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- 変形性股関節症
股関節に異常が!?太ももの付け根が痛いときに考えられる病態 太ももの付け根が痛い場合は、「大腿骨や骨盤の骨自体に何か問題が起きているケース」と、「筋肉に異常が起きているケース」、さらには「何か病気が隠れているケース」があります。 いずれにせよ、放っておくと日常生活に大きな支障をきたすことは変わりないので、早く見極めて専門医に相談することが大切です。そこで今回は、太ももの付け根が痛い場合に考えられる病態と、対処法をご紹介していきます。 ・大腿骨や骨盤の骨自体に何か問題が起きているケース ・筋肉に異常が起きているケース ・何か病気が隠れているケース 太ももの付け根には何が位置しているか? 太ももの付け根には、股関節が位置しています。 骨盤と大腿骨で構成される股関節は、可動域が広く、様々な筋肉や神経、血管が近くを走行しています。股関節の代表的な筋肉でいうと大殿筋や中殿筋などの臀部の筋肉や、ハムストリングスと呼ばれる臀部から太ももの裏側にかけての筋肉があります。 さらには大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前面を覆っている筋肉があり、恥骨から大腿部の内側にかけては内転筋が位置して歩行の安定性にとても大きな役割を担っているのです。神経では太い神経である坐骨神経、大腿部の前側を走行している大腿神経が代表的です。 血管も、大腿動脈や大腿静脈など、血流量の多い血管が走行しています。さらには鼠径部にリンパ節があり、老廃物の代謝などに重要な器官です。 股関節の基本的な動きは? 股関節は球関節であるため、様々な軸で動作を行います。伸展は臀部の筋肉やハムストリングスが中心に筋力を発揮し、屈曲では大腿四頭筋や腹筋、深部にある腸腰筋などが筋力を発揮します。 外転でも臀部の筋肉が主動作筋として働き、内転は内転筋群の役目です。さらには外旋動作もあり、臀部の深層にある梨状筋などが筋力を発揮し、内旋動作では内転筋群が働きます。 太ももの付け根が痛いときに考えられる病態 太ももの付け根が急に痛くなった場合、考えられる病態をご紹介していきます。 筋肉疲労 単なる筋肉疲労で太ももの付け根が痛くなることも考えられます。捻挫や打撲などの怪我ではないですし、もちろん病気でもありません。しかし、臀部や股関節の筋肉が硬い場合や、足首や膝に痛みや不安を抱えている場合など、太ももの付け根にダメージを蓄積する可能性は広く考えられます。 腸腰筋や大腿四頭筋に軽微な外力によるダメージが蓄積した結果、歩行時や立ち上がり時などの動作時に太ももの付け根が痛くなることは十分起こり得るでしょう。この場合は、治療というよりも、安静にして疲労の回復に努めることが第一です。 変形性股関節症 太ももの付け根が痛くなった場合に、年齢などの環境を考慮して考えられるのが、変形性股関節症です。変形性股関節症は臼蓋形成不全などの先天的な変形もリスクを高める一因であり、少しずつ股関節を蝕んでいきます。 具体的には股関節の関節面に位置している関節軟骨が少しずつすり減ってしまい、関節内で炎症と変形を起こしてしまう病態です。交通事故など一度の大きな衝撃によって変形性股関節症になるのではなく、日常生活を送る上での負担の積み重ねが、少しずつ変形性股関節症を作り上げていきます。 負担の蓄積という大きな原因がある以上、年齢と共に発生リスクが上がることは避けられません。保存療法によって股関節に負担をかけない動作を獲得していく他、あまりにも日常生活に支障が出るようであれば、人工関節などの手術が考えられます。 ▼こちらも併せてご覧ください 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由 変形性膝関節症はサポーターをしたほうが良い!その理由と注意点 関節リウマチ 関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、簡単に言えば自分の関節を自分の免疫力で攻撃してしまう病態です。本来であれば外から侵入してきた病原菌やウイルスに対して免疫力を発揮するはずの機構が、何らかのエラーで自らの健康な細胞を攻撃してしまう原因不明の病気でもあります。 通常は四肢の末端部分の関節から少しずつ炎症や変形などの症状が出始め、全身の関節どこでも痛みが起こり得ます。その中で股関節の痛みが、太ももの付け根の痛みとして感じられることもあるのです。 大腿骨近位部骨折 大腿骨近位部骨折は、高齢者に多い骨折です。転倒などによって外力を受け、大腿骨頭に向かう大腿骨頸部で骨折してしまうこともあります。大腿骨頸部で骨折があれば、荷重をすると激痛になるので、痛みの発生機序と動作制限によって鑑別できます。 大腿骨頸部骨折の中でも、関節内と関節外で重症度が異なり、関節内に骨折線がかかっている場合は治療もより長期になります。場合によっては髄内釘などの手術が必要です。 年齢によっては、大腿骨近位部骨折から寝たきりになってしまうこともあるので、特に骨粗鬆症がある方は注意しなければならない骨折です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭壊死症になると、壊死によって変形した大腿骨頭に重心がかかると、太ももの付け根に痛みを感じることになります。大腿骨頭壊死症の原因は未だに不明であることが多く、ほとんどが特発性です。 大腿骨頭壊死症のリスクを高める要因としては、アルコール中毒などによる、アルコールの多飲歴が挙げられます。他にも、治療などによるステロイドの使用歴が多いと、大腿骨頭壊死症のリスクを高めると言われています。 大腿骨頭を栄養している大腿骨頭動脈が何らかの原因で遮断されることによって起こる病態です。大腿骨頭壊死症が発生した初期の段階では、保存療法によって荷重のかけかたを工夫することによって様子を見ることもできます。 しかし、常に体重がかかる関節であるため変形も進みやすく、人工関節置換術の適応になることも多いです。 腰椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱の間から派出する神経が、大腿部を通って足の先まで走行しています。その過程で太ももの付け根を支配している神経が絞扼や圧迫を受ければ、そこで痛みを発生することがあります。 椎間板ヘルニアとは脊柱の中を通っている脊髄や神経根が、変形して飛び出した椎間板によって圧迫されている病態です。したがって、圧迫されている高位によって太ももの付け根で痛みが出ることもあれば、下腿部で痛みが出ることもあり、治療も比較的長期間になることが多いです。 ヘルニアによって神経を圧迫している痛みに加え、筋緊張が強くなることによって、走行している神経を絞扼してしまうケースもあります。腰椎椎間板ヘルニアになってしまう原因は、長期間負担が積み重なったということです。 重い物を持つような仕事であったり、長時間の運転であったり、腰に負担を溜めやすい生活習慣がある方は腰椎椎間板ヘルニアを発症しやすいと言えます。ブロック注射を含む保存療法によって、筋緊張の緩和と股関節や腰椎の柔軟性を取り戻すことで症状の緩和を目指します。 それでも日常生活に大きな支障をきたしている場合は、手術も選択肢に入ってきます。しかし、手術したからといって腰椎椎間板ヘルニアの痛みが100%消えるという保証はなく、別の高位で再発するケースもあります。 結局のところ、腰椎椎間板ヘルニアになってしまう体の使い方を正していかなければ、根本的な解決には至らないのです。 脊柱管狭窄症 脊柱のマルアライメントや、脊柱管内の変形によって神経や血管を圧迫してしまう病態です。腰に慢性的に負担がかかるということが、脊柱管狭窄症の発生リスクを高めます。脊柱管狭窄症になってしまうと、太ももの付け根や足の先で神経的な痛みを発生させることがあります。 最も特徴的な症状は間欠性跛行で、一定の時間歩くと痛みやしびれで下肢に力が入りにくくなり、一定の時間休むことで再び回復するという症状が出てきます。安静時でも腰や下肢が痛いケースもあり、坐骨神経痛を伴うことも多いです。 脊柱管を狭窄している原因が姿勢不良などのマルアライメントにあれば、姿勢の改善や骨盤矯正によって症状を改善させることも可能です。場合によっては手術という選択肢もあります。 鼠径ヘルニア 別名脱腸とも呼ばれ、主に小腸が鼠径部から皮下に飛び出してしまう病態のことです。鼠径部に筋膜が脆弱な部分があり、腹圧が高まることでそこから内臓が出てきてしまうのです。 原因はほとんどが先天的な要因であり、年齢と共に筋力が落ちるため鼠径ヘルニアの発生リスクが高まります。飛び出してきた小腸が嵌頓してしまい、徒手整復でも元に戻らなくなってしまった場合は、早急に手術が必要です。 嵌頓している組織が壊死を起こしてしまい、重篤な状態になりかねないからです。鼠径ヘルニアが発生すると、まさに太ももの付け根で痛みが出て、体表からでも膨らみを確認できます。 リンパ節炎 鼠径部にはリンパ節が位置していて、ウイルス感染などで炎症を起こしてしまうと、太ももの付け根で痛みが出ます。感染以外でも、全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患でも、リンパ節の腫脹を認めることがあります。それが鼠径部のリンパ節で起これば、太ももの付け根が痛むわけです。 太ももの付け根が痛くなったらどうすればいい? 太ももの付け根が痛くなったときの有効な対処法をご紹介していきます。 安静にする 荷重をなるべくしないように気を付けて、安静にすることで痛みが治まるのであれば、筋肉疲労や保存療法で十分改善できる症状である可能性が高いです。股関節は常に荷重されている関節なので、負担も溜まりやすいです。 腰や股関節のストレッチをする 腰から来ている神経を圧迫していることによって、太ももの付け根で痛みが出ているのであれば、ストレッチをすることで痛みが緩和されることがあります。腰の屈曲や伸展のストレッチをしてみて、痛みが憎悪しないか確認してみてください。 牽引によってストレッチ効果を出すのも有効なので、鉄棒などにつかまってぶら下がるだけでも痛みが緩和されることがあります。股関節は特に臀部のストレッチが有効で、坐骨神経痛や梨状筋症候群などの症状で太ももの付け根が痛い場合は大殿筋や中殿筋といった臀部の緊張が取れるだけでもかなり変化します。 温める お風呂などで温めることによって、痛みが軽減されることもあります。特に股関節の前側には太い血管が通っているので、そこの血流が悪くなるだけでもしびれや痛みが増しやすくなります。 下肢の疲労も抜けにくくなりますし、冷えやむくみも出やすくなるので、温めることで痛みが憎悪する可能性を排除していくこともできます。 医療機関に相談する 簡単なセルフケアでも太ももの付け根の痛みが変わらない場合は、すぐに医療機関を受診することをお勧めします。精査をしておきたいなら整形外科で、壊死など器質的な異常でない場合は接骨院や整骨院でも治療が可能です。 それぞれの治療の大きな違いとしては、整形外科は注射や服用薬など薬物療法、そして手術療法の選択肢があることです。接骨院や整骨院は、筋肉の緊張や背骨のゆがみなど体の使い方を改善していく治療法になります。 症状によって使い分け、通院しやすい方を選ぶと良いでしょう。 痛みを放っておくと歩けなくなることも 太ももの付け根の痛みの裏には、大腿骨頭壊死など生活レベルを大きく左右してしまうような病気も隠れています。最初は些細な痛みでも、荷重関節なので悪化の進行は早いと心得ておきましょう。放っておくと歩けなくなることもあるので、早めに対処するに越した お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 足の付け根の痛みに関連する記事はこちら 足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 当院の治療についての考え方や 再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは ご相談から治療までの流れ 監修:リペアセルクリニック大阪院
2019.04.17 -
- 変形性股関節症
足の付け根が痛くなる原因には、股関節や骨盤、脚自体に何か問題が起きているケースと、それ以外の病気などによるケースと様々です。どちらも、転倒などでぶつけたり急な動作によって捻ったりして足の付け根が痛くなるということよりも、思い当たる原因がわからないことの方が多いです。今回は、足の付け根が痛くなる原因と、どのような治療方法があるのかご紹介していきます。 足の付け根の痛みは股関節が原因であることが多い 足の付け根にあたる部分で最も問題が起きやすいのは、股関節です。股関節で炎症が起きていたり、何か病気があったりすれば痛みが出ることがあります。鼠径部の前側や、大腿骨の外側で痛みが起きるということもよくあることです。股関節の動きは意外と複雑で、屈曲や伸展などの単純な前後動作だけでなく、外転や内転、さらには外旋や内旋といった捻り動作も加わります。稼働する筋肉は、大殿筋や中殿筋といった臀部の大きな筋肉、大腿四頭筋やハムストリングスなど大腿部に付着する筋肉などが主です。股関節を動かす筋肉でも特徴的なのが、縫工筋や腸腰筋といった筋肉で、縫工筋は股関節の屈曲、外転、外旋という大部分の動作に関わります。腸腰筋は、股関節を直角以上に屈曲するときに稼働する筋肉なので、直角以上まで股関節を曲げた時に痛みが出る場合は腸腰筋の異常も疑われます。 足の付け根には血管と神経が通る 足の付け根の前側、いわゆる鼠径部では、太い血管と神経が走行しています。体表から触診する場合の指標となる大腿三角という部分に、大腿動脈、大腿静脈、大腿神経といういずれも太い組織が位置しています。大腿動脈の拍動は比較的強く、体表からでも拍動を触れることが出来ます。鼠径部を走行する大腿部の筋肉が緊張したり、股関節の動作で不具合を起こしたりして血管や神経を圧迫すれば、それで痛みが出ることもあります。さらに、大腿動脈や大腿静脈は下肢全体の血流を左右するので、そこの血流悪化が下肢全体のむくみや冷えにも大きく影響しています。 妊娠で足の付け根が痛くなることも 妊娠をしてある程度の週数が経過してくると、足の付け根で痛みが出るようになることがあります。胎児が大きくなってきて体も重くなり、単純に負荷が大きくなるから痛みが出るということもあるでしょう。また、出産の前後の時期になってくると、ホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯などの軟部組織が緩くなってきます。その結果体の使い方が少し変わり、足の付け根や恥骨部分で痛みを発生させることがあるのです。さらに、お腹が大きくなってくるとどうしても骨盤が後ろに傾くような傾向になり、座位でも立位でも骨盤の前後のゆがみが目立つようにもなってきます。骨盤が後傾すると、股関節前側の筋肉も硬くなり、立ち上がったり歩いたりするたびに足の付け根で痛みを発生させることにも繋がります。これは出産後も同様で、妊娠中に身についた骨盤の傾きが残ることで、歩く時や動作の開始時に痛みを発生させるという不調も起こります。 足の付け根が痛くなる原因とは? 足の付け根が痛くなる原因として考えられることは何があるでしょうか。病気や整形外科的な疾患、単なる筋肉疲労など様々な可能性を探っていきます。 こちらも併せてご参照ください 筋肉への負担蓄積 捻挫や打撲、炎症とは違い単に股関節付近や腰の筋肉にダメージが蓄積してしまっていることで、足の付け根が痛くなることもあります。日常生活の中で股関節周辺に負担を溜め続け、ある日突然足の付け根となって現れてくることが多いので、自分の中で明確な原因が把握できないことが多いです。負担蓄積の原因としては、姿勢が悪く座位でも立位でも常に腰や骨盤周辺に過剰な負担がかかっていることが大きな要因です。特に骨盤の後傾や、ストレートネック、猫背といった身体の前後のバランスでゆがみが出ていると足の付け根でも痛みを発生させやすいです。骨盤の歪みが足の付け根の痛みに繋がることは想像しやすいと思いますが、上半身のゆがみが関連していることは意外でしょうか。例えば、猫背の場合、横から身体を見た時に常に頭の位置が少し前に出ている形になります。頭の主さは4kg以上あるので、重心が前に引っ張られないように骨盤を後ろに傾ける形でバランスを取ります。そうして出た全身のゆがみが足の付け根の痛みに繋がるのです。 治療方法 筋肉への負担を減らすことが最も有効な治療方法です。腰や大腿部の筋肉をマッサージ、ストレッチなどでほぐすことも大切です。しかし、多くの場合は体の使い方や姿勢など、マッサージだけでは改善できない原因が隠れています。筋肉をほぐすということだけでなく、背骨の歪みや骨盤の歪みを矯正して根本的な負担の原因を取り除くことが、最も大切な治療方法になります。精査しても特に病気などが無いのに足の付け根で痛みがある場合、股関節周辺だけを一生懸命治療しても良くなりません。視野を広げて改善方法を探っていくことが必要ですね。 変形性股関節症 股関節にある関節軟骨がすり減ってしまい、関節内で炎症を起こしてしまう病態です。歩行時など、動作をするときに足の付け根で痛みが出ます。年齢と共に荷重や筋緊張、姿勢や体の使い方などの影響で股関節の負担を溜めていき、少しずつ股関節の変形を起こしてしまいます。一度軟骨がすり減ってしまうと基本的には元には戻らず、なるべく痛みが出ないような体の使い方をリハビリで習得するか、股関節の人工関節置換術を行うことになります。生まれつきの形態である、臼蓋形成不全などがあると、変形性股関節症のリスクも高まります。 治療方法 根本的な治療方法となると、やはり人工関節置換術になります。しかし、人工物による関節なので、永久的に問題が起きないという保証はありません。現在では、だいたい20年が耐用年数と言われており、若い年代で股関節の人工関節置換術を行うことは稀です。手術を行うとしても、60代以降になることが多いです。それ以前の年代における変形性股関節症では、保存療法で痛みの出ない動作を獲得することを目指します。股関節を保護するために、臀部や大腿部の筋力強化が主です。エアロバイクを使うなど、なるべく股関節に負担をかけない形で筋力を強化していきます。 鼠径ヘルニア 内臓が鼠径部に飛び出してきてしまう病態のことです。鼠径部の上からふくらみを確認することが出来、痛みを伴うことがあります。鼠経ヘルニアで飛び出してしまう臓器は、ほとんどが小腸です。そのため、鼠経ヘルニアではなく脱腸という名前で呼ばれることも多いのが特徴です。鼠経ヘルニアになってしまう原因は、生まれつきの形態異常によってリスクが高いことがほとんどです。また、筋膜に損傷がある場合などは、鼠経ヘルニアを起こしやすいです。加齢と共に組織が脆弱化して鼠経ヘルニアを発症するケースもあります。喘息などで慢性的に咳が多い方など、腹圧が急激に強くなる機会が多い方は、鼠経ヘルニアを何度も繰り返してしまいます。特に立位の状態で鼠径部のふくらみや痛みを感じることが多く、仰向けなど横になると飛び出していた内臓が元に戻ることもあります。 治療方法 鼠経ヘルニアで飛び出してしまった臓器が、挟み込まれて元に戻らなくなってしまうこともあります。そうなれば、一刻も早く手術をする必要があります。挟み込まれて圧迫されることで血流が止まり、壊死してしまうことがあるからです。鼠経ヘルニアが根本から自然治癒することはほぼ無く、徒手的にヘルニアを戻すことで対応することもありますが、再発予防には手術が最も有効な手段です。子供で起こることもあり、鼠径部のふくらみや急に泣き出すなどの症状が繰り返されます。 腰部脊柱管狭窄症 脊柱の形態的な異常によって、脊髄や神経根を圧迫してしまう病態です。脊柱のゆがみや腫瘍など、何らかの原因で脊柱管が狭くなることによって起こります。神経と血管を圧迫するので、歩行を継続することが困難にもなります。神経や血管を圧迫することで症状が出るので、腰部を屈曲させるなどして脊柱の形を変えるだけで症状が緩解することも特徴です。腰部から派出する神経は下肢を支配しているので、脊柱管狭窄症によって足の付け根で痛みが出ることは十分あります。足の付け根から足趾まで、痛みや痺れをきたし、場合によっては両脚にでることもあります。最も特徴的な症状は間欠性跛行で、ある一定の距離を歩くと痛みやしびれが強くなり、少し休むと再び歩けるようになる症状です。 治療方法 手術の場合は、脊柱管狭窄症を起こしている部分を切開し、神経や血管の通り道を確保することになります。ただ、基本的には保存療法で行うことが一般的でもあります。ブロック注射や湿布、コルセットをつけて痛みの軽減や症状の予防に努めます。普段の体の使い方によって少しずつ脊柱管狭窄症の症状を悪化させていくという背景もあるので、背骨の歪みや骨盤の歪みを正して足の運び方を改善することも大切です。圧迫が出ない体の使い方が獲得できれば、症状がほとんど出ないように生活することも可能なのです。 関節リウマチ リウマチは自己免疫疾患の一つで、通常の免疫機能が異常な働きをすることによって症状が出ます。なぜ発症するのか原因は不明で、以前はほとんど治らないと言われてきました。しかし現代では、リウマチ症状がほとんど出ないように治療を行っていくことも可能になってきています。通常は病原菌やウイルスに対して攻撃を行う免疫細胞が、異常によって体の細胞を攻撃することによってリウマチ症状は起こります。全身のどの関節でも痛みや炎症が起こり得るので、足の付け根で痛みを発生させることもあります。ほとんどの場合は手先の関節で症状が出始めることが最初なので、リウマチによって足の付け根で痛みが出ている場合は、おそらく他の部位でも痛みを感じているはずです。 治療方法 基本は薬物療法です。抗リウマチ薬やステロイドを使用し、経過を観察します。病状が進むと関節破壊が起こってくるので、可動域を確保するために運動療法などでリハビリを行うことも大切です。それでも関節破壊が進んで変形が強くなってしまった場合は、人工関節など手術も視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死症 大腿骨を栄養する血管が障害され、大腿骨が壊死してしまう病態です。原因が特定されないことが多く、突然症状を感じることがほとんどです。誘因の一つと言われているのがアルコール中毒の方や、ステロイドの多用です。大腿骨頭が壊死して変形してしまうので、荷重をしなくても動作で足の付け根の痛みを発生させます。 治療方法 保存療法で、痛みのない動作が再現できれば手術をしないケースもあります。しかし、日常生活を送る中で変形が進行していき、生活レベルが下がるようなら手術をする必要があります。人工関節を入れることも視野に入ってくるでしょう。 足の付け根の痛みには早く対処すべき ご紹介してきたように、足の付け根の痛みは単なる筋肉疲労だけでなく、手術が必要な症例がいくつもあります。痛みが長く続くようなら、できるだけ早く専門医に相談してください。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 関連記事 太ももの痛みに関連する記事はこちら 太ももの付け根が痛いときは股関節の異常?考えられる病態とは 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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2019.04.14