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低周波治療器は、電気刺激を利用して筋肉の痛みをやわらげる医療機器のことです。パッドを貼って微弱な電流を体に流して治療を行います。 肘の外側に痛みが生じるテニス肘にも低周波治療は有効で、症状の緩和に役立つ可能性が高いです。 そこで本記事では、テニス肘に低周波治療器を使う方法や併用がおすすめの治療法について詳しく解説します。低周波治療器を有効に活用して、テニス肘の痛みをやわらげてください。 テニス肘における低周波治療器の貼り方 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、上腕骨の遠位部に位置する外側上顆で炎症が起きて発症します。 低周波治療器は、痛みを感じている部分に貼るのが重要なので、テニス肘の症状を緩和したい場合は肘の外側に貼ります。 炎症が強い急性期には適していない場合が多く、症状が落ち着いてきた亜急性期から慢性期に使用しましょう。 治療前に必ず医師の診断を受け、適切な治療法と時期を判断してもらうのが重要です。電気刺激を行うと以下の効果が得られます。 ・血流が良くなり、疲労物質の排出が促進される ・筋肉の緊張が緩和される ・外側上顆や内側上顆への負担が軽減される テニス肘の治療方法【低周波治療器以外】 テニス肘の治療法として、以下の方法も効果的です。自分の状態に合わせて取り入れてください。 ・ストレッチを行う ・冷やす・温める ・病院で温熱治療を受ける ・運動療法を行う ・患部をマッサージする ・整体に通う ・ステロイド注射を打つ ・手術を受ける ・テニスエルボーバンドを装着する ストレッチを行う テニス肘は前腕の筋肉が緊張したり過度な負担がかかったりして発生します。筋肉が硬くなっているため、前腕の筋肉を伸ばすストレッチが有効です。 テニス肘の場合はとくに手首の伸筋群(前腕)を入念にストレッチしましょう。肘を伸ばした状態で、手首を掌側(手のひら)に反対の手で手首を曲げると手首の伸筋群のストレッチが出来ます。 逆に、手首を伸展方向に他動的に曲げると前腕の屈筋群のストレッチが出来ます。どちらのストレッチも、肘の関節が伸びている状態で行ってください。 前腕の屈筋群も伸筋群も、肘関節と手関節をまたぐ筋肉なので、肘が伸びていないとストレッチ効果が半減します。 冷やす・温める テニス肘の症状に対するケアは、状態によって異なります。 自宅で患部を温める場合は以下のケア方法がおすすめです。 ・お風呂でゆっくり温まる ・電子レンジで温めた蒸しタオルを患部に当てる ・カイロを活用する また、慢性期では患部を冷やさないよう注意が必要です。長袖を着用したり、上腕から前腕まで覆うサポーターを使用したりするのも効果的です。 いずれの場合も、症状の程度や経過によって適切なケア方法が異なるため、必ず医師の診断を受け、指示に従いましょう。自己判断でケアを行うのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、症状に合わせた適切な対応を心がけてください。 病院で温熱治療を受ける 自宅で患部を温めるだけでなく、整形外科や接骨院などで受けられる温熱療法も効果的です。 筋肉を温めるという点ではまったく同じですが、温熱治療器を使えば芯の部分からしっかり温められます。赤外線治療器なら、体表面よりも深部を温められるため、効率的です。 さらに、ホットパックという道具を使うと温度を一定に保てるので、自宅で行うよりもよく温まります。 運動療法を行う 肘関節の屈曲や伸展、手関節の屈曲や伸展、手指の屈曲や伸展といった動作をスムーズに行うために、運動療法を受けるのも効果的です。運動療法は患部外を含めた練習動作も行います。 スポーツにおける体の動かし方が間違っているとすぐに再発してしまいます。また、テニス肘やゴルフ肘の痛みが軽減してからは、筋力強化も重要です。 前腕の屈筋群と伸筋群、肘の屈曲動作に関わる筋肉を強化すると、テニス肘やゴルフ肘の再発を予防できます。最初はあまり大きな負荷でやらずに、500mlのペットボトルを上げ下げする程度の運動がおすすめです。もし、痛みや違和感を感じた場合は、直ちに運動を中止し、医療専門家に相談しましょう。 患部をマッサージする 前腕の屈筋群や伸筋群をマッサージしたり、上腕・肩甲骨周辺のマッサージをしたりするのも重要です。マッサージによって筋肉の緊張を取り除き、外側上顆にかかる牽引力を軽減できます。 肩甲骨周りの動きが制限されると肩から指先にかけて負担がかかるため、上腕や肩甲骨周辺までマッサージを行います。 マッサージをあまりにも強い力でやりすぎると、かえって自分の体を守ろうとして筋肉が硬くなる可能性もあるため、マッサージが強ければ強いほど良いわけではありません。 整体に通う テニス肘の治癒を早くするために、全身のバランスも整えましょう。背骨の歪みによって、前腕に大きな負担をかける場合があります。 テニス肘が発症する理由は、単に前腕の屈筋群や伸筋群の使い過ぎだけでなく、体のバランスの崩れも考えられます。 たとえば猫背やストレートネックなど、肩甲骨の動きが悪くなるような姿勢だと、上肢全体の動きが悪くなります。通常よりも前腕の屈筋群や伸筋群に大きな負担をかけるので、テニス肘のリスクが高まるのです。 肘や前腕の治療を集中的に行っても痛みがなかなか軽減しない場合は、医師に相談した上で、姿勢や体全体のバランス評価を受けることを検討しましょう。医師の指示のもと、理学療法士や整体師など他の専門家の助言を得ると、より包括的なアプローチが可能です。 早期治癒と再発予防を目指す場合は、医師の診断と指示に基づいて、適切なリハビリテーションプログラムや姿勢改善エクササイズを取り入れるのが効果的です。 ステロイド注射を打つ テニス肘は、上腕骨外側上顆炎とも言われており、肘の外側に痛みが出る病気です。痛みが強い場合はステロイド注射をする場合もあります。 ステロイド注射は頻繁に打つと肘の腱が弱まるため、打てる回数が決まっています。打てる回数は年に3~4回程度で、1回目の注射から3カ月間の期間を空けてください。 ステロイド注射は即効性があり、数日から数週間効果が持続します。湿布などで痛みを取り除けず日常生活に支障を来す場合は、医師に相談してみましょう。 手術を受ける テニス肘は、症状が重症化すると手術が必要になる可能性があります。テニス肘は進行すると腕を曲げきれない、伸ばしきれないなどの症状が出るケースがあります。 症状がでるとスポーツはもちろん、日常生活にも大きな支障をきたしかねません。そのため、症状が進行した患者さんには、手術による治療が勧められています。 テニス肘になりやすい人の特徴 テニス肘になりやすい人には以下の特徴があります。テニス肘を再発予防するためにも、ぜひ押さえておきましょう。 ・テニス初心者 ・肘以外に痛みを抱えている人 ・姿勢が悪い人 テニス初心者 初心者の場合、ラケットのスイング動作を上肢の力に頼って行う人が多いです。 長年経験している方や、スポーツが上手い方のは、体幹の力を上手く使って体全体を回転させて打ちにいけますが、出来ないうちは肘や手首に負担がかかります。 結果的に外側上顆に付着する筋肉へと負担が集中するため、痛みを発症しやすいです。 肘以外に痛みを抱えている人 肩や腰など、前腕以外に痛みを抱えている人はテニス肘のリスクを高めてしまいます。テニスは回転動作を行うスポーツのため、腰に不安があると体の回転が甘くなります。 その分パワーを発揮するには上肢の筋力を発達させなければなりません。その結果前腕に力が入り、テニス肘を発症しやすくなってしまうのです。 日常生活の中でも、肩に痛みがあれば腕が上がりにくくなります。例えば腕を上げて行わなければならない洗濯物を干す動作をすれば、前腕に余計な負担をかけてしまうでしょう。 なお肘だけを治療しても改善に時間がかかります。肘以外の痛みの治療も並行して行いましょう。 姿勢が悪い人 背骨のバランスが悪い人は、肩を中心とした上肢の筋肉に慢性的な負担がかかり続けます。猫背などのように、横から見たときに頭の位置が体幹からかなり前に出ている人は、首から背中にかけて日常的に負担をかけ続けています。 その結果肩甲骨の動きが悪くなって肩の可動域が狭まり、肘から先にも疲労を溜めやすくなるのです。さらに姿勢が悪い人は背骨のしなやかさが失われている場合が多く、仰向けや横向きになったときに体が休まりません。 すると睡眠時の回復力が低下してしまうので、疲れが抜けにくく筋肉の疲労を蓄積してしまいます。疲労からテニス肘の症状につながるケースがあるので、姿勢の改善はとても重要です。 テニス肘と低周波治療器に関するよくある質問 テニス肘と低周波治療器に関するよくある質問にお答えしていきます。以下を参考にして、効果的に低周波治療器を使用しましょう。 ・低周波治療器は使いすぎるとどうなりますか? ・低周波治療器の効果的な使い方を教えてください ・テニス肘の安静期間はどのくらいですか? 低周波治療器は使いすぎるとどうなりますか? 長時間の治療や出力を強くしすぎた場合は、過剰な刺激になってしまい筋肉が疲労します。(文献1)心地良いと感じる強さで1カ所あたり3〜15分程度行いましょう。 症状に合わせて刺激時間を30分程度に長くしても問題ありませんが、人によっては疲れを感じやすいため注意が必要です。 低周波治療器の効果的な使い方を教えてください 低周波治療器を効果的に使うためには、正しいパッドの貼り方と電気刺激の強度を知ることが重要です。 パッドは痛みのある部位に貼りましょう。痛みのある部位に合わせて上下または左右で挟むように貼るとより効果的です。強さは強すぎず心地良いと感じる強さで実施してください。(文献2) テニス肘の安静期間はどのくらいですか? テニス肘は原因となった動作を行うと痛みが出るので、安静にする必要があります。 軽い場合は数週間程度で治りますが、症状によっては2〜3カ月ほど安静期間が必要です。重症になると、さらなる安静期間をすごさなければなりません。 テニス肘の可能性がある人は、早期に医療機関を受診して医師の診断を受けましょう。 低周波治療器を効果的に貼ってテニス肘の痛みを改善しよう テニス肘の治療法として有効な低周波治療器のパッドの貼り方や、それ以外に併用できるおすすめの治療法を解説しました。発症時期に合わせて適切に低周波治療器を使用すると、テニス肘の痛みの改善が期待できます。 テニス肘になりやすい特徴に当てはまっている方は、その他の原因の治療も必要です。自分ひとりで解決しようとせず、症状が重症化する前に早期治癒と再発予防に努めましょう。 手術を避けたい場合は、再生医療も選択肢の1つです。当院では来院前の無料相談をメールで受け付けておりますので、まずは一度ご連絡ください。 参考文献 文献1^ Yoon YS, Ko MH, Cho IY, Kim CS, Bajgai J, Jang HY, Kim KE, Lee KJ, Lee M. Effects of Personal Low-Frequency Stimulation Device on Myalgia: A Randomized Controlled Trial. Int J Environ Res Public Health. 2022 Jan 10;19(2):735. doi: 10.3390/ijerph19020735. PMID: 35055558; PMCID: PMC8775751. 文献2^ Chesterton LS, Lewis AM, Sim J, Mallen CD, Mason EE, Hay EM, van der Windt DA. Transcutaneous electrical nerve stimulation as adjunct to primary care management for tennis elbow: pragmatic randomised controlled trial (TATE trial). BMJ. 2013 Sep 2;347:f5160. doi: 10.1136/bmj.f5160. PMID: 23999980; PMCID: PMC3759476.
2019.04.12 -
- 肘
ぶつけた肘の痛みがなかなか治らない、曲げると痛みがあるといった肘に関するお悩みの声をよく耳にします。日頃から感じる何気ない肘の痛みは小さなストレスとして蓄積され、出来るだけ早く解決したい悩みの種かと存じます。 そこで本記事では、ぶつけた肘の痛みが治らない原因から関連する病態や対処法を紹介します。ぜひ参考にしていただき、肘の痛みから解放された快適な生活を取り戻しましょう。 ぶつけた肘の痛みが治まらない原因 肘の関節は、脂肪や筋肉で覆われていないためぶつけると痛みを感じやすい部位です。 ぶつかった際の衝撃にもよりますが、骨折を引き起こしている場合もあります。また、小児に多い上腕骨顆上(じょうわんこつかじょう)骨折や、肘の先端をぶつけておこる肘頭(ちゅうとう)骨折なども考えられます。 継続する肘の痛みは筋肉・骨の異常を疑う 肘をぶつけて曲げると痛い場合は、筋肉に異常が出ているケースと骨折など器質的な異常が出ているケースが考えられます。 肘を曲げるための主な筋肉は上腕二頭筋や上腕筋で、これらの筋肉に炎症や打撲があれば肘を曲げたときに痛みが出るでしょう。また、肘の伸展に作用する筋肉の上腕三頭筋に異常が起きている場合も痛みが出ます。 骨に異常が出ている場合は、肘頭の骨折や上腕三頭筋付着部での炎症が考えられます。肘頭は上腕三頭筋の停止部でもあるので、肘を曲げることで骨片が無理に引き離されます。それが痛みを発生させる原因になるのです。 肘を曲げると痛い!考えられる病態一覧 肘をぶつけて曲げると痛い場合、筋肉が原因なのか骨が原因なのかを見極める必要があります。発生機序や症状から、考えられる病態と治療方法をご紹介していきます。 肘頭骨折 肘頭は尺骨の近位端部に位置する部位で、肘関節の大部分を構成しています。体表に近い部分まで骨が出ているので、ぶつけることで骨折が起こることも十分に考えられます。 肘を曲げると痛いのはもちろん、場合によっては肘の動作がかなり制限されます。伸ばす動作・曲げる動作がしにくくなるので、生活に支障をきたします。 肘をぶつけた後に肘頭部で強い痛みがある場合は、肘を動かさないよう安静にしてから整形外科を受診しましょう。 治療方法 肘頭の骨折では、保存療法と手術のどちらも考えられます。保存療法の場合はまず硬性材料によって1カ月以上の固定が必要です。ただ、肘頭骨折は固定が難しい骨折でもあり、偽関節を作りやすい部位でもあります。 固定には細心の注意を払い安静を守ります。骨癒合した後は、少しずつ肘の可動域を広げていくための物理療法・運動療法・手技療法が有効です。 手術の場合はプレートで骨片を固定します。当然ですが、保存療法よりもしっかり骨片が癒合するので、早期にリハビリを開始できるメリットがあります。 上腕骨顆上骨折 小児に多い骨折ですが、高齢者でも発症のリスクがあります。上腕骨の下端部の内側上顆や外側上顆よりも近位部で折れてしまう骨折です。 高いところから落ちて手をついたり、後ろ向きに転倒して手をついたりして発症します。 上腕骨顆上骨折を起こすと、明らかな変形を認め運動がかなり制限されます。曲げようとすると激痛が走るので筋肉の損傷とは違う痛みがでます。 治療方法 上腕骨顆上骨折は変形が著しいケースが多く、手術となることもあります。また、折れた骨片が深く入り込んで短縮してしまうため、牽引しながら治療することもあります。 手術をせずとも、保存療法による改善も可能ですが、ギプスでしっかりと固定されるのでしばらくは肘を使えなくなります。骨折が起きたときに神経や血管を圧迫したり、固定の仕方によって圧迫してしまったり、二次的な症状が起こることもあります。 小児の上腕骨顆上骨折では、変形したまま骨癒合してしまう内反肘という後遺症が残る可能性もあります。 テニス肘(テニスエルボー) テニス肘は、肘の外側で痛みが起こる症状です。テニスプレーヤーがバックハンドの際に肘の外側で痛みを訴えることが多いことからテニス肘と呼ばれており、正式には外側上顆炎や肘外側の側副靭帯の損傷を指します。 肘をぶつけたことで痛みを発生しますが、1回の外力によってテニス肘を発生させることは稀です。よほどの大きな外力で肘関節に捻りが加わると側副靭帯の損傷を起こしますが、多くは軽微な外力の繰り返しで受けるダメージ蓄積が要因です。 テニスをはじめとするスポーツ競技はもちろん、パソコンのタイピングや、包丁をよく使う料理人なども発症する可能性があります。 治療方法 テニス肘の基本治療は保存療法です。側副靭帯が損傷していない限りは、固定することはほとんどありません。痛みのある動作をなるべく避けて安静にすることが第一です。 前腕の回内や回外・肘関節の屈曲・伸展で痛みが出やすいため、日常生活が少し制限される場合もあるでしょう。 前腕の伸筋群にかかる負担や疲労を取り除くことが、早期治癒のカギです。マッサージやストレッチなど、自分でできるケアをしていくことも重要になります。 野球肘 野球肘とは、肘の内側側副靭帯の損傷や上腕骨内側上顆炎の総称です。 小学生や中学生の年代で、繰り返し投球動作で肘の内側に過度な負担がかかると発症することから野球肘と呼ばれます。 肘の内側についている靭帯・軟骨・筋肉・腱が損傷している状態なので、肘を曲げる動きで痛みが出ます。手首の屈曲や手指の屈曲など、前腕の屈筋群に負担をかけ続けると野球肘発生のリスクも高まります。 治療方法 骨自体に裂離骨折などが起きているケースは少なく、保存療法が一般的です。 野球をやっている場合は投球動作を中止し、安静が第一になります。上腕部の筋肉から前腕の屈筋群にかけての負担を減らすことが大切です。 肩甲骨の動きが悪いと代償動作として肘に負担がかかるので、再発の予防をするためには肩甲骨や背骨のゆがみから取り除いていかなければなりません。 変形性肘関節症 変形性肘関節症は男性に多い症状で、長年にわたる肘関節の酷使で肘に変形が起き、可動域制限や痛みを発生させる症状です。 スポーツ経験者や、重い物を持つなどの重労働を繰り返してきた方に発症のリスクがあります。 骨棘ができることで肘の関節面にある軟骨がすり減り徐々に変形していきます。場合によっては肘の屈曲可動域が大幅に制限されるので、日常生活に大きな支障をきたすケースもあります。 肘部管症候群と呼ばれる尺骨神経を圧迫する症状が特徴的です。ロッキングを起こすこともあります。 治療方法 日常生活にどの程度の支障をきたすかによって、手術・保存療法の選択が判断されます。 保存療法の場合は温熱療法や薬物療法、筋力トレーニングのリハビリを行います。手術の場合は、変形して出来た骨棘を取り除く施術となります。 関節リウマチ 関節リウマチは、手指など遠位部で炎症や痛みが起きることが多いですが、肘関節でも痛みを発生させることがあります。発生の原因がはっきりしておらず、何が誘因になっているのか不明な点も多いです。 病態としては免疫の異常であり、本来であれば病原菌などの侵害物に対して攻撃を行う免疫が、体の細胞に対して攻撃を行ってしまう現象です。 関節の組織を破壊してしまうため、肘で発症すれば曲げるときに痛みが出ますし、変形することもあります。 治療方法 薬物療法や運動療法が主な治療法です。 変形が進んでしまっている場合には手術も選択肢に入り、変形による血管や神経の圧迫を防ぎます。また、人工関節の置換術が行われることもあります。 肘を曲げて痛いときの対処法 肘を曲げた時に痛みが出るような場合に、自分でできる対処法にはどのようなものがあるでしょうか。 それぞれの対処法を詳しく解説します。 整形外科を受診する 肘に関する症状を精査するなら整形外科を受診してください。レントゲンやMRIを希望する場合は、大きな病院の中にある整形外科に行った方が確実です。 骨折が疑われる場合はもちろん、明らかに変形が起きている場合も精査が必要です。腫れが顕著な場合や肘がほとんど曲がらない状態であれば、骨折を含め器質的な異常が隠れているかもしれません。 接骨院を受診する 肘を曲げて痛い原因が筋肉の炎症や関節の動かし方にある場合は、接骨院や整骨院でも有効な治療を受けられます。 整形外科で精査してもらい、骨折や病気でないことを確認してから接骨院や整骨院を受診しましょう。物理療法・運動療法・手技療法などさまざまなアプローチが可能です。 整体を受ける 肘を曲げると痛い要因が、肩甲骨の動きや背骨のゆがみによって起きているケースもあります。姿勢が悪く肩甲骨の動きも悪ければ、必然的に肘にも負担がかかります。 肘自体の問題よりも、周りの機能によって二次的なダメージを溜めているケースもあるのです。肘関節に電気治療を行ったり、肘の動きを良くするような手技療法だけでは改善しません。 そのため、整体を受けて姿勢の改善から取り組むことが重要です。 温める 捻挫や打撲でない場合や痛みが出てから数日経過している場合は、温めることが有効なセルフケアになります。 温めることで血流が良くなり、損傷している組織の代謝も上がって回復力がアップします。サポーターを付けて冷やさないための工夫や、お風呂でしっかり温まるなど簡単なケアで十分です。 安静にする 早く治そうと思ったら安静にするのが一番です。 リウマチなど放置で症状が進行してしまう場合は別ですが、そうでない限り肘を休めて筋肉疲労・痛みの軽減を目指すことが先決です。 ただし、安静時にも肘まわりの筋力は低下しています。症状が改善し次第適度な運動を取り入れましょう。 再生医療を受ける スポーツによる障害や変形を伴った関節症など、肘に痛みが出る疾患はさまざまですが、痛みを取るには自己の自然治癒力を高めることが重要です。 有効なアプローチとして近年注目を集めているのが再生医療です。自身の血液や脂肪を用いて「自然治癒力=再生する力」を高める治療法となっています。 血液を用いたPRP(多血小板血漿)療法は、傷を修復させる血液成分を抽出して患部に注射します。スポーツ選手がケガをした際、手術をせずに早期復帰を目指す治療法としても取り入れられています。 また、脂肪を用いた脂肪由来幹細胞も有効な再生医療です。幹細胞とは臓器・皮膚・骨・筋肉・靭帯などさまざまな細胞に分化する能力があります。 自身の脂肪から幹細胞を培養し、それを体内に戻すことで自然治癒力が向上します。この治療法は患部に注射する方法だけでなく、点滴により全身に幹細胞を届けることも可能です。 肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所 肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所は、、肘の背面に位置している尺骨の肘頭という部位です。 後ろ向きの転倒や、肩関節の伸展動作による打撲が主な要因です。肘頭は筋肉や脂肪で覆われておらず、打撲や骨折が起こりやすい部位です。 また、上腕骨下端にある外側上顆や内側上顆もぶつけやすい部位のひとつです。外側上顆・内側上顆は骨が少し外側に出っ張っているため、皮膚の上からでも容易に触わることが出来るくらい体表に近くなっています。そのため、転倒などによるダメージをもろに受けやすい特徴があります。 肘の痛みから全身が痛くなることもある 「肘の痛みだからちょっと様子をみよう」「我慢できるから病院に行かなくて良いだろう」といった油断は禁物です。 初期の痛みはわずかかもしれませんが、、知らず知らずの間に肘をかばって生活するようになり、肩や背中に負担をかけてしまいます。そこから派生するように全身の疾患・痛みにつながっていくのです。 そのため、自己判断や油断は避け、違和感を感じたら医療機関を受診するよう心がけましょう。 継続する肘の痛みは当クリニックにご相談ください! リペアセルクリニック大阪院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。継続する肘の痛みにお悩みの方はどうぞ事前にご相談ください。
2019.04.11 -
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ぶつけたり捻ったりしたわけでもないのに急に肘の外側が痛くなる症状にお悩みの方も多いことと存じます。日常生活やスポーツにおいて支障をきたす症状であることから、早急に対処しておきたい症状です。 そこで本記事では、肘の外側が何もしていないのに痛む原因や治療法について解説します。最後までご覧いただき、原因の追求・症状の緩和を目指しましょう。 何もしてないのに肘(外側)が痛む原因 何もしていないのに肘の外側が痛む主な原因は、上腕外側上顆炎と呼ばれる肘の病気です。 別名でテニス肘やスマホ肘とも呼ばれ、老若男女問わず発症する可能性があります。以下項目で上腕外側上顆炎の概要や治療法、予防法について詳しく解説させていただきます。 上腕骨外側上顆炎(テニス肘・スマホ肘)とは 上記でも紹介したとおり上腕骨外側上顆炎とは、別名でテニス肘、近年ではスマホ肘と呼ばれる病態です。上腕骨にある外側上顆で炎症が起きる症状を指します。 上腕骨外側上顆炎の根本的な原因は肘関節よりも前腕の筋肉群で生じる疲弊です。手関節や手指の伸展動作に関わる筋肉で、前腕の伸筋群と呼ばれます。 前腕の伸筋群は上腕骨の外側上顆から前腕を通過し、手関節の先まで通っています。そのため、前腕の伸筋群を使いすぎによるダメージの蓄積が外側上顆にも負担をかけているのです。 ぶつけていないのに肘が痛くなるのはなぜ? 手関節や手指を繰り返し動かすことで前腕伸筋群が伸張を繰り返し、その牽引力が外側上顆の一点にかかります。これが長時間・長期間続くことで徐々に外側上顆が炎症を起こし、結果的に伸ばすと痛い・曲げると痛いといった何もしなくても肘の外側に異常が生じるのです。 前腕の筋肉を酷使するテニスプレーヤーに多い症状であることから、テニス肘と別名がついています。また、長時間にわたる操作でスマホを持つ(支える)前腕の筋肉が硬直し、外側上顆に負担をかけることからスマホ肘とも呼ばれています。 そのため、前腕をよく使うスポーツ選手はもちろん、何気ない日常生活から万人が発症します。 肘関節の構成 肘の関節は、上腕骨・前腕の橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)の3つの骨で構成されています。 肘関節を詳細に分類すると3つの関節が1つの関節包の中に納まっています。 1,腕尺関節(わんしゃく‐かんせつ) 関節の種類でいうと蝶番関節であり、屈曲と伸展の運動を行っています。 2,腕橈関節(わんとう‐かんせつ) 小さい関節ではありますが球関節の構造をしています。肘の屈曲伸展、回旋運動に関わる関節です。 3,上橈尺関節(じょうとうしゃく‐かんせつ) 前腕の骨である橈骨と尺骨の間で構成されている関節です。主に前腕の回外や回内運動を行っています。 肘関節を動かす最も大きな筋肉は上腕二頭筋で、肘関節の屈曲と前腕の回外の運動に関わっています。 上腕二頭筋は肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っているため、肩関節の異常が肘関節に影響する可能性もあります。 また、肘関節伸展に関わる主な筋肉は上腕三頭筋であり、これも肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っています。肩関節から肘関節にかけてコントロールする筋肉なので、肩関節の使い方次第で肘関節に影響を及ぼします。 上腕骨外側上顆炎の症状 上腕骨外側上顆炎はどなたでも起こり得る症状ではありますが、30~50代の女性の発症率が高い傾向にあります。筋力の弱さやホルモンバランスが関係しているとされています。 外側上顆炎は伸筋群が原因であるにも関わらず、手関節の伸展や手指の伸展以外の動作でも肘の外側に痛みを発生させます。 肘を伸ばすときや曲げるとき、前腕の回外、安静時でも肘の外側が痛み、日常生活においてはドアノブを回すとき・タオルを絞るとき・キーボードを打つとき・物を持ち上げるときなどが具体的な発症例です。 打撲や捻挫のように、一度の外力で急に外側上顆炎になることよりも、日常生活の動作の中で少しずつ負担を蓄積して発症するケースが多い特徴もあります。そのため、治療が長期間に及ぶことも珍しくありません。 上腕骨外側上顆炎の治療方法 上腕骨外側上顆炎の治療を医療機関で行う場合、どのような方法がとられるのかご紹介します。 1.電気治療 痛みがある肘の外側・前腕の筋肉を中心に低周波や干渉波の電気治療が行われることがあります。主な目的は前腕の筋肉で起きている緊張を取り除くことと、血流を良くすることです。 しかし、炎症であることと、筋肉の緊張による牽引力が原因であることから、稀に悪化してしまうケースもあります。 電気刺激が強すぎると、かえって自分の体を守ろうとする防衛機能が働き、逆に筋緊張を強めてしまうのです。同反応が見られた場合は、電気刺激を弱めるか別の保存療法を選択します。 2.手技療法 前腕の筋肉をマッサージやストレッチでほぐすことが主な手技療法です。上腕骨から指先まで通っている伸筋群もあるため、前腕だけでなく手指の動きを良くすることにもつながります。 手指の動きが良くなれば必然的に外側上顆の負担は減り、肘の外側の痛みが改善する仕組みです。 3.温熱療法 外側上顆炎の患者の中には、お風呂に入った後に少し痛みが軽減する方もいます。これは、温められることによって血流が良くなり、前腕伸筋群の緊張が和らいだことが要因です。 そのため、赤外線などで外側上顆から前腕にかけて温熱療法を行いつつ、手技療法や運動療法をあわせて行うことで改善を早めます。 4.運動療法 運動療法は、肘関節の正しい動かし方を身につけたり、手関節や手指関節の動きをスムーズにしたりとさまざまな療法が存在します。もちろん、痛みの程度を見ながら無理のない範囲で徐々に行うことが大切です。 肩関節や肩甲骨の動きが間接的に肘関節に影響を及ぼすため、肩関節の動きを良くして可動域を広げることが外側上顆炎の治療において重要です。 5.背骨の矯正 背骨のゆがみや骨盤のゆがみを改善することが外側上顆炎の治療につながります。 矯正により姿勢が良くなることで、肩甲骨や胸椎の正しい動き・スムーズな動きが可能となり肩関節の可動域が広がります。 肩関節の可動域が広がれば、肘関節にかかる負担の軽減につながります。結果的に手関節や手指をスムーズに動かすことができるのです。 外側上顆炎だからといって肘だけを集中的に治療するよりも、背骨のゆがみから改善した方が早期完治につながりやすいです。くわえて、再発予防にも有効です。 上腕骨外側上顆炎の予防方法 上腕骨外側上顆炎は一度なってしまうと治癒まで比較的時間がかかる症状であり、一度良くなった後も再発するケースが多いです。 そこでこの項目では、自分でできる上腕骨外側上顆炎の予防方法をご紹介します。 1.ストレッチ 前腕の伸筋群に疲労が蓄積することで外側上顆炎のリスクが高まることから、こまめな前腕のストレッチが予防に有効です。外側上顆炎を発症した初期はストレッチの動作でも痛みを感じることがあるので痛みが軽減してから習慣にしてください。 やり方は簡単で、手関節の屈曲と伸展方向にゆっくりと伸ばすだけです。 しかし、伸筋群のみのストレッチでは外側上顆炎の再発予防としては不十分です。屈筋群に緊張があるままだと、手関節伸展がしにくくなり、余計な筋力を発揮させて伸展動作を行わなければならなくなります。外側上顆の負担を増す原因になるので、屈筋群もあわせてストレッチしておくことが大切です。 2.肘と前腕を温める 冷えは筋肉の緊張を生みやすいので、基本は温めるようにした方が改善の助けになります。 お風呂でしっかり温まることはもちろん、電子レンジなどで蒸しタオルを作って肘の外側から前腕にあてておくだけでも良いセルフケアです。安価な物でも良いので、肘全体を覆うタイプのサポーターをするのも冷え対策につながるためおすすめです。 神経痛によって肘の外側が痛むこともある! 首から上肢にかけて通っている神経が圧迫されることによって肘の外側で痛みを発生させている場合もあります。 この項目では、肘の痛みの原因となる神経痛の概要や治療方法についてご紹介します。 頚椎ヘルニア・神経痛とは? 神経を圧迫している主な原因は頚椎ヘルニアです。スマホやPCが普及してきた現代で発症頻度が高くなっている病態とされています。 頚椎から派出する神経が上肢を走行し、その過程で肘の外側も支配しています。頚椎ヘルニアが上腕の外側を支配する高さで起こっている場合、肘外側の痛みの原因となりえます。 姿勢が悪い状態で行うデスクワークやバイクの長時間の運転といった既往が頚椎ヘルニアのリスクを高め、肩甲骨の内側や外側、首自体の痛みも同時に発生しているケースがほとんどです。 肘の外側だけでなく、痛みが体幹に近い部位に点在している場合は神経症状を疑いましょう。 頚椎ヘルニア・神経痛の治療方法 肘の外側で出る痛みが神経痛であった場合、肘の動きの改善や前腕・上腕のマッサージは根本的な治療にはなりません。神経が発生している背骨から治療していく必要があります。 この項目では、頚椎ヘルニア・神経痛の主な治療方法を5つご紹介します。 1.薬物療法 痛み止めや、ビタミン剤が薬物療法として主に使用されます。 あくまでも薬物療法は鎮痛作用を促すためのものであることから、完治にはつながりにくいものの日常生活に支障をきたす辛い痛みを防ぐ補助的な目的で利用します。 2.温熱療法 神経痛においても温めることが有効な治療方法です。 血流が良くなる上に筋肉の緊張が取れるため、神経の圧迫の軽減につながります。 3.牽引治療 整形外科では、頚椎を牽引して治療することが多いです。 牽引により背骨全体の筋肉がストレッチされ、神経の通り道を広くすることに期待できます。しかし、牽引治療だけでは完治に至らない場合が多いです。 4.整体 姿勢を改善して首の負担を取り除くことや、関節の動かし方を改善して頚椎から出る神経を圧迫しないような体作りをしていきます。 手術以外の方法の中でも有効な治療であり、早期改善と再発予防につながりやすいです。 5.手術療法 スポーツ選手など特別な事情が無い限りは稀な選択と言えますが、頚椎の手術も有効な治療のひとつです。 頚椎のシビアな場所だけに、一般的には最終手段として選択される治療方法です。 何もしてないのに肘の外側が痛む方からよくある質問 肘の外側が何もしていないのに痛む症状について、多くの方が疑問や不安を抱えています。 そこでこの項目では、よくある質問に対して医師の観点から回答します。 何もしていない肘の痛みはガンの可能性もある? 結論から言えば、肘の痛みがガンである可能性は非常に低いですが、完全に否定はできません。 肘の痛みの大半は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や神経痛によるものです。ただし、痛みが長期間続く、急激な体重減少を伴うなどの場合はガンの可能性も考えられるため、専門医の診断を受けることをおすすめします。 ガン以外にも、関節リウマチなどの自己免疫疾患の可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。不安な症状がある場合は、まずは医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けましょう。 ジンジン・ズキズキする肘の痛みはすべて神経痛やテニス肘? ジンジンやズキズキといった肘の痛みは、必ずしもすべてが神経痛やテニス肘が原因ではありません。肘部管症候群・滑膜ひだ症候群・単純な筋肉の張りなど、考えられる疾患はさまざまです。 正確な診断と適切な治療のためには、症状の詳細な観察と医師による専門的な診断が重要です。自己診断は避け、持続する痛みがある場合は整形外科をはじめとする医療機関を受診しましょう。 何もしていない肘の痛みは内側にも発症する? 肘の痛みは外側だけでなく、内側にも発症する可能性があります。 何もしていないのに肘の内側に痛みを感じる主な原因として、上腕骨内側上顆炎が考えられます。 この症状は、手首を曲げる筋肉や前腕の筋肉が肘の内側の骨(上腕骨内側上顆)に付着する部分で炎症を起こすことで生じます。とくに、ゴルフやテニスのバックハンド、野球の投球動作など手首を曲げる動作を繰り返す人に多く見られます。 また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を取り続けることでも発症することがあります。 本記事で紹介した上腕骨外側上顆炎の内側版と覚えていただいても差し支えありません。 何もしてないのに肘の外側が痛む原因まとめ 肘の外側で起きる痛みは、肘や前腕で問題が起きている場合と頚椎など中枢に近い部分で問題が起きている場合の2種類があります。両者は治療方法も異なるので、どこで問題が起きているのか見極めるのが大切です。 何もしていないのに発症する外側の肘の痛みを早期に改善したい方は、医療機関を受診し専門医に相談するよう心がけましょう。 また、当院でも肘の痛みに関するご相談を受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
2019.04.08