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アテローム血栓性脳梗塞の後遺症とは?症状や予後・リハビリについて医師が解説

アテローム血栓性脳梗塞を発症した後、「麻痺や言語障害はどのくらい残るのか」「リハビリでどこまで回復できるのか」と不安を感じている患者さんやご家族の方は多いのではないでしょうか。
アテローム血栓性脳梗塞は損傷を受けた脳の部位や範囲によって、運動麻痺・感覚障害・言語障害・高次脳機能障害など、さまざまな後遺症が生じる可能性があります。
本記事では、アテローム血栓性脳梗塞による後遺症の種類・リハビリ法・予後の目安について解説します。
また薬物療法や従来のリハビリを続けても、麻痺やしびれ・言語障害などの後遺症に思うような改善が見られない場合、再生医療という選択肢があります。
\再生医療という新しい選択肢/
再生医療とは、患者さん自身の細胞や組織を活用して、損傷を受けた神経細胞や血管の修復・再生を促す治療法です。
当院(リペアセルクリニック)では、脳卒中(脳梗塞・脳出血)後遺症に対する再生医療の症例について、以下の動画でご紹介しています。
再生医療について詳しく知りたい方は、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
アテローム血栓性脳梗塞による後遺症の種類
アテローム血栓性脳梗塞による後遺症は損傷を受けた脳の部位と範囲によって異なり、以下のように各機能に多岐にわたる影響が生じます。
ここでは、アテローム血栓性脳梗塞に代表的な5つの後遺症について、それぞれの特徴と日常生活への影響を詳しく解説します。
運動麻痺|片麻痺・歩行障害
アテローム血栓性脳梗塞における後遺症の一つが、身体の片側に麻痺が生じる「片麻痺(へんまひ)」です。
| 症状の種類 | 主な特徴 | 日常生活への影響 |
|---|---|---|
| 片麻痺 | 身体の片側(腕・脚)が動かしにくい | 歩行・着替え・入浴の支障 |
| 痙縮(けいしゅく) | 筋肉が過度に緊張して突っ張る | 歩行障害・関節拘縮のリスク |
| 巧緻運動障害 | 手指の細かい動作が困難 | 箸・ボタン・筆記の困難 |
大脳皮質の運動野や大脳基底核などが損傷を受けると、損傷部位とは反対側の手足が動かしにくくなります。
脳は左右交差して身体を支配しているため、右脳が損傷を受けると左半身に、左脳が損傷を受けると右半身に麻痺が現れることもあるのです。
運動麻痺の程度は損傷の範囲によって異なりますが、発症後早期からリハビリを開始することで、機能の回復が期待できます。
感覚障害|しびれ・感覚の鈍化
アテローム血栓性脳梗塞では、脳の頭頂葉(体性感覚野)が損傷を受けることで、以下の感覚機能に障害が生じることがあります。
- 触覚
- 温度感覚
- 痛覚など
また代表的な症状として、触れても感覚が鈍くなる「感覚鈍麻(かんかくどんま)」があります。
また、何も触れていないのにジンジン・ピリピリとした不快な感覚が続く「異常感覚」や、逆に軽い接触でも強い痛みを感じる「異痛症(アロディニア)」が生じる場合もあります。
感覚障害が残ると、熱いものへの気づきが遅れることで火傷を負いやすくなる点や、足の裏の感覚が低下することでバランスが取りにくくなり、歩行中の転倒リスクが増大する可能性があるので注意が必要です。
感覚障害は外見からは分かりにくい後遺症の一つであるため、患者さん本人だけでなく、ご家族や介護者も症状を理解したうえで日常生活のサポートを行うことが大切です。
言語障害|失語症・構音障害
言語に関わる後遺症には、「失語症(しつごしょう)」と「構音障害(こうおんしょうがい)」の2種類があり、それぞれ原因と症状が異なります。
| 種類 | 損傷部位 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 失語症(運動性) | 左脳・ブローカ野 | 言葉が出てこない・たどたどしい話し方 |
| 失語症(感覚性) | 左脳・ウェルニッケ野 | 相手の言葉を理解しにくい |
| 構音障害 | 発声・発音に関わる運動系 | 発音が不明瞭・声がかすれる |
失語症は、左脳の言語野(ブローカ野・ウェルニッケ野)が損傷を受けることで生じ、言葉がうまく出てこない「運動性失語」、ウェルニッケ野が損傷を受けると相手の言葉を理解しにくくなる「感覚性失語」が起こる可能性があります。
一方、構音障害は言語を理解する機能は保たれているものの、発声・発音に関わる筋肉が麻痺することで起こります。
「ぱ・た・か」などの音が不明瞭になったり、声がかすれたりするため、話す内容は伝わりにくくなりますが、言葉の意味の理解や読み書き自体には問題がないことも多いとされています。
言語障害はコミュニケーションの困難を引き起こし、患者さんの孤立感やストレスの原因となることがあるため、ご家族の理解とともに、専門家による言語聴覚療法を早期に開始することが大切です。
高次脳機能障害|記憶・注意力の低下
高次脳機能障害とは、脳損傷によって記憶・注意・思考・遂行機能などの認知機能が低下する後遺症であり、外見からは分かりにくいという特徴があります。
代表的な症状として、以下のようなものがあります。
| 種類 | 詳細 |
|---|---|
| 記憶障害 | 新しい出来事が覚えられないなど |
| 注意障害 | ひとつのことに集中したり複数の作業を同時進行したりすることが難しくなるなど |
| 遂行機能障害 | 計画を立てて順序通りに行動を実行できなくなるなど |
これらは作業の手順を間違えたり、約束をすぐ忘れてしまったりといったことが繰り返されます。
また、夕食の献立を考えながら買い物をするといった複合的な段取りが困難になることもあります。
高次脳機能障害は本人も自覚しにくいことがあるため、ご家族や周囲が症状を理解し、適切なサポートを行うことが大切です。
高次脳機能障害に対しては、再生医療も選択肢の一つとなります。
症状にお悩みの方や治療について詳しく知りたい方は、まずはお気軽に当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
精神面の変化|うつ・意欲低下
アテローム血栓性脳梗塞の後遺症として、身体的な症状だけでなく、精神面の変化も生じる場合があります。
脳の感情を司る部位が損傷を受けることに加え、身体が思うように動かないことへの喪失感・焦り・社会からの孤立感などが重なり、うつ状態になるとされています。
また、感情のコントロールが難しくなり、些細なことで急に怒り出したり、涙が止まらなくなったりする「感情失禁」が起こる場合もあります。
これは脳の損傷による神経的な変化であり、患者さん本人の意志とは無関係に生じるものです。
精神面の変化は本人だけでなくご家族にとっても負担となるため、精神科医や心理士によるサポートを含めた包括的なケアが、回復を支える上で重要です。
アテローム血栓性脳梗塞による後遺症から改善を目指すためのリハビリ法
アテローム血栓性脳梗塞の後遺症に対するリハビリは、運動・作業・言語・認知の各領域を組み合わせた包括的なアプローチが回復の鍵とされています。
ここでは、それぞれのリハビリ法の具体的な内容と目的について詳しく解説します。
運動療法
運動療法は、片麻痺や歩行障害に対して歩行・基本動作・筋力を回復させることを目的としたリハビリです。
発症後の急性期からは、寝たきりによる関節の拘縮を防ぐため、理学療法士の指導のもとでストレッチや早期離床(ベッドから起き上がる練習)が行われます。
回復期に入ると、自重を使ったスクワットや段差昇降・平行棒歩行など、実際の生活動作に即した訓練が中心となります。
また、神経筋電気刺激を活用して、麻痺した筋肉に電気刺激を与え、神経と筋肉のつながりを再構築するアプローチが行われることもあります。
脳には「脳の可塑性(かそせい)」と呼ばれる性質があり、繰り返しの運動訓練によって損傷を受けた神経回路の代替ルートが形成される可能性があるため、発症後早期から継続的に運動療法に取り組むことが大切です。
作業療法
作業療法は、食事・着替え・トイレといった日常生活動作の自立を目指す、生活に直結したリハビリです。
作業療法士の指導のもとで、食器を持つ・歯磨きをするといった基本的な動作から、調理・掃除・洗濯などの家事動作、さらには仕事や趣味に関わる応用的な動作訓練が段階的に行われます。
特に手指の巧緻性(こうちせい)の回復は箸を持つ・ボタンをかける・ペンで文字を書くといった細かい動作を繰り返し練習することで、神経と筋肉の連携を取り戻すことを目指します。
作業療法は単に動作を練習するだけでなく、患者さんが「自分でできた」という達成感を積み重ねることで、リハビリへの意欲やQOL(生活の質)の向上にもつながるのです。
言語聴覚療法
言語聴覚療法は、失語症・構音障害・嚥下(えんげ)障害に対して、言語聴覚士が専門的なアプローチを行うリハビリです。
失語症に対しては、絵カードを見て名称を答える「呼称訓練」や、言葉を復唱する練習、文字の読み書き練習などが行われます。
構音障害に対しては、「ぱ・た・か」の発音を繰り返す発声練習や、口・舌・頬の筋力を高める口腔体操が取り入れられます。
また、食べ物を飲み込む力が低下する「嚥下障害」も、脳梗塞の後遺症の一つです。
嚥下障害が放置されると、食べ物や唾液が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」が繰り返され、致命的な「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」につながる危険性があります。言語聴覚士による舌・頬・喉の筋力訓練や、食形態の調整などを通じて誤嚥性肺炎の予防を図ることが重要とされています。
認知行動療法
認知行動療法は高次脳機能障害や精神面の変化に対して、認知機能の回復と心理的なケアを同時に行うアプローチです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 注意障害 | パズルや電卓計算・間違い探しなど集中力を鍛える課題を通じて、注意を持続・分配する力を少しずつ回復させる訓練が行われる |
| 記憶障害 | 反復訓練(同じ情報を繰り返し学習する)や、覚えたい情報をイメージや物語に結びつける「視覚イメージ法」などが活用される |
また、うつや意欲低下・感情失禁などの精神症状に対しては、精神科医や臨床心理士によるカウンセリングが行われます。
「できないことへの絶望感」や「リハビリへの無力感」といった認知の歪みを修正する認知療法を通じて、前向きにリハビリに取り組むための心のサポートが行われることも、回復において非常に大切です。
アテローム血栓性脳梗塞の予後|回復期間の目安
アテローム血栓性脳梗塞の後遺症の回復は、発症後3〜6ヶ月の「回復期」に最も改善が見られやすいとされています。
回復の経過とリハビリの目安は、以下のとおりです。
| 時期 | 目安の期間 | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 急性期 | 発症直後〜2週間程度 | 廃用症候群の予防・早期離床・関節拘縮の防止 |
| 回復期 | 2週間〜6ヶ月程度 | 集中的なリハビリ・歩行・日常生活動作・言語機能の回復訓練 |
| 生活期(維持期) | 6ヶ月以降〜 | 機能維持・社会復帰・再発予防管理 |
脳には「可塑性(かそせい)」と呼ばれる、損傷後に機能を再編成する能力があります。
繰り返しのリハビリによって、損傷を受けた神経回路の代わりとなる経路が形成される可能性があり、特にこの働きが活発な回復期において、集中的かつ継続的なリハビリを行うことが大切になります。
ただし、回復の程度には以下のような要因によって個人差があります。
- 年齢
- 発症前の基礎体力
- 損傷の範囲
- リハビリ開始の早さなど
回復期を過ぎた後も、リハビリを継続することで機能の維持やさらなる改善が期待できます。
ただしアテローム血栓性脳梗塞は再発リスクが高い疾患であり、長期的な管理が欠かせません。
発症後10年間で約51.3%が再発するリスクがあるとする報告もあり、抗血小板薬の継続服用、血圧・血糖・脂質の管理、禁煙などの生活習慣の改善による再発予防が、予後を左右する要因となります。
主治医の指示のもとで、リハビリと生活習慣管理を継続しながら、再発予防と生活の質(QOL)の維持・向上を目指しましょう。
アテローム血栓性脳梗塞の後遺症に対しては、再生医療も新たな選択肢
アテローム血栓性脳梗塞による後遺症は、損傷を受けた脳の部位や範囲によって、以下のように多岐にわたる症状が生じる可能性があります。
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 言語障害
- 高次脳機能障害
- 精神面の変化
これらの後遺症に対しては、運動療法・作業療法・言語聴覚療法・認知行動療法を組み合わせた包括的なリハビリが回復を目指す上で重要です。
しかし従来のリハビリや薬物療法を継続しても後遺症の改善に限界を感じている方や、発症から数年が経過している方に対して、再生医療という新たな選択肢があります。
再生医療とは、患者さん自身の脂肪から採取した幹細胞を培養・増殖させ、損傷を受けた神経細胞や血管の修復・再生を促す治療法です。
脳梗塞後遺症の麻痺・しびれ・歩行機能・言語機能の根本的な改善を目指すアプローチとして期待できます。
実際に当院(リペアセルクリニック)の治療を受けられた方の症例は、以下の動画でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
再生医療について詳しく知りたい方は、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでも情報や症例を公開していますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長
























