありません。薬の効能がわからなかったり、副作用が出ていたりする場合は、医師へ相談しましょう。 【まとめ】脳卒中の予防と再生医療について 脳卒中の予防には、脳卒中を起こしていない方の予防(一次予防)と、一度でも脳卒中を起こしたことのある人の予防(二次予防)があります。以下の「3つのR」をポイントに、生活習慣や環境を整えると、脳卒中の発症リスクを低減できます。 脳卒中を予防する3つのR Recognize(危険因子を発見する) Reduce(危険因子を減らす、治療する) Respond(発作に反応する、早期に受診する) 脳卒中を予防するために高血圧や糖尿病にならないように、生活習慣を見直しましょう。 また、脳卒中の再発を防ぐ方法の1つに、再生医療があります。脳卒中の再生医療を受けると、麻痺や言語障害などの症状の緩和が期待できます。 再生医療をご検討の際は、当院へお気軽にご相談ください。
2022.01.26 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
脳卒中は発症後どれだけ早く初期治療を受けられるかで、その後の回復に大きな影響を与えます。 本記事では「脳卒中発症後の初期治療の重要性」について詳しく解説します。 脳卒中の発症後はできるだけ早い対応が求められるため、自分や家族が倒れた時にすぐ対応できるようにしましょう。 機能回復に重要なリハビリや再生医療による治療方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 脳卒中(脳梗塞)は倒れてからの時間より発症後の時間が重要 脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があり、これらを発症してしまった場合は、一刻も早く治療を受ける必要があります。 特に「脳梗塞」は、発症からの時間がその後の回復に大きな影響を与えます。 重要なのは倒れた時間ではなく、最初に症状が現れた時刻です。 頭痛やしびれなど、軽微な症状が出始めた時点が発症時間となります。 救急車を呼ぶ際も、「何時頃から症状が出始めたか」を正確に伝えられるよう、時間を記録しておくことが大切です。 脳梗塞は発症から4.5時以内の初期治療が鍵となる 脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要 くも膜下出血は早急に救急車を呼ぶ 4.5時間経過後も初期治療は重要!諦めずにすぐ病院へ 脳卒中を疑ったら可能な限り早く専門医を受診しましょう。 脳の障害は発症後、時間が経つほど症状が大きくなり後遺症も重度になる可能性が高いです。 また脳梗塞では、発症してから4.5時間以内に行えるt-PA点滴治療、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療の血管内治療があります。 脳梗塞は発症から4.5時間以内の初期治療が鍵となる 脳梗塞を発症後、4.5時間以内に初期治療を受けることが重要です。 脳梗塞になると、脳に血液を送る血管が詰まり、脳に血液が流れなくなることで脳の神経細胞が死んでしまいます。 しかし、脳梗塞の発症から4.5時間以内なら、血栓を溶かすt-PA治療が行えます。 t-PA治療は、血管内の血栓を溶かすことで詰まった脳血管を再開通させ、脳細胞への血流を回復させます。 発症から治療開始までの時間が遅くなるほど脳の神経細胞が死滅するリスクが上がるため、早急に治療を受ける必要があります。 脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要 脳出血(脳内出血)は発症から1〜6時間程度で出血が止まりますが、意識障害など重症になる可能性があるため、早期受診しましょう。 脳出血とは、脳内の血管が破れて脳内に出血する病気のことです。 出血した血液が固まって血腫となり脳を圧迫することで吐き気や意識障害などを引き起こします。 脳出血を発症してから6時間以上経過しても、意識障害などの重度な症状が出ない場合は手術せずに様子をみることが多いです。 しかし、発症後に意識障害まで悪化してしまうと命に関わる可能性があります。 早期受診することで症状が悪化した時に病院ですぐ対応できるようにすることが重要です。 くも膜下出血を発症した場合は早急に救急車を呼ぶ くも膜下出血を発症した場合は、できる限り早く医療機関へ搬送できるよう救急車を呼びましょう。 脳の血管が破裂したことで、脳の表面を覆っているくも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こる病気のことです。 くも膜下出血の原因でもっとも多い脳動脈瘤が破裂してしまうと、24時間以内に再破裂する可能性があります。 再破裂して出血すると死亡率は約50%といわれており、初期治療では再出血の予防が重要になります。 主な初期症状は「突然の激しい頭痛」「嘔吐」「意識障害」などがあり、一時的に症状が治ることもあるため、異変を感じたらすぐに医療機関へ相談しましょう。 4.5時間経過後も初期治療は重要!諦めずにすぐ病院へ 脳梗塞の治療は発症から4.5時間以内のt-PA静注療法が有効ですが、それを過ぎても諦める必要はありません。6時間以内なら血管内治療など、まだできることがあるのです。 発症時刻が不明でも、MRI検査で判断できればt-PA静注療法を検討できる場合もあります。 さらに、脳卒中専門病棟での治療と早期リハビリで、4.5時間を過ぎても良好な効果が期待できます。 大切なのは、できるだけ早く専門的な治療を始めること。脳梗塞の疑いがあれば、躊躇せずに救急車で専門病院へ行きましょう。 諦めずに治療を受けることが、その後の回復と生活の質を大きく左右します。 急性脳卒中のガイドライン/FASTで脳卒中(脳梗塞)か判断 急性脳卒中を診断する際には、「FAST」と呼ばれるガイドラインが使用されます。FASTは、脳梗塞を早期発見するためにチェックするポイントの頭文字を合わせたものです。 FACE:顔 うまく笑顔が作れますか? 片側の顔だけが歪んでいたり、ひきつっていないか、顔の麻痺状態をチェックしましょう。 ARMS:腕 腕を上げたままキープできますか? 両腕をゆっくりと上げ下ろししてみて、腕の麻痺が起きていないかどうかをチェックします。もしも両腕を前に上げた際に、片腕だけが脱力して腕が上げられなければ要注意です。 SPEECH:話 短い文がいつも通り話せますか? 簡単な問いかけ(例えば本人の名前や今日の日付など)をしてみて、正しい返答があるかどうかをチェックしましょう。 TIME:時間 発症時刻を確認。 脳梗塞の場合、発症してからの時間によって治療内容が変わります。発症後3〜4.5時間以内であれば、薬物により血栓を溶かす治療が可能となることがあります。 周りにいる人が突然倒れたり、自分でおかしいなと思ったら、上記の4点を確認して、速やかに救急車を呼びましょう 症状が消えても油断できない一過性脳虚血発作(TIA)について 脳梗塞は突然襲ってきます。夜中のトイレ、朝の起床時、日中の活動中など、発症のタイミングははっきりしているケースがほとんどです。 ところが、最初の症状が徐々に和らいで消えてしまうことがあります。これを「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼びます。 一過性脳虚血発作(TIA)は、脳梗塞の前触れとして、同じような症状が一時的に現れる現象です。数分から数十分、長くても24時間以内に症状が消えます。 症状が一時的でも、一過性脳虚血発作(TIA)を経験した人は、再び脳卒中に襲われる危険性が非常に高いため油断は禁物です。 もし一過性脳虚血発作(TIA)かもしれないと思ったら、一刻も早く医療機関を受診しましょう。 脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきこと 脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきことや、対応のポイントを解説します。 意識があるとき 意識がないとき 救急車を呼ぶ 脳卒中で倒れるほどの症状が出ている場合は、時間との戦いです。 後遺症のリスクを抑え、回復する確率を少しでも上げるために、できるだけ早く医療機関を受診して初期治療を受けましょう。 意識があるとき とにかく周囲に助けを求め、できるだけ動かずその場で横になることが原則です。周囲の人は、マットや毛布の上に患者さんを乗せて、広いところに移動して寝かせましょう。 これは脳への血流を保つこと、血圧上昇による出血の悪化や、再出血を予防するためです。横になれる場所が近くになくても、自分で立って歩くべきではありません。 なぜなら脳の血管が詰まって症状が出ている時には、歩くことで脳への血流が悪くなり、脳の障害がひどくなる恐れがあるからです。 意識がないとき こちらからの呼びかけや、体をゆすっても反応がまったくない、一時的に目を開けてもまたすぐに閉じて眠り込んでしまう。 さらに目は開いていても応答が曖昧な場合は、周囲の人が慎重に機敏に対応しなくてはなりません。 意識がないときの対応ポイント 倒れたまま意識がない時は救急車が到着するまで、以下のポイントを意識して対処しましょう。 1.適切な場所への移動 敷物などに寝かせ、処置や運び出しがしやすい場所に移動 戸外であれば、風通しのよい日陰に移動させる 頭をできるだけ動かさない(特に前に曲げない) 2.気道の確保と誤飲の防止 頭を前屈させない(=枕をしない) いびきや呼吸が苦しそうな時は、バスタオルや座布団などを巻いて肩の下に敷く(首を反らせ気味にすると、呼吸が楽になることが多い) 嘔吐しそうな時は、誤飲や窒息を防ぐため体ごと横向きに寝かせる(麻痺がある時は、麻痺側を上に向ける) 3.環境調節 上着のボタンを外し、ズボンのベルトを緩める 眼鏡、腕時計などのアクセサリー、入れ歯を外す 照明をやや暗く、室温を20℃程度にして換気をする 脳卒中発症後すぐに生命の危険があるのは、重症のくも膜下出血を除けばほとんどありません。落ち着いて上記の3点をすぐに実行してください。 救急車を呼ぶ 脳卒中が疑われる時は、一刻も早く専門医の受診が必要になります。通院治療中のかかりつけ医がいる場合は、専門の医療機関を紹介してもらうのが良いでしょう。 すぐに連絡がつかない場合は、直ちに119番に電話し、救急車を呼びましょう。受診予定の病院には、あらかじめかかりつけ医や救急隊から連絡し、搬送予定の患者の病状を説明した上で受け入れ可能か確かめておけば無駄な時間を省いて搬送できます。 重症の場合ではもちろんですが、軽症と思われる時も救急車を利用してください。 これは一刻も早く救急搬送するためであり、また搬送の途中で急に容体が悪化することも十分あり得るからです。 もしも救急車が他の現場へ出動中などで到着に時間がかかる時は、患者さんに横向きに寝てもらって、家族や周囲の人が車を運転し、病院へ運んでください。 ただし、患者さん本人が運転したために大事故を起こした例や、手遅れになるほど病状が悪化した例もあるため、患者さんが自分で運転して病院へ向かうのは絶対にやめましょう。 脳卒中(脳梗塞)で倒れたらどんな後遺症が残る? 脳卒中、特に脳梗塞は治療後も様々な後遺症が残ることがあります。 主な後遺症とその症状は以下の通りです。 後遺症 主な症状 運動麻痺 片側の上下肢が動かなくなる 感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり、過敏になったりする 目の障害 視野狭窄、複視、半盲などの症状が長期間残ることも 構音障害 呂律が回りにくくなる 嚥下障害 飲み込みにくくなる 高次脳機能障害 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、病識欠落など多岐にわたる 失語症 言葉が出にくくなったり、理解できなくなったりする 半側空間無視 外界の半側(主に左)に注意が向かなくなる 自発性障害 自ら進んで動作や会話ができなくなる 脳梗塞の後遺症は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。脳梗塞になった場合は、このような後遺症についても理解しておくことが重要です。 脳卒中(脳梗塞)の後遺症に対する治療 脳卒中(脳梗塞)の後遺症は、患者さんの日常生活に大きな影響を与えます。 しかし、適切なリハビリテーションと治療により、後遺症の改善が可能です。 理学療法 作業療法 感覚統合訓練 認知リハビリテーション 薬物治療 など リハビリテーションは、急性期、回復期、維持期に分けて行われ、それぞれの時期に応じた適切なアプローチが重要です。 後遺症からの回復には時間がかかりますが、粘り強いリハビリテーションを続けることで、多くの患者さんが自立した生活を取り戻すことができます。 リハビリや治療に関して、詳しくは以下の記事をご覧ください。 脳卒中(脳梗塞)の回復には早期のリハビリが重要 脳卒中の治療後は、さまざまな後遺症が残ってしまう可能性があり、機能回復のために早期のリハビリが重要です。 一般的に脳卒中の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられているため、後遺症が回復する見込みがあります。 そのため、発症から6ヶ月後までの「回復期」と呼ばれる期間にリハビリを積極的に行いましょう。 脳梗塞の後遺症に効果的なリハビリ内容について詳細が知りたい方は、以下をご参考ください。 脳卒中(脳梗塞)の治療法としての選択肢「再生医療」 脳卒中(脳梗塞)の治療法としては、脳梗塞や脳出血に対する効果が認められてきている再生医療という選択肢もあります。 再生医療では、主に幹細胞治療とPRP療法の2つを行います。 幹細胞治療:患者さま自身から採取した幹細胞を培養して投与。ご自身の幹細胞を利用するため副作用などリスクが少ないのが特徴です。 PRP療法:患者さま自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を患部に注射します。こちらもご自身の血液を利用するため副作用などリスクは少ない治療方法です。 特に幹細胞治療は脳神経細胞の修復および再生と、脳の血管を新しく再生させるという2つの大きな作用があり、脳卒中の再発予防にも効果的です。 特に以下のような方が治療対象になります。 うまく話せない 痺れや麻痺をなんとかしたい もうこれ以上の機能の回復が見込めないと診断を受けた方 リハビリの効果を高めたい 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の再発を予防したい 再生医療について興味がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 【まとめ】脳卒中の発症後は時間との戦い!その時に取るべき行動や知っておきたいこと 早期発見や早期治療がその後の予後に大きく関わります。 運動麻痺、感覚障害、高次脳機能障害など、患者さんの日常生活に大きな影響を与える後遺症に対して、適切なリハビリテーションが重要です。 脳卒中の後遺症からの回復には時間がかかりますが、あきらめずに継続的なリハビリテーションに取り組むことで症状の改善が目指せます。 また自分が脳卒中の危険因子に当てはまる場合は、再発予防のためにも生活習慣を見直し、検診を受けるように心がけましょう。 現在既に脳卒中後の後遺症で悩んでいる方は、後遺症の改善・再発予防として再生医療もご検討ください。 脳卒中の症状の多くはリハビリを重ねていけば改善が見込めるものの、慢性期を過ぎてしまった場合はリハビリ効果が低くなっていきます。 そうしたケースに対して、後遺症の回復効果が期待できるのが再生治療です。 脳卒中の治療法でお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」で行っている無料相談をご利用ください。
2022.01.25 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
くも膜下出血は、半身麻痺や運動や言語などの神経障害など、多くの後遺症が残る可能性があります。 くも膜下出血の原因は、髄膜という脳の組織の内側にある軟膜と、中間にあるくも膜のすき間にあるくも膜下腔の出血です。 この記事ではくも膜下出血による右脳と左脳の後遺症の違いや、症状からリハビリまで詳しく解説します。 くも膜下出血の後遺症は右脳と左脳で異なる? くも膜下出血の後遺症は、半身麻痺の場合、右脳では左半身に、左脳では右半身に麻痺症状が出ます。 これは運動機能の中枢は、右脳と左脳の両方にあり、右脳は左半身の運動機能に、左脳は右半身の運動機能につながっているためです。 また、運動機能だけでなく、視覚なども同じ機能のため、右脳と左脳とでは現れる後遺症に左右の違いがあります。 くも膜下出血の後遺症 くも膜下出血の後遺症は、出血した部位や出血量、発症後から治療までの時間などによって、症状や後遺症に違いがあります。 出血量が多い場合や治療が遅れた場合は、脳血管攣縮による脳梗塞などを発症し、その結果として高次脳機能障害や運動障害などの後遺症が残ることがあります。 くも膜下出血の主な症状には次のような後遺症があります。 高次機能障害 運動障害 言語障害 感覚障害 視野障害 嚥下障害 排尿障害 感情障害 それぞれの症状について解説していきます。 高次脳機能障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状に、高次脳機能障害があります。 高次脳機能障害は、脳の損傷による認知障害全般を指していて、失語・失行・失認や、記憶障害、注意障害、遂行機能障害などの症状が含まれます。 また、高次機能障害は外見では判断しにくいことや、本人が認識していないなどの特徴があります。 運動障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状は、運動障害です。脳の運動に関わる部位がダメージを受けると、身体を思い通りに動かせなくなります。 運動障害の1つである麻痺は、症状の程度や出現する部位によって名称が決まっています。 麻痺や運動障害の重さ 痙縮 筋肉が重く、突っ張った感じがする程度 不全麻痺 部分的な麻痺、わずかな麻痺 完全麻痺 まったく動かない麻痺 不随意運動 無意識に手足が動いてしまう異常運動 例)健側に力を入れると麻痺側の手足が勝手に動く 運動失調 筋力低下や麻痺がないにも関わらず、協調運動ができない状態 例)小脳の障害により、歩行バランスが悪くなり上手に歩けなくなる 麻痺の現れる部位別の名称 単麻痺 片半身の上肢あるいは下肢だけの麻痺 片麻痺 右半身あるいは左半身の上下肢の麻痺 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳の外傷などで起こる 対麻痺 両下肢の麻痺 スポーツや交通事故、転落・落下による脊髄損傷で起こる場合が多い 四肢麻痺 両側の上肢と下肢の両方が麻痺した状態 脊髄損傷や脳性麻痺などによって起こる くも膜下出血の発症部位の反対側に運動障害が現れることを「半身麻痺」といいます。障害部位と反対側に麻痺が起こる理由は、脳からの指令を全身に伝達する神経が首のあたりで交差しているためです。 右脳に障害がある場合は、左半身の運動機能が障害されて左半身麻痺になる 左脳に障害がある場合は、右半身の運動機能が障害されて右半身麻痺になる 言語障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状に、言語障害があります。言語障害は、構音障害(運動障害性構音障害)と失語症に分けられます。 脳の障害部位により、うまく話せない理由が異なるため注意が必要です。 構音障害(運動障害性構音障害) くも膜下出血の後遺症による言語障害に、構音障害(こうおんしょうがい)があります。 構音障害は声が出にくかったり、呂律が回らなかったりする言語障害です。 構音障害が起こると、口や舌などの発声・発語器官がうまく機能しなくなってしまいます。 失語症 くも膜下出血の後遺症の1つに、失語症があります。 失語症とは、脳の言語中枢が障害されて考えている言葉とは異なる言葉が出たり、聞いた単語を理解できなくなったりする症状です。 失語症の患者さんは、”言葉がわからない国に、突然放り出されたような状態”となります。 相手の言葉を理解できず、自分の思いも上手に伝えられないためコミュニケーションにストレスを感じやすいのが特徴です。 感覚障害 くも膜下出血の後遺症に感覚障害があります。感覚神経の異常反応によって視覚・聴覚などの知覚に異常が生じたり、鈍くなったりする障害です。 半身の感覚が麻痺したり手足がしびれたりすると、痛覚や温度感覚などが鈍くなる感覚障害が現れる場合があります。 視野障害 くも膜下出血の後遺症に、視野障害があります。視野障害のひとつ「Terson(テルソン)症候群」は、くも膜下出血に伴う眼内出血が原因です。 主に硝子体と呼ばれる部位に出血することで知られています。 症状としては、目のかすみや浮遊物がみえるなどがありますが、さらに悪化すると視力の低下など日常生活に支障を来す場合があります。 嚥下障害 くも膜下出血を発症すると、嚥下障害(えんげしょうがい)が起こる可能性があります。嚥下障害は、食べ物の飲み込みが上手にできなくなる症状です。 嚥下(飲み込み)障害には、窒息や誤嚥性肺炎のリスクもあるため注意が必要です。 排尿障害 くも膜下出血により排尿に関わる神経が障害されると、排尿をコントロールできなくなる症状が現れます。 排尿障害の症状例は、以下のとおりです。 失禁 頻尿 尿が出ない 尿意を感じない 排泄に関する症状はデリケートな内容であるため、周囲の人に伝えられずにストレスを感じる場合もあります。 感情障害 くも膜下出血の後遺症に、感情障害があります。感情障害で出現する症状は、以下のとおりです。 意欲の低下 感情失禁(少しのことで、喜怒哀楽が激しく現れる) 幻覚や妄想 また、気分障害の一種である「うつ病」になる場合もあります。うつ病は気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力をコントロールできなくなる病気です。 うつ病の主な症状は、抑うつ気分や不安感、焦燥感(しょうそうかん:焦りやイライラ感)、不眠、食欲低下などです。 くも膜下出血の後遺症により、日常生活に支障をきたすショックがうつ病の原因になります。 くも膜下出血の後遺症に対するリハビリ くも膜下出血の後遺症に対するリハビリは、「急性期」「回復期」「維持期」の3段階に分けられます。 症状や障害の程度に応じて、理学療法(基本動作)、作業療法(日常生活動作)、言語聴覚療法(コミュニケーション機能)を組み合わせてリハビリを実施します。 急性期リハビリテーション くも膜下出血の急性期リハビリテーションは、発症からおよそ1~2カ月以内※ とされています。 ※出典:厚生労働省「脳卒中に関する留意事項」 発症直後はベットから起き上がれない状態となることが多いため、麻痺した側の手足の関節が固まってしまうことや、麻痺していない筋力が低下する可能性があります。 そのため、急性期では手足を動かしたり、筋力をつけるなど、ベットサイドで簡単にできるリハビリを行います。 回復期リハビリテーション くも膜下出血の回復期リハビリテーションは、発症からおよそ3~6ヵ月とされています。 主に、立ち上がりや歩く動作のほか、箸の練習から着替えなど、日常生活における動作を中心に行われます。 回復期で行われるリハビリは、歩行といった日常生活の確立を目標として実施されます。また、機能が低下している部分の回復も重要です。 維持期リハビリテーション くも膜下出血の維持期リハビリテーションは、発症から6ヵ月以降とされています。 回復期で行ってきたリハビリの継続や、取り戻した身体機能の維持など日常生活の自立と社会生活への復帰を目指す段階です。 つまり、維持期ではくも膜下出血によって、後遺症として残った機能障害の改善だけでなく、生活の質の向上を目的としています。 くも膜下出血の後遺症改善のための選択肢「再生医療」について 近年、くも膜下出血だけでなく脳出血や脳梗塞などにおいて、新たな治療の選択肢として再生医療があります。 くも膜下出血を含む脳卒中に対する治療として、再生医療の幹細胞治療が行われています。 再生医療について詳しい情報をご希望の方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 無料のメール相談やオンラインカウンセリングを承っております。 【まとめ】くも膜下出血の後遺症は早期リハビリと適切な治療が重要 くも膜下出血による後遺症は、神経症状など個人によって差があります。 しかし、急性期から維持期まで、適切なリハビリを行うことにより低下した身体機能を回復させ、日常生活への支障を軽減することができます。 くも膜下出血に対する治療法としては、再生医療も選択肢の一つとして挙げられます。再生医療は、患者様自身の幹細胞を採取・培養し、体内の損傷した部位に投与する治療法です。 くも膜下出血による後遺症にお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へ一度ご相談ください。
2022.01.22 -
- 脳梗塞
- 再生治療
- 脳卒中
脳卒中は脳血管の破裂や閉塞により、脳の神経細胞が栄養不足になり死んでしまう病気です。その結果、後遺症が残ることも少なくありません。 しかし、脳卒中の前兆や初期症状を知る方法に「ACT FAST」と呼ばれるセルフチェックがあります。 後遺症を軽減するためには、脳卒中の前兆を把握し、早期発見・早期治療に努めることが重要です。 本記事では、脳卒中の前兆やセルフチェック方法を解説します。 この記事を読むとわかること 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中のセルフチェック方法 脳卒中を予防するためのポイント 脳卒中の初期症状が出現していないかセルフチェックを行い、早期発見を目指しましょう。 脳卒中とは 脳卒中とは、脳の血管が急に破れたり詰まったりして、脳の血液循環に障害をきたす病気です。脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」とに大別されます。 脳梗塞や脳内出血を含む脳血管疾患は、日本人の死因の第4位※です。 ※出典:令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省 脳卒中の発見が遅れると、重い後遺症が出る可能性が高まるため注意が必要です。早期治療ができるように、脳卒中の前兆や初期症状を確認しましょう。 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中の前兆は疾患ごとに異なる場合があります。以下の3つの脳血管疾患の初期症状を確認しましょう。 脳血管疾患の前兆・初期症状 脳梗塞の前兆|一過性脳虚血性発作 脳内出血の前兆 くも膜下出血の前兆 脳卒中の初期症状に気づいて早期に治療を始めると、症状や後遺症の重症化を防げます。 脳梗塞の前兆|一過性脳虚血発作 脳梗塞の前兆に、一過性脳虚血発作(TIA)があります。一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳の血流が一時的に遮断され、脳梗塞様の症状が出現する発作です。 症状は1時間以内に収まることが多く、長くとも24時間以内で消失するといわれています。一過性脳虚血発作(TIA)の発症後は48時間以内に脳梗塞を発症する可能性が高いため、早期治療が重要です。一過性脳虚血発作(TIA)の主な症状は、以下のとおりです。 一過性脳虚血発作(TIA)の主な症状 片半身がしびれる、感覚が鈍くなる 体が動きにくい、力が入らない 顔半分がしびれる、ひきつる 片目が見えにくい めまいがする ろれつがまわらない、言葉が出てこない 上記の症状が短時間出現し、状態が元に戻った場合は一過性脳虚血発作(TIA)を疑い、すぐに病院を受診しましょう。 脳内出血の前兆 脳内出血は突然発症する病気で、前兆に気づくのが難しいのが特徴です。重い後遺症が出るのを防ぐために、以下の症状がある場合はすぐに病院を受診してください。 脳内出血の前兆 片目が見えにくい 両目で見たときに物が二重に見える 目が充血する 目が前に突出してくる 片半身がしびれる 言葉が出てこない 脳内出血の前兆に気づき早期治療ができれば、症状の悪化を防げます。目や身体の違和感は、脳卒中の症状の可能性があることを覚えておきましょう。 くも膜下出血の前兆 くも膜下出血の前兆に、突然の激しい頭痛や嘔吐があります。くも膜下出血の頭痛は、「突然バットで殴られたような強さ」が特徴です。 激しい頭痛の前に、警告頭痛がある場合もあります。警告頭痛は片頭痛に似た症状で強さに個人差があり、頭痛を放置してしまう人もいるため注意が必要です。 くも膜下出血は、激しい頭痛がなく嘔吐や意識障害などを突然発症する例もあります。脳血管が破裂し出血すると、脳を覆う髄膜が刺激され嘔気・嘔吐を引き起こします。 脳卒中の前兆が見られたらセルフチェック【ACT FAST】 脳卒中の疑いをテストする方法に、“ACT FAST”と呼ばれるセルフチェックがあります。 以下を参考に、脳卒中の初期症状が出現していないかをチェックしましょう。 ACT FAST Face(顔)=顔の麻痺のチェック 鏡に向かって微笑んだときの、口角の左右のバランスをチェックします。片側が引きつって歪んだように見えたら黄信号です。 Arm(腕)=腕の麻痺やしびれのチェック 真っ直ぐ立って手のひらを上に、両腕を肩の高さまで突き出します。高さを維持できずに片腕が下がってきたら、片麻痺の疑いがあります。 Speech(言葉)=言葉の異常をチェック 「花子が太郎にリンゴをあげた」これを声に出して言ってみてください。顔や口元に麻痺があると滑舌が悪くなり、とくに「ラ行」が発声しづらくなります。 Time(時間)=症状に気付いた時刻 セルフチェックを行い、該当する症状がみられる場合は、119番ヘ連絡して救急車を呼びましょう。 脳卒中の前兆に対する検査とリハビリ 脳卒中の検査とリハビリは、初期症状や前兆がある場合に実施されます。脳卒中は生死にかかわるため、検査により発症部位を特定できたら、早急な治療が必要です。 脳卒中の症状が出現していたり、後遺症が残っていたりした場合は、リハビリで症状を緩和します。 脳卒中の前兆に対する検査方法 脳卒中の前兆に対するリハビリ 早期発見や早期治療ができるように、脳卒中の検査やリハビリの方法を確認しましょう。 脳卒中の検査 脳卒中の診断には、以下の検査が行われます。 脳卒中の検査 コンピュータ断層撮影(CT) 核磁気共鳴画像(MRI) 核磁気共鳴血管撮影(MRA) 超音波検査・心エコー X線撮影(血管造影検査) 脳卒中の前兆や初期症状がみられる場合は、上記の検査で発症部位を特定します。病院を受診した際に検査内容がわかるよう、各検査の特徴を詳しく解説します。 ■CT検査 脳卒中の検査に、CT検査があります。CT検査とは、X線撮影をコンピュータで解析して脳の輪切りを映し出し、脳卒中の有無や種類を判定する検査です。 脳梗塞の場合は発症から24時間以上経たないとはっきり描画できませんが、脳出血は発症後すぐに描画されます。 ■MRI検査 脳卒中の疑いがある場合は、MRI検査を行います。MRI検査とは、磁力を使って脳の断層像を映し出す検査です。 CTと比較して鮮明な画像が得られ、出血部分や梗塞部分が発症後すぐに描画されます。 ■MRA検査 脳卒中の検査の1つに、MRA検査があります。MRA検査では、造影剤を使用せずに、磁力を使って脳の血管を映し出します。 詰まっている脳血管を見つけ出し、脳卒中の発症場所の特定が可能です。 ■超音波検査 脳卒中の検査に、超音波検査があります。超音波検査とは、超音波の発信受信装置を首にあてて、動脈硬化の有無や程度を調べる検査です。 脳血管疾患は心疾患とも関連している場合があるため、心エコーと呼ばれる心臓の検査でも超音波を用います。 ■血管造影検査 脳卒中の検査では、血管造影検査が行われます。血管造影検査とは、カテーテルという細い管を通して造影剤を入れ、X線撮影をする検査です。 血管造影検査を行うと、血管の状態や脳卒中の発症部位がわかります。 脳卒中のリハビリテーション 脳卒中のリハビリテーションは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフによって行われます。脳卒中を発症してからの経過時間に応じて、実施するリハビリテーションが異なるため、以下のポイントを確認しましょう。 急性期(発症から1~3週間) 治療施設:急性期病院 リハビリテーションのポイント ⇨廃用症候群の予防、リスク管理(座位、運動負荷)、合併症管理 回復期(1~3週間から3~6週間) 治療施設:リハビリテーション専門病院 リハビリテーションのポイント ⇨機能回復訓練、心理的支持、維持期への橋渡し 維持期(3~6カ月以降) 治療施設:リハビリテーション専門病院、介護保険対応の病院、施設、在宅 リハビリテーションのポイント ⇨機能維持、介護負担の軽減、環境調整、社会資源の活用 リハビリテーションの効果は個人差がありますが、劇的な効果がみられなくても、諦めることなく根気よく続けることが大切です。 脳卒中の後遺症を、新しい先端医療「再生医療」で治療した例 再生医療は、脳卒中の後遺症に対する新たな治療法として注目を集めています。 以下の動画は、脳卒中の後遺症を再生医療で治療した人のインタビューですので、ぜひ参考にしてください。 再生医療は、厚生労働省の認可を受けた再生医療専門クリニックでしか実施できません。脳卒中の再生医療が気になる方は、当院へお気軽にお問い合わせください。 脳卒中を予防するためのポイント 脳卒中予防のために、以下の4つのポイントを意識することが大切です。 脳卒中を予防するためのポイント 血圧管理を行う 塩分控えめの食生活とコレステロールを減らす食品を心がける 適度に運動する 健康診断や脳ドックを受診し、脳の健康状態を把握する 脳卒中は生活習慣を改善すると、予防できる可能性が高まります。食生活や運動習慣などを見直し、脳卒中の発症リスクを低減しましょう。 【まとめ】脳卒中の前兆が見られたら早期発見・早期治療が大切 脳卒中は早期発見・早期治療が大切です。 ACT FASTでセルフチェックを行い、脳卒中の前兆や初期症状に気づければ、早期治療ができ症状の進行を抑えられます。脳卒中を早期発見できるように、定期的に健康診断や脳ドックを受けて脳の健康状態を把握しましょう。 脳卒中になってしまった場合は、後遺症からの回復やリハビリ効果を高める方法として、再生医療が注目されています。再発を抑える効果にも期待できるので、脳卒中を発症した際は、ぜひ再生医療をご検討ください。その際は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。
2022.01.22 -
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脳卒中の急性期とは、発症直後から1カ月程度までの期間をいいます。脳卒中の急性期にリハビリを行うと、合併症予防や機能の回復が期待できます。 本記事では、脳卒中の急性期症状や、急性期リハビリのポイントについて詳しく解説します。 この記事を読むとわかること 脳卒中の急性期について 脳卒中の急性期リハビリのポイント 脳卒中の発症後すぐに治療を開始できるよう、急性期リハビリテーションの効果やポイントを確認しましょう。 脳卒中の急性期とは? 脳卒中の急性期とは、発症直後から状態が安定していない1ヶ月程度程度の期間です。脳卒中の急性期や回復期は明確な基準がないため、以下のポイントを押さえ、リハビリを始めることが必要です。 脳卒中のポイント 全身状態が安定するまでは急性期 発症後1~2カ月後になれば回復期に入る 脳卒中のリハビリテーションの目的は、合併症予防や廃用症候群予防です。廃用症候群は、病気やけがなどで安静に過ごすことで活動力が低下し、身体の機能が衰えてしまう状態をいいます。 早期回復のためには、運動量を可能な限り確保したり、適切な運動課題を実施したりすることが重要です。脳卒中の発症時期に合わせたリハビリテーションが実施できるように、各時期の特徴を確認しましょう。 全身状態が安定するまでは急性期 脳卒中の急性期とは、全身状態が安定するまでの発症直後から1ヶ月程度の期間のことです。 急性期は脳の血管以外にも、血液の循環状態や意識レベルなどさまざまな状態が変化しやすく、突然症状が出現する場合があるため注意が必要です。 症状の出現に気づき、治療を開始するまでの時間が短いほど、症状の重症化を防げる可能性が高まります。 発症後1~2カ月後になれば回復期に入る 脳卒中の発症後、1~2カ月が経つと回復期に入ります。回復期は、急性期を脱し状態が安定している期間です。 状態が安定している回復期は、社会生活への復帰を目指して、日常生活動作(ADL)を中心としたリハビリテーションを行います。発症から6カ月以降は、生活期(維持期)と呼ばれ、自宅や施設での生活のなかでリハビリテーションを継続していきます。 脳卒中の急性期に行うリハビリのポイント 脳卒中の急性期には、以下のポイントを意識してリハビリを行います。 まず脳卒中の急性期では、脳の血管だけでなく循環状態や意識レベルなど、全身のさまざまな状態が変化しやすいため「全身状態の管理」が重要となります。 しかし、急性期は脳卒中の症状だけでなく、二次的合併症の出現にも注意をしなくてはいけません。 過度の安静により長期間ベットに寝ている状態が続くと、筋力低下や床ずれなどといった廃用症候群を発症する恐れもあります。 全身状態を管理した上で、早期からベッドを離れて、食事や洗面、トイレ、歩行などの日常生活動作(ADL)のリハビリから始めることが大切です。 脳卒中の急性期に行う早期リハビリの重要性と症状別の離床基準 脳卒中の早期リハビリは、症状の重症化予防や廃用症候群予防のために重要です。 脳卒中にはさまざまな病型があり、離床開始の基準(※)は症状によっても異なります。 ※離床基準は施設によって異なります。 離床とは、ベッド等で生活していた人が、徐々に床(ベッド)から離れて生活機能・範囲を拡大していくことをいいます。 ベッドに寝たきりの状態が続くほど、心肺機能や運動機能、精神状態など、心身ともに機能低下が進んでしまいます。全身状態が落ち着いたら、医師の指示のもと、「早期離床」を目指しましょう。 脳梗塞(ラクナ梗塞) 脳梗塞(ラクナ梗塞)の離床基準は、以下のとおりです。 脳梗塞(ラクナ梗塞)の離床基準 診断日より離床開始を検討 心エコーの評価後、残留心内血栓と心不全徴候がなければ離床開始 進行性麻痺を認める症例は個別で検討 ラクナ梗塞は、脳の深部の細い血管が詰まって起こる脳梗塞で、比較的症状が軽いのが特徴です。脳梗塞の症状が出現しているときは、症状の程度によって離床が可能かを判断する場合もあります。 脳出血 脳出血の離床基準は、以下のとおりです。 脳出血の離床基準 収縮期血圧 140 mmHg以下にコントロール フォローアップ画像検査で血腫の増大、急性水頭症は否定されている 脳出血は、脳血管が破裂し脳内で出血が起こる病気で、血圧変動が大きい特徴があります。急激な血圧の変化に注意しながら離床を行う必要があるため、無理に身体を動かさないようにしましょう。 くも膜下出血 くも膜下出血は、以下の項目を満たしていれば離床を開始できます。 くも膜下出血の離床基準 破裂脳動脈瘤の根治術が行われている 症候性脳血管攣縮がない 急性水頭症が無い くも膜下出血は、くも膜下腔に出血が広がり、激しい頭痛や嘔気が出現する疾患です。脳動脈にできたこぶ(脳動脈瘤)が破裂することで発症する病気で、血圧変動が大きいため注意が必要です。 症候性脳血管攣縮は、くも膜下出血後に脳血管が過剰に収縮し、脳血管への栄養が途絶えることで発生する脳梗塞様症状です。離床時に症候性脳血管攣縮があると、症状が悪化しさらに合併症を発症する恐れがあります。 急性期のリハビリテーションの重要性 急性期のリハビリテーションは、早期回復や合併症予防のために重要です。 臥床状態(ベッドや床で安静にしている状態)が続くと、廃用症候群のリスクも高まるため注意しましょう。 しかし、急性期は全身状態が変化しやすいため、無理なリハビリをするのは禁物です。 全身状態を管理し、無理のない範囲でリハビリをしましょう。 「脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)※」では、急性期のリハビリテーションはバイタル徴候(血圧や体温など)に留意しつつ、脳卒中発症後なるべく早期から積極的に行うことがすすめられています。 ※参照:脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)|日大医誌 82 (6):325ー332 (2023) 急性期リハビリテーションの主な内容は、以下のとおりです。 ベッド上で座る 自分で手足を動かす 関節可動域を維持するために関節を少しずつ広げる リハビリテーションの専門家は、症状や身体の状態をチェックし、適切なプログラムを提案してくれます。脳卒中の早期回復や、社会生活への復帰を目指して、急性期リハビリテーションに取り組みましょう。 【まとめ】脳卒中のリハビリは急性期が重要!再生医療も有効 脳卒中のリハビリは、急性期から始めることが重要です。脳卒中の急性期である発症後から1カ月程度の機関は、状態の急変に注意しながらリハビリを行うことで、早期回復が期待できます。 脳卒中に有効な治療法の1つは、再生医療です。 急性期を脱したあとはリハビリと再生医療を併用すると、リハビリ効果を高められます。脳卒中の症状についてお悩みの際は、当院までお気軽にお問い合わせください。
2022.01.22 -
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脳梗塞を発症すると後遺症が残る場合があります。脳梗塞の後遺症は日常生活にも影響を与える可能性のある恐ろしいものです。 そんな後遺症ですが、リハビリをすることで後遺症を克服し、発症する前と変わらない生活が送れるようになる可能性もあります。 本記事では脳梗塞の主な後遺症と期間によるリハビリの違いについて解説します。 この記事を読むとわかること 脳梗塞による主な後遺症 脳梗塞の後遺症を緩和するリハビリ 脳梗塞の後遺症を治療する「再生医療」の選択肢 再生医療による治療についても解説しているので、ぜひ参考にしてください 脳梗塞による主な後遺症 脳梗塞の後遺症は主に以下の症状が挙げられます。 運動麻痺 身体の片側が動かしにくくなる 感覚障害 感覚が過敏になる/鈍くなる 目の障害 視野が狭くなる・二重になる・片目が見えにくくなるなどの症状 脳梗塞発症後、長期間にわたって後遺症が残るケースもある 構音障害 ろれつが回らない、舌がもつれる 嚥下障害 口や喉の筋肉が麻痺し、食べ物や飲み物が肺に入ってしまう 誤嚥性肺炎のリスクが高まる 食べこぼしが増える 涎が垂れる 高次脳機能障害 物忘れが激しくなる記憶障害 注意散漫になり集中できなくなる注意障害 言葉を理解できなくなる失語障害 これらの症状は、発症した脳の部位や障害の程度によって異なります。 心理的な後遺症も多い脳梗塞ですが、リハビリをすれば運動的・心理的後遺症はいずれも良くなることがわかっています。 脳梗塞の後遺症を緩和するリハビリ|期間別に解説 脳梗塞のリハビリは3つの期間で別の方法が採られています。 急性期:発症から約2週間までの期間 回復期:発症から約3~6カ月までの期間 維持期(生活期):自宅・施設に戻りリハビリを行う期間 基本的には回復に向かっていく期間には日常に戻るためのリハビリが始まります。 リハビリで重要なことは、自分から能動的に動くことです。セラピストに身体を動かしてもらうだけだと脳への刺激が少なく回復が期待できません。 3つの期間に分けて、詳しいリハビリの内容をお伝えします。 急性期に行うリハビリ 脳梗塞発症後のリハビリは、発症してから2週間までの期間である急性期が特に重要だと言われています。 急性期のリハビリでは、寝たきりの状態が続き、筋肉や骨が萎縮したり、関節が硬くなったりすることで運動機能が低下する「廃用症候群」の予防が主な目的になります。 急性期には患者の体調が急変する恐れが残っているため、ベッドの上でできるリハビリを行います。 急性期に行うリハビリ 手足の関節を動かす 麻痺のある手足を適切な場所に保つ 寝返りを打つ ただし、寝たきり状態によって体力が落ちたり床ずれや感染症などを発症したりしないないよう、無理のない範囲でベッド周辺での軽い運動をする場合もあります。 寝たきりになると体のさまざまな器官が衰え、深部静脈血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。 回復期に行うリハビリ 急性期を過ぎて病状が安定してくる回復期では、脳梗塞の後遺症の症状に合わせて、日常で必要となる動作ができるようになるためのリハビリをします。 回復期に行うリハビリ 運動機能のリハビリ 嚥下・言語機能のリハビリ 機能障害を防ぐリハビリ 運動機能のリハビリは立つ・座るなどの基本動作や歩く練習、トイレや着替えなどのリハビリが行われます。 また、発声や飲み込む練習などをするのが嚥下・言語機能のリハビリです。この嚥下のリハビリを行うことで、日常と同じ固形の食事を摂れるようになります。 高次脳機能障害を防ぐリハビリでは、繰り返し同じ行動をする訓練や風船、積み木を用いたリハビリが行われます。 維持期に行うリハビリ 急性期、回復期を過ぎて退院した後(維持期)も、身体を動かさないでいると、身体の機能が低下してしまうので、引き続きリハビリをする必要があります。 維持期のリハビリ 物理療法 日常動作 散歩・軽い運動 維持期のリハビリは自宅やリハビリ設備のあるクリニックで行われます。クリニックでの物理療法も効果的です。 退院後何もしないと、一度取り戻した運動機能が低下してしまうので維持期のリハビリが重要です。 脳梗塞の後遺症には「再生医療」という選択肢がある 脳梗塞の後遺症を緩和させる方法には、再生医療もあります。 再生医療は患者自身の細胞や組織を利用するため、通常の手術より拒否反応が起こるリスクが低く安全な治療法です。 脳の血管や組織の修復を促し、脳梗塞の後遺症を緩和する効果が期待できます。 再生医療をご検討の際は当院へお気軽にご相談ください。 脳梗塞後の後遺症やリハビリに関してよくある質問 脳梗塞発症後の後遺症・リハビリに関する質問に答えていきます。 脳梗塞で後遺症が残らない確率はどのくらい? 脳梗塞の後遺症は治るの? 脳梗塞から退院後はどんな生活? 脳梗塞発症後の後遺症が治る確率や退院後の生活について解説していますので、ぜひご覧ください。 脳梗塞で後遺症が残らない確率はどのくらい? 後遺症が残らない確率は約3割※とされています。 (内訳:症状なし:12.2% / 症状はあるが明らかな障害はない:20.04%) ※参照:日本脳卒中データバンク報告書2023 発症後すぐに治療を受けた場合は後遺症が残らず退院できたケースもあります。脳梗塞を発症したときには、少しでも早く医師の治療を受けましょう。 脳梗塞の後遺症は治るの? 脳梗塞の後遺症は完治する可能性もあります。 厚生労働省の調査では脳梗塞発症後の復職率は5~6割※と半分以上の方が復職しています。 ※参照:厚生労働省「脳卒中における留意事項」 多くの患者は生活に支障がない程度まで回復するようです。病院や専門の施設でリハビリを受けることで大きく改善が見込めます。 脳梗塞後のリハビリによる回復効果を高めるためには、再生医療が有効です。再生医療は患者自身の組織・細胞を利用して治療するため、患者の身体への負担が少ない治療法として注目されています。 再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。 脳梗塞から退院後はどんな生活? 退院後の生活は、後遺症に合わせてリハビリを続けながら、生活の工夫をしていくことが大切です。 退院後の生活で気を付けるべきこと 運動をする 血圧に注意する 脱水に注意する もしひとりで運動するのが苦手な方は、専門施設や介護施設でリハビリを受ける選択肢もあります。軽い散歩だけでも毎日続けられるようにしましょう。 【まとめ】脳梗塞の後遺症とリハビリ内容のまとめ 脳梗塞の後遺症を残さないためには、早期の受診と急性期のリハビリが重要です。 脳梗塞の時期や筋力・体力を鑑みて適切なリハビリをしましょう。 また、リハビリとの併用で再生医療を利用すると身体機能の回復効果を高められます。再生医療をご検討の方は、当院へご相談ください。 退院後も注意しなければいけないことが多くありますが、発症以前と同じ生活を送るためにも日々の運動に努めましょう。
2021.08.06 -
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脳梗塞の後遺症・しびれに悩まされている方も多いのではないでしょうか。しびれは生活への影響が大きい後遺症のひとつです。 本記事では、脳梗塞の症状であるしびれを発症するメカニズムや治療方法を解説しています。 この記事を読むとわかること 脳梗塞によってしびれを発症するメカニズム 脳梗塞によるしびれと他の原因によるしびれの見分け方 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法 現在、しびれにお悩みの方はぜひご一読ください。 脳梗塞の症状はリハビリによって改善が見込めます。治療方法についても紹介するので日常生活が不自由なく送れるようになることを目指しましょう。 脳梗塞によってしびれを発症するメカニズムとは 脳梗塞によるしびれは、脳内の感覚を司る領域、特に視床や体性感覚野が損傷を受けることで発生します。 これらの部位が障害されると、感覚情報の伝達や処理が正常に行われなくなり、実際には刺激がないにもかかわらず、ビリビリとしたしびれや異常な感覚が生じます。 一方、しびれがない脳梗塞の場合、損傷が運動機能や他の認知機能を司る領域に限定され、感覚を担当する領域が影響を受けていない可能性があります。 その結果、しびれの症状は現れず、代わりに運動麻痺や言語障害など、他の症状が主に現れることがあります。 つまり、脳梗塞によるしびれの有無は、損傷部位の違いによって決まります。 感覚を司る領域が損傷されるとしびれが生じ、これらの領域が無事であれば、しびれは発生しないと考えられます。 脳梗塞”しびれ”の原因 人が感覚を感じる仕組み 皮膚のセンサー「触覚受容器」を通して感覚を感じ取る 感覚神経を通して脊髄を通り、脳の視床を通過 体性感覚野に到達 情報を受け取り感触を認識 皮膚や感覚神経が正しく働いていても、脳梗塞によって視床や感覚神経、体性感覚野に障害があると情報を正しく伝達できなくなります※。 ※参考:脳梗塞の後遺症“しびれ”の原因とは?生活への影響とその治療方法について医師が解説します。 神経や感覚野に異常があると、何も触っていなくてもしびれの症状が出るのです。 脳梗塞の際に視床・感覚神経・体性感覚野が損傷していなければ、しびれは発症しません。 運動障害 脳梗塞による麻痺で身体を動かさなくなると、動かさなくなった部分の筋肉が硬くなり血管も収縮してしまいます。 血管が収縮すると血液の流れが悪くなり、その状態が続くとしびれが生じるようになります。 感覚障害 脳梗塞によって感覚を司る脳神経が損傷すると、体の感覚に対する情報がうまく処理できなくなります。 それにより、触っている感覚がよくわからない、手足のしびれ、不快な刺激を感じるなどの症状が出るのです。 脳梗塞によるしびれと他の原因によるしびれの見分け方 下記の症状に当てはまる場合は、脳梗塞によるしびれの可能性があります。 片方だけ手足がしびれる 手に力が入らない ろれつが回らない 反応が遅くなる 視野が半分欠けている 脳梗塞によるしびれは、通常、体の片側(顔・腕・足)が同時にしびれることが特徴です。また、言語障害や片側の筋力低下、視野欠損などの症状を伴うことが多く、突然発症します。 一方、他の原因によるしびれは、特定の部位に限られることが多く、徐々に進行する場合や、一定の動作や姿勢で悪化する場合があります。 脳梗塞の後遺症「しびれ」による生活への影響とは 脳梗塞の後遺症でしびれを発症すると、以下のような生活への影響があります。 外出がおっくうになる 人とのコミュニケーションをしなくなる 介助のときに触られるとしびれる 細かい作業ができなくなる 活動量が低下すると気分もふさぎ込みがちになり、鬱にもなりやすくなってしまいます。 また、しびれによる不快感によって慢性的な睡眠不足になってしまうほか、顔面のしびれによる食欲不振、場合によってはリハビリに影響を及ぼすこともあります。 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法は主に以下の5つです。 薬物療法 リハビリテーション 電気刺激による脳外科的療法 温熱療法 再生医療 5つの治療法について詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法では以下の薬を処方されます。 鎮痛剤 抗うつ剤 漢方薬 薬物療法は、症状そのものを抑えることを目的としており、しびれの原因そのものを治す治療法ではありません。薬の効果で一時的に症状が和らぐ場合でも、根本的な改善にはつながらない点に注意が必要です。 リハビリテーション リハビリテーションではマッサージや関節可動域を広げる訓練を行います。 マッサージは筋肉をほぐし、血流を改善して痛みを軽減するのが目的です。また、関節の可動域を広げると、日常生活が楽になります。 電気刺激による脳外科的療法 電気刺激(しびれ同調TEN)は実際に起きているしびれと同じ強さ・周波数の電気刺激を流す治療方法です。 電気刺激を行った後も治療効果が続き、しびれ以外の感覚障害も治療できる特徴があります。後遺症によるしびれに対して効果が期待される新たな期待されています。 温熱療法 手足が冷たくなり血行が悪くなるとしびれが強くなるケースが多いため、ホットパックや温浴を用いた治療法があります。 しびれそのものに対する効果は人によって差があり、温熱療法の効果は一時的です。持続的な改善には他の治療法を併用する必要があります。 再生医療 再生医療は脳梗塞による後遺症の回復や再発予防に大きな可能性を持つ治療法です。 患者自身の細胞や組織を利用した治療法のため、拒否反応が起こる可能性が低く身体への負担が少ないのが利点です。 また、しびれ以外の後遺症の改善も期待できます。 まとめ・脳梗塞の後遺症”しびれ”の原因は?生活への影響とその治療法 しびれを発症すると食事や歩行などの日常生活にも影響を与えます。発症以前のような生活を送ることが困難になり、気分が落ち込むケースも見られます。 電気刺激と再生医療は効果が長く続くため、しびれを治療したい方はどちらを受けるか検討してください。再生医療によってしびれや麻痺による痛みの軽減が期待できます。 再生医療を検討している方は、当院にお問い合わせください。
2021.08.06 -
- 脳梗塞
「ラクナ梗塞にはどのような後遺症がある?」 「ラクナ梗塞の後遺症は治る?」 ラクナ梗塞を発症してしまった方や後遺症にお悩みの方の中には、上記のような疑問やお悩みがある方もいるでしょう。 本記事では、ラクナ梗塞の後遺症やリハビリについて詳しく解説します。 ラクナ梗塞の後遺症を根本的に治療するための「再生医療」についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。 ラクナ梗塞とは? 「ラクナ梗塞」とは、脳の血管が詰まる脳梗塞の病型の一つで脳の深部を流れている細い血管が詰まってしまう病気です。 脳は太い血管から細い血管へと枝分かれしており、深部を流れている穿通枝(せんつうし)と呼ばれる細い血管があります。 穿通枝が詰まると脳の深部に血液が流れなくなり、脳細胞が壊死して「ラクナ梗塞」を発症します。 細い血管が詰まるため、脳細胞が壊死する範囲も15mm以内と小さいことが特徴です。 しかし、脳細胞が壊死する範囲が小さいことで症状が出ない「無症候性脳梗塞」となっている可能性があります。 症状が進行、放置してしまうと他の場所に脳梗塞を発症したり脳出血につながるリスクが高くなるため、定期的に検査を受けることが重要です。 ラクナ梗塞の主な後遺症 ラクナ梗塞を含む脳梗塞は、脳細胞がダメージを負うことで以下のような後遺症が残ることがあります。 それぞれの後遺症について、詳しく解説していきます。 運動麻痺 ラクナ梗塞の代表的な後遺症として、全身または手足が思い通りに動かせなくなる「運動麻痺」があります。 脳の血管が詰まることで神経細胞に血液が行き渡らなくなり、以下の症状がみられます。 ラクナ梗塞発症から14日程度までの急性期では、脱力したような状態になる「弛緩性麻痺(しかんせいまひ)」の症状がみられます。 急性期を過ぎて6ヶ月目までの期間を指す回復期には、徐々に手足が動かせるようになりますが「指の細かい動きができない」など思い通り動かせないことが多いです。 また、体を動かそうとすると手足がこわばって硬くなってしまう「痙性麻痺(けいせいまひ)」の症状もみられます。 体を自由に動かせるようにするには、最も機能回復が見込まれる回復期でのリハビリが重要です。 感覚障害 ラクナ梗塞によって、しびれや感覚異常が生じる「感覚障害」の後遺症が残る場合があります。 手足の感覚を脳に伝える感覚神経の経路にダメージを負うことで、以下のような症状がみられます。 感覚障害の後遺症が残ってしまった場合、全身または身体の一部分に「しびれ」を感じることが多いです。 また、触れたり動かしている感覚が薄くなることや、逆に感覚が過敏になることもあります。 感覚の低下や感覚過敏によって運動が阻害されるため、日常生活に影響が出てしまう後遺症です。 構音障害 ラクナ梗塞の後遺症には、言葉をはっきり発音する能力が失われる「構音障害」があります。 構音障害では、以下のような症状がみられます。 構音障害では、言葉の内容や意味が理解できても「呂律が回らない」など、言葉をはっきり発音するのが困難になります。 「唇」「舌「喉」周辺の麻痺や協調運動ができないことで、言葉を発音できなくなることが多いです。 構音障害と似ている後遺症として「失語症」があります。 失語症は「言葉を理解できない」「頭の中で単語や文章を組み立てられない」などの言葉を理解する能力が失われる高次脳機能障害の一つです。 高次脳機能障害 ラクナ梗塞によって、脳細胞がダメージを負うと「高次脳機能障害」の後遺症が残る場合があります。 高次脳機能障害とは認知障害全般のことを指し、以下のような症状がみられます。 高次脳機能障害には、新しい出来事を覚えられない「記憶障害」や言葉を理解できない「失語症」など、さまざまな認知機能の低下がみられます。 また、集中力の低下や感情のコントロールやできなくなるなど、日常生活に影響を及ぼす障害が多いです。 嚥下障害 ラクナ梗塞の後遺症には、飲み込みに関する機能が低下してしまう「嚥下(えんげ)障害」があります。 嚥下障害の後遺症が残ると、以下のようなリスクが考えられます。 嚥下障害によって、誤嚥性(ごえんせい)肺炎につながるリスクがあります。 誤嚥性肺炎とは、誤嚥によって食べ物や唾液が気道に入り、口の中の細菌が肺に侵入して発症する肺炎のことです。 また、食事や水分が上手く取れずに栄養状態の低下や脱水症状になることで、リハビリの阻害にもつながってしまいます。 ラクナ梗塞の原因 ラクナ梗塞の主な原因は、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりすることで血流が悪くなる「動脈硬化」です。 動脈硬化によって、血流スペースが少なくなることで血液が途絶えてしまいます。 また、以下のような疾患は動脈硬化の危険因子となるため、間接的にラクナ梗塞の原因となります。 上記のような生活習慣病がラクナ梗塞につながることもあるため、生活習慣の改善が重要です。 ラクナ梗塞の後遺症を改善するリハビリ方法 ラクナ梗塞の後遺症を改善するために行うリハビリを紹介します。 それぞれ後遺症の症状に合わせたリハビリ方法について、詳しく解説していきます。 運動機能に関するリハビリ 運動機能に関するリハビリでは「機能障害の程度」「筋力・関節の動かせる範囲」に応じて、以下のリハビリを行います。 主に日常生活に戻るための「自立・歩行訓練」「日常動作訓練」のリハビリを重点的に行います。 言語機能に関するリハビリ 言語機能に関するリハビリでは、言語聴覚士による機能の評価を元に以下のリハビリを行います。 構音障害により正しい発音ができない場合、上記のリハビリを重点的に行いコミュニケーションを取る練習をします。 高次脳機能障害に関するリハビリ 高次脳機能障害に関するリハビリでは、患者さまの障害や程度に応じて以下のリハビリを行います。 「記憶障害」や「遂行機能障害」などのさまざまな認知障害に対して、危険なく日常生活動作を行えるように訓練します。 ラクナ梗塞の再発を防ぐためのポイント ラクナ梗塞の再発を予防するためのポイントを3つ紹介します。 それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。 三大危険因子を予防する ラクナ梗塞の再発を予ぐためにも、以下の三大危険因子を予防しましょう。 いずれも聞いたことがある生活習慣病ですが、ラクナ梗塞の再発を防ぐために治療すべき病気といえます。 ラクナ梗塞の発症・再発原因となる「動脈硬化」につながる可能性があるためです。 細い血管が詰まることで起こるラクナ梗塞は、動脈硬化によって血流が途絶えやすくなる影響を受けやすいです。 動脈硬化の原因となる生活習慣病を予防することで、間接的にラクナ梗塞の再発予防につながります。 生活習慣を改善する 生活習慣の改善もラクナ梗塞の再発を防ぐために重要なポイントです。 以下の要点を押さえて、生活習慣を改善しましょう。 生活習慣病は、さまざまな病気の原因となることが多いです。 身体を守るためにも健康的な生活を目指して生活習慣を改善しましょう。 再生医療による治療 ラクナ梗塞の後遺症や再発を防ぐために、再生医療による幹細胞治療を検討しましょう。 再生医療では、幹細胞のさまざまな細胞へ変化する性質を利用し、損傷した機能を再生することを目的とした治療を行います。 患者さまの細胞を用いるため、アレルギーや拒絶反応などの副作用の心配が少ないのが特徴です。 また、手術や入院が不要な治療方法なので日常生活へ復帰しやすい点も再生医療の強みといえます。 「ラクナ梗塞の後遺症にお悩みの方」「ラクナ梗塞の再発を防ぎたい方」は、ぜひ当院へご相談ください。 【まとめ】ラクナ梗塞の後遺症はさまざま|再生医療による治療を検討しよう 本記事では、ラクナ梗塞の後遺症について解説しました。 ラクナ梗塞の発症後は、以下のようにさまざまな後遺症が残る可能性があります。 症状や程度は個人差がありますが、日常生活に影響する後遺症がほとんどです。 ラクナ梗塞の再発を予防するためにはリハビリだけでなく、生活習慣の改善も意識して行う必要があります。 「後遺症によってリハビリが上手くいかない」「後遺症を治したい」という方は、再生医療による治療を検討してください。 再生医療は、幹細胞のさまざまな細胞へ変化する性質を利用し、損傷した機能を再生することを目的としています。 損傷した脳細胞を再生することで「リハビリの効果を促進」や「後遺症の改善」が期待できます。 再生医療による治療を検討する方は、ぜひ当院へご相談ください。
2020.07.29