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ガングリオンの手術方法|費用や入院日数は?検討されるケースやリスクについて解説

手首や足の甲にできるガングリオンで手術をすべきかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
ガングリオンは良性の腫瘍なので無症状であれば経過観察のみで問題ありませんが、痛みやしびれを伴う場合には手術を検討する必要があります。
この記事では、ガングリオンで行われる手術方法や手術が検討されるケースについて詳しく解説します。
- ガングリオンで行われる手術方法
- ガングリオンで手術が検討されるケース
- ガングリオンの手術におけるリスク
- ガングリオンの手術費用
ガングリオンの手術におけるリスクを理解し、納得のいく治療を選択するための参考にしてください。
目次
ガングリオンで行われる手術方法
ガングリオンの手術療法には、主に2つの術式があり、症状の部位や状態に合わせて検討されます。
それぞれの特徴を詳しく解説します。
また、以下の記事ではガングリオンと悪性腫瘍の見分け方について詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
切開摘出術
切開摘出術は、皮膚を切開してガングリオン(腫瘤)を直接取り除く術式です。
医師が患部を直接目で見て確認しながら進めるため、再発源となる茎ごと完全に除去できる利点があります。
切開摘出術の主な特徴
- ガングリオンを茎ごと除去できる
- 多くは日帰りで手術できる
切開した場所には傷跡が残りますが、ガングリオンの確実な摘出を優先したい方に適しています。
局所麻酔を用いるため体への負担も少なく、多くのケースで当日に帰宅できます。
注射などの保存療法に比べて再発率を低く抑えられますが、再発リスクはゼロではない点は覚えておきましょう。
関節鏡手術
関節鏡手術は、1cm程度の小さな切開を複数作り、カメラ(関節鏡)と器具を挿入してガングリオンの茎を切除する術式です。
傷口が小さく済むため、体への負担が軽く、比較的回復が早いのが特徴です。
関節鏡手術の主な特徴
- 傷口が小さく済み、傷跡が目立ちづらい
- 体への負担が少なく、術後の痛みが少ない
- 機能回復が早い
傷跡が目立ちにくいため、見た目を気にする方や早期の社会復帰を望む方に検討されています。
ガングリオンは手術すべき?検討されるケース
ガングリオンは良性の腫瘍のため、無症状であれば手術しなくても問題ないですが、以下のような症状がある際は手術を検討しましょう。
手術が検討される主な状況
- ガングリオンが急激に増大した
- 手指の感覚が鈍い、力が入らない
- 強い痛みやしびれがある
- 何度も再発を繰り返す
- 関節の動きが制限される
- 見た目が気になりストレスを感じる
上記に当てはまる症状がある場合、専門医による手術を検討した方がいい可能性があります。
「ガングリオンが急激に増大した」「手指の麻痺」などの症状が見られた場合は、緊急性が高いため、早めに医療機関に相談しましょう。
以下の記事ではガングリオンが痛い時の対処法について詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
ガングリオンの手術におけるリスク
ガングリオンの手術を受ける前に、合併症などのリスクを知る必要があります。
事前にリスクを把握することで、納得した状態で治療に臨めます。
医師と十分に話し合い、不安を解消しておきましょう。
切除しても再発する可能性がある
手術でガングリオンを摘出しても、再発する可能性はゼロではありません。
切開摘出術で茎を完全に除去できた場合でも約5〜10%、関節鏡手術の場合は約10〜20%は再発する可能性があります。
ガングリオンの手術を受ける場合は、再発する可能性を十分に理解したうえで治療方針を決定しましょう。
再手術が必要になる場合もあるため、経過観察を怠らないようにすることも重要です。
血管や神経の損傷リスクがある
ガングリオンの手術過程で血管や神経を傷つけてしまうリスクも考慮しなければなりません。
神経の通り道にガングリオンができているケースでは、周囲の組織と癒着していると摘出時に影響を及ぼす恐れがあるためです。
| 損傷のリスク | 具体的な症状 |
|---|---|
| 神経損傷 | しびれ、感覚の麻痺、持続的な痛み |
| 血管損傷 | 出血、血流障害、患部の腫れ |
医師は超音波などで位置を確認して慎重に手術を行いますが、リスクを完全になくすのは困難です。
術後に指先の感覚が鈍くなるなどの異常を感じたら、すぐに担当医に伝えましょう。
傷口からの感染症リスクがある
ガングリオンの手術では、いずれの術式も皮膚を切開するため、細菌の侵入による感染症リスクが伴います。
発生率は約1〜3%といわれており、確率は高くありませんが、術後に傷口が赤く腫れたり膿が出たりする場合がある点を理解しておきましょう。
ガングリオンは関節とつながっているケースが多く、ごく稀に細菌が関節まで及び「関節炎」を引き起こす恐れもあります。
異常な熱感や痛みがあるときは、早急に医療機関に相談しましょう。
ガングリオンの手術費用|保険適用される?
ガングリオンの手術費用に保険が適用されるかどうかは、症状(痛みやしびれ)の有無によって決まります。
見た目をキレイにしたいなどの美容目的では、保険適用外で自費となるケースもあるため、注意が必要です。
治療を受ける前に、必要な費用の内訳を確認しましょう。
手術費用の目安
ガングリオンの手術費用の目安は、自己負担3割の場合で15,000〜30,000円程度です。
痛みやしびれがあり医学的に処置が必要な際は、健康保険が適用されます。
| 項目 | 費用の目安(3割負担) |
|---|---|
| 手術料単体 | 9,000〜13,000円 |
| 検査・薬剤・初診料込み | 15,000〜30,000円 |
| 数日の入院を伴う場合 | 5〜10万円 |
手術代の他に、MRIや超音波などの検査費用や病理検査で組織の状態を調べる費用がかかります。
腫瘍が大きいケースや神経の近くにあるケースでは、入院が必要となる場合もあり、入院基本料や食費も含まれるため総額が上がります。
医療機関によって設定に幅がある点に注意しましょう。
費用が変わる要因
手術費用の総額が変動する理由は、病院・施設による違い以外にもガングリオンの状態や治療の目的にあります。
発生した部位が複雑な場合や、美容目的の処置では負担額が大きく異なるためです。
費用の変動要因
- 保険適用の有無(症状がある場合のみ適用される)
- ガングリオンの大きさ
- 術式や麻酔の方法
- 入院の有無
痛みなどの症状がなく、外見上の改善のみ(美容目的)を希望する際は、保険適用されず10割負担となる可能性があります。
また、術式によって全身麻酔が必要な場合、局所麻酔よりも費用は高くなります。
ガングリオンの手術に関するよくある質問
最後に、ガングリオンの手術についてよくある質問に回答していきます。
事前に、手術後の生活をイメージしておきましょう。
ガングリオンの手術で入院する日数は?
ガングリオンの手術で入院する場合、1〜2日程度で済むのが一般的です。
しかし、多くの場合で日帰り実施が可能で、局所麻酔を用いるため体への負担が少なく、処置自体も30分から1時間程度で完了します。
入院が必要となるケース
- 関節の奥深くにある場合
- サイズが大きく複雑な場合
- 全身麻酔を使用する場合
足首など神経が密集する部位の手術では、術後の安全を考慮して入院を検討されます。
ご自身の状況で入院が必要かどうかは、医師に確認しましょう。
ガングリオンの手術の安静期間は?
ガングリオンの手術後は、患部をスプリントなどで固定し、炎症の発生を抑えながら組織の修復を促すため、1〜2週間程度の安静期間を設けるのが一般的です。
職業や生活スタイルに応じた復帰時期の目安は、以下のとおりです。
| 職業・動作の種別 | 復帰や再開の目安 |
|---|---|
| デスクワークなどの軽作業 | 術後数日から1週間程度 |
| 手を頻繁に使う力仕事 | 術後2〜3週間以上 |
| 強い負荷がかかるスポーツ | 術後1〜2カ月程度 |
仕事への復帰時期は、術後の経過を見ながら医師と相談しましょう。
デスクワークなどは早期復帰が望めますが、キーボード操作などの継続的な負荷には注意が必要です。
組織が強固につながるまでは1〜2カ月ほどかかるため、重いものをもつ動作は控えてください。
ガングリオンの手術は再発や合併症リスクを理解しておこう
ガングリオンの手術は、痛みや再発を繰り返す場合に有効な手段です。
切開摘出術や関節鏡手術といった選択肢があり、多くは日帰りで治療を受けられますが、術後1〜2週間の安静期間が必要となります。
また、手術でガングリオンを除去できた場合でも、再発の恐れや神経損傷のリスクはゼロではありません。
ガングリオンの状態や発生部位によって、適した治療方針は異なるため、医師と十分に相談して治療法を選びましょう。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師


















